GP を用いた画像平均強度別学習による
拡散強調像へのアノテーション
Annotation on Diffusion Weighted Images based on GP considering Image Mean Intensity
八瀬邉洋人*1 杉本千佳*1 萩原浩明*2
Hiroto Yasebe*1 Chika Sugimoto*1 Hiroaki Hagiwara*2
*1 横浜国立大学大学院理工学府 *2 横浜南共済病院
Yokohama National University #1 Yokohama Minami Kyousai Hospital #2
1. はじめに
読影で医師を支援するコンピュータ診断支援(CAD)シ ステムが進展する中,多くの症例データを学習に用いるた めには,アノテーションした多量の医用画像が必要とされ る.著者らは医用画像からのリンパ節自動検出手法の開発 を行っており 1),深層学習に用いるアノテーション付き画 像の作成において,医師の作業負担を軽減するためにアノ テーションの自動化が求められる.読影において CT 画像 やMR 画像の T1, T2 画像からリンパ節を検出するには医師 の熟練さを必要とし,拡散強調像(DWI)を用いて特定す る方法がしばしば採られる.DWI ではリンパ節が高い輝度 で写るため,似た形状を持つ血管等との識別が可能であり, これを利用したアノテーション自動化を進めている. DWI はその特徴として画像全体が非常に不鮮明であり, 全体の輝度が低い.また,患者毎にリンパ節や組織等の明 るさが異なるため,読影医が判読しやすいよう明るさを症 例毎に調節する.そのため,全ての患者の医用画像を統合 して一つのデータセットを作る際,症例間で画像平均強度 が大きく異なる場合があり,一意な画像処理フィルタを適 用することは困難である.本研究では,遺伝的プログラミ ング(GP)を用いて DWI の画像平均強度を考慮した画像 処理フィルタ群の最適化を行い,DWI のリンパ節への自動 アノテーション精度を向上させたことについて報告する.2 .提案手法
先行研究 1)から,複数の症例をまとめてアノテーション 自動化処理を行う場合,正規化が重要であることが分かっ た. 本研究では,正規化後の画像について適当な強度の範 囲で区切られたデータセットで学習を行う.各強度範囲に おける最適なフィルタを生成しリンパ節を検出,アノテー ション付与することで精度向上を実現する.処理の簡素化 のために,区切られる強度範囲は広い程好ましい.そこで, 学習に最適な強度範囲を評価する.3.実験
本実験では,横浜南共済病院から提供された前立腺癌患 者19 名分 304 個のリンパ節が含まれる計 119 枚の DWI セ ットを用いて先行研究 1)に示した GP 手法を用いて学習を 行なった.19 症例の正規化前後の画像平均強度を図 1 に示 す.強度範囲を10~30 の間で変化させ実験を行い,その真 陽性率とF 値を算出した.全症例での学習も併せて行なっ た.各範囲におけるデータセットについて5 分割交差検定 を行い,テストデータでの各指標を評価した.各範囲で学 習した19 症例平均の各指標を図 2 に示す. 図1. 症例ごとの画像平均強度 強度別学習結果は,全症例でのF 値より改善されている ことが確認されたが,再現性と適合性の観点から強度範囲 は20 までが良いと分かった.リンパ節よりも小さな輝点が 偽陽性として検出されたことが要因である. 図2. GP 強度別学習による 19 症例平均真陽性率・F 値 (強度範囲10,20,30 と全症例)4 .まとめ
正規化したDWI の画像平均強度を考慮して GP を適用す ることで,DWI へのアノテーション精度を向上させること が可能であることを示した.この結果を用いてMR 画像か らCT 画像にアノテーションすることが可能であり, CT 画 像でのリンパ節検出 CAD システムへの開発を進展させる.参考文献
1) Hiroto Yasebe, Chika Sugimoto, Hiroaki Hagiwara, “Automatic Generation of Annotation Images for Pelvic Lymph Node Detection Using Genetic Programming”,生体
医工学シンポジウム2019 講演予稿集, 1A-4, 2019
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CT 像からの骨転移検出のための画像位置合わせ法
Image Registration for Detection of Bone Metastasis from CT Images
佐藤 駿*1 金 亨燮*1 陸 慧敏*1 青木 隆敏*2
Suguru Sato*1 Hyoungseop Kim*1 Huimin Lu*1 Takatoshi Aoki*2
*1九州工業大学 *2産業医科大学
*1Kyushu Institute of Technology *2University of Occupational and Environmental Health
1. まえがき
近年,日本におけてがんの死因順位別死亡数は年々増加 しており,がんの発症に伴う骨転移は非常に身近な病気と なっている.脊椎は骨転移の中で最も頻繁な部位として挙 げられ,病的骨折や慢性的な痛みを引き起こす.そのため, 骨転移の早期発見及び早期治療は非常に重要であるが,読 影枚数の増加に伴う診断医への負担増加が問題となってい る . そ こ で , 画 像 診 断 分 野 で は CAD ( Computer Aided Diagnosis:コンピュータ支援診断)システムの研究・開 発が進められている. 本論文では,同一被験者の過去・現在画像を用いた比較 読影に必要な経時的差分画像を生成するための画像位置合 わせ法を提案し,両画像間で変化のあった領域を強調表示 するための CAD 法の構築について述べる.手法としては, 脊椎領域の自動抽出を行った後,3 次元データである CT 画 像の現在と過去のスライスを対応させるためのグローバル マッチングを行い,大まかな現在画像と過去画像のスライ スの対応関係を選定する.その後,SRF(Salient Region Features)に基づくローカルマッチングによる画像位置合 わせを行う.最後に位置合わせを行った現在画像と過去画 像との差分処理を行い,経時的差分像を作成する.2.画像解析法
本稿で用いる CT 画像は,現在画像と過去画像上でスライ ス枚数の相違や体格・呼吸変動により,両画像間での位置 合わせが必要である.そこで異なる時系列より得られる同 一被験者の画像位置合わせを行うため,まず脊椎領域のセ グメンテーションを行う.その後,脊椎領域の重心位置と NCC(Normalized Cross Correlation:正規化相互相関)を 用いたグローバルマッチングにより,位置合わせを行う現 在画像と過去画像における初期スライスの選定を行う.そ して,選定された各スライスペアの脊椎領域に対し,SRF (Salient Region Features:顕著領域特徴)[1]に基づく ローカルマッチングを行った後,経時的差分画像の作成を 行う.SRF に基づくローカルマッチングは,大きく分けて 3 つ の処理で構成される.1 つ目の処理である顕著領域特徴抽 出(Salient Region Features Detection:SRFD)では,脊 椎領域から円形の SRF を任意の個数だけ自動検出する.2 つ目の処理である領域要素マッチング(Region Component Matching:RCPM)では,現在画像および過去画像から検出 された SRF を用い,それぞれの尤度計算を行い,類似度の 高い SRF のペアを選定する.3 つ目の処理である領域全体 マッチング(Region Configual Matching:RCFM)では, RCPM で選定された複数のペアを増加的に結合させ,脊椎領 域画像全体の位置合わせの精度の向上を図る.つまり,ロ ーカルマッチングのために必要な変形量の導出は,脊椎領 域画像全体から導出するのではなく,顕著性の高い領域及 びそのペアから NCC による最適な変形量の導出を行う.
3.実験結果
脊椎領域の現在画像と過去画像をマッチングさせた結果 に対して直接的に精度評価を行うことは,病変部の有無や 形状の経時的変化といった観点から困難である.そこで本 論文では,画像位置合わせの精度評価を,合成データを用 いて行う.ある脊椎領域の画像を参照画像とし,参照画像 に対して処理を加えて変形させた画像を対象画像として定 義する.用意した参照画像および対象画像に対し,提案手 法を用いた画像位置合わせを行う.対象画像の脊椎領域と 参 照 画 像 の 脊 椎 領 域 の 重 な り 領 域 の 割 合 を TP ( True Positive)とし,参照画像に対する重なり領域以外の領域, すなわち,漏れ出し領域の割合を FP(False Positive)と して性能評価を行った. 実験では,参照画像に回転角𝜃𝑎= −10を加えた画像(i), 回転画像にガウシアンフィルタを施した画像(ii),回転画 像に人工的な疑似病変領域を追加した画像(iii),回転画 像に 5[%]のランダムノイズを加えた画像(iv)の 4 つを対象 画像として用いた.その結果,(i)では TP:96.68,FP:19.01, (ii)では TP:70.40,FP:0,(iii)では TP:99.45,FP:17.89, (iv)では TP83.05,FP:16.95 の精度を得た.両画像を位置合 わせたフュージョン画像においても,両画像間の変化が的 確に強調表示でき,良好な位置合わせが行われていること が分かった.4.むすび
本論文では,CT 画像から経時的差分画像を生成し,脊椎 領域上の骨転移の検出を行うための先行研究として,脊椎 領域における現在画像と過去画像との位置合わせ法を提案 した.合成データを用いた性能評価から,SRF を用いた画 像位置合わせ法が精度よく行われていることが確認できた. また,実データに適応した例からも,脊椎全体に広がった 病変部,淡い病変部,小さな病変部など,各種病変部にお いて医師によるマーキング画像に示された病変部分が強調 されていることが確認できた.今後はより多くの画像デー タによる位置合わせの精度評価と比較読影の臨床実験を行 い,提案法の有効性を確認する予定である. 謝辞 本研究は,文部科学省科学研究費補助金 17K10420 の補助 を受けている. 参考文献[1] Huang et al., “Hybrid Image Registration Based on Configural Matching of Scale-Invariant Salient Region Features,” Conf. Comput.
胸膜悪性播種病変に対する光学的診断法
Photodynamic diagnosis for malignant pleural dissemination
*北田正博 安田俊輔 阿部昌宏 岡崎 智 吉田奈七 石橋 佳 大崎能伸
Mashairo kitada Syunnsuke Yasuda Masahi Abe Satoshi Okazaki Nana Yoshida Kei Ishibashi Yoshinobu Osaki
旭川医科大学 呼吸器センター
Asahikawa Medical University, Department of Respiratory Center 〒078-8510 旭川市緑ヶ丘東 2-1-1-1 TEL:0166-69-3290 【はじめに】光感受性物質である 5ALA(5-aminolevulinic acid)と自家蛍光を併用した肺癌胸膜播種病変 に対する診断法の開発を行った。体外より摂取した 5ALA は、ヘムの前駆体である Protoporphyrin IX に代 謝され悪性細胞内に留まり、630nm 程度の赤色蛍光を呈する事象と正常組織が放つ自家蛍光の観察システ ムを利用した診断を施行した。【対象と方法】2017 年 1 月より 2019 年 4 月まで胸膜浸潤が疑われる肺癌 83 例を対象とした。5ALA を経口投与後に胸腔鏡下で自家蛍光観察システムを用い、胸膜悪性病変の観察 を行った。【結果】1)胸膜播種性病変は 6 例に認めたが、2 例は視認困難だが本法で診断可能であった。2) 胸膜播種のリスクを予想する肺癌胸膜浸潤診断は、腺癌に限ると感度は 93.9%、特異度 74.3%、陽性的中 率 60.8%%、陰性的中率 96.2%であった。【考察】肺癌の早期再発の要因として、微小な播種性病変の存在 が考えられ、本病態を正確に診断する事は、治療戦略を立てる上で非常に重要な事案である。我々は正常 組織が放つ自家蛍光と 5ALA を併用した診断法を研究してきた1)。本研究では、肺癌微小播腫や微小転移 性腫瘍の発見と局在診断に有効と考える。肺癌における pl 診断は、区域切除等の縮小手術術式を決定する 因子となり、本法の有湯尾精が示唆された2)。【結論】視認困難な微小播種性病変を、高感度で発見できる 可能性がる。また、胸膜浸潤度の診断は区域切除等の縮小手術適応を検討すべき診断となる。 Fig. 肺癌胸膜播種性病変
1) Kitada M, Ohsaki Y, Matsuda Y, Hayashi S, Ishibashi K .Photodynamic diagnosis of pleural malignant lesions with a combination of 5-aminolevulinic acid and intrinsic fluorescence observation systems. BMC Cancer. 2015 Mar 25;15:174.2015 2) Kitada M, Ohsaki Y, Yasuda S, Abe M, Takahashi N, Okazaki S ,Ishibashi K, Hayashi S. Photodynamic diagnosis of visceral pleural invasion of lung cancer with a combination of 5-aminolevulinic acid and autofluorescence observation systems. Photodiagnosis Photodyn Ther. 20: 10-15
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深度マップを用いた
U-Net
による
LST
型ポリープの自動検出
U-Net-based LST Type Polyp Detection using Depth Map
宮﨑將太1 Shota Miyazaki 岩堀祐之1 Yuji Iwahori キッスィリクンブンサーム2 Boonserm Kijsirikul 小笠原尚高3 Naotaka Ogasawara 春日井邦夫3 Kunio Kasugai 中部大学1 Chubu University チュラロンコン大学2 Chulalongkorn University 愛知医科大学3
Aichi Medical University
1 はじめに 医療の現場では, ポリープを検出する際に内視鏡を用い ることが多い.発見困難な病変が多く,見落とされやすい とされている平坦型ポリープの 1 種に Lateral Spreading Tumor(以下 LST) 型のポリープが存在する.LST 型の ポリープを検出する手法として文献 [1] がある.文献 [1] では U-Net を用いて,パッチ毎に LST 型のポリープの 検出を行っている.本稿では,文献 [1] に与える情報と して,内視鏡画像環境下からポリープの三次元の形状を 求める手法である文献 [2] 用いて作成した深度マップを 適用することで,検出精度の向上を試みる. 2 提案手法 提案手法では,内視鏡で撮影可能な白色光源で撮影さ れた内視鏡画像のみを対象とし,内視鏡画像に対して三 次元形状復元を行い, 高さ Z を求めることで,深度マッ プの作成を行う.得られた深度マップを U-Net の入力 として内視鏡画像と同時に与え,出力結果に対し,パッ チ毎にポリープの検出を行うことで,最終的な検出結果 を算出する.提案手法の流れを以下に示す. Step1 内視鏡画像の三次元形状復元及び深度マップの作成 Step2 Step1 に対し,深度マップを用いた U-Net の構築 Step3 Step2 の出力結果からパッチ毎による最終的な検出 結果の算出 2.1 3 次元形状復元及び深度マップの作成 文献 [2] は Lambert 画像から三次元形状を求める手法 である. 作成した Lambert 画像から文献 [2] により,輝 度値を表す式から視点の奥行きを求める光学的制約式と とある注目点から微小量移動した点での変化量から視点 の奥行きを求める幾何学的制約式を用いてアイコナール 方程式に基づく式を導出し,Fast marching method の 処理手順を用いて形状復元を行う.形状復元結果と作成 した深度マップを図 1 に示す. (a) 文献 2 (b) 深度マップ 図 1 三次元形状復元結果及び作成した深度マップ 3 実験 構築した深度マップを用いた U-Net の有用性を確認 するため,実画像による実験を行った.精度評価は,U-Net により検出した評価用データに対して 20×20pixel の パッチを適用し,その範囲に対し画素値の最大値と平均 値からポリープ・非ポリープの分類の結果によってパッ チ毎に精度評価を行った.検出結果を図 2,精度評価を 表 1 に示す.また,深度マップ有が提案手法である. 表 1 精度評価 [%]
Sensitivity Specificity Accuracy
深度マップ無 63.68 88.32 80.03 深度マップ有 69.03 89.27 83.34 (a) 内視鏡画像 (b) 深度マップ無 (c) 深度マップ有 図 2 検出結果 表 1 から,深度マップを加えた提案手法の方が文献 [1] の手法より Sensitivity が上がっており,過検出を抑えら れていると確認できる. 4 まとめ 本稿では,深度マップを用いた U-Net による LST 型 ポリープの自動検出を提案した.また,比較実験により 深度マップを用いることで検出対象以外の検出率を軽減 し,結果としてより良い精度で検出できることを確認し た.今後の課題として,深度マップの作成手法改善によ る高精度化などがあげられる. 謝辞 本 研 究 の 一 部 は 科 学 研 究 費 補 助 金 基 盤 研 究 (C)(#17K00252) 及 び 中 部 大 学 研 究 費 の 支 援 に よ る.ここに感謝申し上げる. 参考文献 [1] 宮﨑將太, 大音翼, 宇佐美裕康,岩堀祐之, Boonserm Kijsirikul, 春日井邦夫,”U-Net を用いた LST 型ポ リープの自動検出”, P134, 知的画像処理, 第 16 回情 報学ワークショップ (WiNF 2018), 2018. [2] 満安佑亮,舟橋健司,岩堀祐之,小笠原尚高,春日 井邦夫,”内視鏡画像におけるアイコナール方程式に 基づく ポリープの形状復元 ”, 信号処理・医用画像, 令和元年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合 大会, 2019.
病理組織画像における細胞膜の閉領域抽出
Segmentation of cell membranes as closed areas in histological images
山見 慧† 杉本 京太† 高橋 正信† 中野 雅行‡
Satoshi Yamami Keita Sugimoto Masanobu Takahashi Masayuki Nakano
芝浦工業大学† 横浜市立大学‡
Shibaura Institute of Technology Yokohama City University
1.はじめに
N/C 比などの病理診断に有用な定量的指標を画像解析 により算出する上で細胞膜の抽出が必要となる.細胞膜抽 出手法として,脊索動物のホヤに対する手法の報告[1]があ るが,一般の病理医が通常の診断では利用していない共焦 点顕微鏡などの高価な機器の導入が必要となる.我々は, 病理医が通常用いている光学顕微鏡で得られる画像を対象 とした細胞膜抽出を実現した[2].深層学習を利用すること で高精度な抽出が可能となったが,アーティファクトなど の影響で一部が欠けた状態で抽出される場合があった.細 胞膜の一部が欠けると細胞膜が閉領域とならず,細胞の面 積ひいてはN/C 比を算出できない問題がある. 本研究では,細胞膜を付加的に再抽出するネットワーク を新たに追加し,反復適用することで欠けた部分を補完す る機能を実現した.実験の結果,細胞膜が閉領域として抽 出される割合を大幅に改善できたので報告する.2.手法
従来研究で用いていた細胞膜抽出ネットワーク[2]は抽出 結果を画像として得るために画像入力,画像出力とし,よ り深いネットワーク構成を可能とする ResNet[3]を基本と して構成している(図 1).このネットワークの出力結果は, 図2 左上の画像のように,細胞膜の一部が欠損してしまう 問題があった.そこで図2 に示す欠損部分を補完するネッ トワークを新たに導入する.ネットワーク構成は図1 と同 様であるが,入力は細胞膜抽出ネットワークの出力画像と 原画像の 2 入力となり,その特徴抽出部が統合される構成 とした.また,反復適用することで補完効果を増強してい るが,ネットワークには補完だけでなく細胞膜を消す効果 も僅かながらある.そこで,入力画像との最大値を最終的 な出力とすることで消す効果の悪影響を除き,細胞膜が付 加される効果のみが得られるようにした.3.実験
HE 染色標本よりも細胞膜抽出が難しい肝組織の無染色 標本を5 枚用いた.撮像法としては,試料の屈折率差によ って生じる光線の位相差を観察する位相差撮像を用いた. 撮影画像から細胞膜を視認できる領域(400×400 画素)を標 本ごとに 2 枚ずつ切り出した計 10 枚の画像を用いた.細 胞膜抽出ネットワークの学習画像はランダムな位置で 128 ×128 画素を切り出し,上下左右反転,回転,明度,コン トラスト変更を施して画像ごとに 1000 枚作成した.欠損 補完ネットワークの学習画像は,切り出しの大きさのみを 192×192 画素とし,他は同様の画像処理を施した. 欠損補完ネットワークの学習に用いる入力画像としては, 細胞膜抽出ネットワークの出力画像だけでなく,正解画像 にランダムな位置で1 個か 2 個欠損を加えた画像も用いた. 欠損を補完する際の正解画像は手動により決定した.細胞 領域の正解の領域を Sc,抽出された細胞領域を Se,Scと Seの重なりの領域をSoとしたとき,So / ScとSo / Seのい ずれも 0.9 以上だった細胞を抽出細胞とした.抽出細胞の 数を正解細胞の数で割ったものを再現率として評価した. 評価は,同じ標本の画像が学習と評価に分かれないように 分割した5 分割の交差確認法により行った.また epoch 数 と反復回数は全ての画像で同じ値として最適化した.4.結果
細胞抽出の再現率は,欠損補完ネットワークを利用しな い場合には 63.8%であったが,欠損補完ネットワークを利 用することで 88.4%に改善された.実験に用いた原画像例 を図3 に,欠損補完ネットワークを利用する場合としない 場合の抽出結果例を図4 と図 5 に示す.この例では欠損補 完ネットワークにより新たに3 つの細胞が閉領域として抽 出されている.欠損補完ネットワークは細胞膜を閉領域と して抽出する上で有用であった. なお,今回用いた位相差撮像による画像は一般の病理医 が診断に利用している光学顕微鏡で容易に得られる.今後 は適切な反復回数を求める手法を検討するとともに,細胞 核の自動抽出と組み合わせ,N/C 比などの高精度な全自動 算出を実現したい. [参考文献][1] U. Gaur, et al.: IEEE Int. Conf. Image Process. (ICIP), pp. 1943-1947, 2016.
[2] S. Yamami, et al.: IEEE EMBC2019, ThPOS-32.2, 2019. [3] H. Kaiming, et al.: CVPR2016, pp.770-778, 2016. 図3 原画像 図 4 欠損補完無し 図 5 欠損補完有り 図2 欠損補完ネットワーク 図1 細胞膜抽出ネットワーク Copyright © 2020 IEICE 2020/3/17 〜 20 東広島市 111 (情報・システム講演論文集 2 )
HOG 特徴量とガボールフィルタを用いた眼底画像の血管抽出
Blood Vessels Segmentation Algorithm for Fundus Images using HOG Feature and Gabor Filter
内山 蒼介*1 張 煕*1
Sosuke Uchiyama Xi Zhamg
*1 電気通信大学 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻
*1 Department of Computer and Network Engineering, The University of Electro-Communications
1. はじめに
健康診断や人間ドックの検査項目の一つに眼底画像検査 がある.眼底画像は目の奥(眼底)が写し出された画像で, 視神経乳頭(視神経が集まる点)や網膜血管などが写し出 される.これらを診ることで,緑内障や動脈硬化など様々 な疾患を発見することができる.近年,患者数や診断数の 増加[1]によって医師の負担が増えており,眼底画像のため のコンピュータ支援診断(CAD)が重要となっている. CAD には血管だけを正確に抽出した血管抽出画像が必要と なる.血管抽出画像を得るために様々な研究が進められて いるが,血管抽出アルゴリズムの処理時間に焦点を当てた 報告はあまり多くない[2][3].本研究では血管抽出アルゴ リズムの高速化を目指す.2. 血管抽出アルゴリズム
図 1 に血管抽出アルゴリズムを示す.最初に入力カラー 画像から血管部分のコントラストが強い緑チャンネルを抽 出する.緑チャンネルに対して色の反転とノイズ抑制フィ ルタを適応したのち,オープニング画像(モルフォロジー 変換の収縮と膨張を繰り返し,細線を消した画像)との差 分を取ることで視神経乳頭および黄斑を除去する.その後 コントラストを強調し,ガボールフィルタ[2]を適応するこ とでノイズ除去および血管部の強調を行うが,ガボールフ ィルタは角度によって形が回転していくため,先行研究[2] では 1 つのブロックに角度を変えた複数のガボールフィル タを用意し,応答が最も高いフィルタを使用する.しかし 多量の計算コストを要するため,本研究ではあらかじめ HOG 特徴量[3]と呼ばれるブロックごとの勾配情報を取得 する.なおブロックを経験的に 8×8 と設定する.HOG 特 徴量の勾配情報に基づいたガボールフィルタによる空間フ ィルタリング処理を行い,最後に適応型閾値処理を行うこ とで血管抽出画像を得る.1 ブロックにつき1つのガボー ルフィルタを用いて血管を強調することで,結果的に先行 研究よりもアルゴリズムの高速化を実現できる. 図 1 血管抽出アルゴリズム3. 実験結果とまとめ
評 価 用 画 像 と し て , DRIVE(Digital Retinal Images for Vessel Extraction)[4]と呼ばれる眼底画像のデータベースを 用いた.評価基準は,画像全体に対する評価である ACC (精度),血管画素を正しく検出する能力を示す SEN(感 度),血管以外の画素を正しく検出する能力を示す SPE (特異性)を用いた[2].評価用眼底画像に対し提案アルゴ リズムを適応し, ACC,SEN および SPE を計算した結果を 表 1 に示した.表 1 より,専門家の手作業および先行研究 [2]による平均結果と比較すると,ACC および SPE は専門 家と近い結果となった.また,OS を Windows10,CPU を Intel Core i7-8700,言語を C++の動作環境で実行したところ 1 枚当たりの処理時間は約 2 秒であった.先行研究[2]では 約 19 秒(動作環境は異なるが)であることから,処理の高速 化が実現できたといえる.最後に精度面の改良案として, 機械学習手法と組み合わせることが考えられる.
参考文献
[1] 厚生労働省:平成 29 年患者調査の概況,厚生労働省統計表データベース, URL:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/17/index.html , (最終ア クセス:2019 年 12 月 23 日) , 2017.[2] F.Farokhian and H.Demirel , “Fast detection and segmentation in retinal blood vessels using Gabor filters”, 2014 IEEE 22nd Signal Processing and Communications Applications Conference (SIU), pp.1507-1511, 2014. [3] N.Dalal and B.Triggs , “Histograms of oriented gradients for human detection”,
IEEE Conputer Vision and Pattern Recognition, pp.886-893, 2005.
[4] DRIVE:Digital Retinal Images for Vessel Extraction ホームページ,URL: https://drive.grand-challenge.org/ , (最終アクセス:2019 年 12 月 23 日) 図 2 眼底画像(左)および血管抽出結果(右) 表 1 血管抽出アルゴリズムの実験結果 Copyright © 2020 IEICE 2020/3/17 〜 20 東広島市 113 (情報・システム講演論文集 2 )
超音波
B-mode 動画解析による食道内嚥下物移動度定量分析法
Quantitative Analysis of Swallowing Object Mobility in an Esophagus by B-mode Video Analysis
阪田治 佐藤康之 鈴木裕†
Osamu Sakata Yasuyuki Satoh Yutaka Suzuki†
東京理科大学工学部電気工学科
†山梨大学工学部情報メカトロニクス工学科
Department of Electrical Engineering, Tokyo University of Science
†Department of Mechatronics, University of Yamanashi