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HONDA 歩行アシストの継続使用による脳卒中片麻痺者の歩行変化

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 43 巻第 4 号 337 ∼ 341 頁(2016 Honda 歩行アシストの継続使用による歩行変化 年). 337. 実践報告. HONDA 歩行アシストの継続使用による 脳卒中片麻痺者の歩行変化* 渡 邊 亜 紀 1)# 川 井 康 平 1) 佐 藤 浩 二 1) 1)   2) 3) 宮崎吉孝  伊 藤 寿 弘  森   照 明. 要旨 【目的】本研究の目的は HONDA 歩行アシスト(以下,歩行アシスト)を用いた歩行練習が歩行速度と バランス機能,ADL の改善を促進するかを明らかにすることである。【方法】平成 23 年 6 月∼平成 24 年 8 月までに当院回復期リハビリテーション病棟に入院し歩行アシストを用いた歩行練習を実施した者 (以下,実施群)20 名と平成 22 年 5 月∼平成 23 年 5 月までに当院回復期リハビリテーション病棟に入院し, 通常の歩行練習を実施した者(以下,非実施群)20 名を対象とし,4 週間後の快適歩行速度,TUG, BBS,FIM の得点を比較した。【結果】実施群,非実施群ともに 4 週間後の快適歩行速度,TUG,BBS, FIM の得点は有意に向上した(p<0.05)。一方,実施群と非実施群の変化量の比較では,快適歩行速度 のみ実施群で有意に大きかった(p<0.01)。【結論】歩行アシストを用いた歩行練習は快適歩行速度の向 上効果があることが示唆された。 キーワード 脳卒中片麻痺者,HONDA 歩行アシスト,歩行速度. 幅,歩行周期を計算し,モーターからトルクを発生させ,. はじめに. 左右の歩幅のバランスを補正したり,装着者の歩行周期.  近年,脳卒中をはじめとする中枢性疾患の歩行リハビ. に合わせて股関節屈曲,伸展のタイミングを補正する仕. リテーションにロボティクスが応用されるようになり,. 組みである。. 臨床での活用や研究が進んでいる。ロボットの利点は同.  当院では平成 23 年 6 月より歩行アシストを導入し,. じ動作を長時間反復可能であることであり,理学療法士. 脳卒中片麻痺患者を中心に様々な疾患に使用し,その効. のスキルとロボティクスを組み合わせることで効果的な. 果検証を行っている。. 1). トレーニングが期待できる 。歩行アシスト(本田技術.  本研究の目的は,脳卒中片麻痺者に対し,歩行アシス. 研究所製,HONDA 歩行アシスト)は骨盤部に装着し. トを使用した歩行練習の効果を歩行能力の代表的な評価. た本体にあるアクチュエーターにより,大. である歩行速度から明らかにすることである。加えて,. 部のフレー. ムを通じて,股関節の屈曲,伸展運動を補助する歩行補. 歩行能力に影響する因子のひとつとして考えられるバラ. 助機器である。歩行アシストの制御システムは,本体部. ンス能力と ADL 能力の改善効果についても検証する。. のモーターに搭載された角度センサーから装着者の歩 *. Gait Changes Brought About by Continued Use of Honda’s Stride Management Assist in Patients with Stroke-related Hemiplegia 1)湯布院厚生年金病院 (〒 879‒5193 大分県由布市川南 252) Aki Watanabe, PT, AS, Kouhei Kawai, PT, Kouji Sato, OT, Yoshitaka Miyazaki, MD: Yufuin Koseinenkin Hospital 2)本田技研工業株式会社 Hisahiro Ito, MS: Honda Motor Co., Ltd 3)大分岡病院 Teruaki Mori, MD: Oita Oka Hospital # E-mail: wataaki26@gmail.com (受付日 2014 年 4 月 3 日/受理日 2016 年 3 月 22 日) [J-STAGE での早期公開日 2016 年 5 月 13 日]. 対象および方法 1.対象  対象は,平成 23 年 6 月∼平成 24 年 8 月までに当院回 復期リハビリテーション病棟に入院し,歩行アシストを 用いた歩行練習を実施した者(以下,実施群)20 名で ある。対象者の選択基準は,初発で一側病変の脳卒中片 麻痺であること,発症後 6 ヵ月未満の全身状態が安定し ている者,歩行補助具の有無にかかわらず自ら下肢の振 り出しが行え,歩行が一部介助以上(監視を要する者,.

(2) 338. 理学療法学 第 43 巻第 4 号. 表 1 対象者の属性および各評価項目の比較 実施群(n = 20). 非実施群(n = 20). p値. 65.6 ± 10.3. 65.7 ± 13.0. 0.97. 14/6. 14/6. 1. 6/14. 9/11. 0.33. 年齢(歳)*a 性別(男/女). b. 病型(脳出血/脳梗塞)b 発症から介入前評価までの期間 *a. 67.7 ± 28.9. 70.7 ± 32.3. 0.335. 発症から介入後評価までの期間 *a. 99.8 ± 26.8. 102.0 ± 39.6. 0.33. 11/9. 13/7. 0.52. Ⅲ: 1 Ⅳ:3. Ⅲ:3 Ⅳ:4. Ⅴ:12 Ⅵ:4. Ⅴ:4 Ⅵ:9. 快適歩行速度(m / s)*a. 0.65 ± 0.19. 0.75 ± 0.42. 0.37. TUG(s)*a. 20.2 ± 12.2. 25.8 ± 20.8. 0.3. 麻痺側(右/左). b. 下肢 BRS c. 0.55. BBS(点)*a. 43.9 ± 8.4. 46.5 ± 8.9. 0.35. FIM(点)*a. 111.8 ± 11.5. 111.7 ± 13.4. 0.97. 2: 1 3:3. 2: 2 3:6. 4:15 5:1. 4:11 5:1. FAC. c. 0.25. ※平均値±標準偏差を表示 a:対応のない T 検定,b:X2 検定,c:Mann-Whitney U-test を実施.. 自立している者も含む)で行える者とした。除外基準は,. 2.介入方法. 1)高次脳機能障害や認知症を有し指示理解が困難な者,.  非実施群は通常の歩行練習を 20 分間実施しており,. また歩行アシストの使用感について表出が困難な者,2). 実施群では歩行アシストを使用した歩行練習を 20 分間. 整形外科的疾患により著しい関節障害を有し疼痛が著明. 実施した。加えて,両群ともに麻痺側に対して固有受容. な者,3)ペースメーカーを装着している者,4)研究参. 性神経筋促通法や促通反復療法などの神経筋促通法,バ. 加の同意が得られない者とした。歩行アシストを用いた. ランス練習,基本動作練習,応用歩行練習等の理学療法. 歩行練習の効果を検証する目的でヒストリカルコント. を 40 分間実施した。歩行練習頻度は実施群では週 5 回. ロールスタディの手法に沿って,歩行アシスト導入前の. 歩行アシストを用いた歩行練習を行い,介入回数は 20. 平成 22 年 5 月∼平成 23 年 5 月までに当院回復期リハビ. 回とした。なお,非実施群の介入回数は 20 ± 0.75 回で. リテーション病棟に入院していた者で,歩行アシスト対. あった。アシストトルクの設定は,2 名以上の理学療法. 象者の選択基準に該当し,除外基準に該当しない 20 名. 士が歩行観察と歩行パラメーターをもとに仮設定し,そ. (以下,非実施群)をカルテより抽出しマッチングさせ. の値をもとに歩行アシストを用いた予備的歩行練習を行. た。両群間において,介入前の年齢,性別,病型,発症. い,患者の主観で歩きやすいと感じるトルク値に最終調. から介入前評価までの期間,麻痺側,下肢 Brunnstrom. 整し,その値を最適トルクとして設定した。. Recovery Stage(以下,BRS) ,快適歩行速度,Timed Up and Go テスト(以下,TUG) ,Berg Balance Scale(以. 3.評価方法. 下,BBS) ,Functional Independence Measure( 以 下,.  評価項目は,快適歩行速度,TUG,BBS,FIM とし. FIM) ,Functional Ambulation Category(以下,FAC). 介入前後で測定した。非実施群の測定値は後方視的に診. に有意な差は認めなかった(表 1) 。. 療記録より抽出した。介入前の評価は実施群で発症から.  なお,本研究は湯布院厚生年金病院((現:独立行政. 67.7 ± 28.9 日後,非実施群で 70.7 ± 32.3 日後,介入後. 法人地域医療機能推進機構湯布院病院)倫理委員会承認. の評価は実施群で 99.8 ± 26.8 日後,非実施群で 102.0 ±. 番号:12)の承認を得て実施した。本研究に際し,実施. 39.6 日後に行った(表 1) 。. 群に対しては事前に研究の趣旨と内容,および調査結果. 1)快適歩行速度. の取り扱い等に関して口頭および書面にて十分に説明.  快適歩行速度は,10 m の測定区間の前後にそれぞれ. し,書面にて同意を得た。また,非実施群のデーター抽. 1 m ずつの予備路を設けた平坦な歩行路を快適な歩行速. 出に関しては,倫理委員会の了承を得たうえで行った。. 度で歩かせ,ストップウォッチを用いて計測し 10 m 所.  加えて,本研究は湯布院厚生年金病院と本田技術研究. 要時間から求めた。なお,通常訓練時に杖や装具などの. 所との共同研究契約の中で行われており,歩行アシスト. 補助具を使用している場合にはそれらを使用した。. の借用を除いては,金銭的,個人的な利害関係はない。.

(3) Honda 歩行アシストの継続使用による歩行変化. 339. 表 2 両群の介入前後における快適歩行速度,TUG,BBS,FIM の値と統計解析結果. 快適歩行速度(m/s)*† TUG(s)* BBS(点)* FIM(点)*. 介入前. 介入後. 実施群. 0.65 ± 0.19. 0.95 ± 0.30. 非実施群. 0.75 ± 0.42. 0.85 ± 0.48. 実施群. 20.2 ± 12.2. 15.8 ± 9.8. 非実施群. 25.8 ± 20.8. 21.6 ± 17.5. 実施群. 43.9 ± 8.4. 47.9 ± 9.2. 非実施群. 46.5 ± 8.9. 48.5 ± 8.2. 実施群. 111.8 ± 11.5. 117.9 ± 7.2. 非実施群. 111.7 ± 13.4. 115.6 ± 12.4. ∫. 数値は平均値±標準偏差を表示 *:期間要因の主効果あり(p<0.01) †:期間要因×介入要因の交互作用あり(p<0.05) ∫ :多重比較検定にて介入前後に有意差あり(p<0.05). 2)TUG  Mathias ら. 2). によって開発された TUG を用いてバラ. 結   果. ンス能力の測定を行った。TUG は背もたれのある椅子.  表 1 に対象者の属性および各評価項目の比較の結果を. に座った状態から 3 m 先の目印を回って再び座るまで. 示した。次に両群の介入前後の効果量の指標として,快. の時間を,ストップウォッチを用いて計測した。目印に. 適歩行速度,TUG,BBS,FIM の比較を示す(表 2)。. はコーンを使用し,歩行速度は最大歩行速度とした。. 二元配置分散分析の結果,快適歩行速度は,期間要因の. 3)BBS. 主効果および交互作用を認めた(F 値= 32.0,p < 0.01)。.  Berg ら. 3). によって開発された BBS を用いてバラン. すなわち,快適歩行速度は介入前と比較して介入後に増. ス能力を測定した。14 項目の静的または動的な座位・. 大し,非実施群と比較し実施群でより増大した。また,. 立位バランスについて 56 点満点で表され,点数が高い. TUG(F 値= 23.8,p < 0.01),BBS(F 値= 13.2,p <. ほどバランス能力が高いことを意味する。. 0.01),FIM(F 値= 22.1,p < 0.01)においては,期間. 4)FIM. 要因においてのみ主効果がみられた。交互作用を認めた.  ADL は,FIM を用いて日常生活の運動関連 13 項目,. 快適歩行速度について多重比較検定を行った結果,アシ. 認知関連 5 項目の計 18 項目の能力について,最大介助(1. スト実施群では介入前と比べ介入後に有意(p < 0.05). 点)から完全自立(7 点)までの 7 段階で測定した。. に増大したが,アシスト非実施群では有意差はみられな. 126 点満点で,点数が高いほど日常生活の自立度が高い. かった。. ことを意味する。.  実施群と非実施群における介入前後の変化量の群間比 較では快適歩行速度,TUG,BBS,FIM について,介. 4.分析方法. 入 4 週間後から介入前の測定値を引いた値を変化量とし.  両群の群間における年齢,発症から介入前評価までの. て両群間で比較した。結果,快適歩行速度の変化量では,. 期間,発症から介入後評価までの期間,快適歩行速度,. 非実施群が 0.10 ± 0.11 m/s であったのに対し,実施群. TUG,BBS,FIM の比較には,対応のない t- 検定を用い. では 0.29 ± 0.24 m/s と実施群が有意に大きかった(p. 2 た。また,性別,病型,麻痺側の比較は X 検定を用い,. < 0.01)。TUG,BBS,FIM の変化量については,有意. 下肢 BRS,FAC の比較は Mann-Whitney U-test を用いた。. な差は認めなかった(表 3)。.  実施群と非実施群における介入前後の快適歩行速度, TUG,BBS,FIM の推移に関しては,二元配置分散分. 考   察. 析ならびに多重比較検定(Tukey 法)を行った。.  今回,ヒストリカルコントロールスタディの手法を用.  加えて,実施群と非実施群における介入前後の変化量. いて,発症から 6 ヵ月未満の初発の脳卒中片麻痺患者を. の比較は,対応のない t- 検定を用いた。. 対象に歩行アシストを使用した歩行練習の効果を歩行速.   統 計 解 析 は,SPSS Ver18 を 使 用 し て, 測 定 値 は. 度とバランス機能および ADL の改善効果の視点から検. mean ± SD で表記し有意水準は 5%とした。. 証した。介入前後の比較では期間要因の主効果を認め, 快適歩行速度,TUG,BBS,FIM ともに向上していた。 一般的に脳卒中後の機能回復は,発症から 1 ヵ月程度は.

(4) 340. 理学療法学 第 43 巻第 4 号. 表 3 実施群と非実施群における介入前後の変化量の比較. 快適歩行速度(m/s). 実施群. 非実施群. p値. 0.29 ± 0.24. 0.10 ± 0.11. p<0.01. TUG(s). ‒ 4.42 ± 5.6. ‒ 4.12 ± 4.51. 0.84. BBS(点). 3.95 ± 4.2. 2.05 ± 3.2. 0.09. FIM(点). 6.1 ± 7.7. 3.9 ± 3.2. 0.12. 数値は平均値±標準偏差を表示. 比較的良好な回復を示し,その後はやや緩徐な回復とな. れば屋外外出可能,BBS では転倒者をスクリーニング. る。そして 3 ∼ 6 ヵ月以降の回復はごくわずかとなりプ. するための基準値として 45 点が示されている。本研究. 4). ラトーに近づくことが多いとされている 。今回の対象. 対象者の介入前の各得点は実施群で TUG20.2 ± 12.2 秒,. 者は,発症後 6 ヵ月未満の患者で,なかでも発症から介. BBS43.9 ± 8.4 点,非実施群で TUG25.8 ± 20.8 秒,BBS. 入前評価までの期間が 3 ヵ月以内の患者は実施群で 17. 46.5 ± 8.9 点と介入前よりバランス機能は保たれている. 名,非実施群で 16 名であったことから,対象者の多く. 患者であった。このような屋外への外出が可能なほどの. が回復段階にある患者と位置づけられる。以上により,. 能力を有し,かつ,転倒危険性が低い,バランス機能の. 約 4 週間のトレーニングで快適歩行速度,TUG,BBS,. 保たれた患者に対して歩行アシストを使用した歩行練習. FIM において向上を認めたと考える。快適歩行速度で. によるバランス機能改善効果はないと考えられる。. は期間要因と介入要因に交互作用を認め,多重比較検定.  歩行アシストは開発段階の機器であるが,今回の研究. では歩行アシスト実施群のみ介入前後で有意な増大を認. から歩行アシストを用いた歩行練習は歩行アシストを使. めた。さらに,歩行アシスト実施群と非実施群の変化量. 用しない通常行う歩行練習より脳卒中片麻痺患者の快適. の比較では,実施群の快適歩行速度増大効果が有意に大. 歩行速度向上において効果的である可能性が示唆され. きかった。このことから,歩行アシストを用いた歩行練. た。しかし,ADL やバランス機能の改善については歩. 習は通常行う歩行練習より,高い効果が得られることが. 行アシストと通常の歩行練習では差を認めなかった。今. 示唆される。大畑による歩行アシストの運動学的な影響. 後は対象数を増やし ADL,バランス機能の改善効果に. 5). では,歩行アシスト使用中の効果とし. ついて検証を行う必要があると考える。加えて,歩行ア. て,歩行アシストで股関節の屈曲,伸展運動を補助する. シスト使用による運動学的な変化の検証と BRS ⅡやⅢ. ことは,麻痺側股関節屈曲と非麻痺側股関節伸展方向へ. の患者に対する適応についても検討を行っていきたい。. のトルクを増大させ,その結果,麻痺側股関節屈曲の慣.  最後に,本研究の限界について述べる。今回の研究は. 性によって生じる麻痺側遊脚期の膝関節屈曲角度が増加. 臨床的な研究で,かつ,ヒストリカルコントロールスタ. したと報告している。このことから今回の歩行アシスト. ディの手法を用いたことから 3 点の課題を残す。1 点目. 実施群においても歩行アシスト使用中に麻痺側股関節屈. は練習時間の統一についてである。非実施群の練習時間. 曲運動が増加することで麻痺側遊脚期の膝関節屈曲角度. や内容はカルテより抽出している。記録上 1 単位を 20. の増大とともに足部のクリアランスが改善したと推測さ. 分で換算したため,実際の練習時間とは異なる場合が考. に関する研究. 6). は,脳損傷によって失われた複数. えられ,両群間の歩行練習を含む練習時間の統一は不十. の筋群を組み合わせ,順序よく収縮させる機能を再獲得. 分である。2 点目は練習内容の統一についてである。神. するには,患者の運動パターンを実現し,それを反復し. 経筋促通法とカルテに記載があっても具体的になにを何. て特定の神経路や神経細胞にその運動プログラムを記憶. 分したかまでは記載があいまいであり,具体的内容の把. させる以外に効率的な方法はないと述べ,実際の歩行訓. 握は困難で,両群間の練習内容の統一といった点でも不. 練においても,平行棒や杖,免荷装置を用いて最良の歩. 十分である。3 点目はアシストトルクの設定についてで. 行パターンを実現し反復することが重要であるとしてい. ある。歩行アシストは新たな歩行補助機器であるため,. る。したがって,今回の歩行アシスト実施群では歩行ア. 現在,アシストトルクの設定について明確な指標はな. シスト使用中の歩行パターンが 4 週間反復強化されたこ. い。今回は 2 名以上の理学療法士が歩行観察と歩行速度. とが 4 週間後,歩行アシストを装着していない状況での. や歩幅など歩行パラメーターの変化をもとに仮設定を行. 快適歩行速度の向上に影響を与えたと推測される。. い,患者の主観で歩きやすいと感じるトルク値に最終調.  一方で,バランス機能の評価である TUG,BBS には. 整することで快適歩行速度を補助するトルクとして設定. 実施群と非実施群の変化量の比較では差を認めなかっ. した。この課題については本研究の再現を困難とする要. た。TUG,BBS の基準値は,TUG では 20 秒以内であ. 因であり,今後アシストトルクの指標の明確化に向け,. れる。また,川平.

(5) Honda 歩行アシストの継続使用による歩行変化. 研究を進める必要がある。 結   論  発症 6 ヵ月未満の軽度脳卒中片麻痺患者を対象に歩行 アシストを用いた歩行練習の効果をヒストリカルコント ロールスタディの手法に沿って調査した。その結果,非 実施群に比べ実施群で 4 週間後のバランス機能,ADL の改善効果は認めなかったものの,快適歩行速度には有 意な改善を認め,歩行アシストを用いた歩行練習は快適 歩行速度を向上させる効果があることが示唆された。 文  献 1)榊 泰輔:ロボット開発と医療福祉分野の特殊性.リハビ リテーション医学.2013; 50: 95.. 341. 2)Mathias S, Nayak US, et al.: Balance in elderly patientsthe “Get-up and Go” test. Arch Phys Med Rehabil. 1986; 67: 387‒389. 3)Berg K, Wood-Dauphinee S, et al.: Measuring balance in the elderly: preliminary development of an instrument. Physiotherapy Canada. 1989; 41: 304‒311. 4)宮越浩一:脳卒中機能評価・予後予測マニュアル.道免和 久(編),医学書院,東京,2013,pp. 82‒92. 5)大畑光司,市橋則明,他:リズム歩行アシストが片麻痺歩 行の改善に及ぼす運動学的影響.生活生命支援医療福祉工 学系学会連合大会講演論文集.2012,ROMBUNNO,OS11-5. 6)川平和美:片麻痺回復のための運動療法─促通反復療法 「川平法」の理論と実際─(第 2 版).医学書院,東京, 2011,pp. 4‒25..

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