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Vol.28 , No.1(1979)044矢野 庄八郎「唯仏与仏」

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Academic year: 2021

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(1)

唯 仏 与 仏 ( 矢 野 )

﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ は 鳩 摩 羅 什 訳 ・ 妙 法 運 華 経 方 便 品 第 二 に 出 て く る タ ー ム で あ る。 こ の 解 釈 に つ い て は 法 華 経 を 所 依 と す る と こ ろ の 天 台 ・ 日 運 系 に お い て 多 く な さ れ て い る。 し か し 他 の 系 統 で も 数 々 用 い ら れ 仏 教 界 全 般 に わ た る 重 要 タ ー ム で あ る。 例 え ば 道 元 禅 師 は ﹃ 正 法 眼 蔵 ﹄ に ﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ と し て 三 章 を 設 け て 解 釈 し て い る。 そ こ で、 ま ず 天 台 ・ 日 運 系 か ら 日 運 上 人、 他 の 系 統 か ら 道 元 禅 師 を 代 表 と し て、 そ れ ぞ れ の ﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ の 使 用 例 を 見 て み よ う。 〇 日 運 上 人 の 場 合 ﹃義 浄 房 御 書 ﹄ ノ シ ク ハ リ ヒ ソ ヌ ス

畢。

界、

フ ル ハ 分 身 の 智 慧 も 及 か 不 レ 及 か の 内 証 也。 ﹃ 立 正 観 抄 ﹄ フ レ タ ル ニ ト ハ ナ ル ソ ヤ フ ニ ノ

問、

-法

乎。

答、

也。

ノ ナ ル カ ニ カ ニ ル カ ス ニ ス ヲ 仏 与 仏 境 界 故、 我 等 言 説 不 レ 可 レ出 故 是 不 レ 可 レ 中 レ 之 也。 ( 中 略 ) ノ ノ ニ シ テ ノ

二爾

ニ ニ ト ハ ノ ノ ヲ ハ ノ カ ノ

一経

者、

ヲ ケ ル ノ ノ ハ ノ ニ バ カ ニ ヤ ヲ ヤ

也。

及。

﹃ 正 法 眼 蔵 ﹄ ( 唯 仏 与 仏 ) 仏 法 は、 人 の し る べ き に は あ ら ず、 こ の ゆ え に む か し よ り 凡 夫 と し て 仏 法 を さ と る な し、 二 乗 と し て 仏 法 を き は む る な し、 ひ と り 仏 に さ と ら る る ゆ え に 唯 仏 与 仏、 乃 能 究 尽 と い ふ、 そ れ を き は め さ と る と き、 わ れ な が ら も か ね て よ り さ と り と は か く こ そ あ ら め と お も は る る こ と は な き な り。 た と ひ お ぼ ゆ れ ど も そ の お ぼ ゆ る に た が は ぬ さ と り に て な き な り、 さ と り も お ぼ え し が ご と く に て も な し。 ( 弁 道 話 ) 諸 仏 如 来、 妙 法 を 単 伝 し て 阿 褥 菩 提 を 証 す る に 最 上 無 為 の 妙 術 あ り、 こ れ は た だ、 ほ と け 仏 に さ ず け て よ こ し ま な る こ と な き は す な わ ち 自 受 用 三 昧 そ の 標 な り、 こ の よ う に ﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ は ﹁ た だ 仏 と 仏 の 境 界 で あ り、 凡 夫 の 思 慮 の 及 ば な い 覚 り で あ る ﹂ と 解 さ れ る の で あ る。 と こ ろ が 道 元 禅 師 の 言 葉 に ﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ を 直 接 解 し た 言 葉 で は な い な が ら ﹁ ほ と け 仏 に さ ず け て よ こ し ま な る こ と な き は ﹂ と あ り、 ま た 日 運 上 人 ﹃ 本 因 妙 抄 ﹄ に ﹁唯 我 と 翻 与 我 即 計 り な り ﹂ と あ る の は ﹁ 唯 仏 与 仏 ﹂ を、 そ れ ぞ れ に お い て ﹁ 授 け る ﹂ ﹁ 与 え る ﹂ の 意 味 を も つ て 解 し て い る の で は な い だ ろ う か。 ま た 本 来 ﹁ 唯 仏 ﹂ と ﹁ 与 仏 ﹂ は ど の よ う な 関 係 で あ る の か、 こ の 発 表 は こ れ ら に 対 す る 梵 文 原 典 ハを 通 し て 思 考 の 三 端 を 述 べ た も の で あ る。 (梵 文 ) mahascaryadhuta-praptah sariputra

(2)

-168-(

西

)sa rihi bu de bshing segs pa dgra

(

)

弗。

之。

法。

就。

弗。

説。

何。

法。

相。

(

)

量。

由。

然。

る。

姿

る。

﹁唯

る。

て、

(

sarva dharmam・chos tham cad)

る。

る。

(

)ye ca te dhama yatha ca te dharma yadrsa

(

西

) chos de dag gan yin pa dan chos de

( 妙 法 華 ) 所 謂 諸 法 如 是 相。 如 是 性。 如 是 体。 如 是 力。 如 是 作。 如 是 因。 如 是 縁。 如 是 果。 如 是 報。 如 是 本 未 究 寛 等。 ( 正 法 華 ) 分 別 法 貌 衆 根 本 知 法 自 然。 こ こ え き て 明 ら か に な つ た ご と く、 唯 仏 与 仏 の 境 地 の 法 と は 諸 法 実 相 で あ り、 即 ち 十 如 の こ と で あ る。 十 如 は 梵 文 に よ れ ば ﹁ 諸 法 は 何 ん そ や (ye ca te dhar...) 等 と 五 な い し そ の 繰 り 返 し に よ つ て 諸 法 が 何 で あ る か を 問 い つ め て い る。 羅 什 は、 そ れ を 積 極 的 に ﹁ 如 是 相 ・ 如 是 性 ⋮⋮﹂と 表 現 し て い る と こ ろ に 唯 仏 与 仏 の 法 と は 難 解 で あ る と と も に 現 実 世 界 を 離 れ た も の で な い と 思 う。 即 ち、 唯 仏 与 仏 の 後 者 の ﹁ 仏 ﹂ は 凡 夫 を 離 れ た ﹁ 仏 ﹂ で な く て も よ い と 考 え る。 唯 仏 与 仏 と は 仏 の 境 地 の 奥 深 い こ と を 表 わ す と 同 時 に 衆 生 を も 仏 と 見 た の で は な い か、 ま た ﹁ 与 え る、 授 け る ﹂ の 意 味 を も つ て い る の で は な い か と 思 考 す る。 唯 仏 与 仏 ( 矢 野 )

参照

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