大企業組 識 におけ る障害者 の人間関係 の構造分析
は
じ め
に
障害者の雇用に経験のある雇用主あるいは管理 者が障害者の雇用に対 して消極的な意見 を示す場 令, たびたび出て くるのが障害者の 「社会性」の 欠如 による 「人間関係」の失敗である。退職 した 障害者 自身の意見に も 「人間関係」が原因で,何 とな く 「居づ ら くなる」気持が示 されている。(1) 身体上の障害か ら人 との接触や社会的活動への 参加の経験 な どが少ないので,
「社会性」の欠如は 当然考 えられ る。 また,障害者の身体 に対す る自 己意識 (ボデ ィ ・イメー ジ)や生理的機能その も のに よる心理特性が原因で,健常者 との人間関係 が しっ くり行 かないことも当然考 えられ るのであ る。 これ らにつ いての研究の成果は,企業,養護 学校,関連施設あるいは障害者の家族や障害者 自 身に利用 され ることが急務 である。 職場の障害者の人間関係 と障害者の諸属性 (性 別,年齢,障害 タイプ,学歴,職種,職務,職場 組織 など) との関連については,既にある程度の 研究(2)を発表 してある。心理特性 との関連 につい て も報告(3)が なされた。さらに,一般人向けに,障 害者雇用マニュアル(4)も作成 された。今 回の本論 文 では, この 「人間関係」その ものに分析 をしぼ る。 なお,本論 は, トヨタ財団及び国際科学振興財 団か らの資金援助の もとに過去2
年及び今後2
年 の計4年計画の研究のひ とつの成果 を報告す るも のである。 Ⅰ. 目 的 障害者の雇用 を促進 させ,職場に定着 させ る一 規定要因 としての 「人間関係」 を測定す る 「人間 関係尺度」 を精度の高い もの とす るうえで前提 と橋
本
厚
生
なる 「人間関係の構造」分析 を行 う。構造分析 に あたっては以下のことが主 目的 となる。 1.
「人間関係」を構成す るい くつかの主因子 を 得 ること。2.
このい くつかの主因子の うち,
「人間関係」 に最 も寄与 しているものは何か, またその順 位 を知 ること。 3.1と2で得 られた結果 をもとに,
「人間関係」
の良い事例,悪い事例,中位の事例,特殊 な 事例 について,個別的に 「人間関係の構造」 を見,考察 を行 うこと。 ⅠⅠ.方 法 1.対象 対 象者 につ い て の フェース ・シー トはTable 1- 1か らTable1-15の通 りである。これによ ると,大 きな偏 りはな く対象者のサ ンプ リングは 十分母集団 を代表 していると言える。但 し,視覚 障害者 と精神薄弱者はほ とん ど除外 してある。理 由は,特に大企業にこのタイプの障害者が少 ない こと及び調査質問に自ら答 える程の意識が精神薄 弱者に期待 できなか ったか らである。 なお, 四肢 障害 とは主にポ リオ,脳性マ ヒ,脊髄損傷 などによ る機能障害 を指す。内部障害は主に心臓疾患によ る障害である。組織規模の 「大」 とは,資本金が 約30億円以上 もし くは従 業員2,000人以上 の組 織 を指す。これには,製造業が最 も多 く,他はサー ビス業,銀行,保 険会社,官庁,市役所, リハ ビ リセンター等がある。組織の 「小」 とは全て中小 企業であ り, その業種 はほ とん ど製造業である。 その他の組織は 「中」に分類 された。組織 とは, 事業所単位 ではな く,経営体全体 を指 してい る。 対象者の所属す る組織 として,大都市にあ る大 企業 を中心 に選 んだ理由はい くつかあ るが,主に, 今後の障害者雇用のカギを握 っている と言われ る -27-大企業の実態 も合 わせ てつかむため であ る。また, 過去 の研究(5)を見て も,現 在 の保護 雇用施 設や授 産施設 には量 において も質 において も限界があ る と考 え られ る。 さ らに, 脱施 設や完全参加 あ るい は統合化 とい った傾 向 も,大企業 での雇用 に よ り 大 き く促進 され る と考 えるか らであ る。 対象者数 は,今 回は111名 であ る。 Tablel 対象者のフェー ス ・シー ト Tablel-1 性 別 性 別 人 数 男 性 76. Table1-2 年 齢 構 成 年 齢 人 数
∼
20 5 21-
25 18 26-
30 12 31-
-
35 13 36-
-
40 13 41一
一
45 12 46-
50 12 51-
55 13 56-
60 ll 60∼
1 Tablel-3 結 婚 人 数 既 婚 65 Table1-4 学 歴 最 終 学 校 人 数 ′ト 学 校 8 中 学 校 20 高 校 45 大 学 以 上 24 そ の 他 12 Table1-5 葺 護学校経験 人 数 有 22 無 87 不 明 2 Table1-6 障害の程度 手 帳 の 級人
数 6 級 3 5 級 25 ∼4 級 19 3 級 19 2 級 37 1 級 5 不 明 3 Table1-7 障害を受 けた時期 人 数 現在の職場 に入 る前 82 現在の職場に入った後 17 Table1-8 障害の タイプ 人 数 四 肢 障 害 47 四 肢 切 断 18 聾 37 内 部 障 害 6弱
視 1 不 明 4 Table1-9 上 ・下 肢の状態 人 数 上 肢 切 断 ll 下 肢 切 断 10 上 肢 障 害 15 下 肢 障 害 35 ※注 表1- 8、表1- 9の数字は、部分的に 矛盾 している.回答者の間違いによるもの であるが、回答をそのまま表にした。 Table1-10 上 肢切断部位 -人 数 腕 1・
肘
3 粗 ゆ び .人 指 ゆ び 1Table1-11 補 装具の 使用 補 装 呉 人 数 車 イ ス 2 松 柔 杜 6 義 手- 義 足 8 そ の 他 9 な し 89 Table1-12 勤 続 年 数 年 数 人 数
J
-
2 41 3J
J
∼
5 4 6∼
8 10 9へ
-
ll 13 12∼
14 lO 15∼
17 6 18一
一
20 4 21一
一
23 4 24、
. 26 4 27∼
29 5 30∼
320
33∼
35 2 36∼
3 Table1-13 所属組織の規模 組 織 規 模 人 数 大 76 中 32 ・x注 規模は事業所単位ではなく組織全体から 判定 した。従業員数と資本金を基準に
判定 した。 Table1-14 職 歴 現在所属の組織以外 人 数 の 組 織 の 所 属 経 験 有 り 62〝
無 し 392.
評価方法 (1)依頼,配送, 回収 印刷 され た質問紙 を作成 し, 1人の対象者 に1 Table1-15 職 種 人 数 現 場 A 47〝
B 17 事 務 職 A 23〝
B 7 専 門 耽 A 9 ※注 BはAよりも専門性の高い職種である。 部 の質問紙が準備 された。対象者の所属す る組織 は予め調査 され, どの ようなタイプの障害 を持つ 者が どの ような職場 で働 いてい るか な どにつ いて の情報 を得 た。 その後,本社や本部などの人事部 門 の担 当者 と面接 もし くは電 話 で本調 査 の研 究 目 的,研究方法 を説明 し, また障害者 と当該組織の プ ライバ シー を厳守す るこ とを約束 した。 質問紙の配布 は直接手渡 した場合 が 多いが,郵 送に よる場合 もあった。 また, 回収 につ いて も, 配布 と同 じ方法で行 った。現在 も対象者数 は増加 しつつ あるが,回収率 は約90%であ る。分析 に選 んだ対象者数 は, 回収数 の90%以上 である。(
2
)
評価者 質問紙の記入 もしくは評価者は,対 象障害者の 直属 の上司 (課長職相 当) であ る。上 司は1
人 と は限 らず,数名の上司が相談 しなが ら評価,記入 している場合 もあ る。上 司の 多 くは人事考査 など こ うした部下の評価 には熟達 してい る。依頼 の際 に も客観性 などインス トラクシ ョンを行 い, 回答 には充分信頼性が保証 されてい る。 評価 の際に必要 な 「基準」は,
「当該 障害者の所 属す る職場の健常者の同僚 と比較 して」及び 「経 験か ら」で あ る。 (3)質問紙の構成 人間関係の尺度 は,30の質問項 目か ら構成 され てお り,30問は仮 説 としての構成因子,つ ま り「上 司 との人間関係」,
「同僚 との人間関係」,
「その他 一般的人間関係」の 3因子 (3領域)に分類 され, 各々10個 の質問項 目を持 って いる。「その他一般 的人間関係」 は, 人間関係 を直接 では な く間接に 測 る項 目であ り,他 の2
領域 は直接 人間関係 を測 定 している。 この2領域は各々 2間づ つの 「イン フォーマル」 な場面 での人間関係の尺度が入れ ら - 29-れてある。実際の質問紙は本論文の最後のペー ジ に 「資料」 として示 してあるが, 3領域各々の持 つ 質 問 項 目 はTable2の 通 りで あ る。「イ ン フォーマル」 とは.直接職務 に関連 していない場 面である。「資料」の最後の1問 (質問番号3
1
)
「お おむね,職場での彼の人間関係は良いほ うですか」
は,
「総合質問」として準備 した。 これは, スコア リングや分析 に利用す るものである。 なお,項 目の作成にあたっては,一宮俊一(6),M.S・
Ts
e
n
g
(7×8×9),P.
班.
We
h
ma
n
(10),R.
Ⅴ.
Da
wi
s
-(ll),佐野(12)等 の研 究,身体 障害 者雇用促 進協 会(13×14XlS)の諸報告, その他数 多 くの文献や資料 を 参考 に作成 し,数名の心理学者,社会学者,関係 方面の方々に検討 して もらい,充分 に妥当性のあ るものに した。(
4
)
スコア リング 各質問項 目は, 1.
そ うです, 2.
やや そ うで す, 3.あま りそ うではない, 4.そ うではない の4カテゴ リー を持つ。各 カコデ リーに1点か ら 4点 を与 え,
「総合質問」のス コア との相関が正の 相関 となるようにスコア リングし, スコアが高い 程人間関係は良い とい うこ とに した。 lIl.分析 と結果 1.因子分析 30の 各 質 問 項 目の 平 均 値 と標 準 偏 差 値 は Table2の通 りであるが,
「上司 との人間関係」の 平均値は他の2領域に比べ てやや高 く, その標準 偏差値 はやや小 さい。「その他一般的人間関係」で は,平均値 と標準偏差値はややバ ラついている。 質問番号3,14,15,30の標準偏差値が高いこと が気になるが,全体 としては以後の分析にたい し た影響はない と思われる。 さて,これ らの30の質問内容か ら主因子 を得 る ために,共通 因子 を抽出す る目的で111名のスコ アをもとに因子分析 を行 った。バ リマ ックス回転 を経 て得 た各 因子に 占め る各質問項 目の負荷 は Table3に示 されている。 6個の因子が得 られた が,0.400以上の負荷 を基準 に各質問項 目を選択 した結果,Factor6は除外 された。5個 の因子(Factorlか らFactor5)の各々に 占め る質問項 目はTable4に示 されている。これ に よれば,Factor1 (F・1)には13個の質問項 Table2 3領域別、質問項目の平均値及び 標準偏差値 領域 質問番号 M
S.D
上司と の 人 間 関 係 L1 3.36 0.79 8 2.93 0.89 13 3.21 0.86 18 2.89 1.03 20 3.30 0.86 21 3.13 0.95 24 3.25 0.80 26 3.35 0.76 7 2.24 1.04 ll 2.09 0.94 同 僚と の 人 間 関 係 5 2.32 1.13 9 2.72 1.02 16 2.16 1.47 17 3.66 1.87 19 1.70 1.60 22 2,13 1.26 27 1.81 1.49 30 3.82 2,70 1 1.61 1.22 15 3.68 2.25 そ の 他 鮫的人間関係 2 I.64 1.52 3 3.92 2.74 6 1.93 1.67 10 2,17 1.28 12 1).00 1.37 14 3.12 2.16 23 1.87 1.35 25 3.61 2.10 28 2.18 1.47 29 3.61 1.88目,Factor2(F・2)には6個の質問項 目,Factor 3 (F・3)には3個の質問項 目,Factor4 (F・ 4)には2質問項 目,Factor5 (F・5)には1 個の質問項 目が分類 されている。考察のために, この分 類 され た項 目に含 まれ る主 な る要 素 を Table4の右側に示 し,ついでに各々の負荷 も示 した。「メンテナ ンス」 とは職場 で 「うまくや る」 ことを表わ し,英語の
「
g
e
t
t
i
n
ga
l
o
n
gwe
l
l
」に当 る。( )内の単語はその要素の具体的内容 を示す。 「場面」の欄の空 自の項 目は,特に 「フォーマル」 か 「インフォーマル」か判断 しに くい項 目である のでその ままに してある。 Table4か ら,5個の因子にはTable5のよう に名称 をつけた。名称は,Table4の構成要素 を検 討 し,最 もその共通な特徴 を示 している要素 をも とに作成 された。Table3 バ リマックス回手引こよる因子負荷マ トリクス
質問
項目 FACTOR 1 FACTOR2 FACTOR3 FACTOR4 FACTOR5 FACTOR6
4 0.3284 0.5054 - 0.2456 0.1860 0.1065 0.0293 8 0.1032 0.2131 - 0.1287 0.5033 0.0207 - 0.0767 13 0.3927 0.4387 - 0.2291 0.1451 0.1073 0.2782 18 0.6296 0.3292 - 0.0064 0.1411 - 0.0190 0.2132 20 0.3077 0.7519 0.1320 0.0908 - 0.0629 - 0.0218 21 0.0155 0.6010 - 0.0788 - 0.1888 - 0.1523 0.2183 24 0.0478 0.8144 0.1210 0.1523 0.0657 - 0.0967 26 0.0517 0.7674 0.0994 0.1220 0.0060 - 0.2042 7 0.4997 0.0776 0.3655 0.n690 0.4293 0.0779 ll 0.1918 0.0910 0.2895 - 0.0918 0.4925 0.1456 5 0.7344 0.0692 0.1857 - 0.1431 0.2994 0.1803 9 0.3454 0.2850 0.1433 - 0.3564 0.3409 0.1087 16 0.9137 0.2010 - 0.2306 - 0.1034 0.0729 0.0196 17 - 0.1520 0.1089 0.4962 - 0.0422 - 0.0003 0.1119 19 0.8182 0.1377 - 0.1257 - 0.2873 0.1348 0.2182 22 - 0.3576 0.1049 0.1053 0.1346 - 0.1221 - 0.3414 27 0.8948 0.1564 - 0.0032 - 0.2758 0.2116 0.0233 30 - 0.2711 0.0746 - 0.0548 0.4758 - 0.0975 - 0.0118 1 0.8115 0.1626 - 0.0995 0.1782 0.1728 0.2191 15 - 0.1543 - 0.1348 0.4214 0.0035 0.1737 - 0.3663 2 0.9068 - 0.0269 - 0.0469 0.0531 0.1046 0.0117 3 - 0.4916 0.1118 0.1532 0.2589 0.0035 0.0112 6 0,9507 0.0547 0.0085 - 0.0741 0.0606 0.2077 10 - 0.2995 0.1627 - 0.1337 0.1025 0.0359 - 0.3789 12 0.9051 0.2078 - 0.0404 - 0.0188 - 0.0472 0.0318 14 0.0206 - 0.0737 - 0.0826 - 0.0163 0,3851 - 0.0782 23 0.8954 0.1322 - 0.1990 0.1709 0.1148
0
.
0726 25 - 0.0559 0.0030 0.7046 - 0.1170 - 0.0110 - 0.0982 28 0.8876 0.1040 - 0.0768 - 0.0744 - 0.0350 0.0909Table4 5因子の構成要素 とその負荷 因 子 項 目番号 領 域 構場 面成 そ要の 他 の 要素 素 負 荷 F1 18 上 司 職業態度 (言動) 0
.
629 7 上 司 イン.フォーマル コ ミュニ ケ ー シ ョン (世 間話 ) 0.499 5 同 僚 連帯 0.
734 16 同 僚 メ ンテ ナ ンス 0.
913 19 同 僚 フ ォ ー マ ル 職業人格 (受容) 0.
818 27 同 僚 親 しみ 0.894 1 同 僚 イン.フォーマル コ ミュニ ケー シ ョン (相談) 0.
811 2 般 7 * - 7 JL' 職務知識 0.906 3 般 フ ォ ー マ ル 自発 性 (参加 ) -0.491 6 般 フ ォ ー マ ノレ 職務責任 0.
950 12 般 フ ォ ー マ ル 職務満足 0.905 23 般 フ ォ ー マ ノレ 職務技能 0.895 28 般 フ ォ ー マ ル 職業態度 (欠勤) 0.887 F2 4 上 司 7 * - -7 JL, 従順 0.505 13 上 司 フ ォ ー マ ノレ 気 がね 0.438 20 上 司 メ ンテナ ンス 0.751 21 上 司 満足 0.601 24 上 司 親 しみ 0.814 26 上 司 信頼関係 0.767 F3 17 同 僚 フ ォ ー マ ノレ コ ミュニ ケー シ ョン、気 が ね 0.496 15 同 僚 イン一フォーマ ル コ ミュニ ケー シ ョン (世 間 話) 0.421 25 般 フ ォ ー マ ル モ ラlル 0ー704 F .4 8 上 司 フ ォ ー マ ル 自発 性 (意 見)、気 が ね 0.
503 30 同 僚 フ ォ ー マ ル 自発 性 (意 見)、 気が ね 0.475 F .5 ll 上 司 イン.フォーマル コ ミュニ ケー シ ョン (悩 み) 0.492 - 32-Table5 Table3とTable4を参考にして作られた因子の名称
FACTOR l FACTOR 2 FACTOR3 FACTOR4 FACTOR5
これ らの
5
個 の 因子 の平均 値 と標 準偏差値 は Table6に示 されてい る。Table6には 「総合質 問」の平均値 と標準偏差値 も合せ て示 してある。 これによる と, 6
個 の平均値 と標準偏差値は相互 に大差はない。 Table6 総合項目と5因子の平均値及び標 準偏差値 M S ,D 総 合 項 目 3_27 0.84 FACTOR 1 3.07 0.58 FACTOR2 3.37 0,57 FACTOR3 3.24 0.62 FACTOR4 2.93 0.83 FACTOR5 2,27 0ー93 Table7 総合項目と5因子の相関マ トリクス 685と0.679)よ りもやや高 くなっていて, この後 に行 う重 回帰分析のデー タ としてやや不安 ではあ るが, 因子分析の結果 で両 因子は 「独立」 した因 子 として抽出 されてい るこ と及 び両 因子の内部相 関 と各々の 「総合質問」 との相 関がそれ程大 きな 差 ではないこ とか ら, この後の分析 に影響 はない であろ う。従 って,重回帰分析 では,パ ス解析 に よる検討 は行 わなか った。2.
重回帰分析 因子分析で得 た5
因子 を独立変数 とし,
「総合項 目」 を従属変数 として重 回帰分析 を行 った。すな わち,
「おおむね 職場 での人間関係が良い もしく は悪い」 と日常感 じさせ ている ものの主 なる要 因 は何か,またその順位 は どうであるか を検討 した。 その結果はTable8に示 されている。これに よる と,最 も高いBETA値 を示すのは Factor2 (0.総合項 目 FACTOR1 FACTOR2 FACTOR3 FACTOR4 FACTORS \
0.266 FACTOR4 I.000 FACTOR5 Table7は
,
「総合質問」と5個の因子の相関マ トリクスであ る。 これに よれば,
「総合質問」と最 も高 い相 関 を示 す の はFactor2の 0.760で あ る。次 いで高 いのはFactorlの 0.685,3番 目に Factor3の 0.679である。全体 としては,Factor1,Factor2,Factor3の 3因子の内部相関が高 い。特 に,FactorlとFactor3では 0.728であ る。これは
,
「総合質問」とこの両因子 との相関(0.469)であ る。次 いで Factor3 (0.280)で, 3・番 目にFactor
1
(0.208)とな ってい る。Factor4 とFactor5の BETA値 は きわめ て 低 く (-0. 069,-0.053), この 2因子は 「人間関係」 をほ と ん ど説明 していない。Factor2とFactor4及び Factorlの BETA 値 とSimple R(単純相関)は全て正の数値であ るので, この3因子は従属変数 であ る「人間関係
」
- 33-を直接説明 していることになる。 Table8 重回帰分析の結果
従属変数 :総合項 目 独立変数:5因子
独 立 変 数 MJLTIPLE RR SQUARE RSQCHANGE SIhPLE R B BETA FACTORl 0.685 0.470 0.470 0.685 0.298 0.208 FACTOR2 0.794 0_631 0.161 0.760 0.687 0.469 FACTOR3 0.809 0.656 0.024 0.679 0.375 0.280 FACTOR4 0.812 0.660 0.004 0.203 - 0.070 - 0.069 FACTOR5 0.814 0.662 0.002 0.264 - 0.048 - 0.053 Ⅳ.考 察 因子分析の結果, 5個の因子が得 られたが,重
回帰分析 ではFactor
1
,Factor2,Factor3
の 3因子のみ 「人間関係」 と関連 していた。Factor 4とFactor5については, その負荷 が他 の3因 子に比べ小 さか ったのでこうした結果は予想 して いた。質問番号1
を除けば全体 として,
「コ ミニ ケ- シ ョン」 もしくは 「インフォーマル」,
「自発 性」,
「気がね」の各要素 を含む項 目の因子負荷 は 小 さいので,Factor4とFactor5が低いBETA 値 を示すのは当然である。 しか し,
「コ ミュニケー シ ョン」もしくは 「イン フォーマル」,
「自発性」
,
「気がね」の各要素が因 子分析 による因子の変数 として選 ばれてい る以上 全 く無視す るわけにはいかない。 これについては 対象者のサ ンプル としての性格 を考慮す る必要が ある。すなわち,対象者111名中37名が聾者であ るので, この人数分だけ 「コ ミュニケー シ ョン」 や 「自発」的意見が 「人間関係」に関連 していた もの と推測す る。同 じく,
「コ ミュニケー シ ョン」
や 「気がね」の要素が多 くを占め るFactor3が, 重 回帰分析 では0.280と高 いBETA値 を示 して いる理 由は,質問番号25の 「モラール」の要素が 因子分析 で高 い負荷 を示 しているか らである。「一 般」の領域 は, この 「モラール」以外全てFactor lに含 まれているので, この 「モラール」 とい う 要素は きわめて信頼ので きる強力なひ とつの因子 として認め得 る。 Factor2は,他のFactorに比べ最 もまとまり のある因子である。領域は全て 「上司」 どある。 結果 として,最 も高いBETA値 を示 した。 Factorlでは,
「上司」,
「同僚」,
「一般」の3領 域が含 まれ,一見捉 えどころのない因子の ようで ある。 しか し,因子負荷 を見 ると,質問項 目番号 18と17のそれは小 さいので, この 「上 司」の領域 をFactorlか らはず して考 えて もよい で あ ろ う。 その結果,Factorlは実質的には 「同僚」と 「一般」の2
領域か ら構成 されていることになる。 当初,仮説 として 「上司」,
「同僚」,
「一般」 を 独立 した因子 としていた。実際は後者2領域が1 因子 となったが,この ことについて考察す る。「一 般」に含 まれている要素はほ とん どが障害者の「職 務」に直接関連 した要素 であることか ら,その障 害者 と日常 身近に 「協業」している 「同僚」に とっ ては直接にこれ らの要素の影響 を受 けていると推 測す る。 その結果,
「一般」と 「同僚」はひ とつの 因子 として切 り馳せ ない要素で現われたのであろ う。さらに,このことをFactor2との関連か ら考 察す ると, この質問用紙の評価者は「直属の上司」 であったので,その評価 した 「人間関係」の良 し 恋 しはその評価者 と障害者 との「人間関係」
,つ ま り 「上司」の要素に影響 を受けていると考 えられ る。従 って,
「上司」のみが明確 にひ とつの因子 と して現われた と思 われる。また,
「上司」のBETA 値が最 も高か った理由 もこのこ とに多少 よるか もしれない。 しか し, この点については
,
「上司」, 「同僚」,
「本人」の3
者による評価 をもとに した 「人間関係」の分析結果 を待たなければ,明確 な 結論 は出せ ない。 こうした点 を差 し引いて,今 回 の分析結果 を結論 とせ ざるを得 ない。 なお,
「一般」の各要素が 「人間関係」を説明す るこ とは,前記の研究(6)によって も支持 され る。Ⅴ.
結 論 職場におけ る障害者の人間関係 を構成す る主 因 子は,主に以下の通 りである :(
a
)
.
「同僚」との人間関係においては,
「連帯」, 「メンテナ ンス」,
「職業人格」,
「親 しみ」, 「インフォーマルなコミュニケー シ ョン」 等 と 「一般」的 な人間関係 にお いて は, 「フォーマル」な場面,つ まり「職務知識」, 「職務責任」
,
「職務満足」
,
「職務技能」
,
「職 業態度」等の要素か ら構成 される因子 (b)
.
「上 司」 との人間関係において,
「従順」, 「気がね」,
「メンテナ ンス」,
「満足」,
「親 しみ」,
「信頼関係」等の要素か ら構成 され る因子 (C)
.
「モラール」の因子 そ して,障害者の 「人間関係」 をよ く説明す る 因子の順位 は,(b)の因子が最 もよ く説明 し,以下, (C),(a)と続 く。 ⅤⅠ.事例研 究 対象者個 々人についての人間関係の評価結果 を プ ロフィー ルで以下 に示 し,考察 してみ る。人間 関係 は,因子分析の結果(Table4)に従 って示 さ れる。1
0
人の事例 は,人間関係の良い事例 (2
人), 人間関係の悪 い事例(2人),人間関係が良 くも悪 くもない事例(
2
人),Fa
c
t
o
r
lが良 く,Fa
c
t
o
r
2が悪い事例(2人)及びFa
c
t
o
r
lが悪 く,Fa
c
t
-o
r2
が良い事例(
2
人)である。 事例 1 男 31才 未 婚 下 肢 片 方 切 断 義 足 使 用 障害2
級 入社後障害 を受ける 職歴無 し 高等 学校卒 勤続年数12年 所属組織 :電気製 品製造KK
(資本 金約3
0
億 円) 職 場 :支店の事務所,支店長室,室長の も とに男1人,女1人 職 種 :事 務 本例は, 5因子全てについて良好 な人間関係 を 示 している。特に上司 との人間関係が良い。また, 本例 は自ら同僚や上司に気がねな く自分 の意見 を 表明す るこ とが多 く,職務に対す る自信 を有 して いるようである。平行 してモラール も高い.一般 に上司 とのインフォーマルなコ ミュニケー シ ョン は本サンプルでは低 く出ているが,本例の場合は この点に関 して他 の事例 よ りか な り高 く出てい る。全体的に理想的な人間関係 を示 している。ITable9-1 事例 1の人間関係プElフイ-ル
Fll(Z竿も警告、態度に) F.2(上 司に関す る要 因) F.3(モ ラl ル) F.4(自 発 性) - 1 !t ・・ ・ ・ 悪 い 良 い;
1
2 34
_" -:-":i_二
本例は,現在の会社 に入 る前には障害 を持 って いなかったので,職業人 として有利 な資質,例 え ば知識や社会性 など既 に有 していた もの と思 われ る。 しか し, 中途障害者は,障害 を受 けた直後, 以前の状態 との大 きなギャップに直面 し,心理的 ス トレスか ら回復 しに くく,障害の受客 に時間が かか るのが普通である。本例 は31才 であ り,短期 間にこの受容 に成功 したようである。 本例は,勤続年数が12年であるので,職務 に関 す る知識,持術,態度はすでに確立 しているもの と思われ, さらに支店長室 で仕事 をしているとこ ろか ら,上司の信頼は厚い もの と思 われ る。 支店長は,
「甘やか しな く,ご く普通の社員 とし て扱い,差別は していない」 と言 っている。本例 自身は,
「もう動揺はな くな り,毎 日仕事 にはげん でいる」 と言 っている。 事例2 女 26才 既婚 聴 覚 障 害 障 害2級 入社 前障害 を受け る 職歴有 り 聾学校専攻科卒 勤 - 35-続年数0.5年 所属組織 :ー電気製品製造KK(資本金約500億 円) 職 場 :工場事務室 課長の もとに女
1
人男 22人 平均年齢25才 職 種 :コ ン ピュー ターの デー タ イ ン プ ッ ト・キー オペ レー タ一 本例は,Fac
t
o
r
l以外の人間関係は全て最高 と 評価 されてい る。Fac
t
o
r
lがやや低 いのは年齢2
6
才 で勤続年数0.5年 であるこ とか ら経験不 足 で職務 に関す る要素のスコアが低 く出たためであ る。勤続年数0.5年であるので,その間の人間関 係の評価が どれだけ信頼性のあるものかやや問題 であるが, これ程 の良好 な人間関係 を示 している ので今後ひどく悪い人間関係 を示す とは考 えられ ない。きわめて良好 な人間関係 をもつ事例である。 Table912事例2の人間関係 プE)フィール .旦 L _旦 ヒ ・ !:∴ .: .:
.-
.∴ -∴ ・ 1 -: ∴ \. 妻 ≡ ョ F.2(上 司に関す る要 因) F.3(モ ラl ル) F.4(自 発 性) F15(崇
きT三言三
三三 ) 本例は,普通学級ではない聾学校 を卒業 してい るが,
「特殊教育諸学校」卒業者にあ りが ちな社会 的未熟 さがないようである。専攻科 を卒業 してい るので知的レベ ルや職業知識に関 して,
「特殊教育 諸学校」卒の障害者 よ りも有利 であった と思 われ る。障害はか な り重い難聴の ようであるが,子供 の頃受けた障害であるので,す でによ く適応 して いるようである。 上司は,
「美人で明 る く,人に好かれ るタイプ。 結婚 して家庭の方 もしっか りや っている。 コ ミュ ニケー ションにやや不便は感 じるが,業務に支障 はない」 と言 っている。 本人は,
「特 に職場に不満はない」と言 っているo 所属組織 :サー ビス業KK(資本金約30侶潤 ) 職 場 :大規模 食堂 男6人 職 種 :調理師 本例は, 5
因子全てにつ いてやや良好 な人間関 係 を示 している。モラールは他の因子 よ りやや良 好 であるが, 5
因子は相互に大 きな差 を示 してお らずバ ランスの とれたプロフィールであるo Table9-3事例3の人間関係 プロフィール F凋 竿も芸許
態 度 に) F.2(上 州 こr対す る要 凶) F.3(モ ラl ル) F.4(自 発 性) Fl
5
(崇 誓 三三三*Lこて ) :江..・_じ _ 1 上土∴1
2 3 4二
∴ ニー 本例は早い時期 に堅実な技術 を身につけ,現在, 職務についてはかな りのベ テランのようである。 障害 もそれ程重 くはない。職場 では特に問題 を感 じていないようである。生活は安定 しているよう であるが,未婚であるので今後結婚することによ りさらに安定 した生活 を送 り,職場の人間関係へ 良い影響 を与 えることがで きる。 事例4
女2
6
才 未婚 聴 覚 障害 障害2
級 入社 前 に障害 を受 け る 職 歴有 り 聾学校 高 等部卒 勤続年数0.5年 所属組織 :銀行本店 (資本金約30イ意円) 職 場 :本部融資部 課長の もとに男4人女 2人 平均年齢30才 職 種 :事 務 本例 は,Fac
t
or
lにつ いては普通の人間関係 を,Fac
t
or2
につ いてはやや 良い人間関係 を,Fac
t
or3
につ いては さらに良い人間関係 を示 し ている。Table9-4事例4の人間関係 プE)フィール
悪い
= コ
良い
F.
購鶴 貰卦 鮒 に)1
2 \3 4 事例3 男 30才 未婚 下 肢 片方機能 障害 障害4 級 入社前に障害 を受ける 職歴無 し 調理学校 卒 勤続年数8
年 - 3 6-一・
日
+ 二二 F.2(上 司に関す る要 囚) F.3(モ ラ一 ル) F.4(臼 党 惟) F・5(崇
きT三;
ヱ
1,こ
て)本例 の属性 は,先の事例2の対象者 と類似 して い る。従 って
,Fac
t
o
r
lにつ いて もや は り,Fac
t
-or2
とFact
or3
に比べやや劣 るのは,年齢 と勤 続年数 に よる経験不 足のため である。Fac
t
o
r4
とFac
t
or5
が低 くなっている。この点,事例2
は例 外 であって,普通聾者は コ ミュニケー シ ョン と自 ら意 見 を述 べ る 自発性 に不 利 な結 果 を示 す。 コ ミュニ ケー シ ョンにつ い て の上 司 の評 価 基準 が 「数」や 「量」に置かれ るか,
「質」に置かれ るか で,このFac
t
or
のス コアは大 き く変 わって くる。 全体 として,本例 は特 に問題 を示 していない。 しか し, モ ラールの高 さか ら言 えば,今後 よ り一 層良 い人間関係が期待 で きる。 事例5 女4
3
才 未婚 下 肢 片 方機 能 障 害 障害5
級 入社前 に障害 を受 け る 職歴有 り 高等学校 卒 勤続年数9
年 所属組織 :建設会社KK
(資本金約5
0
億 円) 職 場 :支 店事 務 所 課 長 の も とに 男1人 平均年齢41才 職 種 :安全管理 の補助事務 本例 は, 5因子全 てにつ いて悪い人間関係 を示 している。特 にモラールが低 い。加 えて,上司 と の世 間話 しな どの潤 滑 油的役 割 をす る コ ミュニ ケー シ ョン も低 いス コアであ る。 Tabre9-5事例5の 人 間関係 プ ロフ ィール F職 掌も警告、態度E:) F.2(上司に関す る要 因) F.3(モラlル) F.4(自 発 性 ) ・・伊 ..JL/ 1_∴ ∴ .・ .旦L _旦土二 1 2 3 4 一>+ 三 二: しか し,職 場 の状況 を見 る と,一部屋 に課長の 他1人の男性 と本例の女性の計3人 しかお らず, 彼女 に とって は 「居づ らい」職場の ようである。 また,職務 も専 門的 な仕事 ではな く, 自分 の責任 や権 限 も与 え られていないよ うであ る。勤続年数 9年 でかな り長 い間の人間関係 であ るので,今後 この人間関係 を良 くす るにはか な りの努力が必要 であ る。 属性 を見 る と,障害 は軽 いが,女性 であるので 下肢障害 は微妙 な影響 を与 えていよ う。年齢は4
3
才 であ るが,未だ未婚 である。本例 の場合,職場 だけでな く,彼女の生活全体 を考 え る必要があ る と思 われ る。 そこか らまずモラール を高めて行 く 必要がある。 上司は,「ただ毎 日言われたこ とをそつ な くや る だけ。 自らや る気 はない。」と言 っている。本人は あ ま り話 したが らない。 事例6 男2
6
才 未婚 聴 覚 障 害 障 害2
級 入社 前 に障害 を受 け る 職 歴 無 し 聾学校 専 攻科 卒 勤続年数0.6年 所属組織 :電気製 品製造KK
(資本金約5
0
0
横 円) 職 場 :工場 設備課 係 長 の も とに男42人 平均年齢30才 職 種 :フライス盤 本例 も事例5
と同 じく全体的に悪 い人間関係 を 示 しているが,本例の場合,職場 にそれ程 の問題 はな く, また専攻科 を卒業 しているので職務上の 知識や技術が著 し く劣 る とは考 えられ ない。 さら に,工場 での製造工程 に加 わっているので,業務 上 あ ま りコ ミュニケー シ ョンの必要が な く,聴覚 障害の- ンデ ィキャップ も少 ない。従 って,職務 に関す る人間関係 よ りもむ しろ同僚 との人間関係 に問題がある。モラール も低 い。「特殊教育諸学校」 卒 業者にあ りが ちの社会的未熟 さが考 え られ る。 今後,良好 な人間関係 に向 うよ う急 いで指導す る 必要が ある。 Tabre9-6事例6の人 間 関係 プ E)フ ィール 悪 い 良 い F・鳩 竿諸 賢 態度に) ! 写l ? ⊥ : : : ; :_-: : F.2(上 司に関す る要 因) F.3(モラlル) F.4(自 発 性) F・5(漂 :霊 三景 て)Fac
t
o
r4
がやや良い結果 を示 してい るが,これ は注意 して考 えるべ きである。全体 的に対人関係 が悪 く,モラール も低 い とい う事実 と,Fa
c
t
o
r4
- 37-が高い とい う事実は矛盾 しているのではな く,む しろ同 じ方向にあると考 えるべ きである。つ ま り, 「自発性」がポジティブな ものではな く,ネガティ ブなものあるいは自発的に意見 を述べ る 「内容
」
,
「その時の態度」
,
「その 日的」がネガティブに作 用 しているのである。参考 に本例の性格特性 を示 す と : 「親和」 と 「内罰」が低 い,す なわち他人 と親 しくや っていけず,協調性がな く, 自己の責 任 を他 人に転嫁す る特性があ り,逆に 「攻撃」 と 「自律」が高い,すなわち自己の弁護のために相 手 を批推 し,攻撃 を加 え, 自分 の こと以外に関心 がな く,他人の協力を拒否す る特性 である。 年齢 も若 く,社会的経験 も少 な く,知的能力は 十分 にあるので,今後の指導次第で明 るい見通 し が もて る事例 である。 事例7
男 22オ 未婚 聴 覚 障害 障 害3級 職 歴 有 り 高等学校卒 勤続年数0.
3
年 所属組織 :電気製品製造KK
(資本金約5
0
0
倍 円) 職 場 :工場 女2人男 48人 職 種 :プ リンター装置検査 本例は,Factorlに関 しての人間関係以外は, かな り良い人間関係 を示 しているが,Factorlが 低 い。つ まり同僚 との人間関係は低 いが上司 との 人間関係 は高い事例 である。Factorlを「同僚 と の人間関係」の部分(P)と 「職務 に関す る人間関 係」の部分(G)に分 けて見 ると,や は り両者 とも低 くなっているこ とが分 る。 TabLe9-7 事例7の人間関係 プ ロ フ ィール F凋 竿も要語、態度に) F.2(上 司に関す る要 因) F.3(モ ラl ル) F.4(自 発 性 ) F・5(崇 崇 ;三三二て) : - -ll--il.I,はF.17)うちのr・雌 に関す る要1人1 GはF.1の うちの城 札 態度 に関す る安川 本例 は入社 して まだ0.
3
年 しか経 てお らず,年齢 もまだ22才 とい う若 さである。まだ同僚 とうち と けた り,業務上の知識や技術 を身につけ るのに十 分 な時間がたっていない。 障害の重 さは3級であ るので,補聴器 を使用すれ ば業務上 ほ とん ど支障 はない と思われる。加 えて普通高校 を卒業 してい るので,社会性が一般に比べ低い とは考 えられない。
きわめて明 るい将来 を もつ事例 であ り,ほ うっ ておいて も,年齢の増加 とともに人間関係の技術 を習得す るもの と思われ る。 事例8 男3
0
才 未婚 聴 覚 障 害 障 害2
級 入社 前に障害 を受ける 職歴有 り 専門学校卒 勤続 年数0.6年 所属組織 :金属 製品製 造KK
(資本金約5
0
億 円) 職 場 :調整課 班長 の もとに女3人 男3 人 平均年齢31才 職 種 :製造工程で組 立作業 本例 も事例7と同様に, 同僚 との人間関係が低 く,上司 との人間関係が高 い事例 である。しか し, Factorlを 「同僚」と 「一般」の要素 に分け ると, 「同僚」(P)との人間関係 も非常 に良いこ とが分 る。「一般」(G)が このFactorlを低 くしている。 Table9-8 事例 8の人 間 関係 プ ロフ ィール ド.職 掌も警告、態飢 ) F.2(上 司に関す る要 坦) F.3(モ ラ一 ル) F.4(ll 発 作 ) Fl5(誓 言警 ;
ヱ1/こ
て) 悪 い 良 い1
2C, 3p
-
I
L PはF.1の うちのrL・】僚 に関す る芝川 Gは F.1の うちの職持、態度に関す る要田 勤続年数が0.6年でまだ十分 な職務上の知識, 技術 を身につけていない。 モラールはかな り良い ので, いずれは人間関係 は より一層良好な もの と なるだろ う。 事例 9 男 33才 未婚 聴 覚 障 害 障害2級 入社 前障害 を受 ける 職歴有 り 聾学校高等部卒 勤 続年数2
年 所属組織 :銀行 (資本金3
0
倍 円)職 場 :本部 用務月室 男4人 平均年齢
4
9
才 職 種 :印刷業務他 本例 は,事 例7, 8とは逆に, 同僚 との人間関 係 に比べ,上 司 との人間関係が悪い事例 である。 しか し本例 の上 司 との人間関係 は どちらか と言 え ば良 いほ うに属す る。同僚 との人間関係 に比べ て 悪い とい う意 味である。 本例 は全体 的に見て,人間関係が良い。 モラー ル も職務,技能,知識,態度 も非常に良い。Fa
c
t
or
5
が低 いの は,本例が聾者 であ るこ とか ら理解 で きるが, しか しこの 「上司 との コ ミュニケー シ ョ ン」 があま りに も悪い。 このこ とが, おそ ら く上 司 との人間 関係 がやや 他のFac
t
o
r
に比べ低 くな って いるこ とと関連 しているよ うである。 Table9-9事例9の人間関係 プロフイ-ル F職 掌も警 告 ・態 度 に) F.2(上司に関する要田) F.3(モラl ル) F.4(自 発 性 ) F・5(誓 言:三;ヱ'崇 ) 注.PはF.1の うちの同僚 に関す る要H Gは F.1の うちの職稚、態蜜に関す る要円 職場 では本例 を含め5人の少 人数 で協業 してい るので,相互 にか な りのインフォーマルな組職 が で きてい る と思 われ る。今後 は,上司が このイン フォーマル な仲間か ら本例 を除外 しないように, 自ら本例 に働 きかけてい くこ と,特 に本例が 「気 が ね」せ ず にプ ライベー トな部分 まで上 司 とコ ミュニケー トす るように しむけ るこ とが必要 と思 われ る。 事例10 女 23才 未 婚 四 肢 機 能 障 害 障 害 3級 入社 前障害 を受 け る 職歴無 し,短大卒 勤続年 数2.
6
年 所属組職 :銀行 (資本金約30億円) 職 場 :電話交換皇 女3
人(
5
5
才 と2
4
才 ) 職 種 :電話交換 本例 の全体 像 は,職場に充分適応 した成功例 で あ る。彼女 は 「脳性マ ヒ」者であ り, しか も四肢 全 てに障害有 している。 さらに短大 を卒業 し,知 的能力 も要求水準 もかな り高か った もの と思 われ る。普通, こうした事例 の就労は非常 に難 しく, また就労 して も職場に不適応 を示 し定着 しないこ とが 多い。障害3級 となっているが,実際には 日 常生活にかな りの- ンデ ィキャップ を有 してい る はずである。 Table9-10 事例10の人間関係 プ E)フィール F・1(ra竿も笠
賢 撃 に) F.2(上司に関する要因) F.3(モラlル) F.4(自 党 性) F・5(崇 き警 ;三三二三) ≡ 注.PはP.1の うちの同僚に関す る要 LqI GはF.1の うちの職 臥 態度 に関す る要閃Fa
c
t
o
r
lの 「一般」がい く分 「同僚」よ りも低 い。知的能力や態度に問題が あるのではな く,障 害 による- ンデ ィか ら来 る技術面 での評価が低 く か った と思 われ る。今後 は,彼女の障害 に合せ て, 設備や機械の改良が考 えられ る。お
わ
り ノ
に
本調査 にあたって御協力 して下 さった各組織の 人事部の担 当の方々,職場 の管理 者の方々,関係 機関の方々に心か ら感謝の意 を表 します。 なお,多変量解析 にあたっては,SPSS
プログラ ム を利用 し,筑波大学ACOS-HI
TAC
大型計算 機 を使用 した。 参 考 文 献 (1) 橋本厚生 「心 身障害の職業 に関す る一考 察」1978 年 特殊教育学研 究 第16巻 第2号pp.39-47 (2)橋本厚生 ら 「職場 におけ る障害者の心理特性 と人 間関係」 1981年 身体 障害者雇用促進協会 (近刊) (3)橋本厚生 「職場 におけ る障害者の 人間関係に関す る予備的研究」1981年 トヨタ財団中間報告 -39-(4)橋本厚生 ら 「障害者雇用マニュアル」1981年 身 体 障害者雇用促進協会 (近刊) (5)橋本厚生 「重度心身障害者の就労 とわが国の保護 雇用施 設の 問題 点」1978年 脳性 マ ヒ児の教育NoL29 日本ア ビ リテ ィー ズ協会 PP.41-44 (6)一 宮俊一 「脳性マ ヒ者の職業に関す る研究」 1970 年 特殊教育学研究 第8巻第 1号 pp19-24
(7) M.S.Tsengetal「TowardaPlacementSystem EmpiricallyEstablishedThroughCriterion-Group Method:Self- Employment for the Severely HandicappedJRehabilitationLiteratureMay,1976, Vol.36,Na5 pp140-144
(8) M.S.Tseng rJobPerformanceandSatisfac -tion of Successfully Rehabilitated Vocational Rehabilitation ClientsJRehabilitation Literature March,1975,Vol.36,No.3pp66-72
(9) M.S.Tseng 氏の作成 したquestionnaire,West Virginia Rehabilitation Research and Training Center(氏 がSurveyに利 用 したquestionnaireの コ
ピー を好意 に よ り譲 っていただいた ものである。)非売
■コ FlFl
(10)Paul.H.Wehman 「TowordaSocialSkills Cu汀iculumforDevelopmentallyDisabledClientsin Vocational SettingsJRehabilitation Literature 1975,Nov.,Vol.36,Null pp342-348
(ll) RendV.DawiS 「MinesotaTheoryofWork AdjustmentJHandbook of Measurement and Evaluation in Rehabilitation 1976,Ed.Brian Bolton,UnivIParkPresspp227-248
(12)佐野,他 「慶応産研式モラール・サーベ イ(KOMS) 」 昭和43年 金子書房 (13)東京都心 身障害者雇用促進協会 「心 身障害者雇用 好事例集
」
昭和52年 (14) 新潟県心 身障害者雇用促進協会 「雇用管理好事例 集」
昭和51年 (15) 身体障:Lif者雇用促進協会 多種 な出版物 その他 職業研究所 出版の諸 シ リー ズ 飯 tII悟職業安定所 の障害者学生求人の企業資料 な ど項 目作成や調査計画に当っては数 多 くの文献,質 料 を参考に している。資 料 1-4の それ ぞれ は1,そ うです。2,や や そ うです。 3,あ ま りそ うで はない。4,そ うで はない。 とな ります。 1)彼 は, 同僚 に仕事 以 外の こ とで相談 す るほ うです か。 2)彼 は,仕 事 に関 す る知 識 を持 ってい るほ うです か。 3)彼 は, 会 議 や会合 で発言 す るほ うです か。 4)彼 は, 上 司の方 針, 指示, 命令, 注意 な どに従 うほ うです か。 5)彼 と職 場 の同僚 との問 には連 帯 意 識 が あ るほ うです か。 6)彼 は, 自分 の仕事 に対 して責 任感 を持 って い るほ うで んか。 7)彼 は, 休 み時 間 に上 司 と世 間話 をす るほ うです か。 8)彼 は, 上 司 に気 がね しないで意 見 を言 うほ うです か。 9)彼 は, 同僚 か ら疎 遠 に され る こ とが あ るほ うです か。 10)彼 は, 仕 事 に熱 心 なほ うです か。 ll)彼 は, 仕 事 以 外 の問題 や悩 み な どを上 司 に相談 す るほ うです か。 12)彼 は, 仕 事 に満 足 して い るほ うです か。 13)彼 に対 して上 司 は, 気が ね しないで仕事 の注意 や指 示 が で きるほ うです か。 14)彼 は, や りが いの あ る仕事 を して い る と思 っ て い るほ うです か。 15)彼 は, 同僚 と世 間話 をす るほ うです か。 16)彼 は, 同僚 と問題 を起 こさず にや って い るほ うです か。 17)彼 に対 して同僚 は, 気 がねせ ず に意 見 を言 え るほ うです か。 18)上 司 に対 す る彼 の言葉 や動 作 は良 いほ うです か。 19)彼 は, 自分 の立場 を主 張 し, 同僚 を受 け入 れ ないほ うです か。 20)彼 は, 上 司 とうま くいって い るほ うです か。 21)彼 は, 上 司 に不 平不 満 を言 うほ うです か0 22)彼 の言葉 づ か いや態度 は同僚 か ら好感 を持 たれ て い るほ うです か。 23)彼 の職 務 技能 は十分 なほ うです か。 24)彼 と上 司 は, お互 いに親 しみ を感 じてい るほ うです か。 25)彼 は, 仕 事 に対 して意欲 を持 って い るほ うです か。 26)彼 と上 司 の間 には信輔 が あ るほ うですか。 27)彼 と同僚 は. お互 いに親 しみ を感 じて い るほ うです か0 28)彼 は, 欠 勤 をす る こ とが多 いほ うです か。 29)彼 は, 給 料 や地 位 に満 足 して い るほ うです か。 30)彼 は, 同僚 に気 がねせ ず に 自分 の意志 を言 うほ うですか。 31)おおむ ね,職場 で の彼 の 人間 関係 は良 いほ うです か。 - 41-1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 I ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 ■l ■ll l ■l 1 1 1 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 ・ 2 ・ 3 ・ 4