生 産 を 可 能 にす るな どの点 で,養 豚 経 営 上 の重 要 技 術 と 目 され て い る。 と くに 性 成 熟 前 の雌 豚 に お け る発 情 ・排 卵 の誘 起 は, そ の 後 の 性 周 期 同 期 化 お よび 早 期 繁 殖 供 用 のた め に重 要 と考 え られ るほ か に,豚 の排 卵 前 後 か ら受 精 と胚 の 早期 発 育 に 至 る過 程 を 基 礎 的 に解 明す る た め の研 究材 料 を任 意 な 時 期 に 安 価 に入 手 で き る利 点 を もっ て い る。 従 来 の報 告 で は,性 成 熟 前 の雌 豚 は約110日 令 以 降 に PMSGに 反 応 して 排 卵 が 誘 起 され る とい わ れ るが1), 約140日 令 以 内 の もの で は 雄 を 許 容 す る まで の 反応 (standing reflex,以 下 許 容性 発情 と記 載)を 示 す 例 は ほ と ん どな く,受 精 して も妊 娠 は 約25日 で 停 止 す る と い わ れ る2,8)。 約5ヵ 月令 以 降 に処 置 した 場 合 は 分 娩 まで の妊 娠 継 続 が 可 能 に な る との 報 告4)が あ るが,処 置 法 に よ っ て多 少 成 績 が異 な る よ うで あ る。す なわ ち,PMSG投 与 後48∼ 72時 間 でHCGを 投 与 した 場 合,ほ とん ど許 容 性 発 情 が 認 め られ ず,人 工 授 精 後 の雌 生 殖 器 道 内 で の精 子 の進 行 が 不 調 な 個 体 もあ り,卵 の受 精 率 に バ ラ ッ キが あ る と い われ る1,5)。一 方,低 単 位 のPMSGとHCG(400iu/ 200iu)を 混 合 して一 回投 与 を 行 う と,許 容 性 発 情 を示 す 豚 が 多 く,処 置 後 の 次 回,次 々回 発 情 の周 期 性 も比 較 的 順 調 で,卵 の 受 精 率 に は バ ラ ッキ が あ るが,比 較 的 良 好 な 受 胎 成 績 が 期 待 で き る とい う4,6∼8)。これ らの 報 告 か ら,混 合一 回 投 与 法 が 分 離 投 与 法 よ りも勝 れ て い るか に 見 受 け られ るが,こ れ まで 同0条 件 下 で両 法 を比 較 し た成 績 が 見 当 らな い た め,直 ち に 結 論 は で な い と思 われ ル モ ン(LHRH)ま た は そ の類 縁 物 質(LHRH-A)を 分 離投 与 した 場 合 も,性 成 熟 前 の雌 豚 で効 果 的 に排 卵 を 誘 起 で き る と の知 見 が 最 近 報 告 され てい る9∼11)が,こ の方 法 と上 記2法 と の比 較 は ま だ十 分 検 討 され て い な い。 本 研 究 は,生 後 日令 と餌 養 管 理 条 件 の揃 っ た性 成 熟 前 の雌 豚(180日 令)を 供 試 動 物 と して,上 記3法 に よる 発 情 と排 卵 の誘 起 を 試 み,処 置後 一 定 時 間 で の 同時 人 工 授 精(1回 注 入)と 同時 と殺 後 の卵 の受 精 率 な らび に受 精 卵 の発 育 ス テ ー ジを 調 査 して,効 果 の 比較 を行 った も ので あ る。 また,処 置 後 の 発 情 徴候 の 微 弱 な一 部 の豚 に エ ス ト リオ ー ルを 投 与 して,そ の発 情 徴 候,精 液 注 入 の 難 易 度,排 卵 お よ び受 精 に与 え る影 響 に つ い て もあ わせ て調 査 した。
実 験材料な らびに方法
供 試 豚 は 鳥取 県 中 小 家 畜 試 験 場 に け い 養 中 の母 豚5頭 か らほ ぼ 同時 期 に 生 産 され た ラ ン ド レース ×大 ヨ ー ク シ ャー また は(ラ ン ドレー ス ×大 ヨー ク シ ャ ー)× ハ ン プ シ ャ ー間 の交 雑 種 雌 豚 計27頭 で あ る。 これ ら の実 験 開 始 時 の 生 後 日令 は177∼180日,平 均179.7日 で,と 殺 時 体 重 は85∼121kg,平 均104.7kgで あ った 。 い ず れ もDCP12.3%,TDN72.6%の 配 合 飼 料 を 不 断 給 与 し,自 由 飲 水 下 で8∼10頭 ず つ5.4m×3mの 豚 房 に 群 飼 され て い た も ので あ る。 実 験 処 置 区 は 計6区 を 設 け た:A区;PMSG(セ ロ ト ピ ン,帝 国 臓 器)とHCG(ゴ ナ トロ ピ ン,帝 国 臓 器) の 分 離 投 与 区,B区;PMSGとHCGの 混 合 一 回 投 与 区,C区;PMSGとLHRH-A(des-gly10-LH-RH-ethylamide,武 田薬 品)の 分離 投 与 区,な らび に これ ら 3区 で の微 弱 発 情 例 と思 われ る豚 に対 しエ ス トリオ ー ル (以下ETと 記 載,ホ ー リ ン,帝 国 臓 器)を 投 与 した区 (A',B',C,)で あ る。 供 試 豚 は 同腹 子 を 異 な る処 置 区 に な るべ く均 等 に配 置 してA,B,C区 に6頭 ず つ,A',B',C'区 に3頭 ずInduction
of estrus and ovulation
in prepuberal
gilts and subsequent
fertilization
after
insemina-tion.
HANADA, Akira, Masayuki IWAMOTO*
& Takayasu
ASAI*
(National
Institute
of Animal
Industry,
Chiba-shi, 280, *Tottori Swine & Poultry Experiment
Station,
Yonago-shi,
683)
1977年2月 つ そ れ ぞ れ わ りつ け,こ れ らを3回 に分 け て反 復 実験 を 行 った 。 各 区 で の ホ ル モ ン剤 投 与 量 な らび に処 置 の 時 間 的 関 係 はFig.1に 示 した 。 な お,皮 下 注 射 は 耳 根 部 に,筋 肉 注 射 は 腰 背 部 にそ れ ぞれ 行 った。 実 験 開 始 日か ら と 殺 まで の間,朝 夕2回(8AUと5PM) 処 置 豚 の発 情 状 況 を 調 査 した。 外 陰部 徴 候 は そ の 色 調 と 腫 脹 の程 度 を 考 慮 し,相 対 的 な 強 度 で 表 した:強 度0; 全 く無 反 応,強 度1;ご く軽 度 の 発 赤腫 脹 を 思 わ せ る も の,強 度2∼3;発 赤 腫 脹 の 度 合 に よ り区 別,強 度4; 極 め て 明瞭 な発 赤 腫 脹 と膣 粘 液 の 漏 出 お よび 背 圧 検 査 で 静 止 す る もの。 また,人 工 授 精 時 に は 供 試 豚 を 屋 外 に 出 し,試 情 用 雄 豚 に対 す る挙 動 を 約30分 間 観 察 して許 容 性 発情 の 有 無 を 判 定 した 。 実 験 開 始 後76時 間 ま で の観 察 で外 陰 部 徴 候 が 比 較 的 微 弱 と思 わ れ る豚 を 選 定 し,精 液 注 入 の10時 間 前(実 験 開 始 後88時 間)にETを 投 与 した 。 精 液 注 入 の5∼6時 間 前 に 正 常 な 受 精 能 力を もつ 雄 豚 (ラ ン ドレー ス また は ハ ンプ シ ャー)2∼3頭 か ら濃 厚 部 精 液 また は 全 精 液 を 採 取 し,精 子 生 存 率 が75%以 上 の も のを 混 合 後,精 子 濃 度 を 血 球 計 算 盤 法 に よ って 測 定 し た 。 つ い で,1.3%重 曹 液20 ml+6%ブ ドウ糖 液80 ml+脱 脂 乳100 ml+サ ル フ ァ メ ラ ジ ンナ トリウ ム0.49 か ら な る希 釈 液 を精 液 量 とほ ぼ 等 量程 度 加 え て 希 釈 し, 最 終 生 存 精 子 濃 度 を1億 また は2億/mlと し,注 入 時 ま で15℃ に 保存 した 。 希 釈 精 液 の注 入 は 雌1頭 に つ き1 回 の み行 っ た。 そ の さい,雌 を 屋 外 に 設 置 した 桿 式 豚 衡 器(冨 士 平)の 枠 内 に 保 定 し,ゴ ム製 カ テ ー テ ルを 子 宮 頸 管 に挿 入 して,精 液 を 雌1頭 に つ き50 mlま た は60 ml ず つ 分 け て 注 入 した 。 注 入 中 に 外 陰 部 か ら精 液 が 漏 出 す る場 合 は ビー カー に これ を 受 け て計 量 した 。 供 試 豚 の 生殖 器 は と殺 後1時 間 以 内 に摘 出 し,ポ リ袋 に入 れ て と場 か ら持 ち 帰 った 。 そ の後4時 間 以 内 に 付 着 靱 帯 や頸 管 を 除 い て,子 宮 重 量,卵 巣重 量,排 卵 黄 体 数, 直 径5mm以 上 の 残 留 卵 胞 数(血 様 卵 胞 を含 む)を 調 べ る と と もに,卵 管 を そ れ ぞ れ 生 理 食 塩 液20 mlで 下 行 性 に洗 浄 して 卵 を 回 収 した 。 排 卵 数 に く らべ て 回 収 卵 数 が 少 な い 場 合 は,子 宮 角 の上 部 約1/3を 同 様 に 生 理 食 塩 液 50mlで 洗 浄 して卵 回収 を試 み た。 回 収 卵 は ワ セ リ ンス ポ ッ トを 付 け た ス ライ ド上 に のせ,カ バ ー グ ラ スを か け て 軽 く圧 し,位 相 差 顕 微 鏡 下 で観 察 した の ち,25%酢 酸 ア ル コー ルで1夜 固 定 し,1%ア セ トオ ル セ イ ン液 で 染 色 して再 度 そ の形 態 的 観 察 を 行 った 。 卵 の受 精 の判 定 は,雌 雄 前 核 形 成 の 有 無 お よび 卵 割 状 態 に よ っ て 行 っ た 。 結 果 は 分散 分析 法,t検 定法,X2検 定 法 な どに よ り そ の統 計的 有 意 性 を検 討 した12)。 実 験 成 績 発 情 徴 候 な らび に 精 液 の 注 入 B区 の 供試 豚 の1頭 は 処 置 開 始 当 日か ら発 情 徴 候 を示 し,処 置 後 の発 情 状 態,と 殺 後 の卵 回収 部 位,受 精 卵 の 発 育 ス テ ー ジ等 の点 で 他 の供 試 豚 と明 らか に 異 な るた め 例 外 と して 処 理 した 。 こ の豚 を除 く各 処 置 区 で の外 陰 部 徴 候 の経 時 的 変 化 の平 均 を示 す と,Fig.2の とお りで あ る。 個 体 に よ り処 置 後 の外 陰 部 徴候 発 現 時 刻 とそ の後 の 反 応 強 度 の変 化 に は パ ラ ツキ が み られ た が,A,B,C の3区 で は 共 に 類 似 の経 時 的 変 化 が示 され,3区 間 で の 有 意 差 は認 め られ な か っ た。 これ ら3区 の総 平 均 で み る と,PMSGま た はPMSG/HCGの 処 置 後28時 間 で 強 度1,44時 間 で強 度2,76時 間 で 強 度3に 達 した 。 徴 候 の ピー クは92時 間 か ら110時 間 に か け て 示 され, Fig. 1. Time of each treatment for the induction of estrus, ovulation and
fertiliza-tion experiment in prepuberal gilts.
116時 間 以 降 は 徴 候 の消 退 が 認 め られ た 。 これ ら の供 試 豚17頭 の うち 強 度4を 示 した 豚 はA区2頭,B区4頭, C区4頭,計10頭(59%)で あ った が,精 液 液 入 時 に 許 容 性 発情 を 認 め た 豚 は 各 区2頭,計6頭(35.3%)で 少 な か っ た(Table1)。ET投 与 区 の場 合 も,外 陰 部 徴 候 は92時 間 後 の 検 査 で ピ ー クに 達 した が,そ の持 続 時 間 はETを 投 与 しな い 場 合 と く らべ て 長 く,と くにB', C'区 で は と殺 直 前(140時 間)ま で 続 い た 。 投 与 した 9頭 中7頭(78%)が 強 度4を 示 した が,精 液 液 入 時 に 許 容 性 発 情 を認 め た豚 は2頭(22.2%で あ った(Table 1)。 これ らの外 陰部 徴 候,背 圧 反応 あ るい は 他 の雌 豚 へ の 乗 駕 行 動 や試 情 用 雄 豚 に対 す る挙 動 か ら判 定 した 発 情 徴 候 の差 は必 ず し も精 液注 入 の難 易 度 と一 致 せ ず,予 定 し た50 mlま た は60 mlの 精 液 量 を 全 く漏 ら さず に注 入 で きた の は6頭(う ちET投 与 例4頭)に 過 ぎな か った (Table1)。 他 の21頭 で は5∼35 ml,平 均20 mlの 注 入 ロス が認 め られ た 。 そ の結 果,実 際 に 雌1頭 に 注 入 さ れ た精 液 量 は25∼60 ml,生 存 精 子 総 数 は25∼120億 で あ っ た。 子 官重 量 子 宮 重 量 は166∼168日 令,体 重82∼106kgの 無 処 置 豚5例 で46∼1129,平 均749で あ った の に 対 し, A,B,C区 で はそ れ ぞれ165∼2759,140∼2209, 相 関 が 認 め られ た(r=0.53,P<0.01)。 B'区 の2頭 を除 い て,他 の豚 は と殺 時 ま で に排 卵 を終 了 し てい た(Table1)。 これ らの両 側 卵 巣 に み られ る排 卵 数 は 個 体 に よ り大 き く変 異 し,範 囲1∼21個,平 均8.6 個 で 各 処 置 区 間 に 有 意 差 は 認 め られ な か った 。 な お,右 側 よ りも左 側 卵 巣 か ら の排 卵 数 が 多 い こ とが 観 察 され た (左59.4%,右40.6%,P<0.01)。 直 径5mm以 上 の残 留 卵 胞 数 は,B,区 の排 卵 の認 め られ な った2頭 で8∼10個 と多 か った が,こ れ を 除 い た 場 合 は0∼9個,平 均1.8個 と少 な く,各 処 置 区 間 に 有 意 差 は認 め られ な か った 。 また,血 様 卵 胞 は ほ とん ど認 め られ な か った 。 卵 子 の 回収 率 な らび に 受 精 成 績 Table1に み られ る とお り,計183個(排 卵 数 の 88.4%)の 卵 が 卵 管 か ら回 収 され た 。 こ の ほか に,B区 の 例 外 的 に発 情 を 示 した 豚1頭 で は 排 卵 数14個 の うち 4個 の 卵が 子 宮 か ら回 収 され た 。 こ の例 外 を 除 き,各 区 に お け る卵 回収 率 はA,B,C,B,区 で96.3∼100% と高 く,A',C'区 で は50∼62.5%と 低 か った 。 排 卵 例25頭 中5頭 で は 全 く受 精 卵 が 得 ら れ な か っ た。 と くに,そ の うち4頭(A,B,C,B,区 各1頭)の 卵 は未 だ卵 丘 の細 胞 に 包 まれ て お り,他 の豚 で は 全 て裸 化卵 で あ った こ とか ら,こ れ ら4頭 で は 排 卵 時 刻 が 他 の 豚 よ り も遅 延 した もの と判 断 され た 。 これ らを含 め た 回 収 卵 の受 精 率 は全 体 で64.5%で,上 記4頭 を 除 い た 場 合 は77.6%で あ っ た。 各 区 で の 卵 の 受 精 率 はA区 で最 も高 く(82%,排 卵 遅 延豚 を 除 く と95.4%,P<0.05), B'区 で0%(排 卵 の認 め られ な か った2頭 と 排 卵遅 延 豚1頭)で あ った ほ か は,区 間 の 差 が 認 め られ な か っ た (範囲50∼65.5%,排 卵遅 延豚 を 除 く と50∼77.6%)。 各 処 置 区 の受 精 卵 の 発 育 ス テ ー ジ に は 明 瞭 な 差 が認 め られ た(P<0.01)。 た だ し,ET投 与 の卵 の発 育 ス テ ー ジに 対 す る影 響 は,B'区 の 全 く受 精 しな か った1例 を 除 い て有 意 な 差 と して は認 め られ な か っ た。B区 の例 外 Fig. 2. Time-related change in the red
colo-uring and swelling of vulva after the administration of various hormones to prepuberal gilts.
家 畜 繁 殖 誌22巻4号
割 卵(3個)で あ り,A区 で3個,A'区 とC区 で 各1 個 認 め られ た 。 考 察 雌 豚 の性 成 熟 到 達 時 期 は,品 種,系 統 日令,体 重, 雄 豚 に よ る性 的 刺 激 の有 無,そ の他 の諸 因 子 に よ っ て影 響 を受 け るの で,厳 密 に は 供 試 豚 に 対 照 区 を設 け てそ の 時 期 を 検討 す る必 要 が あ る。 今 回 の供 試 豚 で こ の 点 の調 査 は行 われ な か った が,供 試 豚 の1頭 で 処 置 開 始 当 日か ら発 情 徴候 が 観 察 され た こ とか ら,性 成 熟 期 に間 近 い時 期 の豚 が供 試 され た と考 え られ る。 各処 置 区 で の 処 置 開 始 後 の 外 陰 部 徴 候 は,ET処 置 区 を 除 い て 類 似 の経 過 を 示 した 。 そ の徴 候 が 明瞭 と な った 時 刻,約44時 間(強 度2),は これ まで の 報 告2,5)の約 48時 間 とほ ぼ一 致 す る。 処 置 開 始 後76時 間 か ら116 時 間 に か け て 外 陰 部 徴 候 は よ り鮮 明 と な っ た(強 度3, 4)。 この 時 間 的 変 化 も これ まで 観 察 され て い る 発 情 徴 候 出 現 と持 続 日数(処 置 開 始 後4∼5日6))に ほぼ 符 合 して い る。 しか し,明 瞭 な 外 陰 部 徴 候 に もかか わ らず, 各 区 と も正 常 な 発 情 と判 定 され た 例 は少 な か っ た 。 ま た,雄 に対 す る許 容 状 態 も典 型 的 な も ので な く,精 液 の 注 入 時 に は雌 の 保 定 が 必 要 で,処 置 豚 の70%で は注 入 時 に外 陰 部 か ら の精 液 の漏 出 が 認 め られ た 。 こ れ ら は A,B,C区 と も大 差 な く,発 情 徴 候 に 関 す る限 りこれ ま で 考 え られ て い る よ うに 処 置 法BがAよ り勝 れ た 発 情 誘 起 法 で あ る6)と は 断 言 で きな い 。ET投 与 区 で は精 液 の注 入 が や や 容 易 に な った が,そ の影 響 が 長 時 間 残 り, B'区 で は 排 卵 の遅 延 が 生 じた 。 こ の よ うに,外 陰 部 徴 候 か らみ て発 情 は あ る程 度 同 期 的 に 誘 起 され た と考 え ら れ るが,そ の 徴 候 に よ って 精 液 の液 入 適 期 を 選 ぶ こ とは 困難 で あ ろ う。 これ ま で,未 経 産豚 の 発 情 前 期 の 終 わ り頃 にHCGを 投 与 す る と排 卵 は そ の40∼46時 間 後 に 誘 起 され る こ と が 知 られ て い る13∼15)。ま た,性 成 熟 前 雌 豚 に お け る誘 例 外 的 に 卵 丘 の細 胞 付 着 に よ り遅 延 した 排 卵 と判 定 さ れ た4頭 の豚 が な ぜ 生 じた か は不 明 で あ る。 豚 卵 子 は排 卵 後12時 間経 過 して も完 全 に裸 化 され な い もの が あ る こ とが 観 察 され て い る16)ので,こ れ らの 豚 で は と殺 前12 時 間 以 内(処 置 開 始 後129時 間 以 降)に 排 卵 した もの と 考 え られ る。 これ らは 全 て不 受 精 卵 子 で あ った が,雌 生 殖 器 道 内 で の 豚 精 子 の 受 精 能 保 有 時 間 が 最 大 限21∼24 時 間 とい われ て い る17)ことか ら,そ の不 受 精 原 因 は 精 液 の注 入 時 刻 と排 卵 時 刻 の大 きな ず れ に 求 め られ よ う。 こ の よ うな排 卵 遅 延豚 の 外 陰 部 徴 候 に は 他 の豚 と比 較 して 明瞭 な 差 が認 め られ な か った こ とか ら,対 策 と して は 精 液 の注 入 回数 を 増 す 以外 に な い と考 え られ る。 受 精 卵 の発 育 ス テ ー ジはC区 で最 も進 み,つ い でA 区,B区 の順 で あ った 。 も し,排 卵 が 個 体 内 で 一斉 に 誘 起 され,卵 子 へ の 精 子 侵 入 が 一斉に 起 こ った と想 定 す れ ば,排 卵 時 刻 もC,A,Bの 順 序 で 微 妙 な 差 が 生 じた と み る こ とが で き るが,こ の 点 は 推 測 の 域 を 出 な い。 た だ,卵 の受 精 率 を一 層 向 上 さ せ るた め に は 今 後 注 入 適 期 の 詳細 な検 討 が 必 要 と思 わ れ る。 排 卵 数 は どの処 置 区 で も少 な く,5mm以 上 の残 留 卵 胞 数 も少 な か った こ とか ら,各 区 と も卵 胞 発 育 刺 激 が 比 較 的 軽 度 で あ っ た と判 断 され る。PMSG投 与 量 と 排 卵 数 に は密 接 な 関 係 が あ り,PMSG750iuで 約16個 の排 卵 が期 待 で き る と の報 告 が あ る5)。 こ の期 待 値 よ り少 な か っ た こ との原 因 は不 明 で あ るが,PMSG製 品 の 違 い か,供 試 豚 のPMSGに 対 す る反 応 性 の違 い に よ る も の か も知 れ な い。 卵 回 収率 はET投 与 区 を 除 い て非 常に 良好 で あ った 。 こ の こ とは 卵 の 卵 管 内 下 降 が 斉 一に 行 わ れ て い る こ とを 示 唆 し,ET投 与 に よ る卵 下 降 の乱 れ の可 能 性 も示 唆 し て い る。ET投 与 のA',C'区 で 受 精 卵 の発 育 ス テ ー ジは A,C区 と変 わ らな か った が,卵 の受 精 率 が 低 か った こ との原 因 は不 明 で あ る。 また,ET投 与 に よ って 子 宮 重 量 が 著 し く増 加 した が,類 似 の知 見 は ジ エチ ル ス チ ル ベ
家 畜 繁 殖 誌22巻4号 ス テ ロー ル を用 い た 成 績 で も認 め られ てい る18)。 以 上 の成 績 か ら,180日 令 の性 成 熟 前 の雌 豚 に 対 す る 3種(A,B,C)の 排 卵 誘 起 法 は い ず れ も 有 効 で あ り,精 液 の注 入 適 期 の 選 択 に よ って 高 い 受 精 率 を 期 待 で き る こ と,及 びET投 与 の併 用 は 必 ず しも必 要 で な く, む しろ受 精 成 績 に は マ イ ナ ス 効 果 を もた らす こ とが 示 さ れ た 。 ま た,全 体 を 通 して 誘 起 排 卵 数 が 少 な く,豚 の 妊 娠 維 持 に は受 精 卵 数5個 以 上 が必 要 とい わ れ て い る19) が,そ の よ うな 雌 は11頭 に 止 ま った こ と(1∼4個 の 受 精 卵 保 有 雌 は9頭),お よび 卵 巣 と子 宮 の 重 量 か らみ て未 だ発 育 が 不 十 分 で あ った こ とな どか ら,今 回 の よ う な 処 置 条 件 下 で 受 胎 と分 娩 を試 み るの は 時 期 尚 早 の お そ れ が あ る と考 え られ る。 従 っ て,こ の 時 期 は 性成 熟 前 の 雌 豚 の発 情 周 期 の ス タ ー タ ー と して排 卵 を 同 期的 に誘 起 し,そ の後 の正常 な 発 情 周 期 を期 待 す べ き で あ る と思 わ れ るが,こ の点 に つ い て は 目下 検 討 中 で あ る。 要 約 約180日 令 の 性 成 熟 前 の雌 豚 計27頭 に,PMSG750 iuとHCG500iuま た は合 成 黄 体 形成 ホ ル モ ン放 出 ホ ル モ ンの類 縁 物 質(LHRH-A)0.1mgを それ ぞれ72 時 間 間 隔 で 分離 投 与 し(処 置 法Aま た はC),あ る い は PMSG400iuとHCG200iuを 混 合1回 投 与 し(処 置 法B),発 情 と排 卵 の誘 起 を試 み る と共 に,処 置 開始 後 98時 間 で 人 工授 精 した 場 合 の受 精 成 績 を比 較 検 討 した 。 また,処 置 開始 後88時 間 で エ ス トリオ ー ル(ET)10 mgを 投 与 した 場 合 の影 響 につ い て もあわ せ て調 査 した (処置 法A',B',C')。 処 置豚 は全 て外 陰 部 の色 調 と腫 脹 の状 態 に 変 化 を 示 し,そ の反 応 の ピー クは 処 置 開 始 後 約92時 間 か ら100 時 間 に か け て認 め られ た 。 しか し,雄 を許 容 す る状 態 の 発 情 の誘 起例 は少 な く処 置 豚 の30%に と ど ま った 。ET 注 射 後,外 陰 部 徴 候 は や や 増 幅 され そ の影 響 は 長 時 間 持 続 した が,雄 を許 容 す る状 態 の発 情 の誘 起 に は 顕 著 な 効 果 は認 め られ な か った 。 そ の結 果,人 工 授 精 時 に 外 陰 部 か らの精 液 の 漏 出 な く注 入 で きた のは 処 置 豚 の22.2% で あ った。 処 置 開始 後141時 間 で と殺 した と こ ろ,B'区 の2頭 を 除 い て 全 て排 卵 が 誘 起 され た 。 排 卵 数 は 比 較 的 少 な く 平 均8.6個 で あ った が,変 異 が 大 き く処 置 法 間で の差 は 認 め られ な か っ た。 卵 回 収 率 は 処 置 法A,B,C区 で 96∼100%と 極 め て 良 好 で あ った が,ETを 投 与 し た A',C'区 で は50∼62.5%の 低 い 成 績 で あ った 。 受 精 卵 は排 卵 した 雌 の80%か ら回 収 され た 。 受 精 卵 の 全 く認 め られ な か っ た個 体 で の不 受 精 原 因 は,用 い た 処 置 法 に よ る もので は な く,原 因不 明 の排 卵 遅 延 に 主 と して起 因 す る も の と推 察 され た 。 回収 卵 の受 精 率 は,A区 で 有 意 に 高 か った(82%)ほ か は処 置 法 に よ る差 を 認 め な か っ た(総 平 均64.5%)。 しか し,受 精 卵 の 発 育 ス テ ー ジは 用 い た処 置 法 に よ って 異 な った:CとC'区 で 最 も発 育 が 進 み(61.4%は 分割 卵),つ い でAとA'区(35.4% が 分割 卵)で,B区 で は 全 て前 核 期 卵 で あ っ た 。 こ の卵 の発 育 差 か らみ て,用 い る処 置 法 に よ り排 卵 時 刻 に 微 妙 な 差 が生 ず る可 能 性 が あ り,人 工 授 精 の タイ ミソ グに注 意 す る必 要 の あ る こ とが示 唆 され た 。 以上 の よ うな誘 起排 卵 後 に 正常 な 発 情 周 期 の反 復 が 認 め られ る か,ま た 高 い 受 胎率 と正常 範 囲 の産 子 数 が 得 ら れ るか ど うか につ い て は 目下 検 討 中 で あ る。 実 験 に用 い た 合 成LHRH-Aを 提 供 し て頂 い た武 田 薬 品 工業 の 小 野浩 臣 氏 に深 謝 い た し ます 。 (1976.7.31受 付)
文
献
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and subsequent
fertilization
after an artificial
insemination
at 98 h from the initiation
of treatment.
The effect of 10 mg estriol (ET) injection to each treatment
above mentioned,
given at 88 h from the
initiation
of treatment
was also investigated
(method A', B' and C').
All the treated
gilts, 27 in total, showed red colouring and swelling of vulva which
reached
its
maximum
about 92 h to 100 h from the
initiation
of treatment.
Standing
reflex was not induced
effectively,
induced in only 30% of the gilts, and a pars of semen was frequently
discharged
from
the vulva at the time of insemination.
By ET injection
the vulval
reaction
was augmented
but
retained
longer and not so effective for the induction of standing
reflex.
When the gilts were killed at 141 h from the initiation
of treatment,
ovulation
was induced in
all the gilts except for two gilts by method B' where the ovulation appeared
to be delayed by ET
injection.
Number of follicles ovulated was comparatively
moderate
(mean no. 8.6) but variable
and
did not differ significantly
by the methods.
Eggs were recovered quite efficiently from the oviducts of gilts treated
by method
A, B and C
(96% to 100%), but less efficiently from the gilts after ET injection (50% to 62.5%).
Fertilized
eggs
were recovered from 80% of gilts ovulated.
The failure of fertilization
in the others was considered
not to be due to the methods used, but mainly attributable
to the delayed ovulation from unknown
reason.
The fertilization
rate of recovered eggs did not differ significantly
by methods (overall mean
64.5%) except for those of method A where the rate was significantly
higher (82%).
However,
the
stage of development
of fertilized
eggs was significantly
different
by the methods used; the most
advanced stage (61.4% were of cleaved) by method C and C', the middle stage (35.4% were of cleaved)
by method A and A', and the delayed stage (all at pronuclear) by method B.
This difference suggests
that there may be subtle difference of ovulation time by induction methods used and careful
choice
of the timing of insemination
may be necessary.
Whether normal estrus can be cycled after the induced ovulation and whether high conception rate and normal range of litter size can be obtained are now under investigation.