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13) Chen, W-H., Peng, J. and Bi, X. T.: A state-of-the-art review of biomass torrefaction, densification and applications, Renewable and Sustainable Energy Reviews, 44 (2015), 847-866.
14) Kumar, G., Shobana, S., Chen, W-H., Bach, Q-V., Kim, S-H., Atabanif, A. E. and Chang, J-S.: A review of thermochemical conversion of microalgal biomass for biofuels: chemistry and processes, Green Chem., 19 (2017), 44-67.
15) ISO/TC238: ISO/TS 17225-8:2016 Solid biofuels –Fuel specifications and classes – Part 8: Graded thermally treated and densified biomass fuels, (2016).
16) Sawai, T., Katayama, I., Ida, T. and Kajimoto, T.: Estimation of energy properties of torrefied Japanese cedar with colorimetric values, Mechanical Engineering Journal, 4-1 (2017).
17) Sawai, T., Hirokawa, N., Kajimoto, T. and Ichino, Y.: Thermo-fluid phenomena of torrefied woody biomass and optimum molding condition of torrefied wood briquette, Journal of JSEM, 14 (2014),
s7-s12.
18) Ikegiwa, H., Hirata, S., Hiraoka, K. and Kajimoto, T.: A simple process of wood carbonization and the characteristics of wood carbonized at lower heat temperatures (in Japanese), Journal of the Japan Wood Research Society, 41 (1995), 516–521.
19) Pintiaux, T., Heuls, M., Vandenbossche, V., Murphy, T., Wuhrer, R., Castignolles, P., Gaborieau, M. and Rouilly, A.: Cellulose consolidation under high-pressure and high-temperature uniaxial compression, Cellulose, 26 (2019), 2941-2954.
20) Japan Institute of Energy: Biomass Handbook, Ohmsha, Ltd (2009), 120-128.
21) Ohyanagi, Y.: Engineering plastic, Morikita Publishing Co., Ltd. (1985), 69-70.
22) Tumuluru, J. S., Wright, C. T., Hess, J. R. and Kenney, K. L.: A review of biomass densification systems to develop uniform feedstock commodities for bioenergy application, Biofuels Bioprod Bioref., 5 (2011), 683–707.
微生物燃料電池による排水処理の効率化に関する研究
—電気出力と
COD の減少速度との関係—
高 岡 大 造
*,田 中 幸 徳
*,森 幸 治
*,飯 田 裕 貴
**,井 端 な な こ
***Study on Improving the Efficiency of Wastewater Treatment
using Microbial Fuel Cells
—Electricity Output and Water Purification Capacity
when changing the External Resistance—
Daizo TAKAOKA*, Yukinori TANAKA*, Koji MORI*, Yuki IIDA** and Nanako IBATA***
In order to develop an efficient water purification method using microbial fuel cells (MFCs), we experimentally investigated not only the time history of the electrical output and the I-V characteristics of MFCs with external resistance of 100Ω and 1000Ω, but COD changes of the artificial waste water whose types were set to acetic and butyric acid. There was almost no electrical output at the beginning of the experiment. The MFCs, however, had the electrical output as the experiment progresses since there were microorganisms that generate electricity. In addition, the electrical output of 100Ω was higher than that of the external resistance of 1000Ω. At this time, there was a correlation between the value of the electric output and the rate of decrease of COD, and the correlation becomes stronger when the electric output was high. Finally, it was confirmed that the value of the external resistance that maximizes the electrical output changes according to the state of the MFC cell. From the above results, it has been shown that controlling the external resistance to maximize the electrical output may accelerate the rate of COD reduction.Keywords: Microbial fuel cell, Microorganism, Fuel cell, Water purification, Electrical output, External resistance
1.緒 言 従来の排水処理技術として微生物の好気代謝を利用し た活性汚泥法が広く普及している.活性汚泥法は十分な水 質浄化能力を有しているが,微生物を好気呼吸させるため に曝気を行うことにより莫大な電力消費を必要とし,また, 大量に増殖した微生物汚泥が廃棄物として発生するなどの 欠点を有している 1),2).言い換えると,有機性排水につい て,排水中に存在する炭素源に含まれる化学エネルギーが 未使用であるだけでなく,浄化するために莫大なエネルギ ーが投入され,廃棄するためにさらにエネルギーを使用す ることで排水処理が行われている1),2). これに対し,嫌気状態での微生物の代謝反応を利用して, 微生物が排水中の有機物を酸化処理する際に生成される電 子とプロトンを取りだし発電を行う微生物燃料電池(MFC) が注目されている.MFC による排水処理は,嫌気性微生物 による処理であるため汚泥の発生量が抑えられる.また, エアカソードを使った一槽式の場合には曝気の必要がなく, 省エネルギーな排水処理が可能となる.さらに,MFC では, 排水処理を担う嫌気性微生物(発電菌)によって排水中に 含まれる有機物から電気エネルギーを回収することが可能 である3),4). 以上のことから実用化に向けた研究が進められており, 電極や触媒の材料開発,構造の最適化や排水組成の違いに よる処理特性の検討などが行われている 5),6)が,実排水の 組成の変化に柔軟に対応し,効率的な処理を目指す研究例 は少ない.この中で,窪田らは,酢酸,プロピオン酸,酪 酸について外部抵抗を変化させてその COD 分解速度の調 査を行い,酢酸とプロピオン酸では低外部抵抗時に COD 分解速度が増加し,酪酸では高外部抵抗時にその傾向が表 れることを示した 7).しかし,排水組成が経時的に変化す る実排水への適用には,さらに進めて,排水組成ごとの経 過時間に対する外部抵抗と COD 分解速度の関係を求める ことが必要であると考えられる. 我々は活性汚泥法に代わるMFC による効率的な水質浄 化手法の開発の一つとして,処理の経過に伴う,外部抵抗 と,電気出力及びCOD の関係を実験的に調べてきた8),9). 今回,排水組成の変化に対応する効率的な水質浄化方法に ついて,一つの可能性を見出したので報告する. 2.実験装置 実験に用いたMFC セルの概略構造(a 図)と設置状況(b 図)をFig. 1 に示す.セル構造は,曝気の必要のない 1 槽 式とし,カソードが上面にある縦型とした.縦型としたの 原稿受付 2020 年 12 月 22 日 * 正会員 大阪電気通信大学工学部(〒572-8530 大阪府寝 屋川市初町18-8) ** 株式会社加藤電機製作所(〒664-0847 兵庫県伊丹市藤ノ 木3-6-8) *** 東レエンジニアリング株式会社(〒103-0028 東京都中央 区八重洲1-3-22) 23 7
-は,一般に研究が進められている横型では,カソードへの 撥水処理が不十分になった場合の水漏れの可能性があり, これを除去するためである.アノード槽は円筒構造とし, 内径100mm, 高さ 80mm, 有効容積 717mL,電極間距離は 約40mm である.実験では,MFC セルのアノード槽に挿入 された排水を攪拌するために,マグネチックスターラーを 用いた.アノードには厚さ 5mm のカーボンフェルト(日 本カーボン,GF-20-5F),カソードには活性炭添着ろ紙(安 積濾紙,TID-01)を用いた.投影面積はともに,50.2cm2 で,アノードには,2 枚のカーボンフェルトで集電を担う パンチングメタルを挟む構造にした.カソードには,処理 液との接触面に,酸素の透過を抑制するために一般的に使 用されているNafion 膜に代わって MF 膜を使用した.カソ ードでの集電は,カソード開口部径の大きさに打ち抜いた ステンレスの薄板を,活性炭添着ろ紙の上面に配置するこ とによって行った.アノードとカソードからの電流の取出 しはミノ虫クリップを用いた. 実験装置全体の外観を,Fig. 2 に示す.図のように,実 験ではFig. 1 に示した MFC セルを 4 台並べ,それぞれ,次 項に示すように条件を変えて実験を行った.4 台の MFC セ ルの後ろにある4 台の小型水槽は,槽内の処理水が蒸発し たときに水位の低下を防止するための補給水を入れたもの である.また,図の右奥にあるのは,ダイヤル式の可変抵 抗器(安藤電気製,側搬1号M 可変抵抗器)で,MFC セ ルの外部抵抗をこれによって設定した.
(a) Schematic structure diagram (b) Installation situation Fig. 1 Microbial fuel cell (MFC)
Fig. 2 Appearance of the entire experimental equipment
3.実験処理水
実験に用いた処理水は,大阪電気通信大学四条畷キャン パスの浄化槽から採取した活性汚泥に,酢酸ナトリウム 8458mg/L あるいは酪酸ナトリウム 5936mg/L,さらに Table
Table 1 Chemicals added to the treated water Chemical formula Input amount [mg/L]
NH4Cl 310 NaHCO3 3130 NaH2PO4 4220 Na2HPO4 2750 KCl 130 1 の無機塩類を加えて,最終的に 1000mgCOD/L に調製し て,異なる2種類の溶液を処理水とした.(「4.実験方法」 参照) 4.実験方法 抵抗値を100Ωと 1000Ωに固定した可変抵抗器に,MFC セルの出力端子を接続して,出力電圧と電流の経時変化を 測定した.この電圧と電流の変化はデータロガー(江藤電 機製,5215A)に1分間隔で収録した.したがって,実験 に供したMFC セルは 4 つとなり,それぞれの実験条件を まとめるとTable 2 のようになる.なお,以後の文章におい て,実験条件の番号が記載されているときは,Table 2 で示 した実験条件を表すものとする. 電気出力の経時変化測定の他に,実験開始から任意の時 間ごとに,電流―電圧(I-V)特性と COD を測定した.I-V
特性は,上述の可変抵抗器の抵抗を10000Ωから 5Ωまで外 部抵抗値を変化させることにより測定した.抵抗値は,現 在の抵抗値における電圧と電流の値が変化せず定常状態に なるまで待って変化させた.電圧と電流が定常状態になる までの時間は,抵抗値により異なり,1~5 分の間であった. COD は吸光光度計(HACK 社,DR5000)を使用して過マ ンガン酸法により測定した. 実験継続中に電気出力や COD が低下したときには,セ ル内の処理水のうち500mL を廃棄し,Table 1 の無機塩類 と 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 8548mg/L ま た は 酪 酸 ナ ト リ ウ ム 5936mg/L を四条畷キャンパスの浄化槽から採取した活性 汚泥に溶解したものを投入して,COD が 1000 mg/L になる ように調整した溶液500mL をセル内に投入して,回分操作 を行った.
Table 2 Experimental conditions No. carbon source external resistance [Ω]
1 sodium acetate 1000 2 sodium acetate 100 3 sodium butyrate 1000 4 sodium butyrate 100 5.実験結果と考察 5.1 出力電流の経時変化 外部抵抗を100Ωとし,処理水に酢酸(実験 No.2)と酪 酸(実験No.4)をそれぞれ投入したときの,電流値の時間 経過をFig. 3 に示す.図中の矢印は,それぞれの処理水で COD の値が低下したために,酢酸と酪酸を追加投入した回 分操作の時期を示している.また,矢印の色は,回分操作 を行った MFC セルの種類に対応し,青色が酢酸溶液の回 分操作であり,オレンジが酪酸溶液に対するものである. 図から,電流の立上りは,酪酸は10 日前後で立ち上がって いる.一方,酢酸の場合は75 日経過した時点で立ち上がっ ているが,このときは継続せず,100 日を過ぎた時の立上 りのときに初めて電流が継続して得られるようになった. なお,実験開始から,酪酸の場合の約75 日までの間,酢酸 の場合の約100 日までの間で電流値が間欠的になった.こ れは,MFC の設置が Fig. 1 に示したようにカソードが上面 にあるため,カソードから内部の処理水が蒸発し,カソー ドと処理水の間に空間ができることがあったためである. Fig. 2 に示したように 4 つの MFC セルそれぞれの後ろに補 給水用水槽を用意したが,注意することを怠ったことが原 因である.以降は注意して改善した. 外部抵抗を1000Ωとして,Fig. 3 と同様に処理水に酢酸 (実験No.1)と酪酸(実験 No.3)をそれぞれ投入したとき の,電流値の時間経過をFig. 4 に示す.電流の大きさは, Fig. 3 の外部抵抗 100Ω の場合と比較して明らかに小さくな っていることが分かる.出力の立ち上がりと継続時間につ いては,酪酸では,100Ω の場合とほぼ同様の傾向を示して いるが,酢酸では,1000Ωの場合に経過日数 75 日のところ で立ち上がり,その後継続した電流値を示している.なお, 実験の初期に電流値が継続していない理由は,Fig. 3 の場
Fig. 3 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 100Ω
Fig. 4 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 1000Ω
合と同様である. 酢酸,酪酸いずれの場合も外部抵抗100Ω のほうが 1000Ω に比較して微生物の代謝により生成される電流値が高かっ たことから,外部抵抗 100Ω のほうが微生物の代謝反応が 活発であったと考えられる. なお,実験は電流値が大きかった外部抵抗 100Ωで継続 したMFC セルの出力が,酪酸では実験開始から約 140 日, 酢酸では約150 日経過した時点で出力が低下したので,実 験開始から150 日で計測を終了した. 5.2 I-V 特性の変化 実験開始から52 日経過したときの MFC の,I-V 特性を Fig. 5 に,電流に対する I-V 特性の測定結果から求めた出力 (出力特性)をFig. 6 に示す.Fig. 6 から,この時点では酢 酸溶液のほうはほとんど出力が出ていないことが分かる. 一方,酪酸溶液のほうは,後述する約100 日を経過したと きの出力ほど大きいとは言えないが,外部抵抗1000Ωで実 験を継続していたMFC(実験 No.3)が約 500μW,100Ωの MFC(実験 No.4)が約 100μW の出力を認めることができ た.この時点で,酢酸溶液のほうは出力が出ていないと記
したが,拡大してみると,Fig. 7,Fig. 8 のようになる.Fig.
7 が I-V 特性で,Fig. 8 が出力特性である.図からわかるよ うに,非常に小さな値であるが,実験中に接続していた外 部抵抗で比較すると,1000Ωのほうが,酪酸の場合と同様 に出力が大きくなっていることが分かる.
Fig. 5 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 6 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
は,一般に研究が進められている横型では,カソードへの 撥水処理が不十分になった場合の水漏れの可能性があり, これを除去するためである.アノード槽は円筒構造とし, 内径100mm, 高さ 80mm, 有効容積 717mL,電極間距離は 約40mm である.実験では,MFC セルのアノード槽に挿入 された排水を攪拌するために,マグネチックスターラーを 用いた.アノードには厚さ 5mm のカーボンフェルト(日 本カーボン,GF-20-5F),カソードには活性炭添着ろ紙(安 積濾紙,TID-01)を用いた.投影面積はともに,50.2cm2 で,アノードには,2 枚のカーボンフェルトで集電を担う パンチングメタルを挟む構造にした.カソードには,処理 液との接触面に,酸素の透過を抑制するために一般的に使 用されているNafion 膜に代わって MF 膜を使用した.カソ ードでの集電は,カソード開口部径の大きさに打ち抜いた ステンレスの薄板を,活性炭添着ろ紙の上面に配置するこ とによって行った.アノードとカソードからの電流の取出 しはミノ虫クリップを用いた. 実験装置全体の外観を,Fig. 2 に示す.図のように,実 験ではFig. 1 に示した MFC セルを 4 台並べ,それぞれ,次 項に示すように条件を変えて実験を行った.4 台の MFC セ ルの後ろにある4 台の小型水槽は,槽内の処理水が蒸発し たときに水位の低下を防止するための補給水を入れたもの である.また,図の右奥にあるのは,ダイヤル式の可変抵 抗器(安藤電気製,側搬1号M 可変抵抗器)で,MFC セ ルの外部抵抗をこれによって設定した.
(a) Schematic structure diagram (b) Installation situation Fig. 1 Microbial fuel cell (MFC)
Fig. 2 Appearance of the entire experimental equipment
3.実験処理水
実験に用いた処理水は,大阪電気通信大学四条畷キャン パスの浄化槽から採取した活性汚泥に,酢酸ナトリウム 8458mg/L あるいは酪酸ナトリウム 5936mg/L,さらに Table
Table 1 Chemicals added to the treated water Chemical formula Input amount [mg/L]
NH4Cl 310 NaHCO3 3130 NaH2PO4 4220 Na2HPO4 2750 KCl 130 1 の無機塩類を加えて,最終的に 1000mgCOD/L に調製し て,異なる2種類の溶液を処理水とした.(「4.実験方法」 参照) 4.実験方法 抵抗値を100Ωと 1000Ωに固定した可変抵抗器に,MFC セルの出力端子を接続して,出力電圧と電流の経時変化を 測定した.この電圧と電流の変化はデータロガー(江藤電 機製,5215A)に1分間隔で収録した.したがって,実験 に供したMFC セルは 4 つとなり,それぞれの実験条件を まとめるとTable 2 のようになる.なお,以後の文章におい て,実験条件の番号が記載されているときは,Table 2 で示 した実験条件を表すものとする. 電気出力の経時変化測定の他に,実験開始から任意の時 間ごとに,電流―電圧(I-V)特性と COD を測定した.I-V
特性は,上述の可変抵抗器の抵抗を10000Ωから 5Ωまで外 部抵抗値を変化させることにより測定した.抵抗値は,現 在の抵抗値における電圧と電流の値が変化せず定常状態に なるまで待って変化させた.電圧と電流が定常状態になる までの時間は,抵抗値により異なり,1~5 分の間であった. COD は吸光光度計(HACK 社,DR5000)を使用して過マ ンガン酸法により測定した. 実験継続中に電気出力や COD が低下したときには,セ ル内の処理水のうち500mL を廃棄し,Table 1 の無機塩類 と 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 8548mg/L ま た は 酪 酸 ナ ト リ ウ ム 5936mg/L を四条畷キャンパスの浄化槽から採取した活性 汚泥に溶解したものを投入して,COD が 1000 mg/L になる ように調整した溶液500mL をセル内に投入して,回分操作 を行った.
Table 2 Experimental conditions No. carbon source external resistance [Ω]
1 sodium acetate 1000 2 sodium acetate 100 3 sodium butyrate 1000 4 sodium butyrate 100 5.実験結果と考察 5.1 出力電流の経時変化 外部抵抗を100Ωとし,処理水に酢酸(実験 No.2)と酪 酸(実験No.4)をそれぞれ投入したときの,電流値の時間 経過をFig. 3 に示す.図中の矢印は,それぞれの処理水で COD の値が低下したために,酢酸と酪酸を追加投入した回 分操作の時期を示している.また,矢印の色は,回分操作 を行った MFC セルの種類に対応し,青色が酢酸溶液の回 分操作であり,オレンジが酪酸溶液に対するものである. 図から,電流の立上りは,酪酸は10 日前後で立ち上がって いる.一方,酢酸の場合は75 日経過した時点で立ち上がっ ているが,このときは継続せず,100 日を過ぎた時の立上 りのときに初めて電流が継続して得られるようになった. なお,実験開始から,酪酸の場合の約75 日までの間,酢酸 の場合の約100 日までの間で電流値が間欠的になった.こ れは,MFC の設置が Fig. 1 に示したようにカソードが上面 にあるため,カソードから内部の処理水が蒸発し,カソー ドと処理水の間に空間ができることがあったためである. Fig. 2 に示したように 4 つの MFC セルそれぞれの後ろに補 給水用水槽を用意したが,注意することを怠ったことが原 因である.以降は注意して改善した. 外部抵抗を1000Ωとして,Fig. 3 と同様に処理水に酢酸 (実験No.1)と酪酸(実験 No.3)をそれぞれ投入したとき の,電流値の時間経過をFig. 4 に示す.電流の大きさは, Fig. 3 の外部抵抗 100Ω の場合と比較して明らかに小さくな っていることが分かる.出力の立ち上がりと継続時間につ いては,酪酸では,100Ω の場合とほぼ同様の傾向を示して いるが,酢酸では,1000Ωの場合に経過日数 75 日のところ で立ち上がり,その後継続した電流値を示している.なお, 実験の初期に電流値が継続していない理由は,Fig. 3 の場
Fig. 3 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 100Ω
Fig. 4 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 1000Ω
合と同様である. 酢酸,酪酸いずれの場合も外部抵抗100Ω のほうが 1000Ω に比較して微生物の代謝により生成される電流値が高かっ たことから,外部抵抗 100Ω のほうが微生物の代謝反応が 活発であったと考えられる. なお,実験は電流値が大きかった外部抵抗 100Ωで継続 したMFC セルの出力が,酪酸では実験開始から約 140 日, 酢酸では約150 日経過した時点で出力が低下したので,実 験開始から150 日で計測を終了した. 5.2 I-V 特性の変化 実験開始から52 日経過したときの MFC の,I-V 特性を Fig. 5 に,電流に対する I-V 特性の測定結果から求めた出力 (出力特性)をFig. 6 に示す.Fig. 6 から,この時点では酢 酸溶液のほうはほとんど出力が出ていないことが分かる. 一方,酪酸溶液のほうは,後述する約100 日を経過したと きの出力ほど大きいとは言えないが,外部抵抗1000Ωで実 験を継続していたMFC(実験 No.3)が約 500μW,100Ωの MFC(実験 No.4)が約 100μW の出力を認めることができ た.この時点で,酢酸溶液のほうは出力が出ていないと記
したが,拡大してみると,Fig. 7,Fig. 8 のようになる.Fig.
7 が I-V 特性で,Fig. 8 が出力特性である.図からわかるよ うに,非常に小さな値であるが,実験中に接続していた外 部抵抗で比較すると,1000Ωのほうが,酪酸の場合と同様 に出力が大きくなっていることが分かる.
Fig. 5 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 6 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
は,一般に研究が進められている横型では,カソードへの 撥水処理が不十分になった場合の水漏れの可能性があり, これを除去するためである.アノード槽は円筒構造とし, 内径100mm, 高さ 80mm, 有効容積 717mL,電極間距離は 約40mm である.実験では,MFC セルのアノード槽に挿入 された排水を攪拌するために,マグネチックスターラーを 用いた.アノードには厚さ 5mm のカーボンフェルト(日 本カーボン,GF-20-5F),カソードには活性炭添着ろ紙(安 積濾紙,TID-01)を用いた.投影面積はともに,50.2cm2 で,アノードには,2 枚のカーボンフェルトで集電を担う パンチングメタルを挟む構造にした.カソードには,処理 液との接触面に,酸素の透過を抑制するために一般的に使 用されているNafion 膜に代わって MF 膜を使用した.カソ ードでの集電は,カソード開口部径の大きさに打ち抜いた ステンレスの薄板を,活性炭添着ろ紙の上面に配置するこ とによって行った.アノードとカソードからの電流の取出 しはミノ虫クリップを用いた. 実験装置全体の外観を,Fig. 2 に示す.図のように,実 験ではFig. 1 に示した MFC セルを 4 台並べ,それぞれ,次 項に示すように条件を変えて実験を行った.4 台の MFC セ ルの後ろにある4 台の小型水槽は,槽内の処理水が蒸発し たときに水位の低下を防止するための補給水を入れたもの である.また,図の右奥にあるのは,ダイヤル式の可変抵 抗器(安藤電気製,側搬1号M 可変抵抗器)で,MFC セ ルの外部抵抗をこれによって設定した.
(a) Schematic structure diagram (b) Installation situation Fig. 1 Microbial fuel cell (MFC)
Fig. 2 Appearance of the entire experimental equipment
3.実験処理水
実験に用いた処理水は,大阪電気通信大学四条畷キャン パスの浄化槽から採取した活性汚泥に,酢酸ナトリウム 8458mg/L あるいは酪酸ナトリウム 5936mg/L,さらに Table
Table 1 Chemicals added to the treated water Chemical formula Input amount [mg/L]
NH4Cl 310 NaHCO3 3130 NaH2PO4 4220 Na2HPO4 2750 KCl 130 1 の無機塩類を加えて,最終的に 1000mgCOD/L に調製し て,異なる2種類の溶液を処理水とした.(「4.実験方法」 参照) 4.実験方法 抵抗値を100Ωと 1000Ωに固定した可変抵抗器に,MFC セルの出力端子を接続して,出力電圧と電流の経時変化を 測定した.この電圧と電流の変化はデータロガー(江藤電 機製,5215A)に1分間隔で収録した.したがって,実験 に供したMFC セルは 4 つとなり,それぞれの実験条件を まとめるとTable 2 のようになる.なお,以後の文章におい て,実験条件の番号が記載されているときは,Table 2 で示 した実験条件を表すものとする. 電気出力の経時変化測定の他に,実験開始から任意の時 間ごとに,電流―電圧(I-V)特性と COD を測定した.I-V
特性は,上述の可変抵抗器の抵抗を10000Ωから 5Ωまで外 部抵抗値を変化させることにより測定した.抵抗値は,現 在の抵抗値における電圧と電流の値が変化せず定常状態に なるまで待って変化させた.電圧と電流が定常状態になる までの時間は,抵抗値により異なり,1~5 分の間であった. COD は吸光光度計(HACK 社,DR5000)を使用して過マ ンガン酸法により測定した. 実験継続中に電気出力や COD が低下したときには,セ ル内の処理水のうち500mL を廃棄し,Table 1 の無機塩類 と 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 8548mg/L ま た は 酪 酸 ナ ト リ ウ ム 5936mg/L を四条畷キャンパスの浄化槽から採取した活性 汚泥に溶解したものを投入して,COD が 1000 mg/L になる ように調整した溶液500mL をセル内に投入して,回分操作 を行った.
Table 2 Experimental conditions No. carbon source external resistance [Ω]
1 sodium acetate 1000 2 sodium acetate 100 3 sodium butyrate 1000 4 sodium butyrate 100 5.実験結果と考察 5.1 出力電流の経時変化 外部抵抗を100Ωとし,処理水に酢酸(実験 No.2)と酪 酸(実験No.4)をそれぞれ投入したときの,電流値の時間 経過をFig. 3 に示す.図中の矢印は,それぞれの処理水で COD の値が低下したために,酢酸と酪酸を追加投入した回 分操作の時期を示している.また,矢印の色は,回分操作 を行った MFC セルの種類に対応し,青色が酢酸溶液の回 分操作であり,オレンジが酪酸溶液に対するものである. 図から,電流の立上りは,酪酸は10 日前後で立ち上がって いる.一方,酢酸の場合は75 日経過した時点で立ち上がっ ているが,このときは継続せず,100 日を過ぎた時の立上 りのときに初めて電流が継続して得られるようになった. なお,実験開始から,酪酸の場合の約75 日までの間,酢酸 の場合の約100 日までの間で電流値が間欠的になった.こ れは,MFC の設置が Fig. 1 に示したようにカソードが上面 にあるため,カソードから内部の処理水が蒸発し,カソー ドと処理水の間に空間ができることがあったためである. Fig. 2 に示したように 4 つの MFC セルそれぞれの後ろに補 給水用水槽を用意したが,注意することを怠ったことが原 因である.以降は注意して改善した. 外部抵抗を1000Ωとして,Fig. 3 と同様に処理水に酢酸 (実験No.1)と酪酸(実験 No.3)をそれぞれ投入したとき の,電流値の時間経過をFig. 4 に示す.電流の大きさは, Fig. 3 の外部抵抗 100Ω の場合と比較して明らかに小さくな っていることが分かる.出力の立ち上がりと継続時間につ いては,酪酸では,100Ω の場合とほぼ同様の傾向を示して いるが,酢酸では,1000Ωの場合に経過日数 75 日のところ で立ち上がり,その後継続した電流値を示している.なお, 実験の初期に電流値が継続していない理由は,Fig. 3 の場
Fig. 3 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 100Ω
Fig. 4 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 1000Ω
合と同様である. 酢酸,酪酸いずれの場合も外部抵抗100Ω のほうが 1000Ω に比較して微生物の代謝により生成される電流値が高かっ たことから,外部抵抗 100Ω のほうが微生物の代謝反応が 活発であったと考えられる. なお,実験は電流値が大きかった外部抵抗 100Ωで継続 したMFC セルの出力が,酪酸では実験開始から約 140 日, 酢酸では約150 日経過した時点で出力が低下したので,実 験開始から150 日で計測を終了した. 5.2 I-V 特性の変化 実験開始から52 日経過したときの MFC の,I-V 特性を Fig. 5 に,電流に対する I-V 特性の測定結果から求めた出力 (出力特性)をFig. 6 に示す.Fig. 6 から,この時点では酢 酸溶液のほうはほとんど出力が出ていないことが分かる. 一方,酪酸溶液のほうは,後述する約100 日を経過したと きの出力ほど大きいとは言えないが,外部抵抗1000Ωで実 験を継続していたMFC(実験 No.3)が約 500μW,100Ωの MFC(実験 No.4)が約 100μW の出力を認めることができ た.この時点で,酢酸溶液のほうは出力が出ていないと記
したが,拡大してみると,Fig. 7,Fig. 8 のようになる.Fig.
7 が I-V 特性で,Fig. 8 が出力特性である.図からわかるよ うに,非常に小さな値であるが,実験中に接続していた外 部抵抗で比較すると,1000Ωのほうが,酪酸の場合と同様 に出力が大きくなっていることが分かる.
Fig. 5 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 6 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
は,一般に研究が進められている横型では,カソードへの 撥水処理が不十分になった場合の水漏れの可能性があり, これを除去するためである.アノード槽は円筒構造とし, 内径100mm, 高さ 80mm, 有効容積 717mL,電極間距離は 約40mm である.実験では,MFC セルのアノード槽に挿入 された排水を攪拌するために,マグネチックスターラーを 用いた.アノードには厚さ 5mm のカーボンフェルト(日 本カーボン,GF-20-5F),カソードには活性炭添着ろ紙(安 積濾紙,TID-01)を用いた.投影面積はともに,50.2cm2 で,アノードには,2 枚のカーボンフェルトで集電を担う パンチングメタルを挟む構造にした.カソードには,処理 液との接触面に,酸素の透過を抑制するために一般的に使 用されているNafion 膜に代わって MF 膜を使用した.カソ ードでの集電は,カソード開口部径の大きさに打ち抜いた ステンレスの薄板を,活性炭添着ろ紙の上面に配置するこ とによって行った.アノードとカソードからの電流の取出 しはミノ虫クリップを用いた. 実験装置全体の外観を,Fig. 2 に示す.図のように,実 験ではFig. 1 に示した MFC セルを 4 台並べ,それぞれ,次 項に示すように条件を変えて実験を行った.4 台の MFC セ ルの後ろにある4 台の小型水槽は,槽内の処理水が蒸発し たときに水位の低下を防止するための補給水を入れたもの である.また,図の右奥にあるのは,ダイヤル式の可変抵 抗器(安藤電気製,側搬1号M 可変抵抗器)で,MFC セ ルの外部抵抗をこれによって設定した.
(a) Schematic structure diagram (b) Installation situation Fig. 1 Microbial fuel cell (MFC)
Fig. 2 Appearance of the entire experimental equipment
3.実験処理水
実験に用いた処理水は,大阪電気通信大学四条畷キャン パスの浄化槽から採取した活性汚泥に,酢酸ナトリウム 8458mg/L あるいは酪酸ナトリウム 5936mg/L,さらに Table
Table 1 Chemicals added to the treated water Chemical formula Input amount [mg/L]
NH4Cl 310 NaHCO3 3130 NaH2PO4 4220 Na2HPO4 2750 KCl 130 1 の無機塩類を加えて,最終的に 1000mgCOD/L に調製し て,異なる2種類の溶液を処理水とした.(「4.実験方法」 参照) 4.実験方法 抵抗値を100Ωと 1000Ωに固定した可変抵抗器に,MFC セルの出力端子を接続して,出力電圧と電流の経時変化を 測定した.この電圧と電流の変化はデータロガー(江藤電 機製,5215A)に1分間隔で収録した.したがって,実験 に供したMFC セルは 4 つとなり,それぞれの実験条件を まとめるとTable 2 のようになる.なお,以後の文章におい て,実験条件の番号が記載されているときは,Table 2 で示 した実験条件を表すものとする. 電気出力の経時変化測定の他に,実験開始から任意の時 間ごとに,電流―電圧(I-V)特性と COD を測定した.I-V
特性は,上述の可変抵抗器の抵抗を10000Ωから 5Ωまで外 部抵抗値を変化させることにより測定した.抵抗値は,現 在の抵抗値における電圧と電流の値が変化せず定常状態に なるまで待って変化させた.電圧と電流が定常状態になる までの時間は,抵抗値により異なり,1~5 分の間であった. COD は吸光光度計(HACK 社,DR5000)を使用して過マ ンガン酸法により測定した. 実験継続中に電気出力や COD が低下したときには,セ ル内の処理水のうち500mL を廃棄し,Table 1 の無機塩類 と 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 8548mg/L ま た は 酪 酸 ナ ト リ ウ ム 5936mg/L を四条畷キャンパスの浄化槽から採取した活性 汚泥に溶解したものを投入して,COD が 1000 mg/L になる ように調整した溶液500mL をセル内に投入して,回分操作 を行った.
Table 2 Experimental conditions No. carbon source external resistance [Ω]
1 sodium acetate 1000 2 sodium acetate 100 3 sodium butyrate 1000 4 sodium butyrate 100 5.実験結果と考察 5.1 出力電流の経時変化 外部抵抗を100Ωとし,処理水に酢酸(実験 No.2)と酪 酸(実験No.4)をそれぞれ投入したときの,電流値の時間 経過をFig. 3 に示す.図中の矢印は,それぞれの処理水で COD の値が低下したために,酢酸と酪酸を追加投入した回 分操作の時期を示している.また,矢印の色は,回分操作 を行った MFC セルの種類に対応し,青色が酢酸溶液の回 分操作であり,オレンジが酪酸溶液に対するものである. 図から,電流の立上りは,酪酸は10 日前後で立ち上がって いる.一方,酢酸の場合は75 日経過した時点で立ち上がっ ているが,このときは継続せず,100 日を過ぎた時の立上 りのときに初めて電流が継続して得られるようになった. なお,実験開始から,酪酸の場合の約75 日までの間,酢酸 の場合の約100 日までの間で電流値が間欠的になった.こ れは,MFC の設置が Fig. 1 に示したようにカソードが上面 にあるため,カソードから内部の処理水が蒸発し,カソー ドと処理水の間に空間ができることがあったためである. Fig. 2 に示したように 4 つの MFC セルそれぞれの後ろに補 給水用水槽を用意したが,注意することを怠ったことが原 因である.以降は注意して改善した. 外部抵抗を1000Ωとして,Fig. 3 と同様に処理水に酢酸 (実験No.1)と酪酸(実験 No.3)をそれぞれ投入したとき の,電流値の時間経過をFig. 4 に示す.電流の大きさは, Fig. 3 の外部抵抗 100Ω の場合と比較して明らかに小さくな っていることが分かる.出力の立ち上がりと継続時間につ いては,酪酸では,100Ω の場合とほぼ同様の傾向を示して いるが,酢酸では,1000Ωの場合に経過日数 75 日のところ で立ち上がり,その後継続した電流値を示している.なお, 実験の初期に電流値が継続していない理由は,Fig. 3 の場
Fig. 3 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 100Ω
Fig. 4 Changes with time of electrical current for acetic acid and butyric acid at external resistance 1000Ω
合と同様である. 酢酸,酪酸いずれの場合も外部抵抗100Ω のほうが 1000Ω に比較して微生物の代謝により生成される電流値が高かっ たことから,外部抵抗 100Ω のほうが微生物の代謝反応が 活発であったと考えられる. なお,実験は電流値が大きかった外部抵抗 100Ωで継続 したMFC セルの出力が,酪酸では実験開始から約 140 日, 酢酸では約150 日経過した時点で出力が低下したので,実 験開始から150 日で計測を終了した. 5.2 I-V 特性の変化 実験開始から52 日経過したときの MFC の,I-V 特性を Fig. 5 に,電流に対する I-V 特性の測定結果から求めた出力 (出力特性)をFig. 6 に示す.Fig. 6 から,この時点では酢 酸溶液のほうはほとんど出力が出ていないことが分かる. 一方,酪酸溶液のほうは,後述する約100 日を経過したと きの出力ほど大きいとは言えないが,外部抵抗1000Ωで実 験を継続していたMFC(実験 No.3)が約 500μW,100Ωの MFC(実験 No.4)が約 100μW の出力を認めることができ た.この時点で,酢酸溶液のほうは出力が出ていないと記
したが,拡大してみると,Fig. 7,Fig. 8 のようになる.Fig.
7 が I-V 特性で,Fig. 8 が出力特性である.図からわかるよ うに,非常に小さな値であるが,実験中に接続していた外 部抵抗で比較すると,1000Ωのほうが,酪酸の場合と同様 に出力が大きくなっていることが分かる.
Fig. 5 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 6 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 7 I-V characteristics of the MFCs for acetic acid on the
lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 8 Output characteristics to current of the MFCs for acetic acid on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 9 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of about 100 days (113 days for acetic acid, 106 days for butyric acid) after start time of experiments
Fig. 10 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of about 100 days (113 days for acetic acid, 106 days for butyric acid) after start time of experiments
Fig. 9 と Fig. 10 は,実験開始から約 100 日経過(酢酸溶 液については113 日,酪酸溶液については 106 日)したと きのI-V 特性と出力特性である.この時点では,実験開始 から52 日経過したときと比較して,酢酸もある程度の出力 が認められるようになっていることが分かる.また,実験 開始から 52 日経過した時点での出力は,外部抵抗として 1000Ωを接続していた MFC のほうが高い出力を示してい たが,この時点では,酢酸,酪酸ともに,100Ωを接続して いたものほうが大きな出力となっていることが分かる. 実験継続中に測定したI-V 特性と出力特性の結果をまと めると,実験の初期においては外部抵抗を1000Ωとして実 験を行ったMFC セルのほうが,I-V 特性の測定における最 大出力は高い値を示し,ある程度時間が経過したときには, 外部抵抗を100Ωとして運転していた MFC セルのほうが最 大出力は高くなった. ここで,Fig. 11 に示した一槽式 MFC の原理概念図から, 微生物の代謝による水質浄化と発電の関係を検討する.処 理水中の有機物は,アノードに棲息した発電菌の代謝によ って酸化されCO2まで分解されることによって水質浄化が 行われる.この時に電子(𝑒−)とプロトン(H+)が生成さ れ,生成された電子はアノードに移動し,更に外部抵抗を 通ってカソードに至る.一方,プロトンは処理水中を移動 してカソードに至る.カソードでは,アノードから移動し てきた電子とプロトン,及び槽外の空気中の酸素とが反応
Fig. 11 Operating principle diagram of microbial fuel cell して水が生成される. MFC は以上のような原理で機能するので,異なる MFC セルに対して処理水の組成や外部抵抗などの条件が等しく, 発電菌の群集の大きさが同一であれば,同じ水質浄化と発 電の能力を有しているものと考えることができる.このと き,異なる二つの MFC セルにおいて,駆動条件のうち外 部抵抗のみを変化させる.外部抵抗が大きい場合は電流が 少なく,すなわち,電子の数が少なくて済むことになる. 電子数が少なくて済むということは,菌の数が少なくても よいということになる.外部抵抗が小さい場合は逆になり, 多くの電子の数が必要となる.したがって,菌の数もそれ に対応できるだけの数が必要となってくると考えられる. このように考えると,菌の数が少ない実験初期の段階で は,外部抵抗が小さいとそれに相当する電子を生成できず, 増殖するための代謝が十分行われなかったものと考えるこ とができる.また,逆に外部抵抗が大きいときは,外部抵 抗に見合った代謝で充分であったため,増殖が促進された のではないかと考えることができる.このような状況で, 実験開始から52 日目の I-V 測定における出力が,酢酸溶液, 酪酸溶液ともに,外部抵抗が100Ω で継続した MFC セルよ りも1000Ω で継続した MFC セルの出力が大きくなったも のと思われる. 実験を継続していくと,発電菌は増殖する方向に変化し ていくことが考えられる.発電菌の菌数の増加が代謝量の 増加につながることによって,電子やプロトンの生成量が 増加する.このとき,異なるセルが同じ出力を出せる菌数 であったとすれば,外部抵抗の小さいほうはさらに電流が 大きくなるほうに変化していこうとする.すなわち菌数は 拡大方向に向かうと考えられる.外部抵抗が大きいときは, 小さいときに比べて電子の必要量が少ないため,外部抵抗 が小さい場合と比較して増殖速度は遅いと考えられる. 実験では,上記のような発電菌の菌数の増加後に,第 2 回目のI-V 特性の測定が行われたものと考えられる.この ときの測定では,外部抵抗を100Ω として実験を継続して きたMFC セルのほうが 1000Ω で実験を行ったセルよりも, I-V 測定で大きな出力を示した.これは,外部抵抗 100Ω に 対して十分な電子やプロトンを供給するために必要な菌数 が存在し,1000Ω では菌が生成する電子やプロトンが過剰 に供給されるために増殖が抑えられ,菌数が減少し,電子 やプロトンの供給量も減少する方向に変化したためと考え られる. 5.3 電気出力とCOD Fig. 12 は酢酸の場合の電気出力と COD の経時変化であ る.図中の矢印はFig. 3 と Fig. 4 でも示した回分操作の時 期である.前項の実験方法で記したように,実験開始時と 回分後にはCOD の値が 1000mg/L になるように調整した. 実験開始から1 回目の回分までの期間については,外部抵 抗にかかわらず電気出力が非常に小さく,発電菌がほとん ど存在していないと考えられるが,ほぼ同じ減少速度で COD の減少がみられた.これは,発電菌(嫌気性,通期嫌 気性微生物)と好気性微生物が共存し,実験開始時点では
Fig. 12 Changes with time of electrical output and COD for acetic acid アノード槽内で発電菌よりも好気性微生物が優位であり, 酸素が溶存しており,好気性微生物の代謝によって COD が減少したものと推察される. 1 回目から 2 回目の回分までの期間は電気出力について は,1 回目の回分から 20 日(実験開始から 70 日)程度は, 回分前と同様ほとんど電気出力が存在しなかったが,その 後,外部抵抗にかかわらず,電気出力が認められるように なった.この時期から発電菌の菌数が増加し始めたものと 思われる.1 回目の回分操作後の COD は,回分後,間もな くの間,ほぼ同じ速度で減少していたが,実験開始から70 日目前後からは,外部抵抗が 100Ωの方が,減少速度が速 くなっている.しかし,電気出力の平均値がともに200μW 以下と小さく,発電菌と好気性微生物のどちらが優位であ るとの判断は困難である.したがって,この期間において は,必ずしも,電気出力と COD の減少速度の間に相関が あったと判断することは困難である. 2 回目の回分後は,外部抵抗 100Ωの方が 1000Ωと比較 して,最初から COD の減少速度が速いことが分かる.こ のとき,電気出力を見ると,明らかに外部出力 100Ωのほ うが大きくなっている(外部抵抗 100Ω では電気出力は 800μW 以上,1000Ω では 200μW 以下).したがってこの期 間は,電気出力が大きな外部抵抗が100Ωのときに COD の 減少速度も大きくなっており,両者には明らかな相関があ るといえる. Fig. 13 に酪酸の場合(実験 No.3, 4)の実験経過時間に対 する電気出力と COD の変化を示す.回分までを見ると, COD がゼロになるのは,外部抵抗が 100Ωと 1000Ωでどち らも70 日前後であるが,初期の減少速度は 1000Ωの方が 早いことが分かる.この期間は,酢酸の時の第1 回目の回 分までの期間とは異なり,電気出力を有している(外部抵 抗100Ωで平均約 500μW,外部抵抗 1000Ωで平均約 180μW). ここで,酢酸の場合の回分までの COD の減少状況と比較 する.酢酸に対する説明で「発電菌(嫌気性,通期嫌気性 微生物)と好気性微生物が共存」と説明したが,Fig.13 の 酪酸の場合も同様である.しかし,酪酸の場合は電気出力 を有していることが分かる.これは,好気呼吸をしていた 通気嫌気性微生物が,槽内の溶存酸素の減少に伴い,嫌気
Fig. 13 Changes with time of electrical output and COD for butyric acid
Fig. 7 I-V characteristics of the MFCs for acetic acid on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 8 Output characteristics to current of the MFCs for acetic acid on the lapse of 52 days after start time of experiments
Fig. 9 I-V characteristics of the MFCs on the lapse of about 100 days (113 days for acetic acid, 106 days for butyric acid) after start time of experiments
Fig. 10 Output characteristics to current of the MFCs on the lapse of about 100 days (113 days for acetic acid, 106 days for butyric acid) after start time of experiments
Fig. 9 と Fig. 10 は,実験開始から約 100 日経過(酢酸溶 液については113 日,酪酸溶液については 106 日)したと きのI-V 特性と出力特性である.この時点では,実験開始 から52 日経過したときと比較して,酢酸もある程度の出力 が認められるようになっていることが分かる.また,実験 開始から 52 日経過した時点での出力は,外部抵抗として 1000Ωを接続していた MFC のほうが高い出力を示してい たが,この時点では,酢酸,酪酸ともに,100Ωを接続して いたものほうが大きな出力となっていることが分かる. 実験継続中に測定したI-V 特性と出力特性の結果をまと めると,実験の初期においては外部抵抗を1000Ωとして実 験を行ったMFC セルのほうが,I-V 特性の測定における最 大出力は高い値を示し,ある程度時間が経過したときには, 外部抵抗を100Ωとして運転していた MFC セルのほうが最 大出力は高くなった. ここで,Fig. 11 に示した一槽式 MFC の原理概念図から, 微生物の代謝による水質浄化と発電の関係を検討する.処 理水中の有機物は,アノードに棲息した発電菌の代謝によ って酸化されCO2まで分解されることによって水質浄化が 行われる.この時に電子(𝑒−)とプロトン(H+)が生成さ れ,生成された電子はアノードに移動し,更に外部抵抗を 通ってカソードに至る.一方,プロトンは処理水中を移動 してカソードに至る.カソードでは,アノードから移動し てきた電子とプロトン,及び槽外の空気中の酸素とが反応
Fig. 11 Operating principle diagram of microbial fuel cell して水が生成される. MFC は以上のような原理で機能するので,異なる MFC セルに対して処理水の組成や外部抵抗などの条件が等しく, 発電菌の群集の大きさが同一であれば,同じ水質浄化と発 電の能力を有しているものと考えることができる.このと き,異なる二つの MFC セルにおいて,駆動条件のうち外 部抵抗のみを変化させる.外部抵抗が大きい場合は電流が 少なく,すなわち,電子の数が少なくて済むことになる. 電子数が少なくて済むということは,菌の数が少なくても よいということになる.外部抵抗が小さい場合は逆になり, 多くの電子の数が必要となる.したがって,菌の数もそれ に対応できるだけの数が必要となってくると考えられる. このように考えると,菌の数が少ない実験初期の段階で は,外部抵抗が小さいとそれに相当する電子を生成できず, 増殖するための代謝が十分行われなかったものと考えるこ とができる.また,逆に外部抵抗が大きいときは,外部抵 抗に見合った代謝で充分であったため,増殖が促進された のではないかと考えることができる.このような状況で, 実験開始から52 日目の I-V 測定における出力が,酢酸溶液, 酪酸溶液ともに,外部抵抗が100Ω で継続した MFC セルよ りも1000Ω で継続した MFC セルの出力が大きくなったも のと思われる. 実験を継続していくと,発電菌は増殖する方向に変化し ていくことが考えられる.発電菌の菌数の増加が代謝量の 増加につながることによって,電子やプロトンの生成量が 増加する.このとき,異なるセルが同じ出力を出せる菌数 であったとすれば,外部抵抗の小さいほうはさらに電流が 大きくなるほうに変化していこうとする.すなわち菌数は 拡大方向に向かうと考えられる.外部抵抗が大きいときは, 小さいときに比べて電子の必要量が少ないため,外部抵抗 が小さい場合と比較して増殖速度は遅いと考えられる. 実験では,上記のような発電菌の菌数の増加後に,第 2 回目のI-V 特性の測定が行われたものと考えられる.この ときの測定では,外部抵抗を100Ω として実験を継続して きたMFC セルのほうが 1000Ω で実験を行ったセルよりも, I-V 測定で大きな出力を示した.これは,外部抵抗 100Ω に 対して十分な電子やプロトンを供給するために必要な菌数 が存在し,1000Ω では菌が生成する電子やプロトンが過剰 に供給されるために増殖が抑えられ,菌数が減少し,電子 やプロトンの供給量も減少する方向に変化したためと考え られる. 5.3 電気出力とCOD Fig. 12 は酢酸の場合の電気出力と COD の経時変化であ る.図中の矢印はFig. 3 と Fig. 4 でも示した回分操作の時 期である.前項の実験方法で記したように,実験開始時と 回分後にはCOD の値が 1000mg/L になるように調整した. 実験開始から1 回目の回分までの期間については,外部抵 抗にかかわらず電気出力が非常に小さく,発電菌がほとん ど存在していないと考えられるが,ほぼ同じ減少速度で COD の減少がみられた.これは,発電菌(嫌気性,通期嫌 気性微生物)と好気性微生物が共存し,実験開始時点では
Fig. 12 Changes with time of electrical output and COD for acetic acid アノード槽内で発電菌よりも好気性微生物が優位であり, 酸素が溶存しており,好気性微生物の代謝によって COD が減少したものと推察される. 1 回目から 2 回目の回分までの期間は電気出力について は,1 回目の回分から 20 日(実験開始から 70 日)程度は, 回分前と同様ほとんど電気出力が存在しなかったが,その 後,外部抵抗にかかわらず,電気出力が認められるように なった.この時期から発電菌の菌数が増加し始めたものと 思われる.1 回目の回分操作後の COD は,回分後,間もな くの間,ほぼ同じ速度で減少していたが,実験開始から70 日目前後からは,外部抵抗が 100Ωの方が,減少速度が速 くなっている.しかし,電気出力の平均値がともに200μW 以下と小さく,発電菌と好気性微生物のどちらが優位であ るとの判断は困難である.したがって,この期間において は,必ずしも,電気出力と COD の減少速度の間に相関が あったと判断することは困難である. 2 回目の回分後は,外部抵抗 100Ωの方が 1000Ωと比較 して,最初から COD の減少速度が速いことが分かる.こ のとき,電気出力を見ると,明らかに外部出力 100Ωのほ うが大きくなっている(外部抵抗 100Ω では電気出力は 800μW 以上,1000Ω では 200μW 以下).したがってこの期 間は,電気出力が大きな外部抵抗が100Ωのときに COD の 減少速度も大きくなっており,両者には明らかな相関があ るといえる. Fig. 13 に酪酸の場合(実験 No.3, 4)の実験経過時間に対 する電気出力と COD の変化を示す.回分までを見ると, COD がゼロになるのは,外部抵抗が 100Ωと 1000Ωでどち らも70 日前後であるが,初期の減少速度は 1000Ωの方が 早いことが分かる.この期間は,酢酸の時の第1 回目の回 分までの期間とは異なり,電気出力を有している(外部抵 抗100Ωで平均約 500μW,外部抵抗 1000Ωで平均約 180μW). ここで,酢酸の場合の回分までの COD の減少状況と比較 する.酢酸に対する説明で「発電菌(嫌気性,通期嫌気性 微生物)と好気性微生物が共存」と説明したが,Fig.13 の 酪酸の場合も同様である.しかし,酪酸の場合は電気出力 を有していることが分かる.これは,好気呼吸をしていた 通気嫌気性微生物が,槽内の溶存酸素の減少に伴い,嫌気
Fig. 13 Changes with time of electrical output and COD for butyric acid