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夢の実現と変容のための方法論と統合的な参照モデルの提案

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夢の実現と変容のための方法論と

統合的な参照モデルの提案

片山 立

夢・アーキテクティング工房

Proposal of Integrated Reference Model for Methodologies

for Realization of Dream and Transformation

Ryu Katayama

Dream Architecting Manufactory

概要 個人、チーム、組織が抱く夢の実現や変容、内省などのモデルとして、U理論、行動探求、成人の発達理論などが提案されてい る。しかしながらこれらの理論やモデル間の相互関係は必ずしも明確に議論されてこなかった。本論文ではこれらのモデルの相互 関係を統合的に俯瞰するための参照モデルを提案する。これにより、これらの方法論を統合的に理解するための基本的なフレーム ワークを提供する。 Abstract

Theory U, Action Inquiry, Adult Development Theories, etc. are proposed as models of realization, transformation and introspection for individuals, teams, organizations. However, the relationships among these theories and models have not necessarily been clearly discussed. In this paper, we propose an integrated reference model to comprehensively overlook the relationships of these models. By doing this, we provide a basic framework for comprehensively understanding these methodologies.

1. はじめに 人が自分の夢を描き、その夢を実現するための方法をデザイ ンし、その夢の実現に向かって自分が変容していく。これは多 くの人にとって人生における普遍的な願いではないだろうか [1],[2],[3]。 このための方法論やテクノロジーとして、U 理論[4],[5],[6]、唯 識[7],[8]、行動探求[9]、クリーンランゲージ[10],[11]、価値デ ザインの方法論[12],[13]、デザイン思考[26]、イノベーティブ思 考[27]、システムズエンジニアリング[28]などの様々なイノベー ション創出方法論 [29], [30], [31], [32], [33], [34], [35], [36], [37]が提案されている。 また、人の集団であるチームや組織が自らありたい姿を描き、 その実現に向かって進んでいくための方法論として、学習する 組織[38],[39]などの組織開発の手法が提案されている。また、 成人発達理論における変容者型の行動論理、自己変容型知 性にもとづく発達指向型組織[40],[41]や、生物的、有機的な生 体システムを模擬した新しい組織の形態であるティ―ル組織 [42]などが提案され実践されている。 これらの理論や方法論で共通しているのが、個人レベルにお いて「私は何者であるか?」、「私が自分の人生でなすべきこと は何か?」という問いである。組織レベルにおいては「私たちは 何者であるか?」、「私たちが自分たちの人生でなすべきことは 何か?」という問いである。U 理論においては、これは源(ソース) [4],[5]という概念である。源は、その人が生きている限り、その 人が生きている意味を探求し続けるものである。源は、それぞ れの人が、自分の内面を深く探求することによってはじめて自 分自身で明らかにしていくものであり、ひとりひとりが持つ個人 としての個性の根源である。 本論文では、このような個人や集団の夢の実現に向けての 方法論を概観するとともに、それぞれの人が持つ固有の性質と しての源を起点とし、個人や集団の夢の実現に向けての変容 や実践の全体像を表現する統合的な参照モデルを提案する。 これにより、これらの方法論について統合的・総合的に理解で きるようになることが期待できる。 この参照モデルは、個人やチーム・組織が夢を描き、夢を実 現し、変容するための手引きとしても使えるとともに、最近、研 究 が 活 発 に 行 わ れ て い る 汎 用 人 工 知 能 [45] や 人 工 意 識 [46],[47],[48]が将来備えるべき性質や要求事項の候補となる ことが期待できる。 2. 夢の実現と変容のための方法論 2.1 変容のための方法論 2.1.1 U 理論 オットー・シャーマーによって提唱された U 理論[4],[5],[6]は、 創造する人の意識の内面や視点の移動に焦点をあて、人の創 造活動をモデル化している。 U 理論では、対象システムや人を認識する心の在り方とし て、・保留する、・相手の視座に立つ、・手放す(腹をくくる)、・ 出現する未来をひたすら待つ の段階を経て、自分自身の世 界観の変容、新しい気づき、新しいアイデアの着想に至る。具 体的には①ダウンローディング、②シーイング、③センシングの 段階を経て、④プレゼンシング(自分自身の価値観や世界観 の変容、新しい気づき、新しいアイデアの創造)に至る。これが、 U プロセスの左側の谷を降りる部分である。 ④プレゼンシングで得られた、自分自身の価値観や世界観 の変容、新しい気づき、新しく着想されたアイデアは、U プロセ スの右側の⑤クリスタライジング、⑥プロトタイピング、⑦パーフ

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ォーミングの山を登り、段階を経て実現されていく。 この U 理論で中核となっているのが、源(ソース)という概念 である。源は、「私は何者であるか?」、「私が自分の人生でな すべきことは何か?」というその人が生きている意味を示す概 念である。源は、それぞれの人が、自分の内面を深く探求する ことによってはじめて自分自身で明らかにしていくものであり、 ひとりひとりが持つ個人としての個性の根源といえる。 2.1.2 唯識 唯識(ゆいしき)[7],[8]とは、個人、個人にとってのあらゆる諸 存在が、唯(ただ)、八種類の識によって成り立っているという大 乗仏教の見解の一つである。ここで、八種類の識とは、五感 (五種の感覚:視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)、意識、2 層の無 意識である末那識(深層に働く自我執着心)と阿頼耶識(一切 を生じる可能力を有した根本心)を指す。 これら八種の識は総体として、ある個人の広範な表象、認識 行為を内含し、あらゆる意識状態やそれらと相互に影響を与え 合うその個人の無意識の領域をも内含する。 唯識における末那識と阿頼耶識は、U理論における源に相 当するものと考えられる。 2.1.3 行動探求 行動探求[9]とは、行動(アクション)と探求(インクワイアリー)を 別々に捉えるのではなく、行動をしているまさにその時に振り返 りを行い、個人のリーダーシップや組織変容を図るための方法 論である。ビル・トルバートらにより提案された。 通常のマネジメントにおいては PDCA、つまり起きた結果を 見ながら自らの行動を見直す一次ループの学習を実施するこ とが多い。それに対して、ピーター・センゲらは自ら思考の前提 にある戦略やゴールなどを見直す二次ループの学習を提唱し、 組織開発・組織学習の基礎を築いた。 さらにより深いレベルにある自らの源の意図や信念体系にま で意識を広げる三次ループは、リーダや組織自身の深い変容 を促す。U 理論のプレゼンシングではまさにこうしたレベルでの 深い気づきを得て、自らの存在意義や信念体系を再構築する。 行動探求では、ここにある全てのレベルの探求を行う。 従来の学習理論や探求手法においては、通常の探求や内 省は行動の後に実施されるために将来の行動しか変えることが できなかった。これに対し行動探求は「今」に焦点をあてて、そ の場で起こっている様々なことに意識を広げ、まさに行動を為 す自身を瞬時に振り返り、タイムリーな行動を起こすことに焦点 をあてている。 2.1.4 対話(ダイアログ) チーム、組織など人の集団としての変容は、何らかの形のコ ミュニケーションのやり取りや対話(ダイアログ)[14]を通じて実 現される。対話とは、特定のテーマについて創発的・創造的に 話し合うコミュニケーションのことである。 あるテーマに関する関係者が一堂に会して対話を行うマル チステークホルダダイアログでは、ホールシステムアプローチ [15],[16],[17],[18]という対話のための手法を用いて実施される ことが多い。 従来からも組織やコミュニティを超えた話合いは実施されてき たが、通常、これらは主催者があらかじめ意図しデザインした枠 組みの中で関係者の意見を集約する形態のものが多かった。 一方、何も進行手順がない中で多様な人が集まって話をして も期待するアウトカムを得るのは難しい。そこで考案されたのが ホールシステムアプローチである。ホールシステムアプローチ では、対話のルールや方法は大まかに決められているが、進 行役が「場」をコントロールしたり介入することが極めて少ない。 これらの対話のルールに参加者が準じて行動することで、極め て創造性の高い建設的な対話の場を作ることができる。 代表的なホールシステムアプローチには、ワールドカフェ、AI (アプリシアティブ・インクワイアリ)、OST(オープンスペース・テ クノロジー)、フューチャーサーチ、ラーニングジャーニーなど がある。 2.1.5 ファシリテーション このような対話の場において、参加者の発言や参加を促した り、話の流れを整理したり、参加者の認識のすり合わせを行うた めに積極的に介入し、参加者の合意形成や相互理解を支援 することをファシリテーション[19],[20],[21]と呼ぶ。また公平・中 立的な立場でこのようなファシリテーションを行う人をファシリテ ータと呼ぶ。 対話において合意形成が難しい状況、たとえば参加者の意 見が全く擦りあわず、堂々巡りの議論が繰り返されている場合 や、メンバー間に壁があり、新しい取り組みが一向に進まない ような複雑性の高い状況もある。このような状況においても効果 的 な フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン 技 法 と し て VIA(Vision Integration Approach)[22]が提案されている。VIA においてはひとりひとり の内側に眠るビジョンが自然に引き出され、チームに創発的な 合意を生むことが期待できる。VIA の設計開発においては U 理 論とアーノルド・ミンデルによって創始されたプロセス指向心理 学[23]が応用されている。 さらにレジリエンスや様々な変容の方法論にもとづき、ひとり ひとりが生まれながらにすでに持っているリソースを最大限に 生かすためのワークショップ[24],[25]が提供されている。 2.2 夢を描くための方法論 2.2.1 クリーンランゲージ 自分が本当に心の底から望んでいる夢はどのようなものか、 この問いに答えるのは一見簡単そうに見えて実はそれほどた やすくない。クリーンランゲージ[10],[11]は、個人で、あるいは 聞き手との対話によって、自分がありたいと願う夢や望みを、メ タファーを媒介として自然な形で引き出す新しいコミュニケーシ ョンの技法である。 クリーンランゲージは、ニュージーランドのマオリ族出身の心 理学者デイヴィッド・グローブが開発した。デイヴィッドは、 ・トラウマに苦しむ人々の治療に当たる中で彼らが自分の内面 で起こっていることを、メタファー(比喩)を使って表現してい ること ・そのメタファーの中にいるとそれにより自分の内的世界をより 直接的に体験し気づきを得ること ・それにより心の傷を癒して自ら変容していくこと を発見した。 一方で、聞き手(セラピスト)の言葉が、しばしばクライエント の言葉を曲げて「汚染」してしまい、彼らがメタファーによって表 現している真の体験を「略奪」してしまうことに気づいた。そこで 彼は、クライエントが語るメタファーを「汚染」したり「歪曲」したり せずに発展させるための一連の「クリーン」な質問を作り上げた。 クリーンランゲージは、このように聞き手の思い込みや価値観 などで汚染されていない12個の「クリーンな質問」から構成され ている。 クリーンランゲージの質問は、クライアントが彼ら自身につい て洞察を深める働きを促し、かつ彼らに対して外から提案をす ることはしない。自分自身によって深められた洞察を通じて起こ ってきた変化は、それが、他から押し付けられたのではなく、自 分自身で生み出したからこそ、とてもパワフルに現実に作用す

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る。クリーンランゲージを適切に利用することにより、個人およ びグループが持つ自らの願いや夢を自然に引き出すことがで きる。 クリーンランゲージは、もともとクライアントと聞き手との対話 のために開発されたが、ひとりで内省する場合や、チームなど の集団においても適用することができる。 2.2.2 価値デザイン手法 チームや組織のありたい姿を描く方法として価値デザイン手 法[12],[13]が提案されている。匠 Method[12]は、人や組織のあ りたい姿を描く際に、要求と、その要求が提供する価値も同時 に考察することにより、関連するステークホルダの納得性の高 いありたい姿を描いてくための方法論である。 ビジネスにおいてはPDCAサイクルを回して業務の改善を 実施していくことが多い。ところが、PDCA サイクルにおいては、 そもそも最初に立案するP(Plan、計画)の価値や妥当性をステ ークホルダで十分に検討し、合意形成して進められる場合はそ れほど多くない。 匠 Method ではこの問題を解決するためにPDCAサイクルを 実施する前に価値創造サイクルを実施する。価値創造サイクル においては以下の 4 つの概念に対する見える化を繰り返して 実施する。 (1) 価値:今回のテーマで何が価値なのか、具体的なイメー ジを持つ。 (2) 事業(業務):どのような事業(業務)メージになるのか手 探りする。 (3) 要求:達成すべき要求は何かを要求のツリーで示し選択 可能にする。 (4) 活動:価値を獲得するための要求を実現する最適なプラ ンは何かを模索する。 この価値創造サイクルを実施することにより、以下の効果が期 待できる。 (1) ビジネス価値を最大限に高めるために、 ビジネスのステ ークホルダの価値をデザインすること。 (2) プロジェクトの目指すビジョンやコンセプトを見える化する こと。 (3) ビジョンやコンセプトを価値基準として、プロジェクトに対 する要求を価値基準で絞り込むこと。 (4) 絞り込んだ要求により行動計画につなげること。 この価値創造サイクルを実践するための知識体系として思 考の棚というフレームワークが提案されている。これは、価値、 要求、理想(の業務)、現実(の業務)、活動から構成される。 この思考の棚をベースに、匠Methodで使う様々な思考モデ ルが構成されている。 2.3 夢を実現するための方法論 夢を具体的に実現する方法、すなわち問題解決に関する方 法論や思考法にはデザイン思考[26],システム思考[38],[39]や これらを融合したイノベーティブ思考[27]、システムズエンジニ アリング[28]、サービス工学[29]、要求工学[30]、JOB 理論 [31],[32]、Functional Method[33]など多くの手法が提案されて いる。どのようなタイプの問題に対してどのような手法を適用す れば効果的かという手引きも含めてツールキット集や手法集が 整理されている[34],[35],[36],[37]。 3. 統合的な参照モデル 3.1 参照モデルに対する要求事項 これまで概観した夢の実現や変容の実現のための方法論を 個人や組織として自在に活用するために、これらの方法論の相 互関係を俯瞰できるような統合的な地図があれば有用と考えら れる。このような統合的な地図としての参照モデルに必要な要 求事項として以下を考えた。 【統合的な参照モデルに必要な要求事項】 (1) 個人(の内面)と、個人が活動する環境から構成される。 (2) 個人の特性を示す「源(ソース)」を起点とする。 (3) 個人の内面の構成要素として「源」に加え、「感情」、「欲 求」、「信念体系(価値観)」、「在り方(BEING)」、「態度」 を備える。 (4) 上記の個人の内面の構想要素が個人の「関心事」を産み 出す。 (5) 個人の「関心事」が対象システムや世界を観る「視点」を産 み出す。 (6) 上記の視点から認識した「現実」と、そのありたい姿として 「夢」を描き、それらを構成要素とする。 (7) 自分がその瞬間に特定のUプロセス状態に遷移したいと いう意図を「態度(注意の向け方)」の性質とする。 (8) 夢の実現に必要な「問題」、「要求」、「解決手段(ソリュー ション)」を構成要素とする。 (9) 環境における個人の活動として、「プロトタイプ」、「評価」、 「活動」、「内省」を備える。内省として直接的に起きた結果 を見ながら自らの行動の見直しを図る「一次ループの内 省」、自らの思考の前提にある戦略やゴールなどを見直す 「二次ループの内省」、さらに深いレベルにある自らの源 の意図やビジョンにまで意識を広げる「三次ループの内省」 をモデル化する。 (10) 信念体系の取りうる性質として、成人の発達理論におけ る三つの知性(環境順応型知性、自己主導型知性、自己 変容型知性)[40]、または七つの行動論理(機会獲得型、 外交官型、専門家型、達成者型、再定義型、変容者型、 アルケミスト型)[9]がある。 上記の要求事項を満たす統合的な参照モデルを考案した。 図1に統合的な参照モデルを示す。参照モデルは大別して、 [1]個人(内面)、[2]環境における活動、[3]内省の3つの部分か ら構成される 3.2 個人(内面) 対象となる人(ステークホルダ)のその人ならではの個性を源 (ソース)とする。その源から、その人固有の信念体系(価値観)、 感情、欲求、在り方(BEING)が導かれる。在り方(BEING)から 態度(注意の向け方)が決まる。またその人の信念体系(価値 観)に基づいて、その人が感じるものごとの価値が定まる。 その人のある時点における関心事は、信念体系、価値、感 情、欲求、在り方、態度から定まる。 関心事によって、その人が対象(自分(内面、外面)や対象 (他者や集団の内面、外面、対象システム、環境など))を観る 視点が定まる。またこの視点に基づき、対象(自己や他者、集 団、対象システム、環境)の現実を認識する。 また、これらの対象の現実から、自分のありたい対象の姿(夢) を描く。 さらに自分や他者、対象システム、環境などを認知する際に U プロセスにおける7つの状態(①ダウンローディング、②シー イング、③センシング、④プレゼンシング、⑤クリスタライジング、 ⑥プロトタイピング、⑦パーフォーミング)に遷移していくための 意図を、態度(注意の向け方)の性質とする。 3.3 環境における活動 夢の実現に向けて個人や集団が対象システムや環境に働き

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かけていく行為をモデル化する。 現状と夢とのギャップを、夢の実現のために解決すべき問題 として定義する。問題を解決するための要求を産み出し、解決 手段(ソリューション)を創造(考案)・デザインする。解決手段に もとづきプロトタイプを構築する。 構築したプロトタイプを評価し、必要に応じ定義した問題や要 求を再定義し、解決手段を洗練する。これらの一連の活動を実 施し、要求を満足する夢の実現(個人や集団の変容、目指す システムやサービス、しくみの実装)を図っていく。 3.4 内省 これまで実施したすべての思考や活動を様々な視点で内 省する。内省は、直接的に起きた結果を見ながら自らの行動の 見直しを図る「内省(一次ループ)」、自らの思考の前提にある戦 略やゴールなどを見直す「内省(二次ループ)」、さらに深いレベ ルにある自らの源の意図や信念体系にまで意識を広げる「内 省(三次ループ)」から構成される 「内省(三次ループ)」により個人が変容した時、信念体系(価 値観)の性質は、キーガンの成人の三つの知性[40]を採用した 場合には、環境順応型知性、自己主導型知性、自己変容型知 性を取り得る。信念体系(価値観)の取りうる性質として、トルバ ートらによる七つの行動論理(機会獲得型、外交官型、専門家 型、達成者型、再定義型、変容者型、アルケミスト型)[9]を採用 した場合には、変容の過程で、信念体系(行動論理)はこれら の行動論理を変遷していく。 4.参照モデルの効果と活用方法 図1の統合的な参照モデルを用いることにより以下のような効 果が期待できる。 (1) 現在、この瞬間、自分はこの参照モデルの中で、どの状態 にいるのか、ということを意識することで、どのような状況に おいてもある程度、冷静に自分を客観視することができる。 (2) パニックに陥ったり、精神的、肉体的に危機的な状況、極 限の状況において、この参照モデルを手掛かりに自分の 源に立ち返ることで、自分の立ち位置(ベースの状態)に 戻りやすくなる。 (3) 変容のテクノロジーであるU理論を自在に扱い、意図して 特定のUプロセス状態に遷移していきやすくなる[4], [5], [6]。 (4) 変容に必須の内省を一次レベル、二次レベル、三次レベ ルの各レベルを意識して実施できるようになる。 (5) 自分が参照モデルのどの位置にいるかを認知することに よって、問題解決のための様々な方法論(図2)を参照す ることにより、状況に応じた適切な方法論を選択して実施 できる。 (6) これらの活動を通じて、新しく得られた知見や方法論を、 参照モデルや問題解決のための方法論として更新するこ とにより、これらの知恵の体系を不断に洗練させていくこと ができる。 上記の観点から、例えば、当面、自分が解決しなければいけ ない問題が明確な場合には、図2の問題解決のための様々な 方法論の中から適切なものを選択し、要求を明確化し、解決手 段をデザインする活動を適切に実施することが期待できる。 5. 今後の展開 提案した参照モデルは、従来から提案されている変容の理論 やイノベーション創出方法論だけでなく、たとえば、U理論とイ ノベーティブ思考法を融合した思考モデル VMUK[6]や、イノベ ーションを起こす起業家の行動論理(エフェクチュエーション論 理)のモデル [43],[44]などとはまた別の視点で思考や活動を モデル化したものといえる。これらのモデルを併用することによ り、自分自身の思考や他者、集団の思考をより多くの視点で観 察し俯瞰することが期待できる。 また、最近、研究が活発に行われている汎用人工知能[45]や 人工意識 [46],[47],[48]の研究においては、自己の思考や活 動、行動を客観視し、内省するための意識の実現が不可欠と 言われている。トノーニらは生体システムや機械が意識を持つ ための統合情報理論[46]を提唱している。金井らはこの統合情 報理論をベースに、人工知能やロボットに意識を持たせる研究 を行っている。金井らは意識の機能を説明する仮説として、半 実 仮 想 的 情 報 生 成 理 論 ( Counterfactual Information Generation Theory)[47]を提唱している。意識の本質的な機能 とは、「現在の感覚への入力と乖離した状況やイベントを、感覚 信号のデータフォーマットで表現し、未来の行動計画などに利 用すること」と考え、この機能を半実仮想的情報生成機能と定 義している。 この研究では、人工知能システムやロボットが実現したい未 来を、生成モデル(generative model)を用いて探索的に生成す る。これは、今回提案した参照モデルにおいて、現実から夢を 実現するためのソリューションを人工知能が計算機上で探索し 生成していることに相当する。たとえば、現実から夢を実現する ためのソリューションを複数生成出来た場合には、ある信念体 系に基づき実施すべきソリューションを選択する必要がある。こ れは、ある意味で人工知能がある信念体系に基づき価値判断 するような思考を行っていることに相当する。 このように汎用人工知能や人工意識の実現においては、自ら 環境や自己を内部にモデル化することによってこれらを客観視 したり、自己が生成したソリューションを評価したりする思考や 内省の活動が必須になると考えられる。また人工意識の研究 において、基本的な内省(たとえば一次ループの内省)が実現 された場合、さらに高度な二次ループの内省や三次ループの 内省の機能の実現が要求されることも考えられる。そのような場 合には、今回提案した三次ループの内省も含むような思考モ デルが、このような高度な人工意識が満たすべき性質の候補と なることが期待できる。 6.おわりに 夢の実現と変容のための方法論を概観した。またこれらを個 人やチーム・組織の自分事として俯瞰し、活用するための統合 的な参照モデルを提案した。この参照モデルと問題解決の 様々な方法論とを併用することにより、現在の自分や自分たち が置かれている状況を冷静に把握し、その時点における問題 解決や変容に必要な方法論を適切に選択し実施することが可 能となる。さらに、提案した参照モデルが汎用人工知能や人工 意識の研究で持つ意義についても考察した。 【文献】 [1]植松努:好奇心を“天職”に変える空想教室,サンクチュアリ 出版,2015/10/26 [2]榎本英剛:本当の自分を生きる 人生の新しい可能性をひ らく8つのキーメッセージ,春秋社,2017/12/19 [3]前野隆司:幸せのメカニズム 実践・幸福学入門,講談社現代 新書,2013/12/18 [4]C.オットー・シャーマー:U理論 過去や偏見にとらわれず、 本当に必要な「変化」を生む出す技術第二版, 英治出 版,2017/12/15 [5]中土井僚:人と組織の問題を劇的に解決するU理論入門, PHP研究所,2014/2/3

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口腔の持つ,種々の働き ( 機能)が障害された場 合,これらの働きがより健全に機能するよう手当

このように、このWの姿を捉えることを通して、「子どもが生き、自ら願いを形成し実現しよう

ヒュームがこのような表現をとるのは当然の ことながら、「人間は理性によって感情を支配

我々は何故、このようなタイプの行き方をする 人を高貴な人とみなさないのだろうか。利害得

7.自助グループ

本プログラム受講生が新しい価値観を持つことができ、自身の今後進むべき道の一助になることを心から願って