政治行政過程での政策形成と政策実施における
自由裁量
-カンボジアの基礎自治体の選挙で選ばれた評議員の立ち位置を手がかりに-
村山 皓
The Discretion of Policy Making and Policy Implementation in Political and
Administrative Processes:
The Beginning of a Study Regarding the Elected Councilors’ Position in
Municipalities in Cambodia
Hiroshi MURAYAMA
AbstractThe basic question of this study is “How does a representative or an administrator have discretion when he or she makes a policy decision and implements a policy?” The Cambodian local administration is quite different from the Japanese local administration because of the elected councilors’ position in municipalities in Cambodia. In short, Cambodian councilors in municipalities have both positions as a representative who makes an ordinance and as an administrator who has an actual role of policy implementation. Therefore, a structural base of councilors’ discretion is complex. It may be possible for the Cambodian councilor to have a freehand both in the policy decision-making and the policy implementation. With regard to clarifying the complex structure, a questionnaire to 85 samples of Cambodian councilors was surveyed. It is found by analyzing the survey results that the councilor’s discretion is based on the two kinds of the different freehand which refers to the restriction of the position of a representative or an administrator. The balance between the discretion on a representative position and the discretion on an administrative positon is required for a councilor to fulfill the responsibility as a representative towards inhabitants in a democratic system and the responsibility as an administrator in a bureaucratic system. The findings in this study are useful not only for the future democratic system in Cambodia but also for the reform of the local democratic system in Japan even though the Japanese system is different from the Cambodian system.
はじめに
政治行政過程で、政策形成や政策実施について誰がど のようなフリーハンドを持っているかに興味があった。 そこで、基本疑問は、「政治行政機関の政策推進者のフ リーハンドはどのようにあるのか」、である。政策形成 を担う議会の議員には、人々からの直接の代表者として どのような自由裁量があるのか。あるいは、政策実施を 担う行政官は、人々から間接的に委託を受けた受託者と して、どのような自由裁量があるのか。それらの自由裁 量を捉える構造を考えてみようと思う。注意すべきは、 本稿での自由裁量の議論は政官関係での政治への行政の自由裁量や行政責任のような、通常の論点とは異なるこ とである。ここでは、人々に対する行政官の自由裁量あ るいは人々に対する代表者の自由裁量に注目している。 民主制での代表者と官僚制での行政官は、立法と行政 に分かれてそれぞれが、政策形成と政策実施を担うとす るのはわかりやすい。しかし、この原則だけでは明らか にできないことが多い。議員内閣制の国の首相は、両者 の役割を兼ね備えた立ち位置にいるだろうし、都道府県 や市町村の首長の立ち位置は代表者であると同時に行政 官でもあると言える。そのような政策過程における政策 形成、政策実施、代表者、行政官、自由裁量、フリーハン ドなどの錯綜を、少しでも解きほぐせる糸口を本稿では 求める。 そのために、代表者と行政官の役割を兼ねて、直接 に住民に対して政策実施を行っているカンボジアのコ ミューン・サンカットの評議員の立ち位置を、彼らのフ リーハンドに注目して捉えようと試みる。評議員で構成 される評議会は法律で最小の地方自治体とされており、 選挙で選ばれる評議員は行政官であると同時にいわば議 員でもある。彼らへのアンケート調査から、自由裁量に 関わる意識を分析することで、政治行政を担う者の自由 裁量を政治と行政のそれぞれを担う行動者の違いから見 るだけではなく、政策形成でのフリーハンドと政治実施 でのフリーハンドとの構造的な違いから検討する。 そこでは、一見複雑な次の結論を得た。行政官として の評議員は、民主制における直接の代表性の責任もある ゆえに、官僚制での制約からの逸脱の自由裁量として、 政策実施についてのフリーハンドを使う。一方、代表者 としての評議員は、官僚制を通じての間接の応答性の責 任もあるゆえに、民主制での制約からの逸脱の自由裁量 として、政策決定についてのフリーハンドを使う。カン ボジアの評議員の自由裁量の構造についてのこれらの知 見は、ひるがえって、政治と行政が分かれる日本の民主 制や官僚制にも役立つ新たな視角を提供できる。
1.カンボジアの民主主義制度
2017 年 6 月 4 日のカンボジアの地方選挙は、2018 年 の総選挙の前哨戦で、30 年以上政権を担うフン・セン 首相率いる与党の人民党に対し、最大野党の救国党が議 席を伸ばした選挙であった。民主的な国政選挙が 1993 年に導入されて以降の中央主導の政治行政の下で、今回 の地方選挙は 4 回目となる。その国政への影響の意味と は別に、カンボジアの基礎自治体がどのようであるかを、 それを担うコミューン・サンカットの評議員の立ち位置 から知ることが、本稿の直接の目的である。そのために、 政策実施におけるフリーハンドによる自由裁量に関わる 評議員の意識を分析することで、制度の異なる日本の地 方行政への何らかの知見を得られるかもしれないとも考 えた。(1) 民主主義は人もしくは集団の参加に関わって議論され るのが通例であるが、民主的な選挙によって選ばれた者 たちによる政策の実施に焦点を当てて民主主義を考えて みる。ここで言う選ばれた者の典型は、議院内閣制での 議会の議員であり、大統領制での大統領と議会の議員で ある。通常、立法部を構成するそれらの議員は法律の制 定や予算の決定を通じて政策の形成に関わるが、政策の 実施は行わない。政策の実施は行政部に属し、議院内閣 制では首相が実際に政策実施を担う官僚制行政機構の最 高責任者である。そのような議員内閣制で実施される政 策は、選挙で選ばれた人々の代表者である議員を通じて の間接的な受託者とも言える行政部によって、人々の前 に現れる。つまり、人々と政治行政との関係には、その 直接の代理人である議員および間接の受託者である行政 官との関係の二つの側面があるとする。 民主主義は、一般的には、人々が自ら政治と行政を行 図1:人々と政治行政の民主的な関係人々
(本人)
(委託者)
代表者:本人の直接的な代理人
(政治:民主制選挙に基づく代表性責任)
行政官:委託者の間接的な代理人
(行政:官僚制組織を通じての応答性責任)
代議代理関係
委託代理関係
うのではなく代理人によって行う制度になっている。図 1 のように、本人の代理人の代表者である立法部を通じ ての政治と、委託者の代理人の受託者の行政部を通じて の行政が、本人および委託者である人々と政治行政にお ける、代議代理関係と委託代理関係によって民主的な政 治行政の二側面を構成する。(2)ここでは、人々の参加を 注視する民主主義理論をとらない。その理由は、人々の 関与よりも、代表者もしくは受託者に注目することで、 民主主義制度を選挙の基盤において違った角度から捉え ようとするからである。その前提として確認しておくべ きことは、大統領制では大統領が代表者と受託者の二面 性を兼ね備えていることである。また、日本における地 方自治体の首長がこの二面性を持っていることである。 本稿の分析対象とするカンボジアの評議員は、選挙で選 ばれた代表者であり、実際に政策実施を行う行政官の二 面性を備えている。 人々と政治行政の関係を、図 1 の代理関係で言い尽 くせるわけではない。議院内閣制での人々と政治行政 の関係を、国民、議会、内閣、大臣、官僚、職員、国 民の流れで見るなど、様々に捉えられるなかでの一つ の見方に過ぎない。民主制選挙に基づく代表性での責 任(Representative responsibility)を政治と人々の関 係での責任とし、官僚制組織を通じての応答性での責任 (Responsive responsibility)を行政と人々の関係での責 任として、本稿では区別する。応答性は民主政治での代 表者への不信などに関わって使われることも多いが、こ こでは行政官の応答性に限って使っている。(3)とはいえ、 カンボジアの基礎自治体であるコミューン・サンカット の評議員には、図 1 の代表者と行政官のいずれの立場を も兼ね備える二面性がある。したがって、代表者として の立ち位置と行政官としての立ち位置のいずれに重きを 置くかによって、政治行政過程での行動の仕方が変わっ てくる。ここでの行政官とは、広義での政府の職員であ り、中央政府および地方政府の行政機構全般の職員を指 す。コミューン・サンカットの評議員はリプスキーが用 いた Street-level bureaucrats(街頭官僚)である第一線 公務員である。(4)本稿での評議員は、自治体の業務を担 う第一線の公務員の街頭官僚であり、住民の直接選挙で 選ばれており、評議会が条例も制定できるので議員でも ある。 カンボジアの基礎自治体での立法と行政の役割を担 うコミューン・サンカットは、2001 年に成立したコ ミューン・サンカット行政組織法第 3 条において地方自 治体と位置づけられている。(5)コミューンは郡の下にあ り、サンカットは市の区にある地方行政の最小の基礎単 位である。それらは主に二つの機能を果たす。一つは、 住民の利益のために事務サービスを提供することであ り、もう一つは、国家権力の委託または移譲を受けて国 の機関の業務を代理で行うことである。コミューン・サン カットの評議員は任期 5 年で、政党による拘束名簿の比 例代表式の選挙において住民の直接投票で選ばれる。い わば選良である議員とも言える評議員(定員は 5 名ない し 11 名)が、国から派遣されている 1 名の行政職員と ともに、コミューン・サンカットの行政を担っている。 各コミューン・サンカットには 2 ~ 3 名の臨時職員もい るが、実際の政策実施は評議会の代表 1 名と 2 名の副代 表を中心に、評議員自らが行っている。(6)そのカンボジ アの統治構造は成立時に影響を与えたフランスの名残と も言えるだろう。コミューン・サンカットの評議会の長 が基礎自治体の代表者としての首長にあたるのはフラン スのコミューンと類似する。(7)フランスでは広域自治体 のレジオン・デパルトマンも直接選挙であるが、カンボ ジアでは広域自治体(州、市、郡)の議会にあたる評議 会の評議員は、住民の直接選挙ではなく、コミューン・ サンカット評議員による間接選挙である点はフランスと 異なる。なお、カンボジアの広域自治体の首長は、中央 政府(内務省)からの任命である。 今日のカンボジアの民主制度は、1993 年 5 月に国連 カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の主導のもとで行 われた憲法制定議会議員選挙に始まる。その選挙監視業 務に日本から 41 名の選挙監視員が派遣された。その選 挙の詳細については、監視委員の一人として任務にあ たった依田博神戸大学教授(当時)の報告がある。(8)そ の後の国民議会選挙を経て連立政権からフン・セン首相 のカンボジア人民党の単独政権が今日まで続いている が、2013 年の国民議会選挙では圧倒的強さを誇ってい た人民党が、野党合同によって結成された救国党の追撃 を受けて、人民党の得票率 49.36%(獲得議席 67)、救 国党得票率 44.34%(獲得議席数 56)であった。そのよ うな国政の推移と並行して、地方の評議員選挙を着実に 行い、海外からの協力をも得ながら、地方分権化を進め て、地方の民主的な行政の改革・発展を進めてきた。(9) コミューン・サンカットの評議員選挙は、政党による 拘束名簿式比例代表の住民による直接選挙(コミューン・
サンカット評議会選挙法第 22 条)であり、多くの政党 が参加して争われてきた。与党人民党の得票率(獲得議 席数 / 全議席数)は、2002 年は 60.9%(7,703/11,261)、 2007 年 は 60.8 %(7,993/11,353)、2012 年 は 61.8 % (8,283/11,451)である。表 1 は 2017 年の第 4 回全国コ ミューン・サンカット評議員選挙結果である。全国 25 州の 11,572 人の評議員のうちの二大政党の得票を、今 回の調査対象としたコンポンチャム州、コンポントム州、 シェムリアップ州での選挙結果と合わせて示している。 全国 1,634 コミューン・サンカット(地域行政区)の投 票率は 90.37%(朝日新聞デジタル 7 月 11 日)であった。 コミューン・サンカットは、コミューン・サンカット 行政運営法 43 条により、安全と公共秩序維持、必要な 行政サービスの提供、住民福祉の向上、社会経済開発の 促進と住民の生活水準向上、環境と天然資源の保全、住 民同士の相互理解をうながすための調整、住民ニーズを 満たすための一般的な業務を行う。(10)それらは、地元住 民への行政サービスの提供と中央政府からの機関委任事 務の代行に分かれる。林業、郵便および電気通信サービ ス、国防および国家安全保障、金融、外交、税制の業務 を行う権限は与えられていない。コミューン・サンカッ トの業務は、内務省にモニターされており、適切に執行 されない時は、内務大臣の介入を受け、改善されない場 合には内務省は評議会を解散させ、選挙を実施するこ とができる。そのような中央主導の行政システムの下 で、内務省の職員1名がコミューン・サンカットに派遣 されているが、強い権限を持ってはいない。評議会事務 の処理などで熱心に業務を行わない職員の交代を評議 会が要請することもある。(11)基礎自治体としての業務を 担う評議会は国の開発計画と整合性のとれた独自のコ ミューン・サンカット開発計画を、コミューン・サンカッ ト行政運営法第 6 章に基づき策定できる。この開発計画 がコミューン・サンカットの政治行政の基礎となり、計 画に沿って予算が決定され、内務省などの主要機関に配 布されるとともに、住民にも公表される。なお、計画策 定にあたっては、住民が参加できる手続きが義務づけら れている。 このようなコミューン・サンカットの評議員の行動は、 官僚制と民主制の間において、政策決定、政策実施、政 策その他に関わる住民間の調整の役割を果たすと捉えら れる。(12)そのような理解から、次の政治行政における評 議員の自由裁量の構造図と今回の評議員へのアンケート 調査の質問票を作成した。
2.政治行政での政策推進者の自由裁量の行動
モデル
本稿では、政治行政における自由裁量が研究の主題で ある。私は、自由裁量(Discretion)を「制約(Restriction)」 からの「逸脱(Deviation)」とする。人々と行政の関係 での官僚制の行政官の自由裁量と、人々と政治の関係で の民主制の代表者の自由裁量とに注目して、それぞれで の制約からの逸脱である自由裁量の「現象」について考 えてみる。何が裁量であるかの「根拠」や、裁量が認め られる「理由」を議論しようとは思わない。政治を担う 代表者と行政を担う行政官が、人々との関係でどのよう でありうるかの構造を検討する。本稿の研究対象である コミューン・サンカットの評議員が、代表者と行政官の 二面性を持っていることから、そこでの自由裁量をどの ような構造によって一つの現象として捉えるかを考え る。そこから、二面性を持つ評議員の官僚制と民主制に おける立ち位置を明らかにする。それは、政治と行政の 融合での民主主義の支配の制度を議論する糸口になるの ではないかと思う。そのためには、これまでにない独創 的な研究枠組みと分析が必要である。 政治行政と人々の関係を代表もしくは委託の代理関係 表1:第 4 回全国コミューン・サンカット評議員選挙結果(2017 年 6 月実施) コンポンチャム州 コンポントム州 シェムリアップ州 全国 人民党得票数(%) 205,614 (41.49) 130,075 (42.77) 176,771 (39.15) 3,540,056(50.76) 人民党議席数(%) 380 (46.51) 273 (47.31) 318 (47.60) 6,503 (56.20) 救国党得票数(%) 245,810 (49.60) 133,201 (43.79) 215,492 (47.73) 305,6824(43.83) 救国党議席数(%) 435 (53.24) 285 (49.39) 347 (51.95) 5,007 (43.24) (注)議席を獲得したのはその他 5 党。5 党の評議員数 62 人。全評議員数 11,572 人のうち女性評議員数 1,939 人(16.76%)。 (出所)内務省の公式の選挙結果から筆者作成。に押し込めて一つの枠組みにすることには異論があるだ ろう。それについての説明の議論よりも、この枠組から 何が見えるかに、私は興味がある。研究対象であるカン ボジアの基礎自治体の評議員が、民主主義支配の統治制 度において、今日、どのような立ち位置にいるのかを知 ろうとする。そのための枠組みが図 2 である。住民に一 番身近な政治行政機関であるコミューン・サンカットの 評議員の立ち位置を、民主主義原理(Democratic rule) と官僚主義統制(Bureaucratic control)での制約(太 字の矢印)と、それからの逸脱(細字の矢印)の自由裁 量で捉える構造を示している。行政官(Administrator) は、官僚主義統制の関係での官僚制上位者(Bureaucratic superior)による制約(Restriction)から逸脱(Deviation) するフリーハンド(Freehand)を持つことで、自由裁 量(Discretion)を行う。同様に、代表者(Representative) は、民主主義原理の関係での民主制選挙民(Democratic electorate)による制約から逸脱するフリーハンドを持 つことで、自由裁量を行う。通常は、このような民主制 代表の自由裁量という見方はしないが、ここでの代表者 は選出後もそのような制約下にあると見る。本稿で対 象とするコミューン・サンカットの評議員(Councilor) には、それら行政官と代表者の二面性があることを図 2 の左側で示している。評議員の立ち位置が、行政官と代 表者のどちらに重点を置くかによって、自由裁量のあ り方が変わってくる。行政官であることの重視は、行 政権力での行政的権限の源泉(Origin)としての官僚制 上位者(Bureaucratic superior)の制約に服する官僚制 指向(Bureaucratic orientation)につながる。そこでの 制約からの逸脱の力となるのは自らが民主代表である と意識する時である。逆に、代表者であることの重視 は、政治権力での政治的権威の源泉としての民主制選 挙民(Democratic electorate)の制約に服する民主制指 向(Democratic orientation)につながる。そこでの制 約からの逸脱の力となるのは自らが行政官僚であると意 識する時である。このように政治行政体制で制約者の違 いと評議員の立ち位置によって、二つの異なる自由裁 量がありうることを示している。それは、行政官の逸 脱あるいは代表者の逸脱を制約からの自由の良心と言 うなら、良心の内実を構造的に明らかにするものであ る。このような政治行政体制における行政的権限と政 治的権威の相互間での自由裁量の捉え方は、特殊では あるが、野放図な自由裁量や自由裁量の全面否定には ならない見方を提供する。加えて、図 2 では、本稿で 使う代表性(Representativeness 点線矢印)と応答性 (Responsiveness 点線屈折矢印)の意味も示してある。 代表性ゆえの自由裁量による代表者の逸脱は人々に直接 的であるのに対して、応答性ゆえの自由裁量による行政 官の逸脱は、官僚制の源泉を経由する人々への間接的な ものとして定義している。(13) 法律との関係で議論される行政官の裁量については、 法律は行政官の行動を覇束的に規定しつくせず、行政裁 量は不可避であるが、どのように自由な行政行為であっ ても、何らかの関係で法律の覇束に内在する制約がある とする。(14)このような行政法学の伝統的な裁量論とは異 なる制約からの逸脱を、この自由裁量の構造図では見て いる。また、ここではサイモンとマーチの決定作成理論 のように、組織内部の下位での組織目標の分化の状況か ら裁量の根拠を探るのでもない。(15)ここでの自由裁量の 図2:政治行政における自由裁量の構造図 (出所)筆者作成。
行政官
行政権力(官僚制指向)
自由裁量(逸脱・応答性)
官僚制上位者
(行政的権限の源泉
としての官僚制)
代表者
政治権力(民主制指向)
自由裁量(逸脱・代表性)
民主制選挙民
(政治的権威の源泉
としての民主制)
官僚主義統制の関係
(自由 ⇔ 制約)
民主主義原則の関係
(自由 ⇔ 制約)
評議員
政治行政体制
代表性 応答性自由裁量の行動者
自由裁量の土壌
構図は特殊な見方といえる。統治過程における階統型組 織の集団作業である行政での裁量を、その官僚制組織内 での責任論でもなく、組織外の民主主義の原理からの代 表性や民主的原理への応答性から捉えようとする。それ は、裁量概念を新たに根本から再構成する必要を行政学 の枠を超えて考えようとするものであり、だからこそ、 政治制度での代表者の逸脱をも視野に置ける裁量論に なっている。(16)階統型組織(= 官僚制)での裁量の問題 は、組織全体の裁量と個々の構成員の裁量との関係に注 目して、裁量行為の反復性等に組織内での裁量の根拠を 見る。特に現場レベルの街頭官僚は、「組織的権威から 相対的に高い自立性と相当程度の裁量を持ちながら対象 者と直接接触し、個別的に社会サービスを提供している 行政職員」である。(17)ここでは、そのような街頭官僚に は主観的な判断の入り込む余地が大きいことを、民主主 義の代表性もしくは応答性から説明している。 以下では、カンボジアの基礎自治体の制度とその担い 手であるコミューン・サンカットの評議員の役割を踏ま えて、政策過程における自由裁量のフリーハンドについ ての評議員の意識を分析する。
3.カンボジアの評議員自らが捉える役割と自
由裁量のフリーハンド
今回のカンボジアでのコミューン・サンカットの評議 員へのアンケート調査では、先の図 2 の枠組みから評議 員の立ち位置を知るための質問を行った。クメール語で の質問票を用いたが、その英語版を末尾に参考資料とし て添付している。調査は、2017 年 8 月から 9 月にかけて、 コンポンチャム、コンポントム、シェムリアップの 3 州 でのコミューン・サンカットで、内務省の非公式の協力 を得ながら 103 人の評議員に配布して 85 人からの回収 を得た。サンプル評議員 85 人(103 人)は、コンポンチャ ム州 36 人(109 コミューン・サンカット中 5 箇所選択、 そこでの全評議員 43 人)、コンポントム州 20 人(81 コ ミューン・サンカット中 5 箇所選択、そこでの全評議員 31 人)、シェムリアップ州 29 人(100 コミューン・サン カット中 5 箇所選択、そこでの全評議員 29 人)であった。 コミューン・サンカットの評議員は、自らの政策決 定、政策実施、政策調整の役割をどのように捉えている のか。その調査結果が表 2 である。政策決定、政策実施、 政策調整のいずれの役割についても、半数以上の評議員 が自らの責務と認識しており、政策決定の役割について は 8 割以上が、政策実施については 6 割以上が、自らの 責任を重視しているのが分かる。また、それらの役割を 果たすことへの自信は、それらの三種類の役割について ほぼ変わらず、評議員の 7 割弱が自信ありとしている。 それらは、政策決定を政治とし、政策実施を行政とする なら、住民に一番近い基礎自治体での政治と行政を共に 担う代表者および行政官としての自覚の表れと捉えられ る。2016 年度および 2017 年度の現地での評議員へのヒ アリング調査でも、カンボジアの政治行政体制において、 選挙で選ばれた評議員として、いわば市町村議員である 立場でありながら行政実施に深く関わる行政官としての 自らの責務を、捉えているのが分かった。(18) さらに、政策決定・実施・調整の役割への責務意識も しくは役割への自信とそこでのフリーハンド意識の関係 を分析したのが表 3 である。一般的には、役割を果たす うえでの制約があるなかで自由に行動するのは、役割を 果たすことへの自信があるからと考えられるが、ここで の評議員には有意な相関係数が見られないことから、そ のような傾向は確認できない。むしろ責務への意識が、 表2:コミューン・サンカット評議員自らが捉える自身の役割とその役割への自信 役割が自らの責務と捉える評議員の割合 役割を果たす自信ありとする評議員の割合 政策決定の役割 82% 67% 政策実施の役割 61% 68% 政策調整の役割 53% 69% 全回答者数 85 人 85 人 (注)「責務と捉える」「果たす自信あり」とする評議員の割合%。 (出所)筆者作成。2017 年 8 月から 9 月に実施したカンボジアのコミューン・サンカットの評議員へのアンケート調査。サンプル評議員 85 人(103 人)は、 コンポンチャム州 36 人(5/109 コミューン・サンカット全評議員 43 人)、コンポントム州 20 人(5/81 コミューン・サンカット全評議員 31 人)、 シェムリアップ州 29 人。(5/100 コミューン・サンカット全評議員 29 人)。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。制約から逸脱する自由裁量に関係する。政策決定の役割 を自らの責務と捉える評議員ほどその対処にフリーハン ドがあると考えることが、相関係数タウ 0.30 からわかる。 同様に、政策調整の役割を責務と捉える評議員ほど、自 らの自由裁量で調整の処理を行えるとする傾向が相関係 数 0.36 からわかる。それは、評議員の職務における自 由な裁量は、評議員個人の資質よりも、制度上の立ち位 置に関わる可能性を示唆する。 今回の調査では、「地域の政策の実施の時に、自分に は住民からの代表であるとの『代表性』の責任に基づき 大きな自由裁量がある」と思うか否かの質問と、「地域 の政策実施の時に自分には住民からの委託に応える『応 答性』の責任に基づき大きな自由裁量がある」と思うか 否かの質問も行った。分析結果の表は省略するが、いず れの質問にも約 9 割の評議員が同意し、政策実施の時に おける代表性と応答性の概念の区別が全体としては明確 ではないといえる。それでもこれらの質問と政策実施で のフリーハンド意識との相関がいくつかあった。例えば、 政策決定の役割が自らの責務と考える評議員は、そこで のフリーハンドがありとの相関係数 0.30 で、代表性に 基づき大きな自由裁量があると考えるようである。それ は、官僚主義統制の関係での官僚制上位者からの制約か ら逸脱して、行政官としての評議員の自由裁量が、代表 者としての評議員の民主主義原則での代表性を基盤に行 われることを推測させる。ここに、カンボジアの評議員 が、行政官と代表者を兼ね備えている特徴が、その自由 裁量の行動に表れている。そのような評議員について先 の図 2 で説明するなら、官僚主義統制の関係での太字の 矢印の制約の下にある行政官としての評議員が、細字の 矢印が示す制約からの逸脱の自由裁量を、民主主義原則 の関係での代表者としての評議員の代表性に依拠してい る。政策調整でのフリーハンドとの 0.36 も同様の構造 に注目して説明できるだろう。
4.自らの立場についての評議員の指向性
評議員が、誰の期待に応える立場にあると考えている のかを聞くことで、評議員の指向性を見た。いわば、自 らの「ボス」を誰と捉えているかから、制約の源を探っ た。評議員の立ち位置を他律的な統制からの自由裁量に 注目して捉えようとしている。自らの行動の準則として 何に重きを置くかがその立ち位置を決める。本稿では、 先の図 2 の自由裁量の構図で示したように、自由裁量の 二元的な土壌のみを視野に置く。一つは、行政的権限の 源泉としての官僚制であり、それが行政官としての評議 員の行動の準則である。それに基づく制約の下に評議員 はいる。いま一つは政治的権威の源泉としての民主制で ある。それが代表者としての評議員の行動の準則であり、 それに基づく制約の下に評議員はいる。行政官と代表者 の二面性を持つカンボジアのコミューン・サンカットの それぞれの評議員は、そのいずれの準則に重きを置くか によって異なる意識を持つ。調査では、自らの政策決定、 政策実施、政策調整のそれぞれの役割について、「誰に 期待されていると思うか」を問うている。そこから、評 議員の指向性(Orientation)を捉えられる。指向性は、 誰をボスと感じているかと言い換えられるし、誰から制 約を受けると感じているかとも言える。本稿の分析では、 官僚制指向(Bureaucratic orientation)の準則と民主制 指向(Democratic orientation)の準則のみを取りあげて、 それらの間での評議員の重要視のあり方を測ることにし た。中央主導の行政機構のカンボジアにおいて、官僚行 政の上位者は市・郡政府よりも州政府、それより中央政 府が明確に行政的権限の源泉としての官僚制の上位者で ある。一方、民主主義原則の関係の準則での民主制指向 にとっては、政治的権威の源は民主制選挙民である。カン ボジアでのコミューン・サンカットの評議員選挙は政党 の拘束名簿による比例代表選挙であり、ここでは政党を も政治的権威に類似の源泉として質問に加えた。地方選 表3:政策決定・実施・調整の役割の責務意識もしくは自信とフリーハンド意識の関係 役割が自らの責務と捉える評議員 役割を果たす自信ありとする評議員 コミューン・サンカット 評議員のフリーハンド意識 政策決定の役割 0.30 政策実施の役割 政策調整の役割 0.36 (注)相関係数 タウ b。有意水準 0.01。有意水準 0.05 はない。 (出所)筆者作成。調査は表 1 と同じ。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。挙での比例代表制の導入は日本にとっても興味深い課題 である。中央政府での政権交替とも関連するカンボジア の民主制での地方の議員および行政官と政党との関係に ついての分析は、日本に役立つ知見をもたらすと考えた。 政策決定、政策実施、政策調整のいずれの役割におい ても、表 4 が示すように、官僚制指向では中央政府への 指向と民主制指向での選挙民への指向がほぼ 6 割以上あ り、これらの二元的な土壌での制約に対する自由裁量が 想定できる。もっとも政策調整の役割については特徴が あり、州政府への指向が比較的高く、市・郡政府への指 向は比較的低い。政策決定での政党への指向が低いのも 目立つ。それらの評議員の官僚制指向と民主制指向は、 自由裁量の制約となるものである。そこからわかる評議 員の自由裁量は、官僚制上位者である中央政府からの制 約が大きく、自由裁量にはそれからの逸脱が必要であり、 一方、民主制選挙民からの制約も大きく、自由裁量には そこからの逸脱が必要である。なお、政策調整における 自由裁量については、官僚制上位者である州政府からの 制約からの逸脱も必要である。政策決定の役割について は他の役割に比べて、政党を制約のボスと見る評議員が 自らの役割と思う割合が低い。 そのようなコミューン・サンカット評議員の制約を もたらす指向と自由裁量との関係を確認するために、 評議員の役割でのフリーハンドの意識と指向との相関 を見たのが表 5 である。そこでは、中央政府の官僚制 上位者からの制約を強く感じる評議員ほど、官僚主義 統制の関係では、そこから逸脱する自由裁量のフリー ハンドがあると考える傾向があるのに比べて、民主主 義原則の関係では、そこから逸脱して自由裁量のフリー ハンドがあると考える傾向は少なくなる。もっとも、 政策調整の役割については、いずれにおいても、制約 があっても自由に裁量できるフリーハンドを持つ立場 にいると評議員は捉えているようである。注目すべき は、政党に対するフリーハンドを評議員は持っている なかで、政策決定への役割については、相関係数が他 より低いことから政党の制約が比較的あるのがわかる。
5.行政サービスの提供におけるコミューン・
サンカット評議員の指向性
行政サービスの提供におけるコミューン・サンカット 評議員の立ち位置を調べてみたのが図 3 である。行政 サービスの提供の施策についての州政府への指向の意識 は施策によって異なる。その平均値が示すように、全体 では 6 割以上の評議員がそれらのサービスの提供を州か ら期待されると捉えている。それらのサービス施策につ いて、住民に期待されていると思う指向性より州の期待 を指向するほうが多い。多少ではあるがごみ処理などの 表4:政策決定・実施・調整において評議員が期待に応えようと思う割合 誰の期待に応えようと思うかのコミューン・サンカット評議員の指向性(思う評議員%) 中央政府への指向 州政府への指向 市・郡政府への指向 住民への指向 政党への指向 政策決定の役割 68% 46% 42% 68% 39% 政策実施の役割 62% 44% 40% 59% 58% 政策調整の役割 64% 64% 38% 60% 53% 全回答者数 85 人 85 人 85 人 85 人 85 人 (出所)筆者作成。調査は表1と同じ。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。 表5:コミューン・サンカット評議員の立場の指向性とフリーハンド意識 中央政府への 指向 州政府への指向 市・郡政府への指向 住民への指向 政党への指向 コミューン・サン カット評議員のフ リーハンド意識 政策決定の役割 0.324 0.332 政策実施の役割 0.334 (0.215) (0.227) 0.564 政策調整の役割 0.529 0.283 0.374 0.260 0.693 (注)相関係数 タウb。有意水準 0.01。( )は有意水準 0.05。 (出所)筆者作成。調査は表1と同じ。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。環境施策について例外的に住民指向が強い。上位の行政 機構と住民の間に立つ評議員が、自らのサービス提供の 役割をどのように位置づけているかがわかる。そのよう ななかで責務を果たす意欲も施策によって異なるのがわ かる。土木、環境、教育では、住民の期待に応えて自ら の役割を果たす意欲が高いと言えるだろう。 さらに、行政サービス施策での評議員のフリーハンド 意識を検討した。その結果が表 6 であり、以下の点が注 目される。文化、景観、経済、防災、緑化施策の行政サー ビスについて、州政府からそれらの対応を期待されてい ると思う官僚制上位者指向の評議員ほど、政策実施にお いて自らの自由裁量が必要と考える傾向にある。つまり、 州政府が中央政府の機能の代行者であるカンボジアの行 政システムにおいて、コミューン・サンカット評議員は、 中央政府と住民の間にあって、行政的権限の代行の役割 を担う州政府からの制約に対して、政策実施の役割につ いて、民主主義原理の代表者としての立ち位置で、住民 からの代表性を基盤に、これらの施策では自由裁量のフ リーハンドがあると考える。一方、政策決定の役割につ いて、民主制選挙民に対する自由裁量を評議員が考える のは、交通施策と環境施策と景観施策の行政サービスに ついてである。そこでは、住民からの期待による民主主 義原理の制約からの逸脱のフリーハンドが、行政官とし ての自らの立ち位置を意識する官僚制上位者を経由する 間接的な応答性を基盤に生まれる。 行政官および代表者としての評議員の立ち位置でのフ リーハンドありとの意識への影響は、政策決定と政策実 施との関わりで、さらに複雑なのが表 6 からわかる。施 策ごとのサービス提供での評議員の自由裁量の特徴のな かでも、政策決定と政策実施の両者においてフリーハン ドとの相関が確認できる環境施策と景観保全施策のサー ビス提供が興味を引く。また、政策実施での住民への民 主制指向と州への官僚制指向の両者においてフリーハン ドとの相関が確認できるのは、景観保全施策と緑化施策 である。それらの環境、景観保全、緑化の行政サービス の相関が示すように、ごみ処理や近隣の生活環境などの 施策で、評議員が自らのフリーハンドがあると思う自由 裁量の可能性が比較的に高い。カンボジアの街頭官僚に とって、フリーハンドを感じるそれらについて、先の図 3 が示すサービス提供の意欲は、景観保全施策、緑化施 策、環境施策の順で高くなる。 コミューン・サンカットにおいて、地方分権を担う基 礎自治体の評議員が、代表民主政と応答民主政から、特 に景観施策と防災施策での自由裁量を考えるところに、 カンボジアの現在の地方分権化での民主的な政治行政の 実際を見ることができる。そのような民主的政治行政で の住民からの代表性と住民への応答性を基盤とする評議 員の自由裁量を、評議員の意識との関係でさらに検討す 図3:行政サービスの提供の期待におけるコミューン・サンカット評議員の指向性 (出所)筆者作成。調査は表 1 と同じ。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 「 あ り 」と す る評議員の割合 ( %) 提供する行政サービス 住民の期待に応える指向性 州政府の期待に応える指向性 サービス提供への意欲
ると、政策決定における郡政府への責務を感じるほど、 代表性と応答性のいずれの基盤においても民主的な自由 裁量に好意的になる。加えて、代表性の基盤では、政策 実施での州政府への責務、政策実施での中央政府への責 務を感じるほど、自由裁量に好意的であるのが注目され る。そこでは政策実施における政党への責務を感じるほ ど、住民からの代表性を基盤に政策実施での自由裁量に 好意的になる傾向にも考慮が必要だろう。以上からわか るのは、政党の比例代表ではあるものの、その地域に住 み、住民からの直接選挙で選ばれるコミューン・サンカッ トの評議員は、カンボジアの中央主導の統合的な行政シ ステムの下で、民主化への変化のなかでの地方分権化の 途上において、中央の政治行政からの期待と住民からの 期待の中間にあって、多様ではあるが、自らの自由裁量 を両者のバランスの中で捉えようとしている。これに対 して、日本の地方分権には、議員にも、地方公務員にも、 そのようなバランスの意識と行動は見られないのかもし れない。日本では首長がその役割を果たす側面があるが、 カンボジアの広域自治体の首長は内務省からの任命で ある。 表6:行政サービス施策でのコミューン・サンカット評議員のフリーハンド意識 政策決定の役割 でのフリーハンド 政策実施の役割 でのフリーハンド 施策ごとのサービス提供での評議員の自由裁量の特徴 (指向と逸脱傾向) 土木施策 住民の期待 官僚制上位者指向ほど政策決定で自由裁量 (民主制選挙民から逸脱) 州政府の期待 0.40 交通施策 住民の期待 0.39 民主制選挙民指向ほど政策決定で自由裁量 (官僚制上位者から逸脱) 州政府の期待 環境施策 住民の期待 0.47 0.44 民主制選挙民指向ほど政策決定・実施で自由裁量 (官僚制上位者から逸脱) 州政府の期待 教育施策 住民の期待 特になし 州政府の期待 社会福祉施策 住民の期待 0.28 民主制選挙民指向ほど政策実施で自由裁量 (官僚制上位者から逸脱) 州政府の期待 医療施策 住民の期待 特になし 州政府の期待 文化施策 住民の期待 官僚制上位者指向ほど政策実施で自由裁量 (民主制選挙民から逸脱) 州政府の期待 0.42 景観保全施策 住民の期待 0.34 0.28 民主制選挙民指向ほど政策決定・実施で、官僚制上位者指向ほど政策実施で自由裁量 (決定と実施で異なる逸脱) 州政府の期待 0.45 地域活性化施策 住民の期待 特になし 州政府の期待 経済施策 住民の期待 官僚制上位者指向ほど政策実施で自由裁量 (民主制選挙民から逸脱) 州政府の期待 0.36 防災施策 住民の期待 官僚制上位者指向ほど政策実施で自由裁量 (民主制選挙民から逸脱) 州政府の期待 0.48 緑化施策 住民の期待 0.31 官僚制上位者・民主制選挙民指向ほど政策実施で自由裁量 (いずれからも逸脱) 州政府の期待 0.43 (注)相関係数タウ b。有意水準 1%。 (出所)筆者作成。調査は表 1 と同じ。質問は、添付の英語の質問票を参照されたい。
6.カンボジアのコミューン・サンカット評議
員の民主制と官僚制への立ち位置
コミューン・サンカット評議員は、カンボジアの地 方分権化において、重要な立場にある。国政レベルだ けではなく地方でも選挙が導入されて民主制度が定着 してきたカンボジアにおいて、地方分権化推進の行政 改革も現場における民主性を実現する重要な試みであ る。コミューン・サンカット評議員は、基礎自治体にお ける政治と行政の実際の担い手であるので、民主政治と 官僚行政での評議員の行動がどのような立ち位置でなさ れているかは、カンボジアの政治行政を考えるうえで重 要である。このような視点からの本稿の研究は、理念的 な記述ではなく評議員の意識調査結果を基礎に置くだけ に極めて錯綜した自由裁量、フリーハンドなどの概念 のなかにある。評議員の意識と行動について 2010 年か ら 2011 年にかけて、337 コミューンの 531 評議員への 全国ランダムサンプルの調査において、Accountability、 Responsibility、Trustworthiness、Transparency などの 概念が評議員に共有されていないなかで、評議員が住民 よりも中央政府を彼らのボスと考える傾向が強いことが 示されている。(19)本稿の調査でもそのような見方から、 行政責任に関わる自由裁量などを直接に質問した。 また、西尾勝は、行政責任についての記述において、 「国民による統制を拡充し、これを通して行政責任を追 及すると言う立場から、現在は非制度的なサンクション にとどまっているものを制度化していく必要、あるいは 現在は官僚制組織内部の統制に委ねられているものを公 開させ、これに対して外部的統制を加える可能性をひら いていく必要」を説いている。(20)続けて、「しかしなが ら、筆者は Accountability の問題を重視するあまりに、 Responsibility の主題を軽視しすぎていたかもしれない」 とも述べている。それらの記述が、さらに、後の本稿の 「まとめ」での引用へと続く。それらからは、本稿が扱 う自由裁量、制約、統制、フリーハンドなどの概念が、 行政責任論においても複雑に絡み合うのがわかる。そこ で、制約からの自由に注目して自由裁量を考えようとす る本稿の分析において、先の図 2 の政治行政における自 由裁量の構造図に関わり、調査分析で用いた主要な変数 についての因子分析によって、錯綜する概念の全体像で の配置を探索した。それが図 4 である。そこでは、自由 裁量を外部的な他律的「制約」からの逸脱の内部的な自 律的な「自由」とする概念化や、住民への直接の政治的 な代表性責任を理由とする自由裁量と、住民への官僚制 図4:民主制と官僚制への評議員の立ち位置と評議員のフリーハンド意識 (出所)筆者作成。調査は表 1 と同じ。質問は、添付の英語の質問票を、変数は①~⑮を参照されたい。他律的制約
自律的自由
⇔
代表性責任で の他律的制約 他律的制約で の応答性責任 自律的自由の 代表性責任 応答性責任の 自律的自由政治的代表性責任
⇔
行政的応答性責任
1.0
.5
0.0
-.5
-1.0
-1.0
-.5
0.0
.5
1.0
住民の決定期待 住民の実施期待 政党の決定期待 住民の緑化期待 政党の実施期待 住民の環境期待 住民の景観期待 決定のフリーハンド 国の実施期待 実施のフリーハンド 州の緑化期待 国の決定期待 代表性裁量 応答性裁量州の景観期待を経由する間接の行政的な応答性責任を理由とする自由 裁量との区別とともに、政策決定でのフリーハンドと政 策実施でのフリーハンドの違いの相互の関係を図示して いる。それらそれぞれの概念と尺度の詳細は、添付の質 問票を参照されたい。図 4 の主成分抽出によるバリマッ クス回転の二因子の抽出は、強いて横軸と縦軸が、先の 図 2 の構造図との関係で意味を持ちうる主要変数を選ん で探索した結果である。 縦軸に関しては、評議員が中央政府から期待されてい る役割の変数(国の実施期待、国の決定期待)について、 横軸ではほぼ同じ成分数値であり、その縦軸の成分数値 の違いから、縦軸を政策実施における行政官としての国 からの「他律的制約」と政策決定における代表者として 自らの「自律的自由」の次元と見た。一方、横軸に関し ては、評議員が大きな自由裁量を持つ理由を、住民への 直接の政治的な代表性責任と考えるか、住民への官僚制 を経由する間接の行政的な応答性責任と考えるかについ て、縦軸での成分数値がほぼ同じである変数(代表性裁 量、応答性裁量)に注目した。その自由裁量が由来する 責任において、横軸の成分数値の違いから、「政治的代 表性責任」と「行政的応答性責任」の次元と見た。その ような二次元における左下から右上方向が、図 4 に記載 してある自律的自由の代表性責任から他律的制約での応 答性責任の斜め軸である。これに合致するのが政策決定 でのフリーハンド意識と政策実施でのフリーハンド意識 の違いである。本稿ではこれまで、自由裁量とフリーハン ドの違いの説明を敢えてしてこなかった。評議員の自由 裁量はフリーハンド意識に裏打ちされているとのイメー ジにとどめてきた。フリーハンドは自由裁量の一つの表 われとしてほぼ同義と見てきたが、その使い方によって は違いがある。今回の調査結果における両者が、縦軸と 右上がり斜め軸との関係にあることで違いを示せる。一 方、右下から左上方向への左上がり斜め軸は、応答性責 任の自律的自由から代表性責任での他律的制約を示す。 それは、ここで取り上げた施策サービスを行政的権限の 源としての官僚制上位者である州政府から期待されてい るとの官僚制指向から、自らの政策決定と政策実施の役 割を政治的権威の源である民主制選挙民から期待されて いるとの民主制指向への違いを示す。この斜め軸から政 党を見ると、評議員にとって、政策決定での政党の期待 は民主制指向の方向にあり、政策実施での政党の期待は 官僚制指向に位置する。それは、政党の拘束名簿で選ば れた代表者であり、かつ実際の行政を担当する街頭官僚 である行政官としての評議員が、政党に対する政策決定 での役割と政策実施での役割を区別して捉えているのが わかる。その意味では、中央主導の行政システムにおけ る政党政治の制度の下で、民主制における地方分権化が 現場での評議員の役割について定着してきていると言え なくもない。そのような現状において、今回の評議員選 挙後に、来年の国政選挙に向けて、政権争いが過熱化す ることが、これまでの地方での民主制の定着とどのよう に折り合うかは予断を許さない状況にあると言える。(21) いずれにしても、行政サービスの提供において政策決 定と政策実施の役割に関して、官僚制指向と民主制指向 の狭間にある評議員の立ち位置から、そこでのフリー ハンドのあり方に特徴があることを、左上がり斜め軸と 右上がり斜め軸の関係が示している。それについての本 稿の分析からの知見が、政策決定でのフリーハンドと政 治実施でのフリーハンドとの構造的な違いとして明らか にできた詳細については、次の「まとめ」の表 7 で示す。
まとめ 行政での責任のジレンマと政治での
責任のジレンマ
本稿では、政策過程において政治と行政を担う代表者 と行政官の自由裁量について、カンボジアの評議員の意 識の分析から、政策決定の政治でのフリーハンドと政策 実施の行政でのフリーハンドとの構造的な違いを示し た。代表性の直接的な責任ゆえに、行政における官僚制 での制約からの逸脱の自由裁量として、政策実施につい てのフリーハンドは使われる。一方、応答性の間接的な 責任ゆえに、政治における民主制での制約からの逸脱の 自由裁量として、政策決定についてのフリーハンドは使 われることを示せた。そこからわかる自由裁量の意義を まとめたのが、表 7 である。そこでは、政策過程を政治 と行政が融合する政策形成と政策実施のプロセスと見て いる。本稿での政治の定義は、「価値の権威的配分」と する。(22)行政の定義は、「統治過程における階統型組織(= 官僚制)の集団作業である」とする。(23)そのような定義 での行政過程における行政官の責任を自由裁量の視点か ら捉えようとし、同時に、政治過程における代表者の責 任をも自由裁量の視点から捉えようとした。そのような 同じ構造から両責任を捉えるのは自由裁量への視野を広 げたといえる。選挙を基盤とする民主制での代表者について、選挙民による制約からの逸脱を自由裁量と捉える のは、選挙後も代表者には選挙民からの制約があると見 るところに意義があるかもしれない。政治行政のいずれ においても、「制約」からの「逸脱」として自由裁量を 捉える構図を考えたのは、本稿での研究対象であるカン ボジアの評議員が、行政官と代表者の二面性の制約の下 にいるからである。そこでの知見は、日本での首長を二 面性から議論する視角を提供するとともに、日本の地方 議員の権能と制度を検討する新たな視点につながるかも しれない。 先の図 4 の全体像では、二つの自由裁量の種別が、カン ボジアの評議員の立ち位置の違いから生じるどのよう な構造の下にあるかを示した。その違いがどのようなフ リーハンドの機能の違いに表れる可能性があるかを、評 議員の指向性とフリーハンド意識(表 5)、行政サービ ス施策でのフリーハンド意識(表 6)を踏まえて、本稿 の分析の知見としてまとめたのが表 7 である。その詳細 は、表に示されているので、改めて記述しないが、そこ では自由裁量の機能を制約からの逸脱であるとの前提に 立っている。行政官であれ、代表者であれ、政策推進者は、 他律的な統制の制約から逸脱する自己の思いからの自由 裁量を、統制が命じることと整合さす「責任のジレンマ」 の状況にある。そのジレンマの内容となる政策推進者の 思いを、さらに構造的に明らかにすることで、政策決定 のフリーハンドと政策実施のフリーハンドが整合を図る 道具となる可能性を示した。それは、政治と行政の分立 が基本とされるなかで、政治行政の融合がどのようであ れば、人々に資する可能性があるかの示唆になっている。 西尾勝は、行政責任に関して、以下に引用するように、「責 任とは『責任のジレンマ状況を克服する責任』であると いっても、決して過言ではあるまい。そして、この決断 を自覚的におこなうには、行政官は内面の良心が命ずる ところと他律的な統制ないしサンクションが命ずるとこ ろとを整合させなければならないのである。」と言う。(24) 本稿では、行政的権限の源泉としての階統型組織の 官僚制での自由裁量と、政治的権威の源泉としての民 主制での自由裁量の両者を並列させて論じるので、行 政内部で個々の行政官の責任を主題とする行政責任論 とは異なるところもあるが、関連する部分が多いので、 先の西尾勝の記述を、誤解を避けるために再度長文の まま引用する。 考察の焦点を行政機関の責任から個々の行政官の責任へ と移すならば、自律的責任の側面は欠くことのできない論題 となるからである。個々の行政官にとって、責任の問題は決 断の問題にほかならない。個々の行政官の意思決定において は、他人から加えられる他律的な統制ないしサンクションは すべての決定を拘束する前提である。行政官はこれらの前提 に拘束されつつ裁量する。そこにいくばくかの裁量の余地が あるからこそ、責任の問題が発生するわけである。だが、行 政官は他律的な統制ないしサンクションが指示している行為 準則のすべてを受容したうえで、なお残る空白領域について 表7:自由裁量の意義 自由裁量の種別 (政策過程での機能) 政策実施のフリーハンドによる自由裁量 政策決定のフリーハンドによる自由裁量 自由裁量の構造 (自由裁量の行動者のモデル) 官僚行政権力を強く意識しながら(官僚制指向)、 民主制選挙民への責任意識によって(代表性責 任:直接責任)、他律的制約での応答性責任があ るにもかかわらず、官僚主義統制の関係での制 約から逸脱する自由裁量を行う。 民主政治権力を強く意識しながら(民主制指向)、 官僚制上位者への責任意識によって(応答性責 任:間接責任)、自律的自由の代表性責任がある にもかかわらず、民主主義原則の関係での制約 から逸脱する自由裁量を行う。 自由裁量の事例 (カンボジアの評議員の 立ち位置) 行政官の立ち位置にいる評議員が、官僚制での 上位者からの間接的な委託代理による政策実施 にあたり、民主制選挙民の期待に応えようと、 地域の政策実施で自由な裁量を行う。 代表者の立ち位置にいる評議員が、民主制での 選挙民からの直接的な代議代理による政策決定 にあたり、官僚制上位者の期待に応えようと、 地域の政策決定で自由な裁量を行う。 自由裁量の可能性 (日本の地方の政治行政での 可能性) 人々からの間接の応答性責任を持たない代表者 が、政策実施で自由裁量を行える構造的な根拠 がない。(日本の地方議員には政策実施の権限が なく自由裁量の可能性はないが、首長にはその 権限があり政策実施の自由裁量を行える) 人々からの直接の代表性責任を持たない行政官 が、政策決定で自由裁量を行える構造的な根拠 がない。(日本の街頭官僚には政策決定の権威が なく自由裁量の可能性はないが、首長にはその 権威があり政策決定の自由裁量を行える) (出所)筆者作成。
裁量しているのだ、と考えてはならない。そのような想定は 行政官が現実に直面している決定状況と異なるであろう。行 政官に加えられている他律的な統制ないしサンクションは多 元的であり、これらが指示している行為準則は矛盾している のがむしろ常態であろう。行政官はこの矛盾する行為準則の なかからどれを選択するか、あるいはこれらの行為準則のそ れぞれにどれだけの重みを与えるか、これを決断しているの である。責任問題にはほとんどつねに「責任のジレンマ」問 題が付きまとっている。責任とは「責任のジレンマ状況を克 服する責任」であるといっても、決して過言ではあるまい。 そして、この決断を自覚的におこなうには、行政官は内面の 良心が命ずるところと他律的な統制ないしサンクションが命 ずるところとを整合させなければならないのである。 多元的な行為準則への重みの選択による「責任のジ レンマ状況を克服する責任」を、西尾勝は官僚制の行政 に限って述べていると思う。本稿では、同様の考え方を 民主制の政治にまで広げて、行政的権限の源泉としての 官僚制上位者と政治的権威の源泉としての民主制選挙民 からの制約の間での重みづけの立ち位置を検討した。そ こでは、政策推進者の内面よりも整合性へのジレンマの 克服の構造的な基盤に注目している。官僚行政権力を強 く意識する地方の行政官にも、官僚制での上位者からの 間接的な委託代理による政策実施において、民主制選挙 民の期待に応えようと、地域の政策実施で自由な裁量の フリーハンドを行える基盤がありうる。そのような理解 は、公平を旨とする官僚制行政官の責任のジレンマ状況 の克服につながるが、人々からの直接の代表性責任を持 たない日本の地方行政官が、政策決定で自由裁量を行え る構造的な根拠がない。そこでは、行政官の人々への代 表性を根拠にできる工夫が求められる。他方、民主政治 権力を強く意識する地方の代表にも、民主制での選挙民 からの直接的な代議代理による政策決定において、官僚 制上位者の期待に応えようと地域の政策決定で自由な裁 量のフリーハンドを行える基盤がありうる。そのような 理解は、利益代表でもある民主制代表の責任のジレンマ 状況の克服につながるが、人々からの官僚制を経由する 間接の応答性責任を持たない日本の地方議会議員が、政 策実施で自由裁量を行える構造的な根拠がない。そこで は、代表者の人々への官僚制を経由する間接的な応答性 を根拠にできる工夫が求められる。代表者が直接に政策 実施に関わるのが妥当かは議論が必要だが、カンボジア の評議員の事例を見ると、それが制度の確立途上の混乱 とは言えない意義を持っているように思える。政官関係 を政と官のそれぞれにおける制度と行動の間の責任のジ レンマではなく、政策決定と政策実施での自由裁量につ いての政と官のバランスとして捉えるのは新しい見方で ある。地方の選挙で選ばれた代表者が、地方官僚との協 働をも視野に政策評価を通じてでも、政策実施に関わる 工夫を模索する価値はありそうである。また、国民発案 の住民投票イニシアチブの制度などは、行政官を人々と 結びつける工夫となるかもしれない。これまでにはない そのような民主制代表者の自由裁量と官僚制行政官の自 由裁量の構造を、カンボジアの評議員の自由裁量に注目 する検討から得られた。
Questionnaire (Purpose)
We are making a survey on the practice in public administration with the assumption that the degree of discretion government officials have varies according to the level of government, i.e. national level, prefectural level and municipal level in the case of Japan and national level, provincial level, district level and commune level in the case of Cambodia. The principle almost universally taken for granted so far is that elected representatives of people should make decisions and permanent staff should simply follow those decisions. However, when we see the practice in Japan, we suspect that in government activities many decisions are actually made by permanent staff. In this connexion, we are interested in the practice on the commune level in Cambodia, because on that level actual implementation of many of the government responsibilities are actually done by Councillors, who are elected and also in charge of the implementation. So we would like to hear what you think about the following questions.
(Questions)
Q1. How would you feel about the following items of policies regarding your role as a Councillor? (1. I agree 2. I neither agree nor dis agree 3. I disagree 4. I don’t know)
Do you think the each item is your main
responsibility?
Do you think the each role is expected
by the prefectural government?
Do you think the each role is expected by the national government?
Do you think the each role is expected by the district government? (1) Policy decision–making ①
(2) Policy implementation ② (3) Policy arbitration
Q2. How would you feel about the following items of policies regarding your roles as a Councillor? (1. I agree 2. I neither agree nor disagree 3. I disagree 4. I don’t know)
Do you think the each role is expected by the
inhabitants?
Do you think the each role is expected by the
political party?
Do you have confidence in concerning the each
role of the items?
Do you have your freehand to manage the
each role of the items? (1) Policy decision–making ③ ⑤ ⑦
(2) Policy implementation ④ ⑥ ⑧ (3) Policy arbitration
Q3. How would you feel about the following each policy in your commune? (1. I agree 2. I neither agree nor disagree 3. I disagree 4. I don’t know)
Do you think the each public service is
expected for you to manage as a Councilor
by the inhabitants?
Do you think the each public service is
expected for you to manage as a Councilor
by the prefectural government?
Do you have strong motivation to manage the each public service
as a Councilor? (1) Infrastructure construction like roads and bridges
Do you think the each public service is
expected for you to manage as a Councilor
by the inhabitants?
Do you think the each public service is
expected for you to manage as a Councilor
by the prefectural government?
Do you have strong motivation to manage the each public service
as a Councilor? (3) Environmental policies like garbage disposal and
public nuisance prevention ⑨ (4) Education including schools and kindergartens
(5) Social welfare policies including nurseries and care houses for elderlies
(6) Public health policies like hospitals and public health offices management
(7) Cultural policies including cultural and sports facilities management and conservation of cultural heritage
(8) Scenery preservation policies for natural beauties
cityscape ⑩ ⑪
(9) Regional economic vitalization policies like tourism promotion and traditional industries revitalization (10) Economic policies including employment and economy
stimulation and industries promotion
(11) Disaster prevention policies against fires, earthquakes and such
(12) Tree planting policies in parks and streets ⑫ ⑬
Q4. How would you feel about the following each item?
(1. I agree 2. I neither agree nor disagree 3. I disagree 4. I don’t know)
(1) When local councils were set up in provinces and districts as a result of the introduction of the Organic Law for the decentralization, do you think that there was any observable change in government officials’ view with regard to this issue?
(2) When local councils were set up in provinces and districts as a result of the introduction of the Organic Law for the decentralization, do you think that there was any observable change in people’s view with regard to this issue?
(3) Do you think that you have a large degree of discretion when you are in charge of implementation of the commune’s polices because of your “representative” responsibility towards the inhabitants of the commune? ⑭ (4) Do you think that you have a large degree of discretion when you are in charge of implementation of the