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行列の指数関数について

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Academic year: 2021

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(1)平成23年度. 学位論文. 行列の指数関数について. 兵庫教育大学大学院. 学校教育研究科. 教科・領域教育学専攻. 白 然 系 コ 一 ス. M  1 0 ! 7 9 I. 西  川  昌  美.

(2) 1. はじめに 研究の目的  高校で学ぶ数学の背景には,多くの場面で線形代数の考え方が,微分積 分では幕級数の考え方が含まれている.そこで本研究においては,線形代. 数の内容と幕級数に関する理論を通して大学数学の出発点となるような 内容を整理することを第一の目的としている..  第二の目的として,線形代数の内容と幕級数の内容を,行列の指数関数 を通して簡単な微分方程式の理論として融合し,現実の事象へと適用する 言十算を行った..  そのような計算を目的とした遠景には数学的活動や数学的モデリング の考えがある.筆者は卒業研究において高等学校における数学的活動を 扱っていることもあり,本研究においても数学的な活動として,現実の事 象に数学の理論を当てはめるといった数学的モデリングの考えを念頭に 置き,微分方程式の考えを用いて現実の事象を考察する計算例を提示して いる.. 研究の内容  本稿では線形代数の行列の理論,および解析学の幕級数の理論を取り上 げ,それらを行列の指数関数として結び付け,微分方程式との関係を述べ ている..  線形代数学において,正方行列λが正則な行列丁を用いてλ=TPT−1 と表されることは,行列λの幕乗を考える際に非常に有用である.特に, 行列Pの形が可能な限り簡単な形で表されれば,行列λの幕乗を容易に 計算できる.行列Pの対角成分以外が0であるとき,行列λが対角化さ れているというが,このとき,Aの幕乗は容易に計算できる1しかし,この ように対角化できない場合もある.その場合,Jordan標準形を考えること.

(3) で,λの幕乗の計算が容易になる.このJordan標準形の議論を進める上 で,出発点となるのがCay1ey−Hami1tonの定理である..  このように本稿では,線形代数学について行列の基本的な考え方から Jordan標準形までを扱った.このことは,今まで筆者自身が,曖昧に扱っ てきた部分を見直すきっかけとなり,行列の持つ性質の有用性を感じられ るものとなった..  また,幕級数について扱っているが,この幕級数は,多項式を拡張した ものと位置づけることができる.それというのも,多項式は有限個の項か らなる式であるが,幕級数はそれを無限個にまで拡張して考えられている からである。幕級数はΣ二〇αれバで表されるため,多項式と違って収束す るかどうかという問題があるが,一旦これが収束することを確かめれば, 微分などの操作を行う上で,多項式と同様に扱うことができる.  高校数学においては,収束の定義が曖昧な形で扱われているが,ここで は,厳密な収束の定義を導入し,この幕級数の収束,微分等について論じ ている.また,高校では自」然対数の底としてeが登場し,指数関数eπが論 じられていくが,このあたりの議論は,高校生にとって不自然な展開に見 えることも多いようである.特に,eの必然性に疑問をもつ高校生は多い.. ここでは,指数関数を幕級数で定義したのち,eを別な形で導入し高校で 扱うeπを再構成した..  また,本稿において,注目すべき点は指数関数に行列を代入することで ある.これは,指数関数を幕級数で与えたことに加え,行列の幕乗を考え たこととの深い関連性を示すこととなった.このように,指数関数に行列. を代入し,行列の指数関数として捉えることから,それが任意の2次もし くは3次の行列に対して,収束することとその収束値を示した.  通常の指数関数e皿には微分したものが,自分自身と一致するという特 異な性質があり,そのことが関数eπと微分方程式g密接な関係へとつな がっていくが,行列の指数関数においても,微分方程式との密接な関係が ある..  大まかに言えば微分方程式の理論とは,状態が数値がされる現象におい て,どのような状態のときにどのように変化していくかが分かっていると き,全体的な変化の様相を関数として求める問題である.  本稿で扱う微分方程式は,定数係数の線形微分方程式であり,もっとも 簡単なものではあるが,一般の微分方程式の平衡点の様子はここで扱う種 類の微分方程式で考察できるなど,基本的であるともいえる.  すなわち,ここで扱う微分方程式とは加壬=A叫であるが,この方程式.

(4) の一般解は行列の指数関数によって              π士=exp(亡λ)”o. として簡明に求められる、.  ここでは,2次の実行列に対して,微分方程式の一般解や具体的な解を 求め,その様子を相図として表した.このとき,微分方程式の解を平面上 の曲線と捉えると,榊平面上の任意の点に対し,その点を通る曲線が存在 する.また,解の一意性から,微分方程式の解の示す曲線のうち,共有点 をもつものはないため,zμ平面全体は,この微分方程式の解が表す曲線に よってもれなく埋め尽くされることが分かった.  最後に,現実の事象を微分方程式を用いて考察する数理モデルとして, 2種類の生物についての個体数の変化の様相と,買いだめ現象における購 買量と在庫量との変化の様相を考察した、数学的モデリングの理論では, 現実の事象から条件処理などによりモデル化することで数学的モデルを つくり,これを数学的に処理・考察したのち,もとの現実の事象に当ては めてモデルを再考しなおすとうサイクル的な思考活動が提唱されている. その活動により,数理モデルの理論をより完成されたモデル理論に近づけ ていくわけであるが,ここでは考察した内容を完成された厳密な理論とし て扱うのではなく,数学的モデリングの1つのサイクル,つまり,現象を. 数理的にモデル化する活動例として紹介している.このような社会の現 象を微分方程式を用いてモデル化する活動のなかで,現実の事象を数学的 に分析できるという数学の有用性が再認識された.また,その考察の過程 で得られた数学的な結果と現象の定性的な部分との一致をみて、このよ うな活動自体に純粋な面白さを感じ,数学に対する興味を一層深めること ができた.. 論文の構成  以下,修士論文の構成について詳しく述べる..  第1章 「線形代数」では,ベクトル空間の基底,次元や行列の正則性, 階数等に関する知識は仮定して議論を進めた.ここでは,行列λが正則な. 行列丁を用いてλ=TPT■1と表せることを示すために,第1節から第7 節の構成により論じている..  第1節では,η次の複素数,実数を成分とする行列の固有値・固有ベク トルについて記している.第2節では,ベクトル空間が直和をなすための.

(5) 4. 必要十分条件や,直和をなすベクトル空間全体の次元について考察してい る.第3節では,η次行列λにおいて,対角化できる場合について記して いる.第4節では,対角化できない行列λに対し,より簡単な行列Pを用. いて,λ=TPT一ユと表すために,ケーリー・ハミルトンの定理を出発点 として,Jordan標準形と呼ばれる標準形を紹介するための準備をしてい る.第5節においては,1,4節で論じたことを踏まえ,n次の行列λに対し, Jordan標準形の理論の本質的部分を論じている.第6節では,2次もしく は3次の複素行列λに対して,また第7節では,2次もしくは3次の実行 列λに対して,具体的なJordan標準形を記している.  第2章 「幕級数」では,高校数学において学習する,自然対数の底eに 関する指数関数e皿を,幕級数により再構成し,その幕級数の収束値が♂ であることを紹介している..  第1節においては,高校数学で曖昧に紹介されている収束の定義を,厳 密に定義し,その定義に基づいて,絶対収束性について記している.第2 節では,実数列{αれ}に対して,幕級数∫(”)=Σ饒αれバを定め,この幕. 級数が任意の”に対して収束するための条件を記している、第3節では, 本章の主定理である,幕級数が収束する範囲では微分可能であり,その微 分が∫’(”)=Σ二〇nα。が一/であることを紹介している.第4節では,指 数関数exp(”)を幕級数により,.                  oo             …(/)一Σ÷〆.                 n=o と定め,この指数関数がもつ性質について触れている.また,この幕級数 の収束値が指数関数eπとなることを紹介している.  第3章 「行列の指数関数」では,第2章で扱った幕級数により定義した 指数関数に行列λを代入し,行列の指数関数exp(λ)を考えた.  第1節では,行列λがλ=TPT−!と表されるとき,exp(λ)が収束する ことを考察している.第2節では,ベクトル値関数,行列値関数に対して, その極限や,微分について触れ,行列値関数の積の微分に関する定理を紹 介している.第3節では,3.1節で扱った行列の指数関数に対して,実行列. における性質を考察している1そこから,微分したものが自分自身と一致 するなどといった,指数関数と同様な性質をもつことが分かった.第4節 では,3.3節で記した,行列の指数関数の性質を用いて,2次,3次の実行列 に対して,行列の指数関数の値を考察している.また,三角関数Sint,COSt が幕級数により表されることを紹介している、第5節では,行列の指数関.

(6) 数の行列式について考察している.ここでは,2次,3次実行列に対して, det(exp(A)):et「λであることを記している..  第4章「微分方程式」では,最も基本的である定数係数の線形微分方程 式を扱っている.また,具体的な事象に微分方程式の考え方を当てはめ, その事象を考察している..  第1節においては,微分方程式細。=如芒の解が存在すること,その 解が一意的であることについて考察している.第2節では,2次の実行列 に対して,4.1節で扱った,微分方程式の一般的な形や,具体的な解を求め. ることから,その解の様子を概観している.第3節では,2変数の微分方程 式に関して,その平衡点がもつ安定性について触れ,その平衡点の近傍に おける微分方程式の解の挙動について考察している.また,数学教育にお. ける数学的モデリングの考えを紹介している.第4節,第5節では,具体 的な事象に微分方程式の考えを当てはめ,その計算例を提示している..

(7) 目次 第1章  1,1. 線形代数 固有値・固有ベクトル..  1.2. 直和.  1.3. 対角化....  1.4. Jordan標準形への準備..  1.5. Jordan標準形.....  1.6. 2次,3次行列の標準形..  1.7. 実行列の標準形.... 第2章  2.!. 幕級数 収束と絶対収束..  2.2. 幕級数...... 43 47.  2.3. 幕級数の微分. 49.  214. 指数関数..... 54. 第3章. 行列の指数関数 行列の指数関数. 行列値関数. 60. 3.3 exp(λ)の性質.1. 73. 3,4 exp(λ)の値.... 76. 3,5 exp(λ)の行列式.. 82.  3.1.  3.2. 43. 60. 70. 87.  4.2. 微分方程式 微分方程式 相図.  4.3. 平衡点の安定性.、... 98.  4.4. 生物界における捕食と被食の関係.. 101.  4.5. 買いだめ現象の数理モデル.... 106. 第4章  4.1. 87 91.

(8)  7 謝辞. 113. 参考文献. 114.

(9) 第1章. 線形代数.  高等学校数学科においては,種々の教材の背景に線形代数の考えが存在 している.この章では,高等学校数学から大学数学への架橋を意識して, 線形代数の基礎からJordan標準形までを取り上げる.. 1.1 固有値1固有ベクトル  ベクトル空間の基底,次元や行列の正則性,階数等に関する知識は仮定 して議論を進める.これらについては,例えば一3]を参照..  以下当面は,複素数を成分とする行列やベクトルを扱う.つまり,断ら. ない限りベクトル空間はC上のベクトル空間である. 定義1.1.1複素数を成分とするη×η行列のλに対し,Oでない”∈Cれ と入∈Cで,λπ:畑となるものがあるとき,λをλの固有値,πをλに 対する固有ベクトルという. 定理1.1.2複素数を成分とするη×η行列のλに対し,複素数λがλの 固有値であるための必要十分条件はdet(λ_旭)=Oである. 証明 (必要性)背理法により示す.λが固有値であるとき,det(λ一旭)≠0. と仮定する.π≠Oを固有ベクトルとすると,              (λ一旭)π=O となり,(λ一畑)が正則であるから,.             π=(ガ畑)一10=O となり,π≠Oに矛盾する.よって,det(λ一畑)=0を得る。.

(10) 第1章 線形代数 (十分性)det(λ_旭)=0とすると,(λ_旭)の階数はη未満で,                   1 0 ... 0                   0 1 、.. 0          3(λ一λ万)T=.                   O....、.O となる正則な行列3,T([3]参照)がある.このとき,. ψ=. とおけば,3(λ一入E)Tμ=O,μ≠Oとなる.ここで,Tψ=πとおくと,.             (ガ畑)π=3−10=O が得られる.また,Tは正則な行列であるので,.               π:η≠O であることが分かり,λはλの固有値である.          口 定理1.1.3実行列Aにおいて,λの固有値入が実数のときは,λに対する. 固有ベクトルとして実ベクトル”∈R几⊂Cηが存在する. 証明 定理1.1.2より,det(λ一畑)=0である.このと一き,λ一旭は実. 行列であるので,(λ一旭)”=Oとなる実ベクトルπが存在する.  口 定義1.1.4η×η行列λに対して,λに関する多項式             d・t(λ一旭)二∫λ(λ). をλの固有多項式という またム(λ):Oをλの固有方程式という. 命題1.1.5複素数を成分とするη×η行列のλに対し,複素数λをλの 固有値とする.肌={π∈Cη一地=畑}とすると,W’λはベクトル空間 である..

(11) 第1章 線形代数                     10 証明 任意の元”1,ω2∈Wλに対して,     λ(”。十㏄・)=地1+此。=柵十柵=入(π。十π。). であるので”1+π2∈肌であることが分かる.また,ん∈Cに対して,         λ(んπ1)=た(λπ!)=ん(λπ1)=λ(たπ1). であるのでんπ∈肌であることが分かる.よって,W’λはベクトル空間で. ある.                           口 定義1.1.6λをη×η行列,λをλの固有値とする1このとき,ベクトル 空間肌={π∈Cれ1λ㏄一畑=O}をλの固有空間という.. 1.2 直和 命題1.2,1Cれ⊃W1.、。W∴をCη上の部分ベクトル空間とする、この とき,.    Ψγ1+・一十肌={α1+… 十αmlα1∈W1,・一,αm∈肌}. とおくと,これはC几上の部分空間である.. 証明 肌十…十W∴の任意の元α=α1+α2+…十αm,b=わ1+b2+…十bm (叫,わ{∈肌)に対して,.      α十b=α1+α2+… 十αm+b!+わ2+… 十b㎜        =(α。十わ。)十(α。十6。)十…十(αm+6m). であるので,α十δ∈W=ユ十..、十W∴であることが分かる.また,ん∈Cに 対して,.           んα;ん(αユ十α2+… 十αm).           =んα1+たα2+…十んαm. であるので,んα∈W1+…十W∴であることが分かる.よって,この集合. は部分ベクトル空間である.                 口.

(12) 第1章 線形代数                      11 定義1.2.2Cn⊃W=1_W∴が,乞=1,_,mに対して,      肌∩(W!+… 十W;_1+W二十1+… 十1〃∴)={O}  (1.1). を満たすとき,W1+一.、十W^をW1_W∴の直和といい,W1(D_①W∴ もしくは㊥ニュ肌と表す. 定理1.2.3ベクトル空間Wユ,.、。,W∴に対し,Wユ十…十W∴がW1,・一,W∴. 0)直和であることの必要十分条件は,  任意の㏄1∈W1,。。.,”m∈W∴に対し,.       ㏄1+…十”m=Oならば,π1=_=”m=O である.. 証明 (必要性)任意のπ1∈W1,…,πm∈W∴が             ”1+… 十π例=O を満たすとする.すると任意の乞(1≦乞≦m)に対して       ωF一(π。十…十π古一。十π七十ユ十…十πm) であり,肌,...,wmは直和をなすので,.     軌=O∈肌∩(Wユ十…十肌一1+肌十。十…十肌) 包は任意なので,”1=_=”m=Oを得る.  (十分性)乞≠1のときも同様なので,式(1.1)を乞=1の場合で示す。任 意のπ∈W1∩(肌十.一.十W∴)に対して,     π一π、十.。.・π。(。∈w、,π、∈ル、,…,ω㎜∈肌). と表せる.よって,.          π十(一”2)十… 十(一”m)=O となり,仮定より,㏄=Oを得る.したがって,W=1∩(W=2+…十W∴)={O}.                                口.

(13) 第1章 線形代数. 12. 定理1.2.4Wユ①…①W∴の元αは,α{∈肌を用いて,            α=α1+… 十α伽 と一意的に表せる.. 証明 W1㊥…㊥W∴は,集合としてW1+…十W∴と同じであり,表せ ることは明らかなので,一意性を示す.α4,b{∈帆とし,.       α=α1+α2+… 十αm=b1+b2+… 十bm と表せたとすると,肌∋α乞一bづであり,       (b1一α1)十(b2一α2)十… 十(bm一αm)=O となり,定理1.2.3より,α壱_bゼ=Oつまり.               叫=b4 が得られ,W1㊥.、。①W∴の元が一意的に表せることが分かる.  口. 定理1.2.5W1…W∴をC帆内の部分ベクトル空間とし,このW11…W∴ がWユ①、。.①W∴と直和を成すとき,.      dim(Wユ①…①W㌃)=dim W!+… 十dimW㌦ である.. 証明 W;の基底をα壬壱),…,α三)として,α二{)(1≦乞≦m,1≦ゴ≦d{)を全. て合わせたものが㊥二1肌の基底であること,つまり生成すること,一次 独立であることを示す.  (生成すること)θ二、肌の元は肌の元の和である・肌の元はα二4),. 1≦ゴ≦凶の一次結合で表すことができる、  (一次独立であること)  d1       d2          dm. Σん1ユ)α11)・Σん12)α12)・・…Σんlm)α1㎜)一・一・……・・.  ゴ=1        ゴ=1            ゴ=1. とすると,定理1.2.3より乞=1,2,_,mについて,.              d{.             Σん1{)α1壱)一・.             j=1 を得る。ここで,α二つ)は肌の基底であり,一次独立であることから,任意. の1,ゴに対したト0である.        口.

(14) 13. 第1章 線形代数. 1.3 対角化  以下,K=RもしくはCとして述べる. 定義1.3.1K上のベクトル空間Wの基底α1,_,αmに対して,Wの任 意のベクトルαは α=λユαユ十…十λmαm(λ。,…,λm∈K). ¥と表すご一表示1法を基底 一11に1一るこのとき,α α1,..。,αmに関する座標という.. 定義1.3.2γWをK上のベクトル空間とする.また∫をγからWへの 写像とする.このとき,  1.π,V∈γに対してプ(π十ψ)=∫(”)十ア(ψ).  2.ん∈K,π∈γに対して,∫(ん”)=け(π). を満たすとき,∫をK上の線形写像という..  また,容易に分かるように,∫をKれからKmへの写像,gをK㎜からK’ への写像とし,∫,gとも線形写像であるとする.このときg吋も線形写像 である、次の定理は,線形写像に関して基本的である.(証明は[3]参照). 定理1.3.3∫をK上のベクトル空間γからベクトル空間γへの一 ?`写 像とする.ベクトル空間γ上の基底α1,、。。,α。に対して,        ∫(αゴ)=わljα1+…十わηゴα。(∼∈K) となるとき,基底α1,..、,α帆に関する座標を用いると. 1[十卜(1)1(ただ吋)). となる。このときB=(6{ゴ)を∫の基底α1,..。,α。に関する表現行列と いう..

(15) 14. 第1章 線形代数. 特に,標準基底e1=. ジ..,en=. に関する,KηからKηへの. 線形写像∫の表現行列を単にアの行列という. 定理1.3.4KηからKηへの線形写像∫の行列をλ,基底α!,…,α。に関 する表現行列を・,基底を縦ベク/ルとして並べた行列を・一(α・…α一) とすると,. TBT−1=λ が成り立つ.. 証明 任意のπ∈Kηに対して               ∫(π)=如           ∫(αゴ)=61ゴα1+…十6ψη である.ここで1≦乞≦nに対して∫(α{)を考えると,          此。=∫(αユ)=6。。α。十…十6。。α。          λα。=∫(α。)=b。。α。十…十6れ。αれ.         λαη=∫(α、)=6。。α。十…十われれα几. すなわち!<乞<ηに対して. 刈(lll). 北1一. iα!. である・このことから,τ一(α1・・. α一)とすると,. λT=TB を得る1このとき,α1,…,αηが基底であることから,Tの階数はηでT. は正則となる.よって,TBT−1=λが得られる.        口.

(16) 15. 第1章 線形代数. 定理1.3.5W=ユ,肌をそれぞれ次元がη,mのK!の部分ベクトル空間とし,. ∫をW1①W2からW1㊦肌への線形写像とする.このとき任意のω1∈W1, り2∈W2に対して,∫(η/)∈W1,∫(U2)∈恥となるならば,W=1①肌のう. 1慨1111,1の表現行列が. i㍑)1表せ1・ただ!〃は. それぞれη次,m次の正方行列である1 証明 W1の基底をα1,… ,αη,W2の基底をb1,…,bmとする、これらの 基底を合わせるとW1①W2の基底になる.ここで,α1,_,α。,b1,_,b㎜. に対する∫の表現行列を考える.      ∫(α。)=αユ。α。十…十α。性α。十0b。十…十〇bm. ∫(αη)=α几。α。十・・十α㎜α九十0b。十…十〇bm. ∫(b。)=Oα。十…十0αれ十6。。b。十…十わ。mbm. ∫(b。トOαユ十…十〇αれ十6㎜。わユ十…十6mmわm. 1一で,基臥…^…,・・1対すllの表現行列は. i川の. 形で表される.このλは肌に制限された表現行列,3は肌に制限され た表現行列である.                     口  この定理をW1㊥…①W∴に拡張すれば次を得る.. 系1.3.6!をW1①…θW∴から肌㊦・一①W∴への線形写像とする. 任意の叫∈肌に対して,∫(U胎)∈恥となるとき,W1θ_㊦W∴のうま い基底をとると,その基底に関する∫の表現行列が.            ノ110......0.            0/120...0            O.....0/1m となる.このとき,んは!に関する肌に制限した表現行列である..

(17) 第1章 線形代数         」            16 定理1.3.7n×η複素行列であるλの異なる固有値λ1,…,λ、に対する, 固有ベクトルπユ,… ,π、は一次独立である.. 証明 rに関する帰納法で示す.r=1のとき,”1≠Oより正しい.  ㏄1,…,ω、一1が一次独立であると仮定して,πユ,… ,”、が一次独立であ. ることを示す1μゼ∈Cとして,          μ1π1+… 十μ、_1π、_1+μ、”、=O       (1.2). とする.(1.2)式にλ、をかけて        λ、μユ㏄1+一・十λ、μ、_1π、_1+入、μ、π、=O     (1.3). また(1.2)式にλをかけると,        λ1μユ”ユ十… 十人、_1μ、_1”、_1+λ、μ、π、=O    (1.4). (1.3)式から(1.4)式を引くと,       (λ、一λ1)μ1π1+… 十(λ、一入、_1)μ、_1π、_1=O. となる.仮定よりπユ,...,π、一ユは一次独立であるので,        (λ、一λユ)μ。=…・・(λ、一λ、一。)μ、一。=O. である、さらに,λ、_λ1≠O,_,λ、_人、_1≠Oであるので,μユ=_= μ、一1=0であることが分かる.(1.2)式にμ1=_=μ、一1。。Oを代入する. とμ、=0を得る.したがって,”1,_,π、は一次独立である.    □.  定理1.3.7の複素数の場合と同様に,次の定理が得られる1 定理1.3.8実数成分のη×η行列であるλの異なる実固有値λ!,.。、,λ、 に対する実固有ベクトルπ1,...,π、はR上一次独立である.. 定理1.3.9η×η複素行列λの異なる固有値λ1,_,λ、に対する固有空 間W1,.。。,肌は直和を成す.. 証明 rに関する帰納法で示す.r=1のときは自明である.W1,… ,肌一ユ. が直和を成すことが分かったとして,wユ,_,附か直和を成すことを示 すl W1の元”1,…,町の元”、に対して.              πユ十…十π、=O      (1.5).

(18) 第1章 線形代数. 17. とする.(1.5)式にλを左からかけて          人1π1+λ2”2+… 十λ、π、=O       (1.6) (1.5)式に入、をかけて.          λ、ω。十λ、吻十…十λ、π、二〇    (1.7) (1.6)式と(1.7)式の辺々を引くと        (人1一人、)π1+… 十(人、_1一λ、)π、_1=O ここで,(λユ_λ、)πユはW1の元,...,(λ、_ユ_λ、)π、_1は肌一ユの元である.. 帰納法の仮定より,1≦乞≦r−1に対して             (λrλ、)㏄FO である.人一λ、≠Oより           π{=O (4=1,… ,r−1). であることが分かる.これを(1.5)式に代入すると”、=Oを得る.した がって,定理1,213より,W1,…,肌は直和をなす.        口 定理1.3.1Oλをη×η行列とし,λ1,…,λれをλの異なる固有値,W;を. 入の固有空間とし,dim肌=凶とする.η=∂1+…十dmのとき,ある正 員■」行列丁を用いて.           λ・亙d1 O _..。 0            0 λ・五d.0…  O.       λ:T         T一ユ  (1.8)            O .、_.、.O λm坊m と表される.軋、は{×4の単位行列である。 証明 肌はλの異なる固有値に対する固有空間であるので,定理1.3.9よ り,固有空間W1,_,W∴は直和を成す.また,定理1.2,5より,固有空間 W1,.、。,W∴が直和を成すとき,その次元は固有空間肌の次元の和に等 しいので,.   dim(W1θ…①W∴)=dimW1+… 十dim W㌦=d1+… 十dm.

(19) 18. 第1章 線形代数 であることが分かる.仮定より,η=dユ十…十dmであるので,.            Cn:W1㊦… ①W∴ である。ここで,!をCれからCnへの線形写像とし,∫(”)=曲とすると,. 固有空間肌の元πに対して,∫(”)=ルは,八倍するだけの変換である ことから∫(π)=λμであることが分かる。よって肌の基底α壬{),…,α三) に関して,             プ(α二4))=畑二4). であるから,系1.3.6より,∫のW;に制限した表現行列は.          λ1亙d1 0     0           0 λ2万d.O…  0.           O __。一0 λm助柵 となる.さらに,定理!.3.4より,全ての基底αξ壱)を並べた行列丁について.          λ・亙d1 O _、.. 0.      λ_T 0帆・0.’.O T一・・           O 。_._ Oλm助m を得る.                        □ 定義1.3.11. リエ0    0. 0 レ20・ O            O.....0レn 上の行列のように,対角成分以外の成分は全て0である正方行列を対角 行列という.また,正則行列丁と,対角行列工を用いて,η×η行列λを λ=T∬一1と表すことを,対角化という..  λ=TムT一ユと対角化されると,〃=T〃T’1となり,〃は容易に計 算できるため,行列の幕乗を扱う広い分野で対角化は重要な応用を持って し、る..

(20) 第1章 線形代数. 19. 1.4 Jordan標準形への準備  以下この節では,文字入に関する多項式を成分とする行列を扱う.それ らをP(λ),Q(λ)などと表す.多項式を成分とする行列P(λ)は,λをスカ. ラーとして行列の前に出すことで,行列係数の多項式として考えることが できる.まず,Cay1ey−Hami1tonの定理を示す. 定理1.4.1(Cay1ey−Hami1tonの定理)λをη×η複素行列とする.λに関. する複素係数の多項式として, det(λ一λ亙)=(一1)nλ肌十α几_1入九一!+… 十α1λ十αo (αo,… ,αη_1∈C). のとき,.       (一1)ηAη十αn_ユλη一1+… 十α1λ十α〇五=0 となる.. 証明λ一旭は成分がλの多項式である行列である.これをP(λ)と表 す.またPの余因子行列をQ(λ)とすると,余因子行列の成分は,もとの行 列の(η_1)次の小行列式でつくられ,もとの成分同士の和,積,スカラー. 倍でつくられるので,Q(λ)もまた入に関する多項式の行列である。また P(λ)の成分が高々1次式なので,Q(λ)はλに関して最大(η一1)次であ る.したがって,       Q(入)=λn■1Q。一。十λn−2Q九一。十…十λQ。十Q。. と表すことができる.ここで,QO,…,Qれ一1はη次の複素行列である.ま た,P(λ)Q(λ)=(detP(入))亙という関係が成り立っているため,      (λ一旭)(λn−1Q冊一/+λn−2Q、一。十…十人Q、十Q。)        一((一1)W+α、一ユλれ一1+…十α。λ十α。)五.

(21) 20. 第1章 線形代数 と書ける.ここで,行列係数の多項式として係数を比較すると,               一Qトユ=(一1)ηE           λQ。一ユーQ九一2=αれ一1亙.           λQれ一2−Qη一3=α。一2万.              λQ2−Q1=α2万              λQ1−QO=α1亙                λQ0=α0亙 となる.これらの式に対して上から順に,〃,〃一1,〃一2,..。,λ2,λ,万を. それぞれ両辺に左からかけて辺々を足し合わせると,   0=(一1)nλn+α几_1λη’1+α帆_2λn‘2+… 十α2λ2+α1λ十α〇五. を得る.                         口 定義1.4.2〃):αη尤η十。..十αoのとき,∫(λ)とは,αn〃十.。.十α〇五の. ことである.このとき∫(λ)を多項’式プ(士)の士に行列λを代入した行列と いう.. この表現を用いれば,Cay1ey−Hami1tonの定理より,λの固有多項式にλ を代入すると0となることが分かる.また,一般に2つの多項式∫(亡),g(尤) に対して,プ(λ)g(λ)=g(A)∫(λ)である..  以下,Jordan標準形の議論に必要となる多項式に関するいくつかの定 義と定理を示す.. 定義1・4・3C係数の士の多項式の集合をC[亡1とかく・ 定義1.4.4C[左1∋∫(t),α(亡)に対し,ある6(士)∈C同が存在して,∫(士)= α(士)わ(t)とかけるとき,α(亡)は∫(亡)を割り切るといい,α(亡)1∫(亡)と表す。. 定義1.4.52つ以上の多項式プ1(亡),…,ん(士)∈C[亡1に対し,∫1(士),…,ん(t). の全てを割り切る最大次数の多項式で最高次の係数1のものを GCD(∫1(亡),… ,∫η(士)). と表す..

(22) 第1章 線形代数. 2!.  以下,多項式∫(士),g(士)等を省略して,単に∫,gと表記する。.  ユークリッドの互除法より得られる次の定理はよく知られている. 定理1.4.6∫,g∈C[亡]に対し,.             GCD(∫,9)=α∫十6g であるような,あるα,う∈qt1が存在する. 補題1・4・7!,g∈C[士1に対して,d=GCD(ア,g)とおく.このとき,ん∈. qt1がdを割り切るための必要十分条件は               ん1∫かつん19 である.. 証明 必要性については自明であるため,十分性のみを示す、定理1.4.6. より,d:α∫十6gであるα,b∈C[亡1が存在する.また,ん1∫,んlgより, ん,王∈C[士1を用いて,∫=んん,g=肋と表せる.よって,.              d=α!十わg               =α(舳)十う(1ん).               =ん(αん十61). を得る.                         □ 定理1.4.8ゾ1,。、.,∫れ∈C[亡]に対して,. GCD(ゾ1,_,ん)=GCD(∫1,GCD(∫2,GCD(∫3,、..,GCD(ん_1,ん)、..))). 証明 ηに関する帰納法により示す.れ=2のときは自明である.η=ん一! のとき正しいとして,η:んのときを考える.d=GCD(九_1,∫冶)とおく・              GCD(∫1,…,九) は,∫1,… ,∫k−2,∫た一1,九を割り切る最大次数の多項式である1また,帰納. 法の仮定により,   GCD(∫1,GCD,(∫2,.。.,GCD(九_2,d)))=GCD(∫1,、、、,∫烏_2,d).

(23) 第1章. 線形代数. 22. は,∫1,_,∫ん一2,dを割り切る最大次数の多項式である.ここで,補題1.4.7. より,dを害■1り切ることの必要十分条件は,∫k−1を割り切ることかつ,∫治 を割り切ることであったので,「∫ユ,...,九を割り切る最大次数の多項式. であること」と,「∫1,_,ル2,dを割り切る最大次数の多項式であるこ. と」は同じ条件である1よって GCD(∫1,..。,九)=GCD(ア1,...,九_2,d).         =GCD(!ユ,GCD,(∫2,...,GCD(∫ト2,d).、.)).         =GCD(アユ,GCD,(∫2,_,GCD(九_2,GCD(九_1,ム)、..))) を得る.. 定理1.4.9∫1,..。,ん∈C[左1に対し,dを定数として,GGD(∫1,…,ム)= dなら,             ん1∫1+… 十ん帆∫η=d となるん1,_,んn∈C[t]がある、. 証明ηに関する帰納法で示す.η:2のとき,定理1.4.6より成立する. η=た_1のとき正しいとして,η=んのときを示す.定理1.4.8より,       GCD(∫ユ,。..,ム)=GCD(∫ユ,GCD(∫2,_,∫n)). であり,また帰納法の仮定より,         GCD(ア2,… ,∫n)=んら∫2+… 十仏∫n. と表せる.定理1,4,6より,       GCD(!1,一..,ム)=GCD(∫1,GCD(∫2,_,∫n)).               =ん。∫。十ん。(んら∫。十…十仏ん). と表せる.よって,主張は正しい.               □. 1.5 Jordan標準形  定理1.3.10より,η×η行列λの固有値入(乞=1,..一,η),入の固有空. 間肌に対して,Σ』(dim肌)=ηならば,λは対角化することができた..

(24) 第1章 線形代数. 23. しかし,Σ芝1(dim肌)<ηであるとき,λを対角化することはできない. この節では,そのような場合にも適用可能な新しい標準形を考える.  以下,代数学の基本定理を認めて議論を進める.すなわち,η×η行列λ の固有多項式は,適当なα1,_,αm∈C,μユ十.、.十μm=ηを用いて,            (Z一αユ)μ1…(卜αm)μm. と因数分解できることを証明なしに用いる ここで,固有空間を拡張した 概念を定義する.. 定義1.5.1λをη×η行列,λを重複度んのλの固有値とするとき,λに 関する拡張固有空間とは,           {π∈Cn l(λ一λE)たπ=O} である..  ここでは,固有空間の代わりに拡張固有空間を用いて任意の正方行列に 対して適用可能な行列の標準形を考えたい. 定義1.5.2η次正方行列λに対して,            kerλ={π∈C几1λ”=O}.       Imλ={μ∈Cη,ψ=λπとなるπ∈Cnがある} とする..  次の定理1,513が本節の主たる主張である.. 定理1.5.3λをη×η行列とする.λの固有多項式       ∫λ(亡)=(士一α、)μ1…(トαm)μm(α4≠αゴ). に対して,W;=ker(λ一αβ)μ1とおくと,次のことが言える。.  1.Cn=W1θ… ㊥W∴  2.λを肌に制限すると,λは肌から肌への写像である..

(25) 第1章. 線形代数. 24.  この定理を示すために,いくつかの準備が必要となる.まず,        〃)=∫λ(t)/(トα4)μ{(乞=1,…,m)   (1−9) とおく.ただし,式(1.9)の右辺は割り切れるので,∫4(t)は多項式であるこ とに注意する. 実際,各多項式∫古(亡)(乞=1,…,m)は次のように書き表せる、. ゾ。(士)=∫λ(亡)/(亡一α。)μ1.   =(トα。)μ2…(亡一αm)μm ∫。(t)=∫λ(t)/(亡一α。)μ2.   =(トα。)μ1(t一α。)μ3…(亡一αm)μm.        アm(t)=∫λ(士)/(亡一αm)μm.           =(トαユ)μ1…(t一αm一。)μm■1  このように,全ての∫4(士)の共通の解は存在しない.したがって,∫ユ(士),_,∫㎜(士). を全て割り切るのは,定数のみであることが分かる.  よって,定理!.4.9より          ん。(t)∫。(士)十…十んm(士)∫m(亡)=!    (1.10). であるような,あるC[土1の元ん1(亡),…,んm(亡)が存在することが分かる、 そこで,そのようなん1(亡),…,んm(士)を1組選び,以下の議論で用いていく、  また,ゼ≠ゴにおいて∫ゼ(亡)乃(士)は∫λ(t)で書1」り切れることにも注意する、  ここで,乃=ん歪(λ)力(λ)とおく.. 定理1.5.4次が成り立つ..  1.p1+… 十ん=亙  2。月巧・=0(乞≠ゴ).  3.月λ=λ只 証明 1を示す.式(1.10)より,ん1(士)∫1(t)十..、十んm(亡)∫m(t)=1であっ. たので,この式の両辺を仁の多項式とみて,士にλを代入すると,     P1+… 十月m=ん1(λ)∫1(λ)十…十ん㎜(λ)∫m(λ)=五.

(26) 第1章 線形代数                     25 を得る..  次に2を示す。∫{(亡)み(t)が∫λ(士)で害1」り切れるので,ハ(λ)篶(λ)= ∫λ(λ)g(λ)と表すことができる.           月弓・=∼(λ)尤(λ)んゴ(λ)力(λ)              =ん1(λ)んゴ(λ)篶(λ)カ(λ).              =んμ)んゴ(λ)∫λ(λ)9(λ). 定理1,4,1より,ム(λ)=0なので,右辺が0であることが分かる.  3はB=ん{(λ)∫壱(λ)より明らかである                  □. 命題1.5.5次のことが成り立つ.  1.Im月=ker(λ一αβ)μ{(=肌).  21CnごImP1㊥… ①Imみ  3.Im月の元にλをかけるとIm月の元になる1 証明 1についてまず,Im只⊂ker(λ_α包五)μ{を示すl Im月の元月㏄に 対して,        (λ一α{五)μ{伽=(λ一α{万)μwλ)んμ)π.                :ム(λ)∼(λ)”. 定理1.4.1より∫λ(λ)=0なので,上の式の右辺はOである.よって, Im只⊂ker(λ_αβ)μ{を得る..  次に,Im月⊃ker(λ一α七五)μ1を示す.以下,乞=2,… ,mの場合も同様. であるため,乞=1の場合を示す、ここで,式(i.10)より       ん、(亡)ア。(t)十(ん。(士)∫。(亡)十…十んm(t)∫m(士))=1. である.また,尤(士)=∫λ(t)/(亡一α4)μ1(乞=1,… ,m)であったので,. ん・(1)〃)・(修竺)㍑・・ポ讐黒) 一/〃)・1λ(1)((亡12£)吻十・(亡壬劣、、). 一/ユ(1)〃)・トー・川1)((亡12島吻・・(亡壬劣、、)一1.

(27) 第1章. 26. 線形代数. ここで,ゼ≠1のとき,(亡一α{)μ{は∫1(亡)を割り切るので,     ∫。(t)(ん。(t)/(トα。)μ2+…十んm(亡)/(t一αm)μm)=6(亡). とおくと,6(亡)は多項式で,           んユ(亡)∫。(t)十(t一α。)μユ6(士):1. と表すことができる.よって,         ん。(λ)∫。(λ)十(λ一α。五)μ’わ(λ)・・五. を得る.したがって,           P。十(λ一α・五)μ16(λ)=亙 であるから,ker(λ一α1亙)μ・の任意の元πに対して,         π=肋=(P。十(λ一α。五)μ’6(λ))π             =P。π十6(・4)(λ一α。五)μ’π.             =P。”∈ImP。       (1.11) であることが分かり,π∈ImP1である.つまり,乞=1,…,mに対して, ker(λ_αβ)μ{=Im月となる..  ここで,特に乞=2,。..,mに対しても式(1,11)と同様のことが成り立. ち,Im月∋πに対して月π=πである.  次に2を示す.Cれの任意の元”に対して,定理1.5.4より,P1+...十九= 亙であるので,.           (P1+…十片)π=五π=π を得る.よって,.             P1π十… 十み”=” である.したがって,.            C几⊂ImP1+…十Im札 となり,等号が成り立つことが分かる.またIm月∋片叫に対して, 」P1”1+… 十九πm=O.

(28) 第1章 線形代数. 27. と仮定して,ここに月をかけると,定理1,5,4より,月ろ:0であるので,         月(P1ω1+… 十みπm)=月月”{=O. また,B吻∈Im月より月月物=月物なので           月π4:O (乞=1,… ,m) よって,定理!.2.3より.           Cη=ImP1θ…㊥Im凡 であることが分かる.  3を示す.Im只∋月πに対して,定理1.5,4より,月λ=λ月であるので,.            胡π:月(此)∈Im月. を得る.                         口 定理1.5.3の証明  命題1.5.5の!,2より,.            Cη=W1①… θW㍍ であることが分かる.また,命題1.5.5の3より,乞:1,…,mに対して,λ. の表す写像を肌に制限すれば,肌から肌に移す写像であることが分か る.よって主張は示された.                 □  また,定理1.3.ユ0より,適当な肌の基底に関して,λを肌に制限した 写像が,行列刀で表されるなら,あるη×η行列のPに対して,               コーO..、、..0.               0 乃0・.一 0         PλP−1=               O....、Oコ7n と表すことができる.ここで,θ細)=(λ一α”)”となる肌から肌へ の写像をθ{とおくと,任意のπに対して,命題1.5.5より               θ㌘(π):O つまり,θ{はμづ乗すると零行列になるような行列N{で表され,そのとき,. λを肌に制限した写像は九十α{Eで表される、.

(29) 28. 第1章 線形代数. 1.6 2次,3次行列の標準形  ここでは,前節で示した定理を用いて,複素正方行列λが2次または3 次の場合についてJordan標準形と呼ばれる標準形を示す. 定理1.6.1λが2×2複素行列であるとき,.               A=TPT−1 1表せ1・ただ!=・は正則でl/,・は. ill)1たは(ll)!表!. れる行列である.. 証明 λの固有多項式は2次であるから固有値は1つ(重解)か2つであ り,固有空間は1次元以上である.よって,次の場合分けが考えられる..  1.λが異なる2つの固有値を持っとき.   λの異なる2つの固有値をα,βとすると,α,βの固有空間の次元は. 1なので測・・l/,道1柾則行列・1・一. i川1対.  して,.               A=TPT一ユ  と表すことができる.. 2.λが1つの固有値αのみを持ち,固有空間が2次元であるとき.  固有空間の基底をα1,α2とすると,次元からαユ,α2はC2の基底で  あることが分かる.よって,定理1.3.10より,C2の基底α1,α2を並. 一た行列・1,・一. i川に対1て, λ=TPτ一1.  と表すことができる.. 31λが1つの固有値αのみをもち,固有空間が1次元であるとき.  このとき,定理!.5.3より,αの拡張固有空間はC2である.ここで,  θ(㏄)=(一4一α五)”となるC2からC2への写像をθとおく.もしも,.  θ≡0とすると,任意のωに対して,θ(ω)=Oつまり,ωがαの固有.

(30) 29. 第1章 線形代数. ベクトルになってしまい,固有空間が1次元であることに矛盾する. したがって,θは全てを0にする写像ではないのでθ(”)≠Oとなる ようなπが存在する.また,拡張固有空間がC2全体なので,πに対 してθ2(π)=Oである.このとき,π,θ(π)が一次独立であることを 示す、λユ,λ2∈Cとして.            λ。π十λ。θ(”)=O     (1,12) となるとき,θをかけると,           λ。θ(π)十λ。θ2(π)=O. となり,θ2(”)=Oより,人1θ(π)=Oを得る.また,θ(π)≠Oであっ. たことに注意すると,人ユ=Oを得る.これを式(1.12)に代入すると λ2θ(”)=Oすなわち人2=Oを得る.したがって,”,θ(π)は一次独立. であることが分かる.ゆえに,π,θ(π)はC2の基底である.ここで,.            此=θ(”)十απ              =απ十1θ(”),           Aθ(”)=θθ(”)十αθ(ω).              =0”十αθ(”). 1得1・1一て定理1舳ψ)1並一た行列町一. ill). として,. λ=TPr1 と表すことができる.. 定理1.6.2λを3x3複素数列とするとき,.              λ=TPrユ と表すことができる.ただし,Tは正則であり,Pは,. (■ぺ}市で1される1列で ある..

(31) 第1章 線形代数. 30. 証明  1.λが異なる3つの固有値をもつ場合.. ll∵∵二∵㍗1  して,.              λ=TPT■1  と表すことができる. 2.λが2つの固有値α,βをもつとき..  αの拡張固有空間をW1,βの拡張固有空間を冊とする.このとき,.  定理1.5.3よりWユ①W2=C3なので,dimW1=1,dimW2=2と  して一般性を失わない.   (a)βの固有空間が2次元であるとき   (b)βの固有空間が1次元であるとき  について示す.  まず,(a)を示す.このとき,βの固有空間と拡張固有空間は一致す  る.定理1.3.9より,α,βに対する固有空間W1,W2は直和を成す、こ.  のとき,定理1,2.5より,W1①肌の次元は,W1と肌の次元の和に  等しいので,C3=W1㊥肌であることが分かる.. よ一て1理一より,11な正則行列・と・一. i∴)に. より,.             λ=TPT一ユ と表すことができる. (b)を示す.. まず,θ(π)=(λ一βE)ωとなる肌からW2への写像をθとおく.も しも,θ…0なら,任意のωに対してθ(〃)=Oとなる.つまり,ωがβ. の固有ベクトルになってしまい,固有空間が1次元であることに矛 盾する.つまり,θはW2において全てを0にする写像ではないので θ(”)≠Oとなるようなπが存在する・また,πに対して,θ2(”)=O である..

(32) 第1章. 31. 線形代数. このとき,定理1,611の証明の3と同様にπとθ(”)が一次独立であ ることを示す.実際λ1,λ2∈Cとして,.            畑十人。θ(π)=O     (1.13) となるとき,θをかけると,         人1θ(π)十λ2θ2(”)二λ1θ(π)=O. より,λ1=0であり,これを式(1.13)に代入すると,λ2=0を得る。. したがって,πとθ(”)が一次独立であることが分かる。ゆえに,π とθ(π)は肌の基底である、. また,αに対する固有ベクトルをα.とすれば,αはW1の基底である。 定理1.5.3より,W1θW2=C3であるので,α,π,θ(π)はC3の基底 である.ここで,.           λα=αα           地=θ(”)十β”             =Oα十βπ十1θ(π)          λθ(ω)=θ2(π)十βθ(”).             =Oα十〇π十βθ(”). i■とすると, であり,定理!・・より,・一.               λ=TPT−1  と表すことができる.ただし,TはC3の基底α,π,θ(㏄)を並べた行  列である.. 3.λが固有値を1つだけもっとき..  λの固有値をαとする.Aの固有値が1っだけなので,定理1.5.3よ  りC3がαの拡張固有空間である.ここで,θ(”)=(λ_α万)”とす.  ると,θ3≡0である.このとき,次の場合を示す.   (a)θ≡Oのとき..   (b)θ≠Oであるがθ2≡Oのとき、.

(33) 第1章. 32. 線形代数 (c)θ2≠Oであるとき.. まず(a)について示す.. 今,θ≡Oであるので,C3全体がαの固有空間である.定理1.3.!0よ. i∵)により, り,1当な一則1列・と,・一             λ=TPT一ユ と表すことができる.(実際P=α五な0)で,λ=α五である、) 次に,(b)について示す.. まず,dim(Imθ)が1次元であることを示したい。仮に,一次独立で あるθ(α),θ(b)∈Imθがあったとする.このとき,.         んα十地十ん’θ(α)十1’θ(b)=O   (1.14) となる,ん,z,ん’,z’に対し,θをかけると,.            んθ(α)十1θ(b)=O. となり,ん=1=Oが得られる、これを,式(1114)に代入すれば, ん’=1’=Oを得る.したがってα,b,θ(α),θ(b)は一次独立である。. しかし,C3は3次元であるので,これは矛盾しており,Imθは1次元 であることが分かる. このことから,Imθ=/θ(α)/として,α,θ(α)を考えれば,定理1.6.1. の証明の3と同様にこれらは一次独立である.そ・ごて,適当なベク トルわ。∈C3を加えて,C3の基底としてα,θ(α),boをとる.このと き,Imθが1次元であることから,θ(bo)=んθ(α)と表すことができ るが,このんを用いてα,θ(α),わ(=6rんα)とすると,これもC3の 基底である.これら,α,θ(α),わに関してθ(6)=θ(6o)一んθ(α)=0. であるから,.            地=θ(b)十αb.             二αb+Oα十〇            地=θ(α)十αα             =Oδ十αα十1θ(α)          λθ(α)=θθ(α)十αθ(α).             =Ob+0α十αθ(α).

(34) 第1章. 33. 線形代数. したがって,定理1.3.3より,Tを基底わ,α,θ(α)を並べた行列,P=. (■と1れ1             λ=TPT■1 と表される.. (c)に’ついて示す.θ2(α)≠Oとなるαをとる.命題1.5.5より, θ3(α):0である.このとき,C3∋α,θ(α),θ2(α)に対して,これら. が一次独立であることを示す.λユ,λ2,人3∈Cを用いて,          λ。α十人。θ(α)十λ。θ2(α)=O   (1.15). となるとき,θ2をかけると,             λ。θ2(α)一〇. となり,入F0を得る.これを式(1.15)に代入すると,           λ。θ(α)十λ。θ2(α)=O. となり,これにθをかければ,λ2=Oを得る.同様にして,人3=Oが 得られる.したがって,λ1=λ2=λ3=Oとなり,α,θ(α),θ2(α)が. 一次独立であることが分かる. ここで,.           λα=θ(α)十αα             :αα十1θ(α)十〇θ2(α)          λθ(α)=θθ(α)十αθ(α).             :Oα十αθ(α)十1θ2(α)         λθ2(α)=θθ2(α)十αθ2(α).             一0α十〇θ(α)十αθ2(α) であることから,定理1.3.3より,Tを基底α,θ(α),θ2(α)を並べた行. 列・一. i■とし1 λ=TPT■1.

(35) 第1章 線形代数. 34.    と表すことができる..                                 □  定理1.6.2の証明の(6)において,定理1.6.1の証明の3の何ヶ所かを,そ. のまま同じ内容で書いているところがある.これは,後述の定理1.7.5の. 証明の中で,同様の議論を用いるという形で引用するために,あえてこの ような形で述べておいた.. 1.7 実行列の標一準形  ここでは,2×2,3×3の実行列について,前節と同様に第5節で示した定 理を用いて,Jordan標準形と呼ばれる標準形を示す.すなわち,実η次行 列λに対し,正則な実行列丁と簡明な実行列Pを用いて,λをλ=TPT−1 という形で表したい.  複素行列の場合の定理1.6,!や定理1.6.2の証明と異なる一部分は,基底. のとり方に関する部分なのでこれに関わる補題を先に用意する、 補題1.7.1Bを実几次行列,θ(π):肋となるCηからCηへの写像をθ とする.このとき,            θ為(”。)≠O,θた十1(π。)一〇. であるような,あるC帆の元吻が存在するならば,            θ為(”。)≠O,θ糾1(π。)=O. であるような,あるR帆の元π1が存在する.. 証明以下,ベクトルπ∈C皿の各成分を複素共役な成分に置き換えたベ クトルを面と表す.いま,3が実行列であるので,θた(亟O)=θん(πO)であ. ることに注意する.このとき,次の場合が考えられる.  !.θ為(”o)十θた(面。)≠Oのとき..  2.θ先(”o)十θk(面。)=Oのとき..  1のとき,ωo+πo∈Rηに対して,          θん(ω。十面。)=θ為(π。)十θた(万。).               一θ為(π。)十θ伽。)≠O.

参照

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