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心筋細胞の3重蛍光抗体法による観察

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Academic year: 2021

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熊本学園大学 機関リポジトリ

心筋細胞の3重蛍光抗体法による観察

著者

豊田 直二, 井上 弘人, 藤塚 千秋, 石橋 剛士

雑誌名

熊本学園大学論集 『総合科学』

20

1

ページ

69-76

発行年

2014-06-20

URL

http://id.nii.ac.jp/1113/00000390/

(2)

― 69 ― (69) 熊本学園大学論集『総合科学』 平成 26 年(2014 年)6 月 20 日

【研究ノート】

心筋細胞の 3 重蛍光抗体法による観察

豊 田 直 二(熊本学園大学)

井 上 弘 人(熊本学園大学)

藤 塚 千 秋(熊本学園大学)

石 橋 剛 士(熊本学園大学)

Immunofl uorescence microscopy of cardiomyocyte with triple staining

はじめに

 横紋筋には特有の規則的横紋構造があることはよく知られていることである。現在使われて い る A 帯、I 帯、Z 線 等 の 横 紋 構 造 を 確 立 し た の は TW Engelman(1843-1909) で あ る。 そ れ 以来横紋筋の研究は続けられているが、 横紋構造がどのように形成されるのかいまだに不明 な点がある(1)。当研究では心筋細胞の特定蛋白質を減少させ、その後に起こった横紋構造の 変化を観察することにより、 減少させた蛋白質は心筋にどのような役割をしているかを調べ ている。 いままでにミオシン軽鎖 2(2)、 トロポニン T(3、4)、 トロポミオシン TPM1α と TPM1κ(5) および TPM4α(6) を調べてきた。 現在は TPM4αについてさらに詳しく調べて いる。  蛍光抗体法は抗体を使用して細胞を染色するものであるが、細胞生物系の学術分野で最も一 般的な手法となり、頻繁に用いられるようになった。蛍光抗体法の段階も一次抗体が 1 つのも のから 2 つ(二重染色)、 さらに 3 つ(三重染色) へとより高度になりつつある。 二重蛍光抗 体法はこれまでもおこなっており、 成果も出ている(2-6)、 しかし TPM4αを詳しく調べるに あたり、より説得力を高めるため、三重蛍光抗体法を試みた。説明の都合上、まず一般的な蛍 光抗体法についての概要を述べる。 

蛍光抗体法とは

 蛍光抗体法は調べたい蛋白質(トロポニンなど)に対する抗体(一次抗体)を使用し、培養 細胞や組織切片と反応させる(Fig. 1a)。 抗体は本来、 動物の体の中に侵入してきた異物を排 除するため、異物にのみ反応(特異的反応)するように作られる蛋白質(イムノグロブリン: IgG)である。抗体は異物のみを識別して反応する。反応の選択制が狭く、特異性が強いので 細胞や組織に反応させ、染色して蛋白質の存在位置を確認するのに都合が良い。  しかし一次抗体を作成するのは大変である。調べたい蛋白質を抽出、精製し、それを抗原と して、ウサギなどに免役(アジュバンドと共に注射)し、血液を採集して IgG を作成する。良 い一次抗体を得るには純度の良い物質の精製から始まり、動物の取り扱い、血清採取という多

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くの専門的知識、労力と習熟度を要する仕事になる。しかし物質の精製のみを行い、後は専門 業者にまかせることもできる。また運が良ければ論文発表者から譲り受けることもできる。一 般の試薬会社(シグマ社など)から購入することもでき、良い抗体に巡り会うこともある。  このようにして得た一次抗体(ウサギ IgG 等) を細胞に反応させる(Fig. 1a)。 実際には抗 体を薄め培養皿上の細胞に加えるだけである。これだけでは色が無いので、様々の方法で染色 をおこなう。 よく用いられるのはウサギ IgG に対する抗体に蛍光色素(FITC) を結合したも の(二次抗体)を反応させる(間接蛍光抗体法)(Fig. 1b)。 Fig. 1. 蛍光抗体法の模式図  細胞や組織の特定蛋白質に対する抗体(一時抗体)を反応させる(a)。次に一時抗体に二次 抗体(蛍光色素ラベル)を反応させる(b)。  FITC は蛍光色素なのでこれを発光させるには、蛍光顕微鏡付属の水銀ランプと特殊フィル ターを使用する。ブルーの励起光を FITC に当てると緑色光を発光する。細胞の構造を緑色の 蛍光像として詳細に観察できる。  まず単純な一次抗体を 1 つ使用したものを説明し、2 重蛍光抗体染色と 3 重の蛍光抗体染色 について話を進めたい。 

材料と方法

当報告で使用した抗体 一次抗体 心筋トロポニン T に対するウサギ IgG

( 抗心筋トロポニン T 抗体; Toyota and Shimada. 1981) 筋節のα-アクチニンに対するマウス IgG

(抗α-アクチニン抗体; AE-53、シグマ) 心筋のミオシンに対するマウス IgG

(ミオシン抗体、 HV11; Developmental Studies Hybridoma Bank) 二次抗体 ࢺ࣏ࣟࣔࢪࣗࣜࣥ ࢺ࣏ࣟࢽࣥᡂศ ࢺ࣏࣑ࣟ࢜ࢩࣥ ࢔ࢡࢳࣥ ࢔ࢡࢳࣥࣇ࢕࣓ࣛࣥࢺࡣ ࢆཧ⪃ ࣑࢜ࢩࣥ ஧ḟᢠయ ࣑࢜ࢩࣥ࡟ᑐࡍࡿ୍ḟᢠయ ⥺ D ࢔ࢡࢳࢽࣥ ஧ḟᢠయ D ࢔ࢡࢳࢽࣥ ࡟ᑐࡍࡿ୍ḟᢠయ ஧ḟᢠయ ࡢ୍ḟᢠయ

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ウサギ IgG に対するヤギ IgG-Rhodamine ラベル(ICN/CAPPEL) マウス IgG に対するヤギ IgG-Alexa Fluor 647 ラベル

(Jackson Imuno Research LABORATORYS, INC)

マウス IgG に対するヤギ IgG-FITC ラベル(ICN/CAPPEL) 心筋の培養  心筋の細胞は 7-8 日のニワトリ胚より DeHaan (1970)の方法で豊田(2004)のように培養し た。 すなわち心臓を 0.05% のトリプシンで処理し、818B 液を含む培養液で直径 35mm の培養 皿に 1.5x105 の濃度で培養した。1-4 日間培養後に培養液を 50%グリセリン、0.05MKCl、10mM K-PO4、5mM MgCl、2mM EDTA 液に交換し、-20℃で保存した(2-5)。 蛍光抗体法の実際 A)まず単純に一次抗体が 1 つの時を述べる。 B)培養皿上の細胞を 4℃のエタノールで 20-40 秒間固定する。 C)培養皿をニッパーで切り、スライドグラスにのせる。 D)一次抗体(抗トロポニン抗体)をのせ 45 分間反応させる(Fig. 2)。 E)反応後、PBS で3回(約 1 ml)洗い流す。 このままでは光学的に色が無いので顕微鏡では認識できない。 F)二次抗体(ウサギ IgG に対する抗体に蛍光色素 Rhodamine を結合させたもの)  を 45 間分反応させる(Fig. 2)。 G) PBS で3回洗浄する。 H)蛍光色素の退色防止に Lisbeth 液(7ml グセリン、0.1M Tris pH9.5、  0.5g M-Popyl-Gallate を蒸留水で fainal 10ml にする)をサンプルに加え、   カバーグラスをのせる。 I)カバーグラスが移動し、細胞を傷つけるので透明マニキュアを使用して   スライドグラスに固定する。     これらの標本は落射型蛍光顕微鏡、対物レンズ 100 倍を使用し観察した。蛍光顕微鏡付属の Rhodamine 専用フィルターにすると Rhodamine は赤色の蛍光を発し、 筋原繊維におけるトポ ニン T の位置を観察することができる。 この染色が基本となり、 この後に一次抗体をもう一 種類増やし、同様の操作を繰り返す。 二重蛍光抗体染色  上の G の後、α-アクチニンの一次抗体を反応させ、二次抗体(マウス IgG に対するヤギ IgG-Alexa Fluor 647 ラベル)を反応させる(Fig. 2)。反応後同様に PBS で 3 回洗う。H-I をおこな い同様に観察する。Alexa Fluor 647 は見にくいがやや濃いブルーに見える。フィルターを切り 換え、Alexa Fluor 647 用のフィルターにするとα-アクチニンを観察できる。

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三重蛍光抗体染色

 二重染色をおこない Lisbeth 液封入とカバーグラスをのせる前、一次抗体(抗ミオシン抗体) を反応させる。二次抗体(マウス IgG に対するヤギ FITC ラベル)を反応させる(Fig. 2)。同 様に各抗体の反応後 PBS で 3 回洗う。Lisbeth 液とカバーグラスをのせ同様に観察する。筋原 繊維のミオシンを緑色の蛍光像として詳細に観察することができる。     こ の よ う に し て 顕 微 鏡 の フ ィ ル タ ー を 切 り 換 え、 ト ロ ポ ニ ン T は 赤、 α-アクチニン は 青、 ミオシンの緑色像が観察できる。顕微鏡の暗視野に蛍光像が鮮明に見え、細胞内の筋原繊維と 存在部位を明確に認識できる。 Fig. 2. 筋原繊維におけるミオシンおよびアクチンフィラメントとトロポニン T、α-アクチニン の分子模式図 トロポニン T、α-アクチニン、ミオシン抗体の反応部分。 ࢺ࣏ࣟࣔࢪࣗࣜࣥ ࢺ࣏ࣟࢽࣥᡂศ ࢺ࣏࣑ࣟ࢜ࢩࣥ ࢔ࢡࢳࣥ ࢔ࢡࢳࣥࣇ࢕࣓ࣛࣥࢺࡣV.M.Fowler, 1993ࢆཧ⪃ ࣑࢜ࢩࣥ FITC ஧ḟᢠయ ࣑࢜ࢩࣥ࡟ᑐࡍࡿ୍ḟᢠయ Z ⥺ D-࢔ࢡࢳࢽࣥ Alexa Fluor 647 ஧ḟᢠయ D-࢔ࢡࢳࢽࣥ ࡟ᑐࡍࡿ୍ḟᢠయ Rhodamine ஧ḟᢠయ CTnTࡢ୍ḟᢠయ

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― 73 ― (73) 心筋細胞の 3 重蛍光抗体法による観察

結 果

a b c

d e f

j k

g h i

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Fig. 3. 三重蛍光抗体法を使って染色した心筋細胞の筋原繊維

  心 筋 細 胞 を ト ロ ポ ニ ン T 抗 体(a)、 α-アクチニン(b)、 ミ オ シ ン 抗 体(c) に よ り 染 色 し、 撮影した直接画像。 トロポニン T 抗体(d)、 α-アクチニン(e)、 ミオシン抗体(f) 像をそれ ぞれ二次抗体の Rhodamine:赤、 Alexa Fluor 647:青、FITC:緑色に変換した画像。α-アクチ ニンとトロポニン T と重ねた画像(g)。 α-アクチニンとミオシンを重ねた画像(h)。 トロポ ニン T とミオシンを重ねた画像(i)。トロポニン T、α-アクチニンとミオシンの三つを重ねた 筋原繊維の拡大像(j)、および観察した筋原繊維の全体像(k)。バーは 10 μm  蛍光顕微鏡下ではトロポニン T は赤、 α-アクチニンは弱い青、 ミオシンは緑に見えた。 し かし通常の顕微鏡用のカラーデジタルカメラでは Alexa Fluor 647 のような波長光は撮影でき ないので、これからの研究を行うに当たり新しくデタルカメラ AxioCam MRm とフィルターを 購入し、 三重蛍光抗体法を試みた。AxioCam MRm は白黒画像ではあるが Alexa Fluor 647 の 蛍光像も鮮明に取り込むことができた(Fig. 3b)。 もちろんそのほかの Rhodamine(Fig. 3a)、 FITC 画像(Fig. 3c)も取り込むことができた。

 直接画像が白黒画像なので実際の画像に近づけるにはコンピューターのソフト Photoshop を 使用して RGB 像に変換し、 疑似着色をしなくてはならない。 顕微鏡下に見えたようにトロポ ニ ン T は 赤(Fig. 3d)、 α-アクチニン は 青(Fig. 3e)、 ミ オ シ ン は 緑 に 変 換 し た(Fig. 3f)。 ま た三重の蛍光抗体染色を取り込んでいるので各抗体の蛍光像を重ね合わせ、コンピューター上 で各抗体の二重の蛍光抗体画像を見ることができた。  Fig. 3e はα-アクチニンとトロポニン T を重ねた像を示している。α-アクチニンは青 Z 線で 示され、その両側にトロポニン T の赤 I 帯がみえた。(α-アクチニンとトロポニン T が重なっ たところでは Z 線の青はやや赤みがあった。  Fig. 3h はα-アクチニンとミオシンとを重ねた像である。 α-アクチニンの青 Z 線で示された 筋節の中央部にミオシンの緑 A 帯が配列しているのが見えた。   Fig. 3i はトロポニン T とミオシンを重ねた像を示している。 トロポニン T の赤 I 帯とミオ シンの緑色 A 帯が規則的に配列しているのが見えた。トロポニン T とミオシンが重なったと ころは黄色に見えた。  Fig. 3j はトロポニン T、α-アクチニン、ミオシンの三重蛍光抗体染色をおこない、三つを重 ねた強拡大図である。それぞれ I 帯、Z 線、A 帯に存在するのが見えた。トロポニン T とミオ シンが重なったところは黄色に見えた。 α-アクチニンとトロポニン T が重なったところでは Z 線の青はやや赤みがあった。  Fig. 3k はトロポニン T、 α-アクチニン、 ミオシンの三重蛍光抗体染色をおこなった筋原繊 維の全体像である。それぞれ I 帯、Z 線、A 帯に存在するが、I 帯は確認しにくい。これまで行っ てきた二重蛍光抗体像とは色が大きく異なる。

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― 75 ― (75) 心筋細胞の 3 重蛍光抗体法による観察

考 察

 ここ数十年、二重蛍光抗体法で筋細胞の染色をおこなっており、特に問題は無かった。しか し現在は異常な筋原繊維の観察を行っている。その異常性についてはトロポニン T で検出し、 同視野でミオシンとα-アクチニン等なるべく多くの蛋白質の画像を得たいという理由で三重 蛍光抗体染色を試みた。また国内外の細胞生物学、分子生物学分野の報告を見ると、三重蛍光 抗体染色像が多く、三重蛍光抗体法は必要と感じるようになった。  今回三重蛍光抗体法を行い、問題点が見つかった。三種類の一次抗体を次々に反応させるの で、これらの抗体は異なる動物種に免疫で作成するのが基本条件となる。トロポニン抗体はウ サギ、α-アクチニンはマウス、ミオシンはモルモットなどである。そして二次抗体はそれぞれ ウサギ IgG に対する抗体、マウス IgG に対する抗体およびモルモット IgG に対する抗体を使え ば完璧だと思った。しかし実際に試してみると抗体の特異性に問題がでてきた。 1)ミオシンの一次抗体は筋原繊維の A 帯を正しく染めないことがあった。 先に別の抗体で染色し、ミオシンは 2-3 回目に使用することで解決した。  2)モルモットの二次抗体がマウスの一次抗体に反応する。 これは大きな問題となった。マウスとモルモットの一次抗体を使い、二重染色した場合、 モルモットの二次抗体は、マウスとモルモットの両方と反応してしまった。別物を染め たはずなのに同じ部分が染まり、 大きな間違いを発表することになる。 単純にはモル モットとマウスの二重染色は使えない。 3)また逆に同じ動物の一次抗体でも大丈夫なことがあった。 α-アクチニン抗体とミオシン抗体は両方がマウスのモノクロナール抗体なので二次抗 体はどちらにも反応し、同じ画像になるはずである。しかし抗体を順序良く反応させる ことにより区別することができた。モノクロナール抗体は認識する蛋白質が異なれば二 重、三重蛍光抗体染色も可能らしい。  一次抗体と二次抗体について数多く試したところ、当報告の順番が最も正常な染色像と なった。この順でないとこれまで自他ともに報告してきた結果と異なっていた。 4)抗体の反応時間が長い 一次抗体と二次抗体は全部で 6 つを反応させる。標本の反応と洗浄を合わせると 3 時間 程度かかってしまう。この染色は反応順が重要ではあるが、もし同時に 2 抗体を反応で きれば大幅に時間短縮となる。これは試みてみたい。  5) コンピューター上での色彩変換では実際の観察感覚と異なることが多い。 直接画像が白黒なので Photoshop を使用して RGB 変換を行っている。 トロポニン T 像 は RGB の 赤 チ ャ ン ネ ル へ(Fig. 3d)、 α-アクチニン 像 は 青 チ ャ ン ネ ル へ(Fig. 3e)、 ミ オシン像は緑へ疑似染色している(Fig. 3f)。 この時点で緑は明るいが、 赤と青は非常 に暗い色へ変換され、観察した色彩感覚と大きく異なった。赤と青の像をトーンカーブ で 強 調 し な く て は な ら ず、 労 力 を 要 し た。Rhodamine よ り Cy3 と い う 蛍 光 色 素 の 方 が 明るいので試してみたが Cy3 は FITC 側にも像がかぶり、簡単には使えないことが分かった。

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6)デジタルカメラ、ツアイス AxioCam MRm

以前使用していた AxioCam はカラー専用のデジタルカメラで、Alexa Fluor 647 のよう な波長の光は全く取り込めない。 新 AxioCam MRm カメラは白黒画像のせいか画像の 取り込みも早く、鮮明であった。フォーカスも合わせやすくなった。まず FITC の緑画 像でフォーカスを合わせ、そのままフィルターを Rhodamine、Alexa Fluor 647 へと切り 換え画像を撮影することができた。デジタルカメラといっても電気製品量販店で売って いるのとは全く異なる蛍光顕微鏡専用のカメラである。 7)フィルター

蛍光顕微鏡観察には FITC、Rhodamine、Alexa Fluor 647(Cy5)専用のフィルターが必 要となる。それぞれの蛍光色素についてどの領域の波長で励起し、どの波長を透過させ て観察するか、様々な吟味が必要となる。全てツアイスを使用した。  今回の試みで三重蛍光抗体染色が可能になった。この染色には抗体の反応順が重要となるこ とが明らかとなった。まず一次抗体一つで充分観察し、二重蛍光抗体法でも充分吟味してから 三重蛍光抗体染色に進むべきである。現在の学術雑誌で流行しているからと言って、未知な物 質をいきなり三重蛍光抗体染色することは危険であることが分かった。とはいえ顕微鏡下の一 場面で、他の蛋白質はどのように存在しているかを知ることができ、大きな進歩といえる。

謝 辞

 この研究を行うに当たり熊本学園大学の研究補助金および武蔵野大学 大室宏美教授の援助 をいただきました。深く感謝いたします。   

参考文献

1. 豊 田 直 二、 石 橋 剛 士、 藤 塚 千 秋 .(2011) 横 紋 筋 の 研 究 の 歴 史 , 熊 本 学 園 大 学 論 文 集『 総 合 科 学 』 18、1-25. 2. 豊田直二、 豊田二美枝、 大室弘美 .(2010) ミオシン軽鎖の発現を抑制させた心筋細胞の形態学的影響、 本学園大学論文集『総合科学』16、1-24. 3. 豊田直二、 吉信久美子、 荒木正 .(2004)RNA 干渉は鶏心筋の一次培養細胞の筋蛋白質トロポニン T の 発現を抑制した , 熊本学園大学論文集『総合科学』 11、63-74.

4. Toyota N, Ohmuro HT, Yoshida LS, Araki M, Yoshinobu K, Toyota FS. (2008). Suppression of cardiac tropo-nin T induces reduction of contractility and structural disorganization in chicken cardiomyocytes. Cell Struct. Funct. 33: 194-201.

5. 豊田直二、 豊田二美枝、 大室弘美 .(2007) 心筋の筋蛋白質トロポミオシンの発現抑制による筋原繊維形 成異常 , 熊本学園大学論文集『総合科学』 14、11-26.

6. 豊田直二、 藤塚千秋、 石橋剛士 .(2012) 心筋の筋蛋白質トロポミオシンアイソフォームは筋原繊維形成 に不可欠である、熊本学園大学論文集『総合科学』19、23-39.

参照

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