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情報化社会のマス・メディア (特集・20世紀の反省 21世紀の展望)

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Academic year: 2021

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情 報 化 社 会 とマ ス ・メ デ ィ ア

情報学部 田 中 淳 1.マ ス メ デ ィ ア の 時 代 1.1マ ス メ デ ィア の誕 生 と浸 透 20世 紀 は どの よ うな 時代 と呼 び う る の だ ろ う か 。 い ろ い ろ な 呼 び方 が あ ろ うが 、 そ の 共 通 の 要 素 を科 学 技 術 の 発 展 に求 め る得 る こ とは確 実 で あ ろ う。 そ の意 味 で 、今 世 紀 は マ ス メ デ ィ ア の 時 代 と呼 ぶ こ と もで きる 。 実 際 に、 マ ス メ デ ィ ア の 誕生 と社 会 へ の 浸 透 は こ の100年 に急 激 に 進 ん だ 。 表1マ ス メデ ィア の 登場

西

1862 i870 1893 1895 :'・ 1897 1899 1900 1903 1920 1925 1951 1969 1953 1960 1963 1968

「官板 バ タ ビヤ 新 聞 」 発 行 。 新 聞 と名 の付 く初 め て の 出版 物 。 「横 浜毎 日新 聞 」 創刊 。 初 め て の 日刊 紙 「キ ネ トス コ ー プ」 をエ ジ ソ ン発 表 。 「シネ マ トグ ラ フ」 を リ ュ ミエ ー ル兄 弟 が 発 明 。 初 の投 影 型 の 映画 。 「キ ネ トス コー プ」、神 戸 で一 般 公 開 厂シ ネ マ トグ ラ フ」、大 阪 で公 開 初 め て の 日本 製 作 の 映画 、東 京 ・歌 舞 伎 座 で公 開 初 め て の ニ ュ ー ス映 画 浅 草 に初 め て の映 画 の常 設 館 世 界 初 め て の放 送 局 「KDKA」 が ピ ッッバ ー グ で設 立 ラ ジオ 放 送 開始 。社)東 京 放 送 局 、社)大 阪 放 送 局 、社)名 古 屋放 送 局 民 間 放 送 が放 送 開始 NHK、FM放 送 開始(2月)、 愛 知 音 楽FM放 送 開始(12月) テ レ ビ放 送 開始 NHK、NTVな ど カ レー テ レ ビ本 放 送 通 信 衛 星 に よ る 日米 間 テ レビ 中継 実 験 初 の 民放UHF局 岐 阜 放 送 開局

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(1)文 明 開 化 一 新 聞 と映 画 の 誕 生 新 聞 の 機 能 を 「ニ ュ ー ス 」 を広 く伝 え る こ とに 限 れ ば 、不 定期 で は あ っ た もの の 日本 で は17世 紀 か ら19世 紀 に か け て の瓦 版 に遡 る こ とが で きる 。 しか し、社 会 的装 置 、産業 と して定 着 してい っ た の は20世 紀 を迎 え る 直 前 の こ と と考 え て よか ろ う。 新 聞 とい う呼 称 が 使 わ れ た の は1862年 の 「官板 バ タ ビヤ 新 聞」 が 最 初 と され る(山 本 、1970)。 また 、 日刊 とい う面 か ら見 る と 明 治 維 新 を 迎 えて か らの1870年 に発 行 され た 「横 浜 毎 日新 聞 」 が初 め てで あ り、 さ らに政 論 よ り も社 会 的 事 件 の 報 道 に重 き を 置 く 「小 新 聞 」 の 誕 生 も1870年 代 で あ っ た 。 映 画 の誕 生 もや は り19世 紀 末 で あ っ た 。発 明 直 後 の1899年 に 日本 に も輸 入 さ れ 、 一 般 公 開 さ れ て い る 。 そ して 、早 そ の6年 後 の1903年 に は常 設 館 が 登 場 す る よ う に 、 そ こか ら新 聞 も映 画 も急 速 に社 会 に定 着 して い くの で あ る 。 (2)昭 和 の 戦 時 体 制 一 ラ ジ オ の 登 場 日本 で ラ ジ オ 放 送 が 開 始 さ れ た の は ア メ リ カ に 遅 れ る こ と5年 後 の1925年 で あ っ た 。 同年 、 普 通 選 挙 法 そ して そ の 裏 面 と もみ え る 治 安 維 持 法 が 施 行 され た年 で も あ っ た 。 時 ま さ に 、 大 正 デ モ ク ラ シ ー の 終 わ りと昭 和 の 戦 時 体 制 下 に 向 か う 中 で 、 ラ ジ オが 誕 生 した の で あ る。 そ して 、 そ の 後 、マ ス ・メ デ ィ ア は政 府 や 軍 部 に よ る統 制 下 に お か れ る暗 い 時代 を迎 え る こ と に な る 。 (3)終 戦 か ら一 テ レ ビの 登 場 終 戦 を 迎 え 、 メ デ ィ ァ環 境 は 大 き く変 容 す る 。 ひ とつ は 統 制 か らの 解 放 で あ る 。 新 聞 も言 論 の 自由 を確 保 し、 ラ ジ オ も1951年 には 民 間放 送 が 開 始 され る 。 しか し、 も う ひ とつ の 変 化 は 、1953 年 にテ レ ビ放 送 が 開 始 さ れ た こ と に よ る 。 ラジ オ は早1959年 に放 送 開 始 問 もな い テ レ ビに 広 告 収 入 で抜 か れ る こ とに な る。 しか し、 ラ ジ オ は1960年 代 に 聴 取 者 の セ グ メ ン テ ー シ ョン別 編 成 が 行 わ れ る よ うに な り若 者 を 中心 に 深夜 放 送 が 、 また1969年 のFM局 開局 等 音 楽 メ デ ィア と して 新 し く定着 し て い く。 そ の結 果 、 ラ ジ オ は1970年 に収 益 の ピー ク を迎 え る 。 テ レ ビ放 送 も ま た 、 そ の 後 も1960年 に カ ラ ー テ レ ビ本 放 送 、1968年 か らのUHF放 送 を 契 機 と す る県 域 複 数 局 化 、 さ ら に衛 星 放 送 な ど多 様 な展 開 を し続 け て い る 。 1.2効 果 論 の 系 譜 に 見 る マ ス メ デ ィア 観 マ ス メ デ ィ ア は 社 会 の 中 で ど の よ うに 受 け 止 め られ て きた か は 、 マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン研 究 の 中 の 効 果 論 に典 型 的 に見 る こ とが で きる 。 マ ス メ デ ィ ア の力 、 す な わ ち効 果 を どうみ るか は、 研 究 レベ ル で もこ の100年 の 間 に大 き く変 わ っ た の で あ る 。 こ こで は 、 マ ク ウ ェ ー ル(1983)に 従 っ て 、 そ の 変 遷 を紹 介 して み る こ と に しよ う。 (1)強 力効 果 論 第1期 を 世 紀 の 変 わ り 目か ら1930年 代 の後 半 まで とす る 。新 聞 や 映 画 、 ラ ジ オ と い っ た マ ス メ デ ィア が 急 速 に社 会 に 浸 透 して い った 時 代 で あ っ た 。 さ ら に 、 第1次 世 界 大 戦 中 の 戦 争 宣 伝 や そ の後 の独 裁 国 家 に お け るマ ス メ デ ィ ア を利 用 した 大 衆 宣伝 か ら 、 「メ デ ィ ア は 、 そ れ ら が 十 分 発 達 して い る と こ ろ で は相 当 な力 を持 って お り、 メ デ ィア や そ の 内容 を コ ン トロ ー ル しう る 人 々 の 意 思 に 多 か れ 少 なか れ従 って 、意 見 や 信 念 を形 づ く り、生 活 習 慣 を 変 え 、行 動 を積 極 的 に 作 り出 し うる」(前 掲 、210頁)と 捉 え られ て い た 。す な わ ち 、大 衆 操 作 の 強 力 な武 器 と受 け止 め られ て い た時 代 で あ っ た 。 (2)限 定 効 果 論 第2期 は1930年 代 か ら60年 代 まで で 、科 学 的 な研 究 に基 づ くマ ス ・コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ン論 が 始

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ま っ た 時 期 で あ っ た 。 な か で も選 挙 キ ャ ンペ ー ンの 効 果 に 基 づ く一 連 の 実 証 研 究 か ら、マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン の影 響 は 限 定 的 で あ り、 「社 会 関係 の 既 存 の 構 造 や 特 定 の 社 会 的 ・文 化 的 文 脈 の 中で 作 用 す る」(前 掲 、211頁)と い う結 論 が導 き出 さ れ る 。 つ ま り、マス ・コ ミュニケ ーシ ョ ン に さ らさ れ る と誰 もが影 響 され る とい う素 朴 な 強 力 効 果 論 に対 して 、マスメ ディアの力 は限定 され た も の に 過 ぎ な い 、 と見 な され た時 代 で あ っ た 。 (3)再 強 力 効 果 論 1960年 代 か ら始 ま り現 在 も含 まれ る第3期 に は 、 強 力 な効 果 が あ る との見 方 が 復 活 して くる 。 そ こ に は テ レ ビの 登 場 が あ り、 ヴェ トナ ム戦 争 報 道 に よ っ て 政 府 の 意 図 しな い 反 戦 運 動 の 広 が り が あ っ た 。 こ の た め 、 そ の効 果 の捉 え方 は行 動 面 の変 化 ばか りで は な く認 知 面 、 つ ま り考 え 方 や 見 方 へ の 影 響 に 強 く関 心 を持 つ 。 な か で も長 期 的 な影 響 と、 送 り手 も意 図 しな い 、 か つ 受 け 手 に も意 識 され な い効 果 に焦 点 が 当 て られ た 。 テ レ ビ に登 場 す る職 業 や 性 別 、年 齢 な どの 描 き方 や 登 場 の 割 合 自体 が ス テ レ オ タ イ プ の形 成 や 補 強 につ なが る い う主 張 に 典 型 的 に見 る こ とが で きる 。 こ の よ う に マ ス メ デ ィ ア観 は 、 マ ス ・メ デ ィ アが 社 会 に定 着 す る につ れ 、意 図 した 方 向 へ 短 期 的 に影 響 を受 け る 脅 威 の 見 方 か ら徐 々 に さ め た 見 方 へ と移 り、 さ らに よ り長 期 的 な 、 内 面 的 な 影 響 へ とよ り洗 練 さ れ た 見 方 へ と移 っ て い った 、 とい っ て よか ろ う。 2.情 報 化 社 会 2.1情 報 化 の 進 展 「情 報 化 社 会 」、 「マ ル チ メ デ ィ ア社 会 」 と い っ た 言 葉 は 、 現 代 社 会 の特 徴 を語 る通 念 と して 広 く受 け 入 れ られ て い る 。 そ して そ の 通 念 を裏 付 け る が ご と く、 実 際 に社 会 の様 々 な領 域 に情 報 技 術 、 具 体 的 に は コ ン ピュ ー タ化 とネ ッ トワ ー ク化 が 浸 透 し、 活 用 され て きて い る 。 (1)産 業 の 情 報 化 な か で も、 産 業 の情 報 化 は急 速 に進 ん だ 。 す な わ ち 、 産 業 の 諸 過 程 に情 報 技 術 が 利 用 さ れ 、 い わ ば 「硬 い 情 報 化 」 と 「柔 らか い 情 報 化 」 とが 進 む こ と に よ っ て 、そ の高度化 ・効 率化が 図 られ た の で あ る。 そ の 背 景 と して 、 市 場 が 成 熟 す る につ れ 、 ど の 商 品 が 売 れ るか の 予 測 が 難 し くな る 一 方 で、 大 量 に生 産 す る と そ の売 れ 残 りは不 良 在 庫 に転 化 しや す くな って しま っ た とい う事 情 が

表2耐

久消費財の世帯普及率

パ ソ コ ン フ ァ ク シ ミ リ 衛星放送受信装置 カ ラ ー テ レ ビ 乗用車 平成3年 11.5 5.5*1 16.2*1 99.3 79.5 平成7年 15.6 10.0 27.6 98.9 80.0 平 成11年 29.5 26.4 36.6 98.9 82.5 平 成11年 2.56 4.8 2.26 1.00 1.04 平成3年 平成7年 1:36 1.82 1.70 r.00 1.01 平成3年 平 成11年 1.89 2.64 1.33 1.00 1.03 平成7年 (出 典)厂 平 成11年 版 家計 消 費 の動 向 」 よ り作 成 。 いず れ も3月 時 の 普 及 率 。 *1平 成4年3月 時 点 の普 及率 。調 査 対 象 に な った の が 平 成4年 か らで あ る。

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あ る 。 そ れ へ の対 応 と して 、単 純 化 す れ ば 売 れ 行 きを 迅 速 に把 握 し、 売 れ た もの だ け 作 り、 直 ち に補 充 す る戦 略 が志 向 され た 。 店 頭 で 売 れ た 時 点 か らメ ー カ ー に そ の情 報 が 伝 わ る まで の 時 間 を 最 短 にす る情 報 武 装 、 あ た か も硬 い 棒 の一 端 を叩 く と反 対 の 端 に直 ち に伝 わ る よ う な 、 「硬 い 情 報 化 」 が 求 め ら れ た の で あ る(田 中 、1992)。 そ して 、 こ の硬 い 情 報 化 は 、 柔 軟 な製 造 ラ イ ン や物 流 シス テ ム を前 提 と して い る 。 得 られ た 情 報 、す な わ ちニ ー ズ の 変 化 に合 わ せ て 柔 軟 に生 産 内容 を 変 更 した り、輸 送 距 離 を 短 く しつ つ 空 車 を減 らす た め の きめ の 細 か い 配 車 計 画 な どで あ る 。 こ の よ う な柔 軟 な シス テ ム形 成 の た め の情 報 武 装 、い わ ば 「柔 らか い 情 報 化 」 と も よぶ べ き情 報 化 も進 行 して い る の で あ る。 (2)生 活 の 情 報 化 他 方 、生 活 の情 報 化 は 産 業 の情 報 化 に比 べ て 緩 慢 な展 開 を示 して きた 。 こ こ に きて 、 ハ ー ド面 で は変 化 が 見 え始 め た と こ ろ で あ る。 パ ソ コ ン は平 成3年 時 点 で は全 世 帯 へ の普 及 率 は11.5%に と どま っ て い た もの が 、 平 成11年3月 に は29.5%に ま で上 昇 して い る(表2参 照 の こ と)。 平 成7 年 か らの4年 間 で は1.9倍 の 伸 び を示 して い る 。 さ らに 、 「平 成10年 度 通 信 利 用 動 向 調査 」 に よ る と 、 イ ン ター ネ ッ ト世 帯 普 及 率 は11.0%に 達 して い る とい う(平 成11年 度 版 通 信 白書)。 平 成8年 度 に お い て は3.3%に と ど ま っ て い た も の が 、2年 間 で3.3倍 に急 増 して い る こ とに な る 。 そ の 結 果 、 白書 で は 現 在 の イ ン ター ネ ッ ト ・ユ ー ザ は 全 国 で1700万 人(15歳 か ら69歳 まで)に 上 る と推 定 して い る。 これ ら の デ ー タ は 、 コ ン ピ ュ ー タあ るい は イ ン タ ー ネ ッ トが 最 近 とみ に社 会 に広 ま っ て きて い る との 我 々 の 実 感 と も一 致 す る 。 そ れ で は 、 この 実 感 と して の 情 報 化 は 、 我 々 の社 会 を ど の よ う な社 会 へ と連 れ て い くの だ ろ うか 。 そ の 前 提 と して 、情 報 化社 会 論 が 描 い た 世 界 を概 観 して お こ う。 2.2情 報 化 社 会 論 とは何 か (1)情 報 化 社 会 論 の 描 くイ メ ー ジ 情 報 化 社 会 とは 、 発 達 した 情 報 技 術 が 広 く定 着 し、 産 業 面 で も社 会 面 で も情 報 が 価 値 を持 つ 社 会 とい う こ とが で き る。 しか し、 そ の 具 体 的 な イ メ ー ジ や評 価 は 論 者 に よっ て 大 き く異 な る 。 吉 井(1996)は 情 報 化 社 会 論 が 描 く社 会 イ メ ー ジの 多 様 性 を5つ の論 点 か ら整 理 して い る 。 第1に 、 現 在 の産 業 社 会 とは 異 な る政 治 ・経 済 シ ス テ ム 、社 会 ・文 化 シ ス テ ム が 登 場 す る と見 る か 、 そ れ と も産 業 社 会 の枠 組 み の 中 で 単 に よ り効 率 化 、 高 度 化 が 図 られ る に 過 ぎ な い とみ るか 、 とい う点 で あ る。 第2に 、 情 報 収 集 と情 報 操 作 に よ っ て少 数 の 人 が 多 数 の 人 を管 理 す る社 会 に な る と み る か 、 そ れ と も多 数 の 人 が 情 報 収 集 、情 報 発 信 を行 う参 加 社 会 と見 るか 、 とい う点 で あ る 。 第3に 、 個 々 の 組 織 レベ ル で の 意 思 決 定 は よ り集 権 化 しやす い とみ る の か 、 そ れ と も分 散 しや す い と見 る の か 、 とい う点 で あ る 。 第4に 、 通 信 は 空 間 を 克服 す る の で 都 市 集 中 は 解 消 され る とみ るの か 、そ れ と もメ デ ィア に載 っ た情 報 は 価 値 が 低 下 す る の だ か らそ れ 以 外 の対 面 コ ミ ュニ ケ ー シ ョ ンの 重 要 性 が 増 して都 市 集 中 が 進 む と見 る の か 、 とい う点 で あ る 。 最 後 に 、 効 率 性 、 利 便 性 が よ り重 視 され る社 会 を作 る とみ る の か 、 そ れ と も情 報 を個 人 の精 神 的 な豊 か さ に結 び つ け う る とみ る の か 、 とい う点 で あ る。 これ らの 論 点 は 相 互 に 関 連 す る もの も多 い が 、 そ れ で も情 報 化 社 会 論 は多 くの 社 会 イ メ ー ジ を 描 い て い る こ とは 事 実 で あ る 。

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(2)イ デ オ ロ ギ ー と して の 情 報 化 社 会 論 さ ら に 、 こ こで 情 報 化 社 会 論 自体 は 、 元 来 、歴 史 的 発 展 概 念 と して の性 格 を 内 包 して い る こ と を改 め て指 摘 して お く必 要 が あ る。 そ の 典 型 と して 、 情 報 化 社 会 論 の 代 表 的 な 論 者 で あ る ダニ エ ル ・ベ ル(1973)は 、農 業 社 会 そ して 工 業化 社 会 の次 に 来 る社 会 と して 情 報 化 社 会 を構 想 した 。 だ か ら こ そ 、 彼 自身 は来 るべ き社 会 を 「脱工 業 化 社 会 」 と呼 ん だ の で あ る 。 この よ う な彼 の発 想 は 、 実 は 「イ デ オ ロ ギ ー の終 焉 論 」 に展 開 さ れ る よ う に、 ア メ リカ に代 表 さ れ る 資 本 主 義 社 会 が ソ ビエ トに代 表 され た社 会 主 義社 会 へ と発展 す る とい うマ ル ク ス 史 観 へ の対 抗 論 理 と して展 開 し た とい う側 面 が 強 い 。 そ れ だ け に 、情 報 化 社 会 論 自体 を1つ の イ デ オ ロ ギ ー と して 批 判 す る論 も 存 在 す る(ス ラ ッ ク ・フ ェ ジ ェス 、1987)。 つ ま り、 情 報 化社 会 が 到 来 す る とい う の は 、 未 来 予 測 シ ナ リ オ の ひ とつ で しか な い の で あ る 。 情 報 化 社 会 につ い て ま とめ る と 、実 情 と し て は産 業 の 情 報 化 は進 ん だが 、社 会 全 体 の 情 報 化 は これ か ら の こ とで あ り、 そ して 、 そ れ が今 後 ど の よ うな 社 会 とな る の か の イ メ ー ジ は 情 報 化 社 会 論 に お い て は 定 位 され て い る わ け で は な い 、 と概 括 す る こ とが で き よ う。 3.21世 紀 の メ デ ィ ア ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 3.1イ ン タ ー ネ ッ ト社 会 とマ ス ・メ デ ィ ア そ れ で は 、 マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンは 、 現 実 に進 行 して い る メ デ ィ ア融 合 、多 様 化 、 双 方 向 化 とい う メ デ ィァ 変 容 の 中 で本 質 的 性 格 に変 容 を迫 られ るの だ ろ うか 。 幾 つ か の論 点 につ い て 分 析 して み る こ とに し よ う 。 (1)情 報 産 業 と して の市 場 性 情 報 化 社 会 が 情 報 の 価 値 が 高 ま る社 会 で あ る な ら ば 、 情 報 を扱 う産 業 が 発 達 して く るは ず で あ る 。新 た な社 会 的 装 置 と して の メ デ ィ ア が そ の 設 備 や人 的 資 源 を要 求 す る わ け で 、 そ の 費 用 を 支 え る仕 組 み 、 す な わ ち情 報 の 産業 化 が 必 要 だ か らで あ る 。 多 くの企 業 が 情報 化 に 関心 を寄 せ る 理 由 も ま さ に そ こに あ る。 しか し、 産 業 の情 報 化 と対 比 さ れ る この 情 報 の 産 業 化 、す な わ ち 情 報 の 生 産 ・加 工 ・伝 達 過 程 が 産 業 と して 成 立 す る 動 き は必 ず し も順 調 で は な い 。1980年 代 の ニ ュ ー メ デ ィ ア ・ブ ー ム か ら、 多 くの省 庁 が 地 域 情 報 化 計 画 づ く りと推 進 に 関 与 した 。 しか し、残 念 な が らそ の試 み が 成功 した と は言 い 難 い 。 ま た 、 現 時 点 で も、 た と え ば イ ン ター ネ ッ ト接 続 ビ ジ ネ ス を提 供 す る企 業 で も61%が 累 積 赤 字 で あ り、 黒 字 は9.4%に と ど まる 。 単 年 で の収 支 を見 て も44.1 %が 赤 字 で あ り、黒 字 は21.0%に 過 ぎな い(平 成11年 度 版 通 信 白書)。 こ れ は 、 家 庭 を対 象 と した情 報 産 業 に は産 業 と し て の課 題 が 幾 つ か あ る か らで あ る 。 第1に 対 価 の 支 払 い の メ カ ニ ズ ム を確 立 す る こ とが 難 しい 。 情 報 提 供 サ ー ビス が 集 金 に問 題 を抱 え 、 そ の 解 決 の た め に代 理 徴 収 シス テ ム と して ダ イヤ ルQ2サ ー ビス が 登 場 した の は 記 憶 に新 しい 。 第2 に、 家 庭 の 利 用 で は 利 用 が 不 安 定 な 割 に は設 備 投 資 が 大 きい 。 また 第3に 、 市 場 を確 保 で き る 領 域 は 限 られ て い る 。 この た め 、 限 られ た市 場 に 多 くの 提 供 者 が 参 入 せ ざる を得 ず 、 競 争 が激 化 す る と と もに 領 域 間 の格 差 は拡 大 す る 可 能 性 が あ る 。 (2)双 方 向 性 一 受 け手 と送 り手 双 方 方 向 通 信 を活 か し多 くの 人 が 情 報 生 産 に 向 か うか の だ ろ うか 。確 か に、我 々 は イ ン ターネ ッ トとい うイ ン フ ラ ス トラ クチ ャ ー に よ って 世 界 中 に情 報 を発 信 す る能 力 を持 つ よ う に な っ た 。 た と え ば 、万 の 単 位 で ア クセ ス を集 め る ホ ー ムペ ー ジ は少 な くな い 。 つ ま り、 自分 の 意 見 な り 自分 の 持 つ 情 報 を何 万 、何 十 万 とい う他 者 に伝 え る こ とが で き る の であ る。 しか も、理 論 上 は イ ン ター

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ネ ッ トに ア ク セ ス で きる何 億 とい う他 者 す べ て に伝 達 す る 能 力 を持 つ の で あ る 。 しか し、情 報 発 信 し続 け る人 に比 べ て 、 そ の 内容 を見 に 行 く人 の 割 合 の 方 が 高 い の も事 実 で あ る 。 もち ろ ん 、何 か こ とが あ れ ば 、 あ る い は情 報 発 信 に慣 れ れ ば 変 化 す る可 能性 もない で は ない 。 そ うで は あ る が 、 能 力 と して は情 報 発 信 力 を持 っ て い るが 、 実 際 に は そ の力 を行 使 せ ず に 受 け 手 と な る 入 が 多 い とい う予 測 が な りたつ 。 (3)情 報 の 評 価 機 能 情 報 の 生 産 や流 通 が 増 大 す る こ と は 、 我 々 に よ り多 くの情 報 を与 え 、 よ り正 しい 判 断 を下 す 力 を与 え 、 あ る い は よ り満 足 で き る生 活 を送 る可 能 性 を与 え る 。 そ の 反 面 、膨 大 な量 の 中 か ら適 切 1な情 報 を 選 び 出 し、 そ の 内容 の 真 偽 を評 価 す る こ と を強 い る 。 しか し、マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン論 が示 唆 す る こ と は 、我 々 は 情 報 の 内 容 を評 価 す る力 を必 ず し も持 っ て い る わ け で は な い とい う事 実 で あ っ た 。 自分 の 身 の 回 りに 関 す る 情 報 を 除 け ば 、正 しい か ど うか の判 断 は 、送 り手 へ の 信 頼 に依 存 せ ざる を え な い 。 逆 に言 え ば 、 マ ス ・メ デ ィ ァ は 内 容 に責 任 を持 つ とい う社 会 的 機 能 を果 た して きた の で あ る 。 した が っ て 、放 送 と通 信 は 、 技 術 的 に は融 合 し得 て も、 社 会 的 機 能 と して は ま っ た く別 の も の な の で あ る。 も し、 この マ ス ・メ デ ィ ア の 果 た して きた 社 会 的機 能 が な くな る とす れ ば 、 そ れ に代 替 す る 仕 組 み が 必 要 とな る 。 そ う で な い か ぎ りは 、 真 偽 の 評 価 は ひ とえ に 個 々人 の能 力 にか か っ て きて し ま う の で あ る 。 3.2産 業 社 会 とボ ラ ン テ ィア 社 会 こ れ らの 主 張 は 、 マ ス ・メ デ ィ アが 産業 と して は存 続 し続 け る こ と を示 唆 す る。 つ ま り、 産 業 と して成 立 す る に は 市 場 の制 約 が あ る上 に 大 き な資 本 投 下 が 必 要 で あ り、送 り手 よ り も受 け手 の 比 率 が 高 く、 社 会 的 に評 価 機 能 が 求 め られ る。 した が って 、 マ ス ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ン とい う産 業 形 態 は 、 電 子 化 や デ ジ タ ル化 とい う軌 道 修 正 は あ り得 るが 社 会 的 機 能 と して は存 続 す る と考 え られ る 。 しか し、 そ の一 方 で 、 新 しい 意 思 決 定 や 評 価 の た め の社 会 的 仕 組 み の胎 動 も見 ら れ る 。 た と え ば 、 イ ン ター ネ ッ ト上 で 多 くの 人 間 が ア イ デ ア を 出 し、 問 題 の解 決 方 法 を見 出 し、 ソ フ トウ ェ ア を改 良 して い く事 例 が あ る 。 あ る い は 、 ひ とつ ひ とつ の 意 見 に は 余 り重 視 を お か ず 、多 くの 意 見 の 分 布 を 商 品 情 報 や 意 見 の参 考 にす る 、 とい った 利 用 者 も 多 い と され る 。つ ま り、 こ れ ら に共 通 し て い る の は 、情 報 の 生 産 や 評価 の 専 門機 関 が あ る わ け で は な く、 個 々人 が そ れ ぞ れ の 知 識 の 範 囲 で ボ ラ ンテ ィ ア で 情 報 を提 供 し、 流 れ る 情 報 を正 して い く姿 で あ る 。情 報 産 業 に代 わ り、代 償 を求 めず に 情 報 の生 産 や 評 価 、 受 容 自体 を 目的 とす る、 い わ ば ボ ラ ンテ ィア社 会 の形 成 の 芽 を み て と る こ とが で きる 。 こ の傾 向 を大 胆 に外 挿 す れ ば 、 そ こ に 産 業 社 会 か らボ ラ ン テ ィア 社 会 と い う情 報 化 社 会 へ と変 容 して い く可 能 性 が あ る 。 も ち ろ ん 、 こ の シ ナ リ オ に も幾 つ か の課 題 は 残 さ れ て い る 。 た とえ ば、マ ス ・コ ミュ ニ ケー シ ョ ン は 、個 人 的 関心 に加 え て社 会 的 な共 通 認 識 を与 え て くれ る もの で あ っ た 。 も ち ろ ん 、 そ れ が 常 に正 しい もの で あ った と い う保 証 は な い が 、 一 種 の ゲ ー トキ ー パ 機 能 の結 果 と して 、社 会 的 ・文 化 的 統 合 の 機 能 も果 た して きた の で あ る 。 メデ ィ ア の 多 様 化 、 情 報 の受 発 信 の 個 人化 は 、 極 め て 狭 い 関心 に 人 々 の情 報 行 動 を 閉 じ こめ て し ま う危 険 性 も持 つ 。 既 に我 々 は 、 オ タ ク化 とい う言 葉 で 既 に そ の 発 生 を危 惧 を して い る の で あ る 。 新 しい情 報 技 術 は 、 マ ス ・コ ミュ ニ ケ ー シ ョンの 一 方 的 な受 け手 で あ る こ とか ら我 々 を解 き放 っ

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て くれ る 可 能 性 を秘 め て い る 。 しか し、そ れ は 同 時 に様 々 な知 恵 や社 会 的 仕 組 み を 要 請 す る の で あ る 。 〈引 用 文 献 〉 今 井 賢 一 『情 報 ・ネ ッ ト ワ ー ク 社 会 日 本 の 可 能 性 』TBSブ リ タ ニ カ 、1984 梅 棹 忠 夫 『情 報 産 業 論 』 『梅 棹 忠 夫 著 作 集14』 田 中 淳 「高 度 情 報 社 会 の 現 実 」 船 津 衛 編 著 『現 代 社 会 論 の 展 開 』 北 樹 出 版 、1992 ダ ニ エ ル ・ベ ル"TheComingofPostIndustrialSociety"BasicBooks,1973 邦 訳 内 田 忠 夫 ほ か 訳 『脱 工 業 化 社 会 の 到 来 』・ ダ イ ヤ モ ン ド社 、1975 マ ク ウ ェ ー ル"MassCommunicationTheory:AnIntrodduction",1983,SagePublication 邦 訳 竹 内 郁 男 他 訳 『マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 理 論 』、 新 曜 社 、1985 山 本 文 雄 編 著 『日 本 マ ス ・コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 史 』 東 海 大 学 出 版 会 、1970 吉 井 博 明 『情 報 化 と 現 代 社 会 』 北 樹 出 版 、1996 ス ラ ッ ク ・フ ェ ジ ェ ス"TheIdeologyofInformationAge"AblexPublishingCorporation ,1987 邦 訳 岩 倉 ・岡 山 監 訳 『神 話 と し て の 情 報 社 会 』 日 本 評 論 社 、1990

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