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魚類卵に存在する分子多様性レクチンの生物学的機能の解明

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(1)

魚類卵に存在する分子多様性レクチンの生物学的機能の

解明

著者

村本 光二

(2)

蝉拳固 LZiウ00L.SOOO

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(3)

魚類卵に存在する分子多様性レクチンの

生物学的機能の解明

(課題番号11460094)

平成1 1年度∼平成13年度科学研究費補助金

(基盤研究(B) (1 ))研究成果報告書

平成14年3月

研究代表者  村本 光二

(東北大学大学院生命科学研究科)

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平成11年度∼平成13年度科学研究費補助金(基盤研究(B) (1)) 研究成果報告書 研究課題 魚類卵に存在する分子多様性レクチンの生物学的機能の解明 課題番号11460094 研究組織 研究代表者:村本光二 (東北大学大学院生命科学研究科 教授) 研究分担者:小川智久 (東北大学大学院生命科学研究科 助教授) 研究分担者:永沼孝子 (東北大学大学院生命科学研究科 助手) 研究分担者:神谷久男 (北里大学水産学部 教授) 研究分担者:美音峯郎 (帝京科学大学理工学部 教授) 交付決定額(配分額) (金額単位:千円) 直接経費 亊I ィニ N 合計 平成11年度 澱テS 0 澱テS 平成12年度 釘テC 0 釘テC 平成13年度 釘テ 0 釘テ 稔一計 Bテ 0 Bテ 概  要 近年,生体内における糖鎖を介した分子間相互作用が数多く明らかにされ,糖鎖 の構造認識と結合を担うレクチン分子の重要性が認められつつある。しかし,レク チンの分子進化や生理機能についての理解が十分できるほどまだ情報が得られてい ない。動物レクチンは1次構造と糖鎖認識結合活性の相同性から, Cタイプレクチ ンやガレクチンなど,いくつかのファミリーに分類されている。われわれはこれま で,系統進化上異なる多数の海洋動物からレクチンを単離し,生化学的特性や生理 機能を検討してきた。われわれが甲殻類のフジツボ体液から単離した2種類のレク チンは,タンパク質レベルで1次構造分析された初めての無脊椎動物レクチンであ り, Cタイプレクチンに特有の2つのSSループからなる糖鎖認識結合ドメイン構造 を示した。さらに,これらのレクチンをコードしている遺伝子のエクソンとイント ロンの配置に大きな違いがあること,石灰化機構における生理機能を明らかにした。 硬骨魚類マアナゴ体表粘液からは,生体防御に関わるとみられるβ-ガラクトシド 結合特異性のガレクチン2種類を単離した。ガレクチンは構造のモチーフから,さ らに3つのグループに分けられているが,これらのガレクチンはプロトタイプに分 類され,高等脊椎動物ガレクチンとは異なり分子内に半シスチンを持たない特徴が

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ある。従って,分子構造が単純である上,空気酸化による失活もみられないため, 発生,分化,免疫,アポトーシスなど多様な生理現象に関与していると考えられる ガレクチンの構造と機能の相関を研究するのに好適である。これまでにマルチプル ガレクチンのタンパク質レベルでの1次構造解析,生化学的性状,糖鎖認識結合特 性を明らかにしており, cDNAの翻訳嶺域と非翻訳敵城の塩基配列の解析からは, 前者に比べ後者に変異率が高いという加速進化の現象を見出した。 魚類卵の中にも, L-ラムノースという動物界では極めて希少な糖に結合特異性を 示すレクチンが共通して存在しており,古くから発生分化、受精、生体防御などと の関連が指摘されてきたが,その構造や機能については全く不明であった。本研究 ではサケ科魚類スチールヘッドトラウト(Oncα如chus mykfss)の未受精卵から単 離した3種類のラムノース結合特異性レクチン(Snl, STL2, STL3)を中心対象 として,卵レクチンの分子構造と生物機能の解明を行った。また,他の魚種由来の レクチンについても比較生化学的な研究を行ない以下の成果を得た。 1.スチールヘッドトラウト卵レクチン(STLs)の単離,性状, 1次構造 スチールヘッドトラウト(Oncoq:h57nChus mykEss)の未受精卵からL-ラムノースを リガンドとしたアフイニティークロマトグラフィー,続いてHi.Trap Qを用いた陰 イオン交換クロマトグラフィー, TSKgel ODS 120Tを用いた逆相HPLCにより3 種類のラムノース結合特異性レクチン(STLl, Sn.2, STi3)を単離した。架橋接

により, STuはそれぞれ28 kDa, 21 kDa, 22 kDaのサブユニットが非共有結合

によりホモ2量体を形成していることが分かった。 STLsの糖結合特異性を赤血球凝集阻害試験により測定した。いずれのレクチンも Lうムノースに最も強い親和性を示し,メリビオース, L-アラビノース, D-ガラク ト-ス, D-フコース,ラクトース,ラフイノースにも親和性を示した。 SrruはD-アラビノースやL-フコースには親和性を示さなかったことからも分かるように Srluの糖への結合には糖の2位と4位の水酸基の立体配置が特に重要であることが 分かった。 SrnBの1次構造を気相プロテインシークエンサー,アミノ酸組成分析, hWI 飛行時間型質量分析計で分析し, Sn2とSTuについては全アミノ酸配列を決定し た。汎1については258アミノ酸残基を決定したが, N末端側の約31アミノ酸残 基を決定できなかった。そこで, STLlは肝臓, Sn2とSn3では卵巣のcDNA ライブラリーを鋳型とし,内部配列を基に作製したプライマーを用いてcDNAクロ ーニングを行い, RACE法によりSTuのそれぞれ, 1,251bp, 990bp, 916bpの 配列を決定した。 STTBはそれぞれ69 bp (23アミノ酸残基), 69 bp (23アミノ酸残 基), 66 bp (22アミノ酸残基)のシグナルペプチドを含む、 936 bp (312アミノ酸残 塞), 654 bp(218アミノ酸残基), 651 bp(217アミノ酸残基)の翻訳嶺域から構成さ れていた。 STLs間の相同性は40-52%であり,半シスチン残基は高度に保存され ていた。 SnBのシグナルペプチドは疎水性アミノ酸残基に富んでいたものの, Snl

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のシグナルペプチドはSTL2とSTuのそれとは低い相同性しか示さず(sTLト STL2:30%, SnトSTu:18%, Sn2-STL3:50%),細胞内での異なる局在性が示唆 された。 何れのレクチンも約95アミノ酸残基からなるドメインが,汎1では3回,汎2 とSTL3では2回,タンデムに繰り返された構造を持っていた。ウニ(Anthocidan's cTlaSSl'spha)卵レクチン(SUEL)では,このドメイン1つからなるサブユニットがジ スルフイド結合により 2量体を形成することで赤血球凝集活性を発現しており,こ のドメインはそれ自体が糖鎖を認識しうる糖鎖認識ドメイン(RBL CRD)であると考 えられる。このCRDモチーフは,高度に保存された8個の半シスチン残基, N末 端側のG, L, A-N(lJ-Y-G-RとC末端側のD-P-C-X-G-T⊥Y-K⊥Y-L-E(D)によ り特徴づけることができ,ラムノース認識能に深く関与していると考えられる。相 同性検索から, RBL CRD様ドメイン(RCLD)はヒトやモデル生物(Dm'sophiLa, C. eLegulS, AmbL'dopsis)に遺伝子配列に広く存在していた。 RBL CRDモチーフはほ とんどのタンパク質でN末端部に配置されており,内在性リガンドとの結合に直接 関与していると推測されるが,これらのタンパク質が実際にL-ラムノースを認識す るかどうかは明らかにされていない。以上の結果から, ST13を構成するRBL CRD モチーフ構造は魚類に限定されず,ヒトから線虫まで広く動物界に存在しているこ とが明らかになった。 2. STLsの動物細胞による発現系の構築 活性型STbの発現を動物細胞を用いて試みた。 STLl, STL2, STL3, Sn3の N末端ドメイン(STU-N)のシグナルペプチドを含む翻訳嶺域をpcDL-SRalpha296 ベクターのプロモーター下流のマルチクローニングサイトに導入し,サル腎臓細胞 COS7にリボソーム法により形質転換して一過性発現させ,ウエスタンブロッテイ ングにより発現を確認した。発現させたrSnl, rSrn.2, rSTu, rSTL3-Nはいず れもラムノースゲルへの結合能を保持していた。従ってクローニングしたSTuの cDNAはSTuをコードする遺伝子であることがわかった。またSTu-Nもラムノ ースへの結合能を示したことから, SnBを構成する相同ドメインが活性発現の最小 単位である糖鎖認識ドメイン(CRD)であることを確認した。 3.他魚種由来のラムノース結合特異性レクチンの単離,性状, 1次構造解析

サケ日サケ科シロサケ(Oncoq軸7nChus beta),アメマス(Satve放つuS leucomaenl'S),

サケ目アユ科アユ(Plecoglossus aLtLveh'S)の未受精卵からラムノース結合特異性レク

チンを単離し, STtBとの生化学的な比較を行なった。

シロサケの未受精卵からL-ラムノースを担体としたアフイニティークロマトグラ フィー,イオン交換クロマトグラフィー,逆相HPLCにより3種類のラムノース結

合特異性レクチン(CSLl, CSL2, CSLB)を単離した。 CSIjはそれぞれ非還元 SDS-PAGEで28, 21, 22 kDaを示した。 CSIBはL-ラムノースに最も強い親和

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性を示し, 2位と4位の水酸基の立体配置がラムノースと同じメリビオース,レア ラビノース, D-ガラクト-ス, D-フコースにも親和性を示した。 CSIBの1次構造 を気相プロテインシークエンサー,アミノ酸組成分析, MjuDI飛行時間型質量分析 計により分析し,全アミノ酸配列を決定した。 CSIjは対応するSTLsにそれぞれ約 95%の高い相同性を示した。 CSI,BもSTLBと同様にRBL CRDモチーフがタンデム に繰り返された構造を有していた。 アメマスの未受精卵からⅠ√ラムノースを担体としたアフイニティークロマトグラ フィーと陰イオン交換クロマトグラフィーにより 2種類のラムノース結合特異性レ クチン(WCLl, WCI3)を単離した。 WCLsはそれぞれ非還元SDS-PAGEで28と 22 kDaを示した。 WCIBはL-ラムノースに最も強い親和性を示し, 2位と4位の 水酸基の立体配置がラムノースと同じメリビオース,レアラビノース, D-ガラクト -ス, D-フコースにも親和性を示した。 WCLsの1次構造を気相プロテインシーク エンサーとRACE法を用いたcDNAクローニングで決定した。 WCLlとWCL3は 対応するSTLlとSn3に,それぞれ91、 93%の高い相同性を示した。WCl.SもSTT3 と同様にRBL CRDモチーフがタンデムに繰り返された構造を有していた。ノーザ ンブロッテイングとウエスタンブロッテイングから,アメマス卵中には汎2様の タンパク質, mRNAが存在していなかった。これは,スチールヘッドトラウトとシ ロサケがアメマスと1000万年前に生物進化において分岐した後に遺伝子重複によっ て汎2とCSL2が生じたことを示している。以上の結果から汎様の分子は高度 に保存されてサケ科魚類に共通して存在していることが分かった。 アユの未受精卵からL-ラムノースを担体としたアフイニティークロマトグラフィ ーによりSDS-PAGEで28 kDaを示すラムノース結合特異性レクチン(SFL)を単離 した。 SFLはL-ラムノースに最も強い親和性を示し, 2位と4位の水酸基のラムノ ースと立体配置が同じメリビオース, L-アラビノース, D-フコース,ラフイノース にも親和性を示した。 SFLの1次構造は現在分析中であるが,内部配列はSn.3に 高い相同性を示しており,半シスチン残基やいくつかのセグメントも保存されてい た。 また,コイ目コイ科マルタ(7h'bolodon tac託打10WSki)の未受精卵から3種類のラ ムノース結合特異性レクチンぐⅠ℃Ll、 TBI.2、 TBu)を単離し,その1次構造が決定

した。 TBljは非還元SDSIPAGEで29, 22, 34kDaを示した。 TBI3はそれぞれ,

207, 189, 308アミノ酸残基からそれぞれ構成されており, SnBに38-45%の相 同性を示した。 TBLもSn同様、 RBL CRDが2回ぐIBLl、 TBL2)もしくは3回 ぐⅠBL3)繰り返された構造から構成されていた。 Hosonoらはナマズ目ナマズ科マナマズ(SHuTuS aSOtuS)の未受精卵からラムノー ス結合特異性レクチン(SAL)を単離し、その1次構造を報告した。非還元SDS-PAGE で28kDaを示す285アミノ酸残基から構成されていた。 Srruに30%の相同性を示 し, RBLCRDモチーフが3回繰り返された構造から構成されていた。 以上の結果から,魚類卵から単離されたラムノース結合特異性レクチンは,いず

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れもSTLsを構成していたRBL CRDがタンデムに2回,もしくは3回繰り返され

た構造を有していることが分かった。これまでに得られた知見を基にRB13を構成

するCRDモチーフの系統樹を作成した。 RBL CRDの祖先遺伝子は大きく2つの ドメイン(N-terminal domain, C-terminal domain)に早い段階で分岐した後,遺 伝子の重複がおこり,タンデム構造を構成したと考えられる。 ラムノースに結合特異性を示すレクチンは,サケ科を中心として原始的な真骨魚 類から多く見出されている(サケ目,ニシン目,コイ目,ナマズ目)が,進化上,上位 に位置するスズキ目からもラムノースに結合特異性をもつレクチンが単離されてい る。よってラムノース結合特異性レクチンは広く魚類に分布していることは間違い ない。先に述べたように,ウニ卵にもラムノース結合特異性レクチンは存在してお り,動物界における分布に興味がもたれる。

動物レクチンは,糖結合特異性と構造上の類似性からC-type lectin, galectin, I-type lectin, P一秒pe lectinなどに分類,呼称されているが,魚類卵から見出した

ラムノース結合特異性レクチンファミリーは既存のレクチンファミリーとは全く異 なる性質と構造をもつことから,新規の動物レクチンファミリーを構成しているも のと結論づけちれる。 スチールヘッドトラウト各組織におけるSTLsの分布を抗SnB抗体を用いたサン ドイッチEuSAにより調べた。 Snlは雌の卵巣と,雌雄の肝臓や肺臓など,いく つかの組織と血清に多く存在していた。一方, STL2とSTL3は卵巣にのみ多く存在 していた。 スチールヘッドトラウト各組織におけるSn.Sの発現部位をノーザンブロッテイ ングにより調べた。汎1は卵巣では発現しておらず,肝臓でのみ発現していた。一 方, Sn2とSn.3は卵巣でのみ発現していた。 次に, STLsの分布を免疫組織化学的手法により共焦点レーザー顕微鏡で調べた。 卵母細胞が前卵黄形成期brevitellogerdc stage)に入ると,卵黄胞が細胞質周辺部に 微小胞として生じ,次第に大きさを増しながら求心的に蓄積された。さらに卵黄形 成期に入ると,卵貴球が卵黄胞の間に出現し始めた。 Srnjは,前卵黄形成期の卵母 細胞で,卵黄胞の出現とともに検出された。卵黄形成期の卵母細胞においても成長 した卵黄胞に蓄積されていることが分かった。汎1は,前卵黄形成期の卵巣の卵核 胞と卵黄膜にも局在していた。受精前後の卵巣におけるSTtJSの局在変化を調べた ところ,受精直前に細胞質表層の卵黄胞(表層胞)に局在していたSTLsは,受精 の際,卵黄胞の崩壊とともに囲卵腔に放出された。受精卵では蹄卵腔に位置してい ることが分かった。 STLsの卵巣における発現部位をSTLsのmRNAに対するアンチセンスRNAプ ローブを用いたinsituハイプリグイゼ-ションにより調べた。汎2とSrruのRNA は前卵黄形成期の卵母細胞の細胞質周辺に検出されたが,さらに成熟した卵黄形成 期の卵母細胞では検出されなかった。これは,卵黄形成期の卵母細胞の体積が卵黄

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の蓄積により増加し, STI3 mRNA濃度が減少してしまったためと考えられる。ノ ーザンブロッテイングの結果と同様に, STLlのmRmは卵巣では検出されなかっ た。 汎Sの受精から貯化にかけての動態変化をサンドイッチEuSA,赤血球凝集活性, ノーザンブロッテイングで調べた。赤血球凝集活性, Sn2タンパク質量, STi.3タ ンパク質量は受精前から受精後にかけて大きな変動は見られなかったちのの,解化 の際,大きく減少した。一方,汎1タンパク質量は貯化の際,逆に増加し,卵黄嚢 の吸収とともに減少した。 Sn2 mRNAとSTu mRNAは前卵黄形成期から卵黄形 成期にかけて検出されたが,受精卵、鮮化した稚魚では検出されなかった。一方,汎1 mRm量は受精前,受精後いずれの卵でも検出されなかったが,鮮化した稚魚で検 出された。卵での局在部位を考えると,貯化の際, Sn2タンパク質量, STL3タン パク質量が急激に減少したのは,囲卵腔に存在していたものが,僻化と同時に外に 放出されたためであると考えられる。また, Snlタンパク質量が減少しなかったの は, STLlが稚魚の中で合成,蓄積され始めているためであることがわかった。 汎1はサンドイッチEuSAにより雌雄の各組織で検出されたことから,各組織 における汎1の分布を調べた。汎1は牌臓や血中に存在する白血球,鮭の粘液細 胞,腸の杯細胞など,免疫系細胞に存在していることが分かった。以上の結果をま とめると,汎1は肝臓で発現した後,血中を介して卵巣,白血球や粘液細胞に移行 することが分かった。一方, STL2とSTuは卵母細胞の細胞質で発現してそのまま 卵黄胞に蓄積されることがわかった。 STLlのシグナルペプチドの構造がSTL2や STL3と異なることからも予想されたように, SnlはSn2やSTL3とは明らかに 異なる局在を示した。 汎1が肺臓や白血球,血清などの免疫系細胞に局在していたこと,受精卵では SnBが囲卵腔に局在していたことを考えあわせると, STY.Sが魚類の自然免疫系に 関係していることが予想された。自然免疫系が認識する物質としてよく知られてい るのが,細胞壁構成成分であるグラム陰性菌のリボ多糖(lps)やグラム陽性菌のリボ ティコ酸(LTA),酵母のマンナンなどである。 uSはlipid A, Rコア, 0抗原多糖 の3つの部分から構成されており, 0抗原をもっているIBはスムース型Ⅰ_pS(S-IPS), ○抗原を欠いているものはラフ型LPS(氏-LPS)と呼称されている。 まず, STuの様々な抗原型u唱とLTAへの結合をサンドイッチEuSAで調べ た。汎Sは異なる構造をもつLPSに濃度依存的に結合し,これらの相互作用はラ ムノース濃度,温度依存的に特異的に阻害された。特にE. coh'K112とS.触len'1A 由来のS-LPSに強く結合したが,それらのIPSのラフ型に対する結合はスムース

型に比べると弱かった。 STtBとS.触led lA S-LPSの相互作用はE. coh'K-12

やS. nemen'のS」PSにより完全に阻害されたが,これらのR-LPSには全く阻害 されなかった。以上の結果から, STLsのIPSへの結合にはu唱の0抗原多糖の構

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糖はしラムノースをその繰り返し単位として含む。予想されたようにL-ラムノー スが天然のリガンドである可能性は高い。またSTLsはB. subtilfs由来のLTAにも 濃度依存的に結合し,ラムノースの添加により特異的に阻害された。 次にSnBの細菌に対する結合能について調べた。 STbは実験で用いた細菌のほ とんどに結合性を示したが,中でもグラム陰性菌のB. coh'K112とグラム陽性菌の B. subtiLi'Sに強く結合した。またSTLsはこの2種類の細菌を強く凝集した。この

凝集塊は0.1 MのL-ラムノースもしくはE. coh'K-12 S-IJPSとB. subtHEsIJAの

添加により,それぞれ阻害された。 ST73はこれらの細菌に対して増殖阻害活性を示 した。これらのことから, STi.Sはグラム陰性菌のⅠJS,グラム陽性菌のLTAの構 造を認識して微生物を結合,凝集する活性をもつことが分かった。以上の結果から, sTLsは微生物がもつ特徴的な糖鎖パターンを認識するパターン認識リセプターであ ることが明らかとなった。 魚類の自然免疫系,特に卵での防御機構についてはほとんど分かっていない。卵 や解化したばかりの稚魚は微生物の感染を受け難いことが知られており,母体由来 の何らかの因子が防御に働いていると考えられている。 SnJSが細菌表層のIBや 皿を認識して細菌を凝集したことから,ラムノース結合特異性レクチンが魚類の 自然免疫系において重要な役割を担っている可能性が考えられる。現荏,食細胞, 補体系,ナチュラルキラー細胞に対する活性化能について検討中である。 魚類卵の中に赤血球を強く凝集する物質があることは以前から知れており,魚類 卵レクチンの単離と性状に関する論文はいくつか報告されていた。これらのレクチ ンは多精拒否や外界からの腔の防御,腔発生に重要な役割をもつのではないかと推 測されていたが,その構造や機能に関しての知見は全くなかった。本研究は,ラム ノース結合特異性レクチンの構造,詳細な組織分布,細菌との相互作用を明らかに しただけでなく,動物レクチンファミリーに新たな一員を加える証拠を提示した。 このファミリーを構成するRBL CRDモチーフは線虫からヒトまで広く動物界に存 在しており,動物にとって重要な分子であると考えられる。今後,この新規レクチ ンファミリーが様々な動物種から見出されると予測され,動物界におけるこのファ ミリーの生物機能の重要性が益々高まるものと考えられる。 研究発表 [1]学会誌等

Tateno. H., Saneyosは, A., Ogawa, T., Murzmoto, K., Kamiya, H.,and

Saneyoshi, M. Isolation and characterization of rhamnose-binding lectins from eggs of steemead trout (Oncoq:h3mChus mykEss) homologous to low density

(11)

lipoprotein receptor super family. ). Biol. Chem. 1998; 273: 19190119197.

村本光二:海洋動物レクチンの分子構造と機能に関する研究.日本水産学会誌, 66, 384-387 (2000).

Tateno. H., Ogawa, T., Muramoto, K., Kamiya, H., Hirai, T., and Saneyoshi M. A novel rha…se-binding lectin Edy from eggs of steelhead trout

(Oncoq:hymChus mykiss)with different structuresand tissue distribution.

BJ'oscl. Blotechol. Bl'ochem. 2001; 65 : 1328-1338.

Tateno. H., Ogawa, T., Muramoto, K., Fhya, H.,and Saneyoshi, M.

Rhamnose-bindingLectinsfrom steelhead trout (Oncorわynchus mykiss) eggs recognize bacterial止popolysaccharidesand止poteichoic acid. Bjosd.

BI'otechnol. BL'ochem.印刷中.

Tateno. H., Muramoto, K., andぬⅠ山ya, H. Structureand function of marine

animallectinS. L}oceedings ofn'sh. ScL.印刷中.

Tateno. H., Yamaguchi, T., Ogawa, T., Muranoto, K., T, Watanabe, Kamiya,

H. , and SaneyosI血M. ImunOhistochemiCallocaBZation of

rhamose-binding lectins inthe steemead trout (OncovhJmChus mykEss). Dew. Comp.

Immunol.印刷中.

Tateno. H., Ogawa, T., Muramoto, K., Mya, H.,and Saneyoshi, M. Isolation

and characterization of rharrmose⊥binding lectins from eggs of write-spotted charr (SaLveRnus leucomaenL'S). BiogCi. BiotechnoJ. BLochem. ,印刷中.

Tateno. H., Shibata, Y., Nag血ma, Y., Ogawa, T., Muranoto, K., ttamiya, H., and Saneyoshi, M.Tissue-specific expression of rhamose-binding lectins in the steelhead trout (OncoTh5mChus mykfss). Bioscl. BI'otechnol. Blochem.,秤

刷中

Shiina, N., Tateno. rI., Ogawa, T., Muramoto, K., Saneyosは, M.,and fQamiya, H. Isolation and characterization of rhamose-bindir唱lectins from eggs of

chumsahon (Oncα:hynChus beta). Ash. Sci.,投稿中. [2]口頭発表

(12)

椎名信之,舘野浩幸,小川智久,村本光二,実吉峯郎,神谷久男:魚類ラムノース 結合性レクチンと微生物の特異的相互作用,平成14年度日本水産学会大会(奈良) 2002.4.4. 舘野浩章,山口高弘,小川智久,村本光二,神谷久男,実吉峯郎:スチールヘッド トラウト卵レクチンの組織分布と生物学的機能,日本農芸化学会東北支部会(盛岡), 2001.7.7. 白井梨香,島袋亘,神保充,酒井隆一,村本光二,神谷久男:コイ科マルタ卵に存 在するラムノース結合性レクチンの構造,日本水産学会東北支部大会(仙台), 2001.ll.16.-ll.17.

H. Tateno, T. Ogawa, K. Muramoto, H. Kamiya,and M. Saneyoshi: Structure

and function of a novel rheLmnOSe-binding lectinねⅠ噛from fish eggs. 19th

lmRLEC, Fortaleza (Brazil), 2001.3.25.-3.30.

H.Tateno, K. Muramoto,and H. Mya: Structuresand九lnCtions of marine

animallectins. Intemational Corrmemorative Smposium70th Anrdversary of

the Japanese Society of Fisheries Science, Yokohama, 2001. 10. i.-10.5.

K. Muramoto, H. Tateno, T. Ogawa,and H. Mya: Structureand function of

marine ardmallectinS. 15th symposiumof the ProteinSociety. Phihdelphia

(USA), 2001.7.28.-8.1.

H. Tateno, T. Ogawa, K. Muramoto, H. Kamiya, T. Hkai,and M. Saneyoshi: A

novel rha…se-binding lectin血mily from eggs of steehead troutwith different structuresand tissue distribution. 14th symposiumofthe打otein

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TOUR : Tohoku University Repository コメント・シート 本報告書収録の学術雑誌等発表論文は本ファイルに登録しておりません。なお、このうち東北大学 在籍の研究者の論文で、かつ、出版社等から著作権の許諾が得られた論文は、個別にTOUR に登録 しております。 TOUR http://ir.library.tohoku.ac.jp/

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