1
目次
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目次
目次
第 第 第 第 1 章章章 章 序論序論序論序論 ... 3 1.1 研究の背景と目的研究の背景と目的研究の背景と目的研究の背景と目的 ... 3 1.2 本論文の構成本論文の構成本論文の構成本論文の構成 ... 4 参考文献 参考文献 参考文献 参考文献 ... 4 第 第 第 第 2 章章章 章 ⅠⅠⅠⅠ----ⅢⅢ-ⅢⅢ---ⅥⅥⅥⅥ2族化合物半導体の基礎物性族化合物半導体の基礎物性族化合物半導体の基礎物性族化合物半導体の基礎物性 ... 5 2.1 カルコパイライト型半導体の結晶構造カルコパイライト型半導体の結晶構造カルコパイライト型半導体の結晶構造カルコパイライト型半導体の結晶構造 ... 5 2.2 カルコパイライト型半導体の物性一覧カルコパイライト型半導体の物性一覧カルコパイライト型半導体の物性一覧カルコパイライト型半導体の物性一覧 ... 6 参考文献 参考文献 参考文献 参考文献 ... 6 第 第 第 第 3 章章章 章 実験・解析方法実験・解析方法実験・解析方法実験・解析方法 ... 7 3.1 分光エリプソメトリー分光エリプソメトリー分光エリプソメトリー分光エリプソメトリー(SE)測定測定測定測定 ... 7 3.1.1 基本原理基本原理基本原理基本原理 ... 7 3.1.2 複素誘電率とその他の光学定数複素誘電率とその他の光学定数複素誘電率とその他の光学定数複素誘電率とその他の光学定数 ... 8 3.1.3 実験実験実験実験 ... 9 3.2 光吸収測定光吸収測定光吸収測定光吸収測定 ... 10 3.2.1 基本原理基本原理基本原理基本原理 ... 10 3.2.2 実験実験実験実験 ... 12 3.3 フォトルミネッセンスフォトルミネッセンスフォトルミネッセンスフォトルミネッセンス(PL)測定測定測定測定 ... 13 3.3.1 基本原理基本原理基本原理基本原理 ... 13 3.3.2 実験実験実験実験 ... 15 3.4 フォトリフレクタンスフォトリフレクタンスフォトリフレクタンスフォトリフレクタンス(PR)測定測定測定測定 ... 16 3.4.1 基本原理基本原理基本原理基本原理 ... 16 3.4.2 実験実験実験実験 ... 18 3.5 標準臨界点標準臨界点標準臨界点標準臨界点(SCP)モデル解析モデル解析モデル解析 ... 19 モデル解析 参考文献 参考文献 参考文献 参考文献 ... 20 第 第 第 第 4 章章章 章 試料作製試料作製試料作製試料作製 ... 21 4.1 結晶成長結晶成長結晶成長結晶成長 ... 21 4.1.1 結晶成長法結晶成長法結晶成長法結晶成長法 ... 21 4.1.2 垂直ブリッジマン法による結晶成長垂直ブリッジマン法による結晶成長垂直ブリッジマン法による結晶成長垂直ブリッジマン法による結晶成長 ... 21 4.2 作製手順作製手順作製手順作製手順 ... 22 4.2.1 石英管の耐圧と硫黄石英管の耐圧と硫黄石英管の耐圧と硫黄石英管の耐圧と硫黄(S)の蒸気圧の蒸気圧の蒸気圧の蒸気圧 ... 22 4.2.2 石英管の処理とアンプルの作製手順石英管の処理とアンプルの作製手順石英管の処理とアンプルの作製手順石英管の処理とアンプルの作製手順 ... 23 4.2.3 カーボンコート処理カーボンコート処理カーボンコート処理カーボンコート処理 ... 24 4.2.4 結晶成長の手順結晶成長の手順結晶成長の手順結晶成長の手順 ... 242 4.3 試料の表面処理試料の表面処理試料の表面処理試料の表面処理 ... 25 4.3.1 表面状態と光学測定表面状態と光学測定表面状態と光学測定表面状態と光学測定 ... 25 4.3.2 鏡面研磨鏡面研磨鏡面研磨鏡面研磨 ... 25 4.3.3 ケモメカニカルポリッシュケモメカニカルポリッシュケモメカニカルポリッシュケモメカニカルポリッシュ ... 26 参考文献 参考文献 参考文献 参考文献 ... 26 第 第 第 第 5 章章章 章 AgInS2結晶の評価結晶の評価結晶の評価結晶の評価 ... 27 5.1 X 線解析線解析線解析(XRD)測定による結晶の評価線解析 測定による結晶の評価測定による結晶の評価 ... 27 測定による結晶の評価 5.2 分光エリ分光エリ分光エリ分光エリプソメトリープソメトリープソメトリー(SE)測定プソメトリー 測定測定測定 ... 28 5.2.1 結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察 ... 28 5.3 光吸収測定光吸収測定光吸収測定光吸収測定 ... 29 5.3.1 結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察 ... 29 5.4 フォトルミネッセンスフォトルミネッセンスフォトルミネッセンスフォトルミネッセンス(PL)測定測定測定測定 ... 33 5.4.1 結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察 ... 33 5.4.2 ガウス関数フィッティングパラガウス関数フィッティングパラガウス関数フィッティングパラガウス関数フィッティングパラメータメータメータメータ ... 36 5.5 フォトリフレクタンスフォトリフレクタンスフォトリフレクタンスフォトリフレクタンス(PR)測定測定測定測定 ... 37 5.5.1 結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察 ... 37 5.5.2 SCP パラメータパラメータパラメータ ... 39 パラメータ 5.5.3 Quasi-cubic model による解析による解析による解析による解析 ... 42 5.6 WIEN2k を用いたバンド計算とバンド図を用いたバンド計算とバンド図を用いたバンド計算とバンド図... 45 を用いたバンド計算とバンド図 5.6.1 結果と考察結果と考察結果と考察結果と考察 ... 45 参考文献 参考文献 参考文献 参考文献 ... 47 第 第 第 第 6 章章章 章 結論結論結論結論 ... 49 謝辞 謝辞 謝辞 謝辞 ... 50
3
第
第
第
第 1 章
章
章
章
序論
序論
序論
序論
1.1
研究の背景と目的
研究の背景と目的
研究の背景と目的
研究の背景と目的
今日、私達の身の回りの電気・電子機器やデバイス等は常に進化し続け、それに伴い人々 の生活において非常に重要で且つ必要不可欠なものとなっている。特に近年は環境問題や エネルギー問題を意識したものに注目が向いおり、太陽電池もその中の一つである。その 太陽電池は半導体であり、現在、半導体の中で最も主要なものはシリコン(Si)である。シリ コンは安価で埋蔵量も多く、それでいて化学的に安定している。これらの理由もあり、シ リコンが最も利用されている。シリコンは単体で半導体としての性質を示すが、これに対 して二種類以上の元素から成る化合物で且つ、半導体としての性質を示すものを化合物半 導体と呼ぶ。 化合物半導体の中では、Ⅱ-Ⅵ族半導体、並びにⅢ-Ⅴ族半導体と呼ばれるものが主要 であり、Si の様な単体での半導体とは違った特性を持っており、数多くの幅広いオプトエ レクトロニクスの分野で活用されている。例えば GaAs は現在、太陽電池の中で非常に素晴 らしい変換効率を持ち、宇宙でも使用されている。 Ⅱ-Ⅵ族半導体において、Ⅱ族をⅠ族とⅢ族で置き換え、Ⅰ-Ⅲ-Ⅵ2族としたもの、又 は、Ⅲ-Ⅴ族半導体において、Ⅲ族をⅡ族とⅣ族で置き換え、Ⅱ-Ⅳ-Ⅴ2族としたものを カルコパイライト構造半導体と呼ぶ。近年、特にカルコパイライト構造半導体の太陽電池 への活用性は大きく、CuInSe2 (CIS)系、CuInGaSe2 (CIGS)系などがあり、光電変換も高効率で、非常に薄くても機能する特徴を持っている。 徐々にカルコパイライト構造半導体の研究も進んできているが、3 元の化合物半導体バル ク結晶の育成は難しく、行っている研究者も多くは無いため、正確なバンドギャップエネ ルギーや発光特性といった、まだまだ明らかになっていない諸特性も多い。先の例にも有 る様に Cu 系のカルコパイライト構造半導体の作製報告例はその中でも多い方だが、Ag 系、 特にⅥ族に S を用いた報告例は非常に少なく、不明な諸特性が多く存在している。 本研究では、Ⅰ-Ⅲ-Ⅵ2族の 1 つであり、太陽電池材料、特に太陽電池用光吸収層の一 つとして期待の大きいカルコパイライト構造半導体 AgInS2バルク結晶を育成し、光学測定 (分光エリプソメトリー(SE)測定、光吸収測定、フォトルミネッセンス(PL)測定、フォトリ フレクタンス(PR)測定)、WIEN2k を用いた第一原理バンド計算や状態密度(DOS)計算、誘電 率計算などにより、光学的評価を行う事を目的とした。
4
1.2
本論文の構成
本論文の構成
本論文の構成
本論文の構成
本論文は全 6 章で構成される。 第1章では研究の背景と目的について示した。 第 2 章ではⅠ-Ⅲ-Ⅵ2族化合物半導体の基礎物性及び諸特性について示した。 第 3 章では測定に用いた装置や測定原理について示した。本研究では、分光エリプソメ トリー(SE)測定、光吸収測定、フォトルミネッセンス(PL)測定、フォトリフレクタンス(PR) 測定について示した。 第 4 章では結晶成長の方法、試料の作製、試料の表面処理の方法について示した。 第 5 章では作製した AgInS2結晶の光学特性の評価を行った。本研究では、光学測定とし て SE 測定、光吸収測定、PL 測定、PR 測定を行い、光学的評価を行った。また、WIEN2k を用いてバンド計算を行った。 第 6 章では評価と解析によるまとめを示し、結論とした。参考文献
参考文献
参考文献
参考文献
1) 山本 信行:新しい機能性半導体を目指して アイピーシー (1989). 2) 社会 法人 電気化学協会:先端電気学会 丸善 (1996).5 Ga(Ⅲ族) As(Ⅴ族)
a
a
a
c
In(Ⅲ族) Ag(Ⅰ族) S(Ⅵ族)第
第
第
第 2 章
章
章
章
Ⅰ
Ⅰ
Ⅰ-
Ⅰ
-
-Ⅲ
-
Ⅲ-
Ⅲ
Ⅲ
-
-Ⅵ
-
Ⅵ
Ⅵ
Ⅵ
2
族化合物半導体の基礎物性
族化合物半導体の基礎物性
族化合物半導体の基礎物性
族化合物半導体の基礎物性
2.1
カルコパイライト型半導体の結晶構造
カルコパイライト型半導体の結晶構造
カルコパイライト型半導体の結晶構造
カルコパイライト型半導体の結晶構造
Ⅲ-Ⅴ族においてⅢ族を交互にⅡ族とⅤ族で置換すると、Ⅱ-Ⅳ-Ⅴ2族の化合物ができ る。或いは、Ⅱ-Ⅵ族においてⅡ族をⅠ族とⅢ族とに置き換えるとⅠ-Ⅲ-Ⅵ2族の化合物 ができる。こうして得られた 3 元化合物はいずれも Fig. 2-2 に示すようなカルコパイライト 構造をとる。この結晶構造の単位胞は、基本的には閃亜鉛鉱構造を c 軸方向に 2 つ積み重ね た「超格子」構造を持つ。c 軸の長さは a 軸の長さの 2 倍から若干ずれているので、結晶構 造は立方晶系(Cubic)ではなく正方晶系(Tetragonal)になる。 カルコパイライト構造は閃亜鉛鉱構造から派生したものであるから、対応する 2 元化合 物と良く似た性質を持つが、構成元素の違いやイオン性・共有性の違い、結晶構造の違い の為に 2 元化合物に無い物性を示す。1)例として、Fig. 2-1 に GaAs の閃亜鉛鉱構造、Fig. 2-2 に AgInS2のカルコパイライト構造を
示す。
6
2.2
カルコパイライト型半導体の物性一覧
カルコパイライト型半導体の物性一覧
カルコパイライト型半導体の物性一覧
カルコパイライト型半導体の物性一覧
Table 2-1 に AgInS2に近い組成を持つⅠ-Ⅲ-Ⅵ2族カルコパイライト型半導体の諸物性の内、 バンドギャップ(Eg)、融点、格子定数、移動度並びに屈折率をまとめたものを示す。カルコ パイライト型化合物のバンドギャップは、Table 2-1 のみでも 0.96~2.73 eV の広い範囲に及 び、格子定数パラメータも 5.35~6.41 Ǻ という幅を持つので、Ⅱ-Ⅵ族やⅢ-Ⅴ族基板にエ ピタキシャル薄膜を作製するときの材料選択の自由度が非常に広い。また、多くのものが p,n 両伝導型を示すという事も大きな特徴である。1) 物質名 Eg (eV) 融点 (°C) 結晶パラメータ 移動度(cm2 /V・s) 屈折率 a [Ǻ] c [Ǻ] c/a µn µp CuGaS2 2.43 1280 5.35 10.47 1.96 15 2.49 CuGaSe2 1.68 1070 5.61 10.99 1.96 24 40 2.72 CuGaTe2 1.23 870 5.99 11.91 1.99 60 3.01 CuInS2 1.53 1050 5.52 11.06 2.01 90 15 2.53 CuInSe2 1.04 990 5.77 11.55 2.00 1150 50 2.70 CuInTe2 0.96 780 6.17 12.34 2.00 30 100 3.05 AgGaS2 2.73 1040 5.74 10.26 1.79 2.38 AgGaSe2 1.83 850 5.97 10.88 1.82 2.61 AgGaTe2 1.15 720 6.28 11.94 1.90 2.94 AgInS2 1.87 880 5.82 11.17 1.92 150 64 2.46 AgInSe2 1.24 773 6.09 11.67 1.92 750 75 2.64 AgInTe2 0.96 680 6.41 12.56 1.96 100 2.97参考文献
参考文献
参考文献
参考文献
1) 佐藤 勝昭, セラミックス 26 No.12, 1270 (1991). Table 2-1 主なⅠ-Ⅲ-Ⅵ2族カルコパイライト型半導体の諸物性一覧 1)7
第
第
第
第 3 章
章
章
章
実験・解析方法
実験・解析方法
実験・解析方法
実験・解析方法
3.1
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー(SE)測定
測定
測定
測定
分光エリプソメトリー(SE:Spectroscopic Ellipsometry)測定は光学測定の一つであり、基本的 には光源からの光を試料に当て、その反射光を測定している。SE 測定の最大の特徴として は、光反射による偏光状態を変化させ、その変化を測定する事である。測定値は(∆、Ψ)で あり、それぞれは p 偏光と s 偏光と呼ばれる位相差 ∆、並びに振幅比 Ψ で表される。SE 測 定では、複素屈折率 N(N=n+ik)の整数部 n と消衰係数 k を直接求める事が出来る上に、複素 誘電率 ε(ε=ε1+iε2)や吸収係数 α を関係式から容易に求める事も出来るため、誘電率スペクト ルを測定するには効果的な方法である。1-3)3.1.1
基本原理
基本原理
基本原理
基本原理
SE 測定は、入射光が試料の表面に反射したそ の偏光状態を測定するものである。一般に、 光が異なる屈折率 0 から 1 に入射する場合、 光は Snell の法則((3-1)式)に従い反射や屈折を 起こす。このとき光は、反射率や吸収係数に より減衰や位相変化の影響を受けるが、SE 測 定ではこの反射時の偏光角や位相変化から試 料の表面状態の高い感度を持つ。本研究では、 測定モデルによって複素誘電率 ε の導出までを示す。 Fig. 3-1 の測定モデルにおいて、入射角を θ0、屈折角を θ1とし、媒質 0 及び媒質 1 の屈折 率をそれぞれ n0、n1とする。各光の入射面に垂直(s)と平行(p)な偏光成分に対して反射率 R は以下の様に計算される。1)n
0sin
θ
0=
n
1sin
θ
1(3-1)
1 1 0 0 1 1 0 0
cos
cos
cos
cos
θ
θ
θ
θ
n
n
n
n
R
s−
+
=
(3-2)
1 0 0 1 1 0 0 1cos
cos
cos
cos
θ
θ
θ
θ
n
n
n
n
R
p+
−
=
(3-3)
θ
0n
0 媒質 0n
1 媒質 1θ
1 Fig. 3-1 測定モデル8 反射比 σ は s,p 成分を考慮した複素反射率と位相差 ∆=∆p-∆sにより
=
=
Ψ
⋅
i∆ s pe
R
R
tan
σ
(3-4)
反射光は偏光角 ∆ と位相角 Ψ の変化を受ける。この二つのパラメータによって、以下の式 から試料の複素誘電率 ε や複素屈折率 N を求める事が出来る。 (3-2)式と(3-3)式を(3-4)式に関して変形すると 2 / 1 0 2 2 0 0 1tan
1
1
1
sin
+
−
+
=
θ
σ
σ
θ
n
n
(3-5)
複素屈折率 n1は上式を変形して(
)
2 / 1 0 2 2 0 0 1sin
1
4
1
tan
+
−
=
θ
σ
σ
θ
n
n
(3-6)
以上から、複素誘電率 ε を計算すると以下の様になる。
∆
Ψ
+
∆
Ψ
−
Ψ
+
⋅
=
−
=
2 2 2 2 0 2 0 2 2 0 2 2 1)
cos
2
sin
1
(
)
sin
2
sin
2
(cos
tan
1
sin
θ
θ
ε
n
k
n
(3-7)
(
)
2 0 2 0 2 0 2cos
2
sin
1
sin
2
sin
tan
sin
2
2
∆
Ψ
+
∆
Ψ
=
=
θ
θ
ε
nk
n
(3-8)
3.1.2
複素誘電率とその他の光学定数
複素誘電率とその他の光学定数
複素誘電率とその他の光学定数
複素誘電率とその他の光学定数
複素誘電率 ε(ε=ε1+iε2)を求める事により、以下の光学定数も求める事が出来る。各パラメ ータについては 3.2 で詳しく説明する。 複素屈折率 N(N=n+ik)(
)
2 / 1 1 2 / 1 2 2 2 12
+
+
=
ε
ε
ε
n
(3-9)
消衰係数 k(
)
2 / 1 1 2 / 1 2 2 2 12
+
−
=
ε
ε
ε
k
(3-10)
光吸収係数 αλ
π
α
=
4
k
(3-11)
9 垂直入射反射率 R
(
)
2 2 2 2)
1
(
1
k
n
k
n
R
+
+
+
−
=
(3-12)
3.1.3
実験
実験
実験
実験
Fig. 3-2 に実験装置の概略図を示す。測定を行った試料が厚く、装置のバキュームによる 張り付けが困難であったため、測定表面の反対側の試料の下にサファイア基板を Ag ペース トにより接着を行い、サファイア基板を測定台に両面テープで張り付けて固定させて測定 を行った。光源には Xe ランプを使用し、受光部には光電子増倍管、Si フォトダイオードを 使用し、室温で測定を行った。分光器
Xe ランプ
偏光器
検光子
検出器
測定試料
Fig. 3-2 SE 測定系概略図10
3.2
光吸収測定
光吸収測定
光吸収測定
光吸収測定
光吸収スペクトルや光反射スペクトル、発光スペクトルの解析から伝導帯の最低エネル ギーと価電子帯の最高エネルギーの差である禁制帯幅(バンドギャップエネルギー)を精密 に求める事が出来る。一般に半導体の光学スペクトルは、運動量空間におけるエネルギー 帯構造に多くの情報を含んでおり、スペクトルを解析する事によりバンドギャップのみに ならずエネルギー帯構造に対してかなり詳しい描像を得る事が出来る。光学測定より半導 体のバンドギャップを求める場合の基本は、吸収スペクトルの解析である。4)3.2.1
基本原理
基本原理
基本原理
基本原理
光が媒質中を進行するとき、光のエネルギーは吸収されていき、その強度の減少してい く割合を吸収係数と呼ぶ。ある点の光強度を I0とし、その点から x だけ離れた場所の光強 度 I(x)は)
exp(
)
(
x
I
0x
I
=
−
α
(3-13)
と表せる。ここで α は吸収係数と呼ばれるものである。 半導体の吸収係数を求める一般的な方法として、試料を非常に薄くし、透過する光の強 度つまり透過光を測定する方法から求めるものである。光吸収係数を α とし、厚さ d の平 行板結晶に光が垂直入射した場合の透過率を T とすると、(
)
)
2
exp(
1
)
exp(
1
2 2d
R
d
R
T
α
α
−
−
−
−
=
(3-14)
と与えられる。R は垂直入射反射率である。これは(3-12)式で与えられるものと同じもので ある。 反射率 R について考える為に、波動ベクトル k、振動数ωを持つ以下の電界ベクトル波 E を考える。{
ik
r
t
}
E
E
=
0exp
⋅
−
ω
(3-15)
これに E に関する波動方程式を考慮して、複素屈折率を N とすればN
c
k
(
ω
)
=
ω
(3-16)
ここで c は光速を表す。 複素屈折率 N(N=n+ik)を x 方向に伝搬する波として考えると(3-15)式は
−
⋅
−
=
c
x
k
t
c
nx
i
E
E
0exp
ω
exp
ω
(3-17)
11 (3-13)式と比較すると以下の様に吸収係数 α は、消衰係数 k を用いて表す事が出来る。
c
k
ω
α
=
2
(3-18
) 反射率 R も吸収係数 α と同様に屈折率 n と消衰係数 k を用いて表す事が出来る。Fig. 3-3 において、x 方向に進む波が x=0 で表面、x>0 に物質内部となるところに垂直入射した場合、 透過波 Etと反射波 Erの x=0 面における境界条件を考慮するとik
n
ik
n
N
N
E
E
i r+
+
+
−
=
+
−
=
1
1
1
1
(3-19)
光強度は電場振動の二乗であるので反射率 R は(3-12)式と同様に(
)
2 2 2 2 2)
1
(
1
1
1
k
n
k
n
N
N
R
+
+
+
−
=
+
−
=
(3-20)
となる。以上の反射率 R、厚さ d、測定した透過率 T から(3-14)式より吸収係数 α を求める 事が出来る。4,5)入射波
反射波
透過波
−
=
t
c
x
i
E
E
i i0exp
ω
+
−
=
t
c
x
i
E
E
r r0exp
ω
(
)
{
N
c
t
}
E
E
t=
t0exp
exp
x/
−
Fig. 3-3 垂直入射に対する反射と透過12
3.2.2
実験
実験
実験
実験
光吸収測定に用いた測定の概略図を Fig. 3-4 に示す。光源にはハロゲンランプを使用し、 分光器のスリットは 0.08 mm とした。試料を透過した光は分光器を通過し光電子増倍管で 受光した。測定試料はクライオスタットにセットし、温度を変化させて測定を行った。偏 光依存性が現れたため、偏光板により c 軸に対して垂直方向、平行方向の両方に対してそれ ぞれ測定を行った。 光源 ハロゲンランプ (PHL-150) 150 W分光器 iHR320 (HORIBA) 2400 grooves/mm, slit : 0.08 mm
受光器 光電子増倍管 測定範囲 1.80 eV ~ 1.95 eV 測定温度 10 K ~ 300 K 時定数 3 s 感度 300 µV ステップ 0.0002 eV HV -410 V
光電子増倍管
高電圧供給
分光器
GP-IB
PC
ロックイン
アンプ
ハロゲンランプ
ピンホール
クライオスタット試料
レンズ
チョッパー
偏光板 Fig. 3-4 光吸収測定概略図 Table 3-1 光吸収測定条件13
3.3 フォトルミネッセンス
フォトルミネッセンス
フォトルミネッセンス(PL)測定
フォトルミネッセンス
測定
測定
測定
ルミネッセンス(Luminescence)とは、物質が外部から光、熱、紫外線などのエネルギーを 吸収して励起され、基底状態に戻るときに熱を伴わずに発光する現象である。また、その 光のことである。このルミネッセンスのスペクトルや強度を調べる事によって、物質の性 質が分かるため、様々な測定が行われている。例えば、電界によって励起するエレクトロ ルミネッセンス(EL)、電子線により励起するカソードルミネッセンス(CL)、そして本研究で も行った光により励起するフォトルミネッセンス(PL)等が用いられている。 フォトルミネッセンス(PL:Photoluminescence)測定は、半導体材料の不純物や欠陥の同定、 結晶性や組成比の評価、並びに超格子構造の評価などが出来る上に、他の方法に比べ、試 料を傷付ける事もなく、破損する恐れも少ないという利点も有る。3.3.1
基本原理
基本原理
基本原理
基本原理
フォトルミネッセンスの過程には幾つか種類が有るが、ここでは、後の 5.4.1 で示した自 由励起子(FE)発光と束縛励起子(BE)発光、並びにドナーアクセプター対(DAP)発光について Fig. 3-5 に示す。D
0D
0A
0禁制帯
BE 発光
DAP 発光
価電子帯
伝導帯
FE 発光
Fig. 3-5 FE 発光 BE 発光と DAP 発光14
Fig. 3-5 において、自由励起子(FE: Free Exciton)発光は伝導帯の電子と価電子帯の正孔が自 由励起子となった状態での再結合過程であり、励起子形成エネルギー分だけ電子-正孔直接 再結合の発光エネルギーよりも小さく、電子、正孔並びに励起子が運動エネルギーを持つ ので、それらを反映する発光帯形状 I(hv)は高エネルギー側に裾を引く Maxwell-Boltzmann 分布である以下の式によって与えられる。
I
(
hv
)
=
(
hv
−
E
0)
1/2exp
{
−
(
hv
−
E
0/
kT
)
}
(3-21)
E0は運動エネルギーが 0 の場合の発光遷移エネルギーである。この発光はバンド端発光と 呼ばれ、結晶固有の発光であり、結晶のライフタイムを反映しているので、その解析から ライフタイムに影響を与えている結晶中の非発光センターや表面状態などを評価できる。 束縛励起子(BE)発光は不純物又は欠陥準位に励起子が捕らえられた状態において、励起子 が再結合する際の発光である。このときの励起子を束縛励起子(BE: Bound Exciton)と呼ぶ。 また、BE 発光は励起子が不純物に局在化されるため運動エネルギーはなく、発光スペクト ルはシャープになる。特に浅い不純物による BE 発光は、低温で非常に鋭いピークとなるの で、不純物の区別が容易に行えるため、不純物分析によく利用される。 ドナーアクセプター対(DAP)発光はドナーに捕らえられた電子とアクセプターに捕らえ られた正孔との再結合過程での発光である。DAP 発光において、空間的に距離 r だけ離れ たドナーとアクセプターを考えると、ドナーに電子、アクセプターに正孔がある励起状態 から電子と正孔が再結合し基底状態に移る際に放出する光のエネルギーは(
)
r
e
E
E
E
h
G D Aε
ν
=
−
+
+
2(3-22)
と与えられる。EG, ED, EAはそれぞれ禁制帯幅エネルギー、ドナーイオン化エネルギー、ア クセプターイオン化エネルギーであり、ε は静的誘電率である。DAP 発光は必ず一連の輝線 スペクトルとして現れる訳ではなく、通常のペア発光では r が大きく、エネルギー差が分解 できずに 1 本の広い半値幅を持つ発光スペクトルとして観測されることもある。しかし、 DAP 発光はいくつかの特徴を持っており、他の遷移機構による発光スペクトルと区別でき る。励起強度を増すと高エネルギー側にスペクトルがシフトする。また、ドナーアクセプ ター間の距離が大きいと遷移確率は小さくなり、励起光強度を上昇させて、電子、正孔濃 度を増しても遷移頻度は増えず、飽和してしまう。逆に距離が小さいドナーアクセプター 対はこれらの手法により遷移頻度は増し、高エネルギー側の発光が相対的にその強度を上 げる事になる。また、温度上昇に伴い、浅い準位からの電子、正孔のバンドへの熱的励起 が生じて発光強度が下がる等の特徴を持っている。5), 6)15
3.3.2
実験
実験
実験
実験
PL 測定概略図を Fig. 3-6 に示す。光源には 405 nm レーザーを使用した。分光器のスリッ トは 0.2 mm とし、試料表面から発生した光はレンズにより集光され、分光器を通り光電子 増倍管で受光される。 光源 405 nm レーザ(iBEAM-SMART-405-S) 45 mW 分光器 MicroHR (HORIBA) 1200 grooves/mm, slit : 0.2 mm受光器 光電子増倍管 測定範囲 1.5 eV ~ 1.9 eV 測定温度 10 K ~ 300 K 時定数 3 s 感度 300 µV ステップ 0.0005 eV HV -520 V
PC
ロックイン
アンプ
405 nm レーザー
高電圧供給
チョッパー
分光器
光電子増倍管GP-IB
Ref. レンズ クライオスタット 試料 フィルター Fig. 3-6 PL 測定概略図 Table 3-2 PL 測定条件16
3.4 フォトリフレクタンス
フォトリフレクタンス
フォトリフレクタンス(PR)測定
フォトリフレクタンス
測定
測定
測定
半導体において、そのバンド構造について詳細な情報を得るために、電場変調分光法が 用いられる。半導体に電場を印加すると、吸収端の低エネルギーシフトとおける吸収スペ クトルの振動構造が観測される。この現象は電場誘起吸収端シフト(Franz-Keldysh 効果)とよ ばれ、Aspenes によってその詳細がまとめられている。7) 変調分光とは吸収・反射スペクトル測定より詳細な情報、あるいは一歩進んだ情報を得 るための分光手法である。変調分光法には大きく分けて二通りの手法がある。一方は、試 料に外場(摂動)を与え反射率や透過率を検出する方法であり、外場に対する電子状態の変化 を観測することを目的としている。もう一方は、吸収や反射測定に用いる光自体を変調し、 それに伴う光量の変化を検出する手法であり、吸収や反射測定よりも感度の良い測定を行 うことを目的としている。フォトリフレクタンス(PR)測定は前者に当り、試料への周期的な 外場として「光による電場」を与え、それに同期した光学定数の変化として試料の反射率 の測定を行う方法である。非破壊・非接触による測定が行えるため、他の変調分光測定よ りも安全に、簡易に実験を行えるメリットを持つが、変調として光を与えるための励起光 により試料からのルミネッセンスが発生し、反射光と共に測定してしまう恐れがあるため、 注意して行わなければならない。8)3.4.1 基本原理
基本原理
基本原理
基本原理
測定する物質の光学定数 g(反射率や吸収係数)は変調パラメータ(電場や磁場、波長や光な ど)x を ∆x だけ変化させると以下の様に変化する。+
∆
=
+
′
∆
+
′′
(
)
∆
2+
L
2
1
)
(
)
(
)
(
x
x
g
x
g
x
x
g
x
x
g
(3-23)
ここで周期的な変調 ∆x(=∆x0cosωt)を与えることにすると、g(x)はL
+
+
∆
′′
+
∆
′
+
=
∆
+
(
)(
)
(
1
cos
2
)
/
2
2
1
cos
)
(
)
(
)
(
x
x
g
x
g
x
x
0t
g
x
x
0 2t
g
ω
ω
(3-24)
となる。右辺第二項の振幅は ∆x0に比例し、第三項の振幅は ∆x0の二乗に比例する。第二項 は ωt の成分を持つため、印加した外場と同じ周波数 ω の成分の信号強度から、g´(x)の大き さを求めることが出来る。同様に、第三項に含まれる 2ω 成分の信号強度から g´´(x)の大き さが得られる。ω の成分を 1f 成分、2ω の成分を 2f 成分とすると、反転対称性のある系の場 合、1f 成分は観測されず、2f 成分のみが観測される。 変調反射スペクトルの場合、反射率 R の変化分∆R /Rのスペクトルを測定するが、 Kramers-Kronig(K-K)の関係式を用いることで複素振幅反射率(~r( )
ω = R( )
ω exp{
iθ( )
ω}
)の位 相 θ の変化分 ∆θ を次式から求めることができる。この K-K の関係式は反射率から位相を求 める K-K の関係式の微分形に相当する。17
( )
( )
∫
∫
∞ ∞′
′
−
′
+
∆
′
=
′
−
′
′
∆
−
=
∆
0 0 2 2ln
2
1
1
ω
ω
ω
ω
ω
ω
ω
ω
ω
ω
ω
π
ω
ω
θ
d
R
R
d
d
d
R
R
P
(3-25)
(3-26)式中の P は積分の主値を示す。測定で求めた∆
R /
R
と K-K の関係式から求めた ∆θ を用いて、複素誘電率 ε(ε=ε1+iε2)の変化分 ∆ε1,∆ε2を求めることができる。ε
α
−
β
∆
θ
∆
=
∆
R
R
2
1
1(3-26)
ε
β
+
α
∆
θ
∆
=
∆
R
R
2
1
2(3-27)
ここで、α および β は屈折率 n、消衰係数 k を用いてα
=
n
(
n
2−
3
k
2−
1
)
(3-28)
β
=
k
(
3
n
2−
k
2−
1
)
(3-29)
となる。 このようにして変調反射スペクトルから誘電率の変化分のスペクトルが求められ、この スペクトルをもとに電子状態の変化を議論することができる。9)18
3.4.2 実験
実験
実験
実験
PR 測定の実験系を Fig. 3-7 に示す。光源は Xe ランプを使用し、励起光として 405 nm レ ーザーを使用し、分光器のスリットは 0.5 mm とした。反射光の他に試料表面より発生した 光(ルミネッセンス)が分光器に入らない様に注意して実験系を組み、測定を行った。偏光板 により c 軸に垂直方向、平行方向の両方についてそれぞれ測定を行った。フォトマル出力電 圧は-5 V で一定とした。 光源 キセノンランプ 150 W 励起光 405 nm レーザ(iBEAM-SMART-405-S) 47 mW 分光器 MicroHR (HORIBA) 1200 grooves/mm, slit : 0.5 mm受光器 光電子増倍管 測定範囲 1.7 eV ~ 2.3 eV 測定温度 10 K ~ 300 K 時定数 30 s 感度 100 µV ~ 30 µV ステップ 0.002 eV HV -280 V
PC
ロ ッ ク イ ン
アンプ
405 nm レーザー
電圧自動制御
チョッパー分光器
光電子増倍管GP-IB
Ref. レンズ 試料 フィルターXe ランプ
偏光板 ピンホール クライオスタット Fig. 3-7 PR 測定概略図 Table 3-3 PR 測定条件19
3.5 標準臨界点
標準臨界点
標準臨界点(SCP)モデル解析
標準臨界点
モデル解析
モデル解析
モデル解析
標準臨界点(SCP: Standard Critical Point)モデルは D. E. Aspenes の提唱するモデルで、反射 率の変化分(∆R/R)における臨界点は以下の様に表される。6)
(
)
Γ
+
−
=
∆
− =∑
j nj j gj i M j je
E
E
i
C
R
R
θ 1Re
(3-31)
(3-31)式において各パラメータは以下の様になっている。ータ
ブロードニングパラメ
臨界点エネルギー
位相角
強度
スペクトルの数
:
:
:
:
:
j gj j jE
C
M
Γ
θ
また、指数 n を変化させることにより、臨界点の型は以下の様に決まる。次元電子遷移
次元電子遷移
励起子遷移
3
:
3
2
:
5
.
2
:
2
=
=
=
n
n
n
電場変調分光スペクトルは誘電率スペクトルの 3 階微分で表されることが知られている。10)∑
[
]
=Γ
+
−
−
=
N j n j gj i j j j ji
E
E
e
A
C
E
1)
(
)
(
φε
(3-32)
Γ
+
−
−
Γ
+
−
−
−
−
=
− − 3 3 3 3)
(
2
)
(
)
2
)(
1
(
)
(
j gj i j n j gj i ji
E
E
e
A
i
E
E
e
A
n
n
n
dE
E
d
j j φ φε
)
0
(
)
0
(
=
≠
n
n
(3-33)
そのため、バンド端の特異点で特徴的なスペクトルを示すので、(3-33)式の実数部は(3-31) 式で表すことができる。20
参考文献
参考文献
参考文献
参考文献
1) 安達 定雄, 応用物理 62, 1197 (1993). 2) 川畑 州一, 応用物理 57, 1868 (1988). 3) 関根 国夫, 表面科学, 18, 664 (1997). 4) 河東田 隆, 半導体評価技術, 産業図書 (1991). 5) 小板橋 敬祐:修士学位論文“カルコパイライト型半導体 AgInSe2単結晶の育成と光学 特性” (2010). 6) 田島 道夫, フォトルミネッセンスの基礎と応用, 応用物理学会結晶工学分科会第 20 回 講習会テキスト, 59 (1993).7) D. E. Aspenes, Surface Science 37, 418 (1973).
8) M. Cardona, Modulation spectroscopy Academic press (1969).
9) 岸田 英夫, 岡本 博, 光物性の基礎と応用 変調分光, オプトロニクス社 108 (2006). 10) P. Lautenschlager, M. Garriga, L. Vina, and M. Cardona, Phys. Rev. B 36, 4821 (1987).
21
第
第
第
第 4 章
章
章
章
試料作製
試料作製
試料作製
試料作製
4.1
結晶成長
結晶成長
結晶成長
結晶成長
4.1.1
結晶成長法
結晶成長法
結晶成長法
結晶成長法
結晶は色々な状態の物質から成長するが、現在主流なものは、融液成長、気相成長、溶 液成長等であり、輸送過程や界面の状態に各特徴が見られる。特に融液からの結晶成長は 分解融液しない液相からの育成を示すものであり、単一成分や状態図において単一の融点 をもつ液相から大型の結晶を育成する方法である1) 。例として、高効率の太陽電池として知 られている CuInSe2や非線形光学結晶として機能性の高い AgGaS2などが挙げられる。 先の例で挙げたような三元化合物の作成方法は特別なものではなく、Ⅲ-Ⅴ族化合物や Ⅱ-Ⅵ族化合物の作成に用いられている従来の方法がそのまま利用されており、 (1) 融液からの固化による方法(自然冷却法、ブリッジマン法、チョクラルスキー法) (2) 溶液から析出させる方法(溶液成長法、ヒーター移動法(THM)) (3) 気相による方法(ヨウ素による化学輸送法) 以上の様に分類することが出来る。また、(2)及び(3)の応用として、液相エピタキシャル法 や気相エピタキシャル法はこれらの化合物の薄膜の成長法として近年急速に多用されるよ うになっている2)。 本研究で行った AgInS2に関しても S. H. You らによりエピタキシャル法で作製された薄膜 試料での実験が行われている3)。4.1.2
垂直ブリッジマン法
垂直ブリッジマン法
垂直ブリッジマン法
垂直ブリッジマン法による結晶成長
による結晶成長
による結晶成長
による結晶成長
本研究は、温度勾配のついた電気炉の中に、アンプル内で溶解させた融液を徐々に下げ る事で結晶を育成する垂直ブリッジマン法によって結晶成長を行った。 結晶成長で使用した電気炉はアルミナの炉心管を熱源としており、それにカンタル線を 巻いた電気炉である。また、この電気炉は両端の温度が中央部と比較して極端に下がらな い様に、カンタル線を巻く際、両端部が中央部に対して密になるように施した。このとき に、疎の部分と密の部分との巻き方に極端な差が出ないようにした。さらにこの電気炉は、 対流により上部の温度が高くならないように、かつ下部の方が密になるようにカンタル線 を巻いた。 以上の様にして巻いた炉心管の周りには、温度制御用の熱電対が取り付けてあり、保温 性を高める為のアルミナセメントを施した。また、周りをグラスウールで埋め、その外側 を金属板でカバーした。 温度制御には温度コントローラを用いており、プログラムによって、設定した成長温度 を制御し、対流によってアンプル内の融液が良く混ざる様に行った。電気炉の概略図と電 気炉内の温度勾配を Fig. 4-1 に示す。ステッピング モーター カンタル線 石英アンプル グラスウール 炉心管
4.2
作製手順
作製手順
作製手順
作製手順
4.2.1
石英管の耐圧と
石英管の耐圧と
石英管の耐圧と
石英管の耐圧と硫黄
硫黄
硫黄
硫黄
AgInS2結晶成長において、 昇温中の石英アンプルを破壊 温度 T [K]における S の蒸気圧P
8
log
10=
この式をグラフで表したものを また、封管内の圧力を P [kg/cm 封管壁に発生する張力 σ [kg/cmD
=
σ
と表せる。5)但し、D と t は中肉管の関係に有る事が必要である。 多くの文献によれば、AgInS 長を行っているため、S の蒸気圧は 使用しなければならない。本 管内圧力 P=400 atm 時の σ=462 kg/cm 4.2.4 にて説明する。 Fig. 4-1 22硫黄
硫黄
硫黄
硫黄(S)の蒸気圧
の蒸気圧
の蒸気圧
の蒸気圧
結晶成長において、硫黄(S)の蒸気圧が高いため、使用する石英管の 破壊しない様に注意しなければならない。 の蒸気圧 P [Torr]は次の様に表される。4)T
5
.
3888
417
.
8
−
(4-1)
この式をグラフで表したものを Fig. 4-2 に示す。 [kg/cm2]、封管の内径を D [mm]、封管の肉厚を t [kg/cm2]はt
P
D
2
⋅
(4-2)
は中肉管の関係に有る事が必要である。 AgInS2結晶の融液成長では、成長温度が約 900~10 の蒸気圧は 170~400 atm となり、この圧力に耐えられる石英管を 使用しなければならない。本研究では、上記を考慮して内径 D=4.25 mm、肉厚 =462 kg/cm2である肉厚石英管を使用した。成長温度については 400 600 800 0 10 20 30 40 50 Temperature (℃ H e ig h t (c m ) Preset Temperature=1000 1 使用した電気炉の概略図とその温度勾配 の蒸気圧が高いため、使用する石英管の耐圧を考慮し [mm]とすると、 1050 ℃で結晶成 なり、この圧力に耐えられる石英管を 、肉厚 t=1.9 mm、 成長温度については 1000 1200 ℃) Preset Temperature=1000 ℃23 Fig. 4-2 S の蒸気圧の温度変化
4.2.2
石英管の処理とアンプルの作製手順
石英管の処理とアンプルの作製手順
石英管の処理とアンプルの作製手順
石英管の処理とアンプルの作製手順
石英管の処理法は以下の通り行った。 1. 内径約 4.25 mm、肉厚約 1.9 mm の石英管の先端を円錐状にガスバーナーで加工する。 2. 加工した石英管をトリクロロエチレン、アセトン、メタノール、脱イオン水、メタノー ルの順でそれぞれ 15 分間、超音波脱脂洗浄した。 3. 王水(塩酸:硝酸=3:1)で洗浄した。 4. 純水でリンスした。 5. フッ硝酸(フッ酸:硝酸=1:9)でエッチングした。 6. 純水でリンスした。 7. メタノール脱水した。 8. 石英管と試料との反応を防ぐために石英管内にカーボンコート処理を施した。 9. カーボンコート処理を施した後、未反応物質を除去するために、トリクロロエチレン、 アセトン、メタノールにより超音波洗浄を行った。カーボンコート処理については 4.2.3 で説明する。 10. 超音波洗浄後、脱イオン水で洗い十分に乾燥させた。 11. 真空ポンプで真空引きをしながらガスバーナーでアニール処理を 1 時間程度行った。 12. 化学量論的に秤量した試料を有機溶媒にて洗浄し、エッチング(Ag と In は塩酸:エタ ノール=1:10 混液でそれぞれ 30 秒間エッチングした。S はそのまま使用)した。良く混 ざる様に各試料を交互に石英管に入れ、~10-6 Torr で真空封入した。400
600
800
1000
1200
0
100
200
300
400
500
Temperature (℃)
P
re
ss
u
re
(
a
tm
)
S
24
4.2.3
カーボンコート処理
カーボンコート処理
カーボンコート処理
カーボンコート処理
1. 三方コックを用いて一方をアンプル用の石英管に、一方をロータリーポンプに、もう一 方を、アセトンを入れた容器に接続した。 2. 1000 ℃に設定した電気炉に石英アンプルを入れた。 3. 三方コックをディフュージョンポンプと石英アンプルがつながるようにして、石英管内 を真空引きした。 4. 石英管内が真空に引けたら、アセトンの容器と石英管がつながるようにして三方コック をひねり、気化したアセトンを石英管内に飛ばした。 5. アセトンの揮発性により電気炉の熱で分解させることで、カーボンのみをコーティング させた。 6. 中が透けて見えなくなるくらいまで(特に試料を入れる先端部)石英アンプルにむらなく カーボンコート処理を行った。4.2.4
結晶成長の手順
結晶成長の手順
結晶成長の手順
結晶成長の手順
作製したアンプルを電気炉内にカンタル線で吊るし、石英管と S の蒸気圧との関係を考 え、昇温中の石英アンプルの破壊に注意し、成長温度は 20 ℃/h のペースで温度を上昇させ た。各元素の融点で十分融解させるために 12 時間以上温度を保持し、最高温度においても、 十分に融液が混ざる様に 48 時間以上保持した。次に、電気炉内の温度を 950 °C に設定し、 温度が安定したらステッピングモーターのスイッチを入れ、電気炉内のアンプルを~1 cm/day の速さで降下させ、結晶成長を行った。Fig. 4-3 に AgInS2の結晶成長の温度設定を示す。また、各元素の融点は Ag:962 ℃、In:156 ℃、S:113 ℃である。
48h
12h 12hTime
T
e
m
p
e
ra
tu
re
ステッピングモーター
スイッチON
113 ℃ (S 融点) 156 ℃ (In 融点) 1000 ℃ 成長速度 ~1.0cm/day20 ℃/h
Fig. 4-3 結晶成長の温度設定25
4.3
試料の表面処理
試料の表面処理
試料の表面処理
試料の表面処理
4.3.1
表面状態と光学測定
表面状態と光学測定
表面状態と光学測定
表面状態と光学測定
作製した試料を光学測定によって評価するためには、試料の表面状態に気を配らなけれ ばならない。何故なら、分光エリプソメータなどの光学装置は試料の表面状態に非常に敏 感であり、多少のキズやミクロなラフネス、表面酸化膜によって、測定スペクトルに影響 を及ぼされるからである。また、光の反射や透過を利用する測定においても、試料の表面 をフラットな状態にする必要がある。4.3.2
鏡面研磨
鏡面研磨
鏡面研磨
鏡面研磨
試料の表面をフラットな状態にするために、以下に示すような鏡面研磨を行った。 まず、作製した試料をワイヤーソウでカットした後、耐水性サンドペーパーにより、粗研 磨(600、1200、1500)を行い、表面をフラットにした。次に、研磨用パッドで、0.3 µm アル ミナパウダーによって手研磨を行った。研磨終了後に、研磨作業を行うに当り、試料を固 定するために用いた樹脂並びにアルミナパウダーを、トリクロロエチレン、アセトン、メ タノールにより超音波脱脂洗浄を行った。 光吸収を行う場合、研磨段階の前に光が試料を良く透過する様に出来る限り試料を薄く する必要がある。また、試料を薄くすればするほど試料が割れやすく脆くなるため、取り 外す際や、洗浄を行う際は非常に気をつけなければならない。そのため本研究では、光吸 収用の試料の洗浄には超音波脱脂洗浄は極力避け、試料を有機溶剤にじゃぼ漬けにした状 態で、放置するという方法を繰り返す事により洗浄を行った。また、Fig. 4-4 にレーザ顕微 鏡で試料の厚さを測定した結果を示す。本研究では試料の厚さを 100 µm 以下に研磨した。 Fig. 4-4 レーザー顕微鏡による試料の厚さの測定26
4.3.3
ケモメカニカルポリッシュ
ケモメカニカルポリッシュ
ケモメカニカルポリッシュ
ケモメカニカルポリッシュ
ケモメカニカルポリッシュとはエッチング液を用いて研磨パット上で試料を研磨する事 により、エッチングスピードを高め、化学的(Chemical)効果と物理的(Mechanical)効果を同時 に得る事が出来る手法である。4.3.2 で説明した鏡面研磨を行った上で、ケモメカニカルポ リッシュを行う事で、より明確な測定スペクトルを得る事が出来る。 本研究ではエッチング液としてブロム-メタノール(Br-M)混合液(ブロム:メタノール≒ 1:250)を用いて研磨を行い、ケモメカニカルポリッシュ後にメタノールでリンスした。こ れは、試料の表面に付着した不純物を除去するためである。また、ケモメカニカルポリッ シュは酸化膜を除去する役割を持つため、処理後は出来るだけ早く測定を行うことが望ま しい。参考文献
参考文献
参考文献
参考文献
1) 宮澤 信太郎, メルト成長のダイナミクス, 共立出版 (2002). 2) 山本 信行, 新しい機能性半導体材料を目指して, アイシーピー (1989).3) S. H. You, K. J. Hong, B. J. Lee, T. S. Jeong, C. J. Youn, J. S. Park, and S. N. Baek, J. Crystal. Growth. 245, 261 (2002).
4) 応用物理学会 薄膜・表面物理分科会編:薄膜作製ハンドブック, 共立出版 (1991). 5) 飯田 武夫, ガラス細工法 基礎と実際, 廣川書店 (1973).
27 20 40 60 80 (1 1 2 ) (2 2 0 ) (2 0 4 ) (2 0 0 ) (3 1 2 ) (1 1 6 )( 2 1 5 ) (4 0 0 ) (3 3 2 ) (3 1 6 )( 3 2 5 ) (4 2 4 ) 2θ (deg) In te n si ty ( ar b . u n it s) AgInS2 AgInS2 (experiment) AgInS2 (PDF) 2θ (deg) In te n si ty ( ar b . u n it s) In2S3 (PDF) 0 20 40 60 80
第
第
第
第 5 章
章
章
章
AgInS
2
結晶の評価
結晶の評価
結晶の評価
結晶の評価
5.1
X 線解析
線解析
線解析
線解析(XRD)測定による結晶の評価
測定による結晶の評価
測定による結晶の評価
測定による結晶の評価
作製した試料の一部を粉末にし、X 線回折(XRD)測定を行った。測定結果と PDF データ との比較を Fig. 5-1 に示す。観測された回折ピークは AgInS2の PDF データ 1) と位置と強度 比が良く一致していることから、本研究で作製した試料は Ag:In:S=1:1:2 のカルコパ イライト構造である事が確認できた。また、Fig. 5-1 に示した AgInS2の PDF データ以外に、 In2S3 2) などの数種類の PDF データと比較したが、他の物質の混在は見られなかった。Fig. 5-2 にそれぞれの回折ピークの面方位を示した。 Fig. 5-1 試料の XRD 測定結果 と PDF データの比較 Fig. 5-2 AgInS2回折ピークの面 方位28
5.2
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー
分光エリプソメトリー(SE)測定
測定
測定
測定
4.3 で説明した表面処理を行った。測定条件は以下の様に設定した。5.2.1
結果と考察
結果と考察
結果と考察
結果と考察
Fig. 5-3 に SE 測定により得られた誘電 率 ε1と複素誘電率 ε2をエネルギーに対してプロットを行った。E~1.9 eV, 4.0 eV, 4.7 eV にブリルアンゾーンの臨界点を反映 した構造が観測された。室温での測定に も関わらず、吸収端にシャープなピーク が確認出来た。これは、エキシトンの影 響ではないかと考えられる。 また、SE 測定結果から得られた誘電率 ε1 と複素誘電率 ε2 を用いて、作製した AgInS2の反射率 R=0.218 と求めた。 Fig. 5-4 に WIEN2k を用いた誘電率計算 と SE 測定結果との ε2の比較を示す。垂直
方向、平行方向共に E~4.0 eV, 4.7eV にピー クがあり、強度比も SE 測定結果と良く一 致していることがわかる。バンド端におけ る~1.9 eV のエキシトンの影響は見られな いが、ε2 の値が急激に下がっていることか ら、臨界点を反映した構造が観測されたこ とがわかる。垂直方向、平行方向両方のス ペクトルの形状に近い測定結果であること が確認できた。 入射角 偏光角 温度 70° 45° 室温 測定範囲 1.2-5.3 eV 0 1 2 3 4 5 6 0 2 4 6 8
ε
1ε
2ε
1ε
2 AgInS2ε
Photon energy (eV)
Fig. 5-3 誘電率スペクトル Table 5-1 SE 測定条件 0 1 2 3 4 5 6 0 2 4 6 8
AgInS
2ε
2Photon energy (eV)
E⊥c
E∥c
SE
29
5.3
光吸収測定
光吸収測定
光吸収測定
光吸収測定
5.3.1
結果と考察
結果と考察
結果と考察
結果と考察
透過率 T の測定結果より、(3-14)式により光吸収係数 α を求めた。α の計算に当り、使用 した反射率 R は光吸収測定前に行った SE 測定より得られた R=0.218 を使用した。また、試 料の厚さはレーザ顕微鏡により測定した値 d=60 µm を使用した。 Fig. 5-5, 5-6 にそれぞれの計算結果を示す。垂直方向と平行方向でスペクトルの立ち上が るエネルギー位置が大きく異なっていることが分かった。これは、二色性によるものであ ると考えられる。垂直方向における 1.8780 eV と 1.8978 eV の半値幅~1 meV の非常にシャー プなピークは、それぞれ n=1, n=2 のエキシトンに相当するものであると考えられる。4-9) n=1 のエキシトンピークよりも高エネルギー側の 1.8812 eV に半値幅~3 meV のピークが確認で きるが、文献10)の AgGaS2 の値ではその差 5 meV に対して、本研究では 3.2 meV と近しい値にあり、それぞれ励起子ポラリトンの発光が測定に現れてしまったものと考えている。 Fig. 5-7 に垂直方向、Fig. 5-8 に平行方向の温度変化を示す。垂直方向において 1.8780 eV と 1.8978 eV のシャープなピークは温度上昇に伴い~140 K まで高エネルギー側にシフトし ていることが確認できた。1.8978 eV のピークは~40 K で見えなくなってしまったが、1.8780 eV のピークは更なる温度上昇に伴い低エネルギー側にシフトしていることが確認できた。 これは特異な温度変化であり、Ⅱ-Ⅵ族化合物半導体 CdS ではこの様な温度変化は見られ ない。また、n=1, n=2 のエキシトンに相当するピークのエネルギー差は確認できる 40 K ま でほぼ一定の 19.8 meV であった。平行方向の測定結果において、~100 K で n=1 のエキシト ンピークが現れてしまっていることが分かった。これは、温度上昇に伴う結晶粒の膨張や 歪みによって結晶軸がずれてしまったことが原因であると考えられる。 1.800 1.85 1.90 1.95 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0
α
( 1 0 3 c m -1 )Photon energy (eV)
AgInS
2T=10 K
n=1 n=2Ε
Ε
Ε
Ε
⊥c
~1 meV Fig. 5-5 垂直方向の測定結果 (10 K) 1.800 1.85 1.90 1.95 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0α
( 1 0 3 c m -1 )Photon energy (eV)
AgInS
2T=10 K
Ε
Ε
Ε
Ε
|| c
Fig. 5-6 平行方向の測定結果 (10 K)30 10 K における測定結果から 1.8780 eV のピークエネルギーを E1とし、1.8978 eV のピーク エネルギーを E2とすると、バンドギャップエネルギーEgと、結合エネルギーR との関係は 以下の式が考えられる。11) g 2