PL測定結果において、バンド端発光スペクトルには(5-9)式のガウス関数によってフィッ ティングを行った。
Γ
− −
=
22 p
) exp (
)
( E E
S E
I (5-9)
ここで、は発光ピークのエネルギー値、Sは強度パラメータ、Γはブロードニングパラメ ータである。
5.4.1
結果と考察 結果と考察 結果と考察 結果と考察
Fig. 5-10に10 KのときのPL測定結果を示す。~1.86 eVにバンド端発光の非常にシャー
プなピークとショルダーを観測した。また、1.7 eV ~ 1.8 eV間にディープな発光スペクトル を観測した。バンド端発光のPLスペクトルを考察するために、1.83 eV ~ 1.90 eV間で(5-9) 式により解析を行った。解析結果をFig. 5-11に示す。フィッティングは良く一致している ことが分かる。解析から、~1.86 eVのシャープなピークは二つのスペクトルにより構成され ていることが分かった。ここで、その構成していたスペクトルの高エネルギー側を FE, 低 エネルギー側をBE2とし、~1.85 eVのショルダーをBE1とすると、文献15)から、BE1は中 性アクセプター束縛励起子に相当するもので、Ag の空格又は、Sの格子間原子に束縛され た発光であると考えられる。~1.86 eVのスペクトルを構成するBE2は化学量論的な秤量か らわずかにずれたSの空格又はAgの格子間原子に束縛された中性ドナー束縛励起子に相当 するものが起因と考えられる。この励起子は、束縛励起子から中性ドナーまでの再結合で
Fig. 5-11 PLスペクトルの解析結果
Fig. 5-10 PL測定結果 (T=10 K)
1.5 1.6 1.7 1.8 1.9
AgInS
2T=10 K
Photon energy (eV)
P L i n te n si ty ( ar b . u n it s)
1.84 1.86 1.88 1.90
AgInS
2 T=10 KPhoton energy (eV)
P L i n te n si ty ( ar b . u n it s)
Experiment Calculation FE
BE2 BE1
34 ある事が知られている。FEはFig. 5-13に示 す様な温度変化を示すことから、自由励起子 発光であると考えられる。次に、ディープな 発光スペクトルを考察するために Fig. 5-10
において1.6 eV ~ 1.83 eV間で励起強度依存
測定を行った。結果をFig. 5-12に示す。~1.7 eV, ~1.76 eV, 1.8 eVのピークはレーザ強度を 増すにつれて、僅かながらそれぞれ高エネル ギー側にシフトしていることが分かった。こ れはドナーアクセプター対(DAP)発光の特徴 であることから、ディープな発光スペクトル はDAP発光によるものであると考えられる。
Fig. 5-13にバンド端付近のPLスペクトルの温度変化を示す。高温におけるピーク強度は
非常に弱いので、ピークの温度変化を分かりやすくするために数倍した。また、~1.86 eVの シャープなピークを構成していたFE, BE2スペクトルの温度変化について解析を行い、その 詳細を示したものをFig. 5-14に示す。解析から、10 KにおけるメインピークはBE2が支配 的であり、FEピークよりも強度が大きいことが分かる。しかし、温度上昇に伴い、BE2ピ ークは急激に小さくなり、50 KではBE2ピークは非常に小さく、FEピークが支配的である ことが分かった。また、BE2ピークは~60 Kでほとんど見えなくなり、以降の温度変化によ
Photon enrgy (eV)
Experiment Calculation FE BE2
P L i n te n si ty ( ar b . u n it s)
AgInS
210 K
20 K 30 K 40 K
1.85 1.86 1.87 1.88 50 K
1.6 1.7 1.8
×10
×25
×12
×4
54.0 mW 10.2 mW 3.01 mW 1.00 mW 0.30 mW 0.10 mW 0.03 mW
×25
Photon energy (eV)
P L i n te n si ty ( ar b . u n it s)
AgInS
2T=10 K
1.82 1.84 1.86 1.88 1.90 1.92 1.94
AgInS
2Photon energy (eV)
P L i n te n si ty ( ar b . u n it s)
10 K
50 K
100 K
200 K 150 K
300 K
×1.5
×2
×3
×4
×5
×6
×6
×6
×6
×6
×6
×7×10
×12
×12×12
BE1 FE BE2
Fig. 5-14 FE, BE2解析の詳細
Fig. 5-12 励起強度依存測定結果
Fig. 5-13 PLスペクトル温度変化
35
る~1.86 eVのシャープなピークはFEのみによるものであることが分かった。Fig. 5-13から、
~1.86 eVのシャープなピークは温度上昇に伴い高エネルギー側にシフトし、~50 Kから更な
る温度上昇に伴い低エネルギー側にシフトしていることが分かった。
Fig. 5-15に~1.86 eVのバンド端発光 のシャープなピークを構成しているFE, BE2 のピークエネルギーの温度変化を 示す。BE2は60 Kで見えなくなってし まったが、FE, BE2共に温度上昇に伴い 高エネルギー側にシフトし、特にFEは
50 Kから更なる温度上昇に伴い低エネ
ルギー側にシフトしていることが分か った。FEピークエネルギーの高エネル ギー側シフト量は5.7 meVであった。
このような温度変化は光吸収測定によ り得られた吸収端Egの温度変化と同様 に特異な温度変化を測定していたこと が分かった。
0 100 200 300
1.80 1.82 1.84 1.86 1.88 1.90
E n er g y ( eV )
Temperature (K) AgInS
2FE BE2
Fig. 5-15 FE, BE2温度変化の詳細
36 5.4.2
ガウス関数フィッティングパラメータ ガウス関数フィッティングパラメータ ガウス関数フィッティングパラメータ ガウス関数フィッティングパラメータ
Table 5-2, 5-3, 5-4に解析に用いたガウス関数フィッティングパラメータを示す。
T (K) Ep (eV) 10-4 S 103 Γ 10 1.8650 10.37 4.7 20 1.8665 11.30 4.7 30 1.8685 10.70 5.7 40 1.8699 10.20 7.0 50 1.8707 11.40 7.5 60 1.8708 12.20 8.0 70 1.8706 10.50 8.7 80 1.8701 8.60 10.0 90 1.8696 6.70 11.5 100 1.8691 4.60 12.0 110 1.8684 3.10 13.0 120 1.8677 2.00 14.0 130 1.8665 1.30 15.5 140 1.8650 0.90 17.0 150 1.8629 0.75 20.0 160 1.8610 0.77 23.0 170 1.8588 0.77 25.0 180 1.8568 0.79 28.0 190 1.8540 0.75 29.0 200 1.8515 0.65 30.0 210 1.8495 0.69 32.0 220 1.8474 0.70 32.0 230 1.8460 0.65 37.0 240 1.8442 0.52 39.0 250 1.8430 0.43 43.0 260 1.8395 0.37 45.0 270 1.8420 0.44 43.0 280 1.8410 0.36 45.0 290 1.8390 0.37 46.0 300 1.8386 0.55 43.0
T (K) Ep (eV) 10-4 S 103 Γ 10 1.8601 21.3 2.6 20 1.8615 10.5 2.6 30 1.8630 3.8 3.0 40 1.8666 2.2 5.0 50 1.8669 1.0 8.0 60 1.8666 1.0 8.0
T (K) Ep (eV) 10-4 S 10-3 Γ 10 1.8505 7.3 4.7 20 1.8540 4.0 6.0 30 1.8580 2.7 7.0 40 1.8530 1.0 8.0
Table 5-2 FEフィッティングパラメータ
Table 5-3 BE2フィッティングパラメータ
Table 5-4 BE1フィッティングパラメータ
37