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漫性炎症性疾患の運命決定を担う未知核内エピゲノム制御メカニズムの探索

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Academic year: 2021

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慢性炎症性疾患の運命決定を担う

未知核内エピゲノム制御メカニズムの探索

は じ め に 近年食生活の欧米化と相まって糖尿病をはじめとする 生活習慣病は非常に大きな臨床医学的な問題とおり, ま た一方で近年その主病態は, 脂肪などの組織の慢性炎症 であることが明らかになった. しかし, 現在の生活習慣 病に対する治療法には,その主病巣である「慢性炎症」治 療を目指すものは存在しない. 一般的に「慢性炎症性疾 患」に対しては抗炎症剤を 用するのが一般的であるが, その効果は限局的であり, 病態のメカニズムに根ざした 新しい治療法開発が望まれる. 一方で, 自己免疫疾患を 含む様々な炎症性疾患に対する抗炎症薬として用いられ ているグルココルチコイド (ステロイド)は,難治性炎症 性疾患に対する強力な抗炎症作用を有するが, 副作用の 問題から長期利用には問題が残されている. その作用メ カニズムは, 核内受容体 GR による炎症制御転写因子 AP-1や NF-kBのリガンド依存性の転写抑制であること が知られているが, その詳細なメカニズム解析が困難を 極めているために, 長期慢性炎症疾患治療法開発はあま り進んでいない. このような背景の中で, 我々はこれま での炎症疾患 薬の 野ではあまり試みられていない生 化学的な手法による核内エピゲノム制御因子の同定と機 能解析というアプローチを主体に 合的な解析を行って いる. この新しいアプローチによってこれまでに同定し えなかった生活習慣病に対する画期的な 薬標的の同定 を目的といる. アプローチ方法の実際 扱うタンパク標的としては抗炎症薬として広く用いら れているグルココルチコイド (ステロイド) の標的であ る核内受容体グルココルチコイド受容体 (GR)と男性ホ ルモン受容体 (AR) を用い, in vitro の生化学実験と in vivo のマウス実験から 合的な機能制御メカニズムを解 明し,「疾患エピジェネティクス」という 野からの新し い 薬を えている (図 1).その切り口は, 炎症制御」と 栄養代謝制御」の接点で機能する核内ピゲノム制御メカ ニズムであり, 核内エピゲノム制御における調節的なス イッチ機構の解明と未知シグナルクロストークの探索を 行っている (図 2). GRによるエピジェネティックな 抗炎症メカニズムの解析 GR による AP-1に対するグルココルチコイド (ステ ロイド) 依存性の転写抑制メカニズムの解析を進めてき た結果, GR が AP-1構成タンパク c-Junのリガンド依 存性の Sumo化を制御する複合体 (Sumo化 E3リガー ゼ) の構成因子として機能することが明らかになった. また, c-Junが Sumo化された後にヒストンメチル化複 合体がリクルートされ, エピジェネティックな転写抑制 がなされることも明らかになった. つまり, この転写抑 制はこれまで知られていなかった 2段階のステップに よってなされる新しい転写抑制メカニズムを介すること が明らかになった (図 3). 227 Kitakanto Med J 2011;61:227∼228 1 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学生体調節研究所・核内情報制御 野 平成23年2月22日 受付 論文別刷請求先 〒371-8511 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学生体調節研究所・核内情報制御 野 北川浩

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今 後 の 展 開 実はこれまでに明らかにできた GR によるリガンド 依存性の抗炎症制御は細胞内のグルコース濃度変化に よって規定される (未発表 data).そこで,GR のタンパク 修飾状態を様々な刺激下で解析し, 様々な刺激や培養条 件下での GR タンパクの修飾状況を LC-MS/MSシステ ムを用いて探索し, 転写活性制御機構との関係を明らか にする予定である. お わ り に 我々は目下新しい研究室で新しいテーマに向かって取 り組んでいますので, ご興味のある方は, ご連絡いただ けると幸いです. 本研究は,2010-2013年度「最先端・次世代研究開発支 援プログラム」に採択された. 慢性炎症性疾患の運命決定を担う未知核内エピゲノム制御メカニズムの探索 図1 未知エピゲノム制御因子機能解析ストラテジー 図2 慢性炎症性疾患制御に向けたエピゲノム制御 ―代謝シグナルと細胞内ストレスを仲介するエピゲ ノム制御因子― 図3 グルココルチコイド依存性のエピジェネティック制御を介する抗炎症作用メカニズム 228

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