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健康的な自己愛の構造と性差・年代差の検討及び自己対象体験との関連

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Academic year: 2021

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− 89 − 健康的な自己愛の構造と性差・年代差の検討及び自己対象体験の関連 人間教育専攻 臨床心理士養成コース 岩 門 沙 知 1.問題と目的 金川

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の健康的な自 己愛の理論と上地・宮下

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の健康的な自 己愛の持ち主の定義から,健康的な自己愛を, 「他者との関わりを楽しんでおり,自分自身を よく思っており,ある程度,自己主張できるこ と,自己を佃

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直あるものだ、と思っていること」 と定義している。しかし,金川

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の定義 では十分に病的な自己愛の側面から健康的な側 面を捉えきれていない。そこで本研究では新た に「他人との関わりを楽しんでおり,目標に向 かつて進んで、おり,ある程度,自己主張できる こと,自己緩和できること,自己を価値あるも のだと思っていること」と定義し直した。 また,健康的な自己愛を育むためには,自己 対象体験が重要になると

Kohut

は述べているO

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によれば,自己対象体験は生涯, 自己を支えるために必要な体験であり,乳幼児 期の親との関わりが重要となる。親との自己対 象伸験が不十分で、あった場合,重要な他者との 間で自己対象体験を行う必要があるとされてい る(原田,

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。つまり,親あるいは重要な他 者との間で十分な自己対象体験を経験すること によって,健康的な自己愛は育まれると考えら れる。 そこで本研究では,(1)新たな健康的な自己 愛の定義に則った健康的な自己愛尺度の改訂版 を作成すること, (2) 健康的な自己愛の表れ方 指導教員 葛 西 真 記 子 に性差または年代差があるのかを検討すること, (3) 健康的な自己愛の持ち主の自己夫担象体験 を明らかにすることを目的とした。 2. 方 法 (1)研究

1

:改訂版健康的な自己愛尺度の作成 改訂版健康的な自己愛尺度作成のため,

A

大 学に在籍している大学生及び大学院生と

A

大学 外の者合計

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3

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名を対象に質問紙調査を実施し た 。 筆 者 が 考 え た 健 康 的 な 自 己 愛 の 定 義 と

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,土地・宮下

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の 健 康 的 な 自 己 愛 に つ い て の 記 述 及 び 金 川 (2016)!T;健康的な自己愛尺度の質問項目を基 に改訂版健康的な自己愛尺度を作成した.0 併存 的妥当性を検討するために健康的な自己愛尺度 と相関があると考えられる①周囲を気にする傷 つきやすいナルシシズム(高橋,

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,②自尊 感情尺度(Ro

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;山本・松井・山成,

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,制宥神健康状態表簡易版

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の3つの尺度を使用した。 (2)研究上健闘句な自己愛における調査

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大学に在籍している大学生及び大判完生と

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大学外の者合計

275

名(男性

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名,女性

1

5

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名 ;

24

歳以下

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名, 25~34 歳 42 名, 35~44 歳 36 名, 45~54 歳 48 名, 55~64 歳

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名,

65

歳以上

1

9

名)を支担象に質問紙調査を 実施した。健康的な自己愛の性差及び年代差, 他尺度との関連を検討するために研究

1

で作成 した改訂版健康的な自己愛尺度を使用した。ま

(2)

− 90 − た健康的な自己愛と母親及び父親との自己対象

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本験との関連を検討するために原田 (2005)の 母親・父親の関わり方の体験を測定する質問紙 を使用し,健康的な自己愛と両親以外の重要な 他者との自己対象体験との関連を検言寸ずるため に渋江・葛西 (2014)の獲得された安心感尺度 を使用した。 3.結果と考察 (1)

研究

1:改訂版健康的な自己愛尺度の作成 改訂版健康的な自己愛尺度の因子分析の結果, 3因子構造であり,項目の内容から下位尺度は 「人間関系・目標積極性JI自己承認JI自己緩 和」と命名した。 α係数の算出から十分な信頼 性が石面志された。また,併存的妥当性を検

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す るために改訂版健康的な自己愛尺度と相関があ ると考えられるQ)"-'③との相島守係数を算出した ところ, I自己承認Jと③との聞を除くすべての 因子で相関が認められた。よって,併存的妥当 性もある干到吏保証されている結果が得られた。 (2)

研究

2:健尉句な自己愛における調査 t検定の結果から,どの下位尺度においても 有意差は認めれなかった。この結果より,健康 的な自己愛を育む上で男女差を考慮する必要は ないことが示唆された。 また,年代差を独立変数,改訂版健康的な自 己愛尺度の下位尺度を従属変数とした

1

要因の 分散分析を行った結果人間関係・目標積極性J においてお~34 歳よりも 24 歳以下の方が高 いこと, I自己承認」において年代が上がるにつ れ自己承認の数値が上がること, I自己緩和」に おいて 25~34 歳よりも 45~54 歳の方が高い ことが明らかとなった。この結果より,健康的 な自己愛では「人間関係・目標積極性JI自己承 認JI自己緩和jごとに成熟する過程が異なる可 能性が示唆された。 母親・父親の関わり方の体験を測定する質問 紙を母親の関わりと父親の関わりの2つに分け, それぞ、れ平均点を基準にして高群と低群に分類 した。また,獲得された安心感尺度も平均点を 基準にして高群と低群に分類した。そして,母 親の関わりの高低および父親の関わりの高低と 獲得された安心感の高低を独立変数,改訂版健 康的な自己愛尺度の下位尺度を従属変数とした 2X2の分散分析を行った。 その結果, (i)母親もしくは父親との聞に十 分な自己対象体験を経験している者は, I人間関 係・目標積極性Jが高いこと, (並)両親以外の 重要な他者との聞に自己文橡体験を経験してい る者は人間関係・目標積極性」が高いこと, (出)両親以外の重要な他者との聞に自己対象 体験を経験していない者は, I自己承認」が高い こと, (iv)母走見もしくは父親との聞に十分な自 己対象体験を経験している者は, I自己緩和」が 高いことが明らかとなったO

Kohut

は幼少期における養育者との自己対 象体験の経験が自己の発達に重要な役目を果た すとしており,健康的な自己愛の発達において も幼少期の養育者との自己夫橡体験は不可欠で あると指摘している。 (i) (iv)の結果はこの 理論に基づく結果であると言える。また, (証) より,両親以外の重要な他者との聞に自己支橡 体験を経験することによって,健康的な自己愛 が育まれることを示す結果となったOしかし(面) の結果は仮説とは異なる結果で、あった。その原 因として今現在ストレスフノレな状況下にない病 的な自己愛を持つ者が健康的であると報告した ことによって,病的な自己愛を持つ者が自己承 認の因子に反応した可能性が考えられる。

参照

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