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オオムギ一代雑種品種に関する遺伝育種学的研究

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Academic year: 2021

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Title

オオムギ一代雑種品種に関する遺伝育種学的研究( 内容の要

旨 )

Author(s)

倉内, 伸幸

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(農学) 乙第025号

Issue Date

1998-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2270

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

名(本籍)

学位授与年月

学位授与の要件

(長野県)

博士(農学)

農博乙第25号

平成10年3月13日

学位規則第4粂第2項該当

オオムギー代雑種品種に関する辻伝育種学的研究

主査

大 学

副査

大 学

副査

静 岡 大 学

副査

岐 阜

大 学

オオムギは,コムギに比べ,乾燥地や高標高地帯など自然環境が劣悪な地域で生育が可能であり, 特に食用作物として最も重要な位置を占めているものの一つである・そのような地域での収土佐とス トレス耐性を向上させる方法としてのFl品種の育成法を研究目療としている・自殖性作物である オオムギのFl品種を育成するための必須条件としては,親系統に開花受粉性を具備させることと、 Fl品種の採種効率向上のための受粉に関わる要因分析があげられる・一方・実用的なFl品種の効

率的な育成のためには,あらかじめ親系統に有用形賞を導入しておく必要があるが、それらの代表的

なものとしてはFl世代で発現可能な優性の半疑性遺伝子や親系統に有用辻伝子を集積させる道具

としての相互転座が考えられる.本研究は,これらの問題点を解決するための基礎研究を行ったもの であり、得られた結果は以下の通りである. 1.閉花受粉性一閃花受粉性の遺伝資源評価と辻伝子分析 Fl品種の育成上必要とされる開花受粉性の辻伝資源評価および辻伝子分析を行った結果,国内品 種のほとんどが開花受粉性をもつのに対し,多くの国外品種と野生の月b血川平釧加ぞ〝椚は開花受

粉性を有することを確認した.さらに,開花受粉性品種であるミサトゴールデンと開花受粉性品種で

あるさつき二条のFlおよぴBIF2の遺伝子分析の結果から,開花受粉性が単因子劣性遺伝子に支配

されていることを明らかにした.また,且乎仰加の〝の三染色体個体とミサトゴールデンとの三染

色体分析の結果から,且卿此椚椚〝の開花受粉佐渡伝子は第1染色体に座乗することを明らにした・

開花受粉性は単因子劣性遺伝子に支配されていることから,優良な形質をもった開花受粉性の花粉親 系統の育成が可能であると考えられるとしている・ 2.採種効率向上のための受粉に関わる要因分析 採種効率を高めるために,種子親および花粉親の受粉に関する要因の分析を行っている・受粉効率 は花粉親が種子親に近いほど指数関数的に高まることを認めた.また,種子親である雄性不稔系統の 最適放任受粉期間は,開花後4∼5日であったので,その時期に花粉親の花粉を十分に飛散させれば 受粉効率は高まる.受粉効率が高い花粉親は,雄性不稔系統に比べ10日程度出穂日が早かったこと

(3)

-160-から,花粉親の品種の具備すべき条件の1つとして,種子親よりも早生である必要性があると述べて

いる. 3.優生の半壊性遺伝子系統の作出 康性の半壊低速伝子を誘発する目的で核遺伝子型雄性不稔系統の気乾種子に8mMのアジ化ナトリ

ウム処理を行った結果,相互転座系統と自然交配した雑種第1代で半壊性突然変異体を0.2$%の頻度

で誘発することができた.この半壊性突然変異体は,F2世代の個体分離比および検定交配の結果か

ら優生の半壊性遺伝子に支配されていることを明らかにした.オオムギにおいて人為突然変異によっ て優生の半壊性遺伝子を誘発したのは本研究が初めてである.この半壊性遺伝子は優生であり,Fl 世代で発現可能であるため,実用的なFl品種の育成に有効に役立つものと考えられる. 4.有用遺伝子を集積するための相互転座系統の作出 親系統に有用遺伝子を効率的に集積する目的で相互転座系統の利用を検討している.相互転座系統 を利用する場合,従来は8世代以上を要したが,種子あるいは幼苗で判定できる標識遺伝子を有する

系統を利用することによって,γ線照射処理から転座染色体の同定までの期間を3世代に短縮するこ

とに成功した.また,相互転座ヘテロでは種子稔性が50%程度低下する問題があるが,γ線照射処 理によって誘発した相互転座ヘテロの種子稔性を向上させる康性遺伝子を利用することにより種子

稔性を大幅に上げる結果を得ている.

以上のように,本研究によりオオムギFl品種の育成に関する必須条件および親系統がもつべき実

用形質の問題がほぼ解決されたといえよう.加えて,相互転座ヘテロの種子稔性を向上させる突然変

異遺伝子を発見したので,この遺伝子を有する相互転座系統を交配母本として,完全染色体環による

レナー複合種を利用した永続ヘテローシス育種の可能性も示唆された. 本研究により,オオムギのFl品種の実用化と普及の可能性が大きく開けたものと考えられる.

平成10年1月23日岐阜大学において審査員全員出席の下に、約40分間の発表と、約20分の 質疑応答が行われた.発表は研究内容の要点を的確に表現しており、明解であった。また、審査員から の質問にも的確に答えた。 研究の要点は以下のとおりである。 現在オオムギは飼料や醸造に利用されることが多いが、イネやコムギの生育不可能な乾燥地や高標 高地帯において重要な食用作物である。そのような地域での収量性とストレス耐性を向上させる方法 としてのFl品種の育成法を研究課題としている.自殖佳作物であるオオムギのFl品種を育成するた

めの必須条件としてはト親系統に開花受粉性を具備させることと、Fl品種の採種効率向上のための受

粉に関わる要因分析があげられる。一方,実用的なFl品種の効率的な育成のために吼あらかじめ親

系統に有用形質を導入しておく必要があるが、それらの代表的なものとしてはFl世代で発現可能な食

性の半壊性遺伝子や親系統に有用遺伝子を集積させる道具としての相互転座が考えられる.これらの 側面について研究し、いくつかの新しい事実を発見し、実用化の可能性が示唆されるまでに至ったも のである。なお、詳細は下記の論文に纏められている。 (博士論文の基礎となる学術論文) 1)オオムギにおけるFl種子生産のための技術開発. 熱帯農業41,251-257.(1997)

(4)

-161-2)オオムギにおける半壊性突然変異系統の誘発. 熱帯農業42(印刷中).(1998) 3)オオムギ野生種(HordeumspontaneumC.Koch.)における開花受粉性の遺伝子分析. 熱帯農業42(印刷中).(1998) (その他博士論文に関連する既発表論文) 1)Inheritanceofdeistogany-Chasmogamyinbadey. B肛IeyGenet.New51.23.19.(1994)、

2)DominantgeneCOntrOhghighseedfe瓜tyofredpr∝altranslocationheterozygOte.

3)Int.BarleyGenet.Symp.UnversityofSaskntchewan 523-525.(1996) 4)Adominantdwarfmutantinbadey. B血IeyGenet.Newsl.27.79・81.(1997) 5)チュニジアにおけるムギ類遺伝資源の探索. 開発学研究 8(1):61-66.(1997) 6)チュニジアオオムギ遺伝資源の農業形質. 熱帯農業 41(勧(印刷中).(1997) 圃場実験における膨大な数の研究対象の取り扱いは多大な労力を要したものであり、それらの遺伝

子解析まで持ち込む場合に要した技術的問題点の解決などを含め、課題追求の姿勢は多とするに値す

る。また論文の構成も確かであることから、本研究論文を博士論文に十分値するものと認めうる。審

査員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合農学研究科の学位論文として十分価値あるものと認めた。

参照

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