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完了報告書(3年目/最終)

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2013年度(前期)指定公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 「いのちの教育と支援を通して在宅医療と地域の架け橋を担う ~気軽に利用できる「相談室」の運営を目指して~」. 申請者:片岡桂子 所属機関:有限会社志宝. 訪問看護ステーションしほう. 提出年月日:平成28年10月28日. 1.

(2) 目次 Ⅰ研究背景 .............................................................................................................................. 3 Ⅱ研究目的 .............................................................................................................................. 4 Ⅲ研究計画・方法 ................................................................................................................... 4 1.. 研究デザイン ........................................................................................................ 4. 2.. 研究参加者 ........................................................................................................... 4. 3.. 方法 ...................................................................................................................... 4. 4.. 研究役割分担 ........................................................................................................ 4. 5.. 実施計画 ............................................................................................................... 4. 1)2013 年 8 月~2014 年 2 月............................................................................... 4 2)2014 年3月~2015年 2 月 ............................................................................... 5 3)2015 年 3 月~2015 年 8 月............................................................................... 5 4)2015 年 9 月~2016 年10月 ............................................................................ 6 Ⅳ結果 ..................................................................................................................................... 6 1.2013 年 8 月~2014 年 2 月 .................................................................................. 6 2.2014 年3月~2014 年 8 月 ................................................................................. 10 3.2014 年 9 月~2015 年 2 月 ................................................................................ 12 4.2015 年 3 月~2015 年 8 月 ................................................................................ 17 5.2015 年 9 月~2016 年 2 月 ................................................................................ 22 6.2016 年 3 月~1016 年 10 月 1)相談室の充実............................................... 30 7.結果まとめ ................................................................................................................. 34 Ⅴまとめ ............................................................................................................................... 35. 2.

(3) Ⅰ研究背景 わが国における地域包括ケアは。平成 24 年度から第5期を迎え、地域の課題やニーズ 調査を的確に把握し、地域の実情を踏まえ、医療の連携など、地域で在宅療養を支える体 制の構築は、その対象者のレンジを拡大するよう施策はシフトしている(厚生労働省, 2013.5.16) 。研究代表者は、対応体制の訪問看護ステーションを開設し、現在 12 年目 の実績がある。利用者総数は939名を越え、在宅での看取りは387名を超えた。人が 人として最期の時まで自分らしく生き抜いて頂くことができるように看護を実践し、 「い のち」を看送り、 「いのち」が受け継がれる毎日を生活の場である自宅、地域で見守って きた。 生まれることと死ぬことを主に病院が担うようになり 50 年が経過している。これま で、医療技術の進歩に伴い「いのち」や「生活全体」ひいては、 「老いていくこと」さえ も病院に「お任せ」し、人間本来の「力」が引き出されずにいる現代の歪みにも直面して きた。 研究代表者が経験した24年の間に、基幹病院での臨床看護と在宅での看護を展開して いく中で、生命の誕生から、死によって受け継がれる「いのち」はその世代その世代の足 元を温かく照らすものであることを確信している。 研究代表者が運営する、訪問看護ステーションは、病院や施設から、自宅へ戻って療養 しながら生活したいと願う人や「人生の最期は住み慣れた自宅にいたい」と希望する人の 願いを叶えるために、また「その人自身のもてる力」を最大限に引き出せるように専門性 を高めながら、24時間緊急対応体制で活動を行ってきた。先日、身体障害児や医療機器 を必要とする先天性疾患患児をもつ母親が直接、自宅近隣の訪問看護ステーションに相談 した際、当ステーションへの紹介依頼があった。 「訪問看護が利用できることも他の在宅 サービスを利用できることも知らなかった」という7歳患児をもつ、母親からは、多くの 相談があり、フォーマルやインフォーマルなサービスのマネジメントと利用できる制度の 説明等を行いながら、地域で円滑な生活ができるように尽力した。今では訪問看護やヘル パーを活用しつつ、母親と、その家族員でプランを立てながら、可能な限り自立した生活 が再構築できるようになっている。本事例で、これまでも、行政が様々な取り組みを行っ ているのにもかかわらず、身体障害児を出産後、児が、7 歳になるまで、サービスを得る ことなく、家族のみで懸命に生活を送っていた現状がごく身近で起こっていることを知っ た。地域とのかかわりの希薄さも感じるが、地域が「いのちの教育」の場を失いつつある のではないかと痛感した。また、一般的に、在宅医療の仕組みやその内容を認知していな いといった地域の現状もある。今後、「いのちの教育」や「その人自身のもてる力」を支 援するためには、在宅医療と地域の架け橋である、訪問看護ステーションが、重要な役割 を担い、社会へ貢献できると考える。. 3.

(4) Ⅱ研究目的 本研究の目的は、地域で生活をされている人々が、気軽に立ち寄り、利用できる「医 療・介護の相談室」に必要な内容を明らかにし、体系的な支援体制を構築すること、およ びその効果を実証的に評価することである。. Ⅲ研究計画・方法 1.. 研究デザイン. アクションリサーチの手法を用いて、「医療・介護の相談室」を基にした、地域への支 援ネットワークを構築する。相談支援活動を展開しながら、利用者とともに、ニーズの特 定、地域支援ネットワークの構築、アウトカム設定、実施、評価、修正のプロセスを重 ね、体系的な体制をつくる。 2.. 研究参加者. 「医療・介護の相談室」を利用され、当研究に自分の自由意志で研究に参加協力する男 女。18 歳以下の対象者の場合、その保護者(家族)を対象とする。 3.. 方法. 地域で生活をされている人々を対象に、アクセスがしやすく気軽に健康相談ができる場 所を訪問看護ステーション内に「医療・介護の相談室」を開設する。地域の関連健康医療 福祉機関や、自治体に対し、チラシやホームページで相談サービスの提供を知らせる。常 駐している看護スタッフにより相談予約を受け付ける。当訪問看護ステーションで相談支 援活動を行いながら、研究協力に承諾が得られた利用者から調査票により、利用者のニー ズを把握する。特定されたニーズに基づき、地域への支援ネットワークを構築し、アウト カムを設定し、実施、評価、修正を行い、体系的な体制をつくる。 4.. 研究役割分担. 研究代表者:研究全体の企画・実施・管理責任者 共同研究者:調査票の検討・ニーズの検討 ケース検討 活動内容の分析と評価 5.. 実施計画. 実施計画は、各年度経過報告書の提出の際、課題を反映できる事業計画の修正を行い、 実施可能な内容に修正して行った。 1)2013 年 8 月~2014 年 2 月 (1)地域住民に対し、 「医療・介護の相談室」の支援活動開始を知らせる。チラシを、 地域の関連健康医療福祉機関や、自治体など、日常的に人々の目に付く場所に置く。訪問 4.

(5) 看護ステーションのホームページに、「相談室」のページを作成して、紹介する。また、 近隣の訪問看護ステーションや社会福祉協議会、行政、クリニック等に「医療・介護の相 談室」の説明を行い、紹介機関として、協力を依頼する。 (2)訪問看護ステーション内に、 「医療・介護の相談室」のコーナーを開設し、相談業 務の運営を開始する。 (3)調査票により、利用者のニーズを特定し、支援の在り方を明らかにする。 (4)2014 年 2 月に、相談件数・内容の集計と現状分析を行う。中間報告をまとめる 2)2014 年3月~2015年 2 月 (1)特定されたニーズに基づき在宅支援ネットワークシステムを構築する。 システムを構築し、アウトカムと評価方法を検討し、決定する。 ・ 「医療・介護の相談室」の評価を、利用者が簡便にできるよう、10 項目以内の評価項目 を検討し、自由記載の欄も設けるよう作成する。 ・紹介等を行った支援先に対し、紹介後の結果をフィードバックしてもらうようにする。 (2)利用者に対し、相談後の実態を明確にするため、追跡調査を行う。 ・ 「医療・介護の相談室」を利用後、その後新しい支援先につながったのか、その後どの ような生活がなされているのか等について、利用者が指定した方法(郵送や電話等)に て、1 か月後、3 か月後、6 か月後の時点で連絡を取る。利用者が面接を希望された場合 には、初回と同様に行う。 (最終年度まで継続) (3) 「医療・介護の相談室」の活動を継続し、定期的(1 回/月)の経過報告と、ケース 検討(1 回/3 か月)を行い、活動を評価・修正しながら整えていく。 (最終年度まで継続) (4)2015 年 2 月に、相談件数・内容の集計、紹介先からのフィードバック、連携の状 況、ケース検討の結果の概略について、中間報告をまとめる。 3)2015 年 3 月~2015 年 8 月 (1)相談室の充実 相談室内に、湯茶やアロマの準備を行い、相談者がゆったりとすごせるようにする。また、 椅子にはやわらかいクッションなどをおき、環境を整える。 (2)選任相談人の配置(雇用) ①週2日 火・金(9:00~11:00)の日程指定を行い、専任相談員を配置し、相 談業務を行う。 ②専任相談員は、有限会社志宝の訪問看護ステーション・複合型サービス施設・介護支援 専門員・社会福祉士・福祉用具専門相談員・大工・社会福祉士・・・などと連携を行い、相 談者のサポートを行う。 ③専任相談員は、来談者シートを用いて、相談内容をまとめ、対応を行う。 ④相談後は、アンケートのご協力をお願いし、相談業務の評価をしていただくよう促す。 5.

(6) ⑤専任相談員は、1回/1か月 定期的に、研究代表者・研究協力者と共に、経過報告と、 ケース検討(1回/3か月)を行い、相談業務の評価・修正し、改善を行う。また、相談件 数は、毎月振り返りを行い、相談日数、時間等を検討する。 4)2015 年 9 月~2016 年10月. (1)相談室の環境調整 相談室やその入り口付近に、観葉植物や花などを置き、相談に来所しやすい雰囲気をつく る。<継続>. (2)専任相談員の配置(雇用) 週2日 火・金(9:00~11:00)の日程指定を行ったが、相談室の利用者は、日 時等は関係なく相談があるため、時間枠をできるたけ拡大できるよう人件費を調整する。. (3)地域への貢献 ①地域住民とのふれあいの場になるように、 相談業務だけではなく、詩吟教室 (1 回/週) や畑(随時)などを行う。<継続> ②老人憩いの家への参加:相談室だけでなく、近隣の小学校区にある老人憩いの家での相 談に応じる(1 回/2 ヶ月) 。<継続> ③介護予防の促進:地域住民を対象に、体操やヨガなど講師を招いて実施をする(1 回/ 月) 。<新規> ④臨床と連携:在宅医療にかかわる専門職者を対象に、がん疾患に関連する勉強会を開催 する(1 回/月) 。<新規>. Ⅳ結果 実施報告を結果として述べる。なお、結果は、各年次計画に沿って報告する。 1.2013 年 8 月~2014 年 2 月 1)チラシの作成 地域住民に対して、 「医療・介護の相談室」の支援活動開始を周知するために、チラシ を作成した。 2)情報の周知 地域の関係健康医療福祉機関(79 施設)に対して、周知した。 3)相談コーナーの設置 訪問看護ステーション内に相談コーナーを設置した。(写真1参照). 6.

(7) 写真1_医療・介護の相談室. のコーナー. 4)相談実施報告 (1)相談件数 ;2014.1 月末現在 相談件数は 8 月には 10 件、9 月には 15 件、10 月には 8 件、11 月には 6 件、12 月には 10 件、1 月には 13 件あった。主に、介護相談であり、そこから訪問看護につな がったケースがほとんどであった。相談は、ほぼ電話での相談であった。 表1 相談件数一覧. 2013. 2014. 累計. 8月. 9月. 10 月. 11 月. 12 月. 1月. 相談件数合計. 10. 15. 8. 6. 10. 13. 62. 相談のみ. 2. 3. 1. 3. 4. 4. 17. 相談から訪問につながったケー. 8. 12. 7. 3. 6. 9. 45. ス. (2)年齢構成 ・相談者年齢 30 歳代:6 名、40 歳代:13 名、50 歳代:20 名、60 歳代:19 名、70 歳代: 10 名 ・対象者がいる場合の年齢 30 歳代:6 名、40 歳代:5名、50 歳代:18 名、60 歳代:15 名、 70 歳代:13 名、80 歳代:8 名、90 歳代:3 名 (3)相談内容 相談内容は、ほぼ介護相談であるが、特に特徴的な相談ケースを 3 ケース挙げ、報告す 7.

(8) る。ケース1は「今後の生活に関する相談」 、ケース2は「Living Will に関する相談」 、ケ ース3は「その人の生活を支える」内容である。これらは、主に電話での相談内容であ る。 ① ケース1;今後の生活に関する相談 ・がん末期の 50 歳代夫の相談(電話;妻 50 歳代) これまで主疾患に対し、未治療であり、今後、どのような病院を受診すると、どのような 医療を受けられるのか不明であること、近医に相談しても今更今の状態では、引き受けら れないと言われたとのこと。今後夫とどのように生活をすればよいのかわからず途方にく れた感じの内容であった。一度、自宅に訪問し、詳細を確認することで一回目の相談を終 わった。 ② ケース2;Living Will に関する相談 ・90 歳後半の女性独居の相談(電話;60 代女性;姪) 初回相談;元来元気で、現在の茶道や華道の師範の資格を生かし、地域での活動をアクテ ィブにこなしている。最近、所要のため、自宅に行くと、いつも整然としていた部屋が、 荷物などで散乱しており、認知に問題があるのではと気になった。ある日、外出中に、転 倒し、救急搬送された。搬送先の病院で、今後について考えるよう言われ、どうすればよ いのかわからなくなった。本人は、認知もしっかりしており、様々なサービスを受けるこ とを拒否しているとのこと。本人なりに、地域への貢献もおこなっており、QOL も高 い。また、相談のなかで、本人が困っていないことを共通理解ができ、本人が最後まで家 で生活をしたいと希望しているため、 「事前指示書」の提案を行った。次回、詳細の指導 をすることを約束する。 2 回目; 「事前指示書」の資料を用意し、その書き方について具体的に指導をし、本人とど のように同意をとりながら記載するのか、相談者の心労をききながら指導を行った。 3 回目; 「事前指示書」は記述したとのこと。当事者や、ほかの親類からも同意がえられた とのこと。満足されていた。 ③ ケース3;その人の生活を支える ・会社員 60 歳代前半の女性、独居、家族は遠方在住の兄弟1名。(電話;自分自身の相 談) 初回相談;会社での人間ドック検査で、再検査を進められる。独り身であり、今後の受診 や生活に関して不安がある。どうすればよいのかと困惑している内容。受診の際の確認方 法などを指導。不安を受け止め支えていくことを約束する。 2 回目相談;検査結果の報告。初期がんであったとのこと。不安でしかたがなく、どうす ればよいのかと。今は手術に向けて体調を整えるよう指導。 8.

(9) 3 回目相談;再受診のあと、治療方針を自己決定できず、混乱し相談の電話がある。 4 回目相談;術前に親族に説明、サインをもらう必要性があると病院で言われ、疎遠であ る兄弟に連絡をとることに気がのらないことを気にして、相談の電話がある。 5 回目相談;兄弟との連絡がついたとのこと。術式については、主治医に症例件数を確認 することなどを指導。現在も継続フォロー中である。 (4)今後の課題等 2014 年 5 月からは、現在準備中の新施設が開設する予定であり、その施設には、地域 住民が気軽に使えるようなスペースも常設している。本「医療・介護の相談室」の場所も 1 階で外から中の様子が見える場所に移設するため、気軽に立ち寄れる環境になる予定で ある。 現在は、当ステーションの場所がわかりにくく、また 4 階までエレベーターで移動してく る必要があり、立地的に、気軽に使用できるような場所ではなかった。1 階の立て看板の よこに、掲示をしているが、歩行者の目に触れにくい状況であった。 (写真2参照). 写真2 医療・介護の相談室のご案内. また、近隣への周知が困難であり、気軽に利用できる環境の準備にはまだ時間を要する 感じであった。今後は、地域支援センター等や、民生委員にも周知を行う。 ・来所での相談が数件であった。これは家族の介護や、仕事等により、開設時間内に、当 施設に来所することが困難であることも考えられた。 来訪し、相談されることを前提としていたため、 「医療・介護の相談室」専用の電話回 線を準備していなかった。そのため、訪問看護ステーションへの介護相談か、相談室への 相談なのかその境界があいまいになるケースがあった。今後は、電話での相談の場合、訪 9.

(10) 問看護ステーションなのか、相談室への相談なのかを明確にした上で、(相談表に確認項 目を追加する)相談を受けることにする。また、来訪より、電話相談が増加する場合、専 用の電話回線も準備する必要があると考える。 2.2014 年3月~2014 年 8 月 1)特定されたニーズに基づき在宅支援ネットワークシステムを構築する。 利用に対し、その満足度を評価するため、簡便に評価できるアンケートを作成した。 内容は、 「気軽に相談できたか」 「相談してほっとしたか」 「必要な情報は得られたか」 「自分 でなんとかできそうと思ったか」 「また相談に来たいと思うか」 「困ったときには頼ってもい いのだと思ったか」の6項目と、自由記載の欄を設けた。 紹介をした施設からは、電話で報告を受けており、情報の共有ができている。 2)利用者に対し、相談後の実態を明確にするため、追跡調査を行う。 (1)追跡調査を行うため、専用の電話回線(PHS)を開設した。 (2)①現在介護を行い、継続的なフォローが必要な対象者 ②現在入院中であり、今後在 宅での介護を検討している対象者に対して、定期的に連絡を行った。ただし、介護対象者 の症状により、連絡確認をとる期間はことなり、どのケースも一定し、同じ期間で確認を おこなうのはむずかしい状況であった。 3) 「医療・介護の相談室」の活動を継続し、定期的(1 回/月)の経過報告と、ケース検 討(1 回/3 か月)を行い、活動を評価・修正しながら整えていく。 *ケース検討は、1回/3ヶ月で行った。 (1)相談対象者の特徴 ①継続ケース 介護を行っており、対応に困難を感じている(介護保険のある人からの問い合わせ・子供の 短時間預かりなどを含む) 。 :相談対象には、地域のケアマネージャーを含む *現在継続支援(1~4 回)をおこなっており、現在も進行中であり、長時間(1~2時間) を要する(16ケース) 。ただし、対象者の死亡により終了となったケースを含む。 ②在宅支援 現在入院しており、今後在宅での支援に困惑をいだいている。:相談対象には、病院のソー シャルサーカー・地域のケアマネージャーを含む *深刻なケースが多く、長時間(1~2時間程度)を要している。 ③近隣住民 10.

(11) 近隣の住民から、日常生活においての困りごと(制度について・補聴器の相談・病院の紹介・ 住宅改修・杖・メガネなど) :相談対象には、地域の民生委員を含む *来所し、3 分~10 分以内で終わることが多い。そのため、アンケートの実施には、至ら ない。また、再度同内容での相談はない。 *1回/週 程度あり、新規相談であり、一回のみの相談が多い。 表2相談件数一覧. 3月 ① 継 続 ケ. 4月. 5月. 6月. 7月. 8月. 合計. 4(新規) 7(新規) 7(新規) 2(新規) 1(新規) 1(新規) 22. ース ② 在 宅 支. 10. 13. 18. 17. 20. 15. 93. 5. 8. 10. 7. 6. 13. 49. 19. 28. 35. 26. 27. 29. 164. 援 ③ 近 隣 住 民 合計 4)広報活動 「医療・介護の相談室」の活動の広報として、パンフレットを作成し、東成区在住の住民を 対象に、平成 26 年 8 月末に 5000 部発送した。パンフレットの内容は、以下の通りであ る。 (図1参照) 「医療・介護のなんでも相談を随時受け付けております。お気軽にご相談ください。 」 ご相談窓口(毎週火・金 9:00~11:00)℡ 06-6971-3321. 11.

(12) 図1:医療・介護の相談室チラシ 【感想と今後の課題について】 日頃、ちょっとした相談として、地域住民から相談があったが、今回の事業を通して累積 化することで、件数の多さを再認識することができた。また、相談件数の多さはあるが、そ れらを含んだ、訪問看護ステーションの業務の範囲としても認識することができた。全体的 に、業務が過重とはなるが、地域住民や、行政・病院等からの要望に対し、誠意をもって対 応していきたいと考えている。 広報活動を行うのに伴い、相談業務が増加することが想定されるため、平成 26 年 10 月 以降は、担当の相談員を雇用し充填することを計画している。雇用費が発生するため、相談 曜日と時間帯を限定(毎週火・金. 9:00~11:00)するようにし、チラシも配布(平成 26. 年 8 月)した。 今後は、施設の入り口等に、相談室の案内板などを掲示し、地域住民がふらっと気軽に立 ち寄れる相談室づくりをめざす予定である。また、相談室では、ゆっくりくつろげるように、 湯茶の準備やアロマなどの環境も整備したいと考えている。 3.2014 年 9 月~2015 年 2 月. 1)広報活動 平成 26 年 10 月に「医療と介護の相談室」の看板を作成設置した。 12.

(13) 同月には、東成区役所内のモニター広告に医療・介護の相談室を実施している内容を追加 した。パンフレットを 5000 部作成し、大阪市東成区内の個人宅 1200 件程度にポスティ ングを行い、医療と介護の相談室以外の活動時(他事業所や医療機関で行われるカンファレ ンス時等)にパンフレットを配布し広報を行った(2000 部) 。また、看板にパンフレット ボックスを設置し、自由に持ち帰ることができるようにした(800 部)。. 写真1 「医療・介護の相談室」看板. 2)家族会説明会. 公的機関とのコラボレーション. (東成区障害者支援センター). 障害者支援センターの相談員が当相談室の看板をみて来所され、介護保険の利用等の相 談会実施相談のため来所された。 平成 26 年 11 月 障害者家族会(身体・知的・精神)の参加者に対し見学会と説明会を実 施した。 (参加者 25 名。1 時間程度。 ) 説明内容の希望として、親死亡後、子どもたちの将来を案じ、どのようなサービスを利用 しながら、残された子どもたちが生活をしていけるのかといった具体的な生活支援の説明 希望があり、障害者が利用できる介護・医療・福祉や制度の説明を行った。説明後、利用で きる状況にありながらも、利用できることを知らない家族が多いことがわかり、利用できな いと断念し、不安が高まっていた現状がわかった。 以下、具体的な説明内容 ・介護保険はいつどのような時に利用できるのかの説明 ・障害のある人が介護保険を使うのはどんなときかを説明 13.

(14) ・レスパイトはどのように利用できるのか ・自費で利用可能なところはあるのか 参加者からは、 ・これまで利用できないと断念していたが、可能であることがわかった。 ・介護保険の仕組みがわかったのですごくよかった。 ・今後お世話になりたいと思った などの感想が得られた。日程は未定だが、今後も説明会を予定している。. 写真4_家族会 相談会の様子2. 写真3_家族会 相談会の様子1. 写真5_家族会 相談会の様子3. 14.

(15) 3)専門職者対象説明会 平成 26 年 11 月 障害者支援センター職員及び障害支援に関わる事業者 25 名程度を 対象に、30 分程度説明会を実施した。 質問内容としては、どんな人がどのように施設を利用できるのか(時間や利用内容など) 個別のケースでの質問があった。 説明会を通して、介護に関しては日頃関わることが少なく、支援センターの職員であって も対応に困難さを感じていることがわかった。 感想として、これまで、障害者が介護を受けるようになっても、なかなか受け入れてもら える場所がないとおもっていたため、利用できるサービスや、具体的な施設がわかり助かっ たといった声が聞かれた。今後も連携をとり、サポートできればと考える。 4)相談報告 平成 26 年 9 月頃より、相談対象が、医療・介護だけでなく、障害(身体・精神・知的)に 関するケースが増加し、それに伴い、当事者・家族会・専門職からの相談が増加した。. (1)相談件数 表3 相談件数一覧 2014. 2015. 累計. 9月. 10 月. 11 月. 12 月. 1月. 2月. 34. 28. 37. 44. 35. 31. 209. 2. 6. 9. 14. 9. 11. 51. 相談から訪問につながったケース. 32. 22. 28. 30. 26. 20. 158. 医療・介護に関するケース. 34. 23. 30. 36. 31. 28. 182. 2. 5. 7. 8. 6. 3. 32. 相談件数合計 相談のみ. 障害(身体・精神・知的)に関する ケース. (2)年齢構成 相談者年齢は、20 歳代が 2 名、30 歳代が 21 名、40 歳代が 46 名、50 歳代が 68 名、60 歳代が 45 名、70 歳代が 27 名であった。 これらにより、40~50 歳代は、仕事と家庭と介護を重複させているケースも多く、そ の他の年齢層に比べると相談者自身のレスパイトケアの必要性も高かった。また、障害児を 持つ20~30歳代の相談者などでは、レスパイトの必要性を理解しながらも利用するこ とへの抵抗感を相談内容とするケースが複数寄せられた。. 15.

(16) 相談者 80 68. 70 60 46. 50 人 40 数 30. 45 27. 21. 20 10. 2. 0 20歳代. 30歳代. 40歳代. 50歳代. 60歳代. 70歳代. 図2 相談者年齢別 (3)相談内容 相談内容は、末期患者の家族を対象とした内容が多かったが、今回は、特徴的なケースを 挙げ報告する。 ① ケース1.スティグマ(疾患による差別)と医療の相談 ・HIV 患者. 40 歳代本人からの相談(電話:継続). HIV の専門治療は受けているが、その他の症状(歯痛・腰痛)などがあっても、 「HIV です」と申告すると、治療拒否をされてしまう。治療を受け入れてくれるクリニックは どこかないだろうかといった相談が、新たな症状が出現するごとに電話相談がある。 また、定期的な治療は HIV 専門病院で受けているが、今の自分の状態について自分の理 解であっているのかといった不安を相談される。 その都度、希望の治療が受けられる施設を伝え、不安のサポートを継続的に行っている。 ② ケース2.アディクション(薬物依存)の相談 ・薬物依存症患者. 40 歳代本人からの相談(電話・来所・継続). 薬物に依存する環境から脱してきたが、単身で生活可能な環境(家電や食器等)が整わな いため困っている。薬物をやめたいと思うが、なかなかやめられないどうしたらいいのかと いった相談内容。家族とは連絡が途絶えておりサポートは得られない状況であった。生活道 具がもらえる制度を説明し、サポートを行い、生活環境を整える手伝いを行った。また、日 頃居場所がないことや、話し相手が居ないことから、来所や電話相談されることが相談日以 外にも多い。ダルクや精神科専門外来を紹介し、就労支援も受けられるよう現在もサポート を継続している。 16.

(17) ③ ケース3.ターミナル期(終末期)の家族を支える相談(継続相談 現在終了) ・がん終末期の患者 80 代男性 相談者:家族(来所) 患者が余命 1 週間程度となり、 患者家族の希望にて入院先の病院から自宅へ退院したが、 自宅へ向かう車中で、当施設へこられ、相談を求められた。 自宅で看取りを予定していなかったが、急遽家族会議にて自宅で看取りを決心したとのこ とであった。在宅介護の方法など知識が全くなかったため、その日から訪問看護や家族への 情緒的支援を行った。同時に、葬儀の相談も受け、家族が疲弊しないようアドバイスを行っ たが、不眠不休での介護を家族は行い、約1週間で疲労困憊し、施設でのサポートを求めら れた。患者死亡後、家族からは、1 週間ではあったが全力で介護できてよかった。と話され、 家族なりに達成感を得られたようであった。 (4)感想と今後の課題について 広告などの広報にて、近隣住民への周知は進み、立て看板をみて飛び込みの相談が増加し てきた。相談日は現在火曜日・水曜日であるが、連日相談に来られることも多く、専任相談 員だけでの対応では不足する状況となってきた。また、専門職者からの相談依頼も増加して いる。パンフレットも自由に持ち帰ることができるようにしたため、口コミ相談件数も多く みられ、看板効果は大きかったと思われる。 相談内容の詳細については、専門的な回答を要することがほとんどで、実際には専任相談 員のみで対応するケースは少なかった。今後は、相談曜日を増やし、専任相談員を増加した 状況で対応できないか予算等検討する必要がある。 「医療・介護の相談室」としての相談機能が、紹介だけでなく、相談者と一緒に行動して調 整するケースもあり、交通費等が発生することがある。今後は、活動費として交通費・車両 経費(ガソリン代・一時利用パーキング代金)を計上できないか検討する必要がある。. 4.2015 年 3 月~2015 年 8 月. 1)相談室の充実 (1)2015 年 2 月までに相談室に関連する環境整備は終了したため、特に補充はしなか った。それまでに整備した物品は、アロマポット、アロマオイル、立て看板、ファイルであ る。 2)地域の病院との連携 (1)がん骨転移患者の実際について. 2015 年 6 月 30 日. 大阪府立成人病センターにて、「がん骨転移患者の実際」について、勉強会を開催した。 研修対象者は、訪問看護師、理学療法士、作業療法士、ケアマネージャーなど100名程度 17.

(18) であった。 研修内容は、がん性疼痛のコントロールが困難である、 「骨転移」について、がメインで あった。 骨転移の病態について、整形外科の医師から説明があった。また、在宅で役立つようなケ ア方法(トランスファーや福祉用具等の活用)などの内容があった。 骨転移は、生命の危機に直結しないため、臨床でも在宅でもあまり重要視されない傾向があ るが、患者本人やその家族は、在宅での生活において、骨転移による生活のしづらさや、そ の辛さを見守ることに苦痛を感じている状態である。 訪問看護師に求められるスキルとしては、適切な痛みの評価があるが、対象者の生活に合 わせた動作の際に生じる疼痛や安静時に生じる疼痛のアセスメントが必要であり、その疼 痛の程度をどのように対象者が表出できるのかなど、細かな指標が必要となることなどが 提示されていた。 実際の在宅の現場では、骨転移患者は QOL が上がらないまま、そして ADL 自体もあが らないまま亡くなるケースが多い。また、骨転移は、麻薬などの効果が少なく、疼痛コント ロールが困難でもある。その上、医療の進歩により、延命率があがると、骨転移率があがる 現状もある。これらは、医療におけるジレンマでもあり、患者自身も疾患や症状との付き合 いについて勉強をすることで、自分の人生を自分で決定できることが求められている。 研修の参加者からは、 「骨転移についての勉強会自体がこれまでなかったのでとても勉強に なった」 「アセスメントの指標が明確になった」 「思った以上の内容だった」など満足度の高 い研修となった。本研修会は、訪問看護ステーションしほうと大阪府立成人病センターの共 同開催であったが、今後は、本事業の研修として継続する予定である。 (2)老人憩いの家 2015 年 7 月 27 日に、老人憩いの家にて医療や介護について相談会を開いた。 老人いこいの家とは、大阪市では、各小学校区に1つあり、比較的健康な高齢者がそこに 集い、レクレーションなどを行い交流を深めている。 当日、当ステーションの近隣の小学校区における老人憩いの家に出向き、医療や介護につい て出張相談を行った。 相談内容は、家族員の相談や、自身の健康相談(高血圧、がん)や、在宅介護の準備等の 相談であった。 今後も、地域住民との交流の場に参加し、当相談室の利用場の幅を広げたいと考える。 3)相談報告 相談件数は昨年度とあまり変わらない状況であるが、相談内容とその調整等に時間を要す るケース(サポート内容が複雑)が増加しているのが特徴である。. 18.

(19) (1)相談件数 表4 相談件数一覧. 2015. 累計. 3月. 4月. 5月. 6月. 7月. 8月. 相談件数合計. 38. 32. 28. 30. 27. 42. 197. 相談のみ. 11. 8. 6. 7. 4. 15. 51. 相談から利用につながったケース. 27. 24. 22. 23. 23. 27. 146. (2)相談内容 相談内容は、末期患者の家族を対象にした相談と、療養型や介護施設・高齢者住宅への入 所、小児の難病・障害の家族のレスパイト、介護保険が利用できない若い人を対象とした相 談が多かった。 ① がん末期患者の在宅移行支援(継続ケース) 相談者(次女)対象がん患者(父) □初回相談:現在、父親は、入院中である。がん末期であるため、自宅での看取りを相 談者は希望しているとのこと。しかし、相談者(次女)には、兄弟がおり、相談者一人 の一存では判断ができないとのことであった。兄弟で話し合うように支援した。 □2 回目相談:同居している家族員は、みな夜間仕事をしているため、昼間は就寝して おり、昼間に父親の介護ができない状況であることがわかった。また、兄弟で話し合い をした結果、兄弟は、昼間対処ができないので、病院から施設に入所するように、との 考えであり、相談者(次女)の自宅で介護とは一致しない状況であった。そこで、現在、 入院中の父親のお見舞いは誰が行っているのかを確認すると、兄弟全員が時間をずら してお見舞いに行っていることがわかり、そこを家族員の強みとして、フィードバック をした。 □3 回目相談:家族員は、施設入所を希望している意向のままであるとのこと。 □4 回目相談:高齢者施設を検討しているが、父親の病状が悪いため、どこにも入所で きないことがわかり、現在も入院継続中とのこと。相談者は、自宅で介護をと思ってい るが、仕事があるため、どうにもできないとのこと。 現在継続中のケースであり、環境を病院から施設へと変化することで、家族員の思いや 方向性が変更する可能性があると考えている。 ② 小児(難病)の家族のレスパイト 0 歳児の母親からの相談 訪問看護のサービスを受けているが、1 時間だけでなく、もう少し、長時間児を預かっ 19.

(20) てくれるサービスはないのか、身体障害があるため、どこでも預かってもらえないなど、 介護負担による相談であった。小児は障害の程度により、2 箇所からの訪問看護の支援 を受けられるため、アドバイスをした。また、半日預かってもらえる施設を紹介し、利 用できるように支援をした。 ③ 単身生活をされている知的障害者のセルフケア支援 相談者は、40歳代の女性であり、両親は他界し、現在単身生活をされている。疾患に より、人工肛門を増設しているが、スキントラブルがあり、困っているとのこと。自宅 での生活の様子を細かく確認すると、肥満でもあり、一人で入浴できないこと。自宅で の入浴を好まないことなどがわかり、入浴サービスを受けながら、スキン管理をしても らえるところがないか調整を行った。また、情緒的に不安定にある傾向にもあり、パニ ック状態になると、電話での相談が増えるようになったため、メンタルヘルスのサポー トを同時に受けられるよう支援をした。 ④ その他:ちょっとした相談 ・杖の先のゴムがなくなった。 ・杖の付属品のストラップがなくなった。 ・訪問をしてくれる医師を紹介してほしい など、ちょっとしたことであっても、生活していくうえで不便さを感じるような相談内 容で来所されることも多かった。 4)その他 ・地域住民が気軽に立ち寄れるきっかけづくりとして、 詩吟教室と、畑を始めた。 詩吟教室は、毎週水曜日 14 時~16 時まで地域住民を対象に実施しており、毎日開催も希 望されるよう盛況である。 詩吟は複式呼吸にもなり、呼吸リハビリにもなっている。参加後は気分がすっきりしたとい きいきと帰られている。 また、畑は、地域住民の方も興味をもたれ、作物を通して交流が増えている。また、収穫し たものは、地域住民の方と一緒に食べる機会をつくり、交流している。 また、利用者がくつろげる環境をめざし、観葉植物やお花を置くようにした。. 20.

(21) 写真6 詩吟教室の様子. 写真7 畑の様子. 21.

(22) 写真7 観葉植物等 5)感想と今後の課題について 最近の相談内容は、一回の電話相談で、医療機関との連携などで、2時間以上の時間を有す ることも多く、相談員の雇用時間が延長され、規定の時間枠ではまかなえない状況である。 また、相談日を決めているが、地域に定着してきているためか、曜日や時間は関係なく、来 所・電話がある。したがって、次年度は、人件費を多く計上し、相談者も相談員も時間を気 にしなくても良いように、再調整が必要であると考える。 本年度は、利用者が気軽に来所できるきっかけ作りとして詩吟や畑を利用した。利用者から は好評であった。また、お花や観葉植物などを定期的に入れ替えて置き、ほっとできるよう な環境づくりを行った。これらは今後も継続していくことが必要だと考える。. 5.2015 年 9 月~2016 年 2 月. 1)相談室の充実 (1)相談室やその入り口付近に、観葉植物や花などを置き、相談に来所しやすい雰囲気を つくった。. 22.

(23) 写真8 相談室・相談室入り口の様子 2)専任相談員の配置(雇用) 週2日 火・金(9:00~11:00)の日程指定を行ったが、相談室の利用者は、日 時等は関係なく相談があるため、時間枠をできるたけ拡大できるよう人件費を調整する予 定であったが、専任相談員の雇用までは難しく、当施設の職員が対応した。 3)地域への貢献 (1)地域住民とのふれあいの場になるように、相談業務だけではなく、詩吟教室(1 回/ 週)や畑(随時)などを行う。<継続> ① 詩吟教室 <実施結果> 詩吟教室は、毎週水曜日 13 時~15 時まで継続している。参加者も楽しみに参加を継続 されており、時々、天候の良いときには、近隣の公園などで詩吟を行うなど工夫した。. 23.

(24) 写真9 詩吟の様子とスタッフの受賞写真 *詩吟教室の講師(スタッフ)の受賞で教室利用者さんも大喜び! ② 夏祭り<実施結果> 平成 27 年8月24日(月) 地域住民にも広報を行い、参加していただいた。. 写真10 夏祭り ③ クリスマス会<実施結果>:平成 27 年 12 月 23 日(水). 写真11 クリスマス会 *地域住民や、中学生高校生も一緒に参加されました。. ④ 老人憩いの家への参加:相談室だけでなく、近隣の小学校区にある老人憩いの家での相 談に応じる(1 回/2 ヶ月) 。<継続> ⑤ 介護予防の促進:地域住民を対象に、体操やヨガなど講師を招いて実施をする(1 回/ 月) 。<新規>. 24.

(25) この④⑤2つを統合して、 『笑顔のわ』 に変更した。 『笑顔のわ』は、地域住民を対象に行っている健康教育である。住み慣れた地域で、自宅で 最後まで過ごせるように支援することが目的である。 広報は、医療地域(市営住宅)にチラシの掲示を依頼した。また、当施設の前にも掲示を行 った。 <実施結果> ⑥ 1 回目:平成 28 年 1 月 27 日(水)14 時~15 時 地域での健康体操や、理学療法士による健 康維持の勉強会、インフルエンザ対策を行 った。参加人数、10 名。. 写真12 笑顔のわ. ⑦ 2 回目:平成28年 3 月 23 日(水)を予定している。 *今後は、2 ヶ月ごとの、第4水曜日、1時間実施予定である。. ⑧ 臨床と連携:在宅医療にかかわる専門職者を対象に、がん疾患に関連する勉強会を開催 する(1 回/月) 。<新規> <実施結果> 25.

(26) 本勉強会は、疾患をがんだけではなく、さまざまな疾患に対し対象を拡大し、地域包括医 療について行った。 ⑨ 平成27年9月11日(金)18:30~20:00 場所:大阪府立成人病センター 本館 6 階 中講堂 内容: 『骨転移のあるがん患者のケア』 『愛する夫の看取りを通して』 ⑩ 平成 27 年 11 月 13 日(金)18:30~20:00 場所:大阪府立成人病センター 本館 6 階 中講堂 内容: 『まかせてくださいスキンケア~あなたの悩みにお答えします~』 ⑪ 平成 28 年 2 月 12 日(金)18:30~20:00 場所:大阪府立成人病センター 本館 6 階 中講堂 内容: 『あなたのもやもやを解消しよう~倫理的視点で考える~』. 写真13 研修風景. 4)相談報告 相談件数は昨年度とあまり変わらない状況であるが、相談内容とその調整等に時間を要 するケース(サポート内容が複雑)が増加しているのが特徴である。 通常では、12 月の相談が多くなる傾向にあるが本年度は少なかった。その分 1 月に相談 件数が増加している。. (1) 相談件数. 26.

(27) 表5 相談件数一覧. 2015. 相談件数合計 相談のみ 相談から利用につながったケース. 累計. 9月. 10月. 11月. 12月. 1月. 2月. 42. 38. 32. 36. 48. 30. 226. 6. 4. 6. 7. 10. 4. 37. 36. 34. 26. 29. 38. 26. 189. 月別 相談者数 40 35 30 25 20 15 10 5 0 9月. 10月 相談のみ. 11月. 12月. 1月. 2月. 相談から利用につながったケース. 図3 相談者数. (2)相談内容 相談内容は、末期患者の家族を対象にした相談と、療養型や介護施設・高齢者住宅への入 所、小児の難病・障害の家族のレスパイト、介護保険が利用できない若年層のケースが増加 している。. ① 認知症患者(女性)のターミナル期の看護 直腸がんで入院中の母親の相談に娘が来所された。母親は高齢で認知症もあるため、治療 を継続するのか、退院後どのようにするのか何も治療方針が定まっていないとのこと。 病院のケースワーカーと調整を行ったが、脳等に転移があり、ガンマーナイフによる治療 を行うこととなった。治療後は、認知症が進んでおり、自宅では難しいとの家族の判断で、 一旦、当施設で過ごし、認知症が落ち着くのと、家族の受け入れが落ち着くのを待った。 入院中は食事摂取ができない状態であったが、当施設では、更衣やテーブルに着くこと、 他の利用者と一緒に過ごすことなどメリハリのある生活を行っていただいた。その間家族 は毎日来所され、その際に食事指導やおむつ交換の指導を行った。また家族には、移乗の介 助を理学療法士と一緒に行っていただいた。対象者は、認知症を伴っていたが、認知症に対 27.

(28) する対応ではなく、元の日常に戻すよう、生活を再建していくことを意図した。対象者にで きることは自分で行ってもらう、自分の好きなことをしていただくようにし、対象者の意思 を尊重した関わりを行った。現在、余命宣告を 2 ヶ月と受けているが、自力で食事摂取が でき、歩行は一部介助で可能、排泄もオムツなしで自力で行えている。. ② 対象者の思いをかなえる看護 ~気管切開をされている女性利用者の看護(筋萎縮性側索硬化症)~ 本ケースは、保健センターから在宅支援の相談を受けた。相談には対象者と娘が来られた。 その後、呼吸状態が悪くなってきた際に看護介入を行っていたが、SpO2 60 代で救急搬送 され、入院中医師からの勧めもあり、気管切開を行った。退院後、家族の都合により、対象 者は急遽本施設に入所されることになり、週末は自宅で過ごされるようになった。対象者は 自宅で過ごすことを希望されており、気管切開を行い呼吸器をつけている以外は歩行等自 力可能であり、生活は可能であることがわかった。しかし、気管切開をおこなっているため、 吸引を行う必要であり家族は日中不在時の対応が難しいため、在宅での生活に対し困惑さ れていた。そこで、対象者の希望をかなえるため、自己吸引ができるよう教育を行った。そ の後対象者は自宅に戻られ、声は出ないが、時々当施設で行っている詩吟に参加され、生き 生きと過ごされている。家族とは、今後対象者の手が動かなくなった時にどのように介護を 行うのか検討中である。. ③ 経口摂取ができるようになった(脳梗塞・認知症) 相談者は対象者の息子とその嫁である。対象者は脳梗塞がきっかけで、嚥下ができなくな り、認知症もあった。嚥下訓練は入院中、言語療法士から受けており、医師からは胃瘻を勧 められていた。しかし、家族の希望で経管栄養で過ごすこととなった。相談を受け、自宅に 訪問に伺うと、褥瘡もあり、寝たきりとなっていた。訪問では嚥下の訓練を行ったり、妻の レスパイト目的で 2 週間入所された。食に対し意欲がみられる瞬間があり、食思があると きにはいつでも、ミキサー食などで対応できるようにした。食事ができるようになると次第 に笑顔も見え、スタッフも相互作用で関わりの意欲がみられるようになった。ふとしたタイ ミングで、自分でスプーンを持ち食べるようになった。その反応をみて経管を抜去した。ま た、自力で食べることを思い出し次第に摂取できるようになっていった。現在は在宅介護を 受けているが、利用者の回復により、家族の負担も軽減している。. ④ 対象者の理想の死を尊重した看護~さみしいから見守られて死を迎えたい~(脳梗 塞・右麻痺) 相談は地域包括支援センターからである。対象者は嚥下障害があり、主治医から胃瘻を勧め られていたが、拒否していた。経口摂取できない状況であるにも関わらず、お菓子など摂取 していたとのこと。訪問看護で経管栄養を自分で行えるよう指導を行ったが、在宅期間が 2 28.

(29) ヶ月以上過ぎると、抑うつ傾向となり、生活による意欲が徐々に低下し、夜間電話相談等が 増えるようになった。それに伴い、食思不振となり、次第に食事を拒否し、当施設でこのま ま亡くなることを望まれた。そこで、地域ケア会議(主治医・保健師・地域包括支援センタ ーケアマネ・社会福祉協議会・歯科医・訪問看護師・施設ケアマネ・介護職員)を2回実施 した。家族は連絡がとれず、参加できなかった。会議では、なにもしないそのまま自然死を 望むケアをどう捉えるかを論点に、討議を行った。また、会議には対象者も参加し、討議を 行ったが、入院は拒否、当施設にいたいと訴える。最終的に、本人の希望すべてを受け入れ ることとした。対象者は死に急ぐ行動をとり、施設スタッフはそれを受け入れることで、本 人のこころの安定をはかった。対象者の死後、デスカンファレンスを行い、ケースの振り返 りをおこない、関わったすべてのスタッフ間の感情についても話しあった。. ⑤ちょっとした相談 1.杖の先のゴムの交換希望でどのように手続きしたらいいか聞きにきた 2.左右違うサイズの靴を注文したい 3.介護のベッドを入れたいけど、今あるベッドをどうにかしてほしい 4.電球替えてほしい など 当施設に立ち寄り相談をされるケースが多数あった。. 5)感想と今後の課題について これまで 2 年半勇美財団の支援を受け、本事業を行うことで、地域貢献の基盤と地域病 院との連携をより明確に構築することができた。本事業を実施するなかで、地域住民が求め るニーズもわかり、支援を受けたことが良い機会となった。 昨年頃より、利用者の傾向として、より質のよいものを求めることが挙げられる。これは 同時に、自分がどうしたいのか、どうなりたいのか、自分の思いをはっきり伝えられる人が 増えていることでもある。 (団塊の世代の影響か?) 今後は、対象者のこだわりをかなえる看護をどのように行っていくのかが課題である。 また、財団からの支援が終了したあと、どのように本事業を継続していけるかが検討課題で ある。. 29.

(30) 6.2016 年 3 月~2016 年 10 月 1)相談室の充実 当訪問看護ステーション 2 階に相談室(個室)を移転し整備した。. 2)専任相談員の配置(雇用) 週2日 火・金(9:00~11:00)の日程指定を行ったが、相談室の利用者は、日 時等は関係なく相談があるため、時間枠をできるたけ拡大できるよう人件費を調整する予 定であったが、専任相談員の雇用までは難しく、当施設の職員が対応した。. 3)地域への貢献 (1) 『笑顔のわ』 『笑顔のわ』は、地域住民を対象に行っている健康教育である。住み慣れた地域で、自宅 で最後まで過ごせるように支援することが目的である。憩いの家に参加している人にも声 をかけて、参加していただたり町内会の回覧板にチラシを入れてもらい開催のお知らせを 地域に発信している。 『笑顔のわ』では、理学療法士が考案した健康体操をおこなっている。 この健康体操の特徴としては、理学療法士が、どこの筋肉にどのように作用するのか説明を しながら、体操を実施しており、知識を付加した健康体操であり、住民の満足度は高い。セ ルフマネジメントを強化するため、パワーポイントを用いた資料を作成し、自宅でもできる ような工夫を行った。 30.

(31) ① 2016 年 3 月23日(水) 『笑顔のわ』 健康教室 ~住み慣れた地域でいつまでも楽しく暮らすために~ 場所:大阪市営住宅集会所 理学療法士による「健康体操」 看護師による「インフルエンザにご注意!」ミニ講座 参加人数 10名. ② 2016 年 5 月 25 日(水) 『笑顔のわ』 健康教室 場所:大阪市営住宅集会所 理学療法士による「健康体操」肩と膝の痛みの軽減 看護師による 「糖尿病予防について」 ③ 2016 年 7 月27日(水). 参加人数 10名. 『笑顔のわ』 健康教室. 場所:東成区スポーツセンター 理学療法士による「健康体操」姿勢をよくして元気になろう! 看護師による「防ごう守ろうみんなの脱水」 介護福祉士による食中毒についての○×クイズ. 参加人数 10名. (2)地域の基幹病院と在宅との看看連携 5 月 27 日(金)府立成人病センターで、看看連携「在宅における感染対策:基本的な感染 の基本を身につける」感染認定看護師による講演会を実施した。 ・・・参加人数 35名 (3)地域住民とのふれあいの場になるように、相談業務だけではなく、詩吟教室(1 回水 /週)や畑(随時)などを行う。<継続> 詩吟教室は、毎週水曜日 13 時~15 時まで継続している。参加者も楽しみに参加を継続 されており、時々、天候の良いときには、近隣の公園などで詩吟を行うなど工夫した。 31.

(32) (5)力士との炊き出し 平成 28 年 3 月 2日(水)14時 ちゃんこ鍋を力士に作ってもらい地域住民にふるまった。. ご近所の方々にも楽しんでいただけました 2)相談件数 表6 相談件数一覧 2016年. 相談件数合計 相談のみ 相談から利用につながっ. 累計. 3月. 4月. 5月. 6月. 7月. 8月. 9月. 10月. 32. 27. 30. 25. 37. 34. 21. 26. 232. 9. 3. 9. 3. 10. 8. 6. 4. 52. 33. 24. 21. 22. 27. 26. 15. 14. 182. たケース. 32.

(33) 3)相談内容 当訪問看護ステーションでは、平成28年2月16日より、託児所を始めたため、それに 関連した相談が増加した。また、DV を受けている徘徊中の高齢者に対する保護相談も地域 住民から依頼され、警察介入をきっかけに、訪問看護につなげフォローするケースなど、当 訪問看護ステーション近隣の住民からの直接依頼が増加した。その中でも特徴的なケース を述べる。 ① ごみ屋敷の片づけ相談 80 代女性と同居する 50 代娘 50 代娘より、自宅母の部屋の掃除をしたいがどうしたらよいのかと相談あり。自宅は ごみが散乱しており、足の踏む場もない状況であった。しかし、母親の部屋掃除を拒ん だのは娘であり、8 か月ほど説得を行い、母のベッド周りのみの掃除を行った。娘は母 の介護に疲弊しており、排泄介助が難しい状況であり、看護小規模多機能型居宅介護で、 指導と支援をおこなっている。 ② 看取り相談 ・80 代女性ストーマあり。体調コントロールが難しくなり、入院中だが、家族は、自 宅介護は難しいとの相談があった。本人は自宅へ帰ることを希望していた。家族は施設 を希望し、一旦施設に入所したが、最後は、家族を説得し、家族の困りごとに焦点を当 てて支援することで本人の願いでもある自宅で家族によって看取りができた。 ・70 代男性、糖尿病で足を切断していた。生活のしづらさから、他人に依存的な生活 をしており、自立することが困難(自己決定が難しい)であったが、自己決定して、自 己責任をもてるように支援を行い、自己の振り返りができるようになった。看取りの際 には、自己決定できるようになり、その人らしい最後を迎えることができた。 ③ ちょっとした相談 ・自分にあった車いすをつくってほしい:区役所で相談したら、自分の自宅から近い事 業所を紹介してもらった。レディーメイドを組み合わせて車いすを作成できるといっ た事業所を紹介した。 (費用が半額)1 か月で作成し、届けてもらうことができた。 ・杖の先のゴム(消耗品)はどこに売っているのか、どこで購入できるのか ・家の電球を変えてほしい ・老夫婦のため粗大ごみの処分やゴミ出しを手伝ってほしい ・障害のあるこどもの酸素をつけられる車いすを作りたい. 33.

(34) 7.結果まとめ 1). 相談室等環境整備 相談室の環境整備として、看板の設置や、アロマ、葉植物等の配置を行い、相談室 の雰囲気づくりを行った。また、2016年6月には新たに面談できる個室を事務 所の一角に作った。. 2). 介護相談室の広報活動 広報活動として、「医療・介護の相談室」のパンフレットを 5000 部作成し、大阪 市東成区の住民に平成 26 年 8 月末に 1200 件程度にポスティングを行い、医療 と介護の相談室以外の活動時(他事業所や医療機関で行われるカンファレンス時等) にパンフレットを配布し広報を行った(2000 部) 。また、看板にパンフレットボッ クスを設置し、自由に持ち帰ることができるようにした(800 部)。. 3). 事業の拡大 パンフレットの配布や、 「医療・介護の相談室」の看板を見て、東成区に居住する近 隣の住民は、介護の有無に限らず、何でも相談してよいとの認識が広まった結果、 杖の先のゴムの購入方法や補聴器の電池交換・眼鏡の修理などのちょっとした相談 や、くるまいすのオーダーなどが増え、福祉用具関連の充実ができるようになった。 また、訪問看護や他事業所との連携へと進むケースも多く、幅広いサポート体制を 構築できた。専門職からの相談や、研修会開催の要望など医療介護関連からの依頼 も増加した。. 4). 相談件数 相談件数は、2013 年度は 6 件~15 件であったが、2014 年度は、18 件~44 件、2015 年度は、27 件~48 件、2016 年度は、21件~37件と年々増加し た。増加の要因として、広報活動や、イベント開催をきっかけにその需要は増加し た。. 5). 相談内容 相談内容は、終末期医療(看取り)に関わる相談と、ちょっとした相談の2分類 ができた。 終末期医療(看取り)の相談としては、対象者は、事業所から当「医療・介護の相 談室」の紹介や、パンフレットをきっかけに電話や直接来所、また介護対象者を伴い 相談にこられることがあった。相談をきっかけに訪問看護や他事業所との連携によ る自宅での介護や看取りにつなげることができた。 ちょっとした相談としては、地域住民がいつでも当「医療・介護の相談室」に来ら 34.

(35) れるように、入り口に看板やお花など工夫をした結果、杖の先のゴムを変えてほしい、 家の電球を交換してほしい、補聴器やメガネの調整、住宅の改修などどこに相談した らいいのかなど、身近なことだけどどのように対処したらいいのかわからないケー スが多く、継続せず、1 度きりの相談が多いのが特徴であった。. Ⅴまとめ・感想 地域保健対策の推進に関する基本的な指針として、厚生労働省は平成 27 年 3 月に最終 改正を行い、少子高齢化のさらなる進展や人口の減少といった人口構造の変化や、健康危機 に関する事案の変容など地域保健を取り巻く状況は、大きく変化しており、地方公共団体間 において地域保健に係る役割の見直しが行われる中、地域保健の役割は多様化しており、行 政を主体とした取組だけでは、今後、更に高度化、多様化 していく国民のニーズに応えて いくことが困難な状況となっていると述べている(厚生労働省、2015)。 今回実施させていただいた事業は、地域密着型であり、地域住民の直接の要望や現在何に 対し、生活のしづらさを感じ、疑問や不安を感じているのかを直接認識できる機会となり、 我が国の地域保健における現状を認識できる結果となった。しかし、本事業の対象者は、研 究代表者が経営する訪問看護ステーションを管轄とした地域が中心であり、すべての事業 所に適応する結果ではない。したがって、地域特性や、当訪問看護ステーションが地域から 求められている活動に対し多大な影響が要因となっている。 当訪問看護ステーションは、事業でもあるが、地域貢献を求められる存在でありたいと願 う。単に、医療側から求められる事業所ではなく、地域住民から求められ、多くのひとびと の健康に貢献し、そして還元できる存在をめざしたい。本相談事業を行うまでは、主に、医 療側からの依頼や相談が多く訪問看護へとつなぐケースが多く、地域住民と直接ふれあう 機会は少なかった。しかし、広報活動や地域に開かれた訪問看護ステーションとしての存在 をこの 3 年間の間で、周知することが微力ながらもできたと考える。 本相談事業をきっかけに大きく変わったのは、当訪問看護ステーションにかかわるスタ ッフの意識である。訪問看護ステーションは、訪問が必要な人が対象ではなく、存在する地 域の住民すべてが対象であるという、看護の対象はすべての人であることを再認識できた ことである。また相談事例を検討しまとめることで、日ごろの看護についてリフレクション する機会となり、アセスメントやマネジメント能力の向上にも役立てることができた。そし て、これまでにない相談対象者の背景の幅が広がることで、関連する事業所間との連携も進 み、ネットワークのレンジも拡大し関連施設間の関係も強化することができた。 今後、当訪問看護ステーションの事業として、相談事業を継続することに決定した。 『笑顔のわ』は、本事業の後継となることを期待していただきたい。しかし、『笑顔のわ』 の広報手段として、現在は有限会社志宝の全職員が地域のクリニックや病院・地域包括支援 センターに案内チラシを置いてもらうために足を運び、地域住民へも直接手渡すという手 35.

(36) 段で広報しているが、参加の人数はまだまだ少なく、開催にかかるスタッフの人数との費用 対効果バランスが悪い。地域の回覧板を利用したり、志宝ホームページにも掲載するが、 300 枚以上のチラシを広報しても参加人数が少ないため、地域への周知と広報手段が今後 の課題である。次回は事前に参加予約を受付し、参加できそうな地域住民への呼びかけを行 う予定。また、東成区全体の定期的な健康促進イベントの開催日程や曜日なども詳細に把握 し、それらのイベントと開催日が重複しない工夫も必要であると考える。 本事業の成果は、気軽に立ち寄れる地域住民のための訪問看護ステーションの存在に近 づけたことである。地域住民が当訪問ステーションに気軽に立ち寄り、訪問看護ステーショ ンの前の畑やイベントを楽しみに参加される地域住民の笑顔に、当訪問看護ステーション スタッフもエンパワーメントされ、充実した活動を行うことができている。 今後も地域住民と支え支えられながら相互に成長できる訪問看護ステーションをめざし たいと考える。. 「公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成 による」. 36.

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