グラフイt のうらおもて
高井英造
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時系列予測の宿命
石油産業のような装置産業においては,将来の需要予 測が各企業の投資等を決定するのにきわめ 石油換算 (億kJ)1
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のいわゆる予測と称するものが,後から見直してみると いかに限られた要因によってなされているものか,ある いは,実は願望の表現ではなかったか,というようなこ とに気づかせてくれる.このようなグラフをインディア ンの羽根飾りと称するそうであるが,誠に言いえて妙な 表現ではある. 石油需給の計画も,エネルギー需給予測と同じような パターンで様変わりしているが,問題はむしろわれわれ の考え方が安定成長期の方法論を脱却できず,外的な状 況の予測を基本におかなければ計画が立てられないとこ ろにあるとも言えよう.2
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グラフ化のねらい
それでは,このような需要の変化は何が要因であった のだろうか 図 3 は石油製品別の需要量の変化を示した ものであるが,統計資料に載せられているままの図 A に 手を加えて図 B のようにすると,電力や産業用の需要を 中心とする B ・ C 重油の需要の減退が大きな要素であり, 石油換算 (億kl)~t 叫叫し
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6 ト, て重要な役割を持っている.時系列的な予 測において,結果のグラフ化は説得力のあ る説明手段であるが,図 1 に示した各年度 におけるエ tネルギー需要予測からも,その 時々における予測はそれなりに妥当と忠わ れたものだということが理解されよう.し かしながら 2 度のオイルショックによっ て大きな変化を受けたエネルギー需要につ いて,その間の予測を重ね合わせてみると10 卜,15年見通し
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図 2 のようになる. このような重ね合せグラフは,われわれ たかし、 えいぞう 三菱石油紛企画二部 干 105 港区虎ノ門 1-2-4総 9 卜,グ
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図 2 総合エネルキギe 一調査会長期エネノルL ギ一需給見遜しの変遷と実績 (グラフ出所:第20回エネルギー経済シンポジウム資料.日本エ 係について視点を変えてグラフ化 ネルギー経済研究所) することによって,新しい結果が得られた例もある. 運輸・民生を中心とするガソリン 石油換算灯軽油などのいわゆる軽質油の需
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できる.需要形態や,性状,製法 などの異なる重油を他の池種と分 けることで図の持っている説得力 が違ってきていることがわかる. グラフ化を行なうさいに,機械 的にお座なりのものをつくるので なしに, 目的意識を持って整理す ることによってみえてくるものが 異なってくるのである.技術的な データについても,研究所のある 報告についてモデル化する立場か ら,軸の取り方やパラメータの関3
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原点とスケール 画 詩副 司,. / / F h J U 4 斗&D
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62/10計画: 70, 75, 80年度 ットしただけのお座なり」グラフからはほとんど何 もわからない.そこで,ある年度を起点にしてそこから の変化量をプロットしたのが図 E である.これによって 縦軸のスケーんが変わり,各企業の動きがよりわかりや すくなったが,規模に差のあるもの同士の (A社と C 社 のような)比較になっている点は注意する必要がある. 百万kl1
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これからの需要動向からみても,現在の収益率からみ ても,石油業にとっての主力製品であるガソリンについ て,主要な数社の販売と生産の推移をグラフにしたのが 図 4 である.しかし,このような,機械的に変化をプロ 百万kl2
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60 年度 図 3 石油製品(燃料油)需要量の推移 (A) ,石油製品(燃料油)需要量の推移 (B) (グラフ出所:石油事情資料.石油情報センター,通産省「エネルギ一生産・需給統計年報 J , r昭和61-65年 度石油供給計画 J による)1
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(18) © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず. オベレーションズ・リサーチさらに,昭和55年を起点とした図 A と 56年を起点とした図 B を比べてみてい ただきたい.ずいぶんと違った印象を 持たれるのではないだろうか. 55年と 60年の聞の差をみるのか, 56年以降の 変化について,各社の間にあまり差が なかった点を述べるのかによって,同 じ数字に違った受けとめかたが可能な のである. 特に社会的な現象については,グラ フをみる時にこのような点にも留意し て,相手の意図を推し量ることも必要 であろう.逆にこのような方法で自分 に都合の良い処だけを説明することも 可能である.
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何かがみえてくる
先に述べた,規模による見掛けの差 を避けるための 1 つの方法は,比率を 使う方法である.図 6 はこのような考 えから,対前年伸び率をグラフ化した ものである.いささか余談めくが,生 産の伸び率の劇的とも言える一致に注 目されたい.販売の方にはかなりの差 があることをみても,強力な人為的な 力,たとえば行政的な指示や指導など が働かなければ,こうは上手くいくは ずがないことはおわかりいただけるで あろう. グラフ化によって,はからず もある構造が明らかになった例といえ るであろう民 ガソリンの販売において,何といっ てもその中I~\になるのがガソリンスタ (千kJ)7
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みると各々の政策の差が表われている 主
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りの売上げについても図 S のように変 化している.いわば量をとるか効率を とるかの戦略の違いであるが,これを まとめてグラブ化したものが図 9 であ る一見,s
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s を減らして 売上げも伸ばしたのが D 社といえそう である.しかし,この場合でも,比較 の目的によっては全国平均の伸びによ る補正を行ない,自然増分を勘案する こと等が必要である,,
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ガソリン販売量の対前年伸び率 図 S9
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ここに述べたことは,現在の石油業 グラフは語る OR ともいえないような,ごく単純な例ばかり上げた が,たかがグラフと甘く考えられては困る場合も多いの である. うまく使えば,非常に有効な表現手段で、あるグ ラフについて,教育の場においても,軽視せずに,基本 的な手法をきちんと教えてやっていただきたいと思う. パソコンのソフトで簡単に書けるようになってきただけ に, いっそう基本的なところをしっかりと押さえて, 「お座なりグラフ J や誤解を生むグラフを書かないよう に心がけたいと思うのである. この(
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80∞ 界の状況のごく一部に過ぎない.需要 の低迷と海外からの製品輸入による生 産設備の低稼動率や,製品構成の軽質 化に対応する 2 次精製設備の増強にどう対応するかも, 重要な課題である.これについては,種々の意見がある が,図 10は日本エネルギー経済研究所が分析結果として 発表したもので,欧米 5 カ国の平均値を I つの指標とし 現在の状況を示したものである. グラフというものは良 くも悪くも書いた人の意図や価値観の表現であるが,そ れを読みとる側としては,その狙いや,変数の合目的性 や,スケールがはたして意味のあるものかどうかなどを よく考えてみる必要があろう.そういった視点で, グラフを考えてみていただきたい. 7ωo6
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(20) © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.ルム