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幹細胞を取り巻く環境の変化と分化・変性に関する研究

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幹細胞を取り巻く環境の変化と

分化・変性に関する研究

2017 年 11 月 30 日

小 野 寺 勇 太

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目次

第 1章 序 論 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3 第 2章 「 ヒ ア ル ロ ン 酸 (HA)の 抗 炎 症 ・ 疼 痛 作 用 の 解 明 」 第 1 部 「 ヒ ア ル ロ ン 酸 の 抗 炎 症 作 用 」 第 1節 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 9 第 2節 緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10 第 3節 材 料 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12 第 4節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 20 第 5節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 32 第 2 部 「 ヒ ア ル ロ ン 酸 の 疼 痛 抑 制 効 果 」 第 6節 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 35 第 7節 緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 36 第 8節 材 料 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 38 第 9節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 45 第 10節 考 察 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 4 第 11節 結 語 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 5 8 第 3章 「 間 葉 系 幹 細 胞 に お け る 炎 症 性 miRNA(miR-155)制 御 に よ る 新 規 治 療 の 可 能 性 」 第 1節 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 60 第 2節 緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 62 第 3節 材 料 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 64 第 4節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 74 第 5節 結 語 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 91 第 4章 「 雌 性 発 生 胚 に 由 来 す る ES 細 胞 の 組 織 寄 与 能 力 に 関 す る 研 究 」 第 1節 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 98 第 2節 緒 言 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 99 第 3節 材 料 と 方 法 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 0 2 第 4節 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 3 0 第 5節 結 語 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 1 4 7 第 5章 総 括 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 151 参 考 文 献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 156 - 謝 辞 -

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第 1 章

序論

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4 近年、細胞を利用した移植治療に注目が集まっており、中でも、幹細胞を移植資源 とした臨床応用が期待されている。ES 細胞や iPS 細胞、体性幹細胞などを用いて移植 用の細胞材料として分化誘導方法や効率化といった研究が行われ、創薬や発生学の研 究においても利用されてきた。しかし、移植先である臓器や移植対象である症例ごと に多様性が存在し、移植したとしても細胞の機能が十分に発揮されない、生着しない といった課題も明らかとなってきた。そこで、特に、多くの組織、幅広い症例で認め られる慢性的な炎症に注目した。幹細胞や体細胞の恒常性に対し、炎症反応がどのよ うな影響を与え、その性質を変化させるのか検討した。また、移植治療を目指す多く の疾患・症状に認められ、活性酸素種(ROS)の蓄積を伴う炎症反応に着目し、生体内 に存在する幹細胞と移植した幹細胞のそれぞれに認められる ROS 蓄積のメカニズム の解明を目指した。 慢性炎症は通常の老化と病的な老化の双方に関連している。複数の相互作用および 複雑なメカニズムが炎症および老化に寄与し、突発的な感染や他の生理学的・物理学 的ストレスの有無にかかわらず炎症性メディエーターのレベルは年齢と共に増加する。 炎症および老化の状況において、活性酸素種(ROS)は、炎症関連の組織変性および 老化の促進に寄与する主要な分子である。正常な状態でも ROS は生成されており、 細胞シグナル伝達およびいくつかの重要な生理学的応答にとって必須であるが、ROS は反応性が高く有毒である。高レベルな ROS 産生または抗酸化カスケードの調節抑 制により、細胞は機能不全や異常、最悪、細胞死に至り、さらなる炎症および臓器/ 組織の老化をもたらす。中でも、組織再生のキープレーヤーである幹細胞が過剰な ROS に暴露されると、組織の代謝循環や再生が急激に悪化する。さらに、自己複製お よび分化能力といった幹細胞らしさ(Stemness)を損なう可能性も示唆されている。 したがって、ROS の蓄積に起因する Stemness の低下は、老化過程において不可避と も言えるメカニズムであると考えられる。そこで本論文では、「幹細胞と炎症に関する 研究」を中心に以下の 3 章にまとめた。 1.「ヒアルロン酸(HA)の抗炎症・疼痛作用の解明」 現在、我が国の臨床で使用されている HA 製剤は、加齢や筋力低下、運動不足、強 度の強い衝撃等によって生じる変形性関節症において関節内投与されている。この様 な処置においては、炎症反応の緩和と加齢により減少した HA の補充、組織変性の抑 制、組織再生の亢進等の効果が期待されている。急速な高齢化社会の進行を背景に、

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5 臨床での利用状況は増加の一途を辿っているが、HA への依存度とは裏腹に明確な HA の薬理的作用の分子メカニズムは解明されていない。そこで本章では、「HA の抗炎症 作用」、「HA の疼痛抑制効果」について検証した。 初めに「HA の抗炎症作用」について検証した。軟骨細胞における HA の持つ薬理学 的に重要な機能の 1 つは、細胞の ROS の生成および蓄積の減少である。本章では、 ウシ関節軟骨細胞において、HA 補充と Nrf2 遺伝子の蓄積との関係を検証した。Nrf2 は細胞レドックス応答時における主要な転写因子である。HA を添加して培養した軟骨 細胞では、Akt の活性化、Nrf2 およびその下流の抗酸化関連遺伝子の発現が亢進され た。そこで、そのシグナル伝達経路を明らかにするために、以下の検討を行った。HA は Akt を活性化しており、HA 受容体の CD44 / RHAMM の siRNA による抑制、または Akt の活性阻害によって、HA が媒介する Nrf2 の蓄積は抑制された。さらに、Nrf2 の siRNA 処理により、抗酸化酵素に対する HA 効果が阻害された。これらの結果より、 HA が Akt の活性化を通じて Nrf2 の発現を亢進し、下流の抗酸化遺伝子群を制御する ことで ROS を減少させるというメカニズムが明らかとなった。本研究により、軟骨 細胞における細胞外マトリックスが媒介するレドックスシグナル亢進の新しいメカニ ズムが示唆された。 続いて、「HA の疼痛抑制効果」について検証した。関節炎における ROS は、組織 変性および炎症性メディエーターの産生に関与することが示されている。Cox-2 は、 炎症作用、疼痛および炎症組織における様々な異化反応のメディエーターである。本 研究では、関節研究でモデル動物として用いられてきたウシを用い、関節内の関節液 を生成している滑膜組織から滑膜細胞を樹立し、ROS と Cox-2 発現との直接的な関係 を検証した。また、ROS が MAPKKK の1つである TAK1 の活性化を介して MAPKs および NF-κB のリン酸化による活性化を誘導し、Cox-2 およびプロスタグランジン E2(Pge2)の発現を増加させる新規メカニズムを明らかにした。最後に、体外および 体内で、代表的な抗酸化剤の1つである N-アセチルシステアミン、HA をそれぞれ補 充することによって、ROS 誘発性の Cox-2 発現が阻害されることを示した。 本研究の成果から、ROS は滑膜由来の線維芽細胞における Cox-2 の産生に重要な因 子であり、その中和は慢性関節炎の緩和療法における有効な戦略であると期待できる。

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6 2.「間葉系幹細胞における炎症性 miRNA(miR-155)制御による新規治療の可能性」 炎症誘発性の過剰な ROS は、細胞機能障害、老化または疾患関連の組織変性を引 き起こす重要な因子である。また、幹細胞における ROS の蓄積は、Stemness の低下 をもたらし、組織の再生または恒常性を変化させることが知られている。病理学的な ROS 産生は複数のステップによって誘導され、抗酸化系の機能障害が大きな原因とな っている。このプロセスを媒介する中心分子の同定は、老化、老化関連疾患、または 幹細胞治療のための新規治療薬の開発の道を開くと考えられる。 本章では、炎症時における幹細胞の Stemness の変化を探ることを目的とした。 MSC は軟骨細胞や筋細胞、骨細胞といった中胚葉由来の細胞へと分化可能な幹細胞で あり再生医療への応用が始まっている実用的な幹細胞である。MSC を材料とした臨床 研究については近畿大学医学部附属病院も含め世界的に報告されているが、未分化維 持や分化・増殖に関わる主たる制御機構や nich などの体内環境といった MSC の特性 は未だに十分な理解に至っていない。また、加齢の様な自然発生的で長期に渡る幹細 胞研究は報告が少ない。そこで、本研究では、炎症の中でも加齢性の炎症と幹細胞に 焦点を絞った。

近年、ノンコーディング RNA の1つである micro RNA (miRNA) について、 炎症や幹細胞の機能を含む多くの生物学的反応における重要性が示されている。特に、 炎症特異的に発現亢進する miRNA は、細胞毒性作用を示すことが報告されている。 そこで、本研究では、炎症において最も顕著な発現亢進が報告されている miR-155 が 幹細胞における炎症によって誘導される ROS 産生に関与すると仮定した。1.5 歳の老 齢マウス由来 MSC を解析した結果、抗酸化遺伝子 Nfe2l2、Sod1、および Hmox1 が 抑制されており、その一方で miR-155-5p が高度に発現していることを見出した。In silico 分析で、miR-155-5p が抗酸化遺伝子を制御する主要な転写因子 C/ebpβを標的 とすることで、抗酸化遺伝子の発現を抑制し、ROS 産生を誘導することを明らかにし た。また、細胞移植実験によって、同メカニズムが細胞移植時の ROS 産生および移 植された幹細胞の喪失を引き起こす原因の 1 つであることが示唆された。 最後に、 miR-155 ノックアウト MSC において、抗酸化物質の減弱および ROS 蓄積が部分的に 抑制された。 本研究の成果から、加齢に伴う自然発生的な炎症による miR-155 の発現亢進は、 幹細胞における抗酸化関連遺伝子の発現抑制を行うことで ROS の分解機構の低下を 招き、体内における幹細胞の存在比に大きな影響を与えていることが示された。

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7 3.「雌性発生胚に由来する ES 細胞の組織寄与能力に関する研究」 これまでの研究によって、体外において PgES 細胞は三胚葉それぞれに由来する細 胞へと分化可能であると報告されている。しかし、体内での PgES 細胞の分化多能性 についての詳細は未だに明らかとなっていない。 本研究では、マウス PgES 細胞を樹立し、体内・体外それぞれにおける分化能に ついて定量的な解析を行った。体外での検証は、三胚葉それぞれに代表される神経細 胞(外胚葉)、心筋細胞(中胚葉)、アルブミン産生細胞・インスリン産生細胞へと分 化誘導を行い、ウェスタンブロット法と画像解析により評価した。体内での検証は、 ES 細胞が持つ能力の 1 つであるキメラ寄与能力について評価した。従来のキメラ形成 実験では、毛色による違いを中心とした寄与した割合(キメリズム)によって評価し ていたが、基準が不明確であり、定量性が低い。そこで、本研究ではミトコンドリア DNA(mtDNA)の一塩基多型を有する宿主胚を用いてキメラマウスを作製することに より、サザンブロット法によって体内の組織における PgES 細胞のキメリズムの割合 を評価した。 本研究の成果から、PgES 細胞が体内で全身の組織に寄与していること、また、 それらが成体動物においても安定的に維持されていることが明らかとなった。さらに、 本研究で用いた mtDNA を利用した寄与率の測定法は従来型の毛色判定では判断しえ なかった組織ごとのキメリズムを知る新たな定量的解析手法の一つとして有効である ことが示された。 以上、「ヒアルロン酸(HA)の抗炎症・疼痛作用の解明」を従来医療のモデル、「間葉 系幹細胞における炎症性 miRNA(miR-155)制御による新規治療の可能性」を先進医療 モデル、そして最後に、「雌性発生胚に由来する ES 細胞の組織寄与能力に関する研究」 を次世代医療のモデルとして実施した。 本研究は、幹細胞や体細胞の恒常性に対し、炎症反応を中心とした刺激に細胞がど のように応答し、その性質を変化させるのか検討した。また、移植治療を目指す多く の疾患・症状に認められ、ROS の蓄積を伴う炎症反応に着目し、生体内に存在する幹 細胞と移植した幹細胞のそれぞれに観察される ROS 蓄積のメカニズムの解明を試み た。さらに、移植された細胞の生着や術後の細胞機能の評価にも応用可能と考えられ る、新規のキメリズム評価法を開発した。

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第 2 章

ヒアルロン酸(HA)の

抗炎症・疼痛作用の解明

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~ 第 1 部 第 1 節 概 要 ~

軟 骨 細 胞 に お け る ヒ ア ル ロ ン 酸 ( HA) の 持 つ 薬 理 学 的 に 重 要 な 機 能 の 1 つ は 、 細 胞 の 活 性 酸 素 種 (ROS) の 生 成 お よ び 蓄 積 の 減 少 で あ る 。 こ こ で は 、 ウ シ 関 節 軟 骨 に 由 来 す る 培 養 軟 骨 細 胞 に お い て 、 HA 補 充 と 細 胞 抗 酸 化 応 答 時 に お け る 主 要 な 転 写 因 子 で あ る Nrf2 の 蓄 積 と の 関 係 を 検 証 し た 。 HA を 添 加 し て 培 養 し た 軟 骨 細 胞 で は 、 Nrf2 お よ び そ の 下 流 遺 伝 子 の 発 現 が 亢 進 さ れ た 。 HA 処 理 さ れ た 軟 骨 細 胞 に お い て Akt の リ ン 酸 化 が 亢 進 す る が 、 Akt 活 性 の 阻 害 、 HA 受 容 体 と し て 知 ら れ る CD44 お よ び / ま た は RHAMM の siRNA に よ る 抑 制 に よ っ て 、 HA が 媒 介 す る Nrf2 の 蓄 積 は 抑 制 さ れ た 。 さ ら に 、 Nrf2 siRNA 処 理 に よ り 、 抗 酸 化 酵 素 に 対 す る HA 効 果 が 阻 害 さ れ た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 HA が Akt を 活 性 化 す る こ と に よ っ て Nrf2 の 発 現 が 亢 進 し 、 下 流 の 抗 酸 化 遺 伝 子 群 を 亢 進 さ せ る こ と で ROS 減 少 に 寄 与 し 得 る こ と を 示 す と 考 え ら れ た 。 本 研 究 は 、 軟 骨 細 胞 に お け る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス ( ECM) が 媒 介 す る 抗 酸 化 シ グ ナ ル 亢 進 の 新 し い メ カ ニ ズ ム を 示 唆 し て い る 。

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~第 2 節 緒言~

関節軟骨は単一の常在細胞型で、プロテオグリカン(PG)、糖タンパク質、コラー ゲンおよびヒアルロン酸(Hyarulonic acid : HA)といった細胞外マトリックス(ECM) を豊富に有するという特性を持つが、一方で血管、神経、リンパ節が存在しないとい う特徴を持つ組織である[1-4]。この ECM で構成される高分子集合体は、軟骨細胞表 現型の維持に直接関係する 5-7]。HA は、軟骨 ECM および関節液の主要成分である [1,2,8]。HA の主な生理学的機能は、組織の潤滑およびクッション性にあると考えられ ている[9-11]。変形性関節症(OA)に罹患した関節において、HA は酵素分解および酸 化によって分解され、関節機能が低下する[12,13]。 体外培養での研究では、軟骨組織および細胞に対する HA 効果が検証されている [14,15]。例えば、HA 補給を行うことで軟骨 ECM 環境の正常化を促進し、抗炎症活性 を有することができる[16,17]。HA の重要な機能の 1 つとして、酸化的損傷の抑制が ある[18]。今回、機械的なストレス負荷を与えられたウシ軟骨において、HA が活性酸 素種(ROS)の産生を減少させることを報告した[19]。しかしながら、HA がどのよう に ROS の制御に関与しているのか分子メカニズムは解明されていない。酸化ストレ スは、炎症、感染または過剰な機械的ストレスによって誘導される ROS の産生と生 物学的解毒システムとの間の不均衡によって引き起こされる[19-22]。ROS の生成の増 加は、細胞死および ECM リモデリングを促進することによって、組織傷害、機能不 全および分解の促進につながっている[23,24]。生理学的条件下で、スーパーオキシド アニオンは、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ヘムオキシゲナ ーゼ-1(HO-1)、グルタチオン S-トランスフェラーゼ、グルタチオンペルオキシダー ゼおよびチオレドキシンなど様々な抗酸化剤や第 II 相解毒酵素によって解毒される。 これらの酵素は、Nrf2 による転写制御を受け活性化される[25,26]。Nrf2 は、脊椎動物 および無脊椎動物のすべての組織において恒常的にある一定の割合で発現される。そ

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11 れは、酸化的ストレスに対する防御能力を高めることによって、細胞の生存と完全性 を維持する上で重要な役割を果たす[27]。実際、Nrf2 ノックアウトマウスは、これら の抗酸化遺伝子の誘導を減少させるか、または無効にし、神経変性[28-30]、心臓血管 疾患[31,32]、肺疾患[33,34]、腎疾患[35,36]および肝疾患[37,38]を引き起こす。 本研究では、(1)ECM は軟骨細胞の遺伝子発現を変化させることができ、(2)HA は軟骨の酸化防止剤として機能し、(3)ROS に対する保護は Akt の活性化による Nrf2 の分解抑制によって制御されるという 3 点から、HA の有する抗酸化効果は、軟骨細 胞における Nrf2 が誘導する抗酸化能の増強に関連していると着想した。本章では、体 外での軟骨細胞における Nrf2 発現の効果とウシ関節軟骨細胞における Nrf2 発現に対 する HA の作用について検討した。

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~ 第 3 節 材 料 と 方 法 ~

1. ウ シ 一 次 関 節 軟 骨 細 胞 の 培 養 と 処 理

ウ シ 軟 骨 組 織 は 、 屠 殺 場 よ り 入 手 し た 生 後 約 10 ヶ 月 の 仔 牛 の 中 手 指 節 関 節 の 顆 状 隆 起 部 か ら 前 層 関 節 軟 骨 組 織 を 採 取 し て 得 た 。 軟 骨 細 胞 は 、 2mg / ml コ ラ ゲ ナ ー ゼ [ W ako] を 37℃ で 12 時 間 酵 素 消 化 す る こ と に よ り 、 軟 骨 組 織 か ら 単 離 し た 。 濾 過 後 、 細 胞 を 培 養 プ レ ー ト に 播 種 し 、 37℃ お よ び 5% CO2、 20% O2 で 48 時 間 、 10% FCS 含 有 α -MEM 中 で 培 養 し た 。 反 応 実 験 に お い て は 、 培 地 を 0.1 % ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン [ BSA 、 Sigma-Aldrich] 含 有 DMEM / F12[ Thermo Fisher Scientific] 無 血 清 培 地 と し て 、 1 % イ ン ス リ ン ト ラ ン ス フ ェ リ ン / セ レ ン [ Thermo Fisher Scientific ] お よ び 1% 抗 生 物 質 /抗 真 菌 溶 液 [ Thermo Fisher Scientific] を 添 加 し て 用 い た 。 以 下 、 試 薬 の 添 加 濃 度 と 細 胞 処 理 条 件 を 示 す 。 200μ M H2O2[ Wako]、

2mg/ml ヒ ア ル ロ ン 酸 [ ARTZ、 約 500,000~700,000MW 、 科 研 製 薬 ]、 20μ M LY294002(Akt 阻 害 剤 ) [ Aldrich ] お よ び 同 量 の DMSO [ Sigma-Aldrich] を LY294002 の コ ン ト ロ ー ル と し て 使 用 し た 。 最 大 で 24 時 間 培 養 し た 。

2. 細 胞 内 活 性 酸 素 種 ( ROS) の 測 定

ROS の 蓄 積 は 、 酸 化 ス ト レ ス を 検 出 す る 蛍 光 色 素 で あ る CellROX®Gr een Reagent( 以 下 CellROX)[ Thermo Fisher Scientific ] を 用 い て 実 施 し た 。 2 継 代 目 の ウ シ 軟 骨 細 胞 を 48 ウ ェ ル プ レ ー ト に 播 種 し 、 HA を 含 む あ る い は 含 ま な い ウ ェ ル に そ れ ぞ れ H2O2 を 添 加 し 共 に 2 時 間 イ ン キ ュ ベ ー

ト し た 。 製 品 の プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て 培 養 培 地 で 2 回 洗 浄 し た 後 、 培 養 液 中 に CellROX を 添 加 し て 30 分 間 37 ℃ で 処 理 し た 。 蛍 光 強 度 は Wallac

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ARVO MX 1420 マ ル チ ラ ベ ル カ ウ ン タ ー [ Perkin Elmer] を 用 い て 分 析 し た 。

3. siRNA を 用 い た ノ ッ ク ダ ウ ン 解 析

特 定 の 遺 伝 子 を ノ ッ ク ダ ウ ン す る た め に 、 2 継 代 目 の ウ シ 軟 骨 細 胞 を 48 ウ ェ ル の マ ル チ プ レ ー ト 上 に 播 種 し 、 無 血 清 培 地 中 で 24 時 間 培 養 し た 。 次 に 、 そ れ ぞ れ の 遺 伝 子 に お い て ノ ッ ク ダ ウ ン 効 率 を 高 め る た め に 1 遺 伝 子 に 付 き 配 列 の 異 な る 3 つ の 特 異 的 siRNA[ ニ ッ ポ ン ジ ー ン ] の 混 合 物 ( 表 1 ) を 作 製 し 、 製 品 の プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て Lipofectamine RNAiMAX Reagent[ Thermo Fisher Scientific ] を 用 い て 軟 骨 細 胞 に 導 入 し た 。 12 時 間 後 、 導 入 試 薬 と siRNA の 複 合 体 を 含 ん だ 培 地 を 48 ウ ェ ル プ レ ー ト か ら そ れ ぞ れ 回 収 し 、 細 胞 を PBS(-)で 洗 浄 し た 。 そ の 後 、 そ れ ぞ れ の 実 験 区 に 対 し 全 量 400μ l に 調 製 し た 培 地 を 各 ウ ェ ル に 添 加 し た 。 siRNA を 用 い た ノ ッ ク ダ ウ ン 実 験 に お い て は 、 同 濃 度 の ス ク ラ ン ブ ル siRNA で 処 理 し た も の を コ ン ト ロ ー ル 区 と し て 解 析 に 用 い た 。

4. RNA 抽 出 → 逆 転 写 反 応 → 定 量 的 RT-PCR( qRT-PCR) 解 析

RNA 抽 出

各 細 胞 を 1.5 ml マ イ ク ロ チ ュ ー ブ [ Falcon] に 移 し 、 TRIzol [Thermo Fisher Scientific] 200μ l を 加 え る 。 ピ ペ ッ テ ィ ン グ し 、 氷 上 に 5 分 間 静 置 。 そ し て 、 ク ロ ロ ホ ル ム [ Wako] を 100μ l 加 え 、 vortex 後 、 室 温 で 10 分 間 静 置 。 9,000 g 、 4℃ で 10 分 間 遠 心 。 上 清 を 1.5 ml マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に 移 し 、 イ ソ プ ロ パ ノ ー ル [ Wako] 100μ l を 加 え 、 vortex 後 、 室 温 で 10 分 間 静 置 。 9,000 g 、 4℃ で 10 分 間 遠 心 し た 。 ペ レ ッ ト を 確 認 し 、 注 意

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深 く 上 清 を 除 去 後 、 80% エ タ ノ ー ル [ Wako] を 100μ l 加 え 、 9,000 g 、 4℃ で 10 分 間 遠 心 。 ペ レ ッ ト を 確 認 し な が ら 、 注 意 深 く 上 清 を 除 去 。 室 温 に て 風 乾 さ せ 、 RNase free water [Thermo Fisher Scientific] 20μ l に 溶 解 し た 。 使 用 時 ま で 、 -80℃ 保 存 と し た 。

逆 転 写 反 応

あ ら か じ め 、

Thermal Cycler Dice Real Time System [ Takara] の 電 源 を 入 れ 、 プ レ ラ ン ニ ン グ を 行 う 。 抽 出 し た RNA を 氷 上 で 融 解 し 、 PrimeScr ipt™ 1st st rand cDNA Synthesis Kit [ Takara] を 用 い て 、 製 品 の プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て サ ン プ ル 調 整 を 行 い 、 逆 転 写 反 応 を 実 施 し た 。

● 定 量 的 RT-PCR( qRT-PCR) 解 析

特 異 的 プ ラ イ マ ー ( 表 2) と Perfect real-time SYBR green II[ Takara] を 用 い て 全 cDNA の qRT-PCR を Thermal Cycler Dice Real Time System [ Takara] に て 実 施 し た 。 95℃ で 20 秒 間 、 続 い て 95℃ で 5 秒 間 、 60℃ で 30 秒 間 の 40 サ イ ク ル で プ ロ グ ラ ム を 組 ん で 実 施 し た 。 各 遺 伝 子 の 相 対 発 現 を 定 量 化 す る た め に 、 DDCt 法 ( DDCt = DCtsample_DCtcalibrator ) を 用 い て 、 Ct( 閾 値 サ イ ク ル ) 値 を 内 因 性 基 準 ( DCt = Cttarget_CtGapdh) と し た 。

5. ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト に よ る タ ン パ ク 質 発 現 解 析

● 細 胞 の サ ン プ リ ン グ と 調 製 ク リ ー ン ベ ン チ 内 に お い て デ ィ ッ シ ュ 内 の 培 地 を 除 去 し 、 PBS(-)を 適 量 入 れ て 残 存 す る 培 地 の 除 去 を 行 っ た 。 再 度 PBS(-) を 適 量 入 れ 、 Cell Scraper で デ ィ ッ シ ュ 内 の 細 胞 を 剥 が し 取 り 、 2ml の マ イ ク ロ チ ュ ー ブ に 回 収 後 、 10000g , 5 分 の 条 件 で 遠 心 し た 。 2×SDS buffer ( 125mM Tris-HCl

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( pH6.8 )、 4 % SDS 、 20 % Glycerol [ 17045-65 , nacalai tesque ]、 254mM 2-merccaptoethanol[ 214-38, nacalai tesque ]、 Bromophenol Blue ( B.P.B)[ 058-08, nacalai tesque] 0.2mg)5μl) を そ れ ぞ れ の チ ュ ー ブ に 加 え て よ く 混 合 し 、 5 分 間 煮 沸 処 理 し て タ ン パ ク 質 を 変 性 さ せ 、 氷 上 に 2 分 間 静 置 し た 。 そ の 後 、 10,000g、 4℃ で 遠 心 し 、 -20℃ で 凍 結 保 存 し た 。 ● ポ リ ア ク リ ル ア ミ ド ゲ ル に よ る 電 気 泳 動 サ ン プ ル を 融 解 後 、 10,000g、 4℃ で 遠 心 を 行 い 、 こ の 上 清 を 電 気 泳 動 に 用 い た 。 タ ン パ ク 質 の 分 離 に は 、ミ ニ プ ロ テ ィ ア ン TGX ゲ ル[ Bio Rad] を 用 い た 。 ゲ ル を 泳 動 装 置 に セ ッ ト し 、 十 分 に 1 × Running Buffer ( 10 × Running Buffer ( 250mM Tris hydroxymethyl aminomethane 、 1.92M Glycine [ Bio Rad ]、 1 % SDS [ SIGMA L-4509 ] で 浸 し た 。 マ ー カ ー ( Prestained Precision Protein Standerds, Broad Range [ 161-0732, Bio Rad])、 各 サ ン プ ル を 順 次 5μ l ア プ ラ イ し 、 200V の 定 電 圧 で 40 分 間 の 泳 動 を 行 っ た 。 ゲ ル を ガ ラ ス 板 か ら 外 し 、 transfer buffer に 浸 し た 。 タ ッ パ ー に 濾 紙 1 枚 、 ス ポ ン ジ 、 濾 紙 1 枚 、 ス ポ ン ジ の 順 で 入 れ transfer buffer ( 20mM Glycine、 25mM Tris、 20% Methanol[ 219-15, nacalai tesque]) で 浸 し 、 室 温 で 10 分 間 振 と う さ せ た 。 ま た メ ン ブ レ ン ( Hybond ™ -P [ RPN2020F, GE Healthcare]) を 99.5% メ タ ノ ー ル [ nacalai tesque] 中 で 10 秒 間 浸 し 、 transfer buffer 中 で 5 分 間 振 と う 行 っ た 。 ス ポ ン ジ 、 濾 紙 1 枚 、 ゲ ル 、 メ ン ブ レ ン 、 濾 紙 1 枚 、 ス ポ ン ジ の 順 に セ ッ ト し 挟 み 込 み 、 ア ッ セ ン ブ リ に セ ッ ト し 、 メ ン ブ レ ン が 完 全 に 浸 る よ う に transfer buffer を タ ン ク 内 に 入 れ 、 100V 定 電 圧 、 4℃ 、 1.5 時 間 の 条 件 で 転 写 を 行 っ た 。 タ ン パ ク 質 が 転 写 さ れ た メ ン ブ レ ン を 1×TBS (− ) で す す ぎ 、 Block Ace

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16 [ UK-H25, 大 日 本 製 薬 ] に よ り 、 室 温 で 1 時 間 振 と う し 、 メ ン ブ レ ン の ブ ロ ッ キ ン グ 処 理 を 行 っ た 。 ● 抗 原 抗 体 反 応 に よ る 目 的 タ ン パ ク 質 の 検 出 ブ ロ ッ キ ン グ し た メ ン ブ レ ン は 、 0.2 % TBS-T ( 1×TBS(− )、 Tween 20 [ P-1379, Sigma) 中 で 2 回 す す ぎ 、 5 分 間 振 と う に よ る 洗 浄 を 3 回 行 っ た 。 1 次 抗 体 に よ る 抗 原 抗 体 反 応 を 行 う た め 、 表 3 の 各 抗 体 を 各 希 釈 液 で 希 釈 し 、 各 溶 液 中 で 一 晩 、 4℃ で 振 と う し た 。 そ の 後 、 同 様 の 0.2% TBS-T( 分 間 振 と う に よ る 洗 浄 を 3 回 ) で の メ ン ブ レ ン の 洗 浄 を 行 っ た 。 続 い て 2 次 抗 体 に よ る 抗 原 抗 体 反 応 を 行 う た め 2 次 抗 体 溶 液 中 で 1 時 間 振 と う さ せ た 。 そ し て 、 再 び 0.2% TBS-T で の 洗 浄 を 行 っ た 。 こ の 抗 体 の 発 光 に よ っ て バ ン ド の 検 出 を 行 う た め ImmunoStar_LD [ Wako] を 用 い た 。 ま ず 、 メ ン ブ レ ン の タ ン パ ク 質 結 合 面 を 上 に し て 、 上 か ら ImmunoStar_LD+ A, B 混 合 液 ( A 液 : B 液 = 1: 1) を か け Amersham TM Imager 600[ GE Healthcare] で 、 目 的 タ ン パ ク 質 の 検 出 を 行 っ た 。 ま た 、 得 ら れ た バ ン ド に よ る 定 量 解 析 に は ImageQuant TL[ GE Healthcare] を 用 い て 実 施 し た 。

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~ 第 4節 結 果 ~

初 め に 、 培 養 ウ シ 関 節 軟 骨 細 胞 に お け る HAの 抗 酸 化 効 果 を 測 定 し た 。 過 酸 化 水 素 ( H2O2) 添 加 に よ る 刺 激 に 応 答 し た 細 胞 内 ROSの 蓄 積 に つ い て 、 ROS に 対 す る 蛍 光 発 光 プ ロ ー ブ で あ る CellROX を 用 い て 測 定 し た 。 CellROX を 用 い る こ と に よ り 、 H2O2添 加 が 軟 骨 細 胞 に お け る ROS蓄 積 を 誘 導 し 、 こ れ が HA 補 充 に よ っ て 有 意 に 抑 制 さ れ る こ と が 観 察 さ れ た ( Fig1-A)。 H2O2は ま た 、 酸 化 ス ト レ ス の 重 要 な 指 標 で あ り メ デ ィ エ ー タ ー で あ る p38 MAPキ ナ ー ゼ の リ ン 酸 化 を 増 加 さ せ た が 、 こ れ は HAの 添 加 に よ っ て 減 少 し た (Fig1-B) 。 さ ら に 、 H2O2処 理 に よ り 、 軟 骨 細 胞 特 異 的 な 転 写 因 子 と し て 知 ら れ る Sox9お よ び 細 胞 外 基 質 Col2A1が 減 少 し た が 、 マ ト リ ッ ク ス 分 解 因 子 で あ る Adamts-5 は 発 現 が 上 昇 し た 。 し か し HA の 添 加 は 、 Sox9 お よ び Col2A1 に 対 す る H2O2の 阻 害 効 果 を 遮 断 し 、 Adamts-5 の 発 現 を 有 意 に 減 少 さ せ た (Fig1-C) 。 こ れ ら の 結 果 は 、 H2O2誘 導 性 の ROS上 昇 が マ ト リ ッ ク ス の 維 持 に 対 し て 有 害 で あ り 、 HA補 充 が 、 培 養 軟 骨 細 胞 に お け る 遺 伝 子 発 現 レ ベ ル で の カ タ ボ リ ッ ク な 変 化 を 抑 制 す る た め の 抗 酸 化 因 子 と し て 機 能 し 得 る こ と を 示 し て い る 。 次 に 、 抗 酸 化 効 果 が HA添 加 に よ る ROS中 和 酵 素 の 上 昇 に よ る も の か 検 討 し た 。 HAを 添 加 し て 24時 間 後 、 ヘ ム の 分 解 お よ び ビ リ ル ビ ン 産 生 に よ り 抗 酸 化 機 能 を 発 揮 す る Ho-1 、 キ ノ ン 類 の 還 元 化 酵 素 で あ る Nqo-1 、 遊 離 過 酸 化 水 素 を 水 へ と 還 元 化 す る Gpx-1 お よ び Catalase 、 ス ー パ ー オ キ シ ド ア ニ オ ン を 酸 素 と 過 酸 化 水 素 に 分 解 す る 酸 化 還 元 酵 素 の Sod1 の 上 昇 を 認 め た ( Fig2-A)。 こ れ ら の 第 II相 の 解 毒 酵 素 は マ ス タ ー 転 写 因 子 Nrf2に よ る 制 御 を 受 け る こ と が 知 ら れ て い る こ と か ら 、 Nrf2の 遺 伝 子 発 現 と タ ン パ ク 質 発 現 に つ い て 検 証 し た 。 HAに 応 答 し て mRNAお よ び タ ン パ ク 質 と も に Nrf2の

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発 現 の 上 昇 を 認 め た ( Fig2-B,C)。 ま た 、 Nrf2の 制 御 に 対 す る 、 ネ ガ テ ィ ブ 調 節 因 子 の Keap1の 発 現 レ ベ ル は 変 化 し な か っ た ( Fig2-C)。 Nrf2タ ン パ ク 質 の 増 加 は 、 細 胞 質 お よ び 核 区 画 の 両 方 で 検 出 さ れ た ( Fig2-D)。

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Fig1: H

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O

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処 理 し た 軟 骨 細 胞 に お け る HA の 添 加 の 作 用

A: CellROX ア ッ セ イ に よ る 軟 骨 細 胞 に お け る ROS レ ベ ル の 検 出 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05) B: H2O2処 理 に よ る MAPK p38 の リ ン 酸 化 状 態 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 C: マ ト リ ッ ク ス 関 連 遺 伝 子 Sox9 お よ び Col2A1、 異 化 遺 伝 子 Adamts-5 に 関 す る qRT-PCR 解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)

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Fig2: HA添 加 に よ る 抗 酸 化 剤 お よ び 第 II相 解 毒 酵 素 の 遺 伝 子 発 現 へ

の 影 響

A: HA添 加 (24時 間 )に よ る 抗 酸 化 遺 伝 子 Ho-1、 Nqo-1、 Gpx-1、

Catalaseお よ び Sod1の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05) B: HA添 加 (24時 間 )に よ る 軟 骨 細 胞 の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05) C: HA添 加 (24時 間 )に よ る 軟 骨 細 胞 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 D: HA添 加 (24時 間 )に よ る 軟 骨 細 胞 の 細 胞 質 お よ び 核 画 分 に お け る Nrf2の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。

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24 siNrf2 で 処 理 し た 培 養 軟 骨 細 胞 で は ラ ン ダ ム な RNA オ リ ゴ ヌ ク レ オ チ ド ( SCR:ス ク ラ ン ブ ル ) で 処 理 し た コ ン ト ロ ー ル 細 胞 の 20% ま で Nrf2 mRNA が 減 少 し た (Fig3-A) 。 そ こ で 、 Nrf2 に 対 す る siRNA(siNrf2) を 用 い た ノ ッ ク ダ ウ ン に よ り 、 培 養 軟 骨 細 胞 に お け る HA誘 導 性 の Nrf2発 現 上 昇 が 抗 酸 化 反 応 に 対 す る ポ テ ン シ ャ ル と 関 連 す る か ど う か に つ い て 検 討 し た 。 Nrf2ノ ッ ク ダ ウ ン 軟 骨 細 胞 で は 、 細 胞 内 の ROSレ ベ ル が 上 昇 し (Fig3-B)、 p38の リ ン 酸 化 が 誘 導 さ れ た ( Fig3-C )。 さ ら に 、 Nrf2 ノ ッ ク ダ ウ ン 軟 骨 細 胞 で は 、

Sox9 お よ び Col2A1 の 発 現 抑 制 、 な ら び に Adamts-5 の 発 現 亢 進 が mRNA レ

ベ ル で 認 め ら れ た ( Fig3-D)。

さ ら に HA添 加 に よ る Nrf2発 現 上 昇 の メ カ ニ ズ ム を 解 明 す る た め に 、 Nrf2 の 発 現 維 持 に 関 わ る 上 流 調 節 因 子 と し て 知 ら れ て い る Aktの リ ン 酸 化 状 態 に つ い て 解 析 し た 。 HA 添 加 し 軟 骨 細 胞 を 培 養 後 、 リ ン 酸 化 Akt お よ び Nrf2 は と も に 時 間 依 存 的 な 増 加 を 示 し た ( Fig4-A,B,C)。

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Fig3: Nrf2の ノ ッ ク ダ ウ ン に よ る 、 レ ド ッ ク ス 応 答 経 路 の 解 析

A: siNrf2処 理 後 の Nrf2の 遺 伝 子 発 現 レ ベ ル に 対 す る qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)

B: CellROXに よ る siNrf2処 理 軟 骨 細 胞 の ROSレ ベ ル の 測 定 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)

C: siNrf2処 理 軟 骨 細 胞 に お け る リ ン 酸 化 p38と Nrf2の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。

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Fig3: Nrf2の ノ ッ ク ダ ウ ン に よ る 、 レ ド ッ ク ス 応 答 経 路 の 解 析

D: siNrf2処 理 軟 骨 細 胞 に お け る Sox9、 Col2A1お よ び Adamts-5の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)

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Fig4: HA処 理 軟 骨 細 胞 に お け る Nrf2の 発 現 と 、 Aktの リ ン 酸 化

A: ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に よ る HA処 理 軟 骨 細 胞 の 継 時 的 な Aktリ ン 酸 化 お よ び Nrf2の 発 現 。

B: ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 と 画 像 解 析 に よ る Nrf2の 定 量 化 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。

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28 HA 添 加 に よ る Nrf2 の 発 現 維 持 が Akt の リ ン 酸 化 依 存 性 で あ る こ と を 検 討 す る た め に 、 Akt特 異 的 阻 害 剤 LY294002 を 加 え 、 qRT-PCR解 析 を 行 っ た と こ ろ 、 LY294002 の 添 加 に よ り HA の Nrf2 遺 伝 子 発 現 作 用 は 抑 制 さ れ た ( Fig5-A)。 LY294002 処 理 を 行 っ た 軟 骨 細 胞 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に よ っ て 、 総 Aktタ ン パ ク 質 量 に は 影 響 せ ず 、 Aktの リ ン 酸 化 の み を 減 少 さ せ る こ と が 示 さ れ た 。 ま た 、 Nrf2遺 伝 子 の 発 現 お よ び タ ン パ ク 質 の 蓄 積 を 減 少 さ せ た ( Fig5-B)。 Aktの リ ン 酸 化 阻 害 状 態 に お い て 、 Sox9お よ び Col2A1 の 遺 伝 子 発 現 は 減 少 し た が 、 Adamts-5 の 発 現 レ ベ ル は 増 加 し た ( Fig5-C)。

最 後 に 、 軟 骨 細 胞 上 の HA特 異 的 受 容 体 CD44お よ び RHAMMの 発 現 を 阻 害 す る こ と に よ っ て HA依 存 的 な Nrf2発 現 の 調 節 が 既 知 の 受 容 体 を 介 し て 制 御 に つ い て 検 証 し た 。 CD44お よ び RHAMMに 対 す る 特 異 的 siRNA( siCD44お よ び siRHAMM) の 導 入 は 、 標 的 と す る 遺 伝 子 の mRNAを 減 少 さ せ た 。 重 要 な こ と に 、 HA誘 導 性 Aktリ ン 酸 化 、 Nrf2遺 伝 子 発 現 お よ び Nrf2タ ン パ ク 質 の 蓄 積 は 、 CD44 お よ び RHAMM ノ ッ ク ダ ウ ン 軟 骨 細 胞 に お い て 抑 制 さ れ た ( Fig6-Aお よ び B)。 さ ら に 、 細 胞 内 ROSレ ベ ル は CD44お よ び RHAMMノ ッ ク ダ ウ ン 細 胞 で 増 加 し た ( Fig6-C)。 こ れ ら の 結 果 か ら 、 軟 骨 細 胞 に お け る HA 誘 導 性 Nrf2 の 発 現 は 、 HA の 特 異 的 受 容 体 CD44 お よ び RHAMM を 介 し て 起 こ る こ と が 示 さ れ た 。

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Fig5: HA処 理 軟 骨 細 胞 に お け る Akt活 性 化 を 介 し た レ ド ッ ク ス 応 答

経 路 の 解 析

A: HAお よ び Akt特 異 的 阻 害 剤 LY294002( Akti) で 24時 間 処 理 し た 軟 骨 細 胞 の qRT-PCR解 析 (n=3) 。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05) 。 B: HAお よ び Akt特 異 的 阻 害 剤 LY294002( Akti) で 24時 間 処 理 し た

軟 骨 細 胞 の Aktリ ン 酸 化 お よ び Nrf2の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 C: HA/LY294002処 理 軟 骨 細 胞 に お け る Sox9、 Col2A1お よ び

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Fig6: HA処 理 軟 骨 細 胞 に お け る HA受 容 体 CD44お よ び RHAMM を 介

し た Aktリ ン 酸 化 お よ び Nrf2の 発 現 誘 導

A: siCD44/siRHAMM処 理 軟 骨 細 胞 に お け る HA処 理 (24時 間 )に 対 す る Nrf2の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。 B: HA受 容 体 CD44/RHAMMノ ッ ク ダ ウ ン 処 理 後 の 軟 骨 細 胞 に お け る

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Fig6: HA処 理 軟 骨 細 胞 に お け る HA受 容 体 CD44/RHAMMを 介 し た

Aktリ ン 酸 化 お よ び Nrf2の 発 現 誘 導

C: CD44/RHAMMノ ッ ク ダ ウ ン 軟 骨 細 胞 に お け る CellROXア ッ セ イ を 用 い た 細 胞 内 ROSレ ベ ル の 測 定 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。

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~ 第 5 節 考 察 ~

本 研 究 は 、 軟 骨 細 胞 に お け る HA の ROS に 対 す る 保 護 効 果 が 、 Nrf2 誘 導 性 抗 酸 化 能 の 増 強 に 関 連 し 得 る と い う 仮 説 に つ い て 検 証 し た 。 本 研 究 に よ り 、 培 養 軟 骨 細 胞 に お け る HA 補 給 は 軟 骨 細 胞 特 異 的 マ ト リ ッ ク ス 関 連 遺 伝 子 の 発 現 上 昇 の み な ら ず 、 HA の 抗 酸 化 効 果 を 維 持 す る こ と を 明 ら か に し た 。 こ れ ま で の 研 究 報 告 で は 、 HA が 軟 骨 組 織 の 中 央 層 に 入 り 込 み 、 機 械 的 ス ト レ ス 誘 導 性 の ROS の 減 少 に 貢 献 し て い る と い う も の で あ っ た [19]。 本 研 究 の 成 果 は 既 知 の 結 果 を 裏 付 け る も の で あ り 、 HA の 抗 酸 化 特 性 は 培 養 細 胞 お よ び 組 織 培 養 に お い て 重 要 な 生 物 学 的 効 果 と し て 働 い て い る こ と を 示 唆 し て い る [19]。 こ れ ま で 、 HA が 抗 酸 化 ス ト レ ス 関 連 酵 素 の 遺 伝 子 発 現 の 亢 進 に 寄 与 し て い る と い う 事 実 は 報 告 さ れ て い な い が 、 HA が そ の 特 異 的 受 容 体 CD44[40,41]や RHAMM [42-44]を 介 し て い く つ か の 遺 伝 子 発 現 を 調 節 す る こ と が 報 告 さ れ て い る 。 し か し 、 HA の 抗 酸 化 作 用 が HA 自 体 の 物 理 的 ・ 化 学 的 性 質 に 基 づ く の か 、 HA に 対 す る 軟 骨 細 胞 の 細 胞 応 答 に よ る も の か は 不 明 で あ っ た 。 し た が っ て 、 本 研 究 で は 培 養 関 節 軟 骨 細 胞 に 対 す る HA 添 加 が も た ら す 抗 酸 化 機 構 に つ い て 検 討 し た 。 HA を 添 加 す る こ と に よ り 、 HA が 抗 酸 化 機 構 の 制 御 に 重 要 な 転 写 因 子 Nrf2 の 発 現 を 誘 導 し 蓄 積 す る こ と で 、 抗 酸 化 機 構 の 下 流 の 遺 伝 子 群 の 発 現 を 上 昇 さ せ る こ と を 見 出 し た 。 さ ら に 、 Nrf2 ノ ッ ク ダ ウ ン 軟 骨 細 胞 を 正 常 軟 骨 細 胞 と 比 較 す る こ と に よ っ て 、 Nrf2 の 発 現 が 軟 骨 細 胞 に 対 す る HA の 物 理 的 ・ 化 学 的 性 質 に よ る も の で は な く 、 生 物 学 的 機 構 と し て 細 胞 内 シ グ ナ ル 伝 達 の 活 性 化 に よ っ て 誘 導 さ れ る こ と が 示 さ れ た 。 軟 骨 基 質 遺 伝 子 Col2A1 お よ び 軟 骨 発 生 関 連 遺 伝 子 Sox9 の 発 現 の 減 少 が 観 察 さ れ た 。 さ ら に 、 抗 酸 化 ス ト レ ス 分 子 を コ ー ド す る 遺 伝 子 の 発 現 が 減 少 し 、 軟 骨 マ ト リ

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33 ッ ク ス の 重 要 な 異 化 分 子 で あ る Adamts-5 の 遺 伝 子 発 現 が 増 加 し た 。 正 常 な 軟 骨 発 生 に お い て も Nrf2 発 現 が 観 察 さ れ 、 Nrf2 が い く つ か の 代 謝 遺 伝 子 お よ び 転 写 因 子 お よ び 細 胞 周 期 調 節 因 子 の 制 御 に 寄 与 し て い る と い う 報 告 か ら 、 Nrf2 が 軟 骨 マ ト リ ッ ク ス 関 連 遺 伝 子 発 現 を 直 接 調 節 す る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る 。 こ の Nrf2 の 発 現 と 蓄 積 で は 、 Akt 活 性 依 存 的 調 節 機 構 が 存 在 す る こ と か ら 、 HA が Nrf2 の 発 現 を 誘 導 す る 機 構 に つ い て 検 討 し た 。 Nrf2 は 主 に 転 写 後 レ ベ ル で 調 節 さ れ て い る 。 正 常 条 件 下 で は 、 Nrf2 は Kelch 様 ECH 関 連 タ ン パ ク 質 ( KEAP1 ) に 依 存 し 、 ユ ビ キ チ ン - プ ロ テ ア ソ ー ム 経 路 を 介 し て 絶 え ず 分 解 さ れ る [27,28,31] 。 ROS の 存 在 下 で 、 Keap1-Nrf2 結 合 お よ び そ の 後 の Nrf2 分 解 プ ロ セ ス は 抑 制 さ れ 、 Nrf2 は 安 定 化 さ れ る 。 そ し て Nrf2 結 合 は タ ー ゲ ッ ト 遺 伝 子 の プ ロ モ ー タ ー 領 域 上 の 抗 酸 化 応 答 エ レ メ ン ト ( ARE) へ 結 合 し 、 転 写 調 節 因 子 と し て 機 能 す る [25,27]。 今 日 ま で 、 Keap1-Nrf2 系 と 他 の シ グ ナ ル 伝 達 経 路 と の 間 の 相 互 作 用 が 、 い く つ か の 細 胞 種 で 報 告 さ れ て い る 。 例 え ば 、 癌 細 胞 株 を 用 い た い く つ か の 研 究 で は 、 PI3K/Akt 活 性 化 が Nrf2 の 発 現 上 昇 お よ び 安 定 化 、 活 性 化 に と っ て 重 要 で あ る こ と が 報 告 さ れ て い る [45-47]。 Wang ら 網 膜 色 素 上 皮 ( RPE) 細 胞 系 を 用 い て 、 活 性 型 Akt が Nrf2 活 性 を 増 強 す る こ と を 示 し た [48]。 本 研 究 で は 、 HA 添 加 に よ る Akt リ ン 酸 化 の 誘 導 が 、 他 の 細 胞 種 の 所 見 と 一 致 し て 観 察 さ れ た 。 さ ら に 、 HA 誘 導 性 の Nrf2 の 蓄 積 は 、 Akt 阻 害 剤 : LY294002 ま た は HA 受 容 体 CD44 お よ び RHAMM に 対 す る siRNA に よ る 処 理 に よ っ て 抑 制 さ れ た 。 こ れ ら の 結 果 は 、 HA が CD44 / RHAMM へ の 結 合 を 通 し 、 重 要 な 細 胞 内 メ ッ セ ン ジ ャ ー と し て Akt を 通 じ て Nrf2 の 調 節 に 影 響 を 与 え て い る こ と を 示 唆 し て い る 。 Nrf2 の 恒 常 的 な 発 現 維 持 に 関 し て 、 2 通 り の メ カ ニ ズ ム を 想 定 す る こ と が で き る 。 第 1 は 、 上 記 の よ う な ROS 生 成 に

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34 伴 う Nrf2 の 応 答 機 構 。 第 2 は 、 潜 在 的 な リ ス ク と し て の ROS に 対 し 、 事 前 準 備 と し て 安 定 的 に 発 現 し て い る と い う も の で あ る [27,46,49,50] 。 後 者 に お け る 実 際 の メ カ ニ ズ ム は 解 明 さ れ て お ら ず 、 通 常 状 態 で の Nrf2 の 活 性 化 は 過 度 な 酸 化 ス ト レ ス に 対 す る 細 胞 保 護 の た め と 考 え ら れ る 。 興 味 深 い こ と に 、 Wruck ら は 、 Nrf2 KO マ ウ ス が 抗 体 誘 発 性 関 節 炎 ( AIA) の 間 に 、 よ り 重 度 の 軟 骨 損 傷 お よ び よ り 酸 化 的 損 傷 を 有 す る こ と を 報 告 し た [51] 。 こ の モ デ ル マ ウ ス は 、 ROS の 中 和 作 用 欠 損 の た め に 酸 化 的 ス ト レ ス 損 傷 を 蓄 積 す る 可 能 性 が あ る 。 マ ウ ス 軟 骨 の 発 生 に お い て 、 E15.5 で は 、 脛 骨 に お け る 増 殖 お よ び 前 肥 大 軟 骨 細 胞 に お い て Nrf2 発 現 が 観 察 さ れ 、 出 生 後 の 海 綿 骨 に お け る す べ て の 軟 骨 細 胞 層 お よ び 骨 芽 細 胞 に お い て 発 現 が 維 持 さ れ る [52] 。 正 常 な 軟 骨 は 無 血 管 組 織 で あ る た め 、 軟 骨 細 胞 は 基 本 的 に 高 度 に 低 酸 素 状 態 で 存 在 す る 。 炎 症 ま た は 血 管 侵 襲 が 起 こ る と 、 軟 骨 細 胞 は 酸 化 ス ト レ ス に 曝 さ れ る 。 さ ら に 、 過 度 の 運 動 ま た は 外 傷 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る 圧 迫 力 学 的 ス ト レ ス は 、 酸 化 ス ト レ ス の 主 要 な 原 因 と な る 。 し た が っ て 、 Nrf2 タ ン パ ク 質 が 軟 骨 の 全 て の 層 に 存 在 す る と す る 報 告 は 、 酸 化 ス ト レ ス の 潜 在 的 な 危 険 性 か ら 保 護 す る と い う 観 点 か ら す る と 軟 骨 細 胞 で の 必 要 性 は 極 め て 高 い 。 HA レ ベ ル 、 Nrf2 蓄 積 量 お よ び OA 病 原 性 を 関 連 付 け る た め に は 、 疫 学 研 究 を 含 む さ ら な る 検 証 が 不 可 欠 で あ る が 、 本 研 究 に お い て HA に よ る 軟 骨 組 織 の 保 護 機 構 の 一 端 を 解 明 で き た こ と は 、 今 後 、 軟 骨 の 恒 常 性 の 理 解 を 深 め る 上 で 重 要 な 知 見 に な る と 考 え ら れ る 。

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~ 第 2 部 第 6 節 概 要 ~

関 節 内 関 節 炎 に お け る 酸 化 ス ト レ ス は 、 組 織 変 性 お よ び 炎 症 性 メ デ ィ エ ー タ ー の 産 生 に 関 与 す る こ と が 示 さ れ て い る 。 COX-2 は 、 炎 症 作 用 、 疼 痛 お よ び 炎 症 組 織 に お け る 様 々 な 異 化 反 応 の メ デ ィ エ ー タ ー で あ る 。 本 研 究 で は 、 ウ シ 滑 膜 線 維 芽 細 胞 に お け る 酸 化 ス ト レ ス と Cox-2 発 現 と の 間 の 直 接 的 な 関 係 に つ い て 検 証 し た 。 さ ら に 、 酸 化 ス ト レ ス が TAK1 活 性 化 を 介 し て MAPKs お よ び NF-κ B の リ ン 酸 化 を 誘 導 し 、 Cox-2 お よ び プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン E2(Pge2)の 発 現 を 増 加 さ せ る 新 規 メ カ ニ ズ ム を 明 ら か に し た 。 最 後 に 、 体 外 お よ び 体 内 で 、 N-ア セ チ ル シ ス テ ア ミ ン (NA)お よ び ヒ ア ル ロ ン 酸 (HA)な ど の 抗 酸 化 剤 を 補 充 す る こ と に よ っ て 、 ROS 誘 発 性 Cox-2 発 現 が 阻 害 さ れ る こ と を 実 証 し た 。

本 研 究 の 成 果 か ら 、 酸 化 ス ト レ ス は 滑 膜 線 維 芽 細 胞 に お け る Cox-2 の 産 生 に 重 要 な 因 子 で あ り 、 酸 化 ス ト レ ス の 中 和 は 慢 性 関 節 疾 患 の 緩 和 療 法 に お け る 有 効 な 戦 略 と し て 期 待 さ れ る 。

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~ 第 7 節 緒 言 ~

正 常 な 代 謝 に よ っ て 生 成 さ れ る 活 性 酸 素 種 ( ROS) は 、 細 胞 内 シ グ ナ ル 伝 達 カ ス ケ ー ド に お い て 重 要 な 生 物 学 的 メ デ ィ エ ー タ ー の 1 つ で あ る [53]。 適 度 な 量 の ROS は 、 病 原 体 か ら の 保 護 、 創 傷 治 癒 お よ び 組 織 再 生 を 含 む い く つ か の 生 理 学 的 プ ロ セ ス に 有 益 な 効 果 を 有 す る こ と が 知 ら れ て い る [54,55]。 一 方 、 ROS は 、 紫 外 線 [56]、 喫 煙 [57]、 ア ル コ ー ル [58]、 い く つ か の 薬 物 [59,60]、 虚 血 - 再 灌 流 傷 害 [61]お よ び 炎 症 性 障 害 [62]等 で 大 量 に 生 成 さ れ 有 害 な 影 響 を 与 え る 。 ROS の 不 均 衡 レ ベ ル は 、 心 臓 血 管 疾 患 、 神 経 変 性 、 癌 お よ び 慢 性 炎 症 な ど の さ ら な る 疾 患 発 症 を 引 き 起 こ す [55,57]。 関 節 に お け る 酸 化 的 ス ト レ ス は 、 関 節 炎 に お け る 炎 症 性 メ デ ィ エ ー タ ー と し て 関 与 し て い る こ と が 示 さ れ て い る [54,63]。 関 節 内 ROS は 、 コ ラ ー ゲ ン の 加 水 分 解 お よ び メ タ ロ プ ロ テ ア ー ゼ の 活 性 化 の 原 因 と な り 、 軟 骨 に お け る 細 胞 外 マ ト リ ッ ク ス の 分 解 を も た ら し [64-67]、 変 形 性 関 節 症 ( OA) の 病 因 を 引 き 起 こ す 可 能 性 が あ る [63,68,69]。 ま た 、 自 己 免 疫 性 炎 症 性 疾 患 で あ る 関 節 リ ウ マ チ ( RA) で は 、 RA に お い て 顕 著 な 症 状 で あ る 破 壊 的 な 増 殖 性 滑 膜 炎 に 直 接 的 に 寄 与 す る 酸 化 ス ト レ ス も 伴 う [54,70]。 OA や RA の よ う な 慢 性 関 節 炎 で は 、 高 レ ベ ル の シ ク ロ オ キ シ ゲ ナ ー ゼ ( COX) -2 が 検 出 さ れ る [71,72]。 COX 酵 素 に は 2 つ の ア イ ソ フ ォ ー ム が あ る : COX-1 は 、 ほ と ん ど の 細 胞 に お い て 構 成 的 に 発 現 さ れ る 。 一 方 、 COX-2 は 炎 症 に よ り 劇 的 に ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト さ れ 、 組 織 損 傷 を も た ら す 炎 症 お よ び 反 応 の 多 く の 特 徴 を 媒 介 す る プ ロ ス タ グ ラ ン ジ ン ( PG) の 産 生 に 寄 与 す る [73] 。 関 節 炎 で は 、 血 管 内 皮 細 胞 、 浸 潤 単 核 炎 症 細 胞 お よ び 子 宮 筋 線 維 芽 細 胞 様 細 胞 に お け る COX-2 の 局 在 が よ く 観 察 さ れ る [71] 。 COX-2 の 発 現 は イ ン タ ー ロ イ キ ン ( IL) -1 や 腫 瘍 壊 死 因 子 ( TNF) -α な ど

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37 の 炎 症 性 サ イ ト カ イ ン や 血 小 板 由 来 増 殖 因 子 ( PDGF ) な ど の 増 殖 因 子 に よ り 、 正 に 調 節 さ れ る こ と が 報 告 さ れ て い る [74,75]。 興 味 深 い こ と に 、 ROS と Cox-2 と の 関 係 は 異 な る 細 胞 種 で 報 告 さ れ た 。 Barbieri ら は 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ に お い て NF-κ B お よ び ERK1 / 2 の 活 性 化 を 介 し た ROS 産 生 に よ っ て Cox-2 発 現 が 誘 発 さ れ 得 る こ と を 明 ら か に し た [24] 。 Mari ら は 、 抗 酸 化 物 質 の 補 給 が 腸 筋 線 維 芽 細 胞 に お い て IL-1 α に よ り 誘 発 さ れ る Cox-2 の 発 現 を 減 少 さ せ る こ と を 実 証 し た [74]。 望 ま し く な い ROS お よ び /ま た は Cox-2 は 、 慢 性 関 節 炎 症 に お け る 極 め て 重 要 な 治 療 タ ー ゲ ッ ト で あ り 、 ROS と Cox-2 と の 関 係 を 明 ら か に す る こ と は 、 効 果 的 な 治 療 法 を 開 発 す る 上 で 重 要 で あ る 。

本 章 で は 、( i) 体 外 で の ROS 添 加 後 の Cox-2 発 現 の プ ロ フ ァ イ ル を 評 価 す る こ と 、( ii) ROS が ど の よ う に 滑 膜 線 維 芽 細 胞 に お け る Cox-2 発 現 を 増 強 す る か を 理 解 す る こ と を 目 的 と し た 。

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~ 第 8 節 材 料 と 方 法 ~

1. 動 物 の 飼 育 環 境 と 利 用

動 物 の 使 用 は 、 近 畿 大 学 医 学 部 動 物 実 験 セ ン タ ー の 規 定 に 準 拠 し て 行 っ た 。 そ れ ぞ れ 用 い た マ ウ ス は 、 飼 料 お よ び 水 の 自 由 摂 取 、 個 々 の ケ ー ジ に て 飼 育 を 行 っ た 。 動 物 は 、 照 明 下 で 14 時 間 お よ び 暗 闇 下 で 10 時 間 、 人 工 的 に 制 御 さ れ る 明 暗 領 域 に て 飼 育 し た 。 飼 育 室 の 室 温 は 20℃ 〜 25℃ に 維 持 し た 。 全 手 術 は 、 50mg / kg ペ ン ト バ ル ビ タ ー ル ナ ト リ ウ ム の 腹 腔 内 注 射 に よ る 全 身 麻 酔 お よ び エ ピ ネ フ リ ン を 含 む 2% キ シ ロ カ イ ン の 局 所 麻 酔 下 で 行 っ た 。

2. 滑 膜 由 来 線 維 芽 細 胞 ( SF 細 胞 ) の 培 養

滑 膜 組 織 は 、 屠 殺 場 か ら 入 手 し た 、 生 後 約 10 ヶ 月 の 仔 牛 の 中 手 指 節 ( MP) 関 節 か ら 採 取 し た 。 SF 細 胞 は 、 2mg/ml コ ラ ゲ ナ ー ゼ [ W ako] を 37℃ で 6 時 間 酵 素 消 化 す る こ と に よ り 、 滑 膜 組 織 か ら 単 離 し た 。 濾 過 後 、 細 胞 を 培 養 プ レ ー ト に 播 種 し 、 37℃ お よ び 5% CO2、 20% O2 で 48 時 間 、 10% FCS α -MEM 中 で 培 養 し た 。

3. SF 細 胞 の 処 理 条 件

H2O2 に 曝 露 す る 前 に 、 SF 細 胞 を 0.1 % ウ シ 血 清 ア ル ブ ミ ン [ BSA 、 Sigma-Aldrich ] 、 1 % イ ン ス リ ン ト ラ ン ス フ ェ リ ン / セ レ ン [ Thermo Fisher Scientific ] お よ び 1 % 抗 生 物 質 / 抗 真 菌 溶 液 [ Thermo Fisher Scientific] を 含 む 無 血 清 培 地 で 24 時 間 培 養 し た 。 以 下 の 試 薬 を 添 加 す る 際 は 、 SF 細 胞 を こ れ ら の 条 件 下 で 24 時 間 培 養 し た 。 10μ M p38MAPK 特 異 的 阻 害 剤 SB203580 [ W ako ] 、 5 μ M MEK / Erk 特 異 的 阻 害 剤

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PD0325901 [ W ako] 、 10μ M JNK 特 異 的 阻 害 剤 SB600125 [ W ako] 、 10μ M NF-κ B 特 異 的 阻 害 剤 Bay11-7082[ Sigma] 、 5μ M TAK1 特 異 的 阻 害 剤 5Z-7-Oxozeaenol[ Sigma] 、 2mg/ml ヒ ア ル ロ ン 酸 [ SUVENYL、 約 800-1500KDa、 中 外 製 薬 ] 、 100μ M N-ア セ チ ル シ ス テ イ ン [ nacalai tesque] を そ れ ぞ れ 使 用 し た 。

4. ア ミ ノ フ ェ ニ ル フ ル オ レ セ イ ン ( APF ) を 利 用 し た 体 外 で の 細 胞

内 活 性 酸 素 種 ( ROS) の 測 定

2 継 代 目 ま で の ウ シ SF 細 胞 を 6 ウ ェ ル プ レ ー ト に 播 種 し 、 一 晩 培 養 を 行 っ た 。 そ の 後 、 5μ M APF[ 積 水 メ デ ィ カ ル ] と と も に 37℃ で 30 分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 培 養 培 地 で 2 回 洗 浄 し た 後 、 HA を 含 む /含 ま な い H2O2 で 細 胞 を 2 時 間 処 理 し た 。 次 い で 、 細 胞 を TrypLE Express

[ Thermo Fisher Scientific] に よ り 剥 離 し 、 PBS(-)で 再 懸 濁 し 、 96 ウ ェ ル ブ ラ ッ ク ボ ト ム ア ッ セ イ プ レ ー ト [ Corning ] に 入 れ 、 蛍 光 強 度 を 、 W allac ARVO MX 1420 マ ル チ ラ ベ ル カ ウ ン タ ー [ Perkin Elmer Japan] に よ っ て 分 析 し た 。

5. RNA 抽 出 → 逆 転 写 反 応 → 定 量 的 RT-PCR( qRT-PCR) 解 析

p13 を 参 照 。 な お 、 プ ラ イ マ ー は 表 4 を 参 照 。

6. ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト に よ る タ ン パ ク 質 発 現 解 析

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7. ELISA ア ッ セ イ

SF 細 胞 中 の PGE2 濃 度 を 評 価 す る た め に 、 試 料 を 15 % メ タ ノ ー ル +0.1M リ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 緩 衝 液 ( pH7.5) 中 で 溶 解 し 、 12,000rpm で 5 分 間 遠 心 分 離 し た 。 遠 心 終 了 後 、 上 清 を 回 収 し た 。 各 実 験 区 に つ い て 、 溶 解 物 の 上 清 100μ l を 、 ヒ ト PGE2 ELISA キ ッ ト [ OXFORD BIOMEDICAL RESERCH] に 付 属 さ れ た 96 ウ ェ ル ELISA プ レ ー ト の ウ ェ ル に 添 加 し 、 検 出 抗 体 お よ び 発 色 基 質 で 、 製 品 の プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て 処 理 し た 。 50μ l の 1M H2SO4 を 各 ウ ェ ル に 添 加 す る こ と に よ っ て 反 応 を 停 止 さ せ 、 蛍 光 波 長 を 450nm で 測 定 し た 。 PGE2 ELISA キ ッ ト 中 に 提 供 さ れ た 溶 液 を 段 階 的 に 希 釈 し た も の を 標 準 曲 線 作 製 用 の コ ン ト ロ ー ル サ ン プ ル と し て 用 い 、 検 出 さ れ た 値 で 作 製 さ れ た 標 準 曲 線 に 基 づ い て PGE2 濃 度 を 測 定 し た 。

8. 外 科 的 OA モ デ ル マ ウ ス の 作 製 お よ び 薬 物 治 療

実 験 的 ・ 外 科 的 に 作 製 さ れ る OA モ デ ル は 、 こ れ ま で に 記 載 さ れ て い る よ う に 、 内 側 メ ニ ス カ ス ( DMM) の 外 科 的 不 安 定 化 に よ っ て 誘 発 し 、 作 製 さ れ た も の で あ る [77,78]。 本 研 究 で は 、 8 週 齢 の 雄 マ ウ ス の み を 使 用 し た 。 麻 酔 下 で 、 右 膝 関 節 嚢 を 露 出 さ せ 、 内 側 半 月 靱 帯 を 顕 微 鏡 下 で 切 断 し た 。 こ う す る こ と で 内 側 半 月 板 の 不 安 定 化 を 生 じ さ せ OA モ デ ル と し て 経 過 観 察 し た 。 外 科 手 術 か ら 4 週 間 後 、 20μ l の HA[ SUVENYL、 中 外 製 薬 ] ま た は コ ン ト ロ ー ル と し て 同 量 の 生 理 食 塩 水 を 関 節 内 注 射 し た 。 注 入 処 理 か ら 4 日 後 、 そ れ ら の マ ウ ス を 炭 酸 ガ ス に て 安 楽 死 さ せ 、 膝 関 節 を 回 収 し 、 凍 結 切 片 に し て 分 析 に 使 用 し た 。

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9. 組 織 学 的 解 析 お よ び 免 疫 蛍 光 染 色 に よ る 定 量 解 析

ROS の 蓄 積 を 評 価 す る た め に 、 カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 免 疫 組 織 化 学 染 色 キ ッ ト [ SHIMA Laboratories ] を 用 い た 。 細 胞 ま た は 組 織 中 で 生 成 さ れ た ROS は 、 周 囲 の タ ン パ ク 質 お よ び 改 変 リ ジ ン 、 ア ル ギ ニ ン 、 プ ロ リ ン お よ び ト レ オ ニ ン 側 鎖 ア ミ ン と ア ミ ノ ア シ ル 結 合 の カ ル ボ ニ ル 化 に 反 応 す る 。 し た が っ て 、 ROS の 蓄 積 を カ ル ボ ニ ル 化 タ ン パ ク 質 の 存 在 と し て 検 出 し 定 量 化 す る こ と が で き る [79] 。 免 疫 蛍 光 お よ び 組 織 学 的 分 析 は 、 メ ー カ ー の Protein Carbonyls Immunohistochemical Staining Kit の 製 品 プ ロ ト コ ー ル に 従 っ て 行 っ た 。 膝 関 節 を 固 定 し 、 脱 灰 液 K-CX[ FALMA ] で 脱 灰 し た 。 組 織 学 的 観 察 の た め に 、 サ ン プ ル を 脱 水 し 、 コ ン パ ウ ン ド に 包 埋 し 、 凍 結 ブ ロ ッ ク と し た 。 次 い で 、 切 片 を Safranin-O [ Sigma ] で 染 色 す る か 、 Alcian blue[ Wako] で 二 重 染 色 し た 。 膝 関 節 凍 結 ブ ロ ッ ク を ク リ オ ス タ ッ ド に て 切 片 を 作 製 し Block Ace で 1 時 間 ブ ロ ッ ク し た 。 次 い で 、 0.1 % Triton-TBS( TBS-T) で 2 回 洗 浄 し 、 4℃ で 一 晩 各 抗 体 ( 表 6) を 300 倍 希 釈 し て イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 次 い で 、 検 体 を 10 % ブ ロ ッ ク エ ー ス を 含 む TBS-T で 2 回 洗 浄 し 、 1/1000 希 釈 し た FITC 結 合 抗 ウ サ ギ IgG ウ シ 二 次 抗 体 と 共 に イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 2 回 洗 浄 し た 後 、 1/1000 に 希 釈 し た DAPI を 蛍 光 顕 微 鏡 [ BZ-9000、 キ ー エ ン ス ] を 用 い て 観 察 し た 。 軟 骨 - 滑 膜 接 合 部 に お け る 2,4-ジ ニ ト ロ フ ェ ノ ー ル ( DNP) お よ び Cox-2 陽 性 細 胞 を 、 BZ-9000 ソ フ ト ウ ェ ア [ キ ー エ ン ス ] に よ っ て 定 量 し た 。 統 計 解 析 は 、 Tukey-Kramer HSD 試 験 ま た は ス チ ュ ー デ ン ト t 検 定 に よ っ て 行 っ た 。 P<0.05 を 有 意 と 見 な し た 。

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~ 第 9節 結 果 ~

滑 膜 (SF)細 胞 に お け る ROS誘 導 性 Cox-2/PGE2の 遺 伝 子 発 現

最 初 に SF細 胞 に お け る H2O2の 添 加 が ROS産 生 を 誘 導 し Cox-2/PGE2 の 発 現 を 上 昇 さ せ 、 疼 痛 の 促 進 に 寄 与 す る も の か 検 討 し た 。 H2O2は 濃 度 依 存 的 に 細 胞 内 ROS レ ベ ル を 増 加 さ せ た ( Fig7-A )。 同 様 に 、 濃 度 に 依 存 し て Cox-2 遺 伝 子 の 発 現 が 増 加 す る こ と が qRT-PCR に よ っ て 明 ら か に な っ た ( Fig7-B)。 さ ら に 、 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に よ り 、 Cox-2は SF細 胞 を 50 μ Mお よ び 100μ Mの H2O2で 刺 激 し た と き に 有 意 に 増 加 す る こ と が 示 さ れ た

( Fig7-C)。 次 に 、 Cox-2の 下 流 分 子 で あ る PGE2に 対 す る ELISAア ッ セ イ を 行 っ た 。 ELISAも こ れ ま で の 結 果 と 一 致 し 、 H2O2の 濃 度 依 存 的 に PGE2の 有

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Fig7: H

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添 加 に よ る SF細 胞 に お け る Cox-2の 発 現 を 誘 導 す る

A: APF染 色 に よ る SF細 胞 に 対 す る H2O2刺 激 後 の 細 胞 内 ROSの 測 定

解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。 B: H2O2刺 激 後 の Cox-2 mRNA発 現 の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。 C: H2O2刺 激 後 の SF細 胞 に お け る Cox-2タ ン パ ク 質 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 D : ELISA に よ る 用 量 依 存 的 な H2O2刺 激 に よ る PGE 2発 現 の 検 出 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。

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H

2

O

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添 加 に よ る MAPKs お よ び NF-κ B の 活 性 化 が Cox-2/PGE2 の 遺

伝 子 発 現 に 及 ぼ す 影 響

過 去 の 研 究 に お い て 、 マ ク ロ フ ァ ー ジ に お い て セ カ ン ド メ ッ セ ン ジ ャ ー で あ る ROSに よ り 、 MAPKs お よ び / ま た は NF- κ Bの カ ス ケ ー ド が 活 性 化 さ れ 、 潜 在 的 に Cox-2お よ び PGE2の 発 現 上 昇 を 誘 導 す る こ と が 示 さ れ て い る [76] 。 し た が っ て 、 MAPKs お よ び / ま た は NF- κ B が SF 細 胞 に お い て も ROS 誘 導 性 の Cox-2発 現 に と っ て 重 要 な 役 割 を 果 た す と 仮 説 を 立 て た 。 100μ M H2O2で SF細 胞 を 刺 激 し た 後 、 炎 症 マ ー カ ー で あ る リ ン 酸 化 p38、 JNK、 Erk お よ び I κ B の 明 確 な 増 強 が ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 に よ っ て 検 出 さ れ た ( Fig8-A)。 MAPKsお よ び NF-κ Bの リ ン 酸 化 状 態 が Cox-2お よ び そ れ に 続 く PGE2 発 現 に 関 連 す る か 検 証 す る た め に 、 H2O2添 加 と 同 時 に MAPKs ま た は NF-κ B阻 害 剤 で 処 理 し 、 そ の 後 の Cox-2お よ び PGE2の 発 現 に つ い て 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 SF 細 胞 が p38 リ ン 酸 化 阻 害 剤 : SB203580 の 存 在 下 で H2O2 処 理 し た 場 合 、 H2O2に よ る Cox-2 の 発 現 誘 導 は 抑 制 さ れ た 。 同 様 に 、 ERK ま た は NF-κ B阻 害 剤 の 添 加 は 、 H2O2に よ る Cox-2の 発 現 を 有 意 に 減 少 さ せ た 。 一 方 、 JNK阻 害 剤 は 、 ROS誘 発 性 の Cox-2発 現 に 何 ら 影 響 を 示 さ な か っ た ( Fig8-B)。 さ ら に 、 H2O2に よ る Cox-2 タ ン パ ク 質 の 蓄 積 は 、 p38 、 ERK

ま た は NF- κ B 阻 害 剤 に よ る 処 理 に よ っ て 抑 制 さ れ た ( Fig8-C )。 次 に 、 ELISA ア ッ セ イ に よ っ て 、 Cox-2 発 現 の 変 化 が 下 流 の PGE2 に 反 映 さ れ る か 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 H2O2添 加 は PGE2タ ン パ ク 質 の 発 現 量 を 約 2.2倍 上 昇

さ せ 、 p38、 ERK お よ び NF-κ B阻 害 剤 は ベ ー ス ラ イ ン へ と 発 現 レ ベ ル を そ れ ぞ れ 弱 め る 効 果 が あ る こ と が 示 さ れ た ( Fig8-D)。

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Fig8 : H

2

O

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添 加 に よ る 、 SF 細 胞 に お け る MAPKs お よ び

IκBの リ ン

酸 化 を 介 し た Cox-2お よ び PGE2の 発 現

A: H2O2処 理 後 の SF細 胞 に お け る リ ン 酸 化 p38、 JNK、 Erkお よ びIκB

の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 B: MAPKs/NF-κB阻 害 剤 で 処 理 し た H2O2添 加 SF細 胞 に お け る Cox-2 発 現 の qRT-PCR解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。 C: MAPKs/NF-κB阻 害 剤 で 処 理 し た H2O2添 加 SF細 胞 に お け る Cox-2 発 現 の ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 解 析 。 D: MAPKs/NF-κB阻 害 剤 で 処 理 し た H2O2添 加 SF細 胞 に お け る PGE2 発 現 の ELISA解 析 (n=3)。 異 符 号 間 に 有 意 差 有 (P <0.05)。

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H

2

O

2

添 加 SF 細 胞 お け る TAK1 を 介 し た MAPK お よ び NF-κ B の

活 性 化

ROS の 産 生 に よ っ て MAPKs お よ び NF-κ B が 同 時 に 活 性 化 さ れ る こ と か ら 、 ROS 誘 導 性 Cox-2/PGE2 の 発 現 に は 複 数 の 上 流 分 子 が 関 与 す る と 仮 説 を 立 て た 。 こ れ ま で の 報 告 か ら 、 ROS 誘 導 性 MAPKs 活 性 化 に お け る TAK1 の 関 与 が 示 唆 さ れ て い る [80,81]。 そ こ で 、 H2O2 処 理 が TAK1 の リ ン 酸 化 に 影 響 す る か 検 討 し 、 SF 細 胞 の 培 養 に お け る H2O2 処 理 が TAK1 の リ ン 酸 化 を 引 き 起 こ す こ と を 見 出 し た 。 TAK1 阻 害 剤 : 5Z-7-Oxozeaenol を 添 加 し て 培 養 し た 結 果 、 下 流 の 分 子 で あ る p38、 Erk お よ び NF-κ B の リ ン 酸 化 を そ れ ぞ れ 阻 害 し た ( Fig9-A)。 重 要 な こ と に 、 H2O2 処 理 中 の TAK1 阻

害 が も た ら す 効 果 と し て 、 RNA( B) お よ び タ ン パ ク 質 レ ベ ル ( Fig9-C, D) で の Cox-2/PGE2 発 現 を 完 璧 に 抑 制 し た 。

表 1.  使 用 siRNA 一 覧
表 2.  使 用 プ ラ イ マ ー 一 覧
表 3.  使 用 抗 体 一 覧
Fig2 : HA 添 加 に よ る 抗 酸 化 剤 お よ び 第 II 相 解 毒 酵 素 の 遺 伝 子 発 現 へ の 影 響
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参照

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