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外来通院をしている血液疾患患者の自己効力感 ―血液腫瘍患者と非血液腫瘍患者の比較―

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外来通院をしている血液疾患患者の自己効力感

血液腫瘍患者と非血液腫瘍患者の比較

吉 田 久美子, 石 田 和 子, 瀬 山 留 加

中 村 江 里, 神 田 清 子

要 旨 【背景・目的】 近年,血液腫瘍患者は化学療法を外来で受ける傾向にあり,セルフケアが必要となる.また,再 生不良性 血などの非血液腫瘍患者においても 血や 怠感などの症状を緩和するセルフケアの重要性が指 摘されている. 自己効力感はセルフケアを促進するために必要不可欠な要素である. 本研究の目的は腫瘍患 者と非腫瘍患者の自己効力感の影響要因を 析し, 看護支援を検討することである. 【対象と方法】 対象者 は 2つの大学病院の血液外来において研究参加の承諾が得られた 20歳以上の患者である. 調査は自己効力 感尺度を用いて行い, 腫瘍患者 110名と非腫瘍患者 90名を比較した. 【結 果】 情緒的支援ネットワーク の比較では家族内・家族以外ともに腫瘍患者の方が非腫瘍患者よりも低く有意差が認められた. 自己効力感 得点は, 腫瘍患者平 31.5点 (標準偏差 5.3点), 非腫瘍患者 31.8点 (標準偏差 5.7点) であり有意差はなかっ た. 医学診断では全ての診断の中で急性白血病の対象者の自己効力感得点がもっとも低かった. 2群の自己効 力感得点を比較した結果, 性別で 互作用があった. また, 全身状態のレベルで有意差が認められ, 状態が悪 く活動範囲が狭い対象者ほど自己効力感得点が低かった. 【結 語】 血液疾患患者の自己効力感を高める ためには性別や全身状態等を 慮した関わりが必要であり, また腫瘍患者への情緒的支援の重要性が明確に なった.(Kitakanto Med J 2007;57:7∼15) キーワード:外来通院, 血液疾患患者, 自己効力感, 腫瘍患者, 非腫瘍患者 は じ め に 血液腫瘍患者 (以下,腫瘍患者と示す)は維持療法の化 学療法を外来で受ける傾向にあり日常のセルフケアは患 者自身に任される場合が多い. そのため患者がいかに自 己効力感をもちつつ腫瘍という不確かな疾患と共存でき るかが課題である. また, 再生不良性 血などの非血液 腫瘍患者 (以下,非腫瘍患者と示す)は 血や 怠感など の身体的状態を安定させるために, 長期に渡り薬物治療 や症状を軽減するための生活の工夫が必要である. そこ で, 患者は 血や 怠感などの症状を軽減できるよう, 生活の中で可能なセルフケアを継続し疾患が生活に及ぼ す影響を最小にしていくことが課題である. そして, そ の課題の遂行には自己効力感が必要不可欠な要素と え られる. これまでがん患者の自己効力感を焦点とした海外の研 究は,QOL や症状を視点とした研究やがんへの適応など の研究が数多く行われている. 特に Elise は腫瘍患者の 自己効力感尺度 (SUPPH 尺度) を開発し, その尺度を活 用しがんの患者の自己効力感は QOL へ影響を及ぼすこ とを明らかにしている. 一方, 国内における自己効力感の研究の多くは, 糖尿 病や腎不全などの慢性疾患をもつ患者の自己管理を促進 することを目的に取り組まれてきた. また, がん患者の 自己効力感について塚本により「がん患者自己効力感尺 度」が開発され, その尺度を活用した筆者らの研究 によ 1 東京都八王子市宮下町476 杏林大学保 学部看護学科 2 群馬県前橋市昭和町3-39-22 群馬大学医学部附属病院 3 群馬県高崎市大類町37-1 高崎 康福祉大学 4 東京都文京区本郷3-1-3 順天堂大学医学部付属病院 5 群馬県前橋市 昭和町3-39-22 群馬大学医学部保 学科臨床看護学講座 平成18年11月1日 受付 論文別刷請求先 〒192-8508 東京都八王子市宮下町476 杏林大学保 学部看護学科 吉田久美子

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り血液腫瘍患者の自己効力感の影響要因には, 情緒的支 援ネットワークや疾患・治療の理解などがあることが明 確にされた. しかし, 腫瘍患者と非腫瘍患者のそれぞれ の自己効力感の実態を比較し, その結果をふまえ看護を 検討している文献は見あたらない. 現在, 多くの病院の血液外来では患者の医学診断やセ ルフケアの状態を 慮した看護を心がけながらも, それ ぞれの患者にきめ細かく対応していくことは人員数や対 応時間の不足などの理由のため困難な状況にある. しかし患者にとっては治療が外来へ移行し自宅でマネジ メントをしていく必要があり, 外来受診時は看護師と関 わる重要な機会である. そこで, 腫瘍患者と非腫瘍患 者の自己効力感に影響する要因の違いを 慮しながら看 護援助をするために, 自己効力感の相違や関連する要因 について比較し, 看護の示唆を得る必要がある. 目的 本研究の目的は外来通院をしている腫瘍患者と非腫瘍 患者の自己効力感について比較し, その結果をふまえ自 己効力感を高める看護を検討することである. 用語の操作的定義 自己効力感 ある状況において必要な行動を遂行できるという確信 に対する自己の感じ方とする. セルフケア 自 自身の生命と 康な機能, 及び安寧を維持し促進 するための活動とする. 情緒的支援ネットワーク ソーシャル・サポートの 1つであり, 患者が抱えた問 題や悩みに対し, 家族あるいは家族以外の人が安心させ る, 察するなどの情緒的な支援やつながりをさす. 対 象 ・ 方 法 対象者 A・B大学医学部附属病院に外来通院中の血液疾患患 者で外来担当医師の許可が得られた患者 225名のうち, 患者の同意があり有効回答の得られた 200名 (腫瘍患者 110名,非腫瘍患者 90名)を対象者とした.対象者の選定 は, 20歳以上で治験中ではないことなどの条件に該当し た患者とした. 調査方法 対象者へ本調査の趣旨を紙面・口頭にて説明した. ま た質問票の記載と研究者が診療録の一部を閲覧すること も含め説明し研究への参加の同意を得た後, 自己記入式 質問票を受診前に配布した. 回収は次回受診日など患者 の都合に応じ投函できるよう回収箱にて回収した. その 後, 診療録からデータ収集を行った. 調査内容 質問票の主な内容は一般的背景, 自己効力感, 情緒的 支援ネットワーク,疾病・治療の理解,セルフケアの獲得 状況とした. 診療録からは医学診断, 外来通院期間など の情報を得た. 測定用具 一般的背景 性格型 今井ら が用いた 類で, 感情表現や行動に対して抑 制的で情緒不安定な内向型 (Ⅰ型) と活動的で情緒安定 的な外向型 (Ⅱ型), 内向型・外向型以外の型の 類を用 いた. Performance Status (以下 PS と示す) ECOG により開発された全身状態の指標を用いた. 0 ∼ 4の 5段階により全身状態の他覚的指標としている. 自己効力感 塚本 が開発し信頼性・妥当性が証明されているがん 患者用自己効力感尺度を 用した (α=0.90). この尺度 は, 日常生活行動の効力感の下位尺度 5項目 (α=0.85), 感情統制の効力感の 5項目 (α=0.81) の計 10項目から なる. 回答は「全く思わない」, あまり思わない」, 少し 思う」, とても思う」について 4段階選択肢で測定し得 点範囲は 10∼40点となる. 情緒的支援ネットワーク 宗像 が開発し信頼性・妥当性が証明されている「情緒 的支援ネットワーク尺度」を 用した (α=0.89).この尺 度は「家族内」と「家族以外」の支援者について「いる」, いない」の 2段階尺度で測定し「いる」と答えた場合を 1点, いない」の場合を 0点とし 10項目の得点を指標と する. 8点以上は支援があり関係が良い, 7∼ 6点は中く らい, 5点以下は関係が悪いか, あきらめているかであ る. 疾病・治療の理解 血液疾患患者が必要とする疾病・治療の理解に対する 研究 14を参 に研究者が独自に作成した. 質問項目は 康管理の必要性の理解,症状の理解,薬の作用・副作用 の理解である. 尺度は「わからない」を 1点, あまりわ からない」を 2点, まあまあわかっている」を 3点, よ くわかっている」を 4点の 4段階とした. セルフケアの獲得状況 研究者が先行研究 を参 に定期受診, 睡眠と休息へ の配慮, 食事への配慮などの項目を作成した. 尺度は患 者の獲得状況に対する認識の程度から「全く気をつけて いない」を 1点, ほとんど気をつけていない」を 2点, 少し気をつけている」を 3点, とても気をつけている」 を 4点と配点した. 質問項目の妥当性については, 予備調査を実施後, 修 士以上の学位を有しがん看護を専門とする看護研究者 3

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名と検討し 100%の一致を得た. 調査期間 2004年 7月 15日∼2004年 9 月 30日 対象者への倫理的配慮 研究の実施にあたり, 関連する 3機関の倫理審査を受 け承認を得た. また患者へは参加の自由や情報の守秘に ついて十 に説明を行い文書にて同意を得た. 集めた データは個人が特定できないよう十 注意し集計をし た. 析方法 有効回答が得られた 200名に対して, 腫瘍患者と非腫 瘍患者の出現率についてカイ 2乗検定を行い, 自己効力 感得点の平 点の差については t検定で 析した. また, 影響要因と 2群の自己効力感得点とは二元配置 散 析を行った. さらに影響要因の関連度は重回帰 析 の強制投入法を用い危険率が 5%未満を有意差があると した. この影響要因には一般的背景の各項目を投入した. 析には SPSS11.0J for Windows(SPSS社製)を用いた. 結 果 対象者の概要 背景 腫瘍患者は悪性リンパ腫や慢性白血病が多く, 非腫瘍 患者では特発性血小板減少性紫斑病がもっとも多かっ た. 年齢は腫瘍患者の平 年齢の方が高く平 年齢±標準 偏差は 58.1±14.2歳であり, 非腫瘍患者は 56.1±14.8歳 であった. 表 1に 2群の一般的背景を示した. 性別は腫瘍患者は 男性 62名 (56.3%),女性 48名 (43.6%)であり,非腫瘍患 者は男性 41名 (45.6%),女性 49 名 (54.4%)であった.入 院経験は腫瘍患者の 7割が経験があり非腫瘍患者より多 くなっていた. 家族構成は腫瘍患者と非腫瘍患者共にそ の他 2人以上がもっとも多かった. 性格型は腫瘍患者と 非腫瘍患者ともに外向型のⅡ型の方が多く, それぞれ 52 名 (47.3%) と 51名 (56.7%) であった. 情緒的支援ネットワーク 表 2に示したように腫瘍患者の「家族内」の平 点± 標準偏差は 8.4±2.7点だったが, 非腫瘍患者の方は 11. 6±2.8点と非腫瘍患者の方が高い値であった. また, 家 族以外」の腫瘍患者の値は 6.4±3.4点に留まっていたが, 非血液腫瘍患者の平 点は 12.7±3.1点と 2倍程の値で あった. 腫瘍患者と非腫瘍患者の情緒的支援ネットワー クには「家族内」, 家族以外」ともに有意差が認められた. 疾病とのつきあい方 腫瘍患者と非腫瘍患者の疾病とのつきあい方の平 点 表1 腫瘍患者と非腫瘍患者との一般的背景の比較 n=200 項 目 腫瘍患者 n=110 非腫瘍患者 n=90 n (%) n (%) X 値 性別 男性 62 (56.4) 41 (45.6) 0.18 女性 48 (43.6) 49 (54.4) n.s 仕事 あり 50 (45.5) 48 (53.3) 0.08 なし 60 (54.5) 42 (46.7) n.s 入院経験の有無 あり 75 (68.2) 47 (52.2) 5.30 なし 35 (31.8) 43 (47.8) 外来通院期間 1年未満 31 (28.2) 25 (27.8) 4.93 1年以上 3年未満 32 (29.1) 15 (16.7) n.s 3年以上 47 (42.7) 50 (55.5) Performance PS0 69 (62.7) 60 (66.7) 0.84 Statas PS1 33 (30.0) 22 (24.4) n.s PS2 6 (5.5) 6 (6.7) PS3 2 (1.8) 2 (2.2) 家族構成 ひとり 9 (8.2) 6 (6.7) 0.16 夫婦 30 (27.3) 25 (27.8) n.s その他 2人以上 71 (64.5) 59 (65.5) 性格型 Ⅰ型 32 (29.1) 30 (33.3) 2.78 Ⅱ型 59 (53.6) 51 (56.7) n.s その他 19 (17.3) 9 (10.0) 情緒的支援ネットワーク 家族内 良い 86 (78.2) 90 (100.0) 22.31 中くらい 9 (8.2) 0 0.0 悪い 15 (13.6) 0 0.0 家族以外 良い 60 (54.5) 90 (100.0) 54.55 中くらい 10 (9.1) 0 0.0 悪い 40 (36.4) 0 0.0 n.s.: Not Significant p<0.05 p<0.01 性格型は「その他」は除外し, Ⅰ型とⅡ型で t検定を行った.

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の比較は表 3に示した通り, 腫瘍患者・非腫瘍患者とも に薬の作用・副作用の理解の平 点がもっとも低かった. しかし, 3項目とも平 点に有意な差はなかった. セルフケアの 6項目では 血時の対処方法と予防のみ 有意差が認められた. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感得点の比較 本研究での Cronbachの α係数は腫瘍患者の群では 0.89, 非腫瘍患者については 0.91であり内的整合性が高 いことが確認された. 自己効力感得点は表 4に示した通り, 腫瘍患者は 17 ∼40点に 布し平 点±標準偏差 (平 点±SD) は 31.5±5.3点であり, 非腫瘍患者は 11∼40点に 布し平 点±SD は 31.8±5.7点 と 2群 の 平 点 に 大 差 は な かった. 日常生活行動の効力感の平 点±SD は腫瘍患者は 15.6±3.3点, 非腫瘍患者は 15.8±3.2点であり, もっとも 平 点が高かった項目は両群ともに「普通に日常生活を 送ることができると思う」であった.また,もっとも平 点が低かった項目は両群ともに「体力に自信があると思 う」であり 3.0点未満であった. また, 感情統制の効力感の平 点±SD は非腫瘍患者 の方がわずかに高く 16.0±3.1点であった. そして項目 別では両群ともに全ての項目が 3.0点以上であり, もっ とも平 点が高かった項目は両群とも「自 にとって大 切な人との関係を良好に保てていると思う」であった. 一方, もっとも平 点が低かった項目は「どんな時も自 の気持ちをうまく調整することができていると思う」 であった. いずれの項目でも有意差は認められなかった. 医学診断毎にみた自己効力感得点の平 点は, 腫瘍患 者の群では表 5に示した通り骨髄異形成症候群がもっと も高く 32.8点であり, 急性白血病患者の 29.3点がもっ とも低かった. 一方, 非腫瘍患者の群でもっとも平 点 表2 腫瘍患者と非腫瘍患者との情緒的支援ネットワークの比較 n=200 項目 腫瘍患者 n=110 非腫瘍患者 n=90 平 点 標準偏差 平 点 標準偏差 t値 有意確率 (p) 家族内 8.4 2.72 11.6 2.73 −8.19 0.000 家族以外 6.4 3.36 12.7 3.13 −13.67 0.000 p<0.01 表3 腫瘍患者と非腫瘍患者の疾病とのつきあい方の比較 n=200 項 目 腫瘍患者 n=110 非腫瘍患者 n=90 平 点 標準偏差 平 点 標準偏差 t値 有意確率 (p) 疾病・治療の理解 康管理の必要性の理解 3.2 0.76 3.2 0.69 −0.44 0.661 症状の理解 3.1 0.85 3.2 0.72 −1.35 0.180 薬の作用・副作用の理解 2.8 0.90 2.9 0.82 −0.97 0.335 セルフケア 休息と睡眠への配慮 3.2 0.84 3.0 0.82 1.54 0.125 食事への配慮 3.0 0.92 3.0 0.71 0.48 0.634 感染予防 2.8 0.88 2.6 0.93 1.51 0.131 出血予防 2.4 0.95 2.6 0.88 −1.05 0.294 定期受診 3.6 0.79 3.6 0.79 0.72 0.473 血時の対処方法と予防 2.6 0.96 2.9 1.11 −1.98 0.049 p<0.05 表4 腫瘍患者と非腫瘍患者との自己効力感得点の比較 n=200 項 目 腫瘍患者 n=110 非腫瘍患者=90 平 点 標準偏差 平 点 標準偏差 t値 有意確率 (p) 日常生活行動の効力感 15.6 3.25 15.8 3.22 −0.53 0.60 1 職場や家 での仕事をやりこなせると思う 3.1 0.83 3.2 0.88 −0.34 0.73 2 普通に日常生活を送ることができると思う 3.4 0.68 3.5 0.71 −0.47 0.64 3 体力に自信があると思う 2.7 0.94 2.6 0.84 0.08 0.94 4 家 での役割を十 に果たすことができると思う 3.2 0.76 3.3 0.84 −0.89 0.37 5 自 らしく生活することができると思う 3.2 0.76 3.3 0.79 −0.60 0.55 感情統制の効力感 15.9 2.69 16.0 3.09 −0.38 0.70 6 どんな時も自 の気持ちをうまく調整することができていると 思う 3.0 0.70 3.0 0.74 0.03 0.98 7 困難が生じても前向きに えることができていると思う 3.1 0.68 3.1 0.83 0.05 0.96 8 穏やかな気持ちで過ごせていると思う 3.1 0.70 3.2 0.81 −0.54 0.59 9 自 の体調を冷静に観察することができていると思う 3.2 0.64 3.3 0.65 −0.41 0.68 10 自 にとって大切な人との関係を良好に保てていると思う 3.4 0.67 3.4 0.74 −0.14 0.89 全 体 31.5 5.30 31.8 5.74 −0.25 0.81

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表5 腫瘍患者と非腫瘍患者との医学診断と自己効力感得点の平 点 n=200 腫瘍患者 n=110 医学診断 自己効力感 n (%) 得点の平 点 標準偏差 腫瘍患者 n=110 医学診断 自己効力感 n (%) 得点の平 点 標準偏差 悪性リンパ腫 37 (33.6) 32.66 4.88 特発性血小板減少性紫斑病 25 (27.8) 32.60 5.47 慢性白血病 28 (25.5) 31.64 6.45 白血球増加症 17 (18.9) 32.29 6.41 多発性骨髄腫 25 (22.7) 30.25 5.14 鉄欠乏性 血 16 (17.8) 31.94 4.43 急性白血病 14 (12.7) 29.29 3.83 再生不良性 血 14 (15.6) 30.79 4.76 骨随異形性症候群 6 ( 5.5) 32.83 4.26 血小板増加症 4 ( 4.4) 32.25 8.42 血小板減少症 3 ( 3.3) 32.33 5.69 その他 11 (12.2) 29.64 7.76 表6 腫瘍患者と非腫瘍患者との各要因での自己効力感得点の比較 n=200 項 目 内 訳 腫瘍患者 n=110 非腫瘍患者 n=90 平 点 標準偏差 平 点 標準偏差 1.腫瘍・非 腫瘍患者別 の有意確率 (p) 2.項目別の 有意確率 (p) 1と 2の 有意確率 (p) 性別 男性 32.5 5.19 30.9 6.90 0.869 0.847 0.019 女性 30.2 5.22 32.4 4.50 0.928 仕事 あり 31.8 5.18 32.3 6.18 0.568 0.184 0.718 なし 31.2 5.40 31.1 5.17 0.568 入院経験 あり 31.0 5.28 30.0 6.10 0.487 0.273 0.141 なし 32.4 5.30 33.8 4.60 0.821 外来通院期間 1年未満 31.7 5.59 31.6 7.90 0.806 0.551 0.342 1年以上 3年未満 31.0 4.80 31.6 5.20 0.952 3年以上 31.6 5.52 31.2 6.40 0.913 PerformanceStatas PS0 33.5 4.34 33.8 4.87 0.987 0.000 0.993 PS1 28.3 4.86 28.2 5.53 0.833 PS2 27.5 5.89 27.0 5.51 0.939 PS3 25.0 5.66 25.0 1.41 0.500 家族構成 ひとり 31.8 6.44 26.1 11.40 0.879 0.502 0.713 夫婦 31.6 4.75 32.2 5.50 0.805 その他 2人以上 31.4 5.44 31.7 6.10 0.484 性格型 Ⅰ型 28.0 4.61 30.6 5.50 0.585 0.195 0.059 Ⅱ型 33.8 4.93 32.2 6.10 0.433 その他 0.2 0.38 0.1 0.30 0.418 p<0.05 p<0.01 表7 腫瘍患者の重回帰 析 (強制投入法) 項 目 標準偏相関係数 (β) 有意確率 (p) 性別 −0.191 0.029 仕事 0.119 0.196 入院経験 −0.072 0.413 外来通院期間 0.013 0.879 PS −0.433 0.000 家族構成 −0.090 0.344 性格型 0.233 0.009 情緒的支援ネットワーク 家族内 0.081 0.383 家族以外 0.017 0.843 疾病と治療の理解 康管理の必要性の理解 0.174 0.236 症状の理解 −0.100 0.490 薬の作用・副作用の理解 0.141 0.196 セルフケア 定期受診 −0.166 0.088 睡眠と休息への配慮 0.111 0.361 出血予防 0.076 0.478 血時の対処方法と予防 0.185 0.057 感染予防 −0.226 0.045 食事への配慮 −0.061 0.618 重相関係数 0.458

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が高かったものは特発性血小板紫斑病の 32.6点であり, もっと も 低 かった 診 断 は 再 生 不 良 性 血 の 30.8点 で あった. 一般的背景の項目別にみた自己効力感得点の差を表 6 に示した. 腫瘍患者と非腫瘍患者と項目別の間では性別 で有意差を認め, 腫瘍患者の女性が最も自己効力感得点 が低かった. 仕事の有無と自己効力感得点では 2群とも に無職の方が自己効力感得点の平 点が低く, 入院経験 の有無について経験があるものの方が低かったが有意差 はなかった. また, PSでは 2群ともに状態が重度な対象 者ほど自己効力感得点が低く, 項目間に有意差が認めら れた. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感得点の影響要因 腫瘍患者の重回帰 析の結果は表 7に示した通り, 性 格型, 血時の対処方法と予防, 康管理の必要性の理 解の項目が特に自己効力感に影響し, 重相関係数は 0. 458であった. 一方, 非腫瘍患者の自己効力感に影響する要因の関連 度は表 8に示した通り定期受診, 症状の理解などが強く 重相関係数は 0.426であった. 察 腫瘍患者と非腫瘍患者の情緒的支援ネットワーク, 疾病 とのつきあい方の相違について 情緒的支援ネットワーク 非腫瘍患者の情緒的支援ネットワークは「家族内」「家 族以外」の両方ともに平 点が高く関係がよいレベルに あり, 周囲の人と良好な関係が保持できていることが明 らかになった. 一方, 腫瘍患者は「家族内」は 8.4点と良 好な状態を示す値ではあったものの非腫瘍患者の平 点 よりも低く, 家族以外」は中くらいのレベルの 6.4点で あった. これらの結果から腫瘍患者の方が情緒的支援 ネットワークが乏しく, 孤独感が生じやすいことが明ら かになった. この結果の背景には, 腫瘍患者の長期の複雑な治療に 伴う家族への負担感への遠慮や社会的役割の継続が困難 となることに伴う他者との距離感が生じる ことにより, 疾病や治療に伴う回復や生活の安定感への不安や心理的 な閉塞感の増強があると予測される. 季羽 は, 外来治療を受ける血液腫瘍患者は医療関係 者や同じ疾患をもつ仲間と話し合うチャンスが減少する ため, 社会の中で孤立し生活していると指摘している. また菅原 は, がん患者は本来資源として受けとめられ ている家族の関係を逆に負担と感じることに注目してい る. また, 家族以外の他者との関係性は, がんというス ティグマから生じる苦悩が周囲との関係形成に影響する 可能性を示唆している. 本研究の結果からも患者は常に 家族によって情緒的に支えられているとは言い難く, 家 族とも距離をおく場合があると えられる. そのため, 看護師は腫瘍患者が孤独感をもちやすいこ とを 慮し, 患者と家族との関係についてもアセスメン トし支援していくことが重要である. また, 家族以外の 他者との関係性を保持し, 支援を得ていくことができる ようセルフヘルプグループの情報提供などにより孤独感 を軽減するために援助していくことが必要と える. これまでの研究 から, 腫瘍患者は周囲の人々との関 係について, 他患と情報 換できる場を求め望んでいる ことが明らかにされている. また, セルフヘルプグルー プ支援の利点として, メンバー相互の気持ちが近づき安 心感を持つことができることや困難を克服する技術を 表8 非腫瘍患者の重回帰 析 (強制投入法) 項 目 標準偏相関係数 (β) 有意確率 (p) 性別 0.091 0.376 仕事 −0.006 0.957 入院経験 −0.192 0.092 外来通院期間 −0.124 0.238 PS −0.379 0.001 家族構成 −0.012 0.906 性格型 −0.045 0.651 情緒的支援ネットワーク 家族内 −0.047 0.658 家族以外 −0.179 0.092 疾病と治療の理解 康管理の必要性の理解 −0.076 0.569 症状の理解 0.133 0.341 薬の作用・副作用の理解 0.064 0.602 セルフケア 定期受診 0.233 0.070 睡眠と休息への配慮 0.006 0.960 出血予防 0.033 0.766 血時の対処方法と予防 −0.001 0.994 感染予防 −0.087 0.528 食事への配慮 −0.037 0.782 重相関係数 0.426

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かり合う機会となる ことがあげられている. 今後, 腫 瘍患者の 流が促進されセルフヘルプグループが広が り, 孤独感が軽減されるよう支援していくことが重要と える. 疾病とのつきあい方 外来治療が長期にわたる血液疾患患者にとって疾病・ 治療を理解し感染予防などのセルフケアが必要になる. 特に腫瘍患者の在宅での生活について神田 は, 常に医 療者が側にいるわけではないため, 抗がん剤の副作用を 緩和できるよう患者本人がセルフケアへのマネジメント 能力を身につけ対処していくことの重要性を述べてい る. この点は入院期間の短縮化や外来への治療の移行に 伴い, さらに看護の課題となっていくと えられる. 血時の対処方法と予防の実施については, 腫瘍患者 の方が低い値を示し, 非腫瘍患者の平 点と有意差が あった. この背景には今回の研究対象となった非腫瘍患 者には個人の対処によって改善しうる鉄欠乏性 血の患 者も多くいたことから, 日常的にセルフケアを実行し効 果を認めていることも関係していると えられる. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感と影響要因につい て 医学診断毎にみた自己効力感得点は大差はないもの の, 急性白血病が最も低い値を示した. この結果の要因 には, 急性リンパ性白血病の場合は完全寛解後も再発す る患者が多く, 長期生存率が他の血液腫瘍に比較し低 いことも患者の自己効力感に影響していると えられ る. また, 自己効力感得点の影響要因について次の 2点が 明確になった.1つは腫瘍・非腫瘍患者と性別の 互作用 を見た場合に有意差があり, 女性の腫瘍患者は自己効力 感が低下しがちであることが明らかになった. 女性の腫 瘍患者が自己効力感が低くなりがちであることは筆者ら の研究 においても明らかになった. また Win も腫瘍 患者の女性は家族からの情緒的支援の満足が少ないこと を明らかにしている. そのため, 女性のがん患者の自己 効力感の向上のための医療者のコミュニケーションが課 題であると述べている. そして自己効力感は生理的情動 的状態によって高められる ため, 患者の生理的情動的 安定につながる看護者の関わりを具体的に検討していく ことが今後の課題と える. また, 女性は家事一般を担 うことが多く, 家族や周囲の人々の協力を得ながら治療 に取り組むことが自己効力感の維持や向上につながると も えられる. また, 患者ががんの恐怖や治療に伴う心 身の負荷に押しつぶされることなくがんと向き合いなが ら歩めるかは, いかに患者や家族が治療と自 の生活に 折り合いをつけて治療を継続していけるかにかかってい る と強調されている. このことから,看護師は負担感 や協力状況を 慮し援助していくことが必要であろう. 自己効力感に有意差が認められた 2つめは,PSのレベル での差である.2群ともに PSが低い対象者ほど自己効力 感が低いことが明らかになった. この背景には疾病の悪 化に伴う症状の出現や治療の変 などが自己効力感に影 響していると えられる. また, 2群の自己効力感の影響要因の関連度は, 重回帰 析 析の結果より, 腫瘍患者の自己効力感には 血時 の対処方法と予防や 康管理の必要性の理解が影響して いることがわかった. Bandura は自己効力感を疾病や治 療に伴う 康保持の技術の効果として示し, その後の Eliseの研究 では自己効力感のレベルはセルフケア能力 と相互に関連することが明らかにされている. 今後はさ らに, 腫瘍患者が医療者と共に治療に参加する え方の 拡大も えられるため, 看護師は腫瘍患者の 血時の対 処方法と予防についても関わることが自己効力感への支 援につながると える. また, Lev はがん患者の自己効力感の研究から看護者 の精神的支援が自己効力感を高めることを明らかにし, 自己効力感を高める介入研究の必要性を述べている. 今 後は自己効力感を高めるよう遂行行動の成功体験・代理 的体験・言語的説得・生理的情動的状態に対し,看護師は 具体的な介入を積み, より効果的な援助を検討していく ことが必要と える. 結 論 本研究では外来通院をしている腫瘍患者と非腫瘍患者 の自己効力感について以下の結論が得られた. 1. 情緒的支援ネットワークは腫瘍患者の方が非腫瘍 患者よりも低く支援の重要性が明らかになった. 2. 疾病とのつきあい方では 血時の対処方法と予防 で腫瘍患者と非腫瘍患者の平 点に有意差が認めら れた. 3. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感得点の平 点 には有意差は認められなかった. 4. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感得点に関連す る要因の比較では, 以下の 3点が明らかになった. 1) 性別で 互作用の有意差が認められた. 2) 全身状態のレベルで有意差が認められた. 5. 腫瘍患者と非腫瘍患者の自己効力感について重回 帰 析を行った結果, 腫瘍患者の重相関係数は 0. 458であり, 非腫瘍患者は 0.426であった. 本研究は横断的調査であるため, 長いプロセスをたど る血液疾患患者の自己効力感の全体を説明することは困 難であり, この点は本研究の限界である. 今後は, 本研究の結果をふまえ腫瘍患者の治療に伴う 自己効力感の変化を他者との関わり方などの側面から患

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者を知り看護を検討していくことが課題である. 謝 辞 本研究の実施にあたり調査にご協力下さいました対象 者の皆様と, 研究を進めるにあたりご支援ご指導頂きま した関係者の皆様に深くお礼申し上げます. 尚, 本論文は群馬大学大学院医学系研究科に提出した 修士論文の一部を修正, 加筆したものである. 引 用 文 献 1. 垣添忠生. QOL を 慮した癌の化学療法マニュアル. 大阪 : メディカルレビュ−社, 2004; 256-275. 2. 大場正巳, 遠藤恵美子, 稲吉光子. 新しいがん看護, 東京 : ブレーン社. 1999 ; 43. 3. 木下由美子, 佐藤鈴子. 成人看護, 東京・医歯薬出版. 1999 ; 85-91.

4. Lev EL. Rutgers. Banduras theory of self-efficacy・ applications to oncology. Sch Inq Nurs Pract 1997; 1: 21-37.

5. Elise L, Lev and Steven V.Own. A Measure of Self − Care Self− Efficacy, Resarch Nursing & Health 1996; 19 : 421-429.

6. Elise L. Lev, Diane Paul, Steven V.Owen. Age, Sele -efficacy,and Change in patients Adjusutment to Cancer Cancer Practice 1999 ; 7: 170-176. 7. 江本リナ. 自己効力感の概念 析. 日本看護科学学会誌 2000; 20: 39-45. 8. 塚本尚子.がん患者自己効力感尺度作成の試み.看護研究 1998; 31: 2-9. 9. 吉田久美子,神田清子.外来通院をしている血液腫瘍患者 の自己効力感とその影響要因. The Journal of Nursing Investitigation 2005; : 6-14. 10. 数馬恵子, 青木春恵, 小池智子. 外来における看護の相談 機能充実・確立のための基礎的研究.看護 2003; 2: 98-102. 11. 佐藤まゆみ. がん患者の主体的療養を支援する上での外 来看護の問題と問題解決への取り組み. 千葉大学看護学 紀要 2003; 25: 37-43. 12. 今井一枝, 中地 敬. 性格と生活習慣の関連性. 日本 衆 衛生学会誌 1990; 37: 577-583. 13. 宗像恒次.行動科学からみた 康と病気,東京 : メディカ ルフレンド. 1996; 128-129. 14. 神田清子, 飯田苗恵, 中村美代子. がん化学療法を受けた 造血器腫瘍患者の自尊感情およびその関連因子. がん看 護 1996; 1: 242-247. 15. 季羽倭文子,丸口ミサエ.がん患者と家族のサポ−トプロ グラム, 東京 : 青海社. 2005; 2-5. 16. 菅原 美, 佐藤まゆみ, 小西美ゆき. 外来に通院するがん 患者の療養上のニード. 千葉大学看護学部紀要 2004; 26: 27-37. 17. 小西美ゆき, 佐藤まゆみ, 佐藤禮子. 外来に通院する患者 の療養生活上のニードの起因. 千葉大学看護学部紀要 2002; 24: 41-45. 18. 神田清子. 変わりゆく化学療法とケア−看護者に求めら れるセルフケアマネジメント支援−. 看護技術 2001; 17: 1219-1225. 19. 季羽倭文子, 石垣靖子, 渡辺孝子 (監). がん看護学. 東京 : 三輪書店. 1998; 349-353.

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Self-efficacy of Outpatients with Hematological Diseases

Comparison between Cancer Patients and Non-cancer Patients

Kumiko Yoshida,

Kazuko Ishida,

Ruka Seyama,

Eri Nakamura

and Kiyoko Kanda

1 Department of Nursing, Kyorin University School of Health Science 2 Division of Nursing, Gunma University Hospital

3 Department of Nursing, Takasaki University of Health and Welfare 4 Division of Nursing, Juntendo University Hospital

5 Department of Health Sciences Medicine, Gunma University Graduste School of Medicine

Background and Purpose: In recent years,patients with hematological malignancies have tended to be treated by means of outpatient chemotherapy. The importance of the self-care of patients with hematological disease is pointed out. Self-efficacy has been suggested to be indispensable for self-care. The aim of this study was to identify factors that influence the self-efficacy of both cancer and non-cancer patients. M aterials and M ethods: The subjects of this study were 110 cancer patients and 90 non-cancer patients 20 of age and over attending the hematology clinic of 2 university hospitals who gave their consent in the study. The self-efficacy scale questionnaire was used for the survey. Results: The supportive emotional network score was significantly lower in the cancer patients than the non-cancer patients. The average self-efficacy score was 31.5±5.3 in the cancer patient group and 31.8±5.3 in the non-cancer patient group,and the difference was not significant. The average self-efficacy score was the lowest in the acute leukemia group. Interaction was found between sex and the self-efficacy scores of the 2 groups. There was significant difference in the level of performance status of the two groups. Patients in worse condition and with lower activity range levels had lower self-efficacy scores. Conclusions: The above results suggest that to increase the self-efficacy of patients with hematological diseases, relationship between the nurse and patient considering the patients sex, general condition, etc. is necessary. The importance of emotional support for cancer patients also becomes clear.(Kitakanto Med J 2007;57:7∼15)

参照

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