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知的障害者福祉研究における研究の視点 : 先行研究の批判的検討と障害者福祉研究との関連

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知的障害者福祉研究における研究の視点

──先行研究の批判的検討と障害者福祉研究との関連──

は じ め に

本稿は、知的障害者福祉研究における先行研究の批判的検討を通じて、知的障害者福祉研究に おける研究の視点を提示することを目的としている。 現在、日本の障害者福祉は、「障害者基本計画」(1)の理念に位置づけられている「ノーマライ ゼーション」と「リハビリテーション」を実現するために施策が整備され、推進されている。そ の中で、「ノーマライゼーション」は、「障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の 生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルな社会であるとの考 え方」と説明されている。つまり、障害のある人が、施設や病院において長期に生活し続けるの ではなく、地域にある住宅で社会と関わりを持ちながら生活する姿が、ノーマライゼーションの 実現した社会と言える。特に 2003(平成 15)年度を初年度とする「障害者基本計画(第 2 次)」(以下、「第 2 次計画」と言う)前期の重点施策を定めた「重点施策実施 5 か年計画」で は、「入所施設は真に必要なものに限定」すると記述され、障害者福祉施策が、入所施設重視か ら地域生活の支援へと移行することが明確に示された。さらに、「第 2 次計画」の後期に当たる 2008(平成 20)年度を初年度とする「重点施策実施 5 か年計画」では、数値目標の中に福祉施 設入所者数の削減を設定した(2)。これらのことから、「第 2 次計画」における障害者福祉施策の 特徴を「地域移行政策」と呼ぶことができる。 日本においてノーマライゼーションが障害者施策を展開する理念に位置づけられたのは、 1981(昭和 56)年の国際障害者年を契機としている。国際障害者年は、「完全参加と平等」を スローガンに実施され、その取り組みを継続するために「障害者基本計画」が策定され、計画が 更新されながら現在に至っている(3)。しかし、日本の障害者の暮らしの実態は、ノーマライゼ ーションが実現しているとは言いがたい。身体障害、知的障害、精神障害 3 種類の障害を比べ ると、知的障害者の施設入所割合は高い(4)。また、知的障害者を 18 歳未満、18 歳以上に区分 してその割合を見ると、前者は 3.2% であるが、後者は 13.4% であり、11.3 万人が施設で生活 している現状がある。このようなことから、地域移行政策の主たる対象は、18 歳以上の知的障 害者であると言える。そして、ノーマライゼーションが障害者福祉施策の理念に位置づけられて 30年以上を経ても、知的障害者の暮らしの実態は理念の実現にはほど遠く、理念と実態が乖離 (121)

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している現状があると指摘できる。 筆者は、このような現状が続いていることに対して、知的障害者福祉研究の成果が有効に機能 していないのではないかという疑問を抱いた。そこで、ノーマライゼーションの実現に関わる知 的障害者福祉研究に関する先行研究を検討し、到達点と課題を明らかにし、理念を実現するため の研究の視点を検討することにした。

1.知的障害者福祉とノーマライゼーション

−日本における研究の展開と実践への影響−

知的障害者福祉とノーマライゼーションの関係は、デンマークにおいて 1959 年の「精神薄弱 及びその他の発達遅滞者の福祉に関する法律」(以下、59 年法)制定に際して、ノーマライゼー ションを法原理に位置づけたことから始まっている。そして、筆者は、デンマークにおいてノー マライゼーションがどのように実現されてきたのか関心を持ち、同国の知的障害者福祉の展開過 程を検討した(船本 2019)。その中で、日本における北欧の知的障害者福祉研究についてはスウ ェーデンに関する研究が先行しており、その研究の中心に河東田博がいることを確認した。ま た、彼は知的障害者福祉とノーマライゼーションの関連を日本に紹介し、それを広めた第 1 人 者と言える。 河東田は宮城県出身であり、大学卒業後、公立の知的障害児・者入所施設に勤務し、その後ス ウェーデンに渡り、5 年間の滞在の間に現地の大学院で研究を行い 1991(平成 3)年に帰国し ている。その後、四国学院大学に着任した。それ以降、スウェーデンの知的障害者福祉やノーマ ライゼーションに関する研究を発表している。北欧の知的障害者福祉やノーマライゼーションに ついては、河東田がスウェーデンを紹介するより前に、四国学院大学の中園康夫がデンマークの ノーマライゼーションの紹介を行い、知的障害者の施策に関して研究している(中園 1981;バ ンク−ミケルセン=1978・=1979)。さらに中園のデンマーク紹介前の 1967(昭和 42)年に は、菅野重道がデンマークの 59 年法を翻訳し、知的障害者福祉について考察している(菅野 1967・1970)。このように、日本における北欧の知的障害者福祉研究は、デンマークを対象とし た研究が先行していた。しかし、90 年代以降、河東田が多くの研究発表を行い、スウェーデン の現状を紹介したことによって、そちらに比重を移していったと言える(エリクソン=2012; 河 東 田 1992 a・1992 b・1994 a・1994 b・1996 a・1996 b・1998 a・2000;杉 田・河 東 田 1998;ニィリエ=1998)。また、知的障害者の施設から地域への移行に関して、河東田を中心と した研究グループが、スウェーデンを含む諸外国の知的障害者を対象とした「施設解体」過程や 「脱施設化」の方策、「地域生活支援」のありようを調査し、日本における「地域生活支援」の課 題を提起している(河東田 2003・2004・2011・2013;河東田ら 2002・2007)。スウェーデン の知的障害者の暮らしの場や地域生活支援、ノーマライゼーション、そして、それに基づく法制 度等を日本に紹介し、地域生活移行や地域生活支援の実現可能性を知らしめたことは、彼らの大 (122)

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きな功績であろう。このようなことから、ノーマライゼーションに基づく知的障害者の地域生活 移行、地域生活支援については、河東田と彼を中心とする研究グループの研究を先行研究として 位置づけ、到達点と課題を検討しておく必要がある。 また、河東田は宮城県の船形コロニーの地域生活移行に関わっていたことが推測される(5) その根拠は 2 点ある。1 点目は、研究の成果として発刊した書籍の「おわりに」において、 2002(平成 14)年 1 月に開催された、宮城県福祉事業団主催の「福祉セミナー in みやぎ」の 盛況ぶりについて言及していることである(河東田ら 2002 : 183)。2 点目は、彼も宮城県出身 であるというつながりからか、浅野史郎が宮城県知事であった時期に、県の政策情報の発信と政 策立案の向上を目的に発行されている広報誌(6)に「ノーマライゼーション理念と脱施設化」と いう論稿を寄せていることである(河東田 2005)。同じ号には、浅野が「特集 知的障害者の地 域生活自立支援∼ふつうの場所でふつうの生活を∼」に寄せて「巻頭言」を書いている(浅野 2005)。河東田が寄稿した前年の 2004(平成 16)年 2 月に、浅野は「みやぎ知的障害者施設解 体宣言」を発表している。この宣言は、2002(平成 14)年 11 月に宮城県福祉事業団理事長で あった田島良昭の「船形コロニー解体宣言」を受けて、県がそれに取り組むことを公表したもの である(上田 2007)。また、浅野は田島を「盟友」とまで呼び、宮城県福祉事業団の理事長に就 任させたという関係もある(田島 2004 : 3)(7)。このような関係をみると、浅野、田島、河東田 は、宮城県における知的障害者の地域生活移行において協力していたと言うことができる。その ことから、河東田が、県立施設であった船形コロニーの地域生活移行に何らかの形で関わってい たという推測も可能であろう。彼らの役割は、浅野が行政の立場として方向性を示し、条件整備 を担い、田島は事業団理事長の立場において実践を担当し、河東田は取り組みの理論的枠組みの 構築に協力する役割だったと考えられる。つまり、研究と実践の関係を確認できる事例として検 討する対象として、船形コロニーを取り上げることは妥当と言える。 船形コロニーの地域生活移行の取り組みの成果は、表 1 にあるように定員の変化から確認す ることができる。定員 400 名以上のコロニー 11 カ所の中で定員を半分以上減少させているの は、太陽の園、船形コロニー、西駒郷、金剛コロニーの 4 カ所である。その意味で、船形コロ ニーでは、地域生活移行の取り組みの成果があったと言える。 船形コロニー退所者の動向を確認すると、1994(平成 6)年度から 2002(平成 14)年度まで は 10 名前後であったが、2003(平成 15)年度から 2005(平成 17)までは多くの人数が地域 生活移行を果たしている(表 2)。しかし、その中には、グループホームへの移行を前提とした 他施設に退所した人数が含まれており、厳密には地域生活移行とは言い切れない。そして、 2004(平成 16)年度の 65 名をピークに移行者数は減少し、2012(平成 24)年度以降は、0 名 の年も続いている。 前述のように、船形コロニーは田島や浅野の解体宣言が公表され、コロニーにおける地域生活 移行の取り組みが注目されることになった。しかし、船形コロニー自身は、定員を減少させてい るが、地域生活移行は低調であったと言える(8)。また、現在、立て替えや大規模改修が行われ、 知的障害者福祉研究における研究の視点 (123)

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2023(令和 5)年には入所定員を 300 名にする計画が進められている(9)。このようなことから 考えると、船形コロニーにおいて地域生活移行の取り組みは見られたものの、コロニーとしては 現状維持型のコロニーと指摘できる。つまり、彼等の地域生活移行の取り組みは、十分な成果を あげることができなかったと言えるだろう(10)1 国立コロニー・地方コロニー等(最大定員 400 名以上)の定員の変化 所在地 名称 最大 定員 2002(平成 14) 年度定員※2 2016(平成 28) 年度定員 2002年度を起点とした 2016年度の割合 北海道 太陽の園 400 400 170 42.5% 宮城県 宮城県船形コロニー 500 490 210※1 42.9% 秋田県 秋田県心身障害者コロニー 500 500 380 76.0% 山形県 希望が丘 500 500 300 60.0% 茨城県 あすなろの郷 590 590 502 85.1% 群馬県 国立のぞみの園 550 550 350 63.6% 千葉県 東京都千葉福祉園 600 600※2 438 73.0% 新潟県 コロニーにいがた白岩の里 500 300※3 240※4 80.0% 長野県 西駒郷 500 500 106 21.2% 大阪府 金剛コロニー※7 850 850 260※5 30.6% 宮崎県 向陽の里 402 402※2 260※6 64.7% ※1 宮城県の条例では 300 名となっている。210 名は指定管理者制度上の事業団と県の契約定員である。 ※2 2002(平成 14)年度の定員が不明の場合は、最大定員を記載 ※3 2001(平成 13)年 5 月改築時定員 ※4 2018(平成 30)年 9 月 14 日 WAMNET 確認 ※5 2014(平成 26)年 3 月策定「事業団改革中期計画」に記載の 2016(平成 28)年度定員の見込み ※6 2015(平成 27)年 4 月 1 日の定員 ※7 2008(平成 20)年度に「こんごう福祉センター」に改称した。本稿では、旧名称を使用する。 資料:各コロニーホームページ、事業報告書等をもとに筆者作成 表2 宮城県船形コロニーの地域生活移行者数の推移 年度 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 人数 4 4 4 9 11 7 11 13 11 48※ 65※ 28※ 12※ 年度 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 人数 8※ 5 4 4 1 0 2 1 0 0 0 0 ※ この人数以外にグループホームへの移行を前提とした他施設への退所者がいる。 資料:「社会福祉法人宮城県社会福祉協議会 障害者支援施設 宮城県船形コロニー」パンフレット(2019 年 9 月取得)をもとに筆者作成 (124)

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2.先行研究における研究の視点−河東田博の研究の視点に着目して−

河東田は船形コロニーの「施設解体」に関与したが、実質的な地域生活移行は進まず、現在、 船形コロニーは施設定員を維持する方向が示されている。このことから、彼の研究が、日本の地 域生活移行の実践において有効に機能しなかったと言える。改めて河東田の研究の特徴を検討 し、課題を明らかにしていきたい。 河東田は、1970 年代後半から 1980 年代半ばまで知的障害児・者を対象とする大規模な入所 施設に勤務していた。その当時を振り返って、「利用者の『生活の質』」の向上や「当事者主体を 念頭においた」取り組みができていなかったと邂逅している(河東田ら 2002 : 152)。施設に勤 務している中で、前述のような取り組みが難しかったことに関して、「入所施設の構造的な欠陥」 が問題であると考え、仕事を続けていくことの限界を感じ、スウェーデンに渡ることにしたのだ という(河東田 2013 : 10)。彼の言う「入所施設の構造」とは、施設長を頂点とした職員階層で あり、底辺に一般職員を位置づけたピラミッドとして表現されている。そして、入所している知 的障害者たちを、そのピラミッドの一般職員のさらに下の枠外に置いている(河東田ら 2002 : 154)(11)。このことは、入所施設における生活は、ピラミッドの上部の職員階層において決定さ れ、底辺の一般職員が遂行する。そのような複数の職員階層を通じて伝えられる決定は、一般職 員が覆したり、柔軟に対応したりすることを制限する。そして、生活の当事者である知的障害者 たちは、その決定に関与しないという関係を示唆している。このような経験とスウェーデンでの 知的障害者の暮らしから、「入所施設を解体し社会を変革する動きへ、と取り組みの軸足を移さ なければならない」と考えるようになった(河東田 2013 : 13)。彼にとっては、その解体と変革 のキーワードが、「ノーマライゼーション」であった。そして、「脱施設化」を果たし「地域生活 支援」を利用しながら暮らしている状態が、「ノーマライゼーション」の実現された社会と考え た。それ故、「施設の構造的な問題」を変革するために、「社会政策の根底となるべきノーマライ ゼーション理念についてより一層理解していく必要がある」と提起している(河東田ら 2007 : 13-14)。そして、「ノーマライゼーション」とは何かを追究する論稿をまとめ、見解を述べてい る(河東田 2009)。 前述のように河東田自身が感じた入所施設での限界が、彼の研究の出発点であり、研究の視点 を常に現場に置く姿勢として表れている。彼は日本の現状について、「現場レベル(入所施設) における地域移行の割合は少なく、その速度も極めて遅い」と指摘している(河東田 2013 : 11)。そして、「入所施設から地域の住まいへの移行をどうしたらスムーズに行うことができる のか、また、どんなことに留意して地域の住まいへの移行を考えたらよいのかなど、地域移行促 進の具体策を検討する」ことを目的に実証的な研究に取り組んできた(河東田ら 2007 : 16)。河 東田らの研究方法は、国内はもちろんのこと、国外においても現地調査を行なったり、障害当事 者や保護者、職員等へのインタビュー調査を行なったりして、実情を浮かび上がらせている事に 知的障害者福祉研究における研究の視点 (125)

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特徴がある(12)。同時に、「施設解体」過程や「脱施設化」の方策について、資料を用いて研究の 実証性を担保している(13)。このような研究を通じて、河東田らは、諸外国の「施設解体」「脱施 設化」「地域生活支援」を検証し、実情を明らかにしてきた。そして、それらの成果をもとに、 地域生活移行に関連する課題を乗り越えるための提案を行なっている(14) 河東田の研究の起点となる視点は現場であり、彼自身が体験した入所施設の実情を何とかしな ければならないと考えたことに始まっている。彼は、「入所施設の構造」を「入所施設で見られ ていた伝統的な上下関係に基づく『利用者(障害当事者)対職員』」とも表現している(河東田 ら 2007 : 13)。つまり、職員自身が、「施設の構造的な問題を絶えず見つめ直し、変革し、障害 当事者の意思が尊重され、一人ひとりの障害当事者のニーズを基に地域移行プログラムが用意」 (河東田ら 2007 : 13)することができると、このような「構造的な致命的欠陥を持つ入所施設の 改善ではなく、入所施設の構造的欠陥を打ち破る閉鎖・解体」(河東田ら 2002 : 2)に向かうこ とができるのだと考えていると推測できる。そのために、「ノーマライゼーション」を変革の理 念に位置づけ、施設職員にその理解が広まると「構造的欠陥」を打ち破ることができると考えて いるともいえる。 では、彼が問題と措定している「入所施設の構造的欠陥」はどのような背景や構造によって生 み出されてきたのであろうか。問題の解決を図るには、問題の所在とそれが生成される構造、要 因が明らかになってこそ、その糸口をつかむことができる。しかし、河東田は「入所施設の構造 的な欠陥」を研究の起点にしているが、それがどのような要因によって引き起こされているのか について検討を行なっていない。つまり、河東田の研究は、実態を生みだした背景や要因の検討 が乏しく、知的障害者の地域生活移行が進まない現状や地域生活支援体制が整備されない問題 を、構造的に捉える視点が課題として残されている。また、関連して、施設職員がノーマライゼ ーションの理解を深めていくための方策や課題についても明確な提示が行なわれていない。

3.知的障害者福祉研究における研究の視点

なぜ、知的障害者が入所施設に隔離されているのか。なぜ、彼等の地域生活移行が進まないの か。障害別にみると、知的障害者より身体障害者の人数が多いことから、施設入所者も身体障害 者の方が多くなるのではないかと考えるだろう。しかし、施設入所者の割合は、圧倒的に知的障 害者の方が高く、また、人数も多い。この状況は、知的障害者の「自立した生活及び地域社会へ の包容」という権利が実現されていないことを意味する(15)。このように、現代社会において生 活上の困難は、より弱いところに集中して表われる。より弱いというのは、当事者自身が社会に 声を届けることができない状態にある人たちをいう。声はあるが、それを声として受け止めない 社会がある。大友信勝は、「社会福祉の視座を『当事者』というキーワードからみるのは、社会 的に排除されやすく、偏見、差別の対象になりやすい少数−マイノリティを中心軸において発想 していくパラダイム転換を社会福祉成立の根拠として、また社会参加、自己決定を発展の方向と (126)

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して、改めて認識していく必要があると考えるからである」と述べている(大友 2013 : 38)。デ ンマークは、知的障害のある当事者が社会の一員として受け入れられているからこそ、ノーマラ イゼーションに基づく変革が進んで行ったといえる。筆者は、デンマークの知的障害者福祉施策 の展開を検討し、その社会の変化は、連帯と教育の歴史、その土壌としてキリスト教の信仰があ り、その上に形成されてきた知的障害者の暮らしの実態であると指摘した(船本 2019)。 では、デンマークの方式を移植すれば、日本の知的障害者の暮らしの実態は理念に近づくので あろうか。各国の法制度は、それを生み出さざるを得ない社会的、歴史的構造をそれぞれ有して おり、実施体制も異なる。また、そこで生活している当事者も保護者も職員も、時間と空間に制 約を受けている。一番ヶ瀬康子は「社会福祉の展開には、その国の歴史、文化等が反映する。そ れを明らかにしないで、具体的な政策や計画のあり方を考えても意味がない」(一番ヶ瀬 1999 b)と述べ、社会的、歴史的な存在として社会福祉を把握する重要性を指摘している。また、筆 者は構造的視点から、知的障害者福祉施策の展開に関する先行研究を検討し、知的障害者福祉施 策の展開は障害者等の取り組みが制度・政策に反映され、社会的、経済的情勢がそれらと関連し ていることを明らかにした(船本 2018)。そして、日本の知的障害者福祉施策の展開過程を歴史 的、社会的、構造的な視点で検討を行ない、経済動向の影響を受け、政治的に政策決定がなされ ていたことを示した(船本 2017・2020)。そのような中では、コロニーを建設することが目的 となり、障害者の暮らしのあり方に対する視点を欠いたまま推進されたことも見い出せた。一番 ヶ瀬は「社会福祉を考えるときに、対象者、今日ではさらに利用者から出発するというあり方で ある」(一番ヶ瀬 1999 b)と指摘しているが、コロニー政策の選択に際しては、当事者から出発 する視点がなかったといえるだろう。つまり、社会的に対応すべき対象を、その当時の政府が重 視している政策に沿って切り取った結果、コロニー政策が展開され、知的障害者の暮らしの実態 が理念と乖離した状態になってしまったと言える(16)。そのような歴史的、社会的な構造故に、 知的障害者の暮らしにおいて理念と実態の乖離が継続し続けていると考えられる。 また、菊池義昭は「日本の障害者福祉の現場にも新しい思想や理念を含む実践が存在してお り、それらを研究するなかから、他の現場にその研究成果を返し、かつ、具体的政策を提案して いくことが求められている」(菊池 1999)と課題を提起している(17)。前述したように、「現場」 は歴史的、社会的な存在であり、それを含めて「現場」を認識することが求められる(18)。本研 究における「現場」は、日本の知的障害者の暮らしの実態であり、コロニーにおける地域生活移 行の取り組みである。その現場の実践を研究することで、知的障害者の置かれている暮らしの実 態を改善していくための方策と課題を提示することができる。そして、現場から導き出された成 果を他の現場に返し、具体的な施策提案への示唆を得ることができると考えられる。 そして、この「現場」とは、社会福祉学がその対象としている「歴史的・社会的現実態」(中 垣 1995 : 10)と同じ現象として認識されなければならない。社会福祉がめざしているのは、社 会の仕組みから生み出されてくる生活問題の解決、改善である。そこでは、問題とは何かという ことが明確でなければ、その解決、改善につながることはない。そのため、社会福祉学は、認識 知的障害者福祉研究における研究の視点 (127)

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の科学であると同時に実践の学問である(19)。一番ヶ瀬は「社会福祉学は、何よりも実践の学で ある」と指摘し、「実践自体の記録化あるいは歴史的把握、そしてそのミクロな点からのマクロ な政策批判、人権視点からの計画への参加、提言という点に特徴がある」と述べている(一番ヶ 瀬 1999 b)。河東田の研究は、「現場」がどのように生成されてきたのかについての追究は乏し く、他の「現場」に足場を置きながら、意識変革を起こす提案をしているという特徴がみられ る。つまり、「現場」を問題の生成される「歴史的・社会的現実態」として認識する視点が弱か ったと指摘できる。その認識に弱さがあるために、実践としても具現化を図る困難さを抱えてい たと考えられる。

お わ り に

最後に、知的障害者福祉研究における研究の視点と知的障害者福祉研究と障害者福祉研究の関 連について整理をしておく。 知的障害者福祉研究において、構造的な視点が必要であることを指摘した。知的障害者の生活 を支援する実践は、直接的には個々の職員によって担われている。そのため、職員の意識変革に よって、実践が変化することは理解できる。河東田は、その点を指摘していた。しかし、彼は意 識の変革を引き起こす方策を示すことができなかったと言える。この社会における実態は人々の 意識によって形成されるのではなく、歴史的、社会的な構造によって生み出されてくるものであ り、それ故に実態に変化をもたらすためには、構造を見極め、それぞれの要因に合わせた働きか けが必要となる。個々の研究において、対象として取り上げるのは実態の一部となってしまう が、常に構造の中に位置づけて検討することが必要であろう。 ノーマライゼーションという理念は、当初は、デンマークにおいて知的障害者を対象とした法 律の原理として位置づけられた。しかし、その後、国際障害者年の実施に至った際には、知的障 害者を対象とした理念にとどまらず、障害のある人すべてを対象とする普遍的な考え方であると いう共通理解になっている。このように、知的障害者福祉研究におけるその成果は、広く障害者 福祉研究につながるものであると言える。そこで、その関連と知的障害者福祉研究の必要性と位 置づけについて整理しておきたい。障害者福祉施策の展開に影響を与える背景の一つに当事者運 動がある。知的障害者福祉領域においては、知的障害当事者ではなく、その関係者、主に親の会 の取り組みがあった。関係者は、知的障害者のためを思って活動してきたが、それは当事者の要 望そのものではない。このようなことから、当事者運動の影響は、身体障害者のそれと比べて弱 く、政策側の意図が施策の展開を牽引することになっていたと考えられる。その結果、施策展開 の構造が一層強く影響を与え、理念と実態の乖離が生じてしまったと指摘できる。より立場の弱 い者たちを軽視し、彼らの権利を保障しないことは不平等を容認することになる。だからこそデ ンマークでは、ノーマライゼーションを法原理に据えて取り組んだのだろう。権利が保障され ず、不平等に扱われる状態は、知的障害者だけの問題ではなく、障害者全体に関わる問題であ (128)

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る。格差を放置し、不平等を容認する施策につながり、結果的に他の障害のある人の生活の質も 低下させる。反対に、権利を保障する施策や平等に対応する施策であるなら、知的障害者の生活 だけではなく、障害者全体の生活の質の向上につながると言える。「基準」から一層「ずれ」て いる知的障害者の暮らしの実態を検討することで、全体の底上げを図ることができるだろう(中 野 2009 : 125)。このような意味で、知的障害者福祉を研究することは、障害者に限らず、生活 している全ての人の平等を実現し、権利が保障される社会をつくり出すことにつながると考えて いる。だからこそ障害者福祉の領域において、周辺的にあるいは補足的に位置づけられる知的障 害者福祉の研究は、重要な役割があると考えられる。 今後は、このような研究視点において行った研究成果をどのように提示し、共有すれば、現状 に影響を与えられるのか検討することが課題である。 本稿は、2019 年度聖隷クリストファー大学大学院博士論文「知的障害者コロニー政策の成立と展開過 程における障害者福祉」の一部を加筆修正したものである。 注 ⑴ 現在は、2018(平成 30)年 3 月策定の「障害者基本計画(第 4 次)」の計画期間に当たる。第 4 次計 画の計画期間は、2018(平成 30)年度から 2022(令和 4)年度の 5 年間である。 ⑵ 2005(平成 17)年度の 14.6 万人を、2011(平成 23)年度には約 13.5 万人に削減する目標が設定さ れている。 ⑶ 最初の「障害者基本計画」は、1982(昭和 57)年に策定された「障害者対策に関する長期計画」(計 画期間:1983(昭和 58)年度∼1992(平成 4)年度)であり、次いで「障害者対策に関する新長期 計画−全員参加の社会づくりをめざして−」(計画期間:1993(平成 5)年度∼2002(平成 14)年 度)が策定された。「新長期計画」の計画期間初年度の 1993(平成 5)年に心身障害者対策基本法が 障害者基本法に改正され、同計画は、同法に基づく「障害者基本計画」に位置づけられた。その後、 「障害者基本計画(第 2 次)」(計画期間:2003(平成 5)年度∼2012(平成 14)年度)、「障害者基本 計画(第 3 次)」(計画期間:2013(平成 15)年度∼2017(平成 29)年度)と継続して計画が策定さ れてきた。 ⑷ 下記の表は、『令和元年番 障害者白書』(内閣府 2019)の障害者数の表に加筆したものである。 表 障害者数 総数 在宅者数 施設入所者数 身体障害児・者 18歳未満 7.1(100.0) 6.8(95.8) 0.3(4.2) 18歳以上 419.4(100.0) 412.5(98.4) 6.9(1.6) 総計 436.0(100.0) 428.7(98.3) 7.3(1.7) 知的障害児・者 18歳未満 22.1(100.0) 21.4(96.8) 0.7(3.2) 18歳以上 84.2(100.0) 72.9(86.6) 11.3(13.4) 総計 108.2(100.0) 96.2(88.9) 12.0(11.1) 総数 外来患者 入院患者 精神障害者 20歳未満 27.6(100.0) 27.3(98.9) 0.3(1.1) 20歳以上 391.6(100.0) 361.8(92.4) 29.8(7.6) 総計 419.3(100.0) 389.1(92.8) 30.2(7.2) 知的障害者福祉研究における研究の視点 (129)

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⑸ 本稿において「コロニー」とは、知的障害児・者を対象とした社会福祉施設の一つであり、同じ敷地 にて複数の施設が設置されている大規模総合施設である。 ⑹ 『みやぎ政策の風』は、浅野が知事であった 2004(平成 16)年 3 月に創刊号が発行された。創刊号 の政策提案の一つに「知的障害者の地域生活移行に内在するコンフリクト」(宮城県地域生活支援室 本間照雄)が掲載されている。 ⑺ 浅野は、2005(平成 17)年 11 月まで知事を 3 期 12 年務めて退陣し、その後、宮城県社会福祉協議 会会長を 2007(平成 19)年 3 月末まで務めた。田島は、2005 年(平成 17)年 3 月末で事業団理事 長を退き、事業団と合併した宮城県社会福祉協議会の常任副会長に就任し、2007(平成 17)年 11 月 末まで務めた。このように、浅野と田島は、宮城県における知的障害者の地域生活移行の活動を協力 して取り組んでいたことが明らかである。また、「障害福祉の 5 人の先達」の一人として田島を対談 相手に選んでいる(浅野 2016)。 ⑻ 2017 年 7 月 19 日付けの毎日新聞に「知的障害者、施設から地域へ 理念どまり、推進半ば」という 見出しの記事が掲載された。記事は、「施設解体構想」が頓挫し、地域生活移行が進んでいないと言 う内容である。その実例として船形コロニーが紹介されている(毎日新聞 2017)。 ⑼ 「船形コロニー整備事業 基本構想」(2019 年 8 月取得) ⑽ 船形コロニーの 300 名という定員は、他の県立施設の再編に伴う人数であることを付け加えておく。 ⑾ 同様のことが、『ヨーロッパにおける施設解体』においても「入所施設の構造」として記載されてい る(河東田ら 2002 : 152-155)。また、この内容は、1998(平成 10)年に発表した論稿において示さ れていた(河東田 1998 b)。それ以外に、「入所施設で見られていた伝統的な上下関係に基づく『利用 者(障害当事者)対職員』」という表現もあった(河東田ら 2007 : 13)。 ⑿ 例えば、「知的障害者の入所施設から地域の住まいへの移行に関する研究」(研究代表者:河東田博、 2002年度採択科研費)は、スウェーデン、イギリス、ドイツ、日本の 4 カ国、「障害者の入所施設か ら地域の住まいへの移行に関する研究」(研究代表者:河東田博、2003 年度採択科研費)では、オー ストラリア、ノルウェー、オランダ、日本の各現場を訪問している。また、いずれの研究においても 障害当事者、家族、職員等へのインタビュー調査を行っている(河東田ら 2002 : 13;河東田ら 2007 : 18)。 ⒀ 例えば、「知的障害者の入所施設から地域の住まいへの移行に関する研究」(研究代表者:河東田博、 2002年度採択科研費)では、スウェーデン、イギリス、ドイツ、日本の地域生活移行について現地 調査を行い、資料に基づいて施設解体の取り組みを検討している(河東田ら 2002 : 13)。 ⒁ 次の表は、河東田らが、提示した 4 つの論点の内の「論点 4」に対する「結論 4」である。 表 論点と結論 論点 4 わが国における『入所施設必要論』『地域の反対運動』等、地域移行プロセスに、 影響を与えている法律や制度・政策、社会的な価値観、人間観、イデオロギーは どのようなものか? 結論 4 わが国における地域移行プロセスを促進させるためには、期限をつけたすべての 入所施設者の地域移行計画の策定や、それを保障する地域生活支援の予算的な配 分が求められる。また、地域住民や国民一般が障害者を施設でなく地域で暮らす 人として受け入れられるように(価値観変容のためにも)、国や自治体が啓発活 動を主体的に行うとともに、障害者差別禁止の法や条例も求められている 資料:河東田ら(2007 : 286・297)に基づいて筆者作成。 ⒂ 2011(平成 13)年に改正された障害者基本法は、国連で採択された障害者権利条約に批准すること (130)

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が主たる目的である。同法の第 3 条に「地域社会における共生等」が規定され、この条文がノーマラ イゼーションの実現に向けた考え方を示している。障害者権利条約においてノーマライゼーションに 関係する条文は、第 19 条の「自立した生活及び地域社会への包容」である。 ⒃ 中垣は、「行政主導型の社会福祉制度変革と充実の過程の上に社会福祉の対象を分析するための基本 的視点」として次の 5 点を提示している(中垣 1995 : 16)。 ①歴史的・社会的状況の変化に伴う対象変化が、政策・制度上の対象変化に必ずしも連動していな い。 ②社会問題対策としての政策策定は、現実的・具体的対象派生の時期、あるいは実態把握ないし対象 認識の度合いと必ずしも一致していない。 ③政策的操作によって、対象を限定するメカニズムが基本的に存在する。したがって、社会的問題の 科学的認識が対象を規定するのではなく、政策課題が対象を規定し、限定された政策的課題目標に合 わせて対象を規定している。 ④政策課題や目標の設定は、正しい科学的認識ないし実態把握によってではなく、住民の要求、請 願、運動による若干の影響力(社会力)を認めることはできるが、それは政策策定サイドの限定的譲 歩の結果によるものである。 ⑤民間社会福祉セクターとしてのボランティアグループや市民運動団体による創意的・啓発的活動が 行政サイドを刺激し、社会福祉対象を拡大し、援助の範域を広げ、サービス供給機能を強化する要因 にもなっている場合を認めることができるが、政策策定主体や行政主体との調整・接点は未だ見られ ない。 ⒄ また、大友は、「社会福祉の役割は現場主義に立ち、社会的に最も困難な人々の声をほりおこし、新 たな支援の仕組みを開拓、創造していくところにある」と述べている(大友 2013 : 42)。 ⒅ 中垣は、「歴史は時間であり、社会は空間であることを意味する。時間と空間との接点が現実そのも のであり、経験的事象の発生と具体的現実化の場である。したがって、歴史的・社会的現実態という のである」と述べている(中垣 1995 : 10)。 ⒆ 中垣は、「社会福祉理論研究の根幹はその対象(客体)と主体と方法をいかに規定するか」と述べ、 「いつ、誰が、誰に、どのような方法で、救済・保護・援助・支援するのか?について明らかにする 努力が問われている」と指摘している(中垣 1995 : 5)。 参考文献 浅野史郎(2005)「巻頭言 知的障害者の地域生活自立支援」『みやぎ政策の風』4、1-3 浅野史郎(2016)『輝くいのちの伴走者−障害福祉の先達との対話−』ぶどう社 一番ヶ瀬康子(1999 b)「戦後社会福祉研究の総括と 21 世紀への展望−自らの研究史を前提に−」一番ヶ 瀬康子・高島進・高田真治他編(1999)『講座 戦後社会福祉の総括と二一世紀への展望Ⅰ 総括と 展望』ドメス出版、39-61 上田修(2007)「大型施設と知的障害者の地域移行−船形コロニーにおける地域移行に即して−」『桃山学 院大学総合研究所紀要』33(2)、1-7 K. エリクソン/河東田博・古関−ダール瑞穂訳(2012)『スウェーデンにおける施設解体と地域生活支援 −施設カールスルンドの誕生と解体までを拠り所に−』現代書館(原著:Kent Ericsson, From

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