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母親が小児がんの初回治療を受ける我が子を支えるプロセス 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 横森 愛子 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 看護学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第385号 学 位 授 与 年 月 日 平成29年3月23日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 ヒューマンヘルスケア学専攻 学 位 論 文 題 名 母親が小児がんの初回治療を受ける我が子を支えるプロセス Mother’s Process of Supporting My Child who Receiving First Treatment of Pediatric Cancer

論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 水野 恵理子 委 員 教 授 石川 眞理子 委 員 教 授 田辺 文憲 委 員 教 授 中本 和典 委 員 教 授 相原 正男

学位論文内容の要旨

【研究目的】 小 児 が んの 初 回治 療 期間 に お いて 、 母親 が 我が 子 を 支え る プロ セ スを 明 ら かに す る。 【 研 究 方法 】 1.参加者: 小児がんの治療を受けて外来通院している子どもの母親 11 名。子どもは乳幼児期に 小児がんを発症し、初回治療を終了後3 年以内の期間内で状態が安定しており、母親も身体面 ・精神面において安定していて自己の体験を語ることが可能である方とした。 2. データの収集方法 1) 事前アンケートの実施:インタビューを実施前に、家族と子どもの治療内容についてアンケート を実施した。 2) インタビューの実施:インタビューガイドを用いて、半構造的面接を実施した。インタビュー時 間は、一人につき55 分から 60 分であった。質問内容は、「子どもの発病から初回治療終了まで の過程において、ご自分の心情がどのように変容していったのか、その際にはどのようなきっかけ や家族、周囲の人々との関わりがあったのか」である。インタビューの内容は、許可を得てIC レ コーダーに録音した。 3.分析方法:修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いた。 4.研究期間 データの収集及び分析等を含め、平成27 年 5 月から平成 28 年 10 月に行った。 5.倫理的配慮 研究参加者には、研究目的・方法、権利の保障などを記載した書面と口頭で説明し、研究の参加 への意志を確認し、同意の署名を得た。 ま た 、 山梨 大 学の 倫 理委 員 会 なら び に調 査 施設 の 倫 理審 査 委員 会 の承 諾 を 得て 実 施し た 。

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【 結 果 と考 察 】 分 析 の 結 果 と し て 以 下 の 全 体 像 が 得 ら れ た 。 以 下 、 【 】 は コ ア カ テ ゴ リ ー を 、 < > は カ テ ゴ リ ーを 、 『』 は 概念 を 示 す。 母親が初回治療を受ける我が子を支えていくプロセスには、(1)命を救う手段として治療を受ける 意志を固めていくプロセスと、(2)病気を治すために治療を継続する気持ちが定まるプロセスが見出 された。この2つのプロセスは、必ずしも順序だっているわけではないが、初回治療を受けることを 決めるためにも、母親が病気を「治す」という信念に向かうという点で帰結した。 (1) 命を救う手段として治療を受ける意志を固めていくプロセスにおいて、我が子の発病という危 機に直面し<命運の辛苦>を抱いた母親は、家族に自分の気持ちを受け止めてもらうことで気持ちが 和らぎ、さらに同じ体験をしている母親との関わりで【心がほどける】ようになった。この【心がほ どける】ことと【自己統制】により、<命運の辛苦>はしだいに緩和していった。また、子どもの発 病を知った家族からの【看病中心の生活を叶える助け】を受けることも、【心がほどける】ことをも たらしており、周囲の協力を実感したことで【1人ではない心強さ】を強く実感していた。家族から の【看病中心の生活を叶える助け】と【1人ではない心強さ】の実感は、<命を助ける治療を受ける 決意>をもたらしていた。 (2) 病気を治すために治療を継続する気持ちが定まるプロセスにおいて、<命を助ける治療を受け る決意>をもった母親は、【闘病に立ち向かう気力を培う】ことで看病を続けていく力をつけ、<治 す気持ちが定まる>に帰結していた。この【闘病に立ち向かう気力を培う】ことには、同じ体験をし ている母親の<体験談が道標>となり先の治療を見通し心の準備ができたことや、看護師との<雑談 で息を抜く>こと、さらに患児や寂しさを我慢しているきょうだいからの<子どもにもらう頑張り> や、気分転換による<気力の充電>があった。 【結論】 1.母親が小児がんの初回治療を受ける我が子を支えていくプロセスは、<命運の辛苦>を抱いた母 親が、【心がほどける】ことや【看病中心の生活を叶える助け】により、【1人ではない心強さ】 を実感し、それが支え柱となり奮起し、<命を助ける治療を受ける決意>を固めた。さらに、 【闘病に立ち向かう気力を培う】ことにより、<治す気持ちが定まる>ことに帰結した。 2.母親の【心がほどける】ことをもたらしたのは、家族や同じ体験をした母親であった。この 概念は、【1 人ではない心強さ】や【命運の辛苦】に影響を与えていることから、一番重要な 概念であった。 3.【1 人ではない心強さ】の実感は、家族と母親が、同じ方向を向いて闘病に立ち向かおうとし ていることをお互いに認識することで、家族間の信頼を強め看病を続けていく母親の力とな っていた。 4.看病に集中したいという母親が願う【看病中心の生活を叶える助け】が得られたことで、【心 がほどける】ことや【1 人ではない心強さ】の実感をもたらしていた。 5.我が子の発病に母親が抱く自責の念は、『同じ体験談に心の荷が下りる』ことや、<周囲を 不安にさせない気遣い>により自責の念を心に収めて気持ちを整理していくことにより、し だいに緩和していくという様相が明らかになった。 6.本研究により、小児がんの初回治療を受ける母親への看護として、患児の発病時から母親の

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気持ちが安定して現状を認識し奮起できるように、母親と家族が相互に理解しあうことや、 同じ体験をした母親と話せる機会をつくるといった、コーディネーターの役割を果たしてい くことの重要性が示唆された。

論文審査結果の要旨

論文題名「母親が小児がんの初回治療を受ける我が子を支えるプロセス」 外来通院中の小児がんの子どもの母親を対象に、発病から初回治療終了までの心情の変化、周囲と の関わり等を半構造的面接により行い、母親が子どもを支える過程を探究した。その結果、治療を受 ける決意をしていくプロセスと治す気持ちを定めていくプロセスが明らかになった。 1.研究テーマの学術的意義 本研究の成果は、小児がんの初回治療を受ける子どもの母親が抱える苦悩の緩和と、治療継続を覚 悟し、治していく意思を確固とする過程を支えるための支援を見出した点で意義がある。 2.研究の争点、問題点、新しい視点等 小児がんの子どもの母親が無力感、不安、自責の念を抱くこと、治ると信じる気持ちをもつことは 先行研究で報告されているが、そのような心情を抱く過程については明らかになっていない。その過 程を明らかにした点は本研究の新知見である。また、看護実践への提言として、効果的な母親支援に つなげるためにアセスメントガイドの必要性を示唆しているが、主看病者あるいはエフォートが高い 母親のみならず、他の家族員や患児自身、医療福祉関係者の視点を考慮した上でのアセスメントガイ ドを考案することは今後の課題である。 3.データの信頼性 申請者は研究実施前に、修正型グラウンデッドセオリーアプローチ研修会へ参加し、分析方法を習 得した。面接内容を丁寧に吟味し、継続的比較分析を行い、分析の妥当性・信頼性は指導教員の助言 を得ながら担保していった。 4.論文の改善点等 今回の対象者は、一施設に通院している治る見込みが高いタイプの小児がんの子どもをもつ母親で あった。重度かつ治る見込みが乏しい小児がんを患う子どもの母親、父親、きょうだい、医療福祉職 等の子どもを支えるプロセスを明らかにすることにより、患児と家族のQOL向上に必要とされる支 援を見出すことができると考える。この点は申請者の今後の課題となった。

参照

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