非結核性抗酸菌の血清型分布と
糖ペプチド脂質の構造
The diversity of serotype−specific glycopeptidolipids from Mptcobacterium avium−intracellulare complex isolated from patients麗加祐永伸
田郷本原田
畑古山藤前
奈1・2)・久場川 る奈樹高二
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1.緒 言 Mycobαcteriumαvium−intrαcellulαre complex(MAC)はヒトや動物 に感染する呼吸器系疾患、非結核性抗酸菌症の主要起因菌である。抗酸菌 は脂質画分に富み、MAC菌は細胞表面に抗原性をもつ特徴的な糖ペプチ ド脂質(glycopeptidolipid, GPL)(Fig.1)を産生する。全てのGPLは N−acylated tetrapeptide−amino alcoholのC末端に3,4−di−0−methyl rhamnose, D一αllo−threonineに6−deoxy−taloseを付加したコア部分を有 している。さらに6−deoxy−taloseからグリコシド結合により糖鎖が伸長 し、この糖鎖(oligosaccharide, OSE)の構造によって菌種特異的な血清 型が規定されている。現在、OSEの構造に基づいて31種類の血清型が 報告されており、そのうち16種類のGPL構造が明らかにされてい 1>相愛大学人間発達学部発達栄養学科 2>大阪市立大学大学院医学研究科細菌学分野 3>カネ美食品株式会社 4>アイビス株式会社 5)株式会社MBR 6)結核予防会結核研究所抗酸菌リファレンス部Schematic representation of the mycobacterial cell wall Glycopeptidolipid
繍 ⑳
Trehalose 6,6’一dimycolate E1i1yili co−Ppidl%flSS’ ge ceE waii proteins Arabinogalactan Peptidoglycan Plasma membrane Chatterjee D, Khoo KH.Cell Mol Life $ci. 2001 Dec;58(G4):2018−42. Review. Q D−Phe−D−alloThr−D−Ala−L−alaninol矯樫灘警無ha
慧肋
Fig. 1 Structure of glycopeptidolipids (GPL) る1−3)。また、ヒトからの分離頻度には偏りがあり、特にエイズ患者では 4型菌が最も多く、次いで8型、1型と報告されている4・5)。本研究では、 日本国内の臨床分離株MAC 94株についてGPLを抽出し、薄層クロマ トグラフィー(TLC)及び質量分析(MALDI−TOFIMS)により、MAC 血清型の同定と、その偏在性について検討した。 2.方 法 ①菌の培養 ヒト臨床分離株M.αvium 94株を7H、、プレートで37℃、2週間培養し合田・久場川・古郷・森谷・山本・小林・藤原・中・前田・水野 た。 ②GPLの抽出・精製 定常期に達した群体を6mlのchloroformlmethanol(2:1, by vol.) が入ったねじ口試験管に回収し、15分間超音波破砕した。2mlのH、0 を加え二層分配し、有機層を回収・濃縮して総脂質画分を得た。乾固後、 02MNaO且1methanol、2.5 mlを加え、37℃、16時間、弱アルカリ加 水分解した。6.O M HCl 83μ1で酸性化し、 chloroform/methanol(2:1, by voL)、 H,0を加えて二層分配し、 GPLを含む有機層をアルカリ安定 脂質として得た。これらを乾固し、acetone 2 mlを加えリン脂質等を沈 澱化させて除去した。chloroformlmethanol(95:5, by vol.)1mlで平 衡化したSep−Pakカラム(Waters)にアルカリ安定脂質画分を添加し た。chlorofbrmlmethano1(95:5, by vol.)1mlで洗浄・し、 chlorofbrml methanol(1:1, by vol.)1mlで溶出して最終的にGPL非分を得た。
③G肌のTLC分析
前項で得られた臨床分離株のGPL士分と血清型既知GPLをTLCに スポットし、展開溶媒(Chloroform:methanol:H、0160:16:2, by voL)で45分間展開した。20%H、SO/ethanolを噴霧し、180℃、3分間 加熱して黄褐色に発色したGPLスポットの移動度を血清型既知GPLと 比較して血清型を分析した。 ④MA:LDI−TOF!MSによるGPLの分子量検定 展開したTLCからGPLスポット部分のシリカゲルを掻きとり、chlo− rofommlmethanol(2:1, by voL)で溶出した。遠心分離によりシリカゲ ルを除去し、上清を濃縮乾固した。GPL濃:薄明1μレ20μ1をターゲット プレートにスポットし、さらにmatrixとして10 mg/mlの2,5− dihydroxybenzoic acidを1μ1添加した。 MALDI−TOF/MS(Ultra且ex II, Brucker Daltonics)により分子量を検定した。3.結果及び考察 臨床分離株94株から抽出したGPL画分と血清型1、4、7、8、12、 16、17型GPLをTLCで展開した。臨床分離株由来GPLの移動度を血 清型既知のGPLと比較すると、1型GPLと同じものが11株、4型GPL と同じものが17株、8型GPLと同じものが10株、12型GPLと同じも のが3株、16型GPLと同じものが3株、血清型不明のものが46株、 GPL の検出できなかったものが4株あった(Fig.2)。血清型1、4、8、12、16 型GPLのTI.Cにおける移動度が特徴的であり、血清型GPI.の同定が 可能であった。 各移動度の同じGPLのスポットのうち産生量が明瞭で代表的な臨床分 離株GPLについてMALDI−TOFIMSを利用した質量分析を中心に構造 を解析し、血清型を確認した。Fig.3には血清型既知GPLの検出質量数 を示した。本研究で得られた臨床分離株のGPLスポットの検出質量数に は、血清型既知GPLに相当する質量数が検出され、それに基づいて臨床 分離株の血清型を同定した。1型GPLに特徴的な質量数は1372、4型
GPLでは1694、7型GPLでは1897、8型GPLでは1649、12型GPL
Eoooooevooov gvoo oooooooouooooo agooovooeooogyeoegooeお 笛 あ 1 9 の の の Φ Φ qo のSero l $efo 4 Sero 8 Sero f2 Seio a6
Fig. 2 TLC patterns of predominant MAC serotypes isolated ftrom patients合田・久場川・古郷・森谷・山本・小林・藤原・中・前田・水野 Ser・1〔亙画〕 で Sero 8 〔圃 i589.946 Ser・4 〔画 て ア Ser・12〔亙画 f75e a869.012 で マ ギ ・…1
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1943.035 a927.043 1999.205 2e27.233 2041:MJ
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1歯。 1909.歪51 1881.136準
rt i i i’, T. i950 Fig. 3 MALDI−TOF MS spectra t900 1950では1911、13型GPLでは1897、16型GPLでは1969、17型GPLで
は1925であった。 したがって、本研究で得られた臨床分離株の質量数と比較して考える と、今回質量分析を行った臨床分離株94株において、No.12、13、15、 17、27、28、29、31、37、38、39は1型、1、4、7、25、32、44、47、 49、50、51、53、58、61、71、72、77、78は4型、2、3、30、33、 40、42、69、79、81、93は8型、19、63、64は12型、65、86、94は 16型、その他は血清型不明またはGPLが検出されなかった。これらの 結果は、TLCでの移動度の比較による血清型の同定と同じであり、全て の臨床分離株の血清型を確定できた。Table 1 ’cistribution of MAC serotypes isolated from 94 patients
Serotype Numbers of isolates o/o
1 4 7 8 12 . 16 17 unknown 11 P7 黷P033一50 9臼只︶ −i⊥ −∩03 1 53 To七a1 94 非結核性抗酸菌MACの血清型分布は、.過去の報告では4型が最多で 次いで8型、1型となっているが5)、本研究で実施した94株のMAC株 の解析でも、4型が最も多く、次いで1型、8型であり、12型、16型も .検出された(Table 1)。血清型GPLのスポットは存在するが、現状では .同定できない株、またGPLスポットの脱落した株も散見された。 今後はこれら血清型の偏在性が宿主病原性に関連していること、則ち血 清型特異GPLによる宿主応答の差異について検証し、血清型によるMAC 菌の病原性の違いを明らかにしたい。 参考文献 1 ) Chatterjee, D., and K H. Khoo. 2001. The’surfaee glycopeptidolipids of mycobacteria : structures and biological proPerties. Cell Mol. Life Sci. 58: 2018−2042. 2) Fujiwara, N., N. Nakata, S. Maeda, T. Naka, M. Doe, 1. Yano, and K. Kobayashi. 2007. Structural characterization of a specific glycopepti− dolipid. containing a novel N−acyl−deoxy sugar from Mycobacterium intracellulare serotype 7 and ’genetic analysis of its glycosylation pathway. J. Bacteriol. 189: 1099−1108. 3) Fujiwara, N., N. Nakata, T. Naka, 1. Yano, M. Doe, D. Chatterjee, M. McNeil, P. J. Brennan, K. Kobayashi, M. Makino, S. Matsumoto, H. Ogura, and S. Maeda. 2008. Structural analysis and biosynthesis gene cluster of an antigenic glycopeptidolipid from Mycobacterium in一
合田・久場川・古郷・森谷・山本・小林・藤原・中・前田・水野 4) 5) tracellulare. J. Bacteriol. 190 : 3613−3621. Torrelles, J. B., D. Chatteniee, J. G. Lonca, J. M. Manterola, V. R. Ausina, and P. J. Brennan. 2000. Serovars of Mblcobacterium avium complex isolated from AIDS and non−AIDS patients in Spain. J Appl Microbiol 88: 266−79. Tsang, A. Y., J. C. Denner, P. J. Brennan, and J. K McClatchy. 1992. Clinical and epidemiological importance of typing of Mycobacterium avium complex isolates. 」. Clin. Microbiol. 30 : 479−484.