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ラプラス変換とその微分方程式への応用

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Academic year: 2021

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(1)平成四年度. 学位論文. ラプラス変換とその微分方程式への応用. 兵庫教育大学大学院 教科・領域教育専攻. M91564F. 学校教育研究科 自然系コース 中西 朗.

(2) 序章 0.Heaviside(1850∼1925)が、電気回路の過渡現象を解析するeC d/dt=pとおいて その回路の微分方程式を代数的に解こうといういわゆる演算子法を考え出した。微分演算 をまるで代数式のように割り算したりすることに対する数学的根拠が曖昧だったので、多 くの数学者の非難の的となった。しかし、演算子法によって求めた解が、微分方程式の真 の解となったので、理工学者の人々からは大変便利がられた。そこで、純粋数学者の中に もそれを合理化しようという動きがでてきた。ところが、すでに1812年にP.S.Laplace (1749∼1827)が、「Th60rie analytjque des probabijitξs, Vol.1,Paris.」の中で使っ ていた変換を用いるとうまくいくことが、T.J.1’A.Bromw i ch(1875∼1929), J.R.Carson,. B.Van der Po1(1889∼1959)などの数学者の努力により明らかにされた。ラプラス変換と. いう名の由来はここにある。 このようにラプラス変換は、19世紀末に0.Heavisideが用いた演算子法を厳密にする試 みから始まり、数学者の努力によって20世紀初頭に成功を収めた。このことに興味を抱き、. 魅力を感じたのが研究の動機である。ラプラス変換とは如何なるものか、特に偏微分方程 式の初期値境界値問題に如何に応用されるかを研究してみたいと思うに至った。. 以下、論文の構成について述べる。 第1章では、ラプラス変換の基本に重点をおき、ラプラス変換とは如何なるものかを述 べた。§1で、ラプラス変換の定義と存在条件を述べ、さらにラプラス変換の積分の収束 性について述べた。§2では、ラプラス変換の像関数が一致すれば、変換前の原関数が一 致することを証明した。すなわち、ラプラス変換の一意性の証明を与えた。§3では、先 ずラプラス変換の基本的な性質を定理としてあげ、必要なものに証明を加えた。また、ラ プラス変換の対応関係は、関数と関数の対応であって個々の関数値の対応ではない。原関 数をf(t)、像関数をL(f)(s)とするとき、原関数の初期値(t→+oのとき)・最終値 (t→◇。のとき)は、像関数では各々、無限遠方での挙動(s→。。)、s→oでの挙動と対応. 関係にあることに触れ、証明をした。次にHeavisideの単位関数とも呼ばれている単位ス テ・ソプ関数と、物理学者のP.A.凹』irac(1902∼1984)によって始めて導入されたδ関数. について述べ、一例をあげた。最後に、周期関数のラプラス変換について述べた。§4で は、ラプラス変換の具体例を述べ、いくつかの例には証明を与えた。また、§5では、最 も基本的な原関数を中心にラプラス変換表を作った。. 第2章では、ラプラス逆変換の積分表示(複素反転公式)を証明し、これを複素閉路積 分へ変形する方法を述べた。先ず§1では、Cauchyの積分定理を述べ、複素関数論の立場 から複素閉路積分の基本定理に触れた。§2では、中心課題であるラプラス逆変換の積分 表示(複素反転公式)を証明した。次に、§3では、ラプラス逆変換の積分表示を複素閉路. <1>.

(3) 積分へ変形するためのJordanの補助定理を証明した。そして、ラプラス逆変換が像関数の. 留数で表わすことができることを示した。§4では、ラプラス逆変換の具体例を述べ、い くつかの例については証明を与えた。. 第3章では、ラプラス変換を微分方程式に応用することを目的とする。ところで、微分 方程式の解法の一つに古典的方法がある。これは、微分方程式から先ず一般解を求め、次 に一般解と初期条件によって不定係数を定め完全解を得るものであった。しかし、古典的 解法では解を求めるまでの過程が複雑であったり、高次数の微分方程式のときに、複雑な 演算となる。本章では、ラプラス変換を如何に微分方程式に適用するかを述べた。§1・. §2では、n階線形常微分方程式を解くための一助として、各々定数係数・非定数係数の 2階線形常微分方程式への応用を述べた。§3では、先ず、Besse lの微分方程式の解であ るBesse l関数に触れ、その性質について述べた。さらに、 Besse i関数とラプラス変換との. 関係について述べた。§4・§5では、各々差分方程式、積分方程式について述べた。 §6以降は、本論文の中心課題である偏微分方程式の初期値・:境界値問題への応用につ. いて述べた。応用上最もよく現れるのは、2階1次偏微分方程式であって、大きく3っの 種類に分類される。§7では、楕円型偏微分方程式のラプラス方程式を、§8では、放物 型偏微分方程式の熱伝導方程式を、§9では、双山型偏微分方程式の波動方程式を扱った。. その中でも§7で扱うラプラス方程式の境界値問題は、演算子法の応用で最も大きな困 難が伴うとされている。本節では、ラプラス変換の像関数の正則性を利用し、そこにフー リエ級数の理論を適用することにより、その像関数を逆変換することを可能にし、解を得 ることができた。. 第4章では、第3章の§7以降に求めた形式解が、真の解であるCとを証明することを 目的とする。特にラプラス方程式の形式解について、これが真の解であることを証明した。. 最後に、微分方程式への応用のみならず、広く物理工学分野への応用へ視野を広げ、ラ プラス変換の有用性を明らかにすることで、さらにラプラス変換の必要性を理解すること ができるであろうことを付記して、これを今後の課題としておきたい。 本論文を作成するにあたり、渡辺金治先生には大変お世話になりご迷惑をおかけ致しま した。心から感謝の意を表わします。. 〈2>.

(4) 目次 序章. 1. ラプラス変換……・・…・…………・…………… 1. gL. ラプラス変換の定義と存在条件……・…・……… 1 g2. ラプラス変換の一意性の証明…・・……………・・6 S3. ラプラス変換の性質と諸定理………………・… 7 S4. ラプラス変換の具体例……………・・…・……・18 gs. ラプラス変換表………………・・……・・……29. 2. ラプラス逆変換………・…・…・……………・…・32 S1. g2. S3. S4.. Cauchyの積分定理・…………・…・……・……・32 ラプラス逆変換の積分表示…・……………・…・36 Jordanの補助定理とラプラス逆変換の留数表示・…・・41. ラプラス逆変換の具体例…・………・……・・…・45. 3. ラプラス変換の応用・・……・……………・………56 S1. S2. S3. S4. gs. S6. g7.. 定数係数線形常微分方程式…・……・………・…56 非定数係数線形微分方程式・・……・…………… 63 Besse lの微分方程式…・……………・………・65 差分方程式……・…・……’●●●’●●’”●”●’”○●●●69. 積分方程式・…………………・…・…・・……71. 偏微分方程式の初期値境界値問題…………・・…・75 ラプラス方程式の境界値問題・・……・・………… 77 S 8. 熱伝導方程式の初期値・:境界値問題…………・…92 S9. 波動方程式の初期値・:境界値問題………………104. 4. 偏微分方程式の解の存在・………………・………・118 §1.ラプラス方程式の解について・………………… 118 §2.熱伝導方程式の解について…・……………・…・129 付録・・・・・・・・・・・・… 。・・・・・・・・・… 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…. 133. 参考文献… ……・…………・…………・……・・……135 索引・・・・・・・・… 。・・・・・・・・・・… 。・・・・… 。・・… 。・・・・・・・・・・… 。136.

(5) 1. ラプラス変換 序章で述べたように、ラプラス変換の応用範囲は広い。本章においては基本に重点をお き、§1ではラプラス変換の定義を示し、その存在条件を述べた。また、§2でラプラス 変換の一意性を、§3以降はラプラス変換の基本的諸性質を通して、その具体例を述べた。. §1.ラプラス変換の定義と存在条件 本節では、ラプラス変換の定義と存在条件を述べ、さらにラプラス変換の積分の収束性 について、絶対収束と一様収束について述べた。 (参考文献[2■6]). 1−1.ラプラス変換の定義 [定義1] 関数f(t)が、区間(a,b)上で区分的連続であるとは、(a, b)内 にある高々有限個の不連続点を除いて連続で、それらの不連続点及び(一◇。〈a,. 。。>bのとき)端点a,bにおいては、左右の極限値が存在することをいう。. [定義2] o≦t〈。。で区分的に連続な関数f(t)に対して、無限積分. k.L:,is .1” f(t)e−stdt (i ・i) o が収束するとき、sを変数とする関数が定義される。この関数をL(f)(s)と表わす とき、L(f)(s)をf(t)のラプラス変換という。ただし、 sは複:素数である。 また、L(f)(s)をf(t)の像関数、 f(t)をL(f)(s)の原関数という。. 本論文では、以下、区分的に連続な関数に対してのみラプラス変換を考える。. 1−2.ラプラス変換の存在条件 [定義3] 関数f(t)に対して、t≧T>oであるすべての実数tに対して 1£(t)i〈Meat となるようなα、M>0、 Tを見つけることができたとき、 f(t)はt→。Qで指数 α位の関数であるという。 t→◇oでf(t)=0(eat) とかく。 [定義4] f(t)∈ciassαとは、 f(t)がt→◇。で指数α位の関数で、0≦t〈。・. で区分的連続であるときをいう。 【定理1−1】 f(t)∈classαならば、 L(f)(s)は、 Re(s)〉αを満足する. すべてのsにikiして. する。. (証明) s=σ+iξ (σ,ξは、実数)とする。 Re(s)=σ〉α のとき、任意のT、、T2(T≦T1≦T2)に対して、. 1.

(6) .1”2f(t)e−std t 1 $ S’if(t)Ile−stl d ts ,S’2Meate−otd t. Tl Tl Tl =M ST2e一(o−a)td t. Tl 一一 一M (e一(ct−a)Ti−e一(o−a)T2). σ一α が成り立つ。したがって、任意のε>0に対して、 To=:max (T, 一 sl.1−6[iog−S−9t一:一illi2−9一 Ot) e ). とおくと、任意のT1, T2 (T。〈T、〈T2)に対して、 Sii f ( t ) e ’St d t 1 s s−1.1:zla (e一(u一”)”一 e一くct−a) ’2) 〈 s. が成り立つ。よって、L(f)(s)が存在する。. 【定理1−2】 L(f)(s)が1つのs。に対して存在するならば、Re(s)>Re(s。)を満たす すべてのsに対してL(f)(s)が存在する。 (証明). ’. 黶is ・) ・ Sllf(t)・一…d t_する.. CC一(5N @g(t),.,. Stf(T)e’BoVdT. o. とおけば、limg(t)が存在するので、g(t)は0≦t〈QQで有界となる。 t一.op. lg(t)1≦Mとおく。任意のT>oに対して、 S’ f(t)e”std t= Slf (t)e一‘s−eo’te−so‘d t. o. 。. o. == e”(s−so)’g(T)+ (s−s,’) S’g(t)e一(s一’o)td t. o Re(s)>Re(So)のとき、g(T)の有界性より、 Lim l e一(S一”o)Tg(T)1=一Lim e一(Re (B)一Re(so))Tl g(T)1 =o. T一.oo. T−Nx}. また、任意のT1, T2(T1〈T2)に対して、次式となる。. 一’2 一. @.

(7) Slg2,( t )e’(s−se)td tl.〈.. M Siie一〈Rc (s) 一Re (so))td t. −R。(、)讐R。(、U)( e一一一・・の・暇イー一・・劾. .O (T,, T,一>oo) @. ②③より①の右辺はT→bOのとき、収束する。. したがって、L(f)(.s)が存在することがわかる。. L(f)(s)がRe(s)〉αを満足するすべてのsに対して収束し、Re(s)〈αを満 足するすべてのsに対して発散するような実数αが存在するとき、 αをL(f)(s)の収束座標、 半平面Re(s)〉αをL(f)(s)の収束半平面、 Re(s)=αをL(f)(s)の収束直線、. という。なお、直線Re(s)=α上では、像関数は様々な様子を示す。§4で具体例を 述べる。(例4)(例5)参照。 次に、. k“1/.{:m .1’” s f(t)e−st i d t. (1・2). が収束するとき、. o L(f)(s)は絶対収束するという。. 【定理1−3】 L(f)(s)が1点s=soで絶対収束すれば、Re(s)≧Re(so)を満たす すべてのsに対して、L(f)(s)は絶対収束する。 (証明) Re(s)≧Re(So)のとき、 1 e ’St1 == e 一Re (S)tS e 一Re (sQ) t=1 e−80ti. .1ool f(t)e−S‘1 d t $ S:O f(t)e−sotl d t. o. o. となり、仮定より右辺が絶対収束するので、左辺の収束が証明された。 L(f)(s)が、Re(s)〉βを満足するすべてのsに対して絶対収束し、 Re(s)〈βを満足するすべてのsに対して絶対収束しない実数βが存在するとき、 βをL(f)(s)の絶対収束座標、 Re(s)=βをL(f)(s)の絶対収束直線、 という。なお、収束座標αと絶対収束座標βとの関係は、α≦βとなる。 thxT. @{CN kti,1; SN f ( t)e−std t. o がsに関して一様収束するとき、L(f)(s)はsに関して一様収束するという。. 一3一.

(8) 【定理1−4】 L(f)(s)がs=s。で絶対収束すれば、Re(s)≧R(So)を満足するすべての sに対して、L(f)(s)は一様収束する。. (証明) Re(s)≧Re(s。)のとき、任意のT、,T2(T、〈T,)に対して、 ,!’ifi(t)e一’td tl sST.2, 1 f(t)eis‘id i$ S’./ if (t)e−so‘ld t ,. となり、任意のε>Oに対してT・T(ε)をとると、. T〈T、〈T2なるT、, T2に対して、 .Slifi(t)e一”td ti sSlii f(t)e−se‘id t〈s. となり、Tはsに無関係であるので、 sに関して一様収束することがわかる。. 【定理1−5】 L(f)(s)がs=Soで存在すれば、これは、角領域 1・・g(・一・・)1≦÷一δ(任意の+分・」・さいδ〉・). 内のすべてのsに関して一様収束する。(図1+1参照) (証明). g. s=s。のとき、L(f)(s)が収束するので、 g(t) : St f(T)e−So’d 一v. 80 0. F受1:・:・ .・. o とおけば、任意のε>0に対してT2>T、>Tをとると、 cf 1 g(Ti)” g(T・2) 1 〈c タ:・:・. .・. となる。 図1−1−1. .Si if (t)e−stq t == Si if (t)e一‘fi−so’te−set6t (i). =[e一(’一se}tg(t)]’.2; (s−s,)Siig(t)e一(s−so)‘d t. ①の第1項は、Re(s)>Re(s。)を考慮して、潮回となる。 e一(s−So) T2 g(T 2)一 e一{SMSo)Tl g(T i) == 一 e一(S−So} Ti { ’g (T i)一 g(T 2)} + g(T 2) {em(S−So) T2一 e一(S’So) Ti }. 一4一. (1 ・ 3).

(9) よって、 i em(S’Se)T2g(T2)一e一(S−fio)Tig(Ti) 1 ≦e−Re{8−s・)T・19(T、)一9(T、)1+.19(T、)He一{”“s・}T・一e一{5−・)T・1 〈 e +M e 一R” (SmSe)Til e ”Re 〈S−So) (T2−Ti)一 1 1. 〈e+2M e−Re (smso) Ti @. となる。また、①の第2項については、次のようになる。. ls 一 s ol IST.gi(t)em(s’se)td tl〈M ls−sol,1:2, e一{Re (s)一Re (se}}td t. = iigEtl)(i一!1{lsl; 一S) IE il !lll s o)( e 一 (Rc (s) 一Re (so) ) Ti 一 e一 (Re (s) 一Re (so) ) T2). 〈. M ls 一sol. e一{R・観一Re (・e)) T1@. Re(s)一Re(so). ②③より①の左辺は、次式となる。 S’.2,f (t)e”s‘d tl 〈 M{2+ igs!itlllli一;lll−s−E−g−1;s一)一S ORI e(s,’) )e”{Rc(s)一Re(s.e))’i. そこで、S。からSにいたるベクトルの正実軸方向となす角をδ、とすると、. Re(s)一Re(so) ls’sol となる。よって、次式が成り立つ。 cos 6 1=. ,Si if ( t ) e 一e‘ d t 1〈 M {2+ Eitlg−s−s 6 ,] e一 (Re (s) 一Re (so) )Ti. S一 M (2+ g−1/[Iligmn 6 ]e一 (Re (B) 一Re (so) ) Ti. 以上より、角領域内のsに無関係な評価ができし(f)(s)の一様収束が証明された。 【系】 L(f)(s)がs=s。で収束すれば、角領域. 1・・g(・一・・)1≦f一δ(任意の+分小さいδ〉・) 内でs→Q。とすれば、L(f)(s)はsに関して一様にOに収束する。 [定義5]. 関数F(s)が複素平面上の領域D={slRe(s)>Re(So)}の各点で(複素 変数sについて)微分可能のとき、F(s)はDにおいて正則であるという。. 系 ラプラス亦&のlLf sは、. するk囲で正目1である。. 一5一.

(10) §2.ラプラス変換の一意性の証明 本節は、ラプラス変換の像関数が一致すれば、変換前の原関数が一致することを証明 (参考文献[10]). した。. [補題1] L(f)(s)がs=Soにおいて収束すれば、 g(t)= .1’tf(T)e−So’d ’r. o とするとき、g(t)は次の性質を持った関数となる。. 1)g(t)はO≦t〈・・で有界で連続である。 2)g(o)=0、1img(t)=L(f)(s。) t 一”x,. (定理1−2証明参照). [補題2] ワイエルシュトラスの多項式近似定理 区間[a,b]で定義された連続関数は、多項式によって一様近似できる。 これらの準備のもとに、次のラプラス亦換の一意性の証明をする。 【定理1−6】 L(f i)( s) == L(f 2)( s) (R e(s)〉 c). ならば、f1(t)、 f2(t)の連続点でfi(t)=f2(t)となる。. 不連続点では ,1,一 {f ,(t+o)+ f ,(t−o)} = 2,一 {f,(t+o)+f,(t−o)}. 2 NJ 一N一 ’i ’一N一 一一J 2. である。 (証明). f(t)=f1(t)一f2(t)とおく。 F(s)=L(fi)(s)一L(f2)(s)とすれば、. F(s)=Oが成立しているときに、f(t)が0となるCとを証明する。 f1(t)、 f 2(t)の収束直線を各々σ1、σ2とする。. σc=max(σ1,σ2)とすれば、 F(s)は、{slRe(s)〉σc}で正則となる。. このとき、α〉σcなるαを一つ固定して、次のようにおく。 g(t)== St f( ’u )e−aVd T. o 補題1より、次のことがいえる。 g(t)は有界連続でg(0)=O、limg(t)=F(α)=O. t一.ec} そして、Re(s)〉αならば、次式が成り立つ。. (定理1−2②③①参照). (s 一 (x )jlcog( t )e−ts一”)td t == F(s)==.o. o. 一6一. o.

(11) そこで、関数ψ(x)を th (, )= { og (i og(i/x)) o:;gi. と定義すると、ψ(x)は [0,1]で連続な関数であり、かっ①から次式となる。 o =F((x + n)=n 」’7g(t)e−ntd t. 0 1 ..nS cb (x)x n−idx (n= 1,. 2, ・一). o したがって、. [補題2]より、任意の多項式q(x)に対して、. Si v(x)q(x)d x=o. o となる。. よって、ψ(x)=0。これは、ψ(x)の定義からg(t)=0を示している。 したがって、f(t)の連続点でf(t)=0となり、ラプラス変換の一意性が証明さ れた。. §3.ラプラス変換の性質と諸定理 本節では、特に断りのないかぎり【定理1−1】の条件f(t)∈classαを満たして いるものとする。なお、【定理1−7∼9,14】は、参考文献[6]を、他は[1][2]を 参考にした。. 3−1 ラプラス変換の性質 【定理1−7】線形法則 c、、c2が定数で、 L(f1)(s)、 L(f2)(s)が存在するとき、次式が成り立つ。 L(c if i+ c 2f 2)( s)=c,L(f ,)( s)+ c,L(f ,)( s> (1 ・ 4). 【定理1−8】相似法則 L(f)(s)がRe(s)〉αで存在するとき、任意の定数λ〉○に対して、次式が. 成り立つ。. 1. s. L(f( 2t t ))( s)=一L(f )1−1 (R e(s)>a,t, ) (1 ・ 5). A ’21, 【定理1−9】移動法則 L(f)(s)がRe(s)〉αで存在するとき、次式が成り立つ。 L(e”t f(t ))( s )= L(f)(s 一一 2t ) (R e(s一 2t )〉 a). 一7一. (1・6).

(12) 【定理1−10】微分法則 f(t)はO≦t〈。。で連続で、f’(t)は0〈t〈。◇で区分的に連続とすれば、 L(f’)(s)=s L(f )( s)一 f(+ O) (R e(s)〉 ex) (1 ’ 7). となる。. さらに、f(t)がn回微分可能で区分的に連続ならば、Re(s)〉αに対して 次の結果を得る。 (1・8) L(f (n))(s)=snL(f)(s)一sn−1f(+O)一sn−2f’(+0)一… ...一 s f (n−2}(十 o)m f (n−i)(十 o. (証明). 任意のT>0に対して、f’(t)は (0, T)で区分的に連続であるので、 f’(t)e−tは、 [0,T]で可積分である。よって、 ∫f’(t)・一・dt−f(T)・一・T一・f・(+・)+乎(t)・一・td t o. o. となる。ここで、十分大きなToをとると、 t≧T。に対して、. 1 f(t)1 sMea‘ とおけるので、T≧T。に対して、次式が成り立つ。 lf(T)e−Tトlf(T)ie−Re‘5}T≦Me一【Rcく臼)一のT. Re(s)〉αのとき、. 1im f(T)e−sT=:o. となる。. T−oo. したがって、. s. s oo. f’(t)e−S‘d t=一f(十〇)+ sl f(t)e−S‘d t o. Re(s)>a. o. となり、(1・7)が成り立つ。. 【定理1−11】積分法則 L(Stf (T)d T. 1 (s)== 一 L(f )( s). s. (Re(s)>max(O, a)). 1・9. (証明). 十分大きいT。に対して、t≧Toのとき、 lf(t)1≦Me“tが成り立つ。 Sl ,f (T )d TI s’ .!’1 ,i f (T) i d T sM SI,e a’d T〈 一ll一 e at. 轤?i・)d・は四位の関数となることがわかる・ これより・. TO. 一8一.

(13) このとき、Re(s)>max(0,α)ならば、 S’(S‘f (T)d T) e−std t. o. o @’i e”S’iSlf ( ’v )d T + 一il−Slf(t)e−s‘d t. =一. となる。T>Toとすると、第1項は、 rif (T)d TI ==1 e一”( SifO(T)d T+S’.f.(T)d T). e−s’. s e 一Rc (E)’ 1 Sli‘1’ (T)d T1 + 一il e一(Re (s) 一a)T. 一>b (T一>oo). となる.したがって、 L(Slf. (. TA).d T..!(.sN,+) 一1 一1;rmSilf(t)e−std t =. 一1; L(f)(,). やり・(1●9)が成り立つ・. 【定理1−12】像の微分法則 L ((一 t )” f ( t ))( s) = g−ll,g−i. L(f )( s). (R e(s)〉 cx). (1 ・10). (n=1, 2, 一・)’. (証明). 図1−3−1のように、任意のδ>0に対して、Re(s)〉α+δとする。 ξ また、if(t)1≦Meat’(T≦t〈Q◇)とする。 E・. LE(!llE−g一毛一f2−li;一LSE−IIL9−lf)(s+6) L(f)fS)mlll(一tf(t)).一stdt F・:・:・:・:・:・:・:・:・:・’. @F. i δ. .. −. 一. 一. 「. :・:・:∵∴・∴…. 1/’冒”㌔.、・∵∴’・. o =. s,s:; (一9一;1“il:一]一‘ m 1 + .t ) f(t).一,,d t む…. D㌧’!.㌦一.L.㌦’.㌦「.. F・:・:・:・:・:・:・:’ ・.・. :・:・:・:・:・:・:÷’∴’ 「. 7. ,. .. F. ,. 図心9(∫}p÷+til f(t)1・一R・ ・,…d t. @6, .S’. F1 f ( t ) 1 t 2e “t e 一R ’e (s)td t +M6」: t2e一 (Re (s) ma’e)td t. 一く.. となる。. 一9一.

(14) したがって、次のことがいえる。 第1項は、Tを固定しδ→0とすれば、 Oに収束する。. 第2項の. 閨Ee一一一dt. T は、Re(s)〉αかっδ→0のとき有界であるので、Oに収束する。 したがって、L(f)(s)は微分可能であるので、 L(一 t f(t ))( s)=:9L(f)( s). ds が成り立つ。なお、n≧2のときは、上の議論を順次繰り返すことによって得られ る。層よって、(1・10)が証明された。. 【定理1−13】像の積分法則. L(∵t))(・)が存在する一次式が成りV・・. L (一!i−i(1;12t ))( s)= ,1IL:1f)(g)dg (R e(s)〉 a). (1 ・11). (証明). SL(f)(、)一H(、)とおき、一tf(t)一h(t)とかくと、. ds. 【定理伺2】から・H(・)一L(h)(・)一泰L(f)(・)となる・ 【定理1−5】系より、limL(f)(s)=0を考慮すると、次式が成り立つ。 8→函 S: ’coH ( g )d g == ,!i’M g−g L( f )( g)d g 一一 L( f )( s). L(f)(・. bh∵)(・) 次の関 一. L(h∵)(・)が一蝋1:lr(ζ)dζ一L h∵)(s)t・ts・5・. したがって、(1・11)が成り立つ。. 一10一.

(15) [定義]合成積(convolution). t>0で定義された2つの関数に対して、 h(t)=.St f(T)g( t−T)d T. o. が存在するとき、h(t)をfとgの合成積という。記号でh=f*gとかく。 【定理1−14】. t>0で定義された3っの関数f,g,. hに対して、. (1) f )K g=g*f. (2) f* (g+h) ==f*g+f*h. (レ12). (3) (f * g) *h =f* (g* h). が成り立つ。. 【定理1−15】合成法則(Borelの定理) L(f)(s),L(g)(s)がともにRe(s)〉αで絶対収束するならば、合成積に おいてL(f*g)(s)は、Re(s)〉αで存在して、次式が成り立つ。 L(f >K g)(s)== L(f)(s)・ L(g)(s) (1 ・13) (証明). L(f)(s),L(g)(s)がともにRe(s)〉αで絶対収束するので、2っの積を 2重積分に変形できる。 L(f )( s)一 L(g)(s)=(Snf(u)e−s”d u) (S Cg” (v)e−svd v. o. o. = .!”IS”f(U)g(v)e−s {u+v) d u d v. o o. Cれは、領域C={(u,v)lu>O,v>0}における2重積分である。そこで、 u+v=rt,v=τとおくと、u=t一τ,v=τとなり、領:域Cは、 領域D={(t,τ)lt>τ>o}に1対1に写像されるので、次式となる。 .!’” e−st (,St f(t 一 T)g(T)d T) d t= L(f )K g)( s). o. o. したがって、L(f*g)(s)がRe(s)〉αで存在し、(1・13)が成り立つ。. 3−2 初期値・最終値の定理 【定理1−6】で証明したように、原関数f(t)に像関数L(f)(s)が1対1に対応 している。しかし、ラプラス変換の対応関係は、関数と関数の対応であって個々の関数 値の対応ではない。この項で示す2っの定理は、t→+0及びt→・。のときに関しては それぞれ、s→。。及びs一今0に対応することを示した。. 一 11.

(16) [補題]. f(t)が0〈t≦a (a>0)でf(t)=0となる関数であるとき、 L(f)(s)がs=Soで存在するならば・L(f)(s)は・角領域. Iarg (s−so) 1$f−6 (o〈6〈一li一) 内で、【L(f)(s)1≦C a e 一aRe (’}を満たす定数Cδが存在する。 (証明). 仮定より、次式がいえる。 L(f )( s)=.SM f(t)e−Std t =S oof (t)e’S‘d t.. O. a. ここで、t−a=τ とお.くと、次のようになる。 i L(f )( s) i == 1 ,1’ OOf(T + a)e−s ‘”a’ d T. o == e−a”e(s) ISrof(’r +a)e’srd T. o ところで、 g(t)== St f(T+ a)e’SVd T. o. とおく。. m ,1’”f(T+a)ersrd Tl =E IS =E 1 1 f(T+a)e一(s−so>re−sovd T o. o. ∫閃 =ll g’(T)e一{e−se)tdT. o :+ (s−so) Slgl (T)e一(s−so)xdT [g(T)e一(S’Se} t]+ (S−So). o 第1項は0に収束し、第2項は、§2の補題1よりg(τ)は有界であるので、 1 g(T) .1 〈M. とおける。したがって、次式となる。 ,!‘’Of(T 一t. a)em’rd Tl〈 i s−soi MSTe−R“(”一se’yd T. o. 9. 1 s−solM Re(s−so). 一12一. o.

(17) したがって、①より、. ls−solM. l L(f)(s)1 〈e”aRc (e). Re(s−so)・ となる。ここで、Re(s−So)≧ls−Solsin(δ)であることから、 i L(f )(s) 1 〈e−aRC (’}M/sin(6)= Cee−aRe (s). なるCeが存在する。 【定理1−16】初期値定理. L(f)(s)がs=s。で存在するとき、1imsL(f)(s)=・limf(t)となる。 s−mo. t→十〇. ただし、limsL(f)(s)は、角領:域 s一+oo. l.・・g(・一・・)}≦÷一δ(・〈δ<f)において考える・. (証明). f(t)=C+9(t) (C=lirn f(t))とおく。 t→十〇. 任意のε>oに対して、十分小さい丁>oをとると、o<t≦Tにおいて、 1 g(t)1 〈s とできる。ここで、g(t)=f(t)一。.のラプラス変換を考える。 S”Og(t)e−etd t= ,!”g(t)e−std t+ ,SD”g(t)ems‘d t. O ’. O T. 右辺を各々G1(s)、 G2(s)とおくと、 G2(s)は補題より、 lG2(s)1≦Cδe−Re (’} Tを満たすCδ>Oが存在する。. また、Gi(s)については、次のようになる。 i Gi(s) i = 1.!’Tg(t)e nt”‘6 tlsSt£ e’Re(s)td t. o. e = iiEMIti!ii’g−s )( i 一 e mRe (s)T). 以上より、次式が成り立つ。. s. C l 8. g(t)e−S‘d tl =i L(f )(s)一一1〈一(1 一e一”c (s)’)+c.e−Re (s)T. o i i si Re(s). ところで、旧領域内で「lRe(s)1≧MlslなるM>Oをとることができる。. 一13一.

(18) よって、次のようになる。 1 s L( f )( s )一 c 1 〈 fi( 1 ‘ e 一Re {s) T)+ fi“ R e(s)e neRe (s)T. したがって、limsL(f)(s)=・c s 一一〇〇. となり、limsL(f)(s)=1imf(t)が成り立つ。. s一.op t一十〇. (1・14). 【定理1−17】最終値定理 f(+。・)が存在するとき、L(f)(s)がRe(s)>0で存在するならば、. limsL(f)(s)=iimf(t) ロ う ぬ ゆ となる。ただし、limsL(f)(s)は、角領域 s→o. l・・g(・)1≦f一δ(・〈δ〈÷){こお・・て考える・. (証明). f(t)=A+g(t) (A=1 imf(t)) とおく。 t.EX}. 任意のε>0に対して、十分大きいT。>0をとると、t≧T。において、 [g(t)1〈εとできる。 L(f)(s)が存在するので、T≧T。なるすべてのTに対して、次式となる。 L(f )(s)= STf (t)e−std t+ ,!co(A+ g(t)) enestd t. O. T. 一∫(f(t)一A)・一・td t+卜dt+聾(t)・一・td t. o e. T. 第2項は、A/sとなるので、 L(f )( s )一 一(IL = Si( f(t )一 A) e’s‘d t+ S:g(t)e ’B‘d t. となる。第1項をG1(s)、第2項をGz(s)として、次のように評価する。 e ’Re {s)td t == 1 G2( s) 1 〈 s,!’Ole e−Re (s)T (R e(s)〉 O). T Re(s) i Gi(s)i 1=1.1”(f(t)一 A) ettd t. o. 一14一.

(19) 尋・…一一)田ADdt o. lf(t)1+IAl≦K (K>O;定数)とおけるので、 1 ’G i( s ) 1 S K,!’. F e ’Re (S) ‘d t = ftt s)1 e−Rc (s) T一 1 l. i L(f )( s )一 i一 i 〈kt s)1 e ’”e (“)’一 i 1+ iiTltilllrl;一is )e ’”e (s)’. したがって、次のようになる。 Isl l s L(f )(s)一A i 〈{Kle−R” (s)’一 1 1+ee−Re(s)T}・. Re(s). Kは、sに無関係であるので、s→0とするとき、lsL(f)(s)一Al→O lim sL(f)(s)=A. s.O. となり、 limsL(f)(s)=limf(t)が成り立つ。. s.O t−mo. (1・15). 3−3 単位ステ・yプ関数とδ関数 ここでは、Heavisideの単位関数とも呼ばれている単位ステップ関数と、物理学者の Diracによって始めて導入され、物理現象の解析や説明に役立っδ関数について述べた。 (1)単位ステ・ソプ関数 [定義] ∀t∈(一・。,◇・)のとき、. H一{ば=:: (1 ・16). と定義された関数を、単位ステップ関数という。. H(t−a)のラプラス変換を求める。 窒g(t−a)・一・td t. L(H(t−a))(・)一. O 一∫・・e一・・d t+r,・・一・td t O. a. ロぬ むロ. 一[÷:魂(R・(・》・). 一15一.

(20) したがって、. e−as (R e(s)〉 O) (1 ・17) L(H(t−a))(s)=. s となる。特に、a=0のとき、次式となる。 L(H )( s)== L(1 )( s)=」 (1 ・ls) s (2)δ関数 図1−3−2に示すように、t=0で・。となり、その他ではOとなる関数をδ(t)と書 き、デルタ関数という。応用数学、その他で有用に使用されている。すなわち、次 oo. の性質を有する関数である。. oo (t=O) i1. e(t). ,,,)==. (tIO). t=o t.. (1 ・19). Sco6(t)d t =1. 図1−3−2. しかし、このδ(t)は普通の意味での関数ではなく、数学では超関数として取り扱 われている。そこで、次のようにδ(t)を考える。. ltl>Tなるtに対して。となり、無限回微分可能な関数をφ(t)とし、関数列 {δ。(t)}を考えて、次のように定義する。 iL: ,1mo6e(t)(p (t)d t = (b(t>. (卜20). 一co. (1 ・21). liM 6e(t) : (i) (t). e.O となる{δ。(t)}に対して、L(δ。)(s)→1. (ε→0) となるとき、. 形式的に、L(δ)(s)=1. (1 ・22). と考える。. [例]. 8. (ε>O) としたとき、これをラプラス変換 7T (t2十s2). 6 e( t )=:. すると、Re(s)>0においてlimL(δe)(s)=1となる。 e一.O. (証明) L ( 6 .)( s ) == 一i−iS : 6 e( t ) e 一st d t =r一 一ilH一 Sl; 一1−i,’il−gi+ . , e 一et d t. 一紅∴・一y. 一16一.

(21) 一揮. 1 cos2(e)e−se’tan (e)一 d e .. cos2( e ). 一罪・一dθ Re(s)>Oのとき、ε>Oであるから、 Lebesqueの収束定理より、 (参考文献[3]). lll L一一細:ぽθ一1 となり、(1・22)が成り立つ。. 周期関数のラプラス変換 f(t)は、o〈t〈・・で区分的に連続とする。ここで、定数p>oのとき、. 3−4. f(t十p)== f(t) が成立している.とする。このとき、f(t)は周期pを持つ周期関数という。 【定理1.一18】. f(t)は、o〈t〈Q。で区分的に連続で、周期b>0を持つ周期関数ならば、 L(f )(S)== 一7:.一[1−r;;一;. 一.. S: f(t)e−Std t (R e(s)>o) (1 ・ 23). となる。 (言正明. ヲ(f)(・)一∫・(t)・一・td t一£∫臨…dt. n=O O “一” np f(t)の周期性から、t=τ+pとおくと、次のようになる。 Si :f’1’t”) e 一S‘ d t ==,!1”.f−i }’r.+ p ),e 一” ‘””’ d T. SP f(T + n p)e−S (t+np) d T. o = e 一”P SSP f(T)e 一svd T. e Re(s)>0のとき、1e−psl<1であるから、次式となる。 L(f )( s ) == ll.;. e 一”” ’S’P f(t)e−s‘d t. n=O o. −17一.

(22) 一1÷∫:f(t)・一・td t(R・(・》・). §4.ラプラス変換の具体例 本節では、ラプラス変換の具体例をいくつか述べた。例4・5では、L(f)(s)の 収束直線上での様子を、例12・13では、周期関数を示した。また、例14以降は、理工学 上でよく現れる関数についてラプラス変換を求めた。. [例1] f(t)=1 のラプラス変換を求める。 (解)’. §1[定義2]により、次式となる。 ロも 諏∫:・ t一瓢[ヨ. 一ue[一叢(e一・N−1)]. こCで、Re(s)>0なるすべてのsに対して、 e−sN. lim 一 =O N一ひ(x} S. となり、ラプラス積分が存在する。. したがって、L(1)(、)一⊥(R。(、)>0)となる。 S. (1.24). [例2] f(t)=t のラプラス変換を求める。 (解) §1[定義2]により、次式となる。. 趣∫:一dtr山ヨ+∫∵d弓 第1項は、N→。。のとき0となる。. 第2 j÷∫:・一・td t. は、(例1)を考慮して、Re(s)>0なるすべてのsに対して、存在して、. 畑÷∫:・一t一÷. 一18一.

(23) となる。したがって、次式を得る。. L ( t )( s ) : 一1;T, ( i ・ 2s) 一般に、次式が成り立つ。. L(t・)(・)一三(・三三). q・26). [例3](1・26)を非整数まで拡張した場合 L(t”?(s)== 一[{i(li;t;一1−1.n.,’1) (n>一〇 (1’27) (証明) L( t n)( s )= .S’e” t ne−std t. o ここ:で、x=stとおくと、次のようになる。. 窯t−dt一等巽d・÷同一d・ ところで、Gamma関数「(k)は、次のように定義される。. 「(k)一∫・k一・・一・・d・. (レ28). o (ただし、k>0に対してのみ定義される。 k≦0では、収束しない。) したがって、次式が成り立つ。 L(t”)(s)== 一sl;.;;;.,Slxne−xd×=一!1(g[1;1}!i”.ii) (n>一i). [例4]収束直線上の全てのsに対してL(f)(s)が収束する例. f(t)一{?.,, [?i::,ILi ,,.,,,. の収束直線Re(s)=0上のすべての点でL(f)(s)は収束する。 (証明) @SIIf(t)d t = S: ÷,d t =1. となり、収束している。. 一19一.

(24) Re s=x〈Oに文・しては、. 冥・(t)e一一dt≦民dt 一一・∫ご噛・. となり、十分大きいTに対してeτ〉τ2(τ≧T)であるので、発散する。 したがって、収束座標は0である。. 直 Res=0上の に文・しては、 .!’1; f ( t ).一i yt d tl $ ,!!(] 一i;1, d t = 1. となり、収束する。Re(s)=O上のすべてのsに対して、収束する。. [例5]収束直線上で、L(f)(s)がある点では発散し、その他の点では収束する例. f(‘’== {?., [?/II<<asi (i・30). の収束座標は0であり、収束直線Re(s)=Oにおいて、L(f)(s)が点s=0 で発散し、その他の点で.は収束する。 (証明) sE“lo一一2NL1=LkC8L>(s.一9tU((aN. @Slf(t)dt.,,,11il;dt=OO. であるから発散する。. 直条Re s=o上の s=i. >oとする に文・しては、次式となる。. .!Ilf(t)e−i’td t = ,lli÷e−iytd t. 一瓢t). d t 一 iSM. si n(y t). dt l t. 一,llEE’!i)LIE一(S(T). sin(T). d .一 i iiE’O. dT y. 一20一. T.

(25) ところで、任意の0<a〈bに対して、次のようになる。. ∫:警τ)d…[S÷1》∫∴1)d・. 〈士+÷ベラく 同様に、次式が成り立つ。. bsin(τ)2 S:.d・〈π したがって、任意のε>0に対して、a。F2/εとすると、 a, b>a。を満足す. るすべてのa,bに対して、. ∫:讐τ)d・〈・,∫:÷)d・〈・. となり、L(f)(s)は収束する。 y〈0のときも同様である。. [例6] f(t)=e−t2のとき、 L(f)(s)の存在するsの範囲は複素平面全体に わたる。 (証明). 卜e一・dt≦卜・一・tldt O. O. −f・一一dt O. 一∫e一一一一2/・・d t〈・・ 0 よって、有限ないかなるsに対してもし(f)(s)は収束する。. [例7] f(t)=etZ のとき、すべての複素数sでし(f)(s)は存在しない。 (証明)s=Re(s)+iIm(s) とおくと、. ∫…e…一dt−f・一一一・帥一一φ すべての実数Re(s)に対して、t→。。のときQ。となるので、【定理1−2】より、. すべての複素数sでし(f)(s)は存在しない。. 一21一.

(26) [例8] f(t)=e 一λtのし(f)(s)を求めると、【定理1−9】と(1・18)によ り、次式となる。 1 L(f)(s)一 (R e(s十A)〉 O) (1 ・31). s+A. [例9] f(七)=sin(at) のし(f)(s)を求めると、次式となる。. a s2十 a2. L(f)(s)==(R e(s)〉 O) (1 ・32) (証明). eiat−emiat f(t)=2i とおくCとができるので、 L( f )( s ) == t/ ,ll] ( e r’ (”一i“) t一 e一(s+ia) t) d t. lt 1 1 s a ==一1−rm−1==一 (Re(s)>O) 2“s−ia s+iat s2+a2 となり、(1・32)を得る。. [例10] f(t)=tsin(at) のし(f)(s)を求めると、次式となる。. 2sa. L(f)(s)= (R e(s)〉 O) (1 ・33) (s2十 a2) 2 (証明). g(t)=sin(at)とおくと、【定理1−12】より、次式が成り立つ。 L( t g( t ))( s )= 一 L ((一 t)g( t ))( s)= 一一g−T, L(g)( s). また’(1●32)より’L(9)(・)一 A。IS.(R・(・)〉・). であることから、(1・33)を得る。. [例11] f(t)=sinh(at) のし(f)(s)を求めると、次式となる。 L(f)(s)= gi,一gl−li−i一 i (Re(s)>a) (1 ・34). 一22一.

(27) (証明). at− A−at. si nh( a te一”一e )= とおけるので、. 2. L(f )(s)== t.S[i] (e一(”一“)t一 em(s+a)t) d t. == ;一( g−1一:一sa 一 s−itLia)==li;i,4is7i. a2 (Re(s)>a). となり、 (1・34)を得る。. [例12]次の周期関数をラプラス変換する。 f(t)一{s [R,n:il;,‘i!:,i),:1,,,, (1 ・35). (p> O, n == O, 1,. 2, ・一). (解)f(t)は周期2pであるので、【定理1−18】より、次のようになる。 L(f)(S)= 一i:.一il一:i;一;.一,..S,2Pl ’e−8‘dt. −1−1_L∫:・一・td t+1:も・e一一Std t. ==F.:一1;=ii;i一,.,g(i−e−p”)一一一s(ile一..). [例13]周期関数のラプラス変換 区間[o,p)で定義された関数Φ(t)に対して、区間[p,+。Q)では、 φ(t)=oと定義を拡張しておぐ。. 0≦t〈p,n=0,1,2,…として、 (1) f(t + n p)= ¢(t). (2) g(t十np)=(一1)”¢(t) (3) h(t)=(f(t)十g(t))/2 と定義すると、f(t), g(t), h(t)は各々、周期p,2p,2pの周期関数と なり、φ(t)のラプラス変換L(φ)(s)を用いて、次の式で表わされる。. 一23一.

(28) L(¢ )(s). L(f )( s )=. (1 ・36). 1 一 e−ps. L(g)(s)= L(h )( s)=. L(¢)(s). ( 1 ・ 37). 1 + e−ps. L(¢)(s). (1 ・38). 1−e−2ps. (証明). 0. PΦ(t). t. 0. 2P. P. (0). (1). P9(t. 2P. 3p 3P t. ?it). 2P. P. 3P. 3P. (3) h(t>. (2). 図1−4−1 (1). f(t)一f(t−P)=φ(t)となるので、 L(f)(s)一e−psL(f)(s)=L(φ)(s)より、. (2). (3). (1・36)が成り立つ。. .g(t)+g(t−p)・=φ(t)となるので、. L(g)(s)+e−psL(gXs)=L(φ)(s)より、. (1・37)が成り立つ。. (1)、(2)の結果と、ラプラス変換の線形性より、. (1・38)が成り立つ。. [例14] O次の第1種Besse l関数(J。(t))のラプラス変換. J曙∴;チ…き・辰J訊・)一k(1〃 となる。なお、第3章§3でBesse iの微分方程式について述べる。 (証明) L(J o)(s)= ,!ll( ii.lili,((一Ili 1 ))”, (illii)2n) .一std t. 一汁:1:筑一t . (一1)” (2n)!. 一z一・. n=o(nl)222n s2n+1. 一24一.

(29) 一方、次式が成り立つ。. ÷、(1.∴/。2)、/2一寺(1+1/・2)一・f2一謡(∵壕加. ところで、 (”X2) .,,.一(,一i,)”.;.g.....1−2’一[ L12n“i’ ..E12;F(n+;)/r(;). である。よって、次のようになる。 撃戟F.li.t/ll’211’,”/’r(n+;)/r(;)/mg−i.li;i..,’(isi>i). ,一一,一,一,.i. C=:. =:i:S.i.Smii’2i!’,n(n一;)’(”m:)””’:’i’gi,1;;i..,. . (一1 )” (2 n)1 1. −2一・一・. n==o n 1 2 Zn(n 1) s 2n+1. したがって、(1・39)が成り立つ。. [例15]熱伝導に関する偏微分方程式の解法によく用いられる式(そto 1)。 L,{v’.irfi e’x2/4t}(s)=:71:一e−xVr;一. (xi,o, s>o) (i・40). (証明). L{vny.sl−iiit e−x2/“}(s)=,1:tlt e−x2/4te−stdt. = 7il 一S: ers (t2+x2/4st2) d T i). ’ ., 一[il itilill−1一一XV’一i一 Sll e一. (.一./2vrgt)2d T. となる。ところで、次式が成り立つ。 2) ,!1;e’”(t’/t)2d T = ,!lle−s(y/A−a)2(一 一)Lidl−1;2’t ) 3). = .!1; 一liiJ2 e−s q−y/n 2 d A. −25一.

(30) よって、 2 ,llle−s(v−y/t}2d T == Sl; ( 1 + 一illTt) e−s(r−y/r)2dT. 4)一訴d・一訴d・÷π となる。したがって、(1・40)が成り立つ。 ただし、. ・・ノT一τ・・y一./2再・・τ一y/λ ・・u一ノす(τ一y/・). とする。. [例16]熱伝導に関する偏微分方程式の解法によく用いられる式(その2)。 L{一m/z−」1一一i;s−X e−x2/4t}(s)=e−xv’;一 (×io, s>6) (i.4i). (証明) L{,一i/一2ir−」1−1−ii−X e”x2/4t}(s)==E;itZi7u−Slit−3/2e−x2/4te’stdt. = Eitii]iTSII t”3/2 e−cst+x2/4t) d t. 1’一一2迂(ゴ。}1(∫ヨe一佃一一・ == 7 =ny e−i (x VTs/2r} 2−xfs+v2+xVrs} d T. = # e 一xVi一:i jl; e一{t−x Vf:s/2t} 2 d T. となる。とCろで、. 窯e一・・d・一工・一2d T一二. であることから、(1・41)が成り立つ。ただし・・)t=(x/2τ)2とする。. 一 26 一.

(31) [例17]正弦積分Si(t)のラプラス変換 s i (t)., ,s:一fi−Li [lll−IEm2”(T) d 一ir (t>o). (1 ・42). と定義されるが、これを、ラプラス変換すると次式となる。 L(S i )(s)=±cot一’(s). (1 ・ 43). s (証明). 【定理1−13】と、(例9)の(1・32)より、次のようになる。 ,(,iB(t)/ t )( s)== Sl’”:’llmil;1.. , d g= 一ii. d g = 一 一tan−i( s )=cot−i( s ). 【定理1−11】より、. L(∫:s÷)d・(・)÷ (・)ttsり・ (1・43)が成り立つ。. [例18]余弦積分Ci(t)のラプラス変換 。 i (t).. 一 .s’. F: 一El’ililillS(T) dT (t>o) (1 ・44). と定義されるが、Cれを、ラプラス変換すると次式となる。 L(c i )(s)= 一ill一{li iog(s2+ i). (1 ・45). (証明) (1・44)の両辺にラプラス変換を施すと、. R・一t冥讐tτ)d・ L(Ci)(・)==一. 一=一 ,!’1 一E!li’iSl;cos(t T)e−std t. =” S ,Sl 一II−II.一illJgMII,+ ,,)d T. 一一寺∫(÷÷、. 一一歩,箒跳鳳・2+1) となり、(1・45)が成り立つ。. 一27一.

(32) [例19]誤差関数erf(x)と、余誤差関数erfc(x)のラプラス変換 [定義] @erf(. x ) == El 一 S: e 一x2 d x ( 1 ・ 46). erfc(x)= 1 一erf(x)= £一S:e−x2d× (1 ・’47). これらのラプラス変換は、xをk/2V”fとして、次の式を得る。 1 L(erf( k/2 VT ))( s)=一(1 一.一kv’Lg ). (1 ・48). Sl L(erfc(k/2 VT ))(s)!一L一 e−kVi. (1 ・49). s (証明). 先ず、(1・49)を証明する。定義(1・47)により、次式を得る。 erfc(k /2 ・vi−V’ ) 一 711i 一 1:s,t/];;/4td (k/2 ・,/:tT ). 一捻∫:t一三 ところで、 (1・41)より、次式を得る。 L {一5iti7iT t 一3/2 e 一k2/4t /( s ) == e 一k .t‘i一. これと、 【定理1−11】より、. 1 L (erfc( k / 2 4/ E一 ))( s )= 一 e−k Vf;. s となり、(1・49)が成り立つ。また、 erf(×)= 1 一erfc(x). である。よって、 L (erf)( s )== L( 1 )( s)一 L(erfc)( s). 1. 1. =一一一e−k百 s. s. となり、(1・48)が成り立つ。. 一28一. (1・48)は、定義(1・47)より、.

(33) §5.ラプラス変換表 本節では、§3の性質と諸定理及び§4の具体例をもとに、本節以前に載せることの できなかったものも含めて、ラプラス変換表にまとめた。. 備考. f(t). L(f)(s). 1. δ(t). 1. {1・22,. 2. H(t)=1. 1/s. {1・18}. 3. t. 1/s2. {1・25⊃. 4. tn. nl/sn+1. q・26}. 5. t皿 (n>一1). 「(n+1)/sn+1. 6. 1/ノ冠. 1/再. 表22の・一吐おく. 7. eat. 1/(s−a). 表2とTh.1−9. 8. eatt. 1/(s−a)2. 表3とTh.1−9. 9. eattn. n l/(S−a)n+1. 表4とTh.1−9. 10. δ(t−a). a>0. e−a5. P.31注意. 11. H(t−a). a>0. e一邸/s. (1・17}. 12. sin(at). a/(S2+a2). α・32}. 13. COS(at). S/(S2+a2). 14. sinh(at). a/(S2−a2). (n=0,1,2,… ). 一29一. {1・27}{2・20}. 表12とThj−10. 《1・34}.

(34) f(t). L(f)(s). 備 考 表14とTh.1−10. 15. cosh(at). S/(S2−a2). 16. sin.2(at). 2a2/s(s2+4a2) .. 17. COS2(at). 18. smh2(at). 19. cosh2(at). 20. tsin(at). 2as/(s2+a2)2. 21. tcOS(at). (S2−a2)/(S2十a2)2. 22. e(一。2/・切/ノ冠(x>n). 23. (s2十2a2)/s(s2+4a2). 2a2/s(s2−4a2) (s2−2a2)/s(s2−4a2). e一・4/ノ;一. x e 《一x2/4t,/ 4π t 3 (x>0). P.31注意 P.31注意 P.31注意 P.31注意. 口・33}. 表13とTh.1−12. {レ4ω{2・25}. に・41⊃. 亀/ヲre82/4erfc(s/2)!/2. 24. e−t2. 25. Jo(at). 26. J。(at). 27. erf(k/2而). (1−e−kA)/s. 28. erfc(k/2π). e−k百/S. 29. Si(t).. cot−1(S)/S. {1・43⊃. 30. Ci(t). 一109(s2+ 1)/2 s. {1・45}. 1/ S2+aゑ (vGii5i一,)・/、・》評. 一30一. P.21例6 {1・39⊃. {3・25}. {レ48}. {1・49}.

(35) ン王 き !田、 ヘ. へ. 関数f(t)∈classα、定数a>0に対して、次の①②が成り立つ。 1) L(f(t+a))(s)= ,iMf(t+a)e一’‘dt. o = e ”“SM f(t)e ”Std t. a =: esa(L(f)(s)一 Saf(t)entstd t. o. o (Re(s)>a. a>O) 2) L(f(t−a))(s)=e−sa(L(f)(s)+ ,1“f(一t)estdt @. o (Re(s)>a. a>O). ラプラス変換表10については、次のようになる。 ②の有限積分の部分は、f(一t)≡○であることより、取り除かれる。すなわち、 L(f(t 一 a))( s) == e−SaL(f )( s). となる。したがって、次式が成り立つ。 L(6( t 一 a))( s)== e−SaL(6)( s). 一一e−sa. ラプラス変換表16については、次のようになる。 sin2(at)=(1−cos(2at))/2、(1・24)、ラプラス変換表13を用いる。 L(sin2(at))(s)=L(1)(s)/2−L(cos(2at))(s)/2. 1 1 1 り. つ. 1. 2a2. 2 s 2s2十4a2 s(s2+4a2). ラプラス変換表17については、cos2(at)=1−sin2(at)より、明らか。 ラプラス変換表18については、次のようになる。. sinh2(at)=(cosh(2at)一D/2、ラプラス変換表15を用いる。 L(sinh2(at))(s)=L(cosh(2at))(s)/2−L(1)(s)/2. 1. s. 1 1. 2a2. へ. 2 s2−4a2 2 s s(s2−4a2) ラプラス変換表19については、cosh2(at)=1+sinh2(at)より、明らか。. 一 31.

(36) ラプラス逆変換. ?一一. 本章では、関数f(t)のラプラス変換L(f)(s)が与えられたとき、その逆変換f(t) を求めるラプラス逆変換の積分表示(複素反転公式)を証明した。§1では、Cauchyの積 分定理を基礎に複素閉路積分に触れ、§2は、中心課題である複素反転公式を証明した。. §3では、Jordanの補助定理を証明し、複素反転公式を複素閉路積分へ変形する方法を 述べた。§4以降は、ラプラス逆変換の基本的諸性質を通して、その具体例を述べた。. §1.Cauchyの積分定理 本節では、Cauchyの積分定理を述べ、複素関数論の立場から複素閉路積分の基本定理 をあげた。 (参考文献[8■12]). 1−1 Cauchyの積分定理 【定理2−1】 複素平面上の周「上および内部で関数F(s)が正則とする。その閉路「を単純閉曲 線とするとき、次式が成り立つ。 [ii F(s)d s=o. (2・1). なお、単純閉曲線を次のように定義する。. 複素平面上の点sを、実数の閉区間α≦t≦βで定義された2っの一価実数値連続関 数σ(t)、ξ(t)によって作られる関数s(t)=σ(t)+i・ξ(t)で表す。. そして、複素平面上の周「をs=s(t)(α≦t≦β)と書くことにする。 このとき、始点および終点をそれぞれs(α)、s(β)とすれば、. s(α)=s(β)であるが、それ以外ではt、≠t2ならばs(tl)≠s(t2) となるとき、Cれを単純閉曲線という。(注意)以後、単純閉曲線を閉路と呼ぶ。. 【系1】積分路変更の定理 SA F(s)d s. B は、点Aと点Bを結ぶ経路に独立である。ただし、点A、点Bは閉路上の異なる 2点とする。 (証明) 点Aと点Bを結ぶ任意の2っの経路を図2+1のようにとる。. .OB. 【定理2−1】によって、次式が成り立つ。 .1 F(s)d s= o. APBqA 図2ヨー1. 一 32 一.

(37) よつ一(’. 轤e’(・)d・’SF(・)d・一・. APB BQA S F(s)d s ==S F(s)d s. (2・2). APB AQB となる。したがって、積分は点Aと点Bを結ぶ経路に独立である。. 【系2】. 図2−1−2のような2っの閉路「、「、で囲まれた領域の周上および内部で関数F(s) が正則ならば、 [il F(s)d s= [i} F(,)d , (2・3) r. n. 図のように「1、「上の点を結ぶ直線ABを引く。 F(s)は仮定より正則であるので【定理2−1】より、. (証明). T. 乱鳩・一・. r. となる。よって、次式が成り立つ。. B 図2−1−2. SF(s)d s+S F(s)ds+S F(s)ds +S F(s)ds’= o. ここで、. であるので、. AQPA AB BRTB BA. SF(s)d s =一 一 SF(s)d s. AB BA SF(s)d s == 一 SF(s)d s. AQPA BRTB SF(s)d s == SF(s)d s ロ ドロ AQPA ・3)が成り立つ。このときF(s)は、「1の内部で正則 となる。したがって、(2. である必要はない。. 一33一.

(38) 【系3】. 閉路「が有限個の閉路「1、「2、…「nによって囲まれる領域であるとき、その周上 および内部で関数F(s)が正則であるならば、次式が成り立つ。 [ilF (s)d s + [IIF(s)d s + 1!iF(s)d s+ …一一・ + iilF(s)d s=o (?一 ・ 4). r. rl. r2. r皿. 【系4】Cauchyの積分表示 閉路「で囲まれた領域の内部の任意の点をsとし、「の周上および内部で関数 F(s)が正則であれば、次式が成り立つ。. F(S)==±milll,一(i,)dZ (2’s). (証明). 「内の任意の点Soに対して、 r>0を十分小さくとれば、 r. 円周K;ls−Sol=r. ’s. は、「に含まれる。. F(s). s−so は、「とKで囲まれる領域の周および内部で正則である。 【系2】より、次式が成り立つ。. 牽;三d・一最:三d・. 図2−1−3. (0〈θ〈2π)とすると、次のようになる。 ここで、KをZ=So+reiθ 2写 is 或、d・一 F(s o十 r e‘e)de. F(z). So vo. ・∬F(・・+・e・ら一F(・調・・)]d e. o i F(s o)+ i ,!{2 ”Fr(s.+ r eie)一 F(s ,) }d e. =2 7T. o. r→0のとき、 F(z) 最.一、.. d z =:’‘2rt i F(s o). となる。. 一34一.

(39) s。は「内の任意の点であるので、. F−21i或:三d・ となる。よって、(2・5)が成り立つ。. 【系4】から、次の事柄がわかる。 [正則関数の閉路内部の値は、その周回の値によって定まる。]. 複素積分の基礎計算 [il」ij]. EEil IE−gt−lir“lg一;i;一;ms.).ds=(207(i ((nnl[1)) (2・6). [解] 図2−1−4のように、中心s。、半径rの円周に沿って半時計方向に積分する。. S=So+reieとおく、. ξ. [il E−g,一lrg:;」lm ,,,.d s == i Si’ 一9−ll’一;lll−1;i”e , ,. s r. So 0. n=1のとき、明らかに 2πi σ n≠1の整数のとき、. 左辺一一1レー㌔ 図2−1−4. (n−Dr『1. 0. この(2・6)は、§2の2−1の留数の項で重要な意味を持つ。. 一35一.

(40) §2.ラプラス逆変換の積分表示 本節では、ラプラス逆変換の積分表示である複素反転公式を証明した。しかし、この積 分を直接計算することは容易ではない。そこで、§1で述べた複素閉路積分に変形するた・. めに必要である留数定理を先ず第1項で述べた。 2−1 留数と複素積分. (参考文献[12]). [定義] F(s)が、0〈ls−Sol〈Rで正則であるとき、0〈r〈Rを満たす任意 のrに対して、次式を定める。. ReSF(so)=tl/,!!i.(s)ds (2’7) をs=SoにおけるF(s)の留湯という。ただし、(Cr;}s−Sol=r)とする。 【定理2 一一 2】. F(s)が、O〈ls−s。1〈Rで正則であるとき、 F(s)のLaurent展開を次式と. するとき、s=Soにおける留数は(2・8)となる。 F(・)一…+(、全町+・一一+。全誉。+B・+B・・(・一・・)+・. ResF(s o)= Ai (2・8) (証明). n=O. ±1、±2、…のとき、c;ls−So1=r〈Rとすると、(2・6)から. S.(、∴譜d・ぞi:1;1: となる。. F(s)のLaurent級数は、 C上で一様収束であるからC上で項別積分ができ、 .!’F(s)d s=2ft i A,. c. ResF(so)一= s−i.1 iS.F(S)d・一篇@.鋤_. 【定理2−3】 F(s)がs=s。において1位の極を持つ場合、次式が成り立つ。 (2・9). ResF(s o) == lim (s−s o)F(s). s−So m位の極を持つ場合、次式が成り立つ。 R・・F(・・)一(m主D,聰1誉詰(・一・・)・F(・). 一36一. (2 ・10).

(41) (証明). F(s)がs=s。において1位の極を持つので、次のようになる。 Ai F(s)= +Bo+Bi(s−so)+一・ (O〈ls−sol〈R). S−So. (s−so) F(s)=Ai+Bo(s−so)+Bi(s−so)2+一一一. と表わすことができる。よって、. s→Soのとき、(2・9)が成り立つ。 また、F(S)がS=S。においてm位の極を持つ場合は、次のようになる。 Ai Am F(s)= 十一一十+Bo+Bi(s−so)+’” (S−So)皿 S−So (s−so)皿F(s)=:A.+…十A1(s−so)m一1+Bo(s−so)皿十…. と表わすことができる。 d m−1 _1(s−so)皿F(s)=(m−D!A1+m1Bo(s−so)+…. ds皿. となることから、s→s。のとき(2・10)が成り立つ。 留数は、閉積分路内に極を持つ複素関数の閉積分で、(2・7)の直接計算をせず に、(2・9)、(2・10)を利用して簡単に求めることができる。. 【定理2−4】留数定理 閉積分路Cの内部に、F(s)の有限個の極s、…s。が含まれるとき、それらを 除いた閉領域の周dCおよび内部で正則であれば、次式が成り立つ。. tF.,ResF(sK)==±.iS,F.(s)ds (2・ii). c. (証明). if,cf(c cnhQ. 図2−2−3のように、. SK(K=1、2、…n)を中心として十分小さ「な半径rの 円CK;(ls−Sol ==「>0)をCに含まれ、互いに交わら ないようにとることができる。. .O. したがって、【定理2−1】系3より、次式を得る。. 図2−2−3. S,9(・)d・一書い・…i書㎞F(・K). 一37一. (2 ・12).

(42) 2−2 複素反転公式 すでに、第1章§3、§5に各々示したラプラス変換表と諸定理を組み合わせて、直 感によってラプラス逆変換を求めることができるが、ここでは、f(t)のラプラス変換 L(f)(s)が与えられたときに、その逆変換f(t)を求める方法を述べた。. 【定理2−5】ラプラス逆変換の積分表示(複素反転公式) f∈cIassα、 fの右微分係数及び左微分係数が存在する点t>0 (ただし、 t== oのときは、fの右微分係数のみ存在し、 t〈oのときは、無条件)で、次式 が成り立つ。. 1 一{f(t十〇)十f(t−o)} (t>o) 2 1. k−L’ ::M 一li.;;i ,!’[ll R.L ( f )( s )e std s ==. −f(+ o) (t == o). 2. o. (t〈o). (2 ・13) ただし、. L(f)(s)の収束直線をRe(s)=αとし、 c>max(0,α)とする。. (証明). (Dt>0の場合。 1. s. c十iR. L(f)(s)e ’tds とおき、次のように変形する。. g R( t)=. 27ri 1. c−iR ,SC’‘ R{ ,i“” f( ?r )e 一std T ) e st d s. g R( t)=. 27ti C!“. .,,. c−iR 0. 1 t.c+iR mil{sl.fiiS[ll:’. −t eS(t−r)ds. ]f(T)dT. 1 = ,ll;{t. .!’1:e ‘c’ig) (t−r}d g]f(T)d T. 一千1讐ぞ丁}一 @Sll rkt i t−T){e (C+iR) (t−r)一e(c’iR) (t−t)]f(一v)d .r ==. 一 38 一.

(43) = ,!1; ;illtl−lllllll」C:ti’ sin(R(t’T))f(T)dT. よって、次式となる。. 9訳t吟. 辜刀轣jπ÷㎡ 一・)),f(・)d・ ①. !’i[lill[ii]li−lii:’llZ.li,li,ILi,ii:[[ii1(,:ii:::6.:;go.. (①あ第1項)について、δ>0に対して、次式を考える。 .!’: illC esin(R g )d g : Sl 一i ;1 n(Rc)d g+ Sl 一i !1 n(Rg)d g (2). Fi’[iln,[R,[id,i. (10621,i:Ili‘. とおくと、〈②の第1項〉→0 (R→Q・)(Riemann−Lebesqueの定理より) (参考文献[5]) また、②の第2項について、Rξ=ρとおくと、次のようになる。. 一2…lle芦厳ρ)dρ .. ,s:“ 一glC illll!.”/R一 i sin(p)d p+ ,!:“ 一E−li−2iisll−Zn(P) d p. よって、(②の左辺)→π/2 (R→。◇)となる。 また、次式のようになる。 撃戟GSi 一i−C!in(Rg){f(t−g)一f(t−o)} dg. ww=一一 畦∫:ぞ: ξ)f(t dξ ③. 一39一.

(44) ここで、fの左微分係数が存在するので、次式が成り立つ。. ,!’., tl/if(tmg)一f(t−o)idg〈oo. したがって、Riemann−Lebesqueの定理よりR→◇◇のとき、. ③の第1項→0 また、. ③の第2項一÷f(t一・)(R一・・). したがって’(一一歩f(t一・)(R一・・) となる。. 次に、δ>0に対して、①の第2項は、次のようになる。. 噤?Gln(Rξ)f(t+ξ)dξ. (①の… =一17 S: 一i:Cs:n(Bg)f(t+g)dg. + 一i一 .il f−Csln(Rc) {f(t+g)一f(t+o)} dg. + 一ii; S“, 一ge M!in(Rg)f(t+o)dg @. ④の第1項→0 (R→。。) ④の第2項は、fの右微分係数が存在するので、次弐が成り立つ。 S., 一il一 i f(t+g)一 f(t+o) i dg〈oo. よって、Riemann−Lebesqueの定理よりR→◇◇のとき、④の第2項→0となる。. ④の第3項一÷f(t+・)(R一・・) 以上より、t>0のときの(2・13)が証明された。 (2)t一・のとき・(1)の④から・明らかに9調一古f(+・)(R一・・)である・. (3)t〈0のとき、①からRiemann−Lebesqueの定理より明らかである。. 一40一.

(45) §3.Jordanの補助定理とラプラス逆変換の留数表示 次の条件(1)、(2)を満たすとき、次のJordanの補助定理が成り立つ。. (1) f(t)Eclassa (2)像関数L(f)(s)が、複素平面全体へ有理型関数として拡張でき、. 昌mL(f)(s)=0となる。 8r州eo. 本節では、Jordanの補助定理と前節で述べた複素反転公式から、ラプラス逆変換を閉 路積分として計算可能であることを示した。 (参考文献[9]). 3−1 Jordanの補助定理 【定理2−6】 Jordanの補助定理 条件(D (2)を満たすとき、次式が成り立つ。. t>・のとき・小f)(・)・std・一・ (2・14) Ll. t〈・のとき・・1豊∫L(f)(・)・std・一・ (2・15) L2 さらに、口msL(f)(s)=・0 ならば、. s”oo t一・のとき・小f)(・)d・一1豊∫L(f)(・)d・一・. Ll L2. が成り立つ。. ただし、L、, L 2は。(c>α)を中心とし、十分大きな半径Rの円の各々左半 分、右半分の積分路とする。 (証明) ξ〆. (1.. ↑. 瓶 図2−3−1のようにL、,L2の向きとする。. o にic. t〈o のとき、. s=c+Reieとすると、次式が成り立つ。 図2−3−1 1L2 == .S’L(f )( s )e s“d s =S”/L2( f )( c +R e ie) e (c+Rcie) tR i e ied e. L2 一 一x/2 −41一.

(46) ここで、w(R)=三具忍霞L(f)(s)1とすると、. IL(f×・+R・’e)1≦w(R)→0 (R→・・)となるので、 すなわち、次のようになる。 1 IL2 1s xAi (R) e c‘ R S”/e2.tRcosed e. −x/2 (θ+π一θとおくと、,。、(θ)一,。,(θ−)一、i,(θ)). 2 ’ ’一一i” ”’N’i ’一一 N’ 2 =w(R)e CtR .S”e tRs ined e. o. Qw(R)eCtR r. x/2. ==. e tRsined e. o. o:一 e s rt /2. n. x/2. 2tR. 0. f2w ( .R ) e ct R 一LL’ 一一一 [e 2tRe/x]. 7r e Ct (e tR一 1). t. より. t〈0のときe tRsine≦e 2tRe/冨. o. 一 w(R). sinθ≧2θ/7τ. 一一一. рn . (t〈O. R一>oo). よって、(2・15)が証明された。. t>0 のとき、 轤k(f)(・)・st d・とおくと・ 1・・==. Ll l ILi 1 sw(R )R e c‘ ,1’3’e./:Rcosed e. x/2. 1i・・1≦w(R)R…∫三野・・dθ一・(t>・・R一・・). となる。よって、 (2・14)が証明された。. t=0 のとき、仮定よりRw(R.)→0 (R→・Q)となり明らかである。. 一 42 一.

参照

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