植物細胞に及ぼす2,4-Dナトリウム塩の影響(I) : アオミドロ細胞の滲透圧に及ぼす影響
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(2) . 三 北 海 道 学 塗 大 学 紀 要 (第2部) ′ ′. 第4巻 第 2 号. ,. .. 昭和28年7月. 植 物 細 胞 に及 ぼす 2 ,4- D ナ トリウム塩 の 影響 英 1 . ア才ミ ドロ )細胞の 惨透 圧 に及 ぼす 影響 末. 松. 格. 北海道学蔓大学旭川分校生物学教室. ltar ‐ lam・ 2,4‐Di f so( t ・ Suen ・at su : TI I e 露伴ect 1 so chl eno×Y oroPI acetate on p]a・ ] t Cel ・ s ,. 1 f the So t l l i i t t of 2,4‐D on tl so e e 0smo c ( um Sa ・ . Tho E任e pr蝶sure o . fthe sメデ l 1 o s 夕げα Ce .. 1 ・ 緒. 言. 2 物の生育促 進 剤 と し ,4ーD ナトリウム塩 は高等植.. て、 叉除草剤として今 日広く利用されつ. あり、-且つそ. の物質代謝に顔愛す影響や、 除草効果に対する女献は枚 挙にいとまないが、 細胞を対象 に した研究は意外にすく ない。 その主なもの は Cu i r r r(ー949 e ) のタマネギの表 5 皮細胞、 岩波 (192 ) の花粉細胞、 Tuck ey 1 nn e r‘及 ,Ha. び lmhobe(i945) の ヒ ル ガオ の 花 粉 に つ い て. 2 ,4-D. の影響が報告されているに過ぎない。 筆者はアオミ ドロ を材料として、 その細胞に及ぼす 2 ,4-D の影響を研究 している が、 細胞湯透圧に及ぼす作用機作について2~3 の知見を得たので報告する。. 亘 . 材料及び賓験方法 i 供 試 した アオ ミ ドロ (Sp rogyras ) は、 旭川市内北 p .. 海道神社機の小川に自生 しているものを実験の都度採集. し、 直ちに実験に供した。 実験方法は 2 ,4-D の各種 濃度の溶液中にァオミ i ロを一定時間屡漬後、 更に種々. なる濃度の顔糖溶液中に移して原形質分離の限界濃度を 求め、 そのモル数を以て細胞鯵透圧を表示し、 ,対照のそ れと比較 した。 筒 2,4-D 溶液中にて既に原形質分離 を起した細胞については、 蔦糖溶液中にて原形質収縮の 限界を求めて、 その惨透圧した。 筒実験に用いた 2 ,4‐D は日産化学工業株式会社の 「2 ,4ーD日 産 ソ ー ダ塩」 であ る。. mゞ 賓. 験 結. 果. 実験 ー . pH の影響 : 2 ,4ーD の各種濃度溶液は その稀釈度によって pH が異る (第ー表’ ので、 先ず. Sorensen の燐酸緩衝液を用いて アオミ ドロに及ぼす pH. の影響を検 したが、 本試験範囲では pH は直接影響 し ない事を明かに した,. 第 1 表 各種濃度の 2,4ーD 溶液の pH. 2 1 6 2 6 2 2 が 2 3 6 3 -4 ’4-D 辱 関 川水 ← 6 が ← of閣 6 6 1帥 1網 6』 1網 4×ー -閣o 1×1 1m 1mo (モ .i ,網 o■ 6 8 巨. 7- 5 6暑 気6ー 5 6 巨, 71 5 21 5 6- 5 5』 5 .6 5- 5 5ー 55 pH , . ・ ・ . . . ・ ・ 4一P 溶液の影響: 本濃 実験 2 . lxlo一 モル 2 , ド 度の溶液中に於てはアオミ ロは浸潰時間の長短に拘ら i ず偽原形質分離 (F g .1) を示し、 且つこの細胞を再び 水中にも どしても原形質復帰は起らない。 かような細胞 ※ 種名不詳 糸状体は中 8 0” 、 , 長さは中の約 2倍、 葉緑. 体は!個に して4~5回旋. は形態的には葉総体は膨化 して暗緑色となり、,ピレノイ. ドは消失する。 叉細胞質も顎粒化するが、 2 4-D 浸漬 ,,. 0時間迄の細胞は濃厚薦糖液で原形質の収縮が増額 時間2 される。 この限界濃度は 037 モルで対照の穆透圧 0.33 モルより著しく 、高 ・ (第2表) 。 然し浸漬時間が40時間 5モル)に依っても原形質 以上になると、 濃厚薦糖液 (0 ..
(3) . 植物細胞に及ぼす2 . ,4‐D ナ ドリウム塩の響影 1. .. ー Fig . A 正 常 な ア オ ミ ドロ 細 胞 ,1. も r心; ,. Fi g.1 .B. ”. 正常細胞の 0.4 モル. に形態的変化を生ずる。 即ち浸漬2時間で先ず葉緑体の. 膿接着部の凹所が消失し (F i g .2) 、 ピレノイ ドも不鮮明 1 モルの影響 2 o‐ ,4ー D 1xl. 第2表 浸 漬 時 間 (時 間) 分. 溶液による鱒原形質分離. ′ - P. ′ ,. 薦糖液による原形質分翻に. 偏 原 形 質. Fi ・ C 1xー0ー1モ ル 2,4‐D g .ヱ. ,. 2. 離. 5. lo. ー5. 20. 40. 80. 120. 什. 什. 什. +. +. +. +. 細 胞 惨 透 圧(モ ル). +. 0 37 .. 0 37 .. 37 0 .. 0 37 .. 什. 葉 緑 素 の 槌 色 対照細胞惨透圧(モル). 0 37 .. 0 37 . ・. 0 33 .. 33 ,0 .. 0 33 .. 」 33 0 .. 33 0 .. 33 0 .. +. +. 33 0 .. 0 33 .. 措. 0 33 .. 5 モル蔦精液中にても原形質の収縮を起さない場合 備考 : 閃は 0 . 。 i 位置の乱れが見受られ (F g3) 、 長時間浸漬した細胞で. ハ. ノ ′ ′ . : ・ ′ .. は、 葉緑体は膨潤して牙歯縁は平滑となり、 ー~数個の i 塊状を呈する (F 、 g .4 。. 、 て. ・. Fig .2 .lxlo-2 モ ル 2 ,4-D. 溶液中 にて薬総体の』 険接着部凹断の消失. になる。 この状態は浸漬5時間迄略同様である。 ー0時間. Fi ・偏原形質分離が著るしく、 g ,4 . 薬総体は塊状となる。. o時間浸漬 以上浸潰した場合は簾原形質分離を起すが、l 5時 のものは水にも どすと原形質は1 日に復するが、 浸漬1 間以上のものは水にもどしても原形質の復帰 は 起 ら な. い。 筒短時間. 2 ,4ーD に浸した細胞でも時に葉緑体の ′. ′. Fi g .lxlo-2 モ ル 2 .3 ,4-Dr溶液. 中にて薬総体の}部が膜より 離れる. 筒第3表にも示す如く、2 ,4ーP 浸漬時間が短かい場 合は、 対照に比しその細胞惨透圧は著しく 低下するが、 浸漬時間の延長と共に上昇 し、 浸漬15時間で対照のそれ と同値となり、 更に時間の延長に伴って上昇を続け、 却 って 対照より高圧を示すにいたる。 浸漬80時間以上では. 簾糖液による原形質の収縮は見られなくなる。 3及びlxl04モ 実験 4 . 稀釈 2,4ーD 溶液・(lxlo‐ ル) の影響 : 稀薄 2,4ーD 溶液の場合にはアオミ ドロ 細胞の形態的変化は全く認められない。 且つ惨透圧も浸 漬5時間位迄は対照と変りなL が、 5時 :間以上になると 一 59 .-.
(4) . 第3 浸 漬 時 、間 (時 原. 形. 質. 表. lxlo-2 モル 2 ,4ーD 2. 間). 溶液の影響. lo. 5. ヱ5. 20. 40. 80. 120. +. +. 什. 什. 離. +. +. 偏 原 形 質 分 離の 回復. +. ゴ ヒ. 0 30 . 0 33 .. 0 33 .. 偏. 分. ・格. 松. 末. 0 27 .. 0 27 .. 細 胞 参 透 圧 (モ ル) 対照細胞の参透圧(モル). 0 29 . 0 33 .. 0 33 .. 33 0 .. 4 モルでは lxlo-3 モル では浸漬ー 7時間迄、 lxlo- 40時間迄の細胞は明 かに対照に比し惨透圧の低下を来た. 0 40 . 0 33 ,. 0 33 .. 40 0 . 33 0 .. ー. ー. 閃. 閃. 33 0 .. 33 0 .. 却って惨透圧は対照以上に高まるo 以上の結果は第 4表の通りである。. す。 然 しこれ以上アオミ ドロの浸漬時間を延長すれば、 第 4 表 稀薄 2,4ーD 溶液の影響 浸 漬 時 間 (時. 間). 対照細胞の棒透圧(モル) 1xlo 3 モルに浸漬細胞 、 の湯透圧 (モル) lxlo一 モルに浸漬細胞 の惨透圧 (モル). 1. 2. 5. lo. 15. i7. 20. 33 0 ,. 33 0 .. 0 33 .. 0 33 .. 0 33 .. 33 0 .. 33 0 .. 0 33 .. 0 33 .. 0 33 .. 0 31 .. 31 .. 0 31 .. 033. 0 33 .. 33 0 .. 32 0 .. 0 31 .. 0 31 .. 3ー 0 .. 0 .31. 実験 5 . 2,4-D 濃度と踊原形質分離: 実験1及 2 び に示した如く、 比較的濃厚な 2,4-D 溶液中では. f. 120. 33 3il o 0 . .. 0 33 ,. 4o. 80. E. キー. 37 0 . 36 0 .. 分離を示す 2, 4ーD の濃度と時間の 関係を検 し第 5表 及び Fig.5 に示す如き結 果を得たつ. アオミ ドロ細胞{ ま鴛原形質分離を示したの で、 偏原形質 r. 第5 浸 漬 時 間 (時. 表. 2 ,4ーD. の偏原形質分離濃度と浸漬時間との関係. 0 5 .. 間). 2. 3. 4. 5. lo. 15. 25. 傭 原 形 質 分,離 を 起 す. 3 4xlo‐3 4xlo- 2 1×10-2 1×10-2 8xlo- 6xlo- 6xー0‐2 4×lo-2 2×lo-. 偏原形質分離を起す作用量 濃度x浸漬時間). 3xlo-2 4×lo-2 4xlo-2 3xlo-2 4文10-2 4×10- 6xlo-2 6xlo-2. 最. 低 濃. 度 (モ. ル). (2 ,4‐D. :間の積を 2,4ー D の作用量とする 度 (モル) と浸漬時 と、 この値は略一定である。 更に 2,4- D の濃度をう ずめると 作用量は増加する、 しかし 2xlo-3 モル以下. Fi g ,う 備原形質分離を起す 2 4 , -D 濃度と浸漬時間の関係. の濃度では如何に浸漬時間を延長しても偏原形質分離は 生じない。 ▽ 考 1. 察. 933) によればアオミ ドロの偽原形質分離は塩 坂村 (1 類、 酸、 塩基の作用に依って起るが、 この際細胞内の水 叉は溶液の惨出があるという。2 ,4-D による細胞の篤 9) i r(194 r e 原形質分離については筆者のみならず、 Cur . 篭 ミ 1 ‘ ~4 ぢ 」 モル J (. ※. 弐 一 時. key 2) やTuc は タマネ ギ の 表 皮 細 胞 で、 岩 波 (195 . 1945 Hamner 及び lml be( l o ) 等はそれぞれ花粉細胞で. 期. 同様の現象が起ることを観察 している。 是等の・偏原形質. 即ち偏原形質分離の生起には、 高濃度の 2,4-D 溶 液では短時間で、 叉低濃度溶液では長時間を要する。 而 -3 して 2 ,4-D の濃 ,4-D の濃度 8xlo モ ル 迄 は、 2. 分離は何れも細胞よりの水の惨出によるものであろう。. 尚 2,4-D は低濃度溶液では細胞惨透圧の低下を来た す が、 浸漬時間が長くなると次第に惨透圧の上昇を来す. 一 60 一.
(5) . 植物細胞に及ぼす 2 ム塩の影響 ,4- D ナトリウ・ 故、 2 ,4ーD は原形質の水和を左右するもの と 考 え ら れ 且つその作用様式は 2,4ーD の作用量によるもの. 1 .. i l l the pa thway of 2 t sn ・in the p ー ant s e abo . ,4-D m. であろう。. l The ex1 i lr i su t l ln l ‐ r n ・ esul 1 e ent a e s obt a ned may l ) ● f i d ] l arse a s o ows:. 195ー) によって記述されているが、 筆者の実験に 川田 (. l i i f l月o and lnoo molar concentrat ut onso so ons ,. 、. 1 i 1 l rogyrace 1 I Sp s we re i r ー nme sed in , “ァhe. 次に 2,4- D が葉緑素の分解作用をもってv ・る ・事 は. 於ても2 ,4ーD により膨化したァォミ ドロの葉織紳 の源 離端部より槌色現象が起るのが認められた。 ▽ 結 .. 2 l . i o causethe . seud。p 」 s found t a smo s ys ,4一D j i l l rogy race of Sp . 2 lpha i i t eof sp a s rogyra seofre . . Astheini pons. 言. 以上の実験結果を要約すると、 2 ,4‐D は細胞の惨 透圧を低下或は上昇せ しめるが、 高濃度の 2,4-.D 溶 液は直ちに細胞より水分の異状移出を誘起して穆透圧の. 上昇泣びに侭原形質分離を起させる。 傭原形質分離を超 3モ o- -D,の作用量は略一定 しているが、 2xl す2 ,4- ル以下の濃度の溶液中では起らない。. 本稿を終るに当り 、 御教示と校閲を賜った北大教授田 , 川隆博士に謹ん で深謝の意を表する。. l l ld l i i l ・ di ed s t o on of 2 ce owe si ut r ngof ,4-D′al i l l wa i tbe o 1 t s き sureof sp r sr ‐ ogyrace su ー no c pr乾 e l i l le att ter p a rea e of the t el ・ as ean inc ed, wー ・ ・ s l t r ed wi l l cogni z , osmot ed ascompa c pre s sure Wi sre 1 l ー t of the cont ro ・a . 3 i i r e sof r s ea s ng re ea spons ng and dec . Such inc i i l i lut l t rogyra c e o os n Qb c pr e s e of sp l t l s sur si l so i bu t t t of 2 r ed Lo the cha 1 1 ge of ,4ー D may be a da l ls l l ta t co oi e op a sm. s of prot i l l 4 rogyra ce s n s we re immer ed i . 下芯hen sP. Resume A1 l ho l l and phys i l l i i thoug ・the m ー or ) og ca o og ca 1 l ly i st re e ant o2 1 enext ens spons ▽e sofp avebe ,4-DI i ly l l l ー r t t ng t t r ei sk own conce rni ・ e ed ua z I s udi , vi l i l lg i lr l l t とe lys s ofthe p cytひp o ca e spons e a l l s by - l he app ion of t l i i ly as l i t t t t ・ ca cu ar s bubs ance par i i l iment t ot re ed totheosn ・ our ・ eex a c beha▽ ) e r s . T1 ー i i t t nso - repor re we re de o ob 1 nei nror ed he a s gned t i i i i t o ・ nat ons conce rn t 1g the o l ro cr es e of sp sn pons l l l ium s l tof 2 sto t 1 od es a gyra ce ,4一D. T1 i imenta l t t s of ーhe expe ・ ra on range r e concen ー lo lo, 1月00 ooo and l 00o i l / e l/ / ut ons wer so ,1 , , i forma l l i t ons 1 ra 1 t mo r concent a on mi so .Such i ghta. lu ldi舎 ted so t insof 2 ra orophyl concent ,4ーD, chl i l l .l i ・ r chl oured atthe pc e ra r of the r . aye ひro co p l t a s s p .. 女. i 1) Cur l i ant phys o r e r . P1 .24 . ,601 , H. B.(!949ノ. 9 2) 岩波洋造 (1952) . . 科学・22 ,ー4 3) 川田信一郎 ( 1951. 科 学、 21 ・ ,332. i l 4) B o smus en ant phys a ・ . P1 . 22 , L. \V.(1947) , 337 . 二 i i do 5) sa l okka く amura .Fac .Sc .Journ ・日 ,T.(1933) i lmp ▽ r e s . .Se . Uni ,287 ,5 ,2 6) Tuckey a . L. Hamner , H, B. ,C , and Barbar lmー ・ obe , Ga 2 .‘07 .(ー945」 . Bot . ,62. ibut be expec t r t r e to unde ed to cont s anding of. 【‐61. 献. 」.
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