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労働・資本・技術の代替メカニズムに視点を据えた日
米発展パスの比較分析
Author(s)
渡辺, 千仭; 中久木, 雅之
Citation
年次学術大会講演要旨集, 13: 132-137
Issue Date
1998-10-24
Type
Conference Paper
Text version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/10119/5664
Rights
本著作物は研究・技術計画学会の許可のもとに掲載す
るものです。This material is posted here with
permission of the Japan Society for Science
Policy and Research Management.
Ⅰ
C4
労働・資本・
技術の代替メカニズムに 視点を据えた 日米発展パスの
比較分析
渡辺 千匁,
0
中入木雅之 ( 東工大経営工学 ) 1. はじめにアメリカ経済は、
91
年 4月以降、
8 年目となる景気拡大が続いている。
長期にわたる景気拡大、 低失業、
物価安定などを背景として、
アメリカ経済の 生産性はこれまで た比べて上昇し、
インフレを伴わない 新しい経済状態に 入ったとする F ニュー・エコ ノミー論 山が関心を呼んでいた。 いっぼう日本では、
バブルの崩壊とともに 資産デフ レが 起こり千株価神話水田土地神話山は崩壊し、
金融機関は多額の 不良債権 を抱えることになった。
資産デフレだけでなく 消費者物価指数もさがり 日本経済全体的にデフ レ傾向が出てきている。 また消費者物価指数だけでなく、 GDP の成長も鈍化し、
未だ に 日本経済は不況を脱しきれないでいる。
日本、 アメリカの両国は、
世界有数の経済大国であり、
この商大国が1991
年前後 を境に全く対照的なバスを
描いていることはまさに「大国の 興亡」 ' を防御させる。
この対照的なバスを、
製造業における 生産要素の代替メカニズムに 焦点を当て分析を 試み た 2.日米の発展パス
これまでの日米の 発展パスは次項の 図Ⅰに示されるよ うに、
日本では経済拡大とと もに労働供給は逼迫したが、
資本・技術の代替が働き、
投資・R&D が誘発され、
その 結果経済が再拡大するという 好 循環システムが働いていた。
一方アメリカでは 経済 拡 大 による労働供給の逼迫により、
賃金は上昇しインフレを 押え込むために 金融引締め か行われ、 その結果投資は 抑制され経済が
停滞するというものであった。
しかし、
図 2 に示すよ うに日本ではかっての
好循環システムは 崩れ、 逆にアメリ;
ではかつての
日本のような 好循環のメカニズムが 働いているのではないか、
そしてそ の変化の原因として 経済の構造、
社会的枠組みに 変化があったのではないだろうか。
この 好循環のメカニズムの 状況を検証するために、 生産要素間の 代替メカニズムに
着目する。
代替メカニズムはその 経済の構造もしくはその 社会的枠組みを 大いに反映 しているものと考えられるからであ る。
, PaulKennedy , 鈴木主税, 草 思社, 1988図 t これまでの日米の 発展パス 図 2 現在の日米の 発展パス ""
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@j@ue@@fifc@ 労 億株 鎗 Ⅰ 迫 アメリカ 日本 。 集収技笘 "回
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軽涛 再拡大 ( 好 五車 ) WfM3.
分析方法
生産要素の代替関係を 分析する際には、 廿
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型コスト関数
Wl)
から得られる コス トシェアの関係式㈹に、
時系列データ 2 を用いて回帰分析を 行って 各 ハラメータを 推定 し 、 式 (3) を用いてⅢ len の 偏 代替弾性 値ヴ 。 を求めた。 i 臣 1(1)
コストシエ 円
材 i 二 %i+ Ⅹ A ヴ logpi(2)
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ヴヴ Ⅰ , 1 三九 ソ 三れ , i チソ老材
,(3)
(c: コスト 万 生産 z7: 価格 材 : コストシェア 移,
月,アパラメータ
) また、Ⅲ
len によると 偏代替弾性情と 生産要素の補完、 代替の関係は 次の表
1 のよ うになる。 ク 。 乏 0代替関係
0 。 く 0補完関係
表 Ⅰ 偏 代替弾性情 2 日本においては「国民経済計算年報」 C 経済企画庁 ) 、 「科学技術研究調査報告Ⅱ総務庁 ) 、 「毎月勤労統計要覧 J 「民間企 棄 資本ストック」「 エ棄 統計表」 ( 連理 省 ) 、 「 % 台エネルギ一統計」 ( 資源エネルギー 庁 ) などを基に作成したⅠ渡辺研究室基本データベース』。 アメリカにおいては「 S 吐 vey of ㎝Ⅱ rentB ㎎ 田 ess 」① 0 の、 「 S Ⅰ en ㏄ 6 % 』 g 田 eer 血 g 伍 di ㏄ ぬ rsJ
4.
分析結果
図 3 編 代替弾性 値 ( アメリカ )Ⅰ l-- ⅠⅠⅠⅠⅠ "
( 一 7.12) (-7.68) ( 一う . 520 @
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ヶ ⅠⅩ ( - - - Ⅰ」 丁
Ⅰ KT 図 4 偏 代替弾性 値 ( 日本 )
(15 ヵ (6 Ⅱ㍉ (-3.17) ( 一 5.6 り (-3.17)
R2@[email protected] D げ Ⅰ 0 . 2S70 M," 。 ・ ' ㏄ " 。 ・㏄。 ' 。 。 イ p.I 巧 ' 。 。 ・。 。 Ⅱ。 。 イ p,/D,)-0. ㏄。 ' 。 。 イク, /p,)-0.00'0 何 %".' 。 , ' (24.7) (-3 Ⅱ D (16.2) ( 一 1 Ⅱ 2) ( 一 3. ㏄ ) R@ Ⅰ 0.7839 D げ Ⅰ 0.2 コ 003 M. 。 。 ・㏄ 労ト 。 ・。 "" 。 イ p@f/B.)-0.078 。 イ 0 p,/C,)+0.163
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ひ ・ ' 巧 '" 。 ・㏄ ' 。 " 申, '",' (0 .コ 1% ( 一 5.61) ( 一 182) (24 ヒ 9 化, ヰ 0 . 9 Ⅰ㏄ 0 ・ 51) D ガ =0 . 7 コ 270 .㏄ 1 (-3 Ⅱの ( 一 3. ㏄Ⅰ 0.51) (220) 1985@ 1986@ 1987@ 1988@ 1989@ 1990@ 1991@ 1992@ 1993@ 1994@ 1995@ 1996 月 ' 二 0 . 8997 ⅠⅠ K " " " " <r Ⅰ 丁
Ⅰ KT 図 3 及び図 4 はそれそれアメリカ、 日本の偏代替弾性値の 変化を表わしている。 図 中の記号 Z,K
丁はそれそれ
生産要素である労働、 資本、 技術を表わし、
例えば 砿 Ⅹ は労働と資本の 偏代替弾性情を 表わしている。
表 1 におけるⅢ len の席代替弾性値の 定義に従えば、 日米両国において 労働と資本及び労働と技術は 代替関係にあ
り資本と技術は補完関係にあ る事が分かる。
ここで注 目したいのが 日米における 時系列トレンドの 相違であ る。 日本においては 労働と技術 0 代替関係及び 資本と技術の 補完関係が一貫して 弱くなっているのに 対して、 アメリ カにおいては 86 年以降労働と 技術の代替関係が 一貫して強くなっており、 91 年に多 少弱くなってはいるが、 その後はそれまで
以上に労働と技術の補完関係が
強くなって いることが分かる。
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誤差が生じる 可能性があるが、
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二丁ニ玉二 % において回帰分析の 期間の開始年と 終了 4 年を 1 年ごとに合計 5 年間ずらして 合計 3 25 バターンの分析を 行った結果が 以下 2 の図のようになり、 偏 代替弾性値を 求め ろうえで必要な
パラメータの推定誤差は
。
小さく、 偏 代替弾性 憤め トレンドに大き 0 85 86 87 88 89 90 91 ㏄㏄ 囲 95 96 な 変化はないことがわかる。 図 6 ワ KT 図 7 ヴ Ⅱ T-0.5 一 Ⅰ・ 5 一 2.5 -3.5 -4.5
5.
考察
代替弾性値の
分析結果から解るように、
日本においては 労働・技術の 代替関係および 資本・技術の 補完関係が弱くなっており、 アメリカでは 逆の傾向があ る。 これは、 図 Ⅰ で 示される日本の「 好 循環システム」がだんだんと 機能を麻 陣 し、 いっ ほ うアメリカでかつて日本にあ
った「 好 循環システム」が実現していることを
示唆しているのではない だろうか。 現在はメガコンペティションの 時代と呼ばれるほど、 競争が激化している。 規制緩 和でこれまでにはなかった
分野でビジネスチヤン ス が生まれ、 その分野で勝ち 残ろうとするためには 多大な努力が
要求される。 また、 経済のバローバル 化とともに、 世界 を柏手に競争しなくてはならなくなり、
新興アジア諸国や 中南米諸国などの 労働コス トの低い国を柏手に
品質とコスト 面での競争にさらされている。 このようなことによ り 、 アメリカ経済の 高付加価値化への 圧力が高まってきているのであ る。 高 付加価値化への圧力というものは
言いかえれば、 高生産性への 圧力であ り、 高い生産性を 実現するために労働の 技術・資本装備率を
高める必要性が 生まれてきたのであ る。生産性を高める 技術としてべンチャービジネスも
活躍する情報技術の 分野が挙げらる理
れ処
。 コンピュータ 一に代表技術によってオフィス
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性が上がったり、 情報通信技術によって
情報の共有化が 促進、 迅速化されること
によって生産性が 上がるからであ る。 つまり、 情報技術を受け 入れることで 生産
性が上がり、 これはまさに 技術が労働を
図 8 情報関連投資(
ア
メ 力 )/
ず
"
代替し、 資本が技術を 補完している
典型 例であ る。 図 8 を見てわかるように、 民 間情報化投資は右片上がりで 伸びており、
その伸び率も 高くなっている。 また、
設 備投資に対する 比率も年々高くなって い <000ち Ⅰ 37 83 Ⅰ 9 Ⅰ 0 Ⅰ @ Ⅰ 2 Ⅰ 3
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艮 田柄Ⅰ七 % 仮 伸び車 (
舶 Ⅰ七 % ウ 打枝Ⅰ 按 比比 ( Ⅰ ) 資料 通商産業省機械情報産 粟局 9 ソフトウェア 産業からのスピルオー ハ
「
" る 。 以上のことからアメリカでの 情報技術の占める重要性の 大きさがうかがわれ
る。 さらに、 製造業とソフトウェア 産業 の技術スピルオーバーが、 図 9 で示され る。 アメリカ特許で、 製造業、 ソフトウ エ ア産業からのものと、 共同で提出され たものを表しているが、 こちらも年々 増 棚㈹㈹
M 沖 0 加傾向にあ
り、両分野の結びつきが
強ま っていることを 示唆している。 ⅠⅠ 77 7 ち Ⅰ 的百 l 8 包㏄ⅠⅠ 掻 ㏄Ⅰ 7 ㏄㏄Ⅰ 0 ⅥⅠ 2 Ⅰ 3 ⅠⅠⅠ 5 ⅠⅠⅠ 7 Ⅰ。 "" 二コ ""' 。 "" --" 。 """"" 佑榊 資料 uspatento伍
LCeまた、 メガコンベティションの 影響を受けた 労働市場の変化も
見逃せない。 組織率の低下の影響はあ
るものの、生産性の低
い 労働者は低い 賃金しかもらえないという 風 土 が高まり つ つあり、 これが労働者の 高生産性を意識させるのだ。
生産性を高くするこ補
、の れ %入費
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を技
は代
者の
働術
労技
にと
め勧
た労
図 10 代替促進メカニズム 促進していると 考えられる。 以上のことを 図で示したのが 図 10 で あ る。 アメリカにおいて 労働と技術の 代替の関係が伸びたのは、 高付加価値化に
の圧力によって 生まれた労働市場の
変化、そしてその時期、
あ る意味偶然にも時代
を リードするにまで 発展した情報技術が 、経済の高付加価値化というニーズに
ぅま く マッチしたためではないなる ぅか 。 経済がバローバル 化し、 ポ ー ダレス化 グローバル化温造 乗への スピルオーバー
した現在では
一国の経済が 高成長をしているからといってそれが 単純に勝利と
呼べるものにはならないのではないだろうか。
なせなら、その国の企業にとっては
市場はその国の中だけではなく、 売り上げは他の 国の経済の状況に 大きく左右される。 また、
原材料を含めた
貿易によって 数多くの国が 互いに依存し合っているからであ
る。日本は現在のアメリカの 好景気を脅威としてではなく、 逆に海覚の市場が 拡大され
たと考えて、 前向きに生産性を 高める努力をしなければならないであ ろう。 アメリ; で見られるように、 労働・技術の 代替関係を高める 情報技術への 投資の促進、
また 労勘者自身の意識改革が 必要なのではないだろうか。
本研究では、 アメリカと日本の 競争優位の逆転を
説明するために「 好 循環システム」における代替メカニズムに 焦点を置いて 分析を実証的に 行ったが、 代替を促進する
メカニズムについては 実証的に分析はできず、 考察の範囲を 脱していない。
それゆえに今後の発展的課題としてこのメカニズムを 実証的に明らかにすることが 挙げられる。
具体的には労働者の 質の変化やスピルオーバー 効果を考慮に 入れた 皿 anslo9 型コスト 関数 ' およびその分析に 必要なデータベースの 構築が必要となってくるであ ろう。 く 参考文献 ノ [@1@]@ Chihiro@Watanabe@ , "The@Interaction@between@Technology@and@Economy National@Strategies@for@Constrained@Economic@Environments" , IIASA@Working@Paper@ , WP95-16@(1995)[2]
岩崎薫里
「アメリカ経済好調の 背景を探る」 (Jap 皿㎏
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渡部良一 / 令兄真由美「ニュー・エコノミー
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藤本一郎Ⅰ喜多村
淳 「アメリカの 生産性と賃金の 関係に関する 分析」 Ⅰ経済月報 J1 1996 年 3 月号調査分析の 視点 2 経済企画庁 )[@5@]@ Erik@ Brynjolfsson@ and@ Lorin@ Hitt@ "Information@ Technology@ as@ a@ Factor@ of Production:@ The@ Role@ of@Differences@ among@Firms" , Econ@ Innovation@of@New ぬ chnologieS3,(1995)