證
空
に
お
け
る
慈
悲
に
つ
い
て
中
西
随
功
京 都 西 山 短 期 大 学 は じ め に 慈 悲 に つ い て は 中 村 元 ︵ 敬 称 略 す ︶ 著 の 1 慈 悲 に 体 系 的 に 研 究 さ れ て い る 。 さ ら に 法 然 ︵ 一 一 三 三 ∼ 一 二 一 二 ︶ に 関 わ る 先 行 論 文 と し て は 池 見 澄 隆 ・ 花 田 順 吉 ・ 末 木 文 美 士 等 の 研 究 が み ら 2 れ る 。 池 見 論 文 は 仏 の 大 慈 悲 を 媒 介 と し た 人 倫 の 慈 悲 を 法 然 の 上 に 察 さ れ て い る 。 花 田 論 文 は 法 然 の 浄 土 教 は 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 の 前 に 自 ら の す べ て を 挙 げ て 帰 投 し 、 仏 の 本 願 に 信 順 し て 、 ひ た す ら 念 仏 を 行 ず る と こ ろ に 、 そ の 真 髄 が 存 す る こ と を 察 さ れ て い る 。 末 木 論 文 は 法 然 の 慈 悲 に つ い て 著 述 の な か で 分 析 し 察 さ れ て い る 。 小 稿 は 末 木 論 文 を 継 承 す る 立 場 か ら 、 證 空 ︵ 一 一 七 七 ∼ 一 二 四 七 ︶ の 慈 悲 に つ い て 著 述 の な か で 分 析 し 察 し て み た い 。 先 ず 、 浄 土 三 部 経 に は 慈 悲 の 用 例 が 六 箇 所 に み ら れ る 。 阿 弥 陀 経 に は 用 例 が 無 く 、 無 量 寿 経 に は 三 箇 所 で あ り 、 観 無 量 寿 経 に も 三 箇 所 で あ る 。 善 導 ︵ 六 一 三 ∼ 六 八 一 ︶ の 著 書 に は 慈 悲 に つ い て 次 の よ う な 用 例 が あ る 。 観 経 疏 序 分 義 に 三 箇 所 、 同 定 善 義 一 四 三 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶に 三 箇 所 、 法 事 讃 巻 上 に 十 九 箇 所 、 同 巻 下 に 八 箇 所 、 観 念 法 門 に 一 箇 所 、 往 生 礼 讃 に 一 箇 所 、 般 舟 讃 に 七 箇 所 で あ り 、 総 数 で 四 十 四 箇 所 に み ら れ る 。 證 空 は 浄 土 三 部 経 と り わ け 観 無 量 寿 経 を 中 心 と し て 、 さ ら に 善 導 の 五 部 九 巻 の 疏 を 通 し て 深 く 浄 土 教 の 本 意 を 尋 ね て い る 。 こ の よ う な 立 場 か ら の 著 書 に お い て 扱 わ れ て い る 慈 悲 に つ い て の 理 解 を 尋 ね て い く 。 こ れ に 依 り 、 共 同 研 究 テ ー マ に 即 し て 、 證 空 は 慈 悲 に つ い て 如 何 に 理 解 を し て い る か を 窺 っ て み た い 。 一 抜 苦 与 楽 慈 悲 の 意 趣 は ま ず 抜 苦 与 楽 で あ る と す る 典 拠 は 大 般 涅 槃 経 に 為 諸 衆 生 除 無 利 益 是 名 大 慈 。 欲 与 衆 生 無 量 利 楽 是 名 3 大 悲 と 説 か れ て い る 。 さ ら に 龍 樹 ︵ 約 一 五 〇 ∼ 二 五 〇 ︶ は 大 智 度 論 に お い て 大 慈 与 一 切 衆 生 楽 大 悲 抜 一 切 衆 生 苦 大 慈 以 喜 楽 因 縁 与 衆 生 大 悲 以 離 苦 因 縁 与 4 衆 生 と 述 べ て い る 。 小 川 一 乗 の 研 究 に よ る と 、 次 の よ う な こ と が 明 ら か に さ れ て い る 。 大 乗 仏 教 の 慈 悲 は 龍 樹 の 大 智 度 論 に 説 か れ て い る 。 い わ ゆ る 大 智 度 論 に お い て 、 龍 樹 は 四 無 量 心 ︵ 慈 ・ 悲 ・ 喜 ・ 捨 ︶ か ら 慈 悲 と い う 言 葉 が 遣 わ れ 出 し て い る 。 こ こ で 伝 統 的 な 説 明 で は 、 慈 は 与 楽 で あ り 、 悲 は 抜 苦 で あ り 、 抜 苦 与 楽 を 喜 ぶ の が 喜 で あ り 、 抜 苦 与 楽 の 我 を 捨 て る の が 捨 で あ る 。 龍 樹 は 大 智 度 論 で 、 こ の 四 無 量 心 の 説 明 の 為 に 無 尽 意 ︵ 菩 ︶ 経 を 典 拠 と し て い る 。 さ ら に 涅 槃 経 に 四 無 量 心 の 説 明 が あ る が 、 こ の 無 尽 意 ︵ 菩 ︶ 経 と 、 内 容 に お い て ほ と ん ど 同 意 で 5 あ る 。 證 空 も こ の 意 趣 に お い て 慈 悲 に つ い て 抜 苦 与 楽 の 理 解 を 示 し て い る 。 例 え ば 、 苦 ヲ 抜 キ 、 楽 ヲ 与 フ ル 慈 悲 6 ノ 心 、 一 四 四 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
慈 悲 ハ 、 苦 ヲ 抜 キ 、 楽 ヲ 与 フ ル ヲ 本 ト ス 。 然 ル ニ 、 今 弘 願 ノ 体 ニ 帰 シ テ 、 往 生 疑 ハ ズ ナ レ バ 、 苦 ヲ 離 レ 、 楽 ヲ 得 ル 事 疑 7 ハ ズ 、 慈 悲 苦 ヲ 抜 キ 、 楽 ヲ 与 フ 8 ル ハ 、 佛 ノ 慈 悲 ト ハ 抜 苦 与 楽 9 ナ リ と あ り 、 慈 悲 と は 抜 苦 与 楽 で あ る と の 理 解 が み ら れ る 。 さ ら に 、 悲 、 ハ 苦 ヲ 受 ク ル 衆 生 ニ 対 シ テ 其 ノ 苦 ヲ 抜 ク 。 苦 ノ 相 無 量 ナ レ ド モ 、 大 キ ニ 取 レ バ 三 界 ノ 内 ノ 苦 ナ リ 。 大 悲 抜 苦 、 此 ノ 心 ナ リ 。 慈 、 ハ 楽 ナ キ 衆 生 ニ 対 シ テ 楽 ヲ 与 フ 。 其 ノ 楽 ノ 相 広 シ ト 雖 モ 、 出 世 無 漏 ノ 楽 ヲ 与 フ ル ヲ 要 ト ス 。 大 慈 与 楽 ノ 義 是 ニ 10 ア リ と あ り 、 慈 は 与 楽 、 悲 は 抜 苦 と 示 し て い る 。 證 空 が 慈 光 に つ い て 解 釈 し て い る 内 容 を 紹 介 す る と 、 観 無 量 寿 経 下 品 下 生 に は 観 世 音 大 勢 至 、 以 大 悲 音 声 、 為 其 広 説 、 諸 法 実 相 、 除 滅 罪 法 と あ り 、 善 導 は 般 舟 讃 に 観 音 大 勢 慈 光 照 除 除 為 説 安 11 心 法 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 次 の よ う に 述 べ て い る 。 経 ニ ハ 、 大 悲 音 声 、 ト 説 ク ヲ 、 慈 光 照 、 ト 釈 ス ル ハ 、 悲 ハ 苦 ヲ 抜 キ 、 慈 ハ 楽 ヲ 与 フ ト 云 フ ハ 自 力 修 行 ノ 次 第 證 入 ノ 心 ナ リ 。 今 ノ 他 力 證 得 ノ 法 ハ 同 時 ニ 具 ス ト 顕 ハ ス 心 12 ナ リ と あ る 。 つ ま り 、 慈 悲 に つ い て 抜 苦 と 与 楽 と を 分 け る の は 自 力 の 立 場 で あ り 、 抜 苦 与 楽 と す る の は 他 力 の 立 場 で あ る と 判 別 し て い る 。 同 様 に 證 空 が 慈 心 と 悲 心 に つ い て 解 釈 し て い る 内 容 を 紹 介 す る と 、 善 導 は 般 舟 讃 に 悲 心 抜 苦 超 三 界 、 慈 心 与 楽 涅 槃 期 、 随 逐 衆 生 身 有 異 、 分 身 六 道 度 13 時 機 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 次 の よ う に 述 べ て い る 。 大 悲 能 ク 三 界 輪 廻 ノ 苦 ヲ 抜 キ 、 大 慈 能 ク 涅 槃 ノ 楽 ヲ 与 フ ル ニ ア リ ト 云 フ 事 ヲ 顯 ハ ス ナ リ 。 悲 心 抜 苦 、 ト ラ イ ハ 、 且 ク 是 ヲ 論 ズ レ バ 、 三 悪 、 七 難 ノ 苦 ヲ 抜 ク 、 悲 ニ 似 タ レ ド モ 、 ナ ホ 輪 廻 ノ 苦 レ ネ バ 、 抜 苦 ニ ア ラ ズ 。 ︵ 中 略 ︶ 慈 心 与 楽 、 ト ラ イ ハ 、 人 天 ノ 善 趣 ニ シ テ 長 命 富 楽 ノ 楽 ヲ 与 ヘ 、 無 畏 吉 祥 ノ 楽 ヲ 与 フ ル モ 、 且 ク 慈 心 ニ 楽 ヲ 与 フ ル ニ 似 タ レ ド モ 、 真 実 ノ 楽 ニ ア ラ ズ 。 浄 土 ニ 生 ジ テ 見 佛 、 聞 法 ノ 楽 ニ 遭 フ 、 真 実 ノ 楽 ナ リ 。 故 ニ 、 与 楽 涅 槃 期 、 ト 云 フ 。 涅 槃 、 ハ 即 チ 、 極 楽 ナ リ 。 極 楽 無 為 涅 14 槃 界 、 ト 云 フ 心 15 ナ リ と あ る 。 根 本 的 な 慈 悲 は 六 道 世 界 を 出 離 し 、 浄 土 往 生 し て 阿 弥 陀 仏 に 見 仏 一 四 五 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
聞 法 す る と こ ろ に 真 実 性 が あ る と 述 べ て い る 。 證 空 は 慈 悲 と は こ の よ う な 抜 苦 与 楽 で あ る と 述 べ て い る 。 二 慈 悲 の 有 無 慈 悲 の 心 情 は も と も と 人 間 に の み 存 す る も の で あ る と す る 。 だ が 、 慈 悲 は 人 間 一 個 の 力 で は な か な か 実 現 さ れ 得 な い か ら 慈 悲 は 仏 の 側 に お か れ た 。 慈 悲 は 人 間 を 超 え た も の で は あ る け れ ど も 人 間 に お い て 実 現 さ れ る も の で あ る か ら 、 慈 悲 は 人 倫 的 組 織 に 即 し て 実 現 さ れ る の で 16 あ る 。 こ の 立 場 か ら 證 空 は 人 と 畜 生 に つ い て 慈 悲 の 有 無 を 論 じ て い る 。 例 え ば 観 無 量 寿 経 上 品 上 生 の 具 此 功 徳 、 一 日 乃 至 七 日 、 即 得 往 生 に つ い て 、 善 導 の 釈 文 三 心 釈 ︵ 廻 向 発 願 心 ︶ に は 言 具 此 功 徳 者 或 一 人 具 上 二 或 一 人 具 下 二 或 一 人 三 種 尽 具 或 有 人 三 種 無 分 者 名 作 著 人 皮 畜 生 非 名 17 人 也 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 名 作 著 人 皮 畜 生 、 ト ラ イ ハ 、 阿 含 経 ニ 云 ク 、 我 実 是 畜 生 、 名 曰 人 頭 鹿 、 汝 雖 是 鹿 身 、 名 為 鹿 頭 人 、 以 理 而 言 之 、 非 以 形 為 人 。 此 ノ ノ 心 、 畜 生 ナ レ ド モ 、 慈 悲 ア レ バ 、 人 ト 云 フ ベ シ 。 人 ナ リ ト 雖 モ 、 慈 悲 ノ 心 ナ キ ハ 、 畜 生 ナ リ ト 云 18 ヘ リ と 述 べ て い る 。 ま た 観 無 量 寿 経 中 品 下 生 に 中 品 下 生 者 、 若 有 善 男 子 善 女 人 、 孝 養 父 母 、 行 世 仁 慈 と あ り 、 善 導 は 般 舟 讃 に 中 品 下 生 凡 夫 等 、 孝 養 父 母 行 19 人 信 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 孝 養 父 母 行 人 信 、 ト イ ハ 、 孝 養 父 母 、 行 世 仁 慈 、 ノ 文 ヲ グ ル ナ リ 。 經 ニ ハ 、 世 仁 慈 、 ト 云 ヘ リ 。 今 、 人 信 、 ト イ ハ 、 仁 慈 、 ハ 五 常 ノ 中 ノ 仁 ナ リ 。 仁 ヲ 釋 ス ル ニ ハ 、 慈 ハ 物 ヲ 養 フ ヲ 仁 ト ス ト 云 ヘ リ 。 即 チ 、 慈 悲 ナ リ 。 今 、 人 信 、 ト 云 フ ハ 、 人 、 ト イ ハ 、 慈 悲 ヲ モ テ 是 ニ 名 付 ケ タ リ 。 涅 槃 經 ニ 云 ク 、 若 能 有 慈 悲 、 雖 獣 實 是 人 、 文 。 此 ノ 文 ノ 心 明 ラ カ ニ 、 慈 悲 ア ラ バ 獣 ト 雖 モ 人 ト 云 フ ベ シ ト 云 ヘ リ 。 然 レ バ 、 仁 モ 慈 悲 ナ リ 、 人 モ 慈 悲 ナ レ バ 、 仁 慈 、 ハ 、 人 信 、 ナ リ ト 顯 ハ ス 20 ナ リ と 述 べ て い る 。 一 四 六 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
こ こ に 涅 槃 経 の 経 文 と し て 引 用 し て い る が 、 前 の 大 智 度 論 に お い て 慈 恵 と 慈 悲 の 相 違 が あ る が 、 同 じ 典 拠 か と え ら れ る 。 證 空 は 父 母 に 孝 養 す る 世 福 で 慈 悲 は 仁 慈 で 五 常 の な か の 仁 と 同 一 で あ る と 述 べ て い る 。 こ れ は 五 常 の 実 践 と 慈 悲 を 重 ね て い る 。 た だ 證 空 の 教 学 の 根 幹 と な っ て い る 行 門 ・ 観 門 ・ 弘 願 に 照 ら し て 察 す べ き で も あ る 。 も と よ り 、 行 門 に お い て は 一 切 諸 善 は 往 生 行 と し て は 否 定 さ れ る が 、 弘 願 帰 入 の 後 に は 他 力 領 解 の う え に 一 切 諸 善 は 阿 弥 陀 仏 の 功 徳 へ の 報 恩 行 と し て 肯 定 さ れ て く る 。 こ の 一 端 と し て 慈 悲 が 五 常 の 実 践 と 同 一 化 さ れ て い る の で あ る 。 三 仏 ・ 菩 の 慈 悲 法 然 は 仏 の 慈 悲 に つ い て は 選 択 本 願 念 仏 集 第 八 章 ︵ 念 仏 行 者 必 可 具 足 三 心 之 文 ︶ に 仏 是 満 足 大 悲 人 故 と 述 べ て い る 。 證 空 に お い て は 仏 ・ 菩 の 立 場 か ら の 慈 悲 に つ い て 四 つ の 分 類 が み ら れ る 。 一 は 釈 の 慈 悲 、 二 は 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 、 三 は 諸 仏 の 慈 悲 、 四 は 観 音 菩 の 慈 悲 で あ る 。 こ の 四 つ に 分 類 し て い る が 、 五 段 鈔 に 此 の 願 と 云 ふ は 、 帰 命 な り 。 帰 命 と は 即 ち 南 無 阿 弥 陀 仏 と 極 る な り 。 是 の 如 く 意 得 れ ば 、 大 慈 大 悲 の 心 発 る な り 。 慈 悲 と は 仏 心 な り 。 仏 心 と 言 ふ は 哀 愍 衆 生 の 心 21 な り と 述 べ て い る 。 つ ま り 基 本 的 に は 慈 悲 は 仏 心 、 哀 愍 衆 生 の 心 で あ る と 理 解 し て い る 。 一 つ に は 釈 の 慈 悲 に つ い て 、 證 空 は 次 の よ う に 述 べ て い る 。 釈 尊 ノ 開 示 悟 入 ノ 本 意 、 只 穢 土 ヲ 出 デ テ 、 浄 土 ニ 生 ズ ル ニ ア リ 。 故 ニ 観 念 法 門 ニ 云 ク 、 釈 出 現 、 為 度 五 濁 凡 夫 即 以 慈 悲 開 示 十 悪 之 因 、 報 果 三 塗 之 苦 又 以 平 等 智 、 一 四 七 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
悟 入 人 天 廻 生 弥 陀 仏 国 諸 経 教 文 義 22 歴 然 、 ト 。 此 ノ 釋 ノ 心 明 ラ カ ナ リ 。 今 ノ 釋 ハ 、 遙 ニ 仏 意 ヲ 探 リ テ 一 代 ノ 本 意 ヲ 顕 ス 。 故 ニ 諸 行 ノ 面 ナ ガ ラ 、 浄 土 ヲ 本 ト シ テ 仏 法 ヲ 説 キ 給 フ 事 ヲ 述 ベ 23 タ リ と あ り 、 凡 夫 救 済 の 為 の 慈 悲 で あ る 。 釈 の 慈 悲 は 穢 土 を 厭 離 し 、 浄 土 に 往 生 す る こ と を 勧 め て い る 。 同 様 の 意 趣 に つ い て 、 證 空 は 如 来 ノ 慈 悲 末 代 ノ 凡 夫 行 門 成 ジ 難 キ 事 ヲ 憐 ミ テ 、 佛 力 ニ 依 リ テ 観 門 ヲ 悟 ラ バ 、 無 生 ノ 益 遠 カ ラ ズ ト 知 ラ シ メ ン 為 ト 結 ス ル 24 ナ リ と 述 べ て い る 。 観 無 量 寿 経 定 善 第 二 水 想 観 の 経 文 に 其 光 如 華 又 似 星 月 と あ り 、 善 導 の 釈 文 に は 仏 以 慈 悲 畏 人 不 識 故 借 喩 以 25 顕 之 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 仏 以 慈 悲 畏 人 不 識 、 ト ラ イ ハ 、 上 ニ 、 分 チ 釈 ス ル 文 ノ 心 多 シ ト 雖 モ 、 今 ノ 経 、 譬 喩 ノ 説 ナ ル 故 ニ 、 殊 ニ 、 譬 ヲ 設 ク ル 故 ヲ 釈 シ 顕 ス ナ リ 。 云 ク 、 譬 ノ 本 意 他 ノ 故 ナ シ 。 只 常 没 ノ 凡 夫 ヲ 度 ス 故 ニ 、 慈 悲 ヲ 以 テ 是 ヲ 説 ク ト 云 フ 26 ナ リ と 述 べ て い る 。 観 無 量 寿 経 定 善 第 三 地 想 観 の 経 文 に 仏 告 阿 難 汝 持 仏 語 、 為 未 来 世 、 一 切 大 衆 、 欲 脱 苦 者 、 説 是 観 地 法 と あ り 、 善 導 の 釈 文 に は 若 得 一 人 捨 苦 出 生 死 者 是 名 真 報 27 仏 恩 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 一 人 捨 苦 出 生 死 、 ト ラ イ ハ 、 仏 ノ 慈 悲 ハ 一 切 衆 生 ヲ 度 ス ヲ 本 意 ト ス 。 今 、 一 人 度 ル ヲ 、 報 仏 恩 、 ト イ ハ 、 一 人 度 レ バ 、 自 行 、 化 他 、 具 足 ス ル 故 ニ 、 展 転 シ テ 未 来 ニ 至 レ バ 、 一 切 度 ル ベ シ 。 云 ク 、 阿 難 一 人 付 属 ヲ 受 ケ テ 流 通 ス ル 故 ニ 、 未 来 ノ 凡 夫 聞 ク 事 ヲ 得 ル 、 其 ノ 謂 ナ リ 。 故 ニ 、 28 礼 讃 ニ ハ 、 自 信 教 人 信 、 難 中 転 更 難 、 大 悲 伝 普 化 、 真 成 報 仏 恩 、 ト 云 29 ヘ リ と 述 べ て い る 。 釈 は 凡 夫 済 度 の 為 に 出 離 の 道 を 開 顕 し て い る 。 善 導 は 往 生 礼 讃 に 南 無 釈 牟 尼 仏 等 一 切 三 宝 、 我 今 首 礼 回 願 往 生 無 量 寿 国 、 此 之 一 仏 現 是 今 時 道 俗 30 等 師 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 釋 ヲ 指 シ テ 、 現 是 今 時 道 俗 等 師 、 ト ラ イ ハ 、 今 時 、 ハ 悪 時 ナ リ 。 此 ノ 時 ノ 衆 生 ハ 十 方 ノ 土 ニ モ 嫌 ハ レ 、 諸 佛 ノ 利 益 ニ モ 漏 レ タ リ 。 然 ル ニ 、 釋 如 来 慈 悲 殊 ニ 深 ク シ テ 、 五 百 ノ 誓 願 ヲ 發 シ テ 、 我 等 ガ 本 師 ト シ テ 出 離 ノ 道 ヲ 開 キ 給 フ 。 故 ニ 、 殊 更 、 今 時 道 俗 、 一 四 八 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
ノ 、 師 、 ト ラ 云 フ 31 ナ リ と 述 べ て い る 。 釈 は 凡 夫 済 度 の 為 に 娑 婆 に 出 現 し て い る 。 そ し て 釈 は 常 没 の 一 切 衆 生 を 度 す こ と を 本 意 と す る 慈 悲 で あ る 。 善 導 は 般 舟 讃 の 釈 文 に 釈 如 来 悲 意 深 、 本 師 釈 修 普 行 、 長 時 長 劫 度 32 衆 生 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 釋 如 來 悲 意 深 、 ト イ ハ 、 序 題 ノ 中 ニ 云 フ 所 ノ 、 大 悲 隠 於 西 化 驚 入 火 宅 之 門 、 ト 云 フ 心 ナ リ 。 十 方 ノ 浄 土 ニ 漏 レ タ ル 衆 生 、 三 世 ノ 教 化 ニ 關 ラ ヌ 我 等 ヲ 殊 ニ 憐 ミ テ 、 大 罪 ノ 山 ニ 入 リ 、 邪 見 ノ 林 ニ 住 セ ル 極 重 ノ 衆 生 ヲ 捨 テ ザ ル 大 悲 抜 苦 ノ 體 、 實 ニ 悲 意 深 キ モ ノ ナ リ 。 此 ノ 恩 ノ 深 キ 事 、 悲 ノ 至 ヲ 深 ク 思 ヒ 知 リ テ 、 彌 陀 弘 願 ノ 妙 ナ ル 事 ヲ モ 知 ル ベ キ ナ リ 。 故 ニ 、 殊 更 、 悲 意 深 、 ト 云 フ 。 本 師 釋 修 普 行 、 ト イ ハ 、 慈 悲 ノ 故 ニ 娑 婆 ニ 出 デ 給 フ 故 ヲ 釋 ス ル ナ リ 。 普 行 、 ト イ ハ 、 萬 行 ノ 異 名 33 ナ リ と 述 べ て い る 。 さ ら に 證 空 は 釈 如 来 ハ 弥 陀 弘 願 ノ 慈 悲 ヲ 外 ニ 主 リ テ 、 此 ノ 界 ニ 出 デ 給 フ 。 故 ニ 、 慈 尊 ノ 名 ヲ 得 給 ヘ リ 。 此 ノ 慈 尊 ニ 遇 ヒ 奉 ル ハ 、 弥 陀 ノ 弘 願 ニ 遇 フ ヲ 要 道 ト ス ベ シ 。 故 ニ 、 慈 尊 ニ 遇 フ ト 云 フ ハ 、 弥 陀 ノ 願 ヲ 信 ズ ル ニ 同 ズ ル 34 ナ リ と 述 べ て い る 。 以 上 の こ と か ら 、 證 空 は 釈 の 慈 悲 は 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 を 説 示 す る こ と に あ る と 言 え る 。 二 つ に は 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 に つ い て は 、 ︵ 1 ︶ 抜 苦 与 楽 、 ︵ 2 ︶ 平 等 、 ︵ 3 ︶ 無 縁 、 ︵ 4 ︶ 名 号 に 関 し て 述 べ て い る 。 ま ず ︵ 1 ︶ 抜 苦 与 楽 に つ い て は 、 法 然 は 三 部 経 釈 に 弥 陀 如 来 慈 悲 御 心 発 念 仏 之 誓 願 我 等 衆 生 抜 苦 与 楽 35 心 也 と 、 ま た 無 量 寿 経 釈 に 抑 此 四 十 八 願 皆 有 抜 苦 与 楽 之 義 爾 故 者 大 悲 者 抜 苦 大 慈 者 与 楽 也 第 一 無 三 悪 趣 大 悲 抜 苦 也 第 二 不 更 悪 趣 亦 是 大 悲 抜 苦 也 第 三 悉 皆 金 色 者 是 与 楽 也 第 四 無 有 好 醜 亦 是 与 楽 也 乃 至 第 十 八 念 仏 往 生 願 有 二 意 出 離 生 死 是 抜 苦 也 往 生 極 楽 是 与 36 楽 也 と あ る 。 こ の よ う に 法 然 は 本 願 に つ い て 抜 苦 与 楽 の 義 を 宛 て て 述 べ て い る 。 一 四 九 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
善 導 の 般 舟 讃 の 釈 文 に 百 宝 荘 厳 随 念 現 、 長 劫 供 養 報 慈 恩 、 微 塵 故 業 随 智 滅 、 不 覚 転 入 真 37 如 門 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 長 劫 供 養 報 慈 恩 、 ト イ ハ 、 長 劫 、 ハ 佛 果 ニ 至 ル マ デ 時 節 ヲ 限 ラ ズ 遠 ク 指 ス 言 ナ リ 。 供 養 、 ト イ ハ 、 香 華 ヲ 奉 リ 、 ヲ モ テ 讃 歎 ス ル ラ ノ 名 ナ リ 。 報 慈 恩 、 ト イ ハ 、 大 慈 悲 心 ノ 光 明 衆 生 ヲ ス ル 恩 ヲ 蒙 リ テ 生 死 ヲ 解 脱 ス ル 故 ニ 、 彌 陀 ノ 恩 ヲ 指 シ テ 、 慈 恩 、 ト 云 フ ナ リ 。 彼 ヲ 報 ズ ル 事 ハ 、 浄 土 ニ シ テ 是 ア ル ベ シ ト 定 ム ル 心 38 ナ リ と 述 べ て い る 。 善 導 の 往 生 礼 讃 後 夜 讃 の 釈 文 に 正 道 大 慈 悲 、 出 世 善 39 根 生 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 次 ニ 、 正 道 大 慈 悲 、 出 世 善 根 生 、 ト ラ イ ハ 、︵ 中 略 ︶ 四 十 八 願 ハ 衆 生 ノ 生 死 懃 苦 ノ 本 ヲ 抜 カ ン ガ 為 ニ 是 ヲ 發 シ 、 其 ノ 願 ヲ 成 ズ ル 行 ナ レ バ 、 悉 ク 慈 悲 ニ ア ラ ズ ト 云 フ 事 ナ シ ト 云 フ 40 ナ リ と 述 べ て い る 。 こ こ に 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 に お け る 抜 苦 与 楽 の 内 容 が み ら れ る 。 2 ︶ 平 等 の 慈 悲 は 名 号 に お い て 論 じ て い る 。 ま ず 、 法 然 は 平 等 の 慈 悲 に つ い て 選 択 本 願 念 仏 集 第 三 本 願 章 に 念 仏 易 故 通 於 一 切 諸 行 難 故 不 通 諸 機 然 則 為 令 一 切 衆 生 平 等 往 生 捨 難 取 易 為 本 41 願 と 述 べ て い る 。 ま た 無 量 寿 経 釈 に は 次 難 易 義 者 念 仏 易 修 諸 行 難 修 故 諸 仏 心 者 慈 悲 為 体 以 此 平 等 慈 悲 普 摂 一 切 也 仏 慈 悲 不 漏 一 人 普 可 利 42 一 切 と 述 べ て い て 共 に 平 等 の 慈 悲 に つ い て 知 ら れ る 。 さ ら に 證 空 は 女 院 御 書 上 巻 に 阿 弥 陀 如 来 法 蔵 比 丘 の む か し 、 無 縁 平 等 の 慈 悲 に 催 ほ さ れ て 、 一 切 衆 生 を 摂 せ ん が た め に 、 造 像 起 塔 等 の 諸 行 を も ち て 往 生 の 本 願 と せ ず 、 唯 称 名 念 仏 の 一 行 を も ち て そ の 本 願 と し 給 ふ 43 な り と 述 べ て い る 。 こ こ に 證 空 は 法 然 の 意 趣 を 継 承 し て い る こ と が 明 確 に 知 ら れ る 。 慈 悲 は 分 け 隔 て 無 く 平 等 で あ り 、 さ ら に 慈 悲 は 人 間 を も 超 え て 、 一 切 の 生 き と し 生 け る も の に ま で 及 ぶ こ と を 理 想 一 五 〇 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
と 44 す る 。 3 ︶ 無 縁 の 慈 悲 に つ い て は 、 ま ず 法 然 は 念 仏 往 生 要 義 抄 に 深 重 の 本 願 と 申 す は 、 善 悪 を 隔 て ず 、 持 戒 破 戒 を 嫌 は ず 、 在 家 出 家 を も 簡 ば ず 、 有 智 無 智 を 論 せ ず 、 平 等 の 大 悲 を 発 し て 仏 に 成 り 給 ひ た れ ば 、 た だ 他 力 の 心 に 住 し て 念 仏 申 さ ば 、 一 切 須 の 間 に 、 阿 弥 陀 ほ と け ︵ 仏 ︶ の 来 迎 に 預 か る べ 45 き 也 と 述 べ て い る 。 善 導 の 往 生 礼 讃 の 釈 文 に 心 帯 慈 満 、 光 含 法 界 団 、 無 縁 能 46 摂 物 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 心 帯 慈 満 、 光 含 法 界 團 、 ト イ ハ 、 ︵ 中 略 ︶ 是 、 報 佛 實 ノ 慈 悲 、 衆 生 ヲ エ ラ バ ヌ 無 縁 ノ 慈 悲 ノ 體 ナ リ 、 ト 示 ス 47 ナ リ と 述 べ て い る 。 龍 樹 は 大 智 度 論 に 慈 悲 心 有 三 種 。 衆 生 縁 法 縁 無 縁 。 凡 夫 人 衆 生 縁 。 声 聞 辟 支 仏 及 菩 初 衆 生 縁 後 法 縁 。 諸 仏 善 修 行 畢 竟 空 故 名 為 48 無 縁 と 述 べ 、 ま た 以 畢 竟 空 大 故 生 悲 亦 大 大 悲 如 阿 差 末 経 中 説 有 三 種 悲 衆 生 縁 法 縁 無 縁 無 縁 悲 従 畢 竟 49 空 生 と あ る 。 小 川 一 乗 の 研 究 に よ る と 、 無 尽 意 ︵ 菩 ︶ 経 に 基 づ き 、 慈 悲 に 三 種 を 数 え て い る 。 衆 生 縁 の 慈 悲 、 法 縁 の 慈 悲 、 無 縁 の 慈 悲 で あ る 。 こ こ で 用 い ら れ る 縁 ︵a la m b a n a ︶ は 対 象 と い う 意 味 、 所 縁 の こ と で あ る 。 つ ま り 、 衆 生 縁 の 慈 悲 と は 衆 生 を 対 象 と し て は た ら く 慈 悲 で あ る 。 法 縁 の 慈 悲 と は 仏 法 を 対 象 と し て は た ら く 慈 悲 で あ り 、 仏 の 教 え を 対 象 と し て 真 理 に 照 ら し 出 さ れ る と こ ろ に 我 執 が 明 確 に な る 。 無 縁 の 慈 悲 と は 限 定 さ れ る 対 象 を も た な い で 空 と い う 事 実 に お い て は た ら く 慈 悲 で 50 あ る 。 さ ら に 仏 教 で 言 う 慈 悲 は 無 縁 の 慈 悲 が い ち ば ん の 基 本 で あ り 、 小 慈 悲 は 人 情 の 世 界 、 中 慈 悲 は 仏 道 の 世 界 、 大 慈 悲 は 仏 道 に 生 き る 世 界 で あ る 。 い わ ゆ る 人 情 の 世 界 に は た ら く の が 小 慈 悲 で あ り 、 仏 道 を 学 ん で い る も の に は た ら く の 一 五 一 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
が 中 慈 悲 で あ り 、 仏 道 に 生 き る 人 に は た ら く の が 大 慈 悲 で あ る 。 そ う す る と 、 法 縁 か ら 仏 道 が 始 ま る と 決 め つ け る こ と に な る が 、 も と よ り そ う で は な い 。 そ う い う も の を 踏 ま え た う え で 、 無 縁 の 慈 悲 を 根 底 に し て 、 衆 生 縁 の 慈 悲 、 法 縁 の 慈 悲 と い う も の を 明 ら か に し て い く と 、 す べ て が 仏 道 に な っ て い く 。 こ こ に 三 縁 の 慈 悲 が 大 乗 仏 教 に お け る 慈 悲 の 基 本 的 な 教 義 で あ る 。 無 縁 の 慈 悲 を 根 底 に 踏 ま え て 、 衆 生 縁 の 慈 悲 、 法 縁 の 慈 悲 が あ る べ き で あ る 。 仏 教 の 真 理 に 目 覚 め る と い う こ と を 抜 き に し た 慈 悲 行 は あ り 得 な い の で 51 あ る 。 中 村 元 も 維 摩 経 の 所 説 を 通 し て 、 慈 悲 は 空 観 に 基 づ い て 実 現 さ せ る と 述 べ て 52 い る 。 小 稿 で 詳 説 で き な い が 、 證 空 の 教 学 の 根 幹 を 形 成 し て い る 思 想 構 造 に も 相 応 す る 内 容 が 説 示 さ れ て い る 。 む し ろ 證 空 は 空 観 の 思 想 を 背 景 と し て 念 仏 信 仰 を 確 立 し て い る と も 言 え る 。 釈 尊 は 観 無 量 寿 経 第 九 真 身 観 に 仏 心 者 、 大 慈 悲 是 。 以 無 縁 慈 、 摂 諸 衆 生 と 説 い て い る 。 こ れ を 善 導 は 明 仏 心 者 慈 悲 為 体 以 此 平 等 大 慈 普 摂 一 53 切 也 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 一 、 以 無 縁 慈 、 摂 諸 衆 生 、 ト ラ 云 フ 事 。 問 ヒ テ 云 ク 、 無 縁 、 ト ラ 云 フ 事 、 如 何 。 答 ヘ テ 云 ク 、 平 等 ノ 大 悲 ナ リ 。︵ 中 略 ︶ 問 ヒ テ 云 ク 、 大 論 ニ 云 フ 所 ノ 三 縁 ノ 中 ノ 縁 ト 今 ノ 無 縁 ノ 縁 ト ハ 同 カ 異 カ 。 答 ヘ テ 云 ク 、 異 ナ リ 。 彼 ハ 三 身 ノ 位 ニ テ 理 ヲ 縁 ズ ル 智 ヲ モ テ 無 縁 ノ 慈 悲 ト 名 ヅ ク ル ナ リ 。 今 別 願 所 成 ノ 報 仏 ノ 無 縁 ノ 慈 悲 ナ ル ガ 故 ニ 、 理 ヲ 縁 ズ ト モ 云 フ ベ カ ラ ズ 。 只 第 三 ノ 機 ノ 心 想 ヲ 縁 ジ 給 フ ナ ル ベ シ 。 所 無 縁 ノ 慈 ト ハ 別 願 超 世 ノ 名 号 ノ 謂 54 ナ リ と 述 べ て い る 。 こ こ に 、 大 智 度 論 の 三 縁 が 取 り 扱 わ れ て い る こ と が み ら れ る 。 だ が 證 空 は 阿 弥 陀 仏 の 無 縁 慈 は 大 智 度 論 の 三 縁 の な か の 無 縁 の 慈 悲 と は 異 な る と 述 べ て い る 。 い わ ゆ る 阿 弥 陀 仏 は 法 身 ・ 報 身 ・ 応 身 の 三 身 の な か の 報 身 ︵ 通 三 身 門 の 報 身 ︶ で な く 、 別 願 酬 因 の 報 身 で あ る と い う 理 解 を し て い る 。 證 空 は 先 ず 通 例 の 仏 身 観 と し て 、 法 報 応 の 三 身 一 五 二 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
に つ い て 法 身 ハ 理 ナ レ バ 、 別 ノ 相 ナ シ 。 報 身 ノ 智 ニ 依 リ テ 顕 ル 。 化 身 ハ 機 ニ 随 フ 身 ナ リ 。 報 身 ノ 智 ヨ リ 示 ス 。 上 ノ 理 ヲ 顕 シ 、 下 ノ 機 ニ カ ナ フ 身 ハ 唯 報 身 ナ リ 。︵ 中 略 ︶ 地 上 ノ 菩 ノ 汝 ガ 為 ニ ハ 報 身 、 地 前 ノ 為 ニ ハ 化 身 ナ ル 故 55 ナ リ と 述 べ て 報 身 を 中 心 と え て い る 。 と こ ろ が 、 報 身 は 地 上 の 菩 に し て 初 め て 現 前 し 、 地 前 の 菩 や 凡 夫 に は 化 身 が 現 ず る こ と に な っ て い る 。 こ の 前 提 の 教 義 の 上 に 善 導 は 古 今 楷 定 し て 、 阿 弥 陀 仏 は 報 身 で あ り 、 凡 夫 が 報 土 に 往 生 で き る こ と を 釈 し 明 か し て い る 。 そ の 結 果 に お い て 阿 弥 陀 仏 は 別 願 酬 因 の 報 身 で あ る と 結 論 す る 。 證 空 は 別 願 は 別 智 の 弘 願 で あ り 、 仏 心 ︵ 大 慈 悲 ︶ と 同 等 と な る 。 つ ま り 阿 弥 陀 仏 の 本 願 は 諸 仏 の 総 願 を は る か に 超 越 し た も の で あ る 。 し か も 阿 弥 陀 仏 は 諸 仏 の 報 身 ︵ 通 三 身 門 の 報 身 ︶ の 慈 悲 の は た ら き を 内 包 す る 根 本 仏 と し て の 阿 弥 陀 仏 ︵ 別 願 酬 因 の 報 身 ︶ の 慈 悲 を 無 縁 慈 と 理 解 し て い る 。 こ こ に 證 空 の 無 縁 の 慈 悲 に つ い て の 理 解 の 特 色 が み ら れ る 。 さ ら に 證 空 は 阿 弥 陀 仏 の 無 縁 慈 は 本 願 の 名 号 で あ る と 述 べ て い る 。 4 ︶ 名 号 に つ い て は 、 ま ず 法 然 は 選 択 本 願 念 仏 集 第 三 章 に 初 勝 劣 者 念 仏 是 勝 余 行 是 劣 念 仏 勝 者 名 号 者 是 万 徳 之 所 帰 也 然 則 弥 陀 一 仏 所 有 四 智 三 身 十 力 四 無 畏 等 一 切 内 証 功 徳 相 好 光 明 説 法 利 生 等 一 切 外 用 功 徳 皆 悉 摂 在 阿 弥 陀 仏 名 号 之 中 故 名 号 功 徳 最 為 勝 也 余 行 56 不 然 と 述 べ て い る 。 つ ま り 、 法 然 は 念 仏 が 余 行 に 対 し て 勝 れ て い る の は 名 号 に 万 徳 が 摂 在 し て い る か ら と す る 。 證 空 は 名 号 に つ い て 五 段 鈔 に 此 く の 如 く 信 ず る 行 者 の 信 心 、 即 ち 仏 願 に 決 定 し て 納 め 奉 る 心 を 南 無 と 云 ふ 。 南 無 と は 帰 命 な り 。 帰 命 と は 願 力 を 信 ず る 意 な り 。 此 の 帰 命 の 信 心 を 決 定 し て 摂 取 す る 処 を 阿 弥 陀 と 云 ふ 。 阿 一 五 三 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
弥 陀 と は 慈 悲 深 重 の 御 意 57 な り と 述 べ て い る 。 こ の よ う に 阿 弥 陀 の 名 号 は 慈 悲 深 重 の 御 意 で あ る と 述 べ て い る 。 ま た 證 空 は 述 誠 に 適 か か る 機 を 渡 し 給 ふ 大 慈 大 悲 の 忝 け な さ よ と 思 へ ば 、 我 等 は 常 没 常 流 転 の 悪 な が ら 、 や が て そ の 心 の 底 に 、 是 を す て た ま は ぬ 仏 の 慈 悲 の 万 徳 が 充 ち 満 ち た り け る よ 、 と 思 ふ 故 に 、 あ ま り の 嬉 し さ に 南 無 阿 弥 陀 仏 と 称 ふ る 58 な り と 述 べ て い る 。 い わ ゆ る 名 号 に 慈 悲 の 万 徳 が 充 満 し て い る と す る 。 こ こ に 衆 生 が 他 力 弘 願 に 帰 入 し た う え に は 名 号 の う ち に 如 来 の 慈 悲 を 行 ず る 身 と な る こ と を 述 べ て い る 。 三 つ に は 諸 仏 の 慈 悲 に つ い て で あ る 。 諸 仏 の 慈 悲 に つ い て は 、 善 導 の 般 舟 讃 の 釈 文 に 六 方 如 來 慈 悲 極 、 同 心 同 勧 往 西 方 、 長 病 遠 行 不 計 日 、 念 仏 即 道 無 59 功 夫 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 六 方 如 來 慈 悲 極 、 ト イ ハ 、 自 ラ 過 多 シ ト 雖 モ 、 佛 語 ヲ 信 ゼ バ 、 定 メ テ 生 ゼ ン 事 疑 ハ ズ 。 衆 生 即 チ 其 ノ 機 ナ ル 故 ニ 、 恆 沙 ノ 諸 佛 同 時 ニ メ 給 フ ト 云 ハ ン ト ナ リ 。 慈 悲 極 、 ト イ ハ 、 三 界 ノ 極 苦 ヲ 抜 キ テ 、 浄 土 ノ 極 楽 ヲ 得 シ ム ル 法 ヲ 衆 生 ニ メ タ マ フ 事 、 彼 ノ 證 ニ 依 リ テ 得 ベ シ ト 云 フ 謂 ア レ バ 、 慈 悲 極 、 ト 云 フ 60 ナ リ と 述 べ て い る 。 つ ま り 、 諸 仏 の 慈 悲 は 厭 穢 欣 浄 の 法 を 衆 生 に 勧 め る こ と に あ る 。 證 空 は 述 誠 に 諸 仏 の 慈 悲 に 二 種 あ り 。 一 は 隨 自 意 の 慈 悲 、 是 は 自 力 な り 。 二 に は 隨 他 意 の 慈 悲 、 是 は 他 力 61 な り と 述 べ て い る 。 こ こ に 諸 仏 の 慈 悲 に つ い て 随 自 意 と 随 他 意 に 判 別 し て い る 。 阿 弥 陀 仏 は 諸 仏 の 慈 悲 の 中 か ら 、 他 力 の 随 他 意 の 慈 悲 を 集 め て 本 願 を 建 て て 成 就 し て い る の で あ る 。 四 つ に は 観 音 菩 の 慈 悲 に つ い て で あ る 。 善 導 の 般 舟 讃 の 釈 文 に 眼 見 耳 聞 心 内 事 、 尋 声 救 苦 刹 62 間 と あ る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 眼 見 耳 聞 心 内 事 、 尋 声 救 苦 刹 間 、 ト イ ハ 、 六 道 ヲ ス ル 故 ヲ 釋 ス ル ナ リ 。 云 ク 、 衆 生 ノ 内 心 知 リ 難 ケ レ ド モ 、 観 世 音 ノ 慈 悲 ノ 眼 ノ 前 ニ ハ 隠 ナ ク 、 大 悲 ノ 耳 ノ 底 ニ ハ 悉 ク 聞 エ テ 、 抜 苦 ノ 思 ヲ 催 ス ト 云 フ 63 ナ リ と 一 五 四 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
述 べ て い る 。 観 音 菩 の 慈 悲 は 衆 生 の 抜 苦 与 楽 の は た ら き で あ り 、 本 師 阿 弥 陀 仏 の 功 徳 で も あ る 。 こ の こ と は 観 世 音 ト ハ 慈 悲 ヲ 体 ト ス 。 慈 ト ハ 与 楽 ノ 謂 ナ リ 。 悲 ト ハ 抜 苦 ノ 謂 ナ リ 。 然 ル ニ 、 此 ノ 慈 悲 ノ 体 ハ 、 正 シ ク 上 ノ 真 身 観 ニ 云 フ 所 ノ 、 以 無 縁 慈 、 ノ 謂 64 ナ リ の 内 容 か ら も 窺 え る 。 四 大 慈 悲 ・ 中 慈 悲 ・ 小 慈 悲 慈 悲 に つ い て 、 ︵ 一 ︶ 大 慈 悲 ・ ︵ 二 ︶ 中 慈 悲 ・ ︵ 三 ︶ 小 慈 悲 の 三 つ を 示 し て い る 。 既 に 先 学 に よ り 明 ら か に さ れ て い る 内 容 で あ る 。 小 川 一 乗 の 研 究 に よ る と 、 こ の 三 縁 の 慈 悲 を 、 曇 鸞 ︵ 四 七 六 ∼ 五 四 二 ︶ は 浄 土 論 で 取 り 上 げ て 、 衆 生 縁 の 慈 悲 は 小 慈 悲 で あ り 、 法 縁 の 慈 悲 は 中 慈 悲 で あ り 、 無 縁 の 慈 悲 は 大 慈 悲 で あ る と 65 す る 。 い わ ゆ る 龍 樹 は 大 智 度 論 に 復 次 凡 夫 人 声 聞 辟 支 仏 菩 慈 悲 名 為 小 。 諸 仏 慈 悲 乃 名 66 為 大 と 述 べ て い る 。 さ ら に 曇 鸞 は 無 量 寿 経 優 婆 提 舎 願 生 巻 上 に 慈 悲 有 三 縁 一 者 衆 生 縁 是 小 悲 二 者 法 縁 是 中 悲 三 者 無 縁 是 大 悲 大 悲 即 出 世 善 也 安 楽 浄 土 従 此 大 悲 生 故 故 謂 此 大 悲 為 浄 土 67 之 根 と 述 べ て い る 。 こ の 意 趣 を 継 承 し て 、 證 空 は 大 慈 悲 、 ト イ ハ 、 聲 聞 ノ 慈 悲 ハ 小 ナ リ 、 縁 覺 ノ 慈 悲 ハ 中 ナ リ 。 ︵ 中 略 ︶ 菩 ハ 初 心 ヨ リ 法 界 ノ 衆 生 ヲ 憐 ミ 、 他 ノ マ ド ヒ ヲ 悲 シ ミ テ 、 願 ヲ 發 シ 行 ヲ 立 ツ ル 故 ニ 、 其 ノ 抜 苦 與 楽 ノ 心 極 ナ キ ヲ モ テ 大 慈 悲 ノ 名 ヲ 立 ツ ル 68 ナ リ と 述 べ て い る 。 善 導 の 観 経 疏 玄 義 分 の 帰 三 宝 の 釈 文 で あ る 学 仏 大 悲 心 に つ い て 、 證 空 は 仏 大 悲 心 、 ト イ ハ 、 聲 聞 ノ 慈 悲 ヲ 小 悲 ト 云 ヒ 、 縁 覚 ノ 慈 悲 ヲ 中 悲 ト 云 ヒ 、 仏 ノ 慈 悲 ヲ 大 悲 ト 69 云 フ と 述 べ て い る 。 さ ら に 證 空 が 述 べ て い る 仏 心 に つ い て も 窺 っ て お き た い 。 一 五 五 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
五 仏 心 者 大 慈 悲 是 釈 尊 は 観 無 量 寿 経 定 善 第 九 真 身 観 に 仏 心 者 、 大 慈 悲 是 。 以 無 縁 慈 、 摂 諸 衆 生 と 説 い て い る 。 善 導 は こ れ を 明 仏 心 者 慈 悲 為 体 以 此 平 等 大 慈 普 摂 一 70 切 也 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 五 、 仏 心 者 慈 悲 為 体 、 ト イ ハ 、 仏 心 者 、 大 慈 悲 是 、 ノ 文 ヲ 指 ス ナ リ 。 仏 心 ノ 慈 悲 ヲ 体 ト ス ル 事 、 今 ノ 経 ノ 摂 取 ノ 光 明 ニ 顕 ル ト 云 フ 事 ヲ 釈 ス ル 71 ナ リ と 述 べ て い る 。 ま ず 仏 心 は 慈 悲 を 体 と し て 、 そ の 表 れ が 衆 生 を 摂 取 す る 阿 弥 陀 仏 の 光 明 で あ る と す る 。 釈 尊 は 観 無 量 寿 経 第 九 真 身 観 に 見 此 事 者 、 即 見 十 方 、 一 切 諸 仏 。 以 見 諸 仏 故 、 名 念 仏 三 昧 。 作 是 観 者 、 名 観 一 切 仏 身 。 以 観 仏 身 故 、 亦 見 仏 心 。 仏 心 者 、 大 慈 悲 是 。 以 無 縁 慈 、 摂 諸 衆 生 と 説 い て い る 。 善 導 は こ れ を 正 明 功 呈 不 失 、 観 益 得 成 即 有 其 五 一 明 因 観 得 見 十 方 72 諸 仏 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 八 、 功 呈 不 失 、 観 益 得 成 、 ト イ ハ 、 観 門 弘 願 ニ 帰 ス ル 故 ニ 、 弘 願 ノ 念 仏 必 ズ 仏 ヲ 見 レ バ 、 此 ノ 観 ニ 念 仏 ノ 利 益 ア リ ト 云 フ ナ リ 、 念 仏 ハ 仏 ヲ 見 ル 。 仏 ヲ 見 ル ハ 仏 心 ヲ 見 ル 。 仏 心 ハ 大 慈 悲 ナ リ 。 慈 悲 ノ 体 ハ 摂 取 不 捨 ト 云 73 ヘ リ と 述 べ て い る 。 釈 尊 は 観 無 量 寿 経 中 品 上 生 に 放 金 色 光 、 至 其 人 所 と 説 い て い る 。 善 導 は こ れ を 明 仏 放 金 光 照 行 74 者 身 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 三 、 仏 放 金 光 、 照 行 者 身 、 ト イ ハ 、 放 金 色 光 、 至 其 人 所 、 ノ 文 ヲ 指 ス ナ リ 。 仏 光 ハ 即 チ 、 仏 ノ 慈 悲 ノ 体 ナ リ 。 仏 心 者 、 大 慈 悲 、 ト 説 ク 、 是 75 ナ リ と 述 べ て い る 。 ま た 慈 悲 と は 仏 心 な り 。 仏 心 と 言 ふ は 哀 愍 衆 生 の 心 76 な り と 述 べ て い る 。 こ の よ う に 證 空 は 、 仏 心 は 慈 悲 を 体 と し て 阿 弥 陀 仏 の 摂 取 不 捨 の 光 明 そ の も の で あ る と 述 べ て い る 。 一 五 六 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
六 仏 性 最 後 に 證 空 は 慈 悲 の 性 に つ い て 、 ど の よ う に 理 解 し て い る の で あ ろ う か 。 釈 尊 は 観 無 量 寿 経 中 品 下 生 に 若 有 善 男 子 善 女 人 、 孝 養 父 母 、 行 世 仁 慈 と 説 い て い る 。 こ れ を 善 導 は 正 明 第 五 第 六 門 中 簡 機 授 法 不 同 即 有 其 四 、 ︵ 中 略 ︶ 三 明 此 人 性 調 柔 善 不 簡 自 他 見 物 遭 苦 起 於 77 慈 敬 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 不 簡 自 他 、 見 物 遭 苦 、 起 於 慈 敬 、 ト イ ハ 、 慈 悲 ノ 性 柔 軟 ニ シ テ 、 苦 ヲ 救 フ ヲ 体 ト ス ト 釈 ス ル 78 ナ リ と 述 べ て い る 。 中 村 元 は 後 代 の 大 乗 経 典 で は 大 慈 ・ 大 悲 ・ 大 喜 ・ 大 捨 を 仏 性 と 解 し て い る こ と も あ る と 述 べ て 79 い る 。 こ こ に 慈 悲 と 仏 性 と の 関 係 に つ い て 注 目 さ れ る 。 善 導 は 以 此 功 徳 廻 施 衆 生 悉 発 菩 提 心 慈 心 相 向 仏 眼 相 看 菩 提 眷 属 作 真 善 知 識 同 帰 浄 国 共 成 80 仏 道 と 釈 し て い る 。 こ れ に つ い て 證 空 は 慈 心 相 向 、 ト イ ハ 、︵ 中 略 ︶ 仏 ハ 、 一 切 衆 生 ヲ 見 ソ ナ ハ シ 給 フ ニ 、 悉 ク 仏 ニ ナ ル ベ キ 性 ア リ 、 此 ノ 仏 性 ヲ 具 セ ル 衆 生 ヲ 見 ル ニ 、 外 ノ 悪 ヲ バ 知 ラ ズ 、 内 心 ノ 性 ヲ 見 テ 、 憐 ミ テ 、 捨 テ ザ ル 故 ニ 、 仏 眼 相 看 、 ト 云 フ 81 ナ リ と 述 べ て い る 。 ま と め 以 上 、 證 空 の 慈 悲 に つ い て の 理 解 を 窺 っ て き た 。 證 空 は 大 乗 仏 教 の 経 論 の 教 旨 で 述 べ て い る 。 先 ず 慈 悲 は 抜 苦 与 楽 で あ る こ と 。 次 に 慈 悲 の 有 無 に 依 り 人 間 と 畜 生 の 判 別 を し て い る こ と 。 こ れ ら は 主 に 龍 樹 の 大 智 度 論 の 教 旨 を 継 一 五 七 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
承 し て い る こ と が 知 ら れ る 。 そ し て 證 空 は 仏 ・ 菩 の 立 場 か ら 四 つ の 分 類 で 述 べ て い る 。 つ ま り ︵ 一 ︶ 釈 の 慈 悲 、 ︵ 二 ︶ 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 、 ︵ 三 ︶ 諸 仏 の 慈 悲 、 ︵ 四 ︶ 観 音 菩 の 慈 悲 で あ る 。 と り わ け 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 に つ い て は 、 ︵ 1 ︶ 抜 苦 与 楽 ︵ 2 ︶ 平 等 ︵ 3 ︶ 無 縁 ︵ 4 ︶ 名 号 に 細 分 し て 述 べ て い る 。 大 智 度 論 に は 三 種 の 慈 悲 ︵ 衆 生 縁 の 慈 悲 、 法 縁 の 慈 悲 、 無 縁 の 慈 悲 ︶ が 示 さ れ て い る 。 こ こ で 問 題 と な る の は 観 無 量 寿 経 第 九 真 身 観 の 以 無 縁 慈 摂 諸 衆 生 の 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 と 大 智 度 論 の 三 種 の 慈 悲 の な か の 無 縁 の 慈 悲 と の 同 異 に つ い て で あ る 。 證 空 は 三 種 の 慈 悲 は 三 身 に お い て 相 対 的 立 場 で あ り 、 阿 弥 陀 仏 の 慈 悲 は 絶 対 的 立 場 で あ る こ と か ら 同 一 で な い と 結 論 し て い る 。 こ こ に 證 空 の 慈 悲 に つ い て の 理 解 の 特 色 が み ら れ る 。 だ が 證 空 は 阿 弥 陀 仏 の 弘 願 を 領 解 し た 上 は 必 ず 凡 夫 の 身 そ の ま ま に 如 来 の 慈 悲 を 行 ず る 身 と 自 ず か ら な れ る 信 仰 が 開 か れ る と 理 解 し て い る 。 こ こ に 空 観 の 思 想 を 受 け て い る こ と も 知 ら れ る の で あ る 。 注 1 サ ー ラ 叢 書 、 一 九 七 五 年 、 平 楽 寺 書 店 2 ① 池 見 澄 隆 鎌 倉 仏 教 に お け る 慈 悲 行 と 法 然 の 立 場 | 松 野 純 孝 氏 稿 を 検 討 し つ つ | 法 然 上 人 研 究 昭 和 五 十 年 七 月 。 ② 花 田 順 吉 法 然 上 人 の 菩 提 心 と 慈 悲 観 法 然 上 人 研 究 昭 和 五 十 年 七 月 。 ③ 末 木 文 美 士 慈 悲 と 選 択 | 源 空 の 場 合 | 日 本 仏 教 56 ・ 57 合 、 昭 和 五 十 八 年 。 3 大 般 涅 槃 経 巻 第 十 五 、 大 正 蔵 12 巻45 4a 、 諸 の 衆 生 の 為 に 無 利 益 を 除 く 、 是 れ を 大 慈 と 名 づ け 、 衆 生 に 無 量 の 利 楽 を 与 へ ん と 欲 す 、 是 れ を 大 悲 と 名 づ く 。 4 大 智 度 論 第 二 十 七 巻 、 大 正 蔵 25 巻 25 6b 、 大 慈 と は 一 切 衆 生 に 楽 を 与 え 、 大 悲 と は 一 切 衆 生 の 苦 を 抜 く 。 大 慈 は 喜 楽 の 因 縁 を 以 て 衆 生 に 与 え 、 大 悲 は 離 苦 の 因 縁 を 以 て 衆 生 に 与 う 。 一 五 八 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
5 大 乗 仏 教 の 根 本 思 想 、 一 九 九 五 年 法 蔵 館 、43 6 ∼43 7 頁 6 観 経 疏 自 筆 御 鈔 序 分 義 巻 一 、 禁 父 縁 、 西 山 叢 書 第 一 巻18 4b 7 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 巻 二 、 真 身 観 、 西 山 叢 書 第 二 巻10 5b 8 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 巻 三 、 観 音 観 、 西 山 叢 書 第 二 巻11 2a 9 観 経 玄 義 分 他 筆 抄 中 、 第 六 諸 師 破 、 西 山 叢 書 第 五 巻 10 7a 10 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 二 、 西 山 叢 書 第 四 巻 23 b 11 浄 土 宗 選 書 大 正 大 学 浄 土 学 研 究 室 編 、 昭 和 四 十 一 年 刊 、 17 0 頁 、 観 音 大 勢 慈 光 ヲ モ テ 照 シ 除 除 ト シ テ 為 ニ 安 心 ノ 法 ヲ 説 ク 。 12 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 七 、 西 山 叢 書 第 四 巻12 6b 13 浄 土 宗 選 書 16 0 頁 、 悲 心 苦 ヲ 抜 キ テ 三 界 ヲ 超 ヘ シ メ 、 慈 心 楽 ヲ 与 ヘ テ 涅 槃 ヲ 期 セ シ ム 、 衆 生 ニ 随 逐 シ テ 身 ニ 異 リ 有 リ 、 身 ヲ 六 道 ニ 分 チ テ 時 機 ヲ 度 ス 。 14 法 事 讃 巻 下 、 極 楽 無 為 涅 槃 界 、 随 縁 雑 善 恐 難 生 、 浄 土 宗 選 書 36 頁 、 極 楽 ハ 無 為 涅 槃 界 ナ リ 、 随 縁 雑 善 恐 ク ハ 生 ジ 難 シ 。 15 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 五 、 西 山 叢 書 第 四 巻 93 b 16 中 村 元 慈 悲 15 2 頁 、48 頁 、18 6 頁 17 浄 土 宗 選 書 97 頁 、 具 此 功 徳 ト 言 フ ハ 或 ハ 一 人 上 ノ 二 ヲ 具 シ 或 ハ 一 人 下 ノ 二 ヲ 具 シ 或 ハ 一 人 三 種 尽 ク 具 ス 或 ハ 人 有 リ 三 種 分 無 キ ヲ ハ 者 名 テ 人 皮 ヲ 著 タ ル 畜 生 ト 作 ス 人 ト 名 ケ ザ ル 也 。 18 ︵ 観 経 疏 自 筆 御 鈔 散 善 義 巻 二 、 西 山 叢 書 第 二 巻21 2a ︶ 。 こ こ に は 阿 含 経 の 文 と し て 出 す も 、 こ の 文 は 観 経 疏 自 筆 御 鈔 序 分 義 巻 二 ︵ 西 山 叢 書 注 ⑧ ︶ に も 引 用 し て い る 。 そ こ で は 大 智 度 論 の 文 と 解 釈 し て い る 。 ︵ 大 智 度 論 巻 第 十 六 、 大 正 蔵 25 巻 17 8c ︶ 即 ち 次 の 文 で あ る 。 我 実 是 畜 獣 、 名 曰 人 頭 鹿 、 汝 雖 是 鹿 身 、 名 為 鹿 頭 人 、 以 理 而 言 之 、 非 以 形 為 人 、 若 能 有 慈 恵 、 雖 獣 実 是 人 、 我 従 今 日 始 、 不 食 一 切 肉 、 我 以 無 畏 施 、 且 可 安 汝 意 19 浄 土 宗 選 書 16 7 頁 、 中 品 下 生 ノ 凡 夫 等 、 父 母 ニ 孝 養 シ 人 信 ヲ 行 ズ 。 20 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 七 、 西 山 叢 書 第 四 巻11 7b 一 五 九 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
21 五 段 鈔 、 森 英 純 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 20 4 頁 、 昭 和 五 十 五 年 刊 、 文 栄 堂 書 店 22 大 正 蔵 47 巻28 a 6 23 観 経 疏 自 筆 御 鈔 玄 義 分 巻 一 、 西 山 叢 書 第 一 巻32 b 24 観 経 疏 自 筆 御 鈔 玄 義 分 巻 三 、 第 七 料 簡 得 益 門 、 西 山 叢 書 第 一 巻 13 2a 25 浄 土 宗 選 書 61 頁 、 仏 慈 悲 ヲ 以 テ 人 ノ 識 ラ ザ ラ ン コ ト ヲ 畏 ル 故 ニ 喩 ヲ 借 リ テ 以 テ 之 ヲ 顕 ハ ス 。 26 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 巻 一 、 水 観 、 西 山 叢 書 第 二 巻 37 b 27 浄 土 宗 選 書 62 頁 、 若 シ 一 人 ノ 苦 ヲ 捨 テ 生 死 ヲ 出 ル 者 ヲ 得 レ バ 是 ヲ 真 ニ 仏 恩 ヲ 報 ズ ト 名 ク 。 28 大 正 蔵 47 巻44 2a 29 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 巻 一 、 西 山 叢 書 第 二 巻42 a 30 浄 土 宗 選 書 95 頁 、 南 無 ス 釈 牟 尼 仏 等 ノ 一 切 ノ 三 宝 、 我 レ 今 首 シ テ 礼 シ タ テ マ ツ ル 回 願 ス 無 量 寿 国 ニ 往 生 セ ン 、 此 ノ 一 仏 ハ 現 ニ 是 レ 今 時 道 俗 等 ノ 師 ナ リ 。 31 往 生 礼 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 三 、 西 山 叢 書 第 三 巻 39 b 32 浄 土 宗 選 書 13 8 頁 、 釈 如 来 ノ 悲 意 深 シ 、 本 師 釈 普 行 ヲ 修 シ テ 、 長 時 長 劫 ニ 衆 生 ヲ 度 ス 。 33 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 二 、 西 山 叢 書 第 四 巻21 a 34 観 経 疏 自 筆 御 鈔 序 分 義 巻 一 、 発 起 序 、 西 山 叢 書 第 一 巻16 1b 35 石 井 教 道 編 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 16 0 頁 、 弥 陀 如 来 ノ 慈 悲 御 心 ハ 念 仏 之 誓 願 ヲ 発 シ 、 我 等 衆 生 ハ 苦 ヲ 抜 キ 楽 ヲ 与 フ ル 心 ナ リ 。 36 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 74 頁 、 抑 も こ の 四 十 八 願 は 、 皆 有 抜 苦 与 楽 の 義 あ り 。 爾 る 故 は 、 大 悲 は 抜 苦 な り 、 大 慈 は 与 楽 な り 。 第 一 の 無 三 悪 趣 は 大 悲 抜 苦 な り 。 第 二 の 不 更 悪 趣 も 亦 こ れ 大 悲 抜 苦 な り 。 第 三 の 悉 皆 金 色 は こ れ 与 楽 な り 。 第 四 の 無 有 好 醜 も 亦 こ れ 与 楽 な り 。 乃 至 第 十 八 の 念 仏 往 生 の 願 に 二 の 意 あ り 。 出 離 生 死 は こ れ 抜 苦 な り 、 往 生 極 楽 は こ れ 与 楽 な り 。 37 浄 土 宗 選 書 14 0 頁 、 百 宝 ノ 荘 厳 念 ニ 随 テ 現 ズ 、 長 劫 ニ 供 養 シ テ 慈 恩 ヲ 報 ズ 、 微 塵 ノ 故 業 智 ニ 随 テ 滅 ス 、 不 覚 転 ジ テ 真 如 門 ニ 入 ル 。 一 六 〇 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
38 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 二 、 西 山 叢 書 第 四 巻30 a 39 浄 土 宗 選 書 11 2 頁 、 正 道 大 慈 悲 、 出 世 ノ 善 根 ヨ リ 生 ズ 。 40 往 生 礼 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 四 、 後 夜 讃 、 西 山 叢 書 第 三 巻88 a 41 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 32 0 頁 、 念 仏 は 易 き が 故 に 一 切 に 通 ず 。 諸 行 は 難 き が 故 に 諸 機 に 通 ぜ ず 。 然 れ ば 則 ち 一 切 衆 生 を し て 平 等 に 往 生 せ し め ん が 為 に 難 を 捨 て 易 を 取 り て 本 願 と な し た ま へ る か 。 42 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 71 頁 ︶ 次 に 難 易 の 義 と は 、 念 仏 は 修 し 易 く 、 諸 行 は 修 し 難 し 。 故 に 諸 仏 の 心 と 云 ふ は 、 慈 悲 を 体 と 為 す 。 こ の 平 等 の 慈 悲 を 以 て 、 普 く 一 切 を 摂 す る な り 。 仏 の 慈 悲 は 一 人 を も 漏 ら さ ず 、 普 く 一 切 を 利 す べ し 。 43 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 20 4 頁 44 慈 悲 13 3 、14 2 頁 45 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 68 4 頁 46 浄 土 宗 選 書 11 6 頁 、 心 ハ 慈 ヲ 帯 テ 満 チ 、 光 ハ 法 界 ヲ 含 テ 団 カ ナ リ 、 無 縁 能 ク 物 ヲ 摂 シ 47 往 生 礼 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 四 、 晨 朝 讃 、 西 山 叢 書 第 三 巻10 5a 48 大 智 度 論 第 四 十 巻 、 大 正 蔵 25 巻 35 0b 、 慈 悲 心 に 三 種 あ り 。 衆 生 縁 と 法 縁 と 無 縁 と な り 。 凡 夫 人 は 、 衆 生 縁 な り 。 声 聞 ・ 辟 支 仏 及 び 菩 は 、 初 め は 衆 生 縁 に し て 、 後 に は 法 縁 な り 。 諸 仏 は 善 く 畢 竟 空 を 修 行 す る が 故 に 、 名 づ け て 無 縁 と な す 。 49 大 智 度 論 第 五 十 三 巻 、 大 正 蔵 25 巻44 2a 、 畢 竟 空 の 大 な る を 以 て の 故 に 、 悲 を 生 ず る こ と も 亦 大 な り 。 大 悲 は 阿 差 末 経 の 中 に 説 く が ご と し 。 三 種 の 悲 あ り 、 衆 生 縁 と 法 縁 と 無 縁 と な り 、 無 縁 の 悲 は 畢 竟 空 よ り 生 ず 。 50 大 乗 仏 教 の 根 本 思 想 43 9 頁 51 大 乗 仏 教 の 根 本 思 想 43 9 ∼44 6 頁 52 慈 悲 12 0 、 27 8 頁 53 浄 土 宗 選 書 77 頁 、 仏 心 ハ 慈 悲 ヲ 体 ト 為 ス 、 此 ノ 平 等 ノ 大 慈 ヲ 以 テ 普 ク 一 切 ヲ 摂 ス ル コ ト ヲ 明 ス 也 。 54 観 経 定 善 他 筆 抄 下 、 真 身 観 、 西 山 叢 書 第 六 巻 64 b 55 観 経 疏 自 筆 御 鈔 玄 義 分 巻 三 、 西 山 叢 書 第 一 巻11 1a 一 六 一 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
56 昭 和 新 修 法 然 上 人 全 集 31 9 頁 初 に 勝 劣 と は 念 仏 は こ れ 勝 、 余 行 は こ れ 劣 な り 。 念 仏 勝 と は 名 号 は こ れ 万 徳 の 帰 す る と こ ろ な り 。 然 れ ば 則 ち 弥 陀 一 仏 の 所 有 の 四 智 ・ 三 身 ・ 十 力 ・ 四 無 畏 等 の 一 切 の 内 証 の 功 徳 、 相 好 光 明 説 法 利 生 等 の 一 切 の 外 用 の 功 徳 、 皆 悉 く 阿 弥 陀 仏 の 名 号 の 中 に 摂 在 せ り 、 故 に 名 号 の 功 徳 最 も 勝 と な す な り 。 余 行 は 然 ら ず 。 57 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 16 2 頁 58 述 誠 、 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 84 頁 59 浄 土 宗 選 書 14 1 頁 、 六 方 ノ 如 來 慈 悲 極 ル 、 同 心 ニ 同 ク 勧 テ 西 方 ニ 往 シ ム 、 長 病 遠 行 シ 日 を 計 ラ ズ 、 念 仏 ハ 即 チ 功 夫 無 シ ト 道 フ 。 60 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 三 、 西 山 叢 書 第 四 巻34 a 61 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 99 頁 62 浄 土 宗 選 書 16 1 頁 、 眼 ニ 見 耳 ニ 聞 キ 心 ニ 事 ヲ 内 レ 、 声 ヲ 尋 テ 苦 ヲ 救 フ コ ト 刹 ノ 間 ナ リ 、 天 冠 ノ 化 仏 高 サ 千 里 ナ リ 、 慈 恩 ヲ 念 報 シ テ 常 ニ 頂 戴 ス 。 63 般 舟 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 六 、 西 山 叢 書 第 四 巻 97 a 64 観 経 定 善 義 他 筆 抄 下 、 観 音 観 、 西 山 叢 書 第 六 巻 65 b 65 大 乗 仏 教 の 根 本 思 想 43 8 頁 66 大 智 度 論 第 二 十 七 巻 、 大 正 蔵 25 巻25 6c 67 大 正 蔵 40 巻82 8c 慈 悲 に 三 縁 あ り 。 一 に は 衆 生 縁 こ れ 小 悲 な り 。 二 に は 法 縁 こ れ 中 悲 な り 。 三 に は 無 縁 こ れ 大 悲 な り 。 大 悲 は 即 ち 出 世 の 善 な り 。 安 楽 浄 土 は こ の 大 悲 よ り 生 ぜ る が 故 な り 。 故 に こ の 大 悲 を 謂 い て 浄 土 の 根 と な す 。 68 往 生 礼 讃 自 筆 御 鈔 巻 第 四 、 後 夜 讃 、 西 山 叢 書 第 三 巻88 a 69 観 経 疏 自 筆 御 鈔 玄 義 分 巻 一 、 西 山 叢 書 第 一 巻 20 a 70 浄 土 宗 選 書 77 頁 、 仏 心 ハ 慈 悲 ヲ 体 ト 為 ス 此 ノ 平 等 ノ 大 慈 ヲ 以 テ 普 ク 一 切 ヲ 摂 ス ル コ ト ヲ 明 ス 也 。 71 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 、 巻 二 、 第 九 真 身 観 、 西 山 叢 書 第 二 巻10 6a 72 浄 土 宗 選 書 77 頁 、 正 ク 功 呈 シ テ 失 セ ズ 、 観 益 成 ズ ル コ ト ヲ 得 コ ト ヲ 明 ス 、 即 チ 其 ノ 五 有 リ 一 ニ ハ 観 ニ 因 テ 十 方 ノ 諸 仏 ヲ 見 ル コ ト ヲ 得 コ ト ヲ 明 シ 一 六 二 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶
73 観 経 疏 自 筆 御 鈔 定 善 義 巻 二 、 第 九 真 身 観 、 西 山 叢 書 第 二 巻10 5a 74 浄 土 宗 選 書 10 2 頁 、 仏 金 光 ヲ 放 チ 行 者 ノ 身 ヲ 照 タ マ フ コ ト ヲ 明 シ 75 観 経 疏 自 筆 御 鈔 散 善 義 、 巻 二 、 中 品 上 生 、 西 山 叢 書 第 二 巻23 0b 76 五 段 鈔 ︵ 西 山 上 人 短 篇 鈔 物 集 16 4 頁 77 浄 土 宗 選 書 10 4 頁 、 正 ク 第 五 第 六 門 ノ 中 簡 機 ト 授 法 ト ノ 不 同 を 明 ス 即 チ 其 ノ 四 有 リ 、 ︵ 中 略 ︶ 三 ニ 此 ノ 人 性 調 柔 善 ニ シ テ 自 他 ヲ 簡 バ ズ 物 ノ 苦 ニ 遭 フ ヲ 慈 敬 ヲ 起 ス コ ト ヲ 明 シ 78 観 経 疏 自 筆 御 鈔 散 善 義 巻 二 、 中 品 下 生 、 西 山 叢 書 第 二 巻23 6b 79 慈 悲 47 頁 、 大 般 涅 槃 経 巻 第 三 十 二 、 大 正 蔵 12 巻55 6c 80 浄 土 宗 選 書 11 3 頁 、 此 ノ 功 徳 ヲ 以 テ 衆 生 ニ 廻 施 ス 悉 ク 菩 提 心 ヲ 発 シ テ 慈 心 ヲ モ テ 相 ヒ 向 ヒ 仏 眼 ヲ モ テ 相 ヒ 看 テ 菩 提 マ デ 眷 属 シ 真 ノ 善 知 識 ト 作 リ 同 ク 浄 国 ニ 帰 シ 共 ニ 仏 道 ヲ 成 ゼ ン 。 81 観 経 疏 自 筆 御 鈔 散 善 義 巻 三 、 耆 会 、 西 山 叢 書 第 二 巻27 6a 一 六 三 證 空 に お け る 慈 悲 に つ い て ︵ 中 西 随 功 ︶