「Athyla」由来のトマト黄化葉巻病抵抗性遺伝子
Ty-1
に連鎖する
共優性DNAマーカーの開発
* * ** *** * 福田至朗 ・吉川友紀 ・田中哲司 ・加藤政司 ・山田眞人 :トマト黄化葉巻病は世界中のトマト栽培農家にとって極めて重要な病害である。黄 摘要 化葉巻病による被害を軽減するためには、野生種トマトが持っている抵抗性遺伝子を栽培 種トマトに導入し、抵抗性品種を育成することが効果的である。本研究では、黄化葉巻病 抵抗性遺伝子Ty-1に連鎖した既報のDNAマーカーJB-1を改良し、品種育成を行う上でより 有用な共優性マーカーの開発を行った。JB-1によって増幅されたPCR産物の塩基配列を解 読した結果、Ty-1(抵抗性)に連鎖したPCR断片はty-1(罹病性)に連鎖したPCR断片に比 べ20bp長いことが明らかになった。そのため、この長さの違いを検出するDNAマーカー「AT -Ty」を新たに設計した。Ty-1を有する抵抗性トマト品種・系統および罹病性品種・系統に 対してAT-Tyを用いたPCRによって遺伝子型判別を行ったところ、抵抗性遺伝子と罹病性遺 伝子を明瞭に見分けることができた。AT-Tyによる判別結果を、Ty-1遺伝子座と強く連鎖 しているTy-3遺伝子座のDNAマーカーによる解析結果と比較したところ、1品種を除いて Ty-すべての品種・系統で一致した。以上の結果から、本研究で開発したAT-Tyマーカーは 遺伝子座の共優性マーカーとして利用できると考えられた。 1 :トマト黄化葉巻病、 、 、共優性マーカー、キーワード tomato yellow leaf curl virus Ty-1
DNAマーカー
Development of Co-dominant DNA Marker Linked to
Ty-1
Gene
for Resistance to Tomato Yellow Leaf Curl Disease from 'Athyla'
FUKUTA Shiro, YOSHIKAWA Yuki, TANAKA Tetsushi, KATO Masashi and YAMADA Masato
Tomato yellow leaf curl disease (TYLCD) causes severe yield losses in tomato Abstract:
crops all over the world. Breeding of TYLCD resistant tomato has been focused for its management.Ty-1, which is the resistant gene derived fromSolanum chilense, has been used for TYLCD resistant tomato as the efficient resistant gene. Ty-1 was maped to chromosome 6 and the dominant CAPS marker 'JB-1', tightly linked to Ty-1, had been developed. In this study co-domimnant marker 'AT-Ty' was developed from the sequences of JB-1 PCR products. The co-dominant marker would be useful in a breeding program where the genotype of the parents is known, as then the heterozygous plants would not be an issue. AT-Ty marker can distinguish Ty-1 of 'Athyla' and ty-1 of 'Momotaro-Fight'. The genotyping by AT-Ty marker of sixteen lines developed from a crossing between 'Athyla' and 'Momotaro-Fight' were conformed to the results of P-25 marker of Ty-3 locus, which was linked toTy-1locus.
tomato yellow leaf curl disease, , TYLCV, , Key Words: tomato yellow leaf curl virus Ty-1
co-dominant marker, molecular marker
環境基盤研究部 園芸研究部 園芸研究部(現農業経営課) (2010.9.10 受理)
8
緒
言
Tomato yellow leaf curl virus
トマト黄化葉巻病は (TYLCV)によって引き起こされ、世界中のトマト栽培 において極めて重要な病害である1−3)。黄化葉巻病に 感染したトマトは葉の黄化や奇形などの症状を呈し、 生育不良により収量も低下する 。日本国内では19964) 年に初めて発生が確認されて以来 、多くのトマト産4) 地に被害が広がり、最も警戒を要する病害の一つとな っている。 病原であるTYLCVはBegomovirusに属し、約30 nmの球 状の粒子が2つ連なった構造を持っている。TYLCVは汁 液では伝播せず、タバココナジラミによってのみ媒介 されることから、本病の防除対策は、殺虫剤の使用や 防虫ネットの利用などのコナジラミ対策が中心となっ てきた。しかし、近年、国内外のトマト種苗メーカー において、日本での栽培に適した黄化葉巻病抵抗性ト マトが育成され、多くのトマト産地でこれらの抵抗性 品種の導入が進んでいる。愛知県農業総合試験場でも 抵抗性を有する海外品種「Athyla」との交雑により、 抵抗性トマトの育成を進めてきた5−9)。「Athyla」は、 黄化葉巻病抵抗性遺伝子としてTy-1 Ty-3と を有してい る10−11)。これらは野生種トマトSolanum chilense 由来 、 、 の遺伝子で ウイルスの感染を防ぐことはできないが 病徴の発現を抑制し、感染植物内でのウイルス増殖を 抑制する 。また、これらの遺伝子はトマトの第6染10) 色体上の2cM以内距離で座乗し、強く連鎖しているこ とが明らかとなっている 。11) 交雑育種により新品種を育成する際に大きな役割を 果たすのがDNAマーカーである。特に、病害抵抗性に関 するDNAマーカーは、病原接種による選抜に比べ作業効 率が高いだけでなく、環境に影響されない確実な選抜 が可能となるため、様々な作物について開発が進んで T いる12−19)。トマト黄化葉巻病についても、これまでに に連鎖した優性のCAPSマーカー 、 及び に
y-1 16) Ty-2 Ty-3
連鎖した共優性のDNAマーカーについて報告 されてい る13,15)。この内、Perez de Castroら16)によって報告さ れたTy-1に連鎖したJB-1は、優性のCAPSマーカーであ り、PCR産物を制限酵素処理した後のバンドパターンで 。 、 抵抗性遺伝子の有無を確認することができる しかし 育種選抜を行う上で、抵抗性遺伝子のみを検出するこ とのできる優性マーカーに比べ、罹病性遺伝子をも検 出することのできる共優性マーカーの有用性は格段に 高い。そこで本研究では、JB-1マーカーを改良するこ Ty-1 とにより共優性マーカーの作出を試みると共に、 遺伝子座に強く連鎖しているTy-3遺伝子座のDNAマーカ ーP6-25により、その正確性を確認した。
材料及び方法
1 トマト品種とDNA抽出 を有するトマト( )品種Ty-1 Solanum lycopersicum
「Athyla (De Ruiter Seeds)と罹病性の「桃太郎フ」 ァイト (タキイ種苗)及びこれら2品種の交雑から得」 られた16系統を用いた。 また、黄化葉巻病抵抗性トマトMFAT系統 (当場育6) ) 、 ( ) 成 を子房親に 罹病性のファースト系統 愛三種苗 を花粉親としたF2世代477個体を用いて、マーカー解析 を行った。 これらのトマトはハウス内で栽培した。DNA抽出には 展開直後の新葉を採集し、抽出に用いるまで-80℃で保 存した。トマト葉からのDNA抽出はCTAB法によって行っ た 。20) 2 JB−1マーカーによる解析 JB-1マーカーを用いたCAPS解析は、Perez de Castro ら16)の報告した方法を若干変更して行った。 JB-1マーカーのPCR反応は1×AmpliTaq buffer、0.2 mM dNTPs、それぞれ0.4 μMのJB1F及びJB1Rプライマー (表1 、1.5 unitsのAmpliTaq Gold (Applied biosys) tems)、1 μLの抽出DNAを含む30 μLの反応液で行っ た。PCR反応は、94℃ 9分後、94℃ 1分・50℃ 1分 ・72℃ 1分30秒を50サイクル、72℃ 10分の温度条件 で行った。次にPCR反応物をTaqIで消化した。酵素処理 は、1×添付buffer、4 unitsのTaqI (Farmentas)、10 μLのPCR産物を含む全量30 μLの反応液を37℃で8時 間インキュベートすることにより行った。制限酵素処 理したDNAをエタノール沈殿により回収した後、2%ア ガロースゲルに電気泳動し、エチジウムブロマイドで 染色した後UV照射下で観察した。 3 PCR産物の塩基配列解析 PCR反応によって増幅されたDNA断片をpGEM-T Easy Vector(Promega)を用いてTAクローニングした。クロー ニングした断片の塩基配列はCeq8000システム(Beckman Coultar)を用いてシークエンスした。 4 AT−TyマーカーによるPCR
AT-TyのPCR反応は、7.5 μLの2×GoTaq Green Master Mix (Promega)、それぞれ0.4 μMずつのAT-Ty-FW及び AT-Ty-RVプライマー(表1 、1 μLのDNAを含む全量) 。 、 、 15 μLの反応液を用いた PCR反応は 95℃ 2分の後 95℃ 1分、55℃ 1分、72℃ 1分を40サイクル、72℃ 10分の温度条件で行った。PCR産物は3%アガロース ゲルに電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色した 後UV照射下で観察した。 5 P6−25マーカーによる遺伝子型解析 P6-25マーカーによる解析はJiら15)の報告に若干の変 更を加えて行った。
P6-25のPCR反応は、7.5 μLの2×GoTaq Green Master Mix (Promega)、それぞれ0.4 μMずつのP6-25-F2及び P6-25-R5プライマー(表1 、1 μLのDNAを含む全量)
。 、 、
15 μLの反応液を用いた PCR反応は 95℃ 2分の後 福田ら:「Athyla」由来 のトマト黄化葉巻病抵抗性遺伝子Ty-1に連鎖する共優性DNAマーカーの開 発
表1 本研究で用いたプライマーの塩基配列
遺伝子座 Marker name Primer name Primer sequence Design baseis Restriction enzyme
JB-1 JB1F 5'-AACCATTATCCGGTTCACTC-3' Perez de Castro I
Ty-1 Taq
JB1R 5'-TTTCCATTCCTTGTTTCTCTG-3’ et al. (2007)
AT-Ty AT-Ty-FW 5'-GCTAATGCACAACCAGCAGT-3' this study
-Ty-1
AT-Ty-RV 5'-CCCAGTGTTTAAGATACTACTAG-3'
P6-25 P6-25-R5 5'-GGTAGTGGAAATGATGCTGCTC -3' Ji et al. (2007a)
-Ty-3 P6-25-F2 5'-GCTCTGCCTATTGTCCCATATATAACC-3' 95℃ 2分、55℃ 1分、72℃ 1分を40サイクル、72℃ 10分の温度条件で行った。PCR産物は2%アガロース ゲルに電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色した 後UV照射下で観察した。
結果及び考察
黄化葉巻病抵抗性遺伝子Ty-1を有する「Athyla 、罹」 病性の「桃太郎ファイト」(ty-1 ty-1/ )及びこれらの交 配から得られた16系統に対しJB1マーカーによる解析を 行った。すべての品種・系統において約450bpにバンド が認められたが、Ty-1を保有する「Athyla」と抵抗性 系統であるNo.1∼11では、これに加え約500bpにもバ 。 、 「 」 ンドが認められた また 罹病性の 桃太郎ファイト 及びNo.12∼16ではややそれよりも低い480bp付近にバ ンドが検出された(図1、表2 。) Ty-3 これらの品種・系統に対しP6-25マーカーによる M 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 50 0 b p 30 0 b p 図1 JB-1マーカーによるTy-1遺伝子座の解析結果 M:100 bpマーカー、レーン1: Athyla 、レー「 」 ン2: 桃太郎ファイト 、レーン3−18:Athyla「 」 と桃太郎ファイトの交雑後代No.1∼No.16 「Ath. yla」(レーン1)とNo.1−11(レーン3−13)は約 400bpと抵抗性遺伝子由来の約500bpの2本のバン ド 「桃太郎ファイト (レーン2)とNo.12 −16、 」 (レーン14−18)は約400bpのみにバンドが検出 される。 M 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 5 0 0 b p 2 0 0 b p 図2 P6-25マーカーによるTy-3遺伝子座の解析結果 M:100 bpマーカー、レーン1: Athyla 、レー「 」 ン2: 桃太郎ファイト 、レーン3−18:Athyla「 」 と桃太郎ファイトの交雑後代No.1∼No.16. No. 1−7(レーン3−9)は抵抗性遺伝子由来の約500 、「 」( ) bpのみにバンドが 桃太郎ファイト レーン2 とNo.12−16(レーン14−18)は罹病性遺伝子由 来の約320bpのみにバンドが 「Athyla」(レーン、 1)とNo.8−11(レーン10−13)は500bpと320bp に2本のバンドが検出される。 座の解析を行った。JB-1マーカーによりTy-1を保有し ないと確認された「桃太郎ファイト」とNo.12∼16では 遺伝子座についても罹病性のバンド(320bp)のみ Ty-3 。 、 「 」 が検出された 一方 Ty-1の保有が確認された Athyla とNo.1∼11では450bpの抵抗性のバンドが認められた が 「Athyla」及びNo.8∼11については罹病性のバン、 ドも認められ、これらの1品種と4系統は、Ty-3遺伝 子座について抵抗性遺伝子と罹病性遺伝子の両方を持 つヘテロ型であると判定された(図2、表2 。) Ty-1と は同じ第6染色体に座乗し強く連鎖していると報 Ty-3 Ty-1 告されていることから 、これら品種・系統は、11) 遺伝子座についてもヘテロ型(Ty-1 ty-1/ )ではないか と推測された。 遺伝子座の共優性マーカーを作出するため、ホ Ty-110
抵抗性 AACCATTATC CGGTTCACTC CCAGCTTACC ACGACAAACC ATTCACACGG CAGATTGCCA CTGCTTTACT TGTGGCTCAA 罹病性 AACCATTATC CGGTTCACTC CCAGCTT-CC AAGACAAACC ATTCA--CGG CAGATTGCCA CTGCTTTACT TGTGGCTCAA
抵抗性 ACGCCACTTT CTATTCCACC CATTCATACG AATCTCTCAC TAACTTCTCA TTCCATCCCA CTTTCTTAAC GTACTCATCA 罹病性 ACGCCACTTT CTATTCCACC CATTCATACG AATCTCTCAC TAACTTCTCA TTCCATCCCA CTTTCTTAAC GTACTCATCA
抵抗性 CTCGCCCTCG TAAAGAACCC CGCATTAATA GCTGAACCAC CACCTAAGAC GCGAGCACGG TGGTTGAAGA CACCGTCTGT 罹病性 CTCGCCCTCG TAAAGAACCC CGCATTAATA GCTGAACCAC CACCTAAGAC GCGAGCACGG TGGTTGAAGA CACCGTCTGT
抵抗性 AGAGATGAAA AGTTGCGAGG GAGATGACGG AGAAATGTTA GCTAAGTTGC TTGAGAAACC GTTAATGTTT GTGATGTTTG 罹病性 AGAGATGAAA AGTTGCGAGG GAGATGACGG AGAAATGTTA GCTAAGTTGC TTGAGAAACC GTTAATGTTT GTGATGTTTG
抵抗性 GGTTTCCATA GGGTAAGTCA CCTCTTTCTA ATAACAGAAC ATTGAACGAT TGTGAGAGTG TTGCTGCTAA TGCACAACCA 罹病性 GGTTTCCATA GGGTAAGTCA CCTCTTTCTA ATAACAGAAC ATTGAACGAT TGTGAGAGTG TTGCTGCTAA TGCACAACCA
抵抗性 GCAGTTCCTC CTCCTATTAT GATGTAATTC GAACGAAATA ACCTTTGGTG ATGACGTAGC ATCTCTTGCA A---ACGTGG 罹病性 GCAGTTCCTC CTCCTATTAT GATGTAATTC GAACGAAATA ACCTTTGGTG ATGACGTAGC ATTCTTCTTC GCAAACGTCG
抵抗性 AATATGGGGG TACATTGCAT CAAACAATTA TTAATATTTT AATTTTATTT ATTTGACAAA ACACTCTTTT TTTTTTAAAA 罹病性 AATATGGGGG TACATTGCAT CAAACAATTA TTAATATTTT AATTTTATTT ATTTGACAAA ACACTCTTTT
TTTTTT----抵抗性 AAAAAATAAA AGTTAGCCTA AATATTCTAT GCATCATCAT AGAATTTGTG ACCCTTTTAT TGATTTTGAA TTTTTGATAG 罹病性 --- --CTAGC--A --TATTCTAT GCATCATCAT AGAATTTGTG ACCCTTTTAT TGATTTTGAA TTTTTGATAG
抵抗性 TAAATTTTTT TTTTAGCATC TATACATGTT AACTTGTCAT AGCAAGTTAG TTGTCTTATT TTGAAGTTAC CAATTCTATT 罹病性 TAAATTTTTT TTTTAGCATC TATACATGTT AACTTGTCAT AGCAAGTTAG TTGTCTTATT TTGAAGTTAC CAATTCTATT
抵抗性 TACCTTCAAT TGACTTTTAG CTAATTAACT TGAACAATGT AAAACTAAAT TCATTTTTGT ATCTTTTCTT AGTATTATTT 罹病性 TACCTTCAAT TGACTTTTAG CTAATTAACT TGAACAATGT AAAACTAAAT TCATTTTTGT ATCTTTTCTT AGTATTATTT
抵抗性 TTTTTAAAAA AAAAATAAAT TGCATCTACG TACAAAATGT ATCTTTTAAG ACAAAAGAAA ATGGAAGCAT AAGAGAAGTG 罹病性 TTTTTAAAAA AAAAATAAAT TGCATCTACG TACAAAATGT ATCTTTTAAG ACAAAAGAAA ATGGAAGCAT AAGAGAAGTG
抵抗性 ATTATGGAAT AGAGAAGAGA TCACAATTAC CTTTCTCAAA ATGGAAGCAT AAGAGAAGTG ATTATGGAAT AGAGAAGAGA 罹病性 ATTATGGAAT AGAGAAGAGA TCACAATTAC CTTTCTCAAA ATGGAAGCAT AAGAGAAGTG ATTATGGAAT AGAGAAGAGA
抵抗性 TCACAATTAC CTTTCTCAGA GAAACAAGGA ATGGAAA 罹病性 TCACAATTAC CTTTCTCAGA GAAACAAGGA ATGGAAA
図3 JB-1増幅断片の塩基配列
抵抗性はNo.1を鋳型にしたJB-1増幅産物、罹病性は桃太郎ファイトを鋳型にしたJB-1増幅産 物を用いて塩基配列を読んだ。二重下線はJB-1マーカーのプライマー、下線はAT-Tyプライマ ー設計箇所。網掛けの配列に相違が認められている。
モ型の抵抗性系統(Ty-1 Ty-1/ )と予測されるNo.1及び 「桃太郎ファイト (」 ty-1 ty-1/ )を用いた。これらのD NAを鋳型としてJB-1によるPCR産物のシークエンスを行 、 、 ったところ 両者の配列は高い相同性を持っていたが 中央部分に違いが集中して認められた(図3 。抵抗性) 遺伝子由来のPCR産物は罹病性遺伝子由来のPCR産物に 比べ約20bp長い配列を有していたため、これらの塩基 配列の長さの差異を検出することにより、共優性マー カーを作出できると考えられた。そのため、両塩基配 列の共通部分から、抵抗性では220bp、罹病性では200bp を増幅するプライマーAT-Ty-FW及びAT-Ty-RV(表1) を設計した。このDNAマーカーAT-Tyを用いてPCR反応を 行った結果を図4及び表2に示した 「Athyla」とNo.。 1∼7では抵抗性のホモ型を示す220bpのバンド 「桃、 太郎ファイト」とNo.12∼16では罹病性のホモ型を示す2 00bpのバンド、No.8∼11ではその両方のバンドを持 福田ら:「Athyla」由来 のトマト黄化葉巻病抵抗性遺伝子Ty-1に連鎖する共優性DNAマーカーの開 発
M 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 500bp 200bp 図4 AT-TyマーカーによるTy-1遺伝子座の解析結果 M:100 bpマーカー、レーン1: Athyla 、レー「 」 ン2: 桃太郎ファイト 、レーン3−18:Athyla「 」 と桃太郎ファイトの交雑後代No.1∼No.16 「Ath. yla」(レーン1)とNo.1−7(レーン3−9)は抵抗 性遺伝子由来の約220bpのみにバンド 「桃太郎、 ファイト (レーン2)とNo.12−16(レーン14−」 ) 、 18 は罹病性遺伝子由来の約200bpのみにバンド No.8−11(レーン10−13)は約220bpと約200bp にバンドが検出される。 つヘテロ型のバンドパターンを検出 すること が で き Ty-3 た 「Athyla」を除いた品種と系統では、P6-25(。 遺伝子座)から推測された遺伝子型と一致し、本マー カーが有効であることが確認できた。ところが 「Athy、 la」については、P6-25ではヘテロ型のバンドパターン が得られたのに対し、AT-Tyでは抵抗性ホモのバンドパ ターンとなった。このような異なる結果が得られた原 因として以下の2つの可能性がある。 ①Ty-1遺伝子座とTy-3遺伝子座は強く連鎖している 、 。 、 が まれに連鎖がはずれることもある そのため 実際に 「Athyla」の、 Ty-1遺伝子座は抵抗性ホモ、 遺伝子座はヘテロ型で保有している。 Ty-3 ②Ty-1遺伝子座に連鎖するJB-1には複数の遺伝子型 が存在していると報告されている16)。「Athyla」は
Ty-1をヘテロで保有しているが 「Athyla」の、 ty-1
遺伝子型は「桃太郎ファイト」のty-1遺伝子型と は異なり、AT-Tyマーカーでは識別することができ ない。 表2 供試したトマト品種及び系統のマーカー解析の結果 マーカー 品種・系統 TYLCVに対する抵抗性a JB-1b AT-Ty P6-25 (Ty-1遺伝子座) (Ty-1遺伝子座) (Ty-3遺伝子座)
Athyla R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / ty-3 桃太郎ファイト S ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3 No.1 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.2 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.3 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.4 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.5 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.6 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.7 R Ty-1 Ty-1 / Ty-1 Ty-3 / Ty-3 No.8 R Ty-1 Ty-1 / ty-1 Ty-3 / ty-3 No.9 R Ty-1 Ty-1 / ty-1 Ty-3 / ty-3 No.10 R Ty-1 Ty-1 / ty-1 Ty-3 / ty-3 No.11 R Ty-1 Ty-1 / ty-1 Ty-3 / ty-3 No.12 ND ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3 No.13 ND ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3 No.14 ND ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3 No.15 ND ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3 No.16 ND ty-1 ty-1 / ty-1 ty-3 / ty-3
a:TYLCVを接種し病徴の発現が弱い品種及び系統をR、激しい病徴を示す品種をS、検定を行っていない系 統をNDとした。
12 福田ら:「Athyla」由来のトマト黄化葉巻病抵抗性遺伝子Ty-1に連鎖する共優性DNAマーカーの開 発
今回の結果の原因がどちらであるかについては、F1 品種である「Athyla」の親系統が不明であるため判定 ができない。しかし、いずれの理由であっても、両者 Ty-3 Ty-の交配から得られたNo.1∼16では、 遺伝子座と 遺伝子座の解析結果は一致しており、このマーカーの 1 「Athyla」を親として用いた集団における選抜有用性 を否定するものではないと考えられた。 愛知県農業総合試験場野菜グループでは「Athyla」 と「桃太郎ファイト」の交配から、高品質丸玉トマト 系統MFAT系統を育成し 、さらにこの系統を利用し、6) 黄化葉巻病抵抗性ファースト系トマトの開発を進めて いる。MFAT(Ty-1 Ty-1 Ty-3 Ty-3/ 、 / )を子房親に、両 抵抗性遺伝子を持たないファースト系統(ty-1 ty-1/ 、 / )を花粉親としたF2世代についてDNAマーカ ty-3 ty-3 、 、 ーによる解析を行ったところ 解析した477個体のうち 遺伝子座と 遺伝子座の連鎖が切れた個体が2個 Ty-1 Ty-3 Ty-1 Ty-3 体得られた(データ未掲載 。このように、) と の分離も認められていることから、抵抗性品種育成を 確実に行うためには、Ty-3遺伝子座及び本研究で開発 したAT-TyマーカーによるTy-1遺伝子座を確実に解析 、 。 し 選抜を行っていくことが重要であると考えられた
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