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ブイードバック型プログラミング教育の実践報告 大西 淳*

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ブイードバック型プログラミング教育の実践報告

大西 淳*

Case Study of The Teaching of C・omputer Progra,inming that・ ILTt・ilizes       The Feedback To The Students

Atsushi ONISHI

 Tlie teaching of computer progra.mming is import,ant, in the department of computer sciences.

But t,he lectu} es related to comput,er programming are weak subjects for many students. To conquer such a sitiuation, this report, prese.nts t,he met,hod to teach about computer programming.

The point/ of this niet,hod is using the web technology and the reports which return t,o the student:,

t/o niake the teacher coininunicat,e with each stuClent/. This, rnet,hod was suc.cessful in yielding sonie g, tudent,s who wrestle with progranllning act,ually. But, it iq. diflicu}t, tio succeed by this inet/hod in

t,he case t/ha,t, one teac,her is in charge of inany :t/udent,t .

key wordg. : t/eaching, comput,er programming, web t,echnology

1。 まえがき

プログラミング関連科目は情報工学分野の教育課程 において一つの要をなす。しかし,その一方で,プ ログラミングを不得意とする学生やプログラミング に対して強い苦手意識をもつ学生は多い,このよう な状況は早急に改善される必要がある,

 これを実現する一つの方法として,学生に数多く のプログラミング課題に取り組ませてプログラミン グに法る機会を増やしつつ各学生と一対一に向かい 合い,各課題に取り組む過程で個々の学生が直面し ている問題点について直接指導する方法が考えられ る.プログラミング課題を解く過程では複数の学生 が同じような間違いを犯すが,ソース・プログラムの 書き方や間違いの組合せなどによって各学生のもと で発生する問題は異なりうる.このような状況で教 官が間違いについて一般化した解説を行っても,プ ログラミング初級の段階では学生が解説された内容 を自分のもとで起こっている問題と関連付けて考え ることは難しい.そのため,個々の学生に対して一 対一に指導を行う授業の教育効果は高いと思われる.

 本稿では,上述した考えのもとで本校情報工学科 2年生を対象として平成12年度に著者が実施したプ ログラミングの授業方法と,この授業法の効果に関 する考察の結果について報告する.以下,2.では授

率情報工学科

原稿受付 平成13年8月31日

業法の概要について説明する.続く3.では,学年末 に実施した授業に関するアンケートの結果に基づい て,この授業法の効果を考察した結果を報告する.

2。 フィードバック型の授業方法

 まず,授業の進め方について説明する.ここで紹 介する授業法を実施した科目は情報工学科の学生が プログラミングに関して入学後初めて受講する科目 であり,通年90分目授業として総合情報センター基 礎情報演習室において開講された.使用したプログ

ラミング言語はCである.授業では,Tablelに示す 初級プログラミングの授業において一般的なトピッ

クスを取り上げ,トピックスを取り上げるごとに関 連するプログラミング課題を1題出題し,この課題 に関して2回のレポート提出を学生に課す。そのた め,一つのトピックスを完了するために3回の授業 時間を要する.そして,授業時間毎に新しいトピック スを一つずつ取り上げていくため,あるトピックス を取り上げた翌週の授業では,このトピックスに関 する続きの話題と新たに取り上げられる別のトピッ クスを扱うことになり,このような形で授業が進行 していくと,1回の授業時間内に最大三つの異なっ たトピックスを扱うことになる.

 次に,一つのトピックスの完了に要する3回の授

業の流れについて説明する.新しいトピックスが取 り上げられてこれに関連するプログラミング課題が

(2)

Table 1:取り上げた主なトピックス データ型,エラーの種類,データの入出力,

型変換,if文, while文, for文,論理演算:子,

演算誤差,計算時間,1次元配列,2次元配列,

ファイルの入出力,関数,ポインタ,文字型,

文字列

出題された授業の次回の授業日前日は,1回目のレ ポート提出日になっている.この日までに学生は,解 答ソース・プログラム・リストと実行例をおさめた テキストファイルをサーバ上の指定されたフォルダ にコピーしておく.そして,提出されたレポートの 中からいくつかのものを取り上げて,典型的な解法,

犯しやすい間違い,および,優れた工夫について提 出日翌日の授業時間に教官が解説する.学生はこの 解説をもとに自分の解答ソース・プログラム・リス トをよりよいものに書き変え,解答ソース・プログ ラム・リストの最終版,実行例,および,課題に関 する考察・感想などをレポートにまとめて次回3回 目の授業時間に提出する。一つのトピックスを取り 上げている期間は,授業日が定期試験や祝祭日にあ たることもあるため,2週間を超えることもある.

 ここでレポートについて補足しておく.1回目の

レポートとして提出されたすべての解答ソース・プ ログラム・リストと実行例は,教官によってその解答 の特徴や問題点に関するコメントを加えられた上で,

授業を受けているすべての学生にWebページを通し て公開される.そのため,解法を思いつくことので きなかった学生は他の学生の解答を参考に自分の解 答を考えることができる.また,学生が自分の解答 を改良するする際に,自分のものとは異なる特徴を 持つソース・プログラムや優れた工夫が施されてい

るソース・プログラムを参照することができる.参

考のため,実際に平成12年度の授業で用いたWeb

ページの一一例をFig.1に示す.但し,図中のURLは 授業で用いた時のものと異なっている.また,コメ ントのついていない学生は,レポートを提出してい なかった学生か別の問題についてレポートしていた 学生である.それから,2回目のレポートは教官に よってコメントを加えられた上で返却される.コメ ントの内容は,ソース・プログラム中に残っている 問題点の指摘や,考察・感想のところに書かれてい た疑問点や授業に関連した悩み・相談・感想などに 対する回答などである.

 この授業法は平成11年度高等専門学校情報処理

教育担当者上級講習会で紹介された豊橋技術科学大

もとにしているが,本校の事情に合わせていくつか の変更を加えている.大きく変更を加えた点の一つ は,クラスのグループ分けに関する点である.豊橋 技術科学大学では受講する学生をグループ分けして 授業を実施していた.一つのグループに属する学生 の数の上限は20名であり,1グループにつき教官と ティーチングアシスタントを各1興ずつ割当ててい た.しかし,本校ではこのようなグループ分けを行 える体制が整っていなかったため,45名の学生を教 官1人で担当した.また,大きく変更を加えた二つ

めの点は,1回目と2回目のレポート提出の間に行

われていた学生によるレビューを省略した点である.

レビューでは,指名された学生が2回目のレポート の内容に準じた内容について口頭発表を行い,これ に対して他の学生や教官などが質問したりコメント を述べたりして,どのようなソース・プログラムが よい解答なのかを検討する.他に報告されているよ うに,口頭発表の導入はプログラミング教育を行う 上で効果がある1).そのため,平成12年度とほぼ 同様の方法で授業を行った平成11年度においてはレ ビューを取り入れていた.しかし,レポートの添削 や授業の準備に時間をとられてレビューの指導に手 が回らなかったり,講習会でも指摘されていた,検 討に参加する人数が多くなると議論が盛り上がらな いという問題が実際に起こったりしたため,平成12 年度の授業では省略した*.

 今回実施した授業法によれば,学生を毎週様々な タイプのプログラミング課題に触れさせつつ,Web ページやレポートを通して学生一人一人が直面して いる問題を把握し,それらに対するコメントをフィー

ドバックすることによって学生を個別に指導するこ とが可能である.しかも,同じ課題について学生に 指導を2回フィードバックできるため,教育効果を より確かにできる可能性がある.また,学生に対し て自分の解答を振り返る機会や,Webページを使っ て他の学生の解答やそれに対する教官の指導を参照 する機会を与えることができ,これらの点でも教育 効果を高めることができる可能性がある.

 それから,本授業では学生に提示する資料をプレ ゼンテーションツールで作成し,作成した資料を液 晶プロジェクタで投影して板書の代わりに利用した.

そして,作成した資料はすべてWebページ上で公開 した.これにより,学生はコンピュータを利用する 演習時間などに,過去の資料を簡単に復習すること

ができる.

 *平成11年度のレビューの状況について簡単に報告しておく.

はじめの数回のレビューでは,固定したメンバーではあったが学

生間で意義のある討論がなされていた.しかし,固定メンバーに

よる議論では新鮮みが薄れていったためか,途中からは全く議論

がなされなくなった.その代わりに,メンバーの一部は2回目の

(3)

フィードバック型プログラミング教育の実践報告  大西

■       1 蹴 』

iiファイ」懸 編集鴬}表示鱒 お気ra入ゆ鯉ツ ・ ・lh〈geヘノけ⑬

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繋熱傘;一蕊課懸劔蕪§;;…1轍極麟瞬輸趨伽麟…麟撤…

解答プログラムと実行例 1プロヴラム

2プロゲラム

3プロザラム

遡 叢

論L標準的解法,math.hは不要 4董ム_,_実鯉L標準的解法,math。hは不要

5プロヴラム 一実罫書L三角脚数を使った解法変数名に工夫

6プロヴラム ..実行例

7並,一等行便Lint型演算

8.並一,.逓L標準的解法,空行あり,問題表示(但し,math.hは不要)

9』堕ム_,」齪標準的解法math.hは不要 10_塑_,一実行路

11.並,暴行例_標準的解法,これコンパイルできました?

12塑,_実行趣L標準的解法,空行あり,問題表示(但し,math.hは不要)

13並, _謹孝票準的角孕法

14並,遡

15_並_,_塾し三角関数を使った解法,変数名に工夫

16二塑L,」塾

17並,.罰し標準的解法,math.hは不要

18並L,基督例

19プログラム,_塞行器_標準的解法変数名に工夫,math.hは不要

20_鯉L,齢列

21並,遡L標準的解法,math.hは不要

22並,遡

23.並,.至旨趣L標準的解法

24_並一,.罰

25プログラム,_ISUEE一一標準的解法,コンパイルできました?

26_:並ユム_,一実行例

1

A

廼難粥騙蔽 警一…騨 「 ツ』

   ……

u   

W…/…1翼i夢ヒ寒確  端

Fig.1:学生に公開したWebページの一例

(4)

3. アンケート結果に基づく考察

 2.で説明した授業法について,平成12年度末に

学生を対象に実施されたアンケートの結果をもとに 考察する.アンケートの結果としては,著者が独自 に行ったアンケートの結果と本校教務委員会が行っ たアンケートの結果を利用する.著者が独自に行っ たアンケートは該当する項目を丸で囲む形式のもの であり,本校教務委員会が行ったアンケートは質問 内容を5三階で評価するものであった.いずれのア ンケートも無記名で行われた.それぞれのアンケー

トの結果の一部をTable2と3に示す.

 まず,学生に対する指導のフィードバックの効果 について考察する.Table2からわかるように,1回 目のレポートに対する教官からのコメントを読んだ ことのある学生および2回目のレポートに対するコ メントを読んだことのある学生はいずれも86.5%で ある.このことから,学生に指導をフィードバック するシステムとして本授業法は有効に機能しうると 考えられる.

 そして,1回目のレポートに関しては,Webペー

ジ上で他の学生の解答ソース・プログラムを読んで 自分でもよいソース・プログラムを書けるようにな りたいと思ったと回答した学生は32.4%おり,解答 ソース・プログラムの公開はプログラミングの学習 に前向きに取り組もうとする学生が現れるための一 助になっていると考えられる.このことは,授業前

にWebページを見ながらお互いに感想や意見を述べ あったり,他の学生の解答を読んだ感想をレポート に書いてきたりする学生がいたことなど,授業前後 の学生間の会話やレポートからも伺うことができた.

他に,他の学生の回答から何らかの刺激を受けたこ とがあると回答した学生は,複数解答可のため表か らは読み取れないが,94.6%に上り,解答ソース・プ ログラムの公開はプログラミング教育によい効果を 与えていると考えられる.2回目のレポートに関し ても,自分の解答ソース・プログラムを再度読み直 すことによって学習効果があったと認識した学生は 73,0%おり,2度目のフィードバックの機会を設けた ことについても教育効果はあったと思われる.

 また,Table3に示すように,「この教科に興味をもっ

たか」という問いに対して4または5と回答した学

生の割合は68.2%で,回答番号をポイントとして見 た場合の平均ポイントは3,909である.同じアンケー ト項目の本校2年生全体の平均ポイントが2.960,学 校全体の平均ポイントが3,072であることを考える

と,この授業法は学生にプログラミングに対して興 味を持たせる点でも効果があったと考えられる.こ のような効果があった理由としては,一つの課題に対

ポートに書かれていた学生がもっている疑問点や悩 みに対して一対一に向き合って対応したことなどが 考えられる.

 次に,プレゼンテーションツールの利用について 考察する.「教官の黒板の使い方や書き方はわかりや

すいものでしたか」という問いに対して4または5

と回答した学生の割合は68.1%であり,概ね好評で あったと判断できる.このような結果になった理由と

しては,学生に提示する資料を授業に先立って作成 したため,読みやすい資料になるよう十分時間をか けて検討できたことが考えられる.また,メモリの状 態の遷移過程など,学生にとって理解しにくいと思 われるプログラムの実行イメージをアニメーション 機能を利用してできるだけ平易に説明したことも理 由の一つになっていると考えられる.それから,授業 1回分の内容ごとに資料を作成することになったこと も,各授業時間ごとに内容のまとまりをつくる上で の著者にとって効用があった.このことは,Table3 の「各時間毎に内容がまとまっていたか」という問 いに対する回答結果にも現れている.

 最後に,本授業法の問題点について考える.「授業内 容をどの程度理解したか」という問いに対して1また は2と回答した学生はTable3に示すように38.6%お り,かなりの学生が内容を理解できていない,その 理由としては,各学生に対する指導内容の不十分さ が考えられる.このようなことが起こった原因とし て,教官の技量不足も挙げられるが,他に時間不足 が大きな原因として挙げられる.著者が1週間の問 に2回分のレポート添削に割くことが出来た時間は,

記録を取っていたわけではないため正確性を欠くが,

概ね10時聞〜15時間であった.45人,のべ90人の

学生に対し,この時間ですべての問題点についてわ かりやすく解説してフィードバックすることは難し く,上述したようにフィードバックされてくる指導 に対する学生の関心は高いものの,その期待に十分 応えることはできなかった,この問題を解決するに は,豊橋技術科学大学のように1グループの学生数 を少なくし,指導者の数を増やしてやることが考え られるが,このような体制を整えることは現時点で は困難が大きいと思われる.

 また,解答ソース・プログラムをWebぺr一一ジ上 で簡単に閲覧できるために,他人の解答を丸写しす ることで課題を終わらせる学生が現れたことも問題 である.独自アンケートで「他人のソース・プログ ラムをそっくり反映させたことがある」と回答した 学生の割合40.5%と,授業時間以外のプログラミン

グに関する勉強時間が30分以下という学生の割合

363%,および,前述した授業に興味を持った学生

と授業を理解できなかった学生の割合をを考えると,

(5)

フィードバック型プログラミング教育の実践報告  大西

   Table 2:独自に実施したアンケートの結果

Webページ上で自分の解答に対してついているコメントを読んだことがありますか?

読んだことがある 読んだことはない

32人(86.5%) 5人(13.5%)

他人のソース・プログラムに刺激を受けたことがありますか?(複数解答可)

感心した 自分もすごいソー X・プログラムを レ指したいと思っ

刺激を受けたこと

ェない

その他

32人(86.5%) 12人(32.4%) 2人(5.4%)

1人(27%)

他人のソース・プログラムを自分のソース プログラムに反映させたことがありますか?

そっくり反映させ スことがある

一部を反映させた アとがある

反映させたことはない

15人(40,5%) 19人(51.4%) 3人(8.1%)

返却された2回目のレポートのコメントを読んだことがありますか?

ほぼ毎回読んだ 何回か読んだ

読んだ回数は1回か0回である

32人(86.5%) 3人(8.1%) 2人(5.4%)

2回目のレポートを書くときに自分のソース・プログラムを読み直すなどして改めて勉強にな 驍アとがありましたか?

あった なかった

27人(73.0%) 10人(27,0%)

Table 3:教務委員会が実施したアンケートの結果 この授業によって,あなたはこの教科に興味を持ちましたか

5

4

3 2 1

興味をもてた どちらとも言えない 興味をもてなかった

18人(40.9%) 12人(27.3%) 8人σ8.2%) 4人(9.1%) 2人(4.5%)

教官の黒板の使い方や書き方はわかりやすいものでしたか

5

4

3 2 1

わかりやすい ふつう わかりにくい

13人(29,5%) 17人(38.6%) 11人(25.0%) 2人(4。5%)

1人(23%)

この授業は各回心月に内容がまとまっていましたか

5

4

3

2

1

まとまっている どちらとも言えない まとまっていない

24人(55.8%) 12人(27.9%)

7人(163%)

0人(0%) 0人(0%)

あなたは,この科目を授業以外に週平均何時間勉強していましたか

5

4

3 2 1

3時間以上 2時問

1時間

30分

ほとんどしない

2人(45%) 13人(295%)

13人(29.5%) 3人(6.8%) 13人(29.5%)

この授業の内容をどの程度理解しましたか

5

4

3 2 1

よく理解した ふつう 理解しなかった

3人(6.8%) 9人(20.5%) 15人(34.1%) 11人(25.0%) 6人(13,6%)

(6)

生が30%から40%ほどいた恐れがある.この問題に ついても,学生個人個人に対して十分な指導を行っ て興味を喚起できる授業環境を準備できれば,いく

らか解消するのではないかと考えている.

4. むすび

 本稿では,平成12年度に津山高専情報工学科2年 生に対して実施した,Webページと返却するレポー トを利用して学生を一対一で指導する形式のプログ ラミングの授業方法を紹介し,授業アンケートの結

果をもとにこの授業法の効果と問題点について述べ た.既に述べたように,学生を一対一に指導する形 式の授業は学生に授業内容に関心を持たせるための 手段として可能性を持っていると考えられる.しか し,これを有効に活用するには人員の問題など困難 も多い,他にも有効かつ実施可能な手畏がないか今 後も考えていきたい.

参考文献

1>梶浦文夫:プレゼンを中心にしたプログラミング教育の実践,

 平成12年度情報処理教育研究集会講演論文集,(2000)79−82

参照

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