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ルーメン内繊維分解コンソーシャムにおける異種細菌間相互作用の解析

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2018年28

ルーメン内繊維分解コンソーシャムにおける異種細菌間相互作用の解析

生物資源科学専攻 家畜生産生物学講座 動物機能栄養学 村住侑毅

1.背景と目的

反芻家畜が摂取した植物繊維は、第一胃(ルーメン)内に共生する細菌により分解・発酵を受け、

宿主のエネルギー源となる。ルーメン内では、様々な細菌が協調的に繊維を分解する「繊維分解コ ンソーシャム」を形成することで繊維分解は円滑に進む。本研究室ではこれまでに繊維分解菌とし Fibrobacter succinogenes、非繊維分解菌としてSelenomonas ruminantiumおよび新規細菌U2 を繊維分解コンソーシャムの重要細菌として特定した。さらにこれら 3 菌種の分離株を用いた in

vitro共培養試験により、F. succinogenesはいずれの非繊維分解菌とも協調関係を構築し,繊維

分解率および各細菌の増殖は3菌共培養時に最大となることを確認している。RNA-Seqを用いた網 羅的な遺伝子発現解析により、3菌共培養時におけるF. succinogenesの全体的なタンパク質生産 の活性化が繊維分解促進につながったことが示唆されたが、F. succinogenesが活性化する要因は 明らかになっていない。そこで本研究では繊維分解コンソーシャムにおける異種間相互作用の解明、

特に非繊維分解細菌によってもたらされるF. succinogenesの活性化要因の探索を行った。

2.方法

イナワラを炭素源とした際の、Fibrobacter succinogenes S85株単独培養時と、F. succinogenes S85株、S. ruminantium S137株およびR-25株(グループU2分離株)の3菌共培養時におけるF.

succinogenes S85株の遺伝子発現データを解析に用いた。各遺伝子を代謝経路にマッピングし、

Gene Set Enrichment Analysisを行うことで、促進または抑制された代謝経路を特定した。その後

F. succinogenesの活性に影響すると考えられたイナワラ由来の糖類について単独培養により検証

した。すなわち、対数増殖中期にあるF. succinogenes S85株培養液にキシロース、キシロオリゴ 糖、アラビノース、スクロースまたはトレハロースを添加し、その後の増殖の変化をモニタリング した。

3.結果と考察

単独培養時と比較して3菌共培養時では、分岐鎖アミノ酸生合成に関わる遺伝子発現の低下がみ られた。分岐鎖アミノ酸の前駆体はピルビン酸であることから、3 菌共培養時にはエネルギー代謝 に使われるピルビン酸が増加する可能性が示唆された。土壌由来の繊維分解菌では繊維分解産物の 蓄積が分岐鎖アミノ酸の生合成を促進することが報告されており、F. succinogenes S85株におい ても単独培養時に蓄積する繊維分解産物により分岐鎖アミノ酸の生合成が促進された可能性が考 えられる。単独培養時における糖の添加試験では、キシロースの添加によってF. succiongenes S85 株の増殖が濃度依存的に抑制された。この結果からイナワラ分解で生じるキシロースが F.

succinogenesの活性を抑制することが示された。S. ruminantium S137株およびR-25株はともに キシロースを利用することから、両菌株のキシロース消費が繊維分解コンソーシャムにおける F.

succinogenesの活性化に貢献するものと考えられる。

参照

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