修士論文
お金をや りくりする力を育てる幼小期の金銭教育
三重大学大学院教育学研究科修士課程 教科教育専攻 ・社会科教育専修
208M O20 王 暁艶
提 出年月 日 2010(平成22年)2月15日
目 次
は じめ に
第1章 金銭教育 とは何か 第1節 金銭教育 の定義 と範 囲 第2節 金銭教育 の 目標 と重要性 第3節 小学生の金銭 にかかわ る実態 第2章 日本 の家庭 における金銭教育
第 1節 羽仁 もとこと友 の会 にお ける金銭教育 第 1項 羽仁 もとこの著作集 にお ける金銭教育 第2項 友 の会 に対す るイ ンタ ビュー
第 3項 婦 人之友社 が出版 した 「小学 生の こづか いち ょう」 の分析 第2節 現在 の子 どもに対す る金銭教育 の諸理論
第1項 金銭教 育 のおける各著作 か らの分析 第2項 あんび る氏 に対す るイ ンタ ビュー 第 3項 各著作 によ る 「お小遣 い帳」 の分析 第3章 日本 の幼稚 園、小学校 にお ける金銭教育
第 1節 幼稚 園、小学校 にお ける金銭教育 の現状 第1項 「幼稚 園教育要領」か らの分析 第2項 「小学校 学習指導要領解 説」 か らの分析 第2節 金銭教 育 にかかわ る学習指導 の例
第1項 幼稚 園 にお ける金銭教育の学習指導例 第2項 小学校 にお ける金銭教育 の学習指導例
・ ・ 3
第4章 中国 にお ける子 どもに対す る金銭教育へ の提言 ・・・・・・・・・・・ 43
第 1節 中国の小学 生 にかかわ る現状 43
第 2節 中国 にお ける子 どもに対す る金銭教育 につ いて の提言 ・・・・・・・・ 44 第 1項 家庭教育 にお ける金銭教 育 につ いての提言
第2項 学校 教育 にお ける金銭教 育 のカ リキ ュ ラム
終 わ りに ●●●●●●●●●
はじめに
現代の社会 にお いて、お金は生活 にとって欠かせないものである。そのため、 自分のお 金 を合理的に使 って、よ りよい生活 をす るべきである。 しか し、今の子 どもたちは、豊か な物 に囲まれて何不 自由な く生活 して、「落 し物をして も取 りに来ない」、「物を大切にしな い」、 「た くさんのお小遣 いをもらうが勤労の尊 さがわか らない」な どと言われ る。そのた め、子 どもは将来よ りよい生活 をできるため、幼中期か ら、お金の持つ価値や役割 を正 し
く捉えて活用 し、物やお金 を大切にする心を育てる金銭教育が必要になると考える。
日本では、昭和3年に、教育学者羽仁 もとこが 「羽仁 もとこ著作集 (家庭嵩)」で家庭教 育の中で金銭教育 をいか にす るかを書いている。また、昭和27年 に発足 している 「金融 広報 中央委員会」 という金銭教育 に関す る組織は昭和48年よ り 「金銭教育研究校」 を委 嘱 して、金銭教育 に関す る授業や活動を している。そ して、近年では、金銭教育が重視 さ れてきてお り、金銭教育 に関する各理論 も出てきた。そのうち、「ベ ッネセ」 という会社は 幼児 に対する金銭教育の絵本 も作っている。
一方、中国では、 「一人っ子政策」 によって、子 どもは家の 「小皇帝」 と考え られる。親 は どうして も子 どもに一番 いい物や多めのお小遣 いをあげているが、そのお小遣 いは どう やって使 うかは指示 しな い。そのため、子 どもは他人が持っているものは自分が必ず持つ、
あるいは、他人の ものよ りいい物がほ しいと言 う互 いに張 り合 う心理 になって しまう。だ か ら、筆者は 日本の金銭教育 に関する理論や経験 を参考 にして、中国における子 どもに対 す る金銭教育 に提言 した いと考える。
本論文では、幼稚園か ら小学校6年生までの子 どもを対象 として、お小遣 い教育を通 し て、子 どもがお金 をや りくりする力を育てる方法を研究する。論文の中では、 日本の小学 生の金銭 にかかわ る実態 を見て、各学者の理論 を分析す る、また、幼、小学校の学習指導 要領の内容 を見て、各組織が作 った金銭教育の指導例 を分析す る。そ して、中国における 幼稚園か ら小学校6年生の子 どもに対す る金銭教育はいかにす るのか筆者が提言 してみた い。
第 1章 金銭教育 とは何か 第 1節 金銭教育 の定義 と範囲
現代の社会 にお いては、人は生活 していく上で、お金 とは切って も切れない関係 にある。
「お金 を使 う」、 「お金 をためる」、 「働 いてお金 を得 る」、 「お金 を借 りる」な ど、私た ちは さまざまな形でお金 とかかわって いる。つま り、お金がな いと生活ができな いと言える。
また、お金があって も、正 しく使 えな いことによって、多重債務 に陥って 自己破産 にな る な どの恐れがある。そのため、子 どもに小さい時か ら、正 しい金銭感覚 を養 って、合理的 な金銭の使 い方 を身につ けることが大事である。近年、各国は、金銭教育を子 どもの基礎 教育の一環 として、学校教育や家庭教育の中に盛 り込んでいる。
日本では金銭教育 を扱 う機 関として、金融広報 中央委員会が存在 している。当機 関は金 銭教育 について、以下のように述べている1。
金銭教育は、健全な金銭感覚 を養 い、 ものやお金 を大切 にし、資源の無駄遣 いを避 ける 態度 を身に付 けさせ、それ を通 じて 自立 して生きることができ、社会形成者 としてふ さわ
金銭教育の範囲 としては、 さまざまな学者が意見 を述べている。 「子供の金銭教育 を考 える会」の代表者 あんびるえっ こは 「『金銭教育』を、 『金銭』を介する行為や考え方全 般 についての教育 と考 えています」 「金銭教育は勿論、道徳教育、環境教育、消費者教育、
起業家教育、投資教育な どさまざまな視点か ら 『お金教育』を、考えていきたい。」2と述 べて いる。
一方、筆者は金銭教育の範囲については経済教育学者の山根栄次の意見 に賛成 している。
山根 は 『金融教育のマニ フェス ト』という本で、子 どもに対する金銭教育について以下の よ うに述べている3。
子 どもの金銭の扱 い全般 について、すなわち、貯蓄をす ることばか りでな く、お小遣 い をもらうこと、お小遣 いを使 うこと、お小遣 い帳をつけること、買い物をすること等 につ
ここでは、筆者 は子 どもに対す る金銭教育 について、子 どものお小遣 いを中心 として、
「お小遣 いを与え始める年齢」、 「お小遣 いを与える期間 と金額」、 「お小遣 いの使 い道」、
「貯金」、 「祖父母か らのお金」、 「人のための寄付や募金」、 「お小遣 いとお手伝 いの 関係」 という7つの問題か ら検討 して、幼少期 の子 どもにおけるお金 をや りくりす る力を 育てることを考えたい。
第2節 金銭教育の目標 と重要性
金融広報 中央委員会が作 った 「学校 における金銭教育の進め方」の中で、金銭教育の 目 標は、次のよ うになっている4。
1.金銭 を活用する態度 に関 して (1)健全な金銭感覚の育成
(2) ものや資源を大切にする心 を育成 2.金銭 と生活 に関して
(1)健全な消費生活の能力の育成 (2)生活設計能力の育成
3.金銭 と社会のかかわ りに関 して (1)金銭の機能の理解
金銭教育の機能は主 として次の 4つです。
(∋私たちの社会では、金銭 を仲立ちに して、多 くの物やサー ビスを購入 します。
金銭は、支払 い手段であ り交換手段です。ほとん どの物やサー ビス と交換でき るのです。
②金銭は、物やサービスの価値 を決める物差 しになっています。
③物やサー ビスは貯めてお くことがむずか しいのですが、金銭は貯 めてお くこと ができ、利息が付いて増えていきます。
④土地や建物のように財産 とは違って、す ぐに使えることも金銭の特徴です。
(2)健全な勤労観 と感謝の気持ちの育成 (3)貯蓄の理解 と貯蓄する習慣の育成 4.人間形成 における金銭の活用 に関 して
(1)保護者は子 どものモデル〜 しつけか ら人間形成に向けて〜
(2)社会連帯感の育成 と未来社会の担 い手の育成
子 どもが初めてお金 を使 う時には、お金 に対す る深い認識 を持っていない。そのため、
物や資源 を大切にする心や、健全な勤労感 と感謝の気持ちを育成するには、最初か ら金銭 の機能 を理解 させ ることが必要だ と考える。そ して、子 どものお金 に対す る興味が増える とともに、正 しい金銭感覚を養 った り、貯蓄 を した りするといった習慣 を育成することが 理想的だ と考える。だか ら、以上の 目標 の通 り、金銭教育に関する授業はかな り必要だ と 考 える。
第3節 小学 生 の金 銭 にか か わ る実 態
平成17年度 に 「マネ ー情報 知 る ぼ る と 金 融広 報委 員 会 」 は、 児 童 ・生徒 のお 金 に まつ わ る 日常 生活 な らび に、 お金 に関す る意識 や金 融 経済 に関す る基 本 的な 知識 理解 の実 態 を把握 す るた め、 ア ンケー ト調 査 を実 施 した 。そ の 中で小学 生 に対 す るお 小遣 い につ い て 、 以下 のよ うな報告 され て い る。
当調査 で は まず 、 小学 生 に対 す る 「お 小遣 いの有 無」、 「も らう相 手」の状況 を調 べ て お り、 以下 のよ うな結 果 が でて きた 。 (図 1と2)
(「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調査 (平成17年度)」を参照、筆者作成)
(「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調査 (平成17年度)」を参照、筆者作成)
この2つ の図 を見 ると、小学 生 は低学年 の子 どもさえ、66・4%以上 の子がお小遣 いを も ら って いる。 高学年 にな る と、人数が 75・9%に増 えて いる。 また、お小遣 いを 「親以外 、祖 父母 か らも らう人」 は、小学 生全体 の平均は約 41・6%であって、特 に低学年 の子 どもでは
「祖父母 か らお小遣 いを も らう人」 は50%近 くにな って いる。
次 に 「お 小遣 いの もらい方」 はア ンケー トよ り、以下 の結果 にな って いる。 (図3)
図3 お小遣 いの もらい方
(「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調査 (平成17年度)」よ り)
この図 を見 る と学年が上 が る につれて、子 どもがお小遣 いをもらう方法が大 き く変 わ っ て いる。最初 の低学年 は 「とき どき もらう」が大 き く占めていて、高学年 にな る と、 「月に 1回 もらう」 とい う子 どもが大勢 にな っている。
また、学 年 によ って、お 小遣 いを もらう金額 も違 う。表 で見る と以下 のよ うにな って い る。 (表 1)
表1 小学生 のお小遣 いの金額 (「子 どもの暮 らしとお金 に関する調査 (平成17年度)」より) 最頻値 最 も多 い金額帯 次 に多 い金額帯 平均値 中央値
月 に1
回 低学年 500円 500‑(24.700円4%) 1000‑(16.15001%)円 901円 500円 中学年 500円 500‑(31.700円9%) 1000‑(22.15007%)円 812円 500円
高学年 1000円 1000‑(34.15000%)円 500‑(32.700円9%) 1122円 1000円
と きど
き 低学年中学年 110000円円 1100‑00‑((24.32.2002003%)4%)円円 1000‑500‑((114.7.715%)1%)05000円円 857604円円 200300円円
(注)最頻 値 は最 も多 く回答 された値○ 中央値 は回答金額 を上位 か ら下位 に並べた場合 に
以上 の表 か ら、 月 に1回お小遣 いを も らう子 どもの最頻値 は低学年 と中学年が 500円で あ り、高学年 にな ると 1000円であって、低、 中学年 の倍 である。一方、 「とき どき にお小 遣 いを も らう」子 どもは低 、 中学年 は100円で、高学年 は 1000円であ り、10倍 ほ どにな って いた。
そ して、子 どもがお小遣 いを も らって、何 に使 ったか を調べ る と以下 のよ うにな って い た。 (表2と図4)
表2 小学生 のお小遣 いの使 い方 (複数 回答)
小学 生 飲食物 (お菓子や ノー ドや まんが 本、雑誌 親へのプ CD、M 友人 との外
ジュースなど) 鉛筆など レゼン ト Dの購入 食、軽食代
低学年 42.4 29. 7 23.3 15. 1 21.6
中学年 55. 3 34. 7 44.8 23. 9 33. 2 8. 5
(「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調査 (平成17年度)」よ り抜粋) 図4 小学生のお小遣 いの使 い方 (表2よ り筆者作成)
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以上の調査結果 を見ると、 日常生活 の中で、子 どものお小遣 いは、 「飲食物 (お菓子やジ ュースな ど)」と 「まんが」 を買 う金額がかな り多 く、特 に高学年の学生は6割以上使って いる ことがわかる。逆 に、 「ノー トや鉛筆な ど」 と 「本や雑誌な ど」の学習のために使 う金 額 は若干少な く、特 に 「ノー トや鉛筆な ど」は、小学生の学年別では大きな変化がな い こ とがわかる。
一方、 「お小遣 い」 という言葉 を、辞書で調べると 「雑費に当てる金銭。 また、 自由に使 える私用の金銭。」5とされて いる。だか ら、子 どもにとっては、お小遣 いとは、 日常生宿 で もらうお金だけではな く、お年玉 もお小遣 いの一部分 と考え られて いる。平成17年度 に マネー情報 知るぼると 金融広報 中央委員会の 「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調 査」 によると、 「小学生に対す るお年玉 をもらう相手」の調査結果は、以下の図 (図5)の よ うになっている。
図5 小学生に対するお年玉をもらう相手 (複数回答)
(「子 どもの暮 らしとお金に関する調査 (平成17年度)」を参照、筆者作成)
この図を見 ると、お年玉は小学生のほ とん どが もらっている ことがわかる。特 に、祖父 母 か らもらえる子 どもは、100%近 くになっていた ことがわかる。また、子 どものお年玉の 金額は、当調査で以下の図 (図6)のよ うに報告 されている。
図6 お年玉 の金額
< 小 学生低学年>
6.2¢o
霊1.000円 くらい
雷2.000円 くらい
■3.000円 くらい 雷5.000円 くらい 雷10.000円 くらい 雷無回答
<小学生中学年 >
雷0‑一999円
義1.000‑2,999円
・
■3.000‑i.999円 義,5.000‑9.999円 義10.000‑29.999円 雷30.000円以上 l無回答
< 小 学 生 高 学 年 >
嘉0‑999円 Il、000‑2,.999円 }3.000‑4,999円 I5.000‑凱999円 I10.000‑i29.999円 雷30,000円以上
】無回答
(「子 どもの暮 らしとお金 に関す る調査 (平成17年度)」を参照、筆者作成)
この図か ら見 る と、子 どものお年玉 の金額 は低学年 で約 10,000円 もらえる子 どもが 58.3%を占めてお り、中、高学年 には10,000‑29,999円をもらう人が半分以上であ り、30,000 円以上 もらう人 も含めると、8割 ぐらいになっていた ことがわかる。このような金額は、子 どもにとってはかな りの大金 と考え られ る。
そ して、 このよ うな大金 を子 どもが何 に使 っているのかを調べると、以下の結果 になっ ている。
図7 お年玉の扱 い方
(「子 どもの暮 らしとお金に関する調査 (平成17年度)」を参照、筆者作成)
ここでは小学生の低学年 の数値がなかったが、中、高学年の状況 を見 ると、小学生 にと って、お年玉の使 い方は半分以上の子 どもが貯金 していることがわかる。
以上の調査結果か ら、筆者は現在 の子 どものお小遣 いについて、3つの問題点が存在 し ていると考える。
① 今の小学 生は学年が上がるにつれて、お小遣 いをもらう人が増えて いる。 しか し、お小 遣 いをもらう方法 として計画的にもらう人が少ない。特 に低学年の子 どもは、何か ものを 買 う時 にお金 をもらう人が多 いと考え られ る。そ うす ると、子 どもはいつ も自分が必要な 時 にお金 をもらえるので、お金は有限な ものであることを感 じることができないと考える。
② 日常生活 のお小遣 いとお年玉 をもらう相手 として、祖父母か らもらう人が多 い。祖父母 は子 どもをかわいがるので、子 どもがす る要求 も満たそ うす る。そ うす ると、子 どもは突 然お小遣 いをもらうので、何 も計画せず、無駄に使 う可能性が高 くなる。
③子 どものお小遣 いの使 い方 を見 ると、子 どもはお菓子やジュースな ど飲食物 とまんがな どを買 うために、お小遣 いを使 う人が多 くなって いる。だか ら、定期 的に子 どもにお小遣 いを渡 して、ある程度選択肢 を考 えさせ、 もっ と必要的な物 を使わせて、子 どもに自分 の
お金 は計画 的 に使 うことは大事だ と考 える。
したが って、子 どもは将 来、お金 を合理 的 に利用 して、よ りよ く生活 をす るため、 小 さ い頃か ら、金銭教育 によって、正 しい金銭感覚 を養 って いくことが重要である。
1 金融広報 中央委員会 「金融教育 プ ログ ラム」 平成19年2月 P5
2 「子供 のお金教 育 を考 える会」 www.kids‑money.jp
こう 山根 栄次 「金融教育のマニ フェス ト」 明治図書 2006年3月 P16
4 金融広報 中央委員会 「学校教育 における金銭教育 の進 め方」 P4 tj広辞苑 第5版
第 2章 日本の家庭 における金銭教育 第 1節 羽仁 もとこと友 の会 にお ける金銭教育
家庭教育は子 どもの成長 に欠かせな い教育である。家庭教育の中で金銭教育 も子 どもの 成長 に必要だ と考え られ る。昭和3年、 日本の家庭教育 における最 も有名な婦人羽仁 もと こは、家庭教育の中で 「子供 に金銭 につ いての教育をほ どこす ことは、非常 に大切な こと です。」1と述べている。
また、家庭 における金銭教育の実践方法 につ いて、羽仁 もとこはイギ リスのホールス夫 人の話 を引用 して、以下のように述べて いる2。
金銭教育は幼 い時か らは じめた いと思 います。まず私 は子供が満四歳 にな りました ら、
一週 ことに一時に四銭の小遣 いを与えて います。 (中略) そ うしてその うち一銭 を貯 金 させ、一銭 を日曜学校 のために、一銭 を貧 しい人には どこす ようにすすめ、残る一銭 を 自分の好む ままに費わせ るのです。 (中略) この四銭 を与えると同時に、一冊の小遣 い帳を用意 して、ちゃん と出入 を しる してお くのです。そ うして この帳面は母親が大切 に 保存 しておきます。貯金 をする時は、面倒で も母親が子供 をつれて郵便局にいき、子供の
目の前で貯金 してや ります。
子供が五歳 になった ら、一週 に五銭ずつ与えます。そ うして三銭は前の通 りにな し、残 る二銭は 自分が随意 に使 うことが 出来 るのです。六歳 になると一週六銭 にして、三銭 を自 分 のために、七歳 の ときは一週四銭の小遣 いになるわけです。子供が 自分の一銭の小遣 い を使 うことを欲 しいな い場合 には、子供の望み にまかせて貯金 しておき、十銭 とか二十銭 く らいの金額 に達 した ときに相 当なお もちゃで も買 うようにす るの もよいと思 います。子 供が学齢 に達 しま した ら、一週間 に与える額 を多 くして、子供 自身に貯金 させ ます。そ う して学校用具、た とえば筆紙鉛筆な どの類 を子供の小遣 いのうちか ら買わせ るようにす る と、 自然 ものを大切に扱 うようになると思 います。
小遣 い帳は、‑ カ年 ぐらい使 うつ もりで、小 さな帳面 にしておき、お正月とかその子供 の誕生 日とかいうよ うな 日に、新 しい帳面 にあ らたに書きは じめます。そ して今 までの古 い帳面は母親が大切 に保存 しておきます。それは子供が 自分の手にあってたびたび見つけ て いると、飽きて粗末 にす るか らで ございます。
一時 にあま り多 くの金銭 を子供 に与えるのは、害があって も益 のな いことと思 います。
(中略) もしも子供が何か特別 に買いた いもののあるときは、子供相応の働 きをさせてな にほ どかの金銭 を与えます。子供で も使 いようによってはなかなか役 に立つ もので ござい ます。 しか し子供 に金銭 を得るみちを教えるよ りも、適当に使用 をす る道 を教えるほうが、
はるか にまさっているということを忘れてはな りません。
羽仁 もとこの子 どもの金銭教育 についての思想を筆者は以下のように考える。
まず、羽仁 もとこはお小遣 いを 4歳 ごろか ら週一回渡 した ら一番 よいと考え、子 どもの
成長 に伴って、子 どもに渡すお小遣 いの金額 も増やすべきと考 えている。 これは、羽仁 も とこの時代では正 しい考 え方か もしれな いが、現代 において どうなるかについて、筆者は また考える必要があると考える。
また、お小遣 いの使 い道 として、4つの部分 に分けて子 どもに教えるべきと考えた。
つ には貯金 させ る こと。二つには 日曜学校のため使 うこと。三つには貧 しい人にはどこす こと。四つ には 自分の好むままに費わせ ること。羽仁 もとこが書いた このお小遣 いの使 い かたは現在で もいい方法だ と考える。
次 に、お小遣 い帳について、羽仁 もとこは親が特別な 日を選 んで、その 日か ら子 どもに お小遣 い帳 を書かせ ること。また、お小遣 い帳の帳面 としては、 1年間の内容を書ける帳 面 を用意 して、 1年終わった ら、新 しい帳面を変えて、以前の古 い帳面は子 どもに何度 も 見せ るように母親大切に保存する。 ここで、筆者は古 い帳面を子 どもに見せ ることに意味 があると考える。
最後 に、子 どもは特別 に買いた いものがある時について、羽仁 もとこは子供相応の働き をさせてな にほ どかの金銭 を与えるという意見 を述べている。 こういう考え方は現在 の家 庭教育で も使えると筆者は考える。
一方、羽仁 もとこの著作 は数十年前に書かれているので、現在の家庭におけるお小遣 い 教育は どうなっているかについて、筆者はいくつかの質問を作って、2009年6月23日10 時に羽仁 もとこの思想 に賛同した女性たちによって生まれた 「友の会」の分会 「津友の会」
の家計係の担当者見並栄理氏 にイ ンタビュー した。見並氏の意見 をまとめた内容は、以下 の とお りである。
まず、現在の家庭 におけるお小遣 い教育の傾向について、見並氏は現在 には、お家 によ って、お小遣 いを渡す期 間 もまった く違 う。毎月渡す家があるが、子 どもがほ しい時 に渡 す家 も少ないとは言えないという意見 を持っていた。
また、子 どものお小遣 いの使 い方 につ いて、見並氏は現在 の友の会は羽仁 もとこの思想 の上で子 どもな りによ く考えて、使 い方を考えていると話 した。
次 に、羽仁 もとこの子 どもにおけるお小遣 い教育の思想 につ いて、見並氏は現在の社会 で も羽仁 もとこの思想は有効だ と考え、子 どもにお小遣 いを定期的に渡 し、お小遣 い帳を 付 けさせ、小さい ころか ら、計画的にお金を使かせ る ことはかな り必要だ という観点を持 っている。 また、友の会は羽仁 もとこの思想に従って、子 どもにお手伝い (た とえば、̲窓 を拭 く、お風呂の掃除) をした ら、必ず労働 に応 じてお金 を与えるということをやってい る。
最後 に、現在の家庭 におけるお小遣 い教育の足 りない部分 とこの足 りない部分の解決方 法 について、筆者 は見並氏 に訪ねた。現在の家庭 におけるお小遣 い教育の中で、 もっとも 大切な部分はお小遣 いの金額 と使 い道だ と見並氏は話 した。お小遣 いは親が働いて、 もら った給料の一部分であるか ら、子 どもにお小遣 いを使 う時に親の勤労 さを知 らせなけれ ば な らない。そ うす ると、子 どもはお小遣 いを大事 に使 って、正 しい使 い道 にな りやす い。
一方、お小遣 いの金額 としては、時代 によって金額 も違 う。羽仁 もとこの時代 には、子 ど もに週4銭 を渡 して、成長 に伴って、一銭ずつに増え した ら、いいか もしれないが、80年 代の時は、小学校1年生か ら100円に渡 して も、大丈夫か もしれない。 しか し、現在 の 子 どもは学校以外 に、 自分が興味 を持っている ことを実行す るため、道具な ども買わな け れ ばな らな い。そ して、現在 のお小遣 いの基準 は具体 的な金額 を決めるよ り、親は家 の収 入状況 と自分の子 どもの様子 と二つの面 を合わせって考 えて、 自分の家庭 にあう金額 を決 めて、定期的に子 どもに渡 した ら、一番 よいと見並氏 は考 えた。
羽仁 もとこの著作 を読み、見並氏の話 を聞いて、筆者は現在 の 日本の家庭 における金銭 教育 につ いて、以下のような意見 を持った。
・見並氏 の話 によると、現在 の家庭では、子 どもが何か買いた い時にお小遣 いを渡す家が 多 い。む しろ、現在多 くの家庭では、子 どもにお小遣 いを渡すのが無計画である。 これ を見 ると、おそ らく、羽仁 もとこの時代は学者たちの間では子 どものお小遣 い教育が存 在 したが、家庭 においては、広 まっていなかっただろう。
・子 どもの金銭教育を始める年齢 について、羽仁 もとこは 4歳か ら始めるといい時期 と言 ったが、筆者は子 どもの個性 によって、特定 の年齢か ら金銭教育を始めるよ り、 自分の 子 どもの様子 を観察 して、例えば、買 い物 に行 く時に、子 どもがお金 をレジに出 したい と言 うお金への興 味が増える時期か ら、子 どもに金銭教育を始める時期 と考 えた ら、い いと考 える。
・子 どものお小遣 いの使 い道 として、羽仁 もとこの意見 は現在で も重要な考えだ と考 える。
一方、現在 の子 どもは特別 には しいものを買 いたい時が多 いと考え、その時 に、子 ども ができる仕事 をさせて、大人のように毎月 (一定期間)に子 どもに 「給料」を渡 した ら、
有効な方法だ と考 える。
・子 どもの金銭教育の中で、お小遣 いの利用 も重要な部分だ と考える。子 どもはお小遣 い 帳 を書 いて、 自分のお金 をどうやって使 ったのかを自分で何度 も確認できるか ら、無駄 使 いを有効 的に防止できると考 える。 また、お小遣 い帳の帳面 として、見並氏か ら紹介 して もらった 「友 の会」が作ったかわ いい帳面 (以下の図のよ うに)は、子 どもにとっ て、使 いやす い帳面 と考える。
第2項 友 の会 に対す るイ ンタ ビュー
2009年7月24日朝10時頃 に筆者 は 「友 の会」の分会 「津友 の会」が作 った子育て の勉 強会 に参加 した。そ こで子 どものお小遣 いにつ いて、筆者はいくつかの質 問を作 って、
母親 た ち6人 にイ ンタ ビュー した。 (その6人は以下 にABCDEFと言 う) 1.今、子 どもにお小遣 いを渡 して いるか どうか につ いて、
A :は い、渡 して ます。
B:(子 ども二 人 いる) はい。
C :は い、渡 して ます。
D :(子 どもの)成績がよか った ら、ほ しいものを買ってあげる。
E :(子 どもは)現在小学校4年 生で、ほ しいものを買ってあげて、中学校 に入 ってか ら、
(お小遣 いの ことを)考 える。
F :お小遣 いで どこまで をカバ ー し、 どこまで親がだすか という基準がわか らな くて、
迷 って いるです。学校 で使 う消 しゴム、 ノー トとかは親が払 うに して も、 自分 では しいか わ いいフ アシガー ム、 シャツペ ン とか、 どこまで買 うのが決 めてな くて、 けっ こうだ らだ らとして いる。ただ、できた ら、 1か月 に決 まった額 を年齢 に応 じて与える と思 います。」 と答 えた。
2.お小遣 いを渡す期 間 と金額 は A ..1ケ月1回、400円です○
B :1ケ月1回、300円と50円です○
3.子 どもにお小遣 いを渡 し始 める時期 は A :4年 生か ら始 め ま した。
B :(上 の子)2年生 ぐらいか らで、 (下 の子)一緒 に。 (下 に子は)幼稚園か らです、金 額 は違 うけ ど。一緒 にあげるよ うに (します)。
C :幼稚 園の時か ら、小学生にな った ら金額はち ょっ と増えました。
4.お小遣 いの使 い方 として、毎 月貯金 して いますか A :して いる と思 います○
B :は い、今の ごろは貯金箱 に入れて、ず つ とためて ます○
C ..は い、貯金 して います○毎 月の残 る分 を貯金 します○
5 . お小遣 い帳 をつけて いるか につ いて
A :付 けて ますo (友 の会 のお小遣 い帳) を使 ってな いですが、 自分 の余 って る手帳みた いの もの に線 を引 いて、 日付 と使 った ものの品 目ですね、 と金額、それがわ か るよ うな形
B :ち ょっ と今、 あ らへ んかな○付 けた り付 けや んた り (します)○
6.家 で はお手伝 いに応 じて、お 小遣 いを渡す という方法 を して いるか A :家 で は して いませ ん○
B :や ってた時 はあ ります け ど、今 はや つてな いけ ど、ただ いい と思 います○
7.祖 父母 か ら多 めのお 小遣 いを も らった時 には どうす るか につ いて
A :家 はお じいち ゃん、お ばあち ゃんが遠 くに住 んでですね 。です か ら、年 に 1回 しか 会 えな いです 。 です か ら、そ の時 に、千 円 とか少 し普段 のお小遣 いよ りはた くさんお金 を も らうんですね 。 で も、お 小遣 いの使 い道 として は、普段 のお小遣 い と同 じ使 い方 です。
B :お じいちゃん、お ばあちゃんか らも らって いませ ん。
C:あ ま りも らって いませ ん。 も しあった ら、貯金 します 。
以 上 の意見 をま とめて、筆 者 は以下 のよ うに考 えた。
まず 、現在 の家庭 はD氏 とE氏 のよ うに、子 どもに計画 的 にお小遣 いを渡す のではな く、
何 か欲 しい時 に買 って あげ る家 は少 な い とは言 えな い。
また、A.B.C氏 のよ うにお 小遣 いを定期 的 に渡す家 で も、お小遣 いの使 い道 として、
羽仁氏 が書 いた よ うな 4つの部分 をわ けて、子 どもに教 え る家 は全 くなか った。 自分 の家 の状況 を考 えて、適 当 に子 どもにお小遣 いを渡 して、何 に使 うのか は全 く重視 しな い家庭 が多 い と考 え られ る。
一 方 、F氏 のよ うに、子 どものお 小遣 いにつ いて、様 々な 問題 が 目の前 に迫 って いるた め、そ の間題 を早 く解 決 した い人 が最 近 多 い。だか ら、子 どもにお 小遣 いを渡す ことを通
して 、子 どもの金銭教 育 を行 う必 要 が あ る と考 え られ る。
第3項 婦人之友社 が 出版 した 「小学生 の こづか いち ょう」 の分析
婦 人之友社 が 出版 した 「小学 生 の こづ か いち ょう」:うは 「友 の会」の金銭教育 の内容 に従 って作 ったお 小遣 い帳で あ る。帳面 はかわ いい絵柄 (パ ンダ、タコ、イ ヌ)3種 類 を作 って、
子 どもが興 味 を持つ表紙 を作 って いる。 また、内容 としては、 「は じめ に」、 「つ け方」、 「よ さん をた て ま しょう」、 「収支表」、 「ぜ んぶの ま とめ」 と 「1年 間の感想」 とい う6つの部分 を構 成 して いる。具体 的 に分析す る と、以下 のよ うにな って いる。
1、 「小学 生の こづか いち ょう」 の最初 のページ に 「お こづか いをいただ いた とき 何 か に使 った とき そ の 日の うちにつ け ま しょう」というお小遣 い帳 の役割 を説 明 して いる。
2、 「は じめ に」 の と ころを三 つ の部 分 に分 けて いる。 「小学校へ い くよ うにな った ら、
えんぴつ、け しゴムな ど、 自分で使 うものは自分で買 うように しましょう」 というお小遣 い帳を付ける範囲を説明 して、「さいしょは、買 うたびに、お うちのかたか らお金をいただ いて、 こづかいち ょうにつけるだけで もよいです。そのうち、きまったが くのお こづかい を1か月ごとにいただいて、 自分で考えて使 います。」 というお小遣 い帳のつけ方を説明 し ている。最後 に 「ほんとうに必要な ものか、よく考えてか ら買うこと、ものを大切にして、
長 もちさせること」 というお こづかいをうまく利用す る意味 も説明 している。
3、「つけ方」についてはお小遣 い帳のつけ方を詳 しく説明 している。見本は以下 (図8)
のようになっている。
2
月伝 こ と が ら l 入 金 出 金 いまあるお金
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350L
前 月 の の こ り J
ち告=つへ針 目 ぎ00亨l
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(図8 友の会 「小学生のお こづかいちょう」 婦人之友社)
この図を見 ると、 「ことが ら」の部分は範囲が広 く、学習のための 「シール」 と 「絵の具 (赤 と斉)」、食べ物の 「いたチ ョコ」、人のための 「プレゼ ン ト」 と祖父母か らの大金な ど 全部含 まれている。 どころか、 この図の一番上 に 「前月のの こり」 も書いて、子 どもに前 月の分 もまとめ られるか ら、かな り意味があると考える。一方、 この図の最後 に、 「ちょ金 ぽ こへ」がある。筆者は この‑か月の残った金額 を貯金箱 に入れると理解す ると、 これは 羽仁氏が書いたお小遣 いの使 い道 と合わないと考えた。
4、 「よさんをたてましょう」 について、 これ も 「よさん」の見本 (図9)である。 「こ どが ら」 としては、「今月のお こづかい」、 「べんきょうのために」、 「人のために」、「あそび のために」、 「そのほか」、 「ちょきん」 という内容 を構成す る。子 どもが毎月にお小遣 いを 使 う前に、よ くお小遣 いの金額 を考えて、合理的に配分すると正 しい金銭感覚を養 いやす
いと考える。
よさん 一
:E‑了.‑占..hR:..6 よ さ∴ん L3.つ.さ い.
今月のおこづかい
一 一 ̲ ̲ ̲ . EDO
I写O ̲ ̲ 0
ぺんきようのために
l F O ‑a‑り8
ひとのために 一oo
再
̲豆あそぴのために tFロー̲̲ 3
7 ∫
そのほか チ
̲ Q 0
ちょきん
FO ̲ ̲ ̲ ̲ I ?
(図9 友の会 「小学生のお こづかいち ょう」 婦人之友社)
5、お こづかい帳の帳面は月を単位 として、「日、ことが ら、入金、出金、いまあるお金」、
「よさん」 と 「まとめ」 を構成 した。一方、羽仁氏が書 いたお こづか いを渡す期間は週 こ とであるが、多 くの家庭は月の単位 として与えているか ら、現在、 「友の会」は、 このお小 遣 い帳 を使えるよ うに月単位 としての帳面 を作っている。
6、1年 を終わってか ら、「ぜんぶのまとめ」 として、毎 月の 「入金」、「出金」、「貯きん」
をもう一回チ ェックして、「1年間の感想」 を書 くと、 自分の1年間のお小遣 いの利用状況 を反省できると考える。 これは羽仁氏が書 いた4 「それ (古 い帳面)は子供に自分の手 にあ ってたびたび見つけていると、飽きて粗末 にするか らで ございます。」 という意見が合 うと 考える。
第2節 現在 の子 どもに対す る金銭教育の諸理論 第 1項 金銭教育 における各著作か らの分析
最近、子 どもに対す る金銭教育が注 目され、 さまざまな学者や教育機関は金銭教育 に関 す る本 を書 いている。そ の中で、筆者が読んだのは榊原節子氏 の 「わが子が成功す るお金 教育」、岩下桂子氏 の 「お こづかい トレーニ ング」、八木陽子氏の 「6歳か らのお金入門」、
子育てグッズ&ライ フ研 究会が出版 した 「お金 の しつ けと子 どもの自立」 という5つの本
である。筆者は 自分の研究に関する問題 を7つ分けて、5人の学者の意見 をまとめた。
1.お小遣 いをもらう期間と金額
榊原氏 :「小遣 いの額は どの部分 までを小遣 いでカバーするかでまったく違 って くるのです が、参考 まで に日本の子 どもたちのもらっている小遣 いの額 をみ ると、次のよ う にな ります。小学校 1‑2年 965円 小学校3‑4年 1164円 小学校5‑6 年 1320円 中学校 2555円 高校生 6200円 (月平均 2004年 日本銀 行金融広報中央委員会調査)」 I‑1
岩下氏 :「(前略)そ こで、子 どもに与えるお こづかいとして、岩下式お こづか いが編み出 した金額は、(毎月)ズバ リ 「年齢×400円」。た とえば小学校1年生だ と、6(歳)
×400(円)‑2,400円。「ちょっと多すぎでは ?」とびっくりするか もしれ ません が、服にお菓子 に文房具 ももちろん、ぜんぶそ こか らとお もえば、 どうして、 ど うして。」6
八木氏 :「(前略)大切な ことは、お こづかいで何のお金を任せ るかを事前 に決めて、その 出費を想定することです。まず、1ケ月にどんな ものが子 どものお金 にかかってい るか大まかでいいので把握 して、その後、何 を子供の裁量 に任せ るのかを決める とよいで しょう。」7
子育てグッズ&ライフ研究会 :「定額制は、お こづかいを計画的に使 う トレーニングにな り ます。小銭 を毎 日渡すのは、その意味でもあま り望 ましくあ りません。とはいえ、
小 さいうちは時間の感覚がないので、つぎのお こづかい日まで待てない こともで て くるで しょう。必要な ときに手持ちがな く、結局親が出 して しまうことにな ら ないためにも、幼稚園か ら低学年のうちは週単位、それ以上は 1か月単位な ど、
そ の子の年齢や発達、生活様式 に見合った期間 と金額 を設定 しましょう。」 「お こ づかいをいくら与えるべきかの 目安は、お こづかいを何 に使 うか によって大き く 異なってきます。大切なのは、 「ほ しいモノ」だけではな く、 「必要なモ ノ」が買 える金額 にすることです。」 肖
2.お小遣 いの使 い道
岩下氏 :「人は暮 らしていくとき、 どんな ものにお金を使っているのかを考えてみると、ふ たつに分 け られ るのがわか ります。そのふたつ とは、 「欲 しい物」(W ants) と 「必要な物」 (N eeds)。 (中略)学校 にまつわるものは、子 どもにとってま さにこの 「必要な物」 にあ ります。 とはいって も、 ノー トな どの文房具類な らお こづかいでまかなえますが、学校指定の書道セ ッ トや絵の具セ ッ トともなれば、
金額 もかさみ、お こづかいでは負担 も大 !そ こで岩下式 こづかいでは、 こうした
道具の代金は、子 どもと親の折半に。無理な く実現できるよ うにルール を作るこ と一一 これが長続きさせ るコツですか ら。」9
八木氏 :「「ニーズ」&「ウォンツ」 を区別 して使 い道 を決める。 (中略)ニーズは必要な も の。ウォンツは欲 しいもの。お こづかいでは、まず、ニーズを最優先す る習慣 を つけましょう。ウォンツの中か ら何を購入す るか工夫 した り、試行錯誤すること によって、上手にお金 を使 う練習ができます。」1()
子育てグッズ&ライフ研究会 :「お こづかいを何 に使わせるかは、その金額や与え方を決め るうえで重要です。 どの程度 までお金の管理 を任せ るかは、 こどもの年齢や発達 状況、家庭の方針 によって異な りますが、大切なのは、ルール をしっか りと決め てお くことです。」日
3.貯金 について
榊原氏 :「小遣 いの額が決 まった ら可能な限 り、それ に貯金額を上乗せ して渡すのがコツで す。つま り、必要 と思われ る額 プラス貯金分 を正式の小遣 いの額 にするのです。
そ して手 どもには小遣 いをもらった らまず、貯金するように指導 します。(中略) 貯 めるにあたっては 「何のための貯金か」 をはっき りさせておいたほうが、モチ ベーションがあが ります。楽 しく我慢できます し、頑張れ ます。「自分のコンピュ ーターを買う」「ドレスを買う」「プロ野球の試合を見 に行 く」。何で も今 自分のい ちばんや りたいことを目標 にさせ ます。」12
岩下氏 :「毎月お こづかいをもらった ら、す ぐに一定額を貯金にあてます。 もちろん、いく らを貯金 にあてるかはその子の自由。わが家では これ を 「夢貯金」 と呼んで、将 来の夢 を実現 させ るために貯めるものと話 しています。」1こう
八木氏 :「「貯金」は少 し貯めて、大きな ものを買うときやいざというときのためのおかね です。これに手を付け始めた ら、今月はちょっとピンチ !と覚えておきましょう。
何か高価な もので欲 しい物があった ら、 ここの予算 を多めに組むな どしてみまし ょう。」14
子育てグッズ&ライ フ研究会 :「欲 しいモ ノが手持ちのお金で買えな い場合、 「お金 を貯め て買 う」ことを子 どもに教えるいい機会です。「○○を買 う」 という目的を持つ こ とによ り、子 どもは これ まで何げな く使っていたお金 を大切 に感 じるよ うになる で しょう。 (中略)お こづかいを貯めようと思った ら、財形貯蓄の要領で、一定額 を最初か らな いもの として先 に貯金箱 に入れて しまう、残 りのお金でや りくりを させ るのがコツです。 「余った ら貯めよう」 と思って も、そ うはうまくいかないも の。」15