第 1節 中国の小学生にかかわ る現状
中国では、日本の 「金融 中央広報委員会」のよ うな金融教育を扱 う専門的な機関はな く、
家庭教育の中で も、日本のよ うな金銭教育 に関す る資料 もなかった。イ ンターネ ッ トで 「子 どものお小遣 いの現状」 を調べる と、子 どものお小遣 いやお年玉 につ いての話題はます ま す重視 されている。また、ある機 関は学校単位 では子 どものお小遣 いについての小型 ア ン ケー ト調査 も行われていた。以下は 「南京市夫工委」(南京子 ども関心委員会) と 「南京市 青年商会」が連合 して行 った、南京市の 「溝府西街小学」 と 「洪武北路小学」二つの小学 校 で子 どものお小遣 いについての調査結果1である。
1.毎 月お小遣 いの金額
(news.sina.com.cn/C/edu/2006‑06‑07/1302914…64K200919‑16よ り筆者作成) 2.お小遣 いをもらう相手
(news.sina.com.cn/C/edu/2006‑06‑07/1302914…64K2009‑9‑16よ り筆者作成)
また、当調査で 「貯蓄」 につ いての質 問があ り、現在9 9%の子 どもは毎 月余 ったお小 遣 いを貯蓄 していることがわかる。そ して、調査 によ り、76%の小学生はお手伝 い してお小 遣 いをもらうという考 え方 に賛成 している。お手伝 いの方法 としては、63%の子 どもは家事 を して いて、13%はお使 いごとをした いと考えている。
以上の調査結果 を見 る と、中国の小学 生は毎 月のお小遣 い金額は 日本の小学生 (ページ 7の表 1に参照)とあま り変わ らな いが、中国の平均物価 は約 日本の1/7しかな いので、中 国の小学生のお小遣 いの金額 はかな り多 いと考 え られ る。 また、 中国の小学 生のお小遣 い は、お手伝 い してお金 をもらうという傾向が強い。
一方、小学校 の授業では、従来 「課程計画」(日本の教育課程 と同 じ)は 日本のよ うな 「社 会科」「家庭科」
「
生活科」は存在 してお らず、、小学校6学年 までの 「思想品徳」 という科 目しかなかった。 しか し、2001年6月に国家教育部 (日本の文部科学省 と同 じ)は 「基礎 教育課程改革綱要」 を公布 して、 「義務教育課程設置実験方案」 という新 しい授業計画 を改 善 した。具体 的には 3学年か ら、 「思想品徳」は 「道徳 と社会」 に変わって、 「総合実践活 動」 という科 目を追加 した。 しか し、内容 としては、情報技術教育や、社会実践、 また理 科 的な学習が多 く、金銭教育の内容は全 く載 っていな い。第2節 中国にお ける子 どもに対す る金銭教育についての提言 第 1項 家庭教育 における金銭教育 についての提言
子 どもは家庭教育 を基礎 として育て い く。だか ら、将来よ りよい経済生活 をす るため、
子 どもが小 さい時か ら、正 しい金銭感覚 を養 う必要がある。そ こで、筆者は子 どものお小 遣 いにつ いて、 日本の各学者の意見 を参考 して、中国の現状 をふ まえて、6つの項 目に分
けて、 中国の子 どもたちに金銭教育 に関す る意見 を提言す る。
1.お小遣 いを与える期 間 と金額
現在、多 くの学者や教育機 関な どが子 どものお小遣 いをもらう金額 を調べて、何歳 で い く らもらうのが妥 当か という数値や公式 を示 している。 しか し、筆者 は一定 の金額 を決 め るよ り、家族 内で親子で相談 して決めるのがよいと考 える。 また、始 める時期 としては、
普段親子 で買物 をす る時、子 どもは 自分 の手でお金 をレジに出 した い時な ど、子 どもはお 金 につ いて興 味になる時期か ら、子 どもにお小遣 いを与えて始 まる時間と考 える。そ して、
与える期 間については、最初は2,3日や一週間でお小遣 いを渡 して、 この2,3日や一週 間の間にい くら使 ったのか実験 してか らお小遣 いの金額 を決める。成長 と共 に、子 どもが 自分 のお小遣 いにつ いて一定的な管理能 力を持 ってか ら、 1か月一回 にお小遣 いを渡 した らいいと考える。
2.お小遣 いの使 い道
お小遣 いの使 い道 につ いて、筆者は羽仁氏の意見 に賛成す る。そ こで、4つの部分 に分 けて いる。
まず、貯金の ことについて説明する。貯金は毎月の月末 に残 ったお金を貯金するだけで な く、お小遣 いをもらった ら、す ぐ一定金額を貯金す ることが大切である。
また、文房具や学校 に必要な物 を買 うため、いくら必要かを計画 して、そのお金を別 に してお くことも大切である。
そ して、寄付や募金な どについて、地震や洪水な ど大きい災害がある時に、寄付す る必 要があると考える。
最後 に、以上の分 を使 って、残 ったお金は子 どもに自由に使わせ、お菓子や 自分の好き な物な どを買って もよいと筆者は考える。
3.貯金について
中国では、今、貯金 している子 どもは大勢いるが、その貯金の仕方は毎月余ったお小遣 いあるいはお年玉 を貯金するというのがほとん どである。一方、筆者は毎月のお小遣 いか ら一定金額 をあ らか じめ貯金する方法を勧めた い。そ うす ると、 自分は何か高いものがほ しい時に、親か らお金 をもらうのではな く、 自分で も買えるよ うになる。 もちろん、 自分 がせ っか くした貯金だか ら、無駄使 いをしないように親 と相談 してか ら買 うことが必要だ
と考える。
4.祖父母か らの大金
中国では一人子が多 いので、平 日、親は仕事が忙 しく、祖父母 と一緒に住 んでいる子 ど もが多 く見 られ る。そ して、祖父母はむやみにかわいがるため、お小遣 いのことについて、
親は必ず祖父母 と相談す る必要があると考える。 ここで、筆者はあんびる氏 の意見 に賛成 を して、孫 をかわ いがる行動 としては、お金以外 さまざまな形がある ことを気付いて欲 し い。た とえば、子 どもと一緒 に活動を参加するな ど、お金 をあげるよ り、人間的なふれ あ いをする方が子 どもの成育にとってよいと考える。
5.お手伝いとお小遣 いの関係
第4章の第1節で載せたアンケー トによると、現在、多 くの小学生はお手伝 いしてお小 遣 いをもらうという考え方 に賛成 している。親の中には 「お手伝 いとお小遣 いを関連 させ るようになって、家事 をよくす るようになった。」 という喜ぶ声が出てきた。 しか し、逆に 考 えると、 もし、お金がなかった ら、子 どもは 自分の家庭内における責任 を全然考えな く な り、家事をや らな くなるだろう。
ここで、筆者は毎月お小遣 いのもらい方 として二つの部分 に分けて考えたい。
一つは毎 月決めた金額 を与えるということである。 このお金は必要な部分以外、あま り 残 られない金額である。
もう一つは、八木氏の意見のように、「お手伝いな ど働 いた分に応 じて、お こづかいを渡 す もの」 という 「報酬制」 を実施することである。
しか し、 「報酬制」はすべての家事ではな く、自分は家の一人 としての責任以外のことを
した ら、報酬 を もらうことである。た とえば、親が忙 しい時、親 の靴下 を洗 うとか、また、
親 に手伝 って、お使 いな ど自分 の能 力に相応す る ことでお金 をもらうことである。
6.お小遣 い帳 につ いて
お小遣 い帳は子 どもの金銭教育 の重要な要素 である。子 どもは初 めてお小遣 いを も らう 時、お小遣 いの管理能 力はあま りな いので、羽仁氏が推薦 した、「婦人の友社」が作 った 「小 学 生の こづか いち ょう」(図8のよ うに) はそんな に難 しい ものではな く、 自分のお小遣 い
を計画 できな い子 どもにとって、最適な物 と考 える。
また、小学 生 に とって、 自分 は一定 の計算能 力、 また は、書 く能 力 (反省な ど)が ある ので、お小遣 いを計画 的 に利用す るため、あんび る氏が作 ったお小遣 い帳 (ページ30参考) が一番 いい物 と考 える。
第2項 学校教育 にお ける金銭教育のカ リキ ュラム につ いての提言
日本 の 「社 会科 」 の授業 と違 って、 中国の 「思想 品徳」 また 「道徳 と社会」 とい う授業 は 「国語」や 「算数」な どと同 じよ うに、教科書 の通 り授業 を行 う。一万、2001年6月の
「教育課 程改革」以来、 中国では、小学校3年生か ら、 「総合実践活動」 という科 目を設置 して いる。 この科 目は 日本 の 「総合学習」 と同 じよ うに、子 どもが実践 を通 して、社 会 の 一員 に育て る ことを 目標 に して いる。 ここで、筆者 は、子 どもが将来 に経済社会 の一員 と して役立す るた め、金銭教育 の内容 を各学年 の授業 内容 に入れ て、以下のよ うに金銭教 育 のカ リキ ュラム を作 ってみた。
内 容 幼稚 囲 第 1 第 2 第学3年第4学 第5学 第6学
(5‑6歳) 学 年 学 年 学 年 年 年 年 (7歳) (8歳) (9歳) (10歳) (11歳) (12歳)
1.お金 に関す る知識 につ いて N R/N R/N R 2.お金や物 は価 値が ある N R/N R
3.買物 につ いて N
4.お小遣 いの使 い方 につ いて N R/N R/N R 5.お小遣 い帳の書 き方 につ い
て N R/N R/N R
6.銀行 (貯蓄) につ いて N R
(口は無 内容 Nは新 しい内容 Rは補充、強化す る内容)
以上の表のよ うに、筆者は7つの内容 に分 けて、各学年 に授業内容 を入れた。詳 しく説 明す る と、筆者は以下のように考えている。
まず、お金に関する知識 については金銭教育の入門であるか ら、初めて金銭教育を受 け る子 どもには、何を学ばなけれ ばな らな いことと考える。そのため、幼稚園の子 どもか ら、
絵本やお金の現物 を通 して、お金の額面 を認識す る。そ して、子 どもは学級 に上がるに伴 って、お金 についての内容 も増や していく。1年生では、子 どもにお金の偽物 を使わっては いけな いことを認識 させ るため、お金のずかんを通 してお金の真偽 を見分 ける。また、2年 生になった ら、お金の種類 としてク レジッ トカー ド、電子マネー、商品券、クーポ ン券な
ども存在す ることを知 らせ る。そ して、3年生になると、お金の製造過程な ど基礎的な知識 を得 る必要があると考える。
また、 「物やお金 を大切にする」 という内容は現在の金銭教育にとって、重要な一環であ る。物やお金 を大切す るため、物の価値 に気付かないといけないと考える。そ して、物の 希少性や、お金は働 いて得るものであるか ら、大事 に使わなければな らないな ど理論的な
ことも重要だ と考える。
このよ うに、中国では、第1,2学年の 「思想品徳」という授業ではお金 に関す る知識 を獲 得す る。そ して、第3学年 になると 「道徳 と社会」という理論的な授業 と 「総合実践活動」
という実践的な授業が二つある。そ こで、筆者は 「買物へ行 く」、「お小遣 いの使 い方」、「お 小遣 い帳 を書 く」な ど理論 を体験 と結びつける内容は3年生か ら始まると考えた。 もちろ ん、 「お小遣 いの使 い方」、 「お小遣 い帳を書 く」は金銭教育の最 も重要な部分 として、順 を 追 って一歩一歩進めないとはいけな いと考える。最初は買物の選択性、買物 リス トで考 え
られ るだ ろう。それか ら、 自分が‑か月に使 う費用はいくらか、月ごとの出費の集計 リス トを作成す ることも大切である。また、自分の一カ月の予算 を考え、簡単なお小遣 い帳 (婦 人の友社 出版 したお小遣 い帳) を書 くことも大切である。最後 に、 自分のお金の使 い方 を 見直す、お小遣 い帳 (あんびる氏が作ったお小遣 い帳) を活用することも大事 にした い。
このよ うな順番 にすると、子 どもが体験 を しなが ら、正 しい金銭感覚 を養 っていけると考 える。
最後 に、子 どもに正 しいお小遣 いの使 い方 を育成するため、 日常生活で社会経験 を少 し 持 って いる5年生には、銀行の こと (貯蓄な ど)や寄付の意義を理解する必要があると考 える。
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