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氏名 橋本ハシモト

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Academic year: 2021

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(1)

氏 名 橋本

ハ シ モ ト

晃生

コ ウ セ イ

所 属 理工学研究科 生命科学専攻 学 位 の 種 類 博士(理学)

学 位 記 番 号 理工博 第

198

号 学位授与の日付 平成

28

3

25

日 課程・論文の別 学位規則第4条第

1

項該当

学 位 論 文 題 名 カンタリジン・ワールド:カンタリジンを介して相互作用する節足 動物群集の構造と機能(英文)

論 文 審 査 委 員 主査 教 授 林 文男

委員

教 授 可知 直毅

委員 准教授 江口 克之

【論文の内容の要旨】

カンタリジン(テルペノイド)は、昆虫がもつ有毒な防御物質の一つである。この物質は、

ツチハンミョウ科とカミキリモドキ科(甲虫目)によって生産され、彼らを捕食者から守ってい る。一方で、カンタリジンはその毒性にも関わらず、特定のグループの昆虫類が誘引されること が知られており、その中には生活史の中でツチハンミョウやカミキリモドキと密接な関係にある ものもいる。そこで、カンタリジンの生産者(またはその類似体を有する生物)とそれに誘引さ れる動物との相互作用を伴う生物群集を“カンタリジン・ワールド”と名付けた。本研究では、

(1)カンタリジン・ワールドの群集構造と種間関係、 (2)その種多様性の地理的変異、 (3)

カンタリジンを介した種内相互作用(特に雌雄間での)を明らかにした。

(1)カンタリジンを誘引剤として用いたトラップを作成し、1年を通してそれに誘引され る動物を採集した。その結果、甲虫目、双翅目、膜翅目、ザトウムシ目などからなる特異な節足 動物群集が形成されており、それらはカンタリジンに誘引される原因の違いから3つのグループ に区別できた。第1は餌(食物)探索のためにカンタリジンあるいはその類似体を刺激物質とし て利用するグループ、第2はそれを用いて集合性を示すグループ、第3はそれを得て天敵に対す る防御物質として利用するグループであり、相互に作用する複雑なネットワークを形成していた。

(2)島嶼の生物群集は、島の面積や本土からの距離に応じて種の多様性が低下することが 知られている。カンタリジンに誘引される節足動物群集にもそのような傾向があるのかどうかを 確かめるため、関東地方、伊豆半島、伊豆諸島、小笠原諸島における群集構造の比較を行った。

その結果、カンタリジンを生産する昆虫はいずれの地域においても生息していたが、それら生産

(2)

者およびカンタリジンに誘引性のある節足動物群集の多様性には、島嶼における他の生物群集の それと同様の一般則が認められた。

(3)カンタリジンを生産するカミキリモドキ科のメスには、内部生殖器である交尾嚢内に 硬化した棘をもつ種ともたない種がいることを発見した。棘をもつ種では、交尾時にオスから大 きな精包が渡され、メスはそれを交尾嚢内の棘を用いて粉砕・消化する。一方、棘をもたない種 では、オスは精子塊のみを渡す。棘のある種と無い種の卵塊を粉砕し、ホソアシチビイッカク(カ ンタリジンに誘引される微小甲虫)に呈示する実験を行った結果、その誘引性は棘のある種のメ スが産んだ卵塊の方が高かった。つまり、棘のある種では、オスからメスへ精包を介してカンタ リジンの贈呈が行われている可能性がある。カミキリモドキ科全体の分子系統樹を作成し、メス の交尾嚢内の棘の有無と形態を比較すると、棘の発達は多起源であると考えられた。

カンタリジン・ワールドという視点を導入することにより、自然界におけるカンタリジンの

動態を個体間、種間、さらに群集と、階層的にとらえることが可能である。この特異で複雑な群

集の構造と機能の全貌を今後さらに明らかにしていきたい。

参照

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