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算数・数学教育における問題解決の研究(7) ― 算数と「総合的な学習の時間」―

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

算数・数学教育における問題解決の研究(7) ― 算数と「総合的な学習の時間」―

著者 重松 敬一, 生瀬 恵子

雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

巻 10

ページ 25‑32

発行年 2001‑03‑31

その他のタイトル Research of Problem SoIving in Mathematics Education(7) ―Elementary SchooI

Mathematics and  Period for Integrated Study

URL http://hdl.handle.net/10105/391

(2)

−算数と「総合的な学習の時間」−  

重 松 敬 一・生 瀬 恵 子  

(奈良教育大学・長岡京市立長岡第四小学校)  

ResearchofProbJemSoIvinginMathematicsEducation(7)  

−ElementarySchooIMathematicsand PeriodforIntegratedStudy   

KeiichiSHIGEMATSU  

(DepartmentofMathematicsEducation,NaraUniversityofEducation)  

KeikoIKUSE  

(NagaokaDaiyonElementarySchool)  

要旨 本稿は、算数と「総合的な学習の時間」の関連を学力の視点から見たものである。表現活動の中でグラフなど   の算数の内容があるとはいえ教師にとって、両者の関連意識が薄いこと、学力の関連が不明であることが明らかになっ   たからである。そこで、両者の学力関連表を活用し、学力の視点から両者を関連づけることを提案したい。   

小学校の実践例からは、単元配列に関係なく、子どもの表現力としての算数の力を使っていることがわかった。そ   れをより有効に活用するためには、教師の働きかけも大切である。しかし、この方法知のレベルでの関連、支援の在  

り方や中・高校との連携での考察は今後の課題とした。  

キーワード:総合的な学習の時間、算数、学力  

義を見出させることをねらって今回教育課程に導入さ   れたものが「総合的な学習の時間」である。   

新学習指導要領には次のように書かれている。   

「総合的な学習の時間」においては、各学校は、地   域や学校、生徒の実態等に応じて、横断的・総合的な   学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫   を生かした教育活動を行うものとする。   

「総合的な学習の時間」のねらい  

(1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体   的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能   力を育てること。  

(2)学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決   や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を   育て、自己の生き方を考えることができるよう   にすること。   

「総合的な学習の時間」の時間  

小学校中学年…年間105時間、高学年…年間110時間   中学校1学年…年間70〜100時間、2学年…年間70〜  

105時間、3学年…年間70〜130時間  

高等学校…3年間で105〜210時間(3〜6単位)   

1.はじめに  

平成14年度に小学校3年から、平成15年度から高等  

学校において「総合的な学習の時間」という新しい領  

域がスタートする。現在はその移行期である。すべて  

の学校で「総合的な学習の時間」の試行が行われつつ  

あるが、子どもの活動を中心とした報告が多く、その  

中で算数と「総合的な学習の時間」との関連は見えに  

くいと感じている教師が多いようである。   

そこで、本稿は、算数と「総合的な学習の時間」で   育てるべき学力の関連を探り、両者を関連づけた実践   のために学力関連表の活用を提案する。  

2.「総合的な学習の時間」の概要  

今日的問題を学習したい子どもに応えることで学習  

達成感をもたせ、新しい時代の課題(環境と情報など)  

への対応能力を高めていくこと、知の総合化と方法知  

の習得、さらには学習の楽しさを味わっていない子ど  

もに「体を動かす、考える楽しさ、多様な考えを生か  

す」等の活動をすることによって、学習の拡がり・意  

(3)

重松 敬一・生瀬 恵子  

(1)(2)のねらいはわかるのだが、活動の中で育てるべ   き学力が具体的な場面として理解しにくいと言える。  

3.総合的な学習の時間と算数の現状  

3.1.大阪教育大学附属池田小学校での   コメントの結果  

日時:平成12年11月11日  

対象:算数教育研究会「総合的学習を支える算数の学   習づくり」の授業研究会後の研究協議会参加者   人数:40名  

アンケート項目:「研究に対する率直なご意見・ご感   想をお願いします。」   

このアンケートの結果、算数の学力と「総合的な学   習の時間」の関連が見えにくいことが次のように指摘   されている。  

・「総合的な学習の時間」と算数はどこでつながって    いるのか  

・獲得された知識・技能そして論理的な思考力の内容    がよくわからない。  

・先生が「総合的な学習の時間」との関わりを考えて    いくことによって、算数の授業の仕方や目標の立て    方、児童の見方などにどのような変化があるのか  

(ないのか)が知りたい。  

3.2.長岡第四小学校のアンケート   日時:平成12年12月8日  

対象:長岡第四小学校職員   人数:13名  

アンケート項目:「総合的な学習の時間でつける力と   教科でつける力は関連し合っている。  

たとえばどんな力だ思いますか、ま   たは違いますか」   

このアンケート結果から、教科として意識しやすい   教科は国語であり、意識されにくい教科として算数が   挙げられる。「総合的な学習の時間」を支えるのは教   科でつけた力と認識されているが、それがどのような   ものであるのかは必ずしも明らかではない。「総合的   な学習の時間」との関わりを考えていく時、算数の授   業を通して子どもにどんな力を育てることができるの   かを意識して指導をしていくことが重要になってくる。  

4.学力について  

最近、戦後の教育改革の成果をめぐって、論争され   ることが多い。特に学力の低下への懸念は、「総合的   な学習の時間」との関連からも指摘されている。そこ   で、この節では学力の定義を歴史的に振り返ってみた  

い01)  

4.1.学力観について  

(基礎学力の2つの定義)  

昭和20年代前半   

・旧来の学力観「読、書、算」   

「アカデミックな学力、具体的にいうと言語や記  

号等のシンボルの操作の面において達成された結果    を中心とする学力」  

・新学力観   

知識だけでなく、理解力、思考力、創造力、適応  

力、問題解決能力さらには態度や習慣や行動力まで    も「学力」の因子として把握していく。この2つの   基礎学力論から発展していく形をとる。  

昭和30年代   (基礎学力論から学力論へと発展)   

勝田守一「学力とは何か」によると、「学力は計測   可能な到達度によってあらわされる学習によって発達   した能力」という言葉に対して、広岡亮蔵は「学力・  

基礎学力とは何か」ということを次のようにまとめて   いる。  

1 外層…要素的な知識及び技能   2 中層…関係的な理解及び総合的な技術  

≪外層・中層一知識(技術層)≫  

3 内層…思考態度、操作態度、感受表現態度  

−(態度層)   

「生きた学力、発展的な学力、一口に言えば転移力   ある学力は、態度に裏付けられた知識である時にはじ   めて成り立っことができる。」と知識層と態度層の交   接域に知識が成立することを指摘している。  

昭和40年代以降の考え方   

「現代の学力観をめぐって」(総合教育技術、昭和4   1年)では学力を捉える立場に「測る立場」と「育てる   立場」があり、この2つの見方の学力を伸ばそうとす  

ることが教師に求められている、という。   

梶田叡一の「教育における評価の理論1」(平成6   年)では学力を氷山にたとえ「学力も見える部分「知   識・理解」、「技能」と見えない部分「思考力・判断力」、  

「関心・意欲・態度」がある。そして、真の評価とし   て両面を評価する「教育評価」を挙げている。水島敏   行の「教育展望」(平成5年)では、次の2つの学力論   を挙げている。  

・実体的な学力論   

① 読み・書き・算数、②要素的な知識・技能と基   本概念、③文化的な常識  

・機能的な学力論   

① 見方、考え方、調べ方、学び方、まとめ方など  

の「能力目標として掲げてきたもの」、②思考   力、判断力、転移力、表現力、創造力などの  

「主体的で力動的な能力」、③関心・意欲・態度・  

価値などの「能動的なもの」  

(4)

いぎ、学力論争になると二者択一が迫られるが、こ   の両者は本来矛盾するものではなく、コインの表裏を   なすものであるという。   

ここで注目することは、水島敏行の「2つの学力の   見方の両方が必要だ」という点である。現在、観点別   評価も「関心・意欲・態度」、「数学的な考え方」「、  

表現処理」、「知識・理解」と両者の学力観を組み入れ   たものになっている。   

このように、学力の見方は少なくとも2つの側面か   ら捉えられてきたことがわかる。実際、学校では学力   をどのように理解し、そして授業で育てる学力をどの  

表1 教科書にみる授業展開  

ように捉えているかを一つの授業実践からみてみよう。  

4.2.教師の意識している学力   

例えば、5年生の授業、数量の規則性を表に表すこ   とによって類推していく思考の育成を目標とした授業   でみてみたい。  

5年「順々に調べて」(啓林館)   

教科書の展開をもとにすると表1のような授業が考   えられる。   

この授業では次のような学力の育成が意図されてい  

る。  

①内容的力  

・表をうまく使う  

・順々に考えて規則性を見出す  

②態度的力  

・学習に向かい自分で課題を見つける力  

・今まで習ってきたことを活用しようとする力  

・自分で分かりやすい方法で解く力という自己選択の   

力  

数学的に考えると規則を見出す力や課題を発展的に   見出す力を伸ばしたい場面である。ところが実際の授   業では、折り目の数という意識しにくい規則ではなく、  

名札の長方形の数という操作も意識しやすい題材に変   えられた。この結果、教師が扱うのは直接問題を解く   問題解法力であった。   

本時は次のように展開された。(表2)  

・教師は考える力をっけようとしているが、学習のプ    ロセスの中で操作に目を向けさせてしまう。ここで    は紙を切る操作である。結果として操作の中で数的    な処理を意識してそこからのきまりを発見させよう    としていない。  

・最後の考えをまとめて新しい視点を持たせようとす    る時に時間がなくなり、次時にまわすことになった。   

生活にいかすと言うことで名札の問題場面をもって   きたわけである。ここでの教師はすべての子どもが参  

加できる題材をどう与えて   いくかが中心で、題材をど   う算数的に扱うかまでは思   い至っていない。グループ   活動が中心になり、子ども   一人ひとりの活動の中で思   考が十分取り上げられなかっ   たため、折って切る操作の   みが子どもの活動の中心と   なり、類推して規則を見い   出すまでにはいかなかった。   

このように教師のもとめ   る学力は、具体的で身近な   問題を正しく解けるという    表2 実際の授業展開  

;課題の説明を聞く  

イメージをつかむ  

具体的操作活動  

名札を作りま  

128人分名札は何回   折るとよいでしょう。  

;考えながら折る  

数える  

:128があるか  

:10ずつ印を入れる  

:青葉で説明  

:式で祝明  

;表で説明  

考えをあらわす  

名札をつくる   数える意識が強い   

128作れることを発見  

362人分の名札を  

作るには何回折ると  

よいでしょう。   

(5)

重松 敬一・生瀬 恵子  

短期的な学力であり、「総合的な学習の時間」と関連   させた学力を育てる意識にはまだ至っていない。  

4.3.「総合的な学習の時間」を意識した学力観    今一つ、「総合的な学習の時間」を意識した学力の   構造が提案されているので注目してみたい。   

中留2)は「学力観は新たな概念、定義を迫られっっ   ある。」として、これまでの学力を支える力として  

「椴」にあたる部分の充実をはかること。また、「基礎・  

基本の知」(知識・理解・技能)と「感性にあたる行」  

(新しい学力観)とは相補関係にあると言う点を強調   して、(図1)を提案している。  

教科等の学習と総合的な学習関連を位置付けた試案   が文部省研究開発学校に見られる。そこで研究校の中   から算数との関連を指摘した報告をみてみたい。福島   市立福島第三小学校では次のような関連が指摘されて   いる。  

(1)低学年一感覚を豊かに  

作業的・体験的な活動を通して、数・量・図形   の概念を次第に抽象する。  

数・量・図形についての感覚を豊かにする。  

(2)中学年−グラフの読みとり  

見通しをもったり、筋道を立てて考えたりする。  

目的に応じて資料を集め、分類整理したり、特   徴を調べたりすることができる。  

表3 小学校における総合的な学習と成果発表3)4)5)  

総合的な学習の内容  算数・数学に関わる成果発表    自動車の交通量を調べ、  交通量を表・グラフに表す    交通安全の立す場から生  学区域マップを作りマップ上に   

括に生かす    距離や時間、地域の課題を考え  

を表示する    ばくの学校、私の学級を  児童数、教室の数、校地の面積   

紹介する    などとこれらの相互関係を表や  

グラフで表す   

宝物探しゲームを企画し  座標の考えを用いてゲームの宝   

実行する    物の位置を表す   

給食の残業の量から自分  給食の残菜量をさまざまな角度    たちの生活を見直す    から表やグラフに表す    遠足を計画し実行する  コース、所要時間、費用を考え、  

遠足のしおりをつくる    四季について考えること  時間の計算やそれのグラフ表現    から、生活と自然の関わ  

りを探る   

ドッジボールのルールを  新しいコートの形や大きさを、   

変えてみんなが発しめる   ものにする   

自分たちの教室環境を考  図形、位置、測定の考えを使い、   

えコーディネートする  コーディネー  ト案を図や模型で   表す。   

地域の商店街の特徴を調  商店街の特徴を統計的表現に用    ベ、地域との関わりを考  

える   

身の回りから、エネルギー  身の回りのエネルギー消費量を    問題を考える    データ化し、統計的に示す。   

視障害のともにバリアフ  点字の仕組みを、場合の数の考    リーを考える    えを使って説明する   

行ってみたい旅行や宿泊  諸費用、時間の計算をし、企画   

学習を計画する    書に表す   

地域の歴史マップを作り  時間と距離の計算により、散策   

紹介する    コースを示す   

卒業を前に、中学校生活  自分の知りたいことについて、   

について調べる    中学校からデータ収集し、統計   的に示す  

図1 学力の構造図  

これは生きる力に「知・徳・体」という表現だけで   なく、「知・情・意」という表現が入ったことも「感   性にあたる行」を重視していると考える。このことは   自分にとって意味があり楽しいという情意も大切にし   た学力を捉えていくことが必要になってきていること   を意味していると言える。  

5.算数と「総合的な学習の時間」の関連  

学力の捉え直しが行われている中、「総合的な学習   の時間」の中で算数がどのように意識されているかを   みてみよう。  

5.1.研究校の実践の分析  

(6)

表4 教科と「総合的な学習の時間」の比較   資料を整理して、分かりやすく表したりそれら  

を用いて特徴や傾向を調べたりし、その有用さ   が分かる  

(3)高学年一情報処理  

基礎的な概念や原理の理解とともに、いろいろ   な観点からまとめをする。百分率や円グラフを   用いるなど、統計的に考察することができる。  

数学的な考え方や数理的な処理のよさに気づき、  

進んで生活に生かそうとする。   

その他の報告を分析してみても表3のように、算数   との関連は、表現としての統計的なグラフ処理が多い。  

コンピュータ活用によってたくさんの情報を子どもた   ちは入手できるようになったが、グラフから状況を読   み取ることは高学年でもむずかしい。  

「総合的な学習の時間」の中で算数が表現として使   われることが多いことがわかった。とすると算数は道   具としての役割しかもたないのであろうか。次の節で   は算数と「総合的な学習の時間」で育てるべき学力の   関連をとらえる視点を提案したい。  

5.2.算数と「総合的な学習の時間」との比較    まず、教科と「総合的な学習の時間」の関連(表4)  

について振り返ってみよう。  

教  科    総合的な学習    特定の事象の焦点化・典  

型化   

親学問がある    親学問がない   

客観性・論理性・普遍性  場面的・単発的・非科学  

的・文脈性    体系的・継続的・科学的  

習得目標が明確    習得目標が不明確  

とくに算数との関連をまとめてみると次のようにな   ろう。  

① 算数的思考活動の活用(問題解決)  

(卦 算数的内容(表現処理)の活用や発展(ことば、  

表、式、グラフ 等)  

③ 総合的学習で学んだ内容を算数の学習の素材とし  

て活用する   

次節では、「総合的な学習の時間」のねらいにあっ   た学び方や考え方がどんな力であり、算数とどのよう   に関連するのかを、②③の視点からまとめてみたい。  

5.3.「総合的な学習の時間」と算数の学力関連   

(表5)は2次元構成になっている。縦の次元は学  

表5 学力関連表  

(7)

重松 敬一・生瀬 恵子  

年・学期・月・テーマで活動を示し、横の次元では育   成すべき学力を示している。横の次元の学力は、「内   容知、方法知、自分知」の3つの観点からまとめてい  

る。3つの知を生涯学習社会を生きて行く上での基礎   的な資質ととらえている。   

「方法知」は「総合的な学習の時間」を進めていく  

上でつけていく力を意味する。   

「内容知」は現代の課題に対して単元のねらいに沿っ  

て教師がつけてはしいと願っている力と考える。   

「自分知」は自分の中での学習の価値を見出す場で   あるが、内容に触れるだけでなく、自分と友だち、自  

分と地域の人との関係に目を向ける子もいて、いろい  

ろな方向での自分の意味づけを子ども自身がしていく   知だと考える。   

次に記号について説明したい。   

ロは「総合的な学習の時間」でつけていく力を示す。  

○はその学年で配当されている時期・内容を示す。◎  

は「総合的な学習の時間」の時、使っている力を示す。  

◇は習っていないけど使っている力を示す。   

このように2次元表をもとに学力関連を□、○、◎、  

◇の記号で示した。これらの記号で示された学力の具   体的な内容については、更に検討する必要があるが、  

この関連表によって、算数と「総合的な学習の時間」  

との学習が相互に密接に関連し、それぞれの相補的な   様相が意識できる。  

5.4.学力関連表から見た活動の例  

5.4.1.表5の◎についての具体的な例:N小学   校5年「環境」(学力関連表参照)   

夏休み、ジュースの缶の消費量をノートに苦いてき   た。クラスで発表する時、発表を聞いていた友だちか   ら「グラフに表すともっとわかりやすいのではないか。」  

と言われて表したものである。(図2・3)  

図3 アドバイスを受けた後の表とグラフ  

グラフによってすっきり表せるというよさを味わった   ものと考えられる。それだけに他者を意識した表現を   指摘した。囲もわかりやすくなり、グラフも何が効果   的かを表すことができた。ただ、ここで考えた棒グラ   フは算数的表現として見るなら、必ずしも十分ではな   かった。例えば、目盛は示されているが、数値による  

的確な表現の意識が弱い。この事例は算数の学習にお   いても一層社会と関係付け、活用できる力として棒グ   ラフの学習指導が大切になることを示している。  

5.4.2.表5の○、◎についての具体的な例:0   小学校3年「ぼくの・わたしのじまん」(図4)   

(図4)の模型は、町の模型を見せたことがきっか   けになり、みんなにわかりやすく説明していく手段と   して、子どもも「ぼくもっくってみよう。」と作った   ものである。立体感は5、6年で学習するが、生活の   中で見つけたいろいろな立体を使って、建物や 陸橋   を表現している。道路や建物の位置も考えながら置い   ている。   

算数の単元との関連を見ていくと次のような単元が   ピックアップできる。  

1年 立体図形の構成と分類   2年 三角形と四角形、箱づくり   3年 円と球  

4年 角の概念・角の大きさの単位、垂直・平行と四   角形、面積、直方体と立方体  

5年 合同な図形、面積   6年 図形の拡大・縮小、立体  

4、5、6年で算数を学習する際、この子どもには   町の立体模型製作のプロセスで無意識に活動したこと   が学習を内で支えるものとなろう。そのためには、4、  

5、6年になってもこの子どもがこの製作活動したこ   とが記録されているポートフォリオ評価も工夫する必   要があろう。   

図2 初めにまとめを書いたノート   

友だちが「もっとわかりやすい表現としてグラフを   使ったらいい。」と言うアドバイスをした時、この子  

どもは、算数ですでに習った3年の棒グラフの表現に  

気づいたものであろう。おそらく、その学習時に、棒  

(8)

携を明らかにしようとしたものである。   

その結果、「総合的な学習の時間」の中で、子ども   は無意識に算数でつけた力を活用していて、また発展   させていること。逆に、「総合的な活動の時間」での   無意識な活動や疑問が、算数の学習で意義あることと   意識することが大切であり、それを関連表として具体   的に活用することを提案した。   

この表を使うことによって、その活動の中で、教師   や友だちの働きかけで学びの価値を意識化をすること   ができること、授業をする上で2つの学力(見える学   力・見えない学力または、内容的力・態度的力)を意   識して子どもに力をつけていくことがより一層大切に   なることがわかる。その結果、それを教師自身が意識   し、授業を構成していくこと、教師が教材の深い理解   をしていくことがこれからも一層必要になってくるで   あろう。   

今後は、算数と「総合的な学習の時間」との内容的   学力での関連を一層追求するとともに、方法的学力、  

さらには、自分知の側面でどのように関連するかの分   析を行い、関連表を充実することが必要である。また、  

今回は小学校を分析の対象としたが、さらに、中学校   や高等学校との関連も明らかにする必要がある。  

参考文献  

(1)日本教育新聞2000年10月6日  

(2)中留 武昭「日本カリキュラム学会課題研究Ⅱの   図4 宝物さがしの立体模型  

5 おわりに  

評価について考えると算数はつけるべき力がはっき  

りしている。一方、「総合的な学習の時間」は、子ど   もによって内容知・方法知・自分知に対しての力の内  

容とその深まりが違ってくる。評価の時期・期間も教  

科が限られた短期サイクルとなりがちであるのに対し、  

「総合的な学習の時間」は当初から長期サイクルで見   ていくので、その子ども自身の生き方が見えてくる。  

このように、両者には明らかな違いがある。   

本稿では、このような両者の違いを踏まえつつも、  

両者が相まって子どもの学力を形成していく構造的連    資料1 5年生学力  

「総合的な学習の時間」の計画と評価   教  

=・:   

総   合   科  

室巨  

(9)

重松 敬一・生瀬 恵子  

(8)京都市立御所南小学校研究開発実施報告書(第3   年次)、平成11年度  

(9)福島市立福島第三小学校 研究開発実施報告書   

(第1年次)、平成11年度  

(10)佐藤 学「学びの快楽」世織書房1999年  

(川 佐伯 肝/藤田英典/佐藤学一編「学びへの誘い」  

東京大学出版会1995年  

(1功 教職研修Nα3創意を生かす新教育課程の編成・実  

施・評価教育開発研究所1999年  

(13)柴田 義松「学校知・学習観の転換がなぜ必要か」  

明治図書1999年126−127  

(川 中原 忠男「構成的アプローチによる算数の新し   い学習づくり」東洋館出版社1999年   

分科会資料」2000  

(3)[特集 総合的な学習と算数]新しい算数研究    1999.9 pp.6〜27  

(4)片桐重男・金本良通「算数が主役の総合的な学習   実践プラン集 中学年編」「同 高学年編」明治   図書 2000.2  

(5)『特集「算数」を生かした総合的な学習』楽しい    算数の授業 2000.9 pp.6〜24  

(6)特色ある教育活動の展開のための実践事例集一総   合的な学習の時間」の学習活動の展開−(小学校)  

文部省、平成11年  

(7)鳴門教育大学学校教育学部付属小学校研究実施報  

告書(第2年次)、平成11年度  

参照

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