総合的な学習の時間
自己と向き合い,社会と向き合い
対話を通して,自分の生き方を見いだそうとする 学びの推進
-双方向の関わりから未来の生き方を創造しよう-
Ⅰ 研究テーマについて
本校における総合的な学習の時間(総合DOVE)は,本校における「キャリア教育」を中心と した授業の時間である。「DOVE」という名称には,本校の象徴である「鳩」を意味する英単語 であり,さらには『Developers enjoy studying voluntarily with originarity.~独創性(創意)
をもって,自発的に学習を満喫する,21世紀にはばたく生徒たち』を具現化し,「独創性(創意)
をもって,自発的に探究し,他者との関わりを通して共に成長していることを実感し,自分の生き 方に新たな価値を見いだしていこうとする生徒たち」との願いを込めている。総合DOVEの活動 は,1年次の職業意識・進路意識の形成から始まり,2年次には専門的な進路研究をもとに,自分 の将来の生き方を考え,3年次には様々な経験や体験から研究テーマを深く掘り下げ,DOVE ACADEMYでは,その結果の実践と全校ディスカッションによってまとめられ,高校での学習 や将来に展望をもって卒業を迎えるという,3年間一貫した進路探究型の学習である。
本校の研究主題は「共に未来を切り拓く 開かれた個」であり,副主題が「批判的思考力の伸長 を促す授業改善」である。総合的な学習においては,キャリア教育を中心におき,自分自身の個性 や適性を見つめ直し,今の社会情勢と向き合いながら,自ら課題を見付け,協働的な学びを通して,
自分の生き方を見いだそうとする態度を育てる。特に協動的な学びの場面では,教科,領域で実践 しているミエルトークを用いて,一人一人の考えを可視化する。自己と異質な他者の双方向の関わ りから,様々な他者と協働できる力の育成,場面や状況に即した表現力の育成,情報の理解・分析 をもとに先入観にとらわれない力の育成が期待できる。3年間の学習を通して,一人一人が自己の 未来の生き方を考え,実践を通してその価値に気付いていくことを期待している。
Ⅱ 研究の仮説について
1 研究仮説
自己の生き方を見いだそうとする学びは,自己の個性や適性を見つめ直し,社会で起こりうる 様々な事象に目を向け,異質な他者との対話によって育成される。
自己の生き方を考えられるようにするためには,学習指導要領の中では「横断的・総合的な学
習や探究的な学習を通して,自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよ
く問題を解決する資質や能力を育成するとともに,学び方やものの考え方を身に付け,問題の解
決や探究活動に主体的,創造的,協同的に取り組む態度を育てる」としている。自己の興味・関
心のあるものから自己の課題を見付けるためには,まずは自己理解が必要である。「自分はどん
なことが好きなのか」,「周りからどのよう見られているのか」などの自己分析をするだけでは
なく,自分では気付かない自分のことを見付け出してもらうことが,自己の個性や適性の気付き
につながっていく。また,21世紀に起こる様々な情勢に目を向けながら,自己の個性と適性を
照らして考えていくことは,困難な世界を生き抜く上でも重要な力と考える。また,その解決に 向けて異質な他者の考えを肯定的に受け止めながら,批判的な思考をもって考えていくことは,
自己の生き方を見出す上で大切ではないかと考える。
2 研究仮説の評価規準
総合的な学習の評価規準の観点を「課題設定能力」「情報収集能力」「将来設計能力」「社会参 画能力」の4観点とし,授業内のポートフォリオや体験後の新聞,学期末のそれぞれのレポート によって評価する。
(1) 課題設定能力
自分のこれまでの経験や体験,他者から見た自分の個性や適性から,将来の自分の生き方に 対する課題意識をもち,自己のキャリアプランニングを形成するための自己の課題を設定する ことができる。
(2) 思考分析能力
様々な体験や情報を言語により分析したり,まとめたり,表現したりすることで,新たに経 験する社会事象に対して目を向け,過去の学習状況や経験を基に自分の考えを伝え,実践する ことができる。
(3) 将来展望能力
自分の課題や目標,実践化へのプロセスをよりよく成し遂げるために,当たり前と考えられ てきた多くのことを批判的なスタンスで問い直し,先入観にとらわれず,自分の生き方を整理 分析することができる。
(4) 他者理解能力
冷静に問題状況を把握し,対話を通じて相容れない考え方などを取り入れながら柔軟に対応 し,様々な人の生き方を共感的に捉えながら,協働的な学びを通してよりよい考えを導くこと ができる。
Ⅲ 研究の重点
本校の生徒を「人間関係形成・社会形成能力」,「自己理解・自己管理能力」,「課題対応能力」,
「キャリアプランニング能力」の4項目から考えてみると,「知識は豊富だが,それを簡潔に,相 手に分かるように伝えることが苦手である」「自分の将来について考えている生徒が多く,知的好 奇心や向上心が高い」「問題を解決したいという強い欲求をもっている」「将来就きたい職業はあ るが,職業人となりどんな生き方を目指しているのかは十分ではない」といった傾向が見られる。
そのため,3年間の研究では,「自分の生き方を探ること」を柱とし,学年ごとの段階を追って その考えを深めていくこととした。DOVE ACADEMYの場は,実践化について発表し,再評価を受ける ことで,「自分の生き方」をもう一度振り返る機会となった。この3年間で身に付けた能力が,最 終的に「目指したい生き方への提案」となり,予測困難な未来社会の中で批判的に物事を捉え,ど んな場面をも切り開いていく力になると考えている。
1 各学年の学習活動 (1) 1年部
『働くこととはどういうことか,自分はどう生きるべきかを幅広く考える』
(2) 2年部
『自分の適性を意識しながら,興味・関心のある専門職の方々の生き方を知る』
(3) 3年部
『専門職の方々の生き方を知り,実践化をすることで,自己の生き方を問い直す』
2 指導の手立て (1) 1年部
家族や身近な人から働くことの喜びや厳しさを実感させることにより,「なりたい自分」の イメージを膨らませるとともに,将来の自分を支えることになる専門性についてもっと広く,
深く探究したいという関心・意欲を高める。
<概 要>
月 4 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
内 ガイダンス ガイダンス 自己理解 働く意義 訪問計画 職場体験 鳩翔の行事 次年度の
(1) (1) インタビュー計画 (3) (2) 報告 準備 計画
容 (3) (8) (1) (7) (2)
<内 容>
月 活 動 時数 具体的内容
4 ○全校ガイダンス 1 ・総合学習のねらい,学年のつながり 6 ○学年ガイダンス 2 ・第1学年の1年間の流れを確認する 7 ○自己理解 2 ・自分調べを通して,自己理解につなげる
○働く意義 4 ・働く意義を考える
8 ○職場体験先の検討 ・事前調査
9 14
10 ○職業人からの「生き方」講話 ・ 「生き方」の問い直し DOVE ACADEMY
○職場体験について
・オリエンテーション ・訪問先におけるグループ決定
・グループ編成 4 ・訪問先への依頼
11 ○依頼状作成 4 ・各事業所毎に作成
○訪問計画作成 ・自主研修の日程表を作成する
職 場 体 験
12 ○職場体験における自主研修のまとめ 2 ・新聞作成による研修のまとめ 1 ○鳩翔の行事に向けた準備 1 ・発表プログラム,シナリオ作成
(資料・発表原稿作成) 10
2 鳩翔の日(2)
3 ○次年度の研究に向けて 4 ・興味・関心のある内容の確認
合 計 50
学 習 対 象 学 習 事 項
① 自分らしさや自分の成長 (自己,1) 自分のよさや特徴について理解する。
級友,保護者,家族)(夢の変遷など) 2) 自分らしさに対する自信を深める。
② 保護者や家族,親類の仕事 1) 保護者や家族,身近な人々を多面的・多角的に理解する。
(インタビュー,訪問活動) 2) 保護者や家族,身近な人々への尊敬の念を深める。
3) 保護者や家族の努力や苦労の上に生きている自分の存在を理 解する。
1) 体験を通して仕事の喜びを共感的に理解する。
③ 様々な仕事に携わる人々 2) 体験を通して仕事の苦労,悩みを共感的に理解する。
3) 仕事に就くまでの過程と努力,苦労を理解する。
1) 自分の夢に近い生き方をしている人々の生き方や業績を調べる
④ 自分の進みたい道と,その道に ことを通して,自分の課題をつかむ。
就いている人々 2) その道に就いている人々を調べる過程でさらに探究してみたい
新たな問いを見いだす。
(2) 2年部
自分の適性と「なりたい自分」を意識して,興味・関心がある専門分野に注目し,そこに携 わっている人たちがどのような生き方をしてきたのか,また今後どのような生き方をしようと しているのかを知る。
<概 要>
月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
内 ガイダンス 講座 情報収集 訪問計画 「生き方」学習 訪問計画 学習旅行 ACADEMY 次年度の
(3) (3) テーマ決定 (3) (3) (10) 報告 立ち上げ プラン作成 計画
容 (3) (1) (3) (5)
<内 容>
月 活 動 時数 備 考
○全校ガイダンス 1 ・総合学習のねらい,学年のつながり 4 ○学年ガイダンス 2 ・今後2年間の取り組みについて 5 ○自分の適性を知る 3 ・適性検査
○自己の生き方を考える ・適性と興味関心の照合 6 ○研究内容,実践内容を考える 1 ・事前調査
3 ・テーマの設定
7 ○夏休み中の訪問先検討 6 ・事前調査・訪問計画作成
8 ○学習旅行訪問先の検討 ・教師による訪問先決定と訪問依頼
9 14
10 ○職業人からの「生き方」講話 ・ 「生き方」の問い直し DOVE ACADEMY
○学習旅行について・オリエンテーション 6
・グループ編成 ・グループの決定
11 ○訪問計画作成 6 ・自主研修の日程表を作成する
・必要に応じて訪問に関する資料準備 12 ○学習旅行における自主研修のまとめ 10 ・レポートのガイドライン作成
1 ○鳩翔の行事に向けた準備 4 ・発表準備,練習
2 (資料・原稿作成) 8
鳩翔の日(2)
3 ○次年度の研究及び実践化に向けて 4 ・実践化の検討及びACADEMYまでの見通し
○次年度のDOVE ACADEMYの方向性 ・次年度のDOVE ACADEMY
ディスカッションテーマの検討 ・個人テーマを基にした研究コースの決定
合 計 70
学 習 対 象 学 習 事 項
① 自分の進みたい道に就いている 1) 「なりたい自分」に近付くための「生き方」を探る研究テーマ 人々, 「なりたい自分」に近い職業 を設定する。
の人々 2) 「理想とする生き方」をしている人たちがどんな資質・能力を 身に付けているかを知り, 「なりたい自分」に近付くための研究 内容を絞り込む。
3) 憧れの人物・企業・施設を訪問し, 理想とする生き方を考える。
② 探究に必要な資料 1) 探究に必要な情報を幅広く収集する。
(訪問活動,文献資料,体験活動等) 2) 長期休業や休日を活用して,訪問活動等を行い,必要な資料を 収集し,整理・分析することで専門的知識を身に付ける。
③ 資料の分析結果や職場体験後の 1) 自分が探究し,明らかにしたことを整理して,自分なりの考察 記録や考察 を加えるとともに,新たな課題を明確にし,次年度に向けた研究
計画を立案する。
2) 実践化してみたい内容を明らかにし,実践化に向けた活動計画
を立案する。
(3) 3年部
これまでの学習を基に,身に付けた学び方を活用して,他に対して表現・実践する方向の 課題追究をし,職業人の生き方を模索していく。自己の実践を第三者に評価してもらい,そ の上で修正,実践を繰り返しながら,社会の一員としての資質・能力を磨いていく。他者評価 を生かしながら3年間の自分の研究を振り返り,自分の生き方を問い直し,高校での新たな生 き方の追究につなげていく。
<概 要>
月 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
内 ガイダンス 研究計画 テーマ追究 訪問計画 発表準備 Dove レポート作成 次年度への 追究活動
(3) (3) (3) (3) (3) ACADEMY (3) 提言 (5)
容 (6) (2)
<内 容>
月 活 動 時数 備 考
4 ○全校ガイダンス 1 ・総合学習のねらい,学年のつながり
○学年ガイダンス 2 ・研究の構想
5 ○研究計画 3 ・DOVE ACADEMYに向けての発表構想
○DOVE ACADEMYでの発表プラン
6 ○テーマ追究 4 ・調査研究テーマ設定
・事前調査との関わりと課題 7 ○夏休み中の訪問先検討 6 ・事前調査,訪問計画作成
8 ○DOVE ACADEMYに向けての発表原稿作成 ・プロジェクト,発表グループ決定
9 14 ・発表プログラム,シナリオの作成
10 ○職業人からの「生き方」講話 ・ 「生き方」の問い直し DOVE ACADEMY(12)
○DOVE ACADEMYの振り返りと次年度に向け 4 ・次年度構想の検討 た提案
11 ○レポート作成 6 ・レポートのガイドライン作成 12
1 ○追究活動 4 ・次年度のDOVE ACADEMYの検討
2 10
3 (4)
合 計 70
学 習 対 象 学 習 事 項
① 専門分野に関わる,深化した新 1) 探究したい研究内容を絞り込み,研究計画を立案する。
たな課題 2) 深化,実践化した課題に関わりながら地域で活躍している人々 と交流し,研究を深める計画を立案する。
② 専門分野の抱える課題の克服に 1) 理想の生き方に近付くための実践に必要な情報を幅広く収集し 取り組んでいる人々の生き方 たり,経験を積んだりする。
2) 長期休業や休日を活用し,調査・研究した内容について専門家 から評価やアドバイスをいただきながら,自分も理想の生き方に 近付く一歩を踏み出すことができる。
③ 自分がこれまで身に付けた研究 1) 自分の考えを発信し,認めてもらうことで学ぶ楽しさを実感で 成果(専門的知識や活用した資料) きる。
2) 他者の意見や提言を取り入れることで多面的・多角的な考え方 を身に付ける。
3) 実践化することを通して,3年間の研究の集大成を実感する。
④ 3年間の総合的な学習の時間の 1) 3年間で得た知識や技能,思考・判断などを言語化することで まとめや振り返り 研究の成果をまとめることができる。
2) 自分の成長を実感することで,自分の可能性への期待感を膨ら
ませることができる。
1 1年部
思いやりの職場<老人福祉施設 リンデンバウムいずみを訪問して>
私たちは、加湿や食事配膳から部屋の飾り付けまで幅広い 福祉の仕事を体験しました。その中で,掃除をしながら入所 者さんに声をかけたり,話し相手になったりすることで,入 所者さんと職員が互いに触れ合えるということがわかりまし た。職員の方々が入所者さんの為に行動していることが印象 に残りました。私たちが体験に来ていて,どんなに忙しい中 でも「思いやりの精神」を大事にしている園の方々の姿に胸 を打たれました。
私が実感した「働くこと」とは
福祉のプロフェッショナル豊嶋施設長にとっての「働くこと」とは,患者さんに手を尽く し,感謝されることでやりがいを感じることだとおっしゃっていた。私は,協力し,自分の 能力を高める中で,患者さんや入所者の方々を笑顔にすることではないかと考えました。福 祉や医療に携わる仕事では,応対する相手の方への向き合い方が重要ではないかということ も気付きました。
「関わる」ことの学びを日常生活に
本生徒は,この職場体験を通して「関わる」ことの大切さについて学んでいた。「ケアする」
と「ケアされる」ということは双方向性のあることだと気付き,お互いに対等な関係を築くこ との重要性に目を向けていた。本活動後,この生徒は他の級友に声をかけ関わりながら,集団 生活の向上を目指した気付きを発信する場面が多く見られるようになった。
「働くこと」の意味を考えた上で,本活動で得たことを生かしながら,日常生活を向上させよ うとする意欲的な面が見られたことが大きな収穫であったといえる。
販売の仕事から学ぶ <いとく秋田東店を訪問して>
2日目には商品の品質管理作業を,3日目にはパンの袋詰め 作業を行った。それぞれ単純作業ではあったが,一点一点を手 に取って確認するのは,商品の数や種類がものすごく多いだけ に大変な作業であった。缶詰や調味料などの日もちする商品で も,細心の注意を払い,念入りに確認作業が行われていた。お 店の方々の丁寧な対応に驚いたのと同時に,どんな作業に対し
ても心配りが大切であり,丁寧な作業はお客様からの信頼にもつながるということを学んだ。
買う立場では絶対に気付かないような発見がたくさんあり,貴重な体験となった。
働くことを通じて初めて気付いたこと
働くことは自分を向上させることでもあると感じた。つまり今の自分が勉強して学び,高 みを目指して努力することや,興味をもてることを探そうとする姿勢は,生きていく上でと ても大事なことであると気付いた。学校生活を大切にし,やりがいのある仕事を見つけられ るように将来を考えていきたい。
人と人とのつながりを大切にできる大人に
本生徒は職場体験を通じて,働くことの基盤は,人への思いやりや配慮,誠実さであると気付 くことができた。「どんなことにも意欲をもって取り組んでいくことが大切である」と実感でき たことで,一日一日が未来へとつながっていくと捉えられるようになり,生活の中に前向きな言 動が見られるようになった。
守るだけじゃない!自衛隊員<陸上自衛隊秋田駐屯地を訪問して>
自国を災害や外国の脅威から守る自衛隊は、16もの部署 に分かれていて、中には衛生科や会計科、需品科などの隊 員を支える職種もあります。このような部署があるからこ そ、隊員たちは自国を守るという任務を果たすことができ るのです。もちろん自衛隊には、訓練や演習といった、い ざという時正しく武器を扱えるように練習する機会もあり ます。
衛生科:患者の治療、隊員の健康管理・防疫、衛生資材の補給・整備など 会計科:部隊が必要とする物資の調達・補給、隊員の給与の支払い等の会計業務
裏方の仕事の大切さ
僕は今回、あえて裏方の仕事に目を向けて新聞を作成しました。表で活躍されている人が 注目されがちである現代社会において、今回の職場体験学習を通して、注目されにくい裏方 業務こそが現代社会の最大の要なのではないかと思いました。これは「仕事」という捉え方 だけでなく、自分たちのこれからの人生にも通じることだと思います。
活躍を「支える存在」の大切さに気付く
当初は活躍自体が見える役割や仕事内容に注目しがちであったが、職場体験を通して、裏 方として活躍を支える多くの人々の存在に気付くことができたようである。自衛隊の役割も 国民を外国から守るだけではなく、その多くは自然災害発生時に派遣されていること、さら には自衛隊の内部でも隊員の活動を支える多くの部署が存在することなど「見えない活躍」
の大切さを知ることで、人としての視野を広げることができた。
働く上で大切なこと<わかば幼稚園を訪問して>
私が働く上で大切だと思ったことは,相手との信頼 関係を築くことです。信頼関係を築くためには,相手 のことを理解する必要があります。幼稚園の先生は,
幼児一人一人と真剣に向き合い,コミュニケーション を大事にすることで信頼関係を築いていました。また,
信頼し合っている先生と幼児は,助け合いながら生活 していることも分かりました。
今後の学校生活に向けて
誰にでも素早く話が伝わるように,表現の仕方の工夫をしたり,相手の気持ちを理解した りすることで,喜びや感動を与えられるようになりたいと思いました。また、臨機応変に対 応することの大切さについて改めて気付くことができました。どんなときでも焦らずに落ち 着いて考えることを意識して生活していきたいです。
経験を生かして,成長するために
本生徒は,わかば幼稚園での職場体験を通して,働く上で大切なことは,信頼関係を築くこと とコミュニケーションを大事にすることだと実感することができた。学校生活を振り返り,今か らできることを考え自分を成長させるために,努力していこうという思いをもつことができた。
2 2年部
「誰かのため,自分のため」という生き方を目指して
「優しい心をもって飼育にあたる」これは,職場訪問で上野動物園に訪問した際に,職員の方 から教えていただいた職員心得10箇条の中の1つの言葉です。「優しい心」言いかえれば「思 いやる心」この心を上野動物園では大切にしています。上野動物園では,自然に限りなく近い環 境で飼育することをモットーにしています。特にホッキョクグマなどの寒い所で生きている動物 には,プールやエアコンなどの涼しく過ごせるような工夫がされていました。
今年度は,飼育員の方と同様に,目に見えない誰かのため,目に見えない何かのために,働く 姿に直面しとても感動しました。そして,相手を思いやれる生き方がすてきだとも思いました。
これらの経験を通じて,私が,人生の柱として大切にしていきたいことは「誰かのため,自分の ため」ということです。将来,誰かのために一生懸命になり笑顔にすることができたら,理想の 生き方である「職場に行くのが楽しみ」になると思います。20年後,その夢が現実のものにな っているように,頑張っていきたいと思います。
体験を通しての気付き
A子は,夏休みの職場体験で,お菓子屋さんを訪問し「好きなことで生きる人」を調査した。A 子にとって充実した生き方とは,当初「自分の好きなことをする」だった。しかし,学習旅行など の職場体験を通じ,他者を幸せにする,社会に貢献すると同時に自分自身にとっても収入や充実感 など自己の幸せにつながることを実感した。自分と他者の関係は切り離せないものであり,その関 係が自分を成長させてくれるものであることに,あらためて気付くことができたのである。
人の幸せ,自分の幸せのために,正しく生きるということ
私は東京証券取引所で「正しく生きる」という生き方を知った。その1つはお客様との信頼関 係についてだ。取引の場,交渉の場ではわずかなミスや不正があってもお客様の信用を失う。ま た,お客様に少しの不安をも抱かせないように「株券の売買をしない」と自ら宣言している。2 つ目として,交通違反などの生活の至るところで十二分に気をつけなければならないということ だ。これらを総てまとめると「正しく生きる」という意味であると分かった。
「自分と周りの人,みんなが幸せになるように」これが,学習旅行を通して考えた目指したい生 き方である。学習旅行に行く前までは「自分自身」に視点を置き,生き方を考えていた。しかし,
企業訪問でお世話になった方や道を教えてくれた方,ディズニーシーのキャストさんや西成教授 など,たくさんの人に出会い学ばせてもらったりしたことで,私も何かしら人の役に立ち,「あ りがとう」と言ってもらえるような人になりたいと強く思った。
視点の転換から見えてきたこと
本生徒は,職場体験学習を通して生き方を考える際の視点が「自分」から「他者」へ転換され,
自分と周りの人,みんなが幸せになるような生き方がしたいと結論付けた。それは,他者の存在が 自分の生き方や幸せに影響することを学んだことである。そのためには他者の信頼を失うようなこ とはあってはならず,他者に感謝されるような正しい行いをしていく必要があることを学んだ。今 後の研究では,他者に貢献するために自己の適性や能力の活かし方について模索していくことが必 要となる。
夢や目標をもつことの重要性
学習旅行で訪問した警視庁では,どんな仕事にも一生懸命に取り組む姿から,都民を守る強い 意志を感じました。インタビューでは,仲間との連携はとても大切だとおっしゃっていたので,
仲間と協力することの大切さに気付きました。また,刑事ドラマを見て憧れを抱いたことをきっ かけに警察官になりたいと思ったと伺ったことから,改めて夢や目標をもつことの重要性を感じ ました。通信指令室では早急に行動に移し,正確性が求められる作業を淡々とこなしていたので,
警察官という仕事のすばらしさに再度気付かされました。
常に向上し続ける〈1年間のまとめとして〉
1年間のDOVEの学習の中で最も印象に残ったことは,「常に向上し続ける」ということで す。これはただ向上するだけでなく,「人のために尽くすこと」や「周りから信頼されること」
が土台となっていると思います。また,仕事は内容が全く違うものでも根本的な精神は同じであ ると思いました。このことより,自分と共通点がほとんどない人とでも,その人のことを受け入 れてお互いを尊重していきたいと思いました。
多様な職業人の生き方を素直に受け止める
警視庁の訪問活動を通して,警察官の仕事の内容や職業人としての心構え,気概を十分に感じ取 ることができている。「強い意志をもつこと」「夢や目標をもつこと」が今後の人生において重要 な指針となるようである。そして他の活動や課題を経験した結果,以上の言葉は「向上し続ける」
という言葉に変容した。本生徒は今年度以前からアフリカでの医療活動をすることを将来の職業と して希望している。年度当初は自身の考えに軸を見いだすことができず,学習面や部活動面におい てもなかなか成果を得ることができなかった。多様な職業人の生き方を素直に受け止めることで,
理 想の生き方を本人なりに見いだすことができた。
挑戦を恐れず,一つ一つのことに謙虚に向き合う
1年生の職場体験では秋田市社会福祉協議会を訪問し,年齢に関係なくコミュニケーションをす ることにより,笑顔は生まれるのではないかと考えた。夏休みには医師である両親にインタビュー したり,世界初の女医となったエリザベス・ブラックウェルの伝記を読んだりして,自分が人に歩 み寄ることで幸せが生まれるということがわかった。学習旅行では東京証券取引所を訪問し,株式 の仕組みや証券会社で働く上で大切にすべきことなどについて話を聞いた。その中で,嘘をつかず,
相手からの信用を得ることが,企業にとっても出資者にとってもWinWinの関係を築くことにつなが るという話が心に残った。
私はこれまで,「人のために行動し,人に必要とされたい」と考えていた。今年度の研究を通し て,更に私は「全ての人に謙虚に,新たな挑戦を恐れずに立ち向かう」という生き方を目指したい と思った。「信用」「信頼」は人の心を動かす。それを得るには何事にも誠実に向き合い,そして 自分から一歩踏み出して,新たな挑戦をしなければならないということを学んだ。
様々な人との関わりから学ぶ
両親が医師であるこの生徒は,以前から医療に携わる仕事に就きたいと考えていた。今年度の研 究では「医師」の周辺を探っていたが,学習旅行では東京証券取引所を訪問したり,東京大学の西 成教授の話を聞いたり,ディズニーシーのキャストが働く様子を見たりして,自分の「生き方」と して一番何を大切にしていきたいのかを見直していた。研究活動を通して様々な人と関わルことを 通して,自分の生き方に新たな価値を求めることができた。今後はよりよいコミュニケーションを するための自分の在り方について追究していくだろう。
3 3年部
(1)発信・表現コース
他者理解につながる“自己理解”
~世界は自己理解であふれてる~昨年度まで人との関わりを通して物事を理解するというテーマで研究してきた。学習旅行等 での訪問活動から、他者理解のためには自己理解が不可欠だと考えるようになった。改めて自 己を振り返るとき、日常の言動から自分の行動パターンを客観的に捉えるように努めた。また、
自分のことをよく知る身近な人の協力を得て、あえて自分の「短所」を聞き、自己分析をする という手法も効果的だった。精神科医の先生や、発達心理学の先生のお話から、私たちに馴染 みのある心理テストにも、実は自己理解のポイントがたくさん隠されていることを知り、新鮮 な驚きとともに自分のものの見方が広がった。DOVE ACADEMYでは、自己理解をもとに実生活で 自分らしさを出していくことが自己表現だ、という研究成果を、参観者に音楽(合唱)でも発信 することができた。コミュニケーションゲームや音楽による自己表現に、他者理解の視点が深 く関わっていることを参観者と共有できたことに一定の手応えを感じた。「自己理解」の響き は一見堅苦しく思うが、自分は他者と影響し合い、関わり合いながら、変わっていく自分を肯 定的に受け止め、より自分らしく生きたいと考えるようになった。
自分らしさのその先に・・・
この生徒は、「自分らしく生きることで人の生活を豊かにする」という生き方を追究するなか で、「自分」とは何かを深く掘り下げて考え続けた。今後、様々な場面で意思決定が求められる ことを踏まえ、周囲から受ける評価を「相手のニーズ」と捉え、それをどう「自分のニーズ」と 合わせていくか、その過程が自己理解になるという考え方に到達した。これにより、「自分らし さ」を生かして生きることについて、他者理解と自己表現という視点で見つめ直すことができた。
研究を深めるために実践を積み重ね、自己理解が「生きやすさ」につながることを実感したこと で、他者との関わりをもとに未来志向で物事に取り組もうとする意欲がより強くなった。「自分 らしさ」を模索する中学生というこの時期だからこそ、DOVEの研究が今後の道しるべになると確 信している。
(2)心交流コース