環境適合理論と会計システム
−管理会計システムを中心として−
岡田裕正
t.はじめに
組織と会計システムとの関連を考察するとき,大きく分けて2つの方法が あるように思われる。ひとつは組織の中の人間や集団の存在に焦点をあて,
それらと会計とのかかわり合い,すなわち一方から他方への影響を見たり,
相互の関係を検討する方法である。これに対して,組織の構造に焦点をあて,
組織構造に応じてどのように会計システムが決まってくるかを検討する方法 がある。
環境適合理論に基づく会計システム論は,このうち後者に属するものとい うことができるが,Laugh1in=Lowe[1990]によると,この会計システム論 は組織をオープンシステムでしかもラショナルシステムとして捉えたものと
1)
して分類されている。これまで,この環境適合理論に基づく会計システム論 についての考察は管理会計システムを中心に行なわれている。そこで本稿で
はWaterhouse=Tiessen[1978],Otley[1980]およびTiessen=Waterhouse
[1983]の所説を中心に,環境適合理論に基づく会計システム論の展開を見 ていくことにする。
1)Laughlin=Lowe[1990]pp・28−29・
述べている。しかし,どのような測定手段が採用されるべきであるのかとい うことを判断する明確な基準も存在していないのである。このように多くの 管理会計における業績測定手段が本質的に怒意的なものであるなら,それに 基づく測定値が識別可能で明確性を持つという知覚は,物的または経済的な
プロセスから生まれるというよりは,社会的なプロセスから生まれるこ土~
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なるであろう。そうすると,このような管理会計システムの測定がいかにし て合法性を獲得するのかということが問題になる。 T i e s s e n= W a t e r h o u s e 口 9 8 3 J では,この点について,準法的な身分にある人が会計測定を承認したり,会 計担当者の専門的な地位,組織外部の代表者が管理会計システムの測定値に 対して置く信頼性ということに由来すると考えられている。
ここで述べた T i e s s e n= Waterhouse [ 1 9 8 3 J では,エイジェンシ一理論と 市場一組織理論から,管理会計システムがルール化される必要性と管理会計 システムが比較的安定的な理由を述べている点で意味があると思われる。企 業内部で経理規程が定められたり,制度的にも会計原則などが定められる理 由を説明するときに示唆を与えてくれるものと思われるのである。
5 .結びに代えて
以上,環境適合理論に基づく会計システム論を, Waterhouse=Tiessen [ 1 9 7 8 , ] O t l e y [ l 9 8 0 J ,および T i e s s e n= Waterhouse [ 1 9 8 3 ]を中心に紹介 してきた。環境適合理論では,管理会計システムは,技術と環境の変化,組 織構造およびそこにおけるコントロールということと関連づけて議論されて いる。このように企業における会計システムをとりまく条件を明らかにし,
その条件の変化に応じて様々な会計システムが存在する可能性を示したこと は,それが明確ではないとしても,ひとつの考え方を示したという点では環 境適合論の意義であるということができるであろう。
4 1 ) Tiessen=Waterhouse [ 1 9 8 3 J p . 2 6 3 。