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Academic year: 2021

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フィジックス・デザインを用いた都市型 1x2x3 最小限住宅の設計 環境デザインと空間の最大化に関する研究

建設工学専攻(修士課程) 建築設計研究

ME15096 指導教員

山本

や ま も と

明輝ひ ろ き 赤堀 忍 0.序

0.1 背景

都市への人口集中、ライフスタイルの多様化によって、

住まい手の住宅に対する意識が変化したことにより、都 心の高層マンションや都心周辺地域における狭小住宅 の需要は拡大し続けている。

また、我が国の住宅・建築物部門におけるエネルギー 消費量は全体の 3 割以上を占め、かつ過去 20 年間に著 しく増加している。東日本大震災を契機として大きく転 換を迎えた国内のエネルギー需給の状況を考慮した次 世代型の住環境が求められており、環境共生住宅の事例 は、建築家を始め住宅メーカーでも数多く存在している。

0.2 目的

本設計の目的は、フィジックス・デザイン(後述)を用 いて最小限住宅を設計することである。建築を構成する 環境デザインと最大化させた空間を多角的に分析・スタ ディすることで、その関係性を明らかとする。

0.3 方法

これまでの建築思想の中で、建築における空間の最大 化は研究が多岐に渡って行われている。その手法は体系 化され、住宅メーカーも自在に使えるまでに至っており、

都心における狭小住宅の事例は数多く存在する。しかし 近年強まる建築における環境配慮やその技術の著しい 進歩に対し、意匠的なアプローチが明確になされている とは言い難い現状がある。環境デザインは意匠的観点か らは付加価値として存在でしかないと言える。

一方で、構造デザインと意匠と関係についてはどうだ ろうか。近代建築において、技術革新を契機にした RC 造や S 造等の構造体をデザインソースとした設計や、逆 に意匠設計に沿った構造デザインの考案等、構造と意匠 設計は一体で考えられてきた。20 世紀における構造の地 位は高く、構造技術の発展と相互関係を築いてきたもの が近代建築におけるデザインと言える。

それに対し、環境デザインはどうだろうか。環境配慮 技術をソースとしたデザインについて考えられている が、住まい手であるエンドユーザーにはハードルが高い。

住まい手が求めることは快適な住まいであるため、環境 への配慮を謳う環境共生住宅は魅力的であるが、一方で 生活に対するイメージが着きにくい。何より環境配慮技 術は空間として写真に顕れないため、住まい手にはデザ インとの関係性が分かりづらい。この現状に対して、一 手を打ったのがハウジング・フィジックス・デザインで ある。これは 74 の事例でこの研究の事例は 30 坪以上の 住宅を対象としており、デザインによる空間の最大化を

考慮しきれていない。もちろん吹き抜けや、大開口等に よる意匠設計によって空間を広々使う工夫はなされて いるが、最小限住宅における研究を行うことでフィジッ クス・デザインと空間の最大化の関係性と明らかとし、

環境→デザインと一方的な関係とも言える環境デザイ ンから、さらに環境とデザインに相互関係を築くことが 可能となる新たな展開が図れるのではないだろうか。

ここで空間の最大化を最も図らなければならない狭 小住宅において空間を構成する各要素で光や風、音等の 自然環境や素材を付加させて分析する。そこで 1x2x3 プ ロジェクト(後述)を主な事例として研究を行い、最小限 のヴォリュームで環境と意匠の関係性を検証していく。

1.フィジックス・デザイン 1.1 概要

フィジックス・デザインとは、つまりハウジング・フ ィジックス・デザインのことである。これは環境を配慮 する技術から展開する新たな住空間のデザイン手法の 確立のことで、小泉雅生、貝島桃代、西沢大良、三分一 博志、曽我部昌

史、五十嵐淳、

藤本壮介、7人 の建築家によ るハウジン グ・フィジック ス・デザイン研 究会が作った 造語である。こ こで扱うフィ ジックスとは、

「熱」「光」

「音」「空気」

「環境設備」

「水」、「緑化」

の項目に分類 されている。こ の研究対象と しては、ハウジ ング・フィジッ クス・デザイン 研究会が選ぶ 環境に対する

特徴的な配慮を 表1.都市型該当制御手法 行っている30坪ないしそれ以上の敷地を持つ74 の住宅

― 170 ―

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(2)

事例を対象に分析を行っている。

1.2 事例

事例選定に当たり、2011年の長松実論文を参考にする。

ハウジング・フィジックス・デザイン研究会が選ぶ環境 に対する特徴的な配慮を行っている74 の住宅事例のう ち、一定の尺度を持った資料価値の高い事例を選定する ため、新建築、新建築住宅特集、住宅建築の3 誌より重 複する記述が得られた52 事例を分析対象とする。詳細 は本論参照。

1.3 分析

分析についても長松実修士論文を参考にする。分析 する敷地条件は都市型、郊外型、田園型の3つであるが、

このうち都市型を主対象とする。分析する構成要素は、

空間・配置構成、屋根、壁、床、開口部の5項目。環境 要素は光、熱、空気、音の4項目。各項目にはそれぞれ 以下の要素がある。光は自然採光、間接採光。熱は断熱・

遮熱、蓄熱・集熱、輻射。空気は自然換気、機械換気。

音 は防音、吸音。各事例の分析項目は、家族構成、敷 地条件、気候分布、構造、構成要素、環境要素。これら をフィジックス制御手法とし、都市部におけるフィジッ クス・デザインの手法を明確にする。

2. 1x2x3プロジェクト 2.1 概要

課題条件は以下の 6 項目である。敷地は前面 を幅 4m道路、背面と側 面は住宅に囲まれた住 宅密集地域である。3600

×7200×10800(巾㍉×

奥行㍉×高さ㍉)以内の ヴォリュームを持つ。外 周壁寸法は、基本的に内 法か壁心とする。大人 2 名、子供 2 名の核家族が 住む戸建住宅とする、都 心における近年の傾向 としては、4 人家族の世 帯構成の場合、タワーマ ンション等の集合住宅 に住居を構えることが 多く、戸建て住宅を購入 するのは子供が自立し た比較的高い年齢層が 多い。開口部は道路側、

建物上部のみとする。方 角は各自で決定する。た だし道路側を北か南と する。

本課題は今年で 20 年目となり、模型やデータの数は かなりの数となった。その中で設計主旨やファサード、

断面構成が同様の事例はほぼなく、事例で設計者がそれ ぞれ空間の最大化を図っている。

2.2 事例 参 照 可 能 な 図 面や模型を 基 に 設計主旨、空間ダ イアグラム、平面 図、断面図、ファ サード、パースペ クティブイ メ ー ジの諸情報 を 収 集し、データシー トを作成する。詳 細について は 本 論を参照。

2.3 分析 空間を構成する 各要素を分解し てカテゴライズ する。分析項目と しては、主に空間 構成、プログラム

構成の2種である。 図1.1x2x3プロジェクト分析項目 3.設計

3.1 1x2x3プロジェクトにおけるフィジックス・デザイン

第 1 章、第 2 章の分析・考察結果を基に 1x2x3 プロジ ェクトにおけるフィジックス・デザインについて分析を 行う。詳細は本論を参照。

3.2 設計

以上の分析を基に、本章で設計を行う。対象地域は月 島の木造密集地を想定する。敷地条件は 1x2x3 プロジェ クトを基本とし、法規関係を対象地域から抜粋し用いる。

詳細については、本論を参照。

【参考文献】

1)小泉雅生著 「ハウジング・フィジックス・デザイン・

スタディーズ」 INAX出版 2008 .9

2)レイナー・バンハム著 堀江悟郎訳「環境としての建 築」鹿島出版会 1981.5

3)日本建築学会編 「地球環境建築のすすめ」 彰国社 2002.8

4)村上周三著 「ヴァナキュラー建築の居住環境性能」

慶應義塾大学出版会 2008.3

5) 長松実著 芝浦工業大学 修士論文「現代住宅建築に おける環境設計手法に関する研究-フィジックス・デザ インの可能性について-」2011.2

表 2.1x2x3 プロジェクト一覧

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