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Academic year: 2021

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: 天井    : 壁    : 床    : 幅木

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1-3 建築の色彩設計法

 二次元的な色彩調和や三次元空間の色彩調節といった 論理に加え、建築空間では光や材料、部位の形、空間の構 成との関係性といった問題がある。また、人が入り、人が空 間の印象を受け取るという点でみれば、建築の色彩はわた したちの生活を包み、暮らしの背景となり、その場らしさを与 えなければならない。その結果、調和の効果は、調和する かしないかだけでなく、より多面的、立体的に評価される必 要性がある。

 これだけの制約をまとめると、建築の色彩における標準色 には特定の傾向が見い出せる。また、標準色を用いることで 設計の統一や簡易化、色彩デザインにおける最低水準の 保証、施工管理の利便性、技術の蓄積などの諸点に有用 であることがいえる。

日 本 の 伝 統 色 が 建 築 空 間 に 及 ぼ す 影 響 に 関 す る 研 究

— ル ・ コ ル ビ ュ ジ エ の 建 築 的 ポ リ ク ロ ミ ー の 分 析 を も と に —

建設工学専攻 ( 修士課程 ) 建築設計研究

me15046 五寶 智美 指導教員  赤堀 忍 序章 本研究に関して

0-1 はじめに

  現在取り扱われている色の数は2000以上にもおよび、あり ふれた色彩は形態を無視し色が都市空間を形成しているよ うにも感じられる。建築におけるデザインや構成において、

色彩は極めて重要な要素であり、それはもはや素材と同等 の効果を持つのではないだろうか。建築の色彩に関する研 究として、関係性の歴史を追ったものや、絵画論から、また は記号論的立場からアプローチしたものは多く存在する。

だが、特に20世紀の建築作品に関しては、造形の問題に 比較して色彩の問題を十分に検討されているのか疑問が 残る。建築物は比較的白または黒く、透明性の高いものが 増える一方、看板などの装飾には色が氾濫している。

 そこで、いまいちど色彩が空間に与える影響と最適な色 の組み合わせについて考え直していきたいと思う。また、色 のなかで日本の伝統色と空間について特化した研究という ものはなく、「日本らしさ」の追求という観点からの新たなア プローチとして日本の伝統色を扱う。

0-2 研究目的・方法

 本研究では、ル・コルビュジエ自身が建築と色彩との関連 性を唯一直接的に述べたものとしてPolychromie architec- turaleを参考にする。この論文はコルビュジエが1931年に Salubra壁紙工場の色見本として制作したSalubraⅠと同時 に発表されたものであり、所謂コルビュジエカラーについて の考え方が述べられている。

 そこで本稿では、コルビュジエのPolychromie architectur- aleにおける建築理念と色見本の使い方を中心に、彼の色 彩に関する言説や既存研究から分析を行う。また、以上の 分析と建築の色彩設計の基礎をもとに、日本の伝統色を用 いた色見本を作成することを目的とする。

ごほう       さとみ

第1章 建築の色彩設計  1-1 色彩調和

 単色の色の好みには個人差が大きいが、暮らしの中で人 は複数の色の組み合わせを認知しているのであって、それ にはある程度の普遍的な配色の良、不良がある。こうした色 彩調和論について、現在色彩学者の間でも通説となってい るジャッド 註1) の4つの調和の原理があげられる。一つ目は「

秩序」であり、マンセルの色立体などから規則的に選択した 色同士は調和の良い色であるという原理。二つ目の「親し みやすさ」は、普段目にする自然などから抽出した色の組 み合わせは受け入れやすいという原理。三つ目の「共通性

」は色相・明度・彩度のいずれかひとつでも近似した色同士 は調和がとれているという原理。最後に「明白性」は、前3つ の原理では鈍重になりがちな配色に対比的な色を加えるこ とでアクセントを与え調和を図るというものである。

1-2 色彩調節

 物体のあるところに必ず色彩も存在するのだから、色彩と 建築の歴史は同じ長さだけ存在する。しかし、色彩調節は 建築の一部分としての色彩ということはなく、色彩の効果を

積極的に応用して合理的に彩色し、場の快適性を向上させ るためにおこなわれるものである。これらを考慮し、建築の 各部位ごとの標準的な色彩範囲を定めたものがある。(

fig.1)

第2章 ル・コルビュジエの色    2-1 建築的ポリクロミー成立の背景

 コルビュジエの建築作品に色彩が多用されていることはい うまでもなく、使用されている色彩が前期の作品にはパステ ル調の淡色が、後期の作品には原色系の強い色が用いら れるようになることも良く知られている。彼にとっての建築的 ポリクロミーとは、ピュリスムの絵画論を提唱していた頃の色 彩論を建築空間に応用した行為のことをさす。

 彼は1920年代に画家A・オザンファンと共にPurisme(純粋 主義)を提唱する。彼は、近代絵画のなかでPurismeの色彩 理論について述べている。それによると、彼は色彩を3つの 音階に分け、(1)主音階:画面上にとどまる色階 (2)動的音 階:絵画平面から突出したり後退したりするように見え、絵画 の安定性を破る色階 (3)主音階と動的音階を補完する音 階、と理論づけた。この理論に基づいたものがPurismeのカ ラーパレットであり、Grande gammeとGamme dynamiqueの 二つに分類される。Grande gammeは黄土色、赤、茶色、

白、黒、ウルトラマリンブルーなどといった自然に関連した色 彩を表し、上記(1)に対応する。一方Gamme Dynamiqueは、

レモンイエロー、オレンジ、緑、コバルトブルーなどといった 科学的な色などを含む動的な色彩とされ、(2)に対応する。

 これらの組み合わせによる空間的な効果が建築的ポリクロ ミーの基盤となり、後のコルビュジエのカラーキーボードへと 発展した。

fig.1 色彩設計の標準色範囲(色相-彩度/明度-彩度)

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【 彩度 C 】

【 明度 V 】

基調色 = 背景色 14 色の前景色

: 天井    : 壁    : 床

黄蘗色 煤竹色

木蘭色 青鈍 紫根 苔色

苔色

黄丹

真朱 赤香色

憲法色 朱華

乳白 鬱金色

鬱金色 中縹 裏葉色

黄朽葉 丁字色

紫苑

紫苑 朽葉色

建材名 : チーク 乳白 (にゅうはく)

薄香色 (うすこういろ)

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主要参考文献

1)Le Corbusier, Arthur Ruegg,『Le Corbusier –Polychromie architecturale Les Claviers de couleurs de Le Corbusier de 1931 et de 1959 』 2)加藤道夫『ル・コルビュジエの建築的ポリクロミー に つ い て 』 日 本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 第 5 3 6 号 2 0 0 0 年 1 0 月   3 ) 鈴 木 基 紘 『 ル ・ コ ル ビ ュ ジ エ の Polychromie architecturaleにおける建築理念』日本建築学会中国支部研究報告集第26巻 平成15 年3月922 4)磯野恭平『色彩と空間構成からくる絵画的設計手法試論』芝浦工業大学大学院修士論 文 2011年度 5)DIC(旧 大日本インキ化学工業)『DICカラーガイド 日本の伝統色 第8版』 6)乾正 雄『建築の色彩設計』鹿島出版会 1988年 7)日本色彩学会『新編 色彩科学ハンドブック 第3版』東 京大学出版会 2011年 etc...

註1)ジャッド:Deane B. Judd(1900-1972)アメリカの国家標準局(NBS)、国際照明委員会(CIE)、ア メリカ光学会(OSA)などの要職を歴任した著名な色彩学者

2-2 カラーキーボード《SalubraⅠ》の分析

 こうした絵画的概念と建築家としてのコルビュジエの色彩 感覚が基礎となり、SalubraⅠが1931年に発行された。

(fig.2)その主な構成は43色の無地の色見本を用いた12種 類のカラーパレットである。カラーパレットにはそれぞれにタ イトルが付けられ、タイトルを連想させる色が基調色となって いる。この基調色とその他14色の色の関係性はGrande  gammeとGamme dynamiqueの考え方によるものだが、色ま で完全に対応しているわけではない。

 また、色彩調和の観点から見た場合、定量的に色彩設計 の標準色範囲に収まることはなく、しかし、部位ごとのマンセ ル値の収束や、差の関係性といった定性的な点で十分に 考慮されていることがわかった。(fig.3)

2-3 実作品にみられるカラーキーボードへの布石  コルビュジエの建築作品において、SalubraⅠが発行され る前後の作品(1925-1935年頃)から色を用いた建築がカ ラーキーボードにどれだけ対応しているかの分析を行った。

分析対象はデータの有無なども含め4作品に絞られた。

3-2 色見本帳の作成

 まずは300色ある伝統色から、色見 本帳に使用する限られた色を選定す る必要がある。そこで江戸時代までに 使用されていた色222色を選定、その 中から”日本らしさ”を感じさせる配色 についてまとめた結果、43色の色が あげられた。これらはある程度、色立 体のなかで均等に分布する組み合わ せであり(fig.5)、かつ建築空間で常用 されるY・YRの淡い色が多い傾向にあ った。

 次に、色見本をいくつかの種類で分 別するためにタイトルをつける。基本

3-3 実作品への還元

 以上作成した色見本帳をもとに、建築の実作品内部の色 彩を変更していく。この際、コルビュジエカラーの与える印象 と比較することで、日本らしさの対比関係を明示する。対象 建築は「ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(絵画のギャラリー)」と篠 原一男「白の家(リビング/寝室)」を採用する。

第3章 色彩の建築空間への影響 3-1 日本の伝統色における色彩効果

 日本における色の歴史は、その染色方法と強く結びつい ている。日本では建築空間を彩るというよりも、着物や絵画 において色が使用され、それらを立てかけることで空間を仕 切ってきた。そのため、塗るというよりも“染める”といったほう がより日本らしい彩色の言葉と言えるだろう。

 日本で最初に登場した色は赤と言われている。赤は呪術 的で、神秘的な色と考えられていた。神社仏閣において赤 を中心として色が多用されるのには、こうした背景がある。後 に、泥水などで染めた黒や茶、植物の色素を摺り込ませる ことで青や黄色を生成した。後に色味が増えてくると、色は 身分を表す記号として使用されたり、自然の色合いを着物

 日本における建築空間への塗色の実態は、まちといかに 調和できるか、人をいかに浮き立たせるかに重点が置かれ ていた。そのため、色は背景となり抑えられた色彩ばかりが 多用されていた。しかし、色彩もひとつの建築要素である。

 色彩を建築素材のひとつとして再提案し、”日本らしさ”を 表す建築空間で用いるための色見本帳を作成できたこと は、新たな日本らしさの指標として、かつ配色技術の底上 げに少しでも寄与できたのではないだろうか。

結章

fig.4 実作品の分析例 fig.2 SalubraⅠよりカラーパレット1

fig.5 選定された43色

fig.3 SalubraⅠと色彩設計の標準色範囲の関係性

fig.6 日本の伝統色を用いた色見本帳の例

 結果として、1920年代までの作 品にはピュリスムの影響が強く作 用しておりカラーキーボードとの 対応率も高かった。一方、1930年 代に入ると、SalubraⅠに対応した 色を使っていながらその意図する ところは考慮されていない色彩設 計が行われていた。つまり、彼に とってSalubraⅠはピュリスムの色 彩論の集大成であったことがうか がえるのである。

の襲に取り入れ季節感を表した。やがて、江戸時代には華 美な服装を禁じられ、人々は黒や茶色の派生色を考案し、

それらを組み合わせることでおしゃれを楽しんだ。

 こうした歴史は脈々と日本人の暮らしのなかに浸透してお り、私たちは無意識のうちにそれらを見て、感じて生活して いるのである。ここに、日本人特有の色に対する生理的・心 理的反応が隠されているといえる。

はコルビュジエが示したタイトルを踏襲するが、日本らしい空 間を再現するため、床にはフローリングと畳の素材を取り入 れた。こうして「(空間の)拡がり」「床」「壁」「木」「風景」「」の6 種類とする。また、色の並びについても再検討した。カラー キーボードでは、色めがねを使用したとしても、選択される 色は限られてくるため自由性に乏しいと考えられる。そこで、

六角形のカラーチップを組み合わせる配色見本を提案す る。(fig.6)

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参照

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