研 修報告書
か ら
奇 経
八
脈
の
考 察 (
続)
永 露 千
秋
*・川
本
正
純
* *・
藤
川
治
* *1 .
は じ めに我
々 は,昨年度
に引
き続
き,
『針灸大
成 』 に記載
さ れ て い る奇経 治療 法
を 基に任脈 ・陰驕
脈・督
脈・
陽 驕 脈の四脈につ い て の証 候 弁 別と治療穴
につ い て の検討
し た。 そ こ で奇経治療
の 臨 床 応 用で の考察
を報
告 する。2
,
針 灸 大 成 (明 ・楊 継 洲 著 〉八脉 図 並 治 症 穴【
任
脈
】
痔瘧便腫泄痢,
唾紅
溺 血咳痰,牙疼喉腫小便難,
心 胸 腹 疼 噎 咽。 産 後 発 強 不 語, 腰 痛 血 疾 臍 寒, 死 胎 不 下 膈 中 寒,
列 欠 乳 癰多散
(
解
題)
痔
瘧 便 腫泄
痢 :腹下 り,
下痢 すること。
痔
と は,
1
)
肛 門 部の疾病
をい う。 こ れ は肛 門の内外
に生じ,平素
より湿熱
が内積
し てい た り,
辛 辣 燥 熱の食
物 を 過食
した り, 久 坐 して血行
不良
となっ た り,常
に便
秘してい た り,婦
人 が お産
の時
,力
を 入 れ過ぎ
た た め, あるい は慢
性 下 痢 などの原 因に より,
濁 気・
癧 血 が 肛 門に 流 注 する こ と に よっ て お こ る。 主 な症
状は塊物
の突 出・
疼痛 ・
出 血 な どである。
塊 物の位 置に よっ て,内痔 ・外痔 ・内外痔
な どに分 けるこ と が出 来る(
《素 問生気 通天論 》参
照 )。2 )
九 窮 中の小 肉突 起の こと(《医 学 綱 目》 「凡そ人 の丸 窮 中に小 肉 突 起 あ り皆 痔とい う」)
。
瘧
〔
ぎゃ く〕
とは, 間 歇 性の悪 寒 戦 標・
高 熱・
*関 西 鍼灸 短 期 大 学・
鍼灸 学 臨床 教 室 研 修 員 * *関 西 鍼 灸短 期 大 学・
鍼 灸学 臨床 教 室 指 導 教 員 出汗
を特徴
とする疾病
。古
人 は この病
が多
く夏秋季
及び山林
で蚊
の多
い 地帯
に発
生す
る こ とを観察
し てい た。兼有
する病邪
や体質
の強弱,表
現
さ れ る症候
の違
い に より次の よう
に分 類さ れ る。 臨 床 症 候で は, 風 瘧・
暑瘧 ・
湿瘧 ・疾瘧 ・
寒瘧 ・
温瘧 ・牡瘧 ・牝瘧 ・
痘瘧 ・瘧
母・
疲
瘧
な ど。 発作時
間で は, 間日瘧 ・
三日瘧 ・
三 障 瘧・
久 瘧 など。誘
発 素 因と流行
の特徴
では,労瘧 ・
虚瘧 ・瘴瘧 ・疫瘧 ・瘴気
な ど がある(
《素問痩
論》・
《金 匱 要 略 瘡病
》参
照)
。 唾 紅 溺 血 咳 痰 :唾や咳 痰に血 が 混 じること。 牙疼喉腫小便難
:歯
が痛
み,喉
が腫
れ,小便
が 出 難い こ と。
心胸腹疼噎
咽 :心窩
部か ら胸腹
部にか けて疼痛
が あ り, 咽 がつ まる状 態。
産後
発 強 不 語 :産 後 舌に強ば りが 生 じ,
喋 れ な い 状態
。産後
不 語 と は,産後敗
血が去
らず,心
に停積
するため に, あるい は産 後 気 を傷 り, 心 気 が 虚 して舌
に 上通 する こ と が でき
ないた め に,
ま た は痰熱
が心に乗
じ て心気
が閉
塞 する た め に呈 す る病 証。 敗血 に よ るもの は,
面色
は紫 黒で心 悶 する。 こ れ は活
血開 癧し心気
を通 し るの法
に よ り治療
する。 心気
の虚に よ るもの は, 心悸 ・短
気 ・自
汗を と も ない,気
血 を補益
するの法
にし た がっ て八珍 湯 加 味な ど を用い て治 療 する。 湿 熱によ る ものは,喉
間に痰
声が あ り,
面熱
して 胸 悶 するなどを あら わす。 治 療は湿 熱 を清 し胃 を和 すの法に よ く, 二院 湯 加 胆 星, 釣 藤 な ど を 用い,
あ るい は眉 心 を刺 針 して 出 血さ せ る、
と よ い(
《経動
産室
》参
照)
。 腰 痛血疾臍寒
:腹
部が冷
え,
癆血で腰
が痛
むご95
奇 経 八 脈の考察(続) と 死 胎 不下膈 中
寒
:胎児
が母体
内で 死ん で排
出 さ れない , 胸 中が膈 塞し て冷
え,
通じない こと。
列 欠 乳 癰多
散 :乳 癰〔
に ゅうよう〕
と は,
吸 乳・
炉 乳・
吸 妨ともい う。 多 くは肝 気の鬱結
,胃熱
の 壅 滞に よっ て お こる 。 初期
は,
乳 房に硬い し こ りがあら われ,
腹 痛 し,
乳 汁が十 分に出 ず,
また悪寒
発熱
な どの全身
症 状 をともな う。
漸 次腫塊
が増 大 し,赤 くなっ て劇痛
し寒熱
が去
らず,化膿
して くる。 急 性 乳 腺 炎の こ と。早期
に は舒 肝 清 胃・
通 乳散 結
な ど を用い る (《 肘 後 方》参
照)
。列欠
と は列 缺 穴と考 え ら れる 凡 治 後 症, 必 先取
列 欠為
主,次取各
穴応
之1
)鼻
流涕臭,名
日鼻
淵,
曲 差・
上 星・
百 会・
風門
・
迎香
鼻水
が流れ臭 う
こ と。鼻
淵〔
びえん〕
とは,辛類鼻淵
ともい う。 重 症の もの は脳 漏 ・
脳寒 ・
脳 崩・
控 脳 砂 と もい う.
。
風 寒に よ るものは鼻
が塞が り香
臭 がわか らず,鼻悌
が多
く常に鼻
中がつ らい 。治療
は珪 肺 通 竅の法が よ く,辛
夷散
な ど を用い る。 風 熱に よ るものは, さ らに島
流涕
が止 まず,色
が黄
で 腥 臭がある。 治 療は清 宣 肺 竅・
涼 血 解毒
の法が よ く, 蒼耳子散
加 丹皮 ・蒲
公英
が よい 。 胆 熱が 脳に移 り,
脳 漏となった
もの は,鼻
塞鼻酸
濁涕
が 止 まず 髄 の ようで 膿の ようであ り, 腥臭
が わ か ら ず,
甚 だしい と頭
量目眩・
頭痛
健忘
する。治療
は清 胆 熱・
宣 肺 竅の法が よく,取
淵 湯(
《瘍医大
全》)
を用い る。 気 虚 を 兼 ねる も の は補中益 気の 法が よ く,
補 中 益 気 揚 加 辛 夷・
蒼 耳 子を用い る。 鼻 中の止 水が漓し,
腥 臭が わ か らず,
頭 目昏 暈 し, 形 体 消 痩の もの は,
すで に控
脳 砂をなしてい て癌 変の疑い が あ る。治療
は宣 肺 通 絡の法が よく, 天羅 散《医余
金 鑑》を 用い る。
この ほ かの 方と して は脳 漏,
控 脳 砂を 治 療 する もの に奇
授蕾香丸
《医 余金鑑》 を,
蒼耳
子 熱 湯を用い て送 服 する こ と がある (《素
問気
厥論
》 《至真 要人論》参 照 )。
◇ 曲 差 穴 :清 熱 散 風・
調 和 営 衛・
通竅明 目・
清頭 散 風
・定
喘 降気 ・明
目安神 ・
袿 風 止 痛・
泄 熱 開 竅・
清 頭 明 目◇
上 星 穴 :瀉
諸熱気 ・
止 口鼻
出血・
通鼻竅 ・清
肝 熱
・
利 機 関・清熱散
風・
通竅
止 畷・
清 頭 明目
・
散 風 利 鼻 竅・
鎮 驚 安 神・
疎 通経
絡・清
頭散 風
・熄
風清
熱・寧
神 通 鼻◆
百会
穴・
風 門 穴・
迎 香 穴 :前 述2 )鼻
生「肉,
閉塞
不 通,
印 堂・
迎 香・
上 星・
風 門癒 (
息)
肉〔
そ くにく〕と は,
気 血 が一
カ所 に滞 り,
あるい はこれ に熱邪
が注
い で宣暢
で きず
に発 生 する贅肉。
こ れ は全身
,特
に鼻
, 耳に で きやすい 。 《 霊枢
邪気蔵府
病 形 篇》 「徴 し く 急 なる は_
腰 背 胸に引 き,若
し くは鼻 息 肉
あっ て通ぜ ざる こ と をな す」◆印
堂穴 ・
迎香穴 ・
上星 穴・
風 門 穴 :前 述3
) 傷 風 面 赤, 咳 嗽 咳 満, 膸 中・風
門・合谷 ・
風
府
傷 風 面 赤 とは
,
陽気
が頭 面に蒸
越 して,
集 まっ て散 じ ない ため に おこる。時
に赤
くな く,時
に た ち ま ち赤 く なる。恥
じて赤
面 する状態
の よう で ある (《傷 寒 論 太 陽 病》 「太 陽に初めて病
を得
た る時,
其の汗を発 し,
汗 先 ず 出で て徹
せず,
因っ て転
じ て 陽明に属 するな り 。 続い て 自 ら微 に汗 出で悪 寒せず, 若し太 陽 証罷
ま ざる者
は之
を 下 すべ か らず。 之 を下せ ば逆と為
る。 此の如
く小 し く汗
を発すべ し,
も し面 角 縁 縁 と正 赤の者
は陽気
鬱 して表に在 り, 当に之 を解 し,
之を 菓 ずべ し」)
。 傷 寒 〔しょ うかん〕とは, 1.
広 義の 傷 寒を さ す。多種
の外 感 熱 病の 総 称で ある(
《 素 問 熱 論》 「今そ れ熱 病は, 皆 傷寒
の類
な り」)
。2.
狭義
の傷 寒 を さ す。
寒 邪 を 外に受け,感
じてす ぐに発 する病 変 をい う(
《難 経五十八難》 「傷 寒に 五 あ り, 中 風 あ り,
傷 寒 あ り, 湿 温あ り, 熱病
あ り,
温病
あ り,
その 苦 しむ所 各回 し か ら ず」 《傷 寒 論 太 陽 病上 》 「太陽病
,或
は すで に 発熱し,
或はい ま だ発 熱せず, 必 ず悪 寒 し,
体 痛 嘔 逆,
脈 陰 陽ともに緊な る もの,名
づ けて傷寒
とい うj)。
3
.
病 因 を さす。 王 叔 和の 《傷寒
例 》 に 「冬 時の厳 寒,
これ に触
冒す るもの す なわ ち傷
寒 と名つ く」 とあ り, また 「霜 降 り しより 以 後, 春 分に至る以 前,
凡 そ 霜 霧に触
冒し,寒
に中 りて病む ものあ り,
これ を傷寒
という
」 と ある。
これは初 病の原 因 を 説 明 して い る ば か り でな く,
発病
に一
定
の季節性
の あ る こと を も い っ て い る。咳
嗽〔
がい そう〕
とは, 宋以前
の書
では咳
も嗽
も 同 じ意味
に使
用さ れてい る。 金・劉 河間
《素
問病機気
宜 保命
集》 「咳 は痰 な くて声 ある をい う。肺気
傷れて清
な らざる也。嗽
は是れ声 な く て痰 あ り。 脾 湿 動 きて痰 を な す 也。
咳 嗽 は 痰 あ りて声 ある をい う。 蓋 し肺 気 傷れ,
脾 湿 動 くにより,咳
して嚥軟
を な す也」 と あ る。 これ 以 後, 内 経にもとづ き, 咳・
嗽・
咳 嗽 を 同じ意 味とする説と,
河 間に従
っ て咳 ・噺 ・咳嗽
を区
別し て用い る者
と があ り,統
一
し た意 見は成 立 し てい ない。
咳 嗽の発 生は外 邪の犯 肺,
臓腑
の内
傷が肺
に及ぶ などの原 因があ り,
よっ て 「咳
嗽
は肺
に止ま らずして肺
を離
れず
」の説
が ある。治則
は外感
によ る もの は挟
邪 邪 宣肺
の法
を用 い,内傷
に よ るものは臓腑
の調
理 を 主 とする。
咳
嗽の分 類は病 邪にもとつい た もの として,
傷 風咳嗽 ・
風寒咳嗽 ・
風熱咳嗽 ・傷燥咳嗽 ・燥熱
咳
嗽・
疾 飲 咳 嗽・
寒 嗽・
熱 嗽・
湿 咳・
暑 咳・
火 咳・
食 咳・
癧 血 咳・
時 行 嗽 などが ある。 臓腑
分 類より,
肺 虚 咳嗽 ・肺
咳・
心咳 ・
肝咳 ・脾咳 ・
腎 咳 ・
大 腸咳 ・
小 腸 咳・
胃 咳・
膀 胱 咳・
三点咳 ・
胆 嗽・
労 嗽・
気 嗽 などが ある。 さ らに咳 嗽 発 生の時 間と咳の特 徴に もとつ い て,久咳 ・
五 更咳 ・
夜 嗽・
咳 嗽・
呷 嗽・
唖 嗽・
頓 嗽 などが あ る。
◆艚
中 穴・
風 門穴 ・合谷
穴・
風府
穴 :前 述4
) 傷 風,
四肢煩
熱 頭痛,経渠 ・
曲池・
合 谷・
委 中 手 足が発 熱と同 時に心 煩 あるい は煩 躁 して胸 苦しく感
じ頭痛
が あ るもの 。煩 熟 〔はんねつ
〕
と は,
発 熱と同 時に心 煩 あ る い は煩 躁 して,
胸苦
しく感
じ るもの を煩 熱 と いう
。外感熱病
で表記
に属 するもの は, 邪 熱 が 外 泄で きず,裏
に属す る もの は,裏
が実して熱 が盛ん な た め である。 大 便が通せず, 少 腹 満 し て煩 するもの は, 燥 尿が内 結 してい るた めであ る。 内 傷雑病
で は, 肝 火 旺 盛・
陰 虚 火 旺 な どに よっ て引
きお こ さ れ る多
種の疾 患に み ら れる(
《傷 寒 論 太 陽 病 中》 「発 汗,
若 し くは之を下 し, 而 して煩 熱,
胸 中室
が る者
は栃子鼓
湯 之 を 主る」 《素
問 本 病 論》参
照)。
◆経 渠
穴(
経 金 穴 ):清 肺 降 気・
疏 風 解表 ・清
熱 利 咽
・
止咳
平喘 ・疏調肺気 ・宣肺 平
喘・
清熱
止 痛・
調 理 肺 気・
利 気 降 逆 ◆ 曲池 穴・
合 谷 穴・
委 中 穴 :前
述 5)
腹 中腸痛
, 不 利 不 已,内庭 ・
天枢 ・
三陰交
腹 痛があ り
,
下痢
が止ま ら ない こ と。◆ 内庭
穴・
天枢
穴・
三陰 交 穴 :前 述6 )赤白痢疾,腹
中冷痛,水道 ・気海 ・外陵 ・
天
枢 ・
三陰 交・
三 里赤 白痢
〔
せ き は く り〕
《素 問》に は注 下 赤白 ・
泄注赤 白
な どの名称
が み ら れ る。粘液
と膿
血,
す なわち赤 白の夾 雑 物 を 下 痢 する こ と。多
くは,
湿 熱 がともに滞っ て腸 胃を阻み,気分
血分が侵
襲
さ れ た た め に よ るものである。
治 療は, 情 熱 化 湿・
調 気 行 血の法 によ く, 白
頭 翁 湯 など を用 いる(
《病
源》 「冷熱相交
わ り,故
に赤白相雑
す。 重 き者
は膿涕
の如
くに し て血 之に雑 え, 軽 き者は白
膿上に赤 脈薄
血あ りて,状
は魚脂脳
の 如 し」)。◆水道穴
:利
三焦膀胱腎
中熱気 ・
清 湿 熱・
利膀
胱
・
理 下 焦・
調水道 ・清熱利湿 ・
通調水
道・
温
経散寒 ・
分 別 清 濁・
調経
種 子・
通二 便・
利 水 消 腫・
活 血 利 気 ◆ 外 陵 穴 :温 下焦・
理気 機・
調 理 腸 胃・
行 気 活血
・
温 経 散 寒・
調 気 活血・
和 胃化
湿・
通経
止 痛・
理 気 活 血・
調 理 月 経◆気海
穴・
天枢 穴・
三陰 交 穴・
三里 穴 :前 述7
) 胸 前 両 乳 紅腫痛,
少沢・
大 陵・
月亶中 胸が腫 れ痛むこと。97
奇経八脈の考 察 (続 )
◇
少 沢 穴・
大 陵 穴・
月亶中 穴 :前
述 ◆ 天 枢 穴・
中 月完穴・
関元穴・
三陰交
穴 :前
述8
) 乳癰腫痛
, 小児
吹 乳,
中 府・
牘 中・
少 沢・
大 敦吹 乳
〔
すい にゅ う〕
,
乳 吹,
吹 妨ともい う。
乳 癰の こ と。
内 吹 と外吹
に分
け ら れ る。 (《慈航
》 「有児
を外
吹 乳と な し,有字
孕を内吹
乳と なす」)多
くは肝気
の 鬱 結 胃 熱の癰 滞によ っ て お こる。 初期
は乳房
に硬
い し こ りが現 れ,
脹 痛 し乳 汁が十 分 出 ず, また悪寒
発熱
な どの 全身
症 状 を伴 う。
漸 次 腫 塊が増 大し,赤
くな り激痛
し,
寒
熱が去 らず,
化 膿 して くる。
急 性 乳 腺 炎の こ と。 早期
に は舒 肝 清 胃・
通 乳 散 結の方 などを用 い る。
◇
中 府 穴 (肺 募 穴・
手 足 太 陰 経 交 会 穴)
:清 宣上
焦 ・
疏 調 肺 気・
理 肺 利 気・
瀉 胸 膈・
清 四 肢熱
・
止 咳 平 喘・
清熱
宣肺 ・補
益肺 気 ・
通 調 胸 絡・
温 肺 散 邪・
温 通 経 絡 清 泄 肺 気・
養 陰 清熱 ・粛降肺 気 ・和
胃利水 ・
瀉 胸 中 熱・
補 気 健 脾◆
臆 中 穴・
少 沢 穴・
大 敦 穴 :前 述9 )腹
中寒痛 ,
泄 瀉 不 止,
天枢・
中 月完・
関元・
三 陰 交腹 部に寒 冷 を伴 う疼 痛があ り
,
下痢
が止 ま ら ぬ こ と。泄 瀉
〔
せ っ しゃ〕
と は,単
に泄
あるい は瀉と もい い,
大 便 が 稀 薄 あるい は さ ら に水様性
と なっ て回数
が増 すこと 。 また大 便 が 稀 薄 な もの を泄 とい い , 水 様 便 を瀉
と もい う。本証
は 六淫 の外感 ・食積 ・
痰 阻・
肝 腎 虚 弱・
情 志の失 調 な どの た め に,
脾 胃の運 化と腸 道の 機 能が み だ れ て ひ き おこ さ れる病 証である。
病 因に よ り,
風 瀉・
寒 泄・
暑 瀉・
熱 瀉・
湿 瀉・
濡 泄・
傷食
瀉・
疲
瀉・
気 瀉・
腎 泄 などが ある。
また泄 瀉の状 態 と大 便の 性 質に よ り, 旗 泄・鶩泄 ・
溏 泄・
水 瀉・
洞 泄・
滑 泄・
五 更泄・
禄 食 瀉・
大 癜 泄 など がある。 (
《三 国極一
病
証 方 論》参 照 )。 《奇 効 良 方》 「 泄は潰 漏の義,
時 時 溏 薄し,
或は作 し 或は癒ゆ。瀉
は一
時に水 去る こ と注の 如し」 と あ る。10)
婦 血 積痛
, 敗 血不止,
肝兪 ・
腎兪 ・
膈兪 ・
三
陰交
気 逆 血 鬱に よ り凝
結
して積を な し,
癧血 が内 蓄 して痛み が止 まぬ こ と。敗
血と は,
密血の こ と。◆肝
兪 穴・腎兪
穴・
膈兪
穴・
三陰交
穴 :前 述11
) 咳嗽
寒 痰,
胸 膈 閉 痛,
肺 兪・
牘 中・
三里 咳 嗽 し冷 えて痰 がつ ま り胸 膈が通 じず 痛 むこ と。◆肺
兪 穴・
膤 中 穴・
三 里 穴 :前
述12
)
久嗽
不愈,咳
唾血痰,
風 門・
太 渕・
牘 中永い 間 咳 嗽が治 癒せ
ず咳
や唾に血の痰
が混
じ る こ と。◆
風門穴・
太 渕 穴・
牘 中穴 :前 述13
) 哮 喘 気 促, 痰 気 壅 盛, 豊 隆・
兪府 ・體
中・
三 里哮 喘
〔
こ うぜ ん〕
とは,
1
.
哮
証 と 喘 証の全称
の こ と。哮
は主に呼
吸が気息
し,
喉 間に夜 鳴 声 がある。
喘は主に呼 吸 促 進 をさす。
甚 だし け れ ば口を は り,
肩息
し,
臥 すことがで き ない な ど の症 状 を あ ら わす(
《医
学正伝》参 照 )。2.考
証の こ と。哮
証は発作 時,
常に喘と共にあ らわ れ る た め哮 喘 とい わ れる (《丹 漢 心 法》参
照)
。 ◆ 兪 府 穴 :降 逆気 ・
理腎気 ・清肺
順気 ・
瀉 肺・
宣 降
肺気 ・
平 喘 止 嗽・
健 脾養 胃 ・
止咳定喘 ・
宣 肺理
気 ・降
逆化痰 ・
怯 痰定
喘・
気 喘・
鎮 痛・
理気 降 逆◆
豊隆 穴・
月亶中 穴・
三里穴 :前
述14
)吼喘 胸 膈 急 痛, 月亶中・
天 突・
肺兪 ・
三墨咳が甚だ しく振 振と して
胸
が急 迫 する疼 痛の こ と、
,◇
躔 中 穴・
天突穴・
肺兪
穴・
三里 穴 :前述 ]5
)鼻
塞不 知 香 臭, 迎香・
上 星・
風 門鼻がつ ま り臭い がわか ら ない こ と。
◆
迎香
穴・
上星 穴・
風 門 穴 :前
述16)鼻
流清
涕,膣
理不密,噴嚏
不 止,神庭 ・肺
兪 ・太渕 ・
三 里希
薄
な鼻汁
が流れ, 肌が荒
れ, くしゃ み が止 ま ら ない こ と。◆神
庭 穴(
督
脈 足 太 陽膀
胱 足 陽 明胃
交 会 穴)
:平 肝 鎮 驚
・
清 頭 明 目・
通 竅 止 嘔・
寧
心 安 神・
清熱鎮痙 ・清頭散風 ・鎮静安神 ・寧神 ・降
逆 平 喘・
散 風 鎮 驚・
清 熱・
潜 陽 安 神◆肺兪穴 ・太
渕穴 ・
三 里穴
:前
述17
) 婦 人 血 瀝,
乳 汁 不 通,
少 沢・
大 陵・
膸 中・
関
衝
瘰
癧で,格
塊が紅腫
疼痛
する もの があ り, 乳汁
の 出が悪い こ と。◆ 少沢穴 ・大陵穴 ・膿中穴 ・
関衝穴
:前
述18
) 乳 頭生瘡,名
日 妬 乳,
乳根 ・少
沢・
肩 井・
牘
中乳
妬 〔
にゅう と〕
とは, 乳癖 (
にゅ うよう〉・
炉 乳(
とにゅう
)
に同じ。産後
乳児
が乳を吸わ なかっ た り, あるい は吸っ て も乳が多
くて飲み き れ ない ため に乳 汁 がた ま り , 気 血 と影 響 しあ
っ て乳房
が硬
く張
れ,痛 く
て触
れ るこ とが で きず,
あるい は 乳 頭に小 さ な瘡 がで き, 痛み や 痒 み をともない掻 くと黄 汁 がに じ む。 乳 腺 炎の 類である。治療
は清
熱解毒
の法
に よ る (《肘後
方》参
照)。
◆ 乳 根 穴・
少 沢 穴・
肩 井 穴・
月亶中 穴 :前 述19)
胸 中 噎 塞 痛, 大 陵・
内 関・
肥 中・
三里胸
がつ まり,塞
がっ た痛
みの こ と。◆大陵
穴・
内関
穴・膸
中 穴・
三里 穴 :前 述20)
五瓔等
症,項
瓔 之 症有
五 ;一
日 石瓔 ・
如石之
硬
;二 日気
痿・如綿
之 軟 ;三 日血瓔 ・
如赤 脈 細 絲 ;四 日 筋
瓔 ・
乃 無 骨 ;五 日肉瓔 ・
如袋
之 状・
此乃 五瓔 之 形 也, 扶 突・
天 突・
天瘻・
欠 盆・
兪 府・
膺 兪 (喉 上 )・
月亶中・
合 谷
・
十 宣 (出血)
痿 〔
えい〕
と は,外感
の六邪
に より営衛気
血 の 凝 鬱, あるい は内傷
七情の怒 気に よ り, 湿 痰 の停滞
あるい は山嵐水気
の偏勝
に より気
血が凝
鬱
し て お こ る。多
く肩項
な どに生 じ る。 色は赤
く突 出 し,皮膚
がた る み, 根 本は小さ く下垂
し, 陽 証に属 する。 刀鍼
な ど で軽
が る しく破
っ て は ならない 。 さも な ければ 出 血が止 ま らず 立 ち ど こ ろに生 命 が あやぶ まれる。 その形 状と性 質の違
い に よ り,
肉嚶 ・筋瓔 ・
血瘻 ・気 瘻 ・
石瓔
の 五種に分 けられる。 ま た, 瘤(
い ん)に通 じ, 咽の病 気
(《呂氏春 秋
》 「軽水
に禿
と痿大 多
し」)
。
・ 気瓔
〔き えい〕 と は,
頸 部の片 側 あるい は両側
が広範
囲に腫
れ,
辺縁は はっ き りせず,軟
ら かで硬 く
な く,皮膚
は正常
で一
般に痛
みはな く ,喜
怒によっ て増 減 する。 青年
婦女
に比較
的多
く発病
し,山嵐
の水 気
あ るい は気鬱
に よっ て お こ る。本病
は単純性 甲
状腺腫
と類 似 してい る。治
療
は理気
解 鬱,化
痰 軟 堅,
健 脾 除 湿の法
を用い る。 《千 金要方
》参
照。 ・ 血 瓔 とは ,頸部
に瓔 塊 を生 し, そ の皮膚
が紅
くな り毛 細血管
が う き出し て見える もの。 頸 部 の血 管 瘤の こ と。 肝 火 旺 盛 また は心 火の血 熱に よ り, 血 が 熱 を も ち外 邪と合わさっ ておこ る。治療
は滋陰抑
火,養
血化癧
の法
に よい(
《 三国
極一
病 証 方 論》参 照 )。
・筋瓔
と は,多
くは怒気
が 肝 を傷 り肝 火 が 亢ぶ り,
陰
血 を灼 爍して血燥
を ま ね くに よりお こる。 症 状は喉 部に瓔
塊 を 生 じ, その 上に青 筋 が 露 出 して ミ ミズのはっ て いる ようで ある。 治療
は清 肝解鬱 ・養
血合
予筋
の法
が よい(
《三国極
一
病
証 方 論》参 照 )。・
石瘻
と は,気鬱 ・湿痰 ・癆
血の凝滞
に よ るも ので,頸 部に硬い 腫 塊が突 起 し,これに とも なっ て怒 り易い・
多 汗・
胸 悶・
心 悸,
ま た後 期にな る と気 管や食 道や声 帯に圧 迫 を 受 けるなどの症 状が み ら れ る。
甲状 腺 腫 瘤に相 当 するもの であ る。治療
は化
疾 開 鬱・行癧
軟 堅の 法 を用い , さ ら に外 用 薬・
手 術な どの 併 用も考
え ら れ る(
《 千 金 要 方》参 照 )。・
肉 痿 とは , 喉の両 傍の半 球 形の腫 塊が一
個ま99
奇 経八脈の考 察 (続) た は
数個
で き,皮膚
の色には変 化 が な く,
柔ら か く大 き くな く,表
面には光
沢があ り,呑
み 込 む動作
に従っ て上 下に移動
し ,投
じ て も痛
まず少
し振動 感
が ある もの。 同 時に心 停 胸 悶・
多 汗・
月 経 不 順な どが お こ る。 こ の多
くは肝気
の 鬱 結 あるい は脾が健や か に運行
せずに気滞
お よ び湿 痰の凝結
を おこ し,
それ に よっ て お こ る も のである。 本病
は甲
状腺腫
に類似
する。 治 法は 開 鬱 化 痰の法に よ く,海藻
玉痿
湯な ど を用い 陽和解
擬膏
な ど を外
用 する が,
必 要 なら ば手 術 を 行 う (《三 因 方》 参 照 ).
◆扶突
穴 :宣 肺 利 気・
止 咳 定 喘・
消 腫 止 痛・
利気解鬱 ・
清 利 咽 喉・
理 気 化 痰・
清 利 咽 膈・
調気
和血・
平 喘 寧 喘・
理 気 散 結・
利 咽 消 腫・
理気降
逆◇
天膠
穴(
手
足少
陽 経 陽維
脈交
会 穴 ) :核 経 絡 風 湿・
調 気血癧 滞・
清 熱 散 風・
疏 経 活 絡・
散風解表 ・疏筋
利節 ・清
熱 解表 ・
寛 胸 理 気・
袿風 湿
・
通経
絡◇膺兪
穴 :中府
穴の別 名◇
兪府
穴天突穴 ・
欠盆 穴・膀
中 穴・
合 谷 穴・
十 宣 穴 :前 述21
)口内 生 瘡,
臭 穢 不 可 近,
十 宣・
人 中・
金津 ・
玉液・
承 漿・
合 谷口の 中に
瘡
瘍がで き,
近 付 くと 口臭 が するこ と。
◆
十 宣 穴・
人 中 穴・
金 津 穴・
玉 液 穴・
承漿
穴・
合谷
穴 :前
述22
)
三焦極
熱,舌
上 生瘡,
関衝・
外 関・
入 中・
迎香・
金津・
玉液・
地 倉五臓の熱 証をい う
。
熱が極 ま り, 舌の 上に瘡 瘍がで きる こ と。
◆ 関 衝 穴・
外 関 穴・
人 中 穴・
迎 香 穴・
金 津 穴・
玉液 穴・
地 倉 穴 :前 述23
)口気 衝 人,臭
不 可 近,
少 衝・
通里・
人 中・
十 宣・
金津・
玉液気が 上昇し口臭があ} と。 臭い で近づ け ない こ
◆
少 衝 穴・
通里穴・
人 中穴・十宣穴 ・
金津
穴・
玉 液 穴 :前述24
) 冒 暑 大 熱,
霍 乱 吐瀉,委
中・
百労 ・
中脱 ・
曲 池・
十 宣・
三 里・
合 谷高
熱に犯 され,
吐 き下すこと。霍
乱 〔
か くら ん〕と は発 病 が 突 然で,
大い に 吐 し,
大い に潟 し,
煩 悶し て気持
ちが悪い こ と が特 徴で ある。 生 冷の もの, 腐っ た もの を 食べ た り,
寒
邪・
暑湿 ・疫
癘の気
を感受
して おこ る。 こ れ に は寒熱,乾
湿の 区 別 が あ り, 転 筋の 変 も ある。本病
はコ レラ,細菌
性食
物 中毒 などの疾 病にもみ ら れ る。俗
に は き くだ し とい う。寒
霍 乱 (かんか くらん)
, 熱 霍 乱(
ね つ か く らん)
, 乾 霍 乱 (か ん か く ら ん),
湿
霍乱 (
しつ か くら ん),
霍 乱 転 筋 (か くら ん て ん きん)
が ある(
《病
源
》 「霍乱
は 人の温涼
調わず,
陰 陽 清 濁の 二気 相おかし乱る るの時
ある に よ り,
こ の名
あ り。.
二 には霍 乱と名つ く,
言 う心は,
その病
揮
霍の 間に便 ち 繚 乱を致 す な り, .
_
」, 《入 門》 「霍 乱は , 暑 湿 乾の 三種
あり,
一
種
暑 霍乱
はす なわ ち温 霍 乱,
但 し此の疾 は夏 秋に甚 だし,
た とえ 寒 月 も亦多
く は伏暑
に よ る,
故
に名
つ く。一
種湿
霍乱
は声
あ り物 あ り。一
種 乾 霍 乱は声 あっ て物
な し」,
《要訣
》 「霍 乱の 病,
揮 霍 変 乱し,倉
猝に起 きて中寒
と相似
た り,
俗に呼
び て触
悪とす」, 《素 問六 元 正紀大論
》 「土鬱
の発
は,
民嘔
吐 霍乱を病む」,
《霊 枢五乱 篇》 「清 気 陰に在 り, 濁 気 陽に在
り,営気脈
に順い,衛
気逆行
し,
清 濁 用 干し, 腸胃
に乱れ れば, 霍乱
を為
す」,
《傷寒論
》 「嘔
吐して利 すを名づ け て霍乱 と 日う。 頭 痛,
発 熱,
身疼 痛,
熱 吐 し て 利す を名
づ け て霍 乱と日う。 頭痛
, 発 熱,
身 疼 痛,
熱 多 くし て水 を飲ま ん と欲
す る ものは,
五苓散
之を 主 り, 寒多
く して,水
を用い ざる もの は,
理 中 丸 之 を 主る」)
。◆委
中 穴・
百 労穴・
中 月完穴・
曲 池 穴・
十 宣 穴・
三 里穴
・
合谷
穴 :前 述25)
中暑自
熱,
小 便不利, 陰谷・
百労・
中 月完・
委
中・
気 海・
陰 陵 泉暑邪
に犯
さ れ発熱
し,
小便
が出 な くなること。◆
陰 谷 穴(
合 水 穴)
:袿 湿 通 溲・
疏 泄 厥 気・
益腎 陰
・
補 益 腎 気・
通 利 下焦 ・
疏 泄 厥逆 ・
調補
肝 腎・
清 熱 利 湿・
益 腎 肝・
健 脾 利 湿・
理 気 止痛
・
益 元 壮 腎・益
腎 興 陽・
調理前 陰 ・調経
血
・利
小便 ・
除 脹満 ・利導
下焦(
滋 腎 清 熱 )・
益 腎 助 陽◆陰陵泉穴
(合水
穴)
:運 中衝 ・
化湿滞 ・
調 膀胱
・弦
風冷 ・
温 中 焦・
理 脾 気・
瀉 心・
清 心熱
・
理 下焦 ・
健脾利 湿 ・
通利
三焦 ・調補肝
腎
・
健 脾 益 気・
温 補 脾 陽・
利 水 行 湿・
駆 邪散
滞
・
舒筋活
絡・
壮筋補虚 ・清利湿熱 ・益腎
固精
◆ 百 労 穴・
中 脱 穴・委
中 穴・気
海 穴 :前
述26)
小児急驚
風,手
足搖
搦
,印
堂・
百 会・
人 中・
中 衝
・大
敦・
太 衝・合谷
急驚風 〔
きゅう
きょ うふ う〕
とは,
小児
に よ くみ ら れ, 発 病が急で高 熱 を 発し眼 が 紅 く昏 迷 して ひき
つ け角弓
反張
し, 両眼
は上視
し,歯
を 堅 く食
い し ば り,
口 か ら白沫
を 出し,
ごろご ろ と天声
がある などが
主 訴であ り, 故に急 驚 風 と名付
け ら れてい る。
発 病の 原 因は外に六 淫の 邪 を感 受 した り,
あるい は急 激 な 驚 きや 恐れ を感 じ たり,疾痰
や食
の滞
りに よ る。凡
そ急
性 熱病
で上 述の 主 訴の ある もの は,全て急 驚 風に属 し, その中には中枢神経
の急性感染
症,例
えば流行
性
脳膜炎
及び脳炎
な ども含
まれ る(
《寿
世 保 元》・
《小児
薬証直
談》参
照)
。 ◆ 印 堂 穴・
百会
穴・
人 中 穴・
中衝穴 ・大敦
穴・
太
衝
穴・
合 谷 穴 :前 述27)
小児慢
脾 風,
目直
視, 手 足播
, 口吐 沫, 大 敦・
脾 兪・
百 会・
上星・
人 中 目は 正面し か み れ ず,
手足 は ひ きつ り 痙攣し,
口 か ら泡 を吐 くこ と。
慢 脾 風 〔ま ん ひ ふ う
〕
と は, 単に脾 風ともい う。 慢 驚が長びい て吐瀉
し,
肝 を損 傷 する か, あ るい は吐 瀉が長びい て体 が 弱 り発 熱 してお こ る。 症 状は顔 色青
く,額
に汗をか く, 舌が収
縮 する,
まぶ た が開か ない,
睡眠中 頭が揺れる,
舌 を 出 す, ひんぱ ん に腥臭
を嘔吐
する,
口噤,
手
足が ぴ くぴ く動 く,身体
が冷
えた り, 体は温 かい が 四肢
が冷
える, 脈 沈 微,虎
口 の脈紋
に(
栂
指と次指
の 間)紫青 ・
果す じ が混
じっ てあらわ れ る。 ◆ 大 敦 穴・
脾兪
穴・
百会
穴・
上 星穴 ・
人中 穴 :前
述28
) 消 渇 等 症。 三消 其 症 不 同,消痺
,消
中,消
腎
。
「素 問 」 云, 胃 府 虚,食
斗 不 能 充 饑,
腎 臓 渇
,飲
百杯
不能
止渇
及房労不稱
心 意,
此
為
三消 也.
乃 土 燥 承 渇, 不 能 克 化, 故 成此 病, 人 中
・
公孫 ・脾兪 ・
中月完・
関衝 ・
照海 (
治
飲 不 止渇)
太谿 (
治房
不稱
心)
三 里(
治 食 不 充 饑)
消 渇
(
しょ うかつ・
しょう
か ち)
と は,消瘴
ともいう
。宗,元
以後
は 三消
とい われ てい る。
1
.
一
般に多
飲・多
食・多
尿の症 状 を特 徴 とす る 病 証 を さ す。多
くは美
味の ものを過食
し,飲食
に節
度が な く,
あるい は 感 情の 失 調, 労 苦 と安 逸の節 度 を失 するこ とに よっ て臓 腑 燥 熱, 陰 虚 火 旺 をひ き おこ して おこ る。 治療
は一
般に 滋 陰・
潤 燥・
降 火の法 を 主とする。 病 機・
症 状と 病 状の進行
段 階の相違
に も とづ き上消 ・
中消 ・
下消の 区 別がある。
2
.
多
飲・多
尿・
尿 甘 を特 徴 とする病
証を さす。 《外台
秘 要》参
照。3 .
口渇
をさす(
《傷 寒
論 太 陽 病》 「太 陽 病 , 発 汗 後・
若
し脈 浮, 小 便 利せず 微 熱, 消 渇の者は,
五苓散
これ を主る」 《素
問奇病論
》参
照,
元・
危
亦林
《世医得
効 方》巻7
参
照)。
・ 上 消 〔じょう しょう〕 と は,
膈 消・
肺 消・
消 心 と もいう
。 口渇
し て水
を多
く飲 むの が主 訴で ある。多
くは心 胃の火 が盛んで上焦
が燥熱
し て お こ る が,寒
に偏
るもの もある。 熱に よ る もの は口乾 舌 燥 赤 色・
舌 苔 黄 色・
小 便は多) 水を飲
む 以 上 に小 便に出て,
どん どん痩せ てい きt 倦 怠 無 力で 短 気・
脈 沈 遅の もの は寒
に偏 し たも の で 気と津が共に傷れ た た め に おこ っ た もの で あ る(
《素 問 気 厥 論》 「心,
熱を肺に移せ ば,
伝わ りて膈 消 を 為 す」 「心,
寒 を肺 に移せ ば,
肺 消 す。肺消
は飲一
溲二 , 死して治せず」)。一 101 一
奇 経八脈の考 察 (続)
・
中 消 〔ちゅ う しょう〕
とは , 消 中・胃消 ・
脾 消 と もい う.多
食 するの に腹がへ り体は逆にや せてい くのが 主 症で,
大 便 秘 結,
小便黄赤色
で頻数,舌
苔 黄 燥 などの症 状 をともな う。胃
火が 盛んな た めに水穀
の 精 微が消 耗 し,
精 血 を損 傷 する た めにおこ る。
治 療は清 胃瀉
火の法
を主 と し,滋
陰 潤 燥の法 を加 味 する。 方は白 虎 湯,
調 胃 承 気 湯な ど を 用い る (《丹 渓 心 法》消 渇 参 照 )。。
下消 〔
げ しょ う〕 と は,
消の下 焦に属 するも の で,
腎 消ともい う。 濁っ た り油の よ う な粘性
の ある小便
を多
尿する のが 主訴で, 煩 躁や 口乾 し て水 を飲んだり,
舌は赤
くて,
脈は沈
細で数 の 症 状 をとも な う。 本 病は,
腎 陰の欠 損に よっ て虚して固摂で きな くなっ た た めにおこ る。 ま た脾の輸 化 作 用の失 調 と関 係 する。
小 便が頻繁
で 量 も多
く,
顔 色どす 黒 く,
陽 萎にな り,
脈 沈 細で弱
なの は陰 陽 共に虚し た証で ある。 ◇人中 穴・
公 孫 穴・
脾 兪 穴・
中月完穴・
関衝 穴・
照海穴
・
太谿
穴・
三 里穴 :前 述29
)
黒 癈,
腹痛
頭 疼,
発 熱 悪 寒,
腰 背 強 痛, 不 得 睡 臥,
百労・
天 府・
委 中・
十 宣◇
百労
穴・
天府
穴・委
中穴・
十 宣 穴 :前 述30
) 白疹,
腹 痛 吐 瀉, 四肢 厥 冷,
一
卜指
甲 黒,
不 得 睡 臥,
大 陵・
百 労・
大 敦・
十 宣 ◇ 大 陵 穴・
百 労 穴・
大敦
穴・
十 宣穴
:前
述31
) 黒 白 疹, 頭 疼 発汗,
口渇,大
腸 泄 瀉,
悪 寒,
四
肢
厥冷
, 不 得 睡 臥, 名日絞
腸.或
腸鳴腹
響
,
委 中・
體 中・
百 労・
丹 田・
大 敦・
竅 陰・
十 宣乾 霍 乱の 別 名
(
《医 林》 「乾 霍 乱,
俗に呼び て絞 腸疹
とい う」)。
瘢
とは, コ レ ラ等の 伝 染 性疾患
時に おい て皮 膚 表 面上 に 出 現 す る 斑点の色を差 し,
大 小・
色 彩 を 示し た ような もの で,
黒 癒・
白1
莎 ・
黒白癌
の 他に紅夢莎がある(王夫 人 説 )
。
◇ 竅 陰 (井 金 穴 ):袿 風陽・
清 肝 胆,
疏 気 火・
疏 肝 気
・
清 頭 聡 耳・
疏 経 活 絡・
啓 閉・
清 胆開 竅
・
開 竅 瀉 熱・
清 肝 胆 熱・
平 肝 怯風・
聡耳
明目
・
泄 熱 通竅 ・
清 熱 利 竅◇
丹 田 :関 元 穴の 別 名◆委
中 穴・
膾 中 穴・
百 労 穴・
大 敦 穴・
f
’
宣 穴 :前
述楊氏治
症32
) 血 迷 血暈
, 人 中血暈
〔
けつ うん〕
と は, 血分に病変
がある昏
厥の 症 状。 血暈
を 生 じ る原 因に よっ て 二 つ に分 けら れる。瘢血が上衝し て お こる実 証の もの は,
胸
腹 脹 満,気
粗、
両手
をに ぎ り しめ る,
牙 関 緊 閉,
脈 沈 伏 などの 症 状 を と も な う。
出 血 過多
に よ る虚証
の もの は,
眼 閉口開,
手 を 開 く,
気 徴, 六 脈 微 細 あるい は浮を と も なう。 脳 貧血,
産 後 のめ まい の類。◆
人 中 穴 :前
述33
) 胸 膈 痞 結, 湧 泉・
少 商・
膾 中・
内 関胸が
痞
して硬
くなっ た感じ の こ と。◆
湧 泉 穴・
少 商 穴・腹
中 穴・内
関 穴 :前 述34)臍腹
疼 痛,
牘 中・
大 敦・
中 府・
少 沢・
太 渕・
三
陰交
◆
臚 中 穴・大敦
穴・
中府
穴・少
沢 穴・
太 渕 穴・
三
陰交
穴 :前
述35
) 心 中 煩 悶, 陰 陵 泉・
内 関心 中が煩 熱
,
煩 悸, 煩 躁 するこ と。◇陰
陵泉
穴・
内 関 穴 :前 述36)
耳 内 嬋 鳴, 少 衝・聴会 ・
中衝・
商 陽蝉の声の よ うな耳
鳴
り が す るこ と。 ◆ 少 衝 穴・聴
会穴・
中衝 穴・
商陽穴 :前
述37
) 鼻 流 濁 汚,
上 星・
内関・
列 欠・
曲 池・
合 谷 混 濁 し た鼻 汁 が 出ること。
◆上星 穴・
内 関 穴・
列 欠穴・
曲 池 穴・
合 谷 穴 : 前 述38
) 傷 寒 発 熱,
曲差・
内関・
列欠・
経 渠・
合谷 外 感 熱 病一 102 一
◆ 曲差
穴・内
関 穴・
列 欠 穴・
経 渠 穴・
合 谷 穴 : 前 述【
陰
驕
脈】
喉 塞 小 便 淋 渋,膀
胱気痛
腸鳴,食黄
酒積
腹臍
並,
嘔 瀉 胃翻 便 緊。 難 産 昏 迷 積 塊, 腸 風下血 常 頻,膈
中快気気核侵
(解 題 )喉
塞 小便淋渋
:喉
塞と は喉喉
腔内
で,気管
の上 端に近い所 がふ さ が るこ と。
小 便 淋 渋 と は小 便 が ポ タ ポ タ と しか出 ず 不快
なこ と。膀 胱気痛腸 鳴
:気痛
と は病
証名
で,
七 情の 鬱 結・
痰 湿の阻 滞・
飲 食 労 傷 など によ り気が滞 り疼痛
を発
生 し た もの。常
に胸腹
腰脇
の部 位に発 生 する。気
が上焦
に滞
れ ば心胸痞痛
し,気
が 中焦
に滞
れ ば腹
脇 刺 痛 し,
気 が 下 焦に滞 れば疝 瘢 腰 痛 す。
気 痛の多
くは実 証のものが多
い,故
に 開 鬱 行 気の法 を用い る。 もし気 滞し て癆 血に至 る もの は,活
血化癆
の薬物
を加
えて治療
する(
《 霊 枢五色 編》参
照)
。食
黄 酒 積 腹 臍 並 :食 黄と は黄 疸の こ と。 酒 積 と は 飲 酒の過 度に より積
を な す もの。 症 状は面目 が 黄 色 く,
口乾 して渇 し,
腹 脹 満 して時に痰 水 を嘔
し,或
い は腹痛泄瀉
する。 さ ら に内
に瘢塊
を結 して癖 を な す もの もある。嘔瀉 胃翻便緊
:嘔瀉
は鴨
の糞
の様
な泄 瀉便
をい う。 寒 に属 する(
《素
問 至真 要大論
》参
照)
。胃翻 (
前
述)便 緊
は便
が硬
い こ と。難
産昏
迷積
塊 :昏迷
と は意識
不 明,
人事
不省
の こ と。 積 塊 と は 積 緊(
前 述)参
照 腸 風 下 血 常 頻 :腸 風 (前 述 ) 膈 中快気気核侵
:膈
中 とは病名
で,1.
噎膈 (
い っ か く)に同 じ。 呑み込 む 時に咽がふ さ が っ てい る ような感じ が噎, 胸膈が つ か えて飲 食を飲み 下せ ない のが膈である。
噎は普 通は膈の 前 期 症 状 なの で,合
わ せて噎
膈とい う (《霊 枢 邪気
蔵 府 病 形》参
照 )。2 .
胸 膈の 中を さす (《素 問五 蔵 生 成篇
》 「病 , 胴 中に在 り」)
。3
.
胸 中が膈 塞 し て通 じ ない こ と(
《霊枢
本蔵
篇》 「 肝大
な れ ば胃
に 逼 し 咽 に迫り,
す な わ ち臓中 を苦
し む」)
。 凡治後
症,
必先取
照海為
主,次取各穴応之
1
) 小 便 淋 渋 不 通, 陰 陵 泉・
三陰 交・
関 衝・
合谷
◆ 陰 陵 泉 穴・
三 陰 交 穴・
関 衝 穴・
合 谷 穴 :前 述2 )小腹冷痛,
小便
頻数,気
海・
関 元・
腎兪 ・
三
陰交
小
(
少)
腹, 小 肚とも言い , 腹部臍
下の部分
,或
は臍
下の両旁
をいう
。一
説に小腹
は臍 下 部,
少腹
は側腹部
ともいう
。冷痛
は,1.
九種
心痛
の一
つ 。2 .
痛 む 所に冷 感が あるもの。 これは裏寒
の症 状である。胃痛 ・
腹痛 ・癖 証
な どの時
に本
証 を呈 する。 丹毒
の 色の 白い もの。 ◆ 気 海 穴・
関 元 穴・
腎 兪 穴・
三陰 交 穴 :前 述3
) 膀 胱 七 疝, 奔 豚 等 症, 大 敦・
闌 門・
丹田・
三陰
交 ・
湧 泉・
章 門・
大 陵七 疝, 七 種の 疝 病
。
疝 とは,
元 来は腹の痛
む病 気
の こ とで ある が,後
世になっ て,
疝にい ろ い ろ な意味
をもた せ る こ と に な り,名称
も,
ま た説 も一
定
し たもの がない 。名称
につ い てい え ば,
《病
源》の五疝
:石疝 ・
血 疝・
陰 疝・
妬 疝・気疝
, 《素 問骨
空論
》の 七疝
:衝疝 ・
狐疝 ・癩疝 ・厥疝 ・
痕
疝 ・癢 疝 ・癒
i
病
, 《病
源》 の七 疝 :厥 疝・
薇 疝・
寒 疝・
気 疝・
盤 疝・
腑 疝・
狼 疝,
《儒 門事
親》 の七 疝 :寒 疝・
水 疝・
筋疝 ・
血疝 ・気疝 ・狐疝 ・
癲
疝
, 《素
問 注 証 発 微》 の七疝 :狐 病・
癲
疝・
心 疝・
肝 疝・
脾 疝・
肺疝 ・腎疝
。疝の発
病
は肝経
と密接
な関係
があ り,一
般
に は 「 諸 疝皆
肝に属 す」 とい われてい るが, 臨 床 上の症 状 に より,
以下の よう
に分類
する。1.
体
腔 内 容 物が外に突 出 するこ との総称
。多 く
の場
合
,気痛
症状
を ともなう
の で,疝気 ・
小 腸気 ・
小 腸気痛
な どの病名
が あ る。腹
壁よ り突
出する もの , 腹股溝
よ り突出 す る もの な どが あ り, ま た腹 腔 よ り陰嚢
に突
き出し てい る もの もこれ に 含ま れる。 ヘ ルニ ア の類をい う。2 .
生殖 器・
睾 丸・
陰嚢
部の病 証を さす。 た と え ば, 男 女の外
生 殖 器の潰 腫 流 膿や, 尿 道か ら敗 精 濁 物が流 出 す るこ と, ま た睾丸
や陰
嚢の腫大
疼痛
, さ ら に ま たこれ ら に腹部
の症 状を兼
ね る ものな ど が含
一
103一
奇経八脈の考察 (続) ま れる。 水 疝