Title
Castleman病の病態解析 : Interleukin6産生異常
Author(s)
西本, 憲弘
Citation
Issue Date
Text Version ETD
URL
http://hdl.handle.net/11094/36066
DOI
rights
Note
Osaka University Knowledge Archive : OUKA
Osaka University Knowledge Archive : OUKA
Castle簡an病の病態解析
一lnterleukin 6産生異常一
Pathogenic significance of
in Castleman’s disease
interleukin 6
大阪大学微生物病研究所原虫・寄生虫学部門
Dept.of Parasitology and protozoology,
Reseach lnstitute for Microbial Diseases
Osaka Univ.
西本憲弘
Norihiro Nishimoto
指導;中林敏夫教授
岸本 進教授
Director;Professor Toshio Nakabayashi
Professor Susumu Kishi胤oto
緒言
1956年, Castleman等は, 胸腺腫に類似し
た良性の巨大な縦隔リンパ節の腫大を有する
症例を報告した(1). それらの症例は, 発熱,
貧血, 高γグロブリン血症, 急性期蛋白増多
等の異常を示しており, それ以来このような
病態を示す疾患はCastユeman病と呼ばれてい
る(2).腫大リンパ節の病理所見の特徴は, 濾胞内
ピアリン変性と濾胞内及び濾胞外の毛細血管
の増生(hyaline vascular type)または, 濾
胞間に形質細胞の浸潤を伴うリンパ濾胞の過
形成(plasma cell type>を呈することである.
最も興味深い点は, 腫大リンパ節が孤立性
の場合, それを切除することにより上記の症
状や検査の異常が消失する症例が存在するこ
とである(2,3). 即ちCastleman病の病態は不
明であるが(4), 腫大リンパ節がこの病気の多
彩な臨床的特徴に直接関与しており, 病態の
本質のみならず病因が腫大リンパ節に在るこ
とが示唆される.
さて, Interleukin 6(IL−6) は当初, T細
胞由来のサイトカインで, 活性化B細胞を抗
体産生細胞に分化させる因子として発見され,
遺伝子がクローニングされたく5−7). しかしそ
の後の研究で, 多様な組織より産生され, 多
彩な生理活性を有することがわかった. 即ち,
肝細胞での急性期蛋白産生を誘導する(8−10),
発熱を誘導する(11), 多発性骨髄腫・形質細
胞腫及びB細胞ハイブリドーマの増殖を誘導
する(12,13)などの作用である. これらの作用
から, Castleman病の病態がIL−6の産生に何
らかの異常があって生じているのではないだ
ろうかと容易に推測される.
本論文では, 腫大リンパ節の胚中心に存在
する細胞より大量のIL−6が産生されているこ
と, 並びに血清中IL−6レベルと臨床症状や検
査の異常との間に密接な関係を有することを
示し, 腫大リンパ節からのIL−6の持続産生が
Castleman病の病態において重要な役割を担
っていることを明らかにした.
材料並びに方法
1)対象症例;臨床所見及び生検リンパ節の
病理学的所見によりCastleman病と確定診断
された患者のうち代表的な2症例にっいて検
討した.
症例1;14歳の女性. 6年前より発熱, 全
身倦怠及び関節痛があり, ポリクローナル高
γグロブリン血症, 血沈の充進, 急性期蛋白
増多, 抗ウィルス抗体価の軽度上昇(EBVCA
IgAx40, EB EBNAx80, Cytomegalo IgGx160),
及び抗核抗体陽性(x20)などの異常所見を有し
た. 又胸部X腺にて, 縦隔内に6x4cmの孤立性
腫大リンパ節が一っ発見されたが, 他にリン
パ節の腫大は認められなかった. このリンパ
節の摘出手術の3カ月後には, 臨床所見及び
検査値はすべて正常化した.
症例2;52歳の女性. 5年以上にわたる全
身の表在リンパ節腫大, 微熱, 股間節痛があ
り,ポリクローナル高γグロブリン血症, 血沈
の克進, 急性期蛋白増多, 抗Epstein Barr
virus抗体値の上昇(VCA IgG x640, EBNA
x1280), 自己抗体陽性(抗核抗体x2, 抗DNA抗
体 15u/ml)等の異常所見を有した. 骨髄所見
は, pan−myeloid hyperplasiaがあり, 4.2%
の形質細胞が存在した. さらに, CT及びリ
ンパ管造影にて, 腹部大動脈及び腸骨動脈周
囲に多数の腫大リンパ節が見っかり, これら
の腫大リンパ節の一つを摘出したが, 臨床・
検査所見の異常は改善されなかった.
以上2症例の臨床所見及び検査値をTable1
に示す.
2)病理組織所見
これらの2症例の生検リンパ節は基本的に
同一の病理組織像を示した.
腫大した二次小節を伴うリンパ濾胞の過形
成を呈し, 濾胞間のリンパ球は多数の形質細
胞と小数の免疫芽球(immunoblost)で構成され
ていた. さらに, 濾胞間には小血管の増生が
著しく, 壁の硝子化とendotheliumの肥厚を伴
っていた. それらの小血管は放射状に広がっ
て, 2次小節を貫いており, 2次小節も硝子
様変性を呈しているものが存在した(hyaline
vascular). 2次小節を構成する細胞は時には
類上皮様(epithelioid)になり, さらにこれら
の2次小節は小リンパ球に囲まれ, しばしば
“onion skin”様を呈した. 又, Russells小
体も濾胞間の形質細胞に混じり認められた
(Figure2−A).
3)リンパ節の培養
生体内でのIL−6産生能を可能な限り反映さ
せる in vitro培養系確立のため, 末梢単核
球を体外に取り出した後の細胞内IL−6 mRNAの
発現を経時的に追ったところ, 3∼4時間よ
り出現し初め, 5∼6時間で最大に達した.
この為組織の培養時間を7時間とし, 培養上
清中のIL−6量をもって生体内での産生能とし
た. 又培養液は無用な刺激をさける為, FCS無
添加RPMI−1640 mediumを使用した. 生検によ
り得られたリンパ節の小片(2x2x2 mm)3個を,
FCS無添加RPMI−1640 medium 2 mlにて7時間
培養した. 培養にはFalcon dish(#3001,
Becton Dickinson Co.. Oxnard, CA>を用いた
得られた培養上清はRPM【−1640 mediumにて透
析後, Millipore filter(Millipore Co.
Bedford, MA)を通して滅菌した.
4)recombinantIL−6及び抗IL−6抗体
recombinantIL−6(rIL−6)はE.coliを用いて
合成し, 精製されたものを用いた(14).
rlL−6は蛋白1mgあたり5x106unit(200pg/u)
の生理活性を有しており, IL−6活性測定のス
タンダードとして用いた. ウサギIgG抗ヒト
IL−6抗体はIL−6活性の中和実験に用いた.
モノクローナルマウス抗ヒトIL−6抗体
(αBSF2−60,lgM及びαBSF2−166,lgG1)(15)は
IL−6産生細胞の免疫組織化学的検索に用いた.
5)IL−6活性の測定
培養上清中のIL−6活性は, IL−6依存性に
IgMを産生するEpstein−Barr virus(EBV)
transformedヒトB細胞株SKW6−CL−4(CL−4)細
胞を用いて測定した(16). 1x104 CL−4細胞
/200μ1/wellをテストサンプルの存在下で4
日間培養し, CL−4細胞から産生されるlgMの
濃度をenzyme linked immunosorbent assay
(ELISA)にて測定した. 又, 血清中のIL−6活性
は, IL−6依存性マウスハイブリドーマ MH60.
BSF2細胞の分裂能にて測定した(15). MH60.
BSF2細胞の増殖はIL−6に依存し, 他のサイト
カイン, 即ちIL−1, IL−2, IL−4, IL−5, TNF,
IFNには依存しない. 1x104 MH60.BSF2細胞/
200μ1/wellをテストサンプルの存在下で48
時間培養し,0.5μCi/wellの3H−thymidine
(3H−TdR)にて最後の6時間のパルスラベルを
行い, 3H−TdRの取り込みにて測定した. サン
プル中のIL−6活性は, 同等の生理活性を示す
のに要するrIL−6の量にて表した.
6)他のサイトカインの測定
リンパ節培養上清中のIL−1α, β, IL−2,
TNFα及びTNFβはELISAを用い測定した(17一
20). IL−4は末梢血B細胞に対する Fcε一
receptor誘導能により測定した(21,22).
IL−5はIL−5依存性BCL1細胞の分裂能により測
定した(23).
7)免疫組織化学による解析
生検リンパ節は一150℃で凍結し, Ames Cryo
statll (Miles Lab. Inc., Elkhart. Indiana
)を用いて連続切片を作成した. これらを冷ア
セトン(100%〉にて10分間固定した後染色を行
った. 細胞質内IL−6の免疫組織化学による染
色は, モノクローナルマウス抗ヒトIL−6抗体
(αBSF2−60, 又は, αBSF2−16640μg/ml)及
び染色キット(No.95−1001, Beckton Dickin−
son)を用い, Negative contro1には, ヒト肝
臓末及び免疫グロブリンにより吸収したポリ
クローナルマウスIgG又はlgMを用いた. T細
胞, B細胞, マクロファージ, 及び濾胞内樹
状細胞の染色は, モノクローナル抗Leu4(CD3
),抗Leu14(CD22), 抗lgD, 抗LeuM5(Beckton
Dickinson)及び抗DRC1抗体(DAKO Co.,Santa
Barbara,CA)をそれぞれ用いた. さらに対比
染色としてメチルグリーン染色又はヘマトキ
シリン染色を行った.
結果
1)Castleman病の患者の腫大リンパ節からの
IL−6産生(Figure1−A,B, Table2).
症例1及び2の患者から生検により得た腫
大リンパ節の小片を7時間培養した. その上
清中のIL−6活性をCL−4細胞を用いて測定し,
in vivoでの腫大リンパ節からのIL−6産生能
とした. Figure1−Aに示したごとく, 症例1及
び2のリンパ節の培養上清は, CL−4細胞から
のlgM産生を濃度依存性に誘導し, 培養上清中
のIL−6活性は, それぞれ69.2ng/ml及び1.16
ng/mlのrIL−6に相当した.しかしながら,閉
塞性黄疸及び膵嚢胞症の患者より得た正常腹
部リンパ節の培養上清中のIL−6活性はそれぞ
れ0.02ng/m1及び0.04ng/mlであった. さらに
培養上清中のIL−6活性はFigure1−Bに示すごと
く, 抗1い6抗体によって中和された. このこ
とより培養上清中のIL−6活性が, IL−6分子に
よることが証明された.
一方, 他のサイ トカイ ンIL−1α, β, IL−4,
IL−5, TNFα, 及びTNFβについても測定を行
った. Table2に示したごとく, 症例1におい
てIL−1α及びIL−1βが僅かに検出されたにす
ぎず, 他のサイトカインに関しては測定限界
以下であった. 又, 正常コントロールのリン
パ節培養上清中には極少量のIL−6活性を除き
他のサイトカインは検出できなかった.
2)腫大リンパ節の胚中心細胞からのIL−6産
生(Figure2).
腫大リンパ節の如何なる細胞からIL−6が産
生されているかを調べる為に, モノクローナ
ルマウス抗ヒトIL−6抗体αBSF2−60又は
αBSF2−166を用いて, 免疫組織化学的解析を
行った. Figure2−Aは症例2のリンパ節におけ
る胚中心の過形成並びに濾胞間における血管
の増生を示す(H.E。染色). Figure2−Bは同部位
の連続切片をαBSF2−60にて染色したもので,
胚中心の細胞が染色された. αBSF2−166によ
っても同様の結果を得た(結果掲載せず). 尚,
正常マウスlgM及びIgGを用いた場合, 胚中心
の細胞は染色されず, さらに抗IL−6抗体によ
る染色が100μg/mlのrIL−6の存在下では阻害
され, 同量のrIL−1β及びBSAでは阻害できな
かったことより染色の特異性が証明された.
抗正L−6抗体により染色された胚中心に存在
する細胞の性状を決定する為に, 連続切片を
抗Leu4抗体(panT細胞)及び抗Leu14抗体(panB
細胞)にて染色した. その結果, T細胞は主に
濾胞間腔に存在し胚中心には殆ど見られなか
った(Figure2−C). 一方B細胞は胚中心を含
めた濾胞全域に存在した(Figure2−D). 次に,
基本的に同様の組織所見を示す症例1のリン
パ節標本を抗IL−6抗体, 抗DRCI抗体(樹状細胞
),抗lgD抗体(非活性の成熟B細胞)及び 抗
LeuM5抗体(マクロファージ)にて染色した.
Figure2−Fに示すごとく, 抗DRC1抗体でも胚中
心が染まった. しかしながら, 抗IL−6抗体
(Figure2−E)と抗DRC1抗体の染色パターンは基
本的に異なっていた. すなわち抗DRC1抗体で
染まる細胞は,リンパ濾胞のマントルゾーンを
越えて広く分布しており, 一方抗正L−6抗体で
染まる細胞は胚中心に限局されていた. さら
に抗lgD抗体はマントルゾーンを染めるが胚中
心は染まらず(Figure2−G), 抗LeuM5抗体で染
まる細胞は胚中心に散在していた(Figure2−H
).以上の免疫組織化学的所見より, リンパ濾
胞の胚中心に存在するlgD陰性の活性化された
Blastoid B細胞がIL−6を産生している可能性
が示唆された.
尚, 胆石症及び膵嚢胞症の患者より得た正
常腹部リンパ節は抗IL−6抗体では染色されな
かった(Figure2−1,J).
3)腫大リンパ節切除による臨床・検査所見
及び血清IL−6レベルへの影響(Table1. Fig−
ure3−A, B).Table1に示したごとく, 孤立性リンパ節腫
大を有した症例1では, 腫大リンパ節の切除
後, 臨床・検査所見はすべて正常化した. し
かし, 多発性リンパ節腫大を有した症例2で
は, その1っを切除しても臨床・検査所見は
変化を認めなかった. このような臨床上の変
化がIL−6の血清レベルと関係しているか否か
を調べる為, 腫大リンパ節切除手術前後の患
者より得た血清中のIL−6活性を, IL−6依存性
マウスハイブリドーマMH60.BSF2.細胞を用い
て測定した. Figure3−Aに示したように, 症
例1において血清IL−6は術前1/0pg/mlと高値
を示したが, リンパ節切除後30pg/mlと正常化
した. ところが, 多発性リンパ節腫大を有し
た症例2では血清IL−6レベルは変化を認めな
かった(術前・術後のIL−6活性はそれぞれ,
70pg/mlと68pg/ml). 尚, これらの血清中IL−
6活性がウサギ抗ヒトIL−6抗体で中和できたこ
とより, IL−6分子であることが確認された
(Figure3−B). 以上の所見より, 臨床症状及び,
高γグロブリン血症や, 急性期蛋白増多など
の検査値の動きが, 血清IL−6レベルの推移と
相関していることが示された.
考察
Castleman病の患者の腫大リンパ節胚中心に
存在するblastoidB細胞より持続的にIL−6が
産生されており, 更に, 血清1い6レベルと臨
床症状との間に密接な関係があることを示し
た. 縦隔内に孤立性のリンパ節腫大を有した
症例1では, 手術によるリンパ節切除後, 劇
的な症状の改善を認めた. また, 血清中の急
性期蛋白のみならず, 免疫グロブリン値も術
後3カ月以内に正常化した. 更に血清中IL−6
レベルは, 臨床・検査所見の改善に先立って
減少していた. 一方, 多発性リンパ節腫大を
有した症例では, 腫大リンパ節のうちの一っ
を切除した後も血清IL−6レベルの高値は持続
し, 症状の改善も認められなかった. このこ
とは血清IL−6レベルと腫大リンパ節との間に
相関があることを示し, 更に臨床所見と血清
IL−6レベルにも密接な関係があることを示唆
している.
Castleman病に関する従来の報告でも,腫
大リンパ節と臨床症状との間に強いつながり
が示唆されてきた(2,3). しかしながら多彩
な臨床・検査所見の発現の機構は不明のまま
であった.
IL−6はT細胞, マクロファージそしてB細
胞を含めた様々な細胞から産生され(5,7,9,
13), かっ多彩な生理活性を有するサイトカイ
ンである. IL−6は活性化B細胞に作用して抗
体産生細胞への分化を誘導するのに必須の因
子であり(5,6,24,25,26), 又, 多発性骨髄腫
・形質細胞腫の増殖因子でもある(12,13). さ
らにIL−6は肝細胞刺激因子の主要な一っであ
り, 直接肝細胞に働いて様々な急性期蛋白を
誘導する(8−10). 臨床的にもNijstenら(27)は
熱傷の患者に於て, 血清IL−6レベル, 発熱及
びCRPの間に相関があることを示した. 以上の
ことより, IL−6の持続的な過剰産生が,
Castleman病に見られる形質細胞増多を伴うリ
ンパ節腫大, 発熱, 高γグロブリン血症, 急
性期蛋白増多など多彩な病態を生じる原因で
あることが強く示唆される.
IL−1, TNFといった他のいくっかのサイトカ
インもまた炎症の誘導に関与しており, IL−1
及びTNFは様々な組織からのIL−6産生を誘導す
る(28−30). 又, IL−4とIL−5は, B細胞におけ
る抗体産生の誘導に関与していることが報告
されている(5). では, Castleman病の腫大リ
ンパ節より異常産生されているサイトカイン
がIL−6に限られたものか否かという問題が生
じる. Table2に示したように, サイトカイン
の産生増加は主にIL−6に限られているが, 病
態発現に他のサイトカインの関与は否定でき
ない.
次にリンパ節胚中心からのIL−6の産生が,
Castleman病に特異的であるか否か検討を要す
る. 正常リンパ節からのIL−6産生はほとんど
なく, かっ胚中心は抗IL−6抗体では染色され
なかった. 又Castleman病とよく似た症状を
示すAngioimmunoblostic lymphadenopathyに
おいてもIL−6の産生は有意ではなかった. し
かし, Basedow病, Sjogren症候群, 慢性リン
パ節炎などの患者より得た慢性炎症性腫大リ
ンパ節においては, その過形成を示したリン
パ濾胞の胚中心が抗IL−6抗体で染色された(結
果掲載せず).
以上のことより胚中心におけるIL−6の産生は
必ずしもCastleman病に限られたものではない
Hirano等(31)の報告では, 慢性関節リウマチ
(RA)の関節滑膜に浸潤しているT, Bリンパ
球から過剰のIL−6が産生されていることから,
慢性炎症性関節炎の局所及び全身症状にも
IL−6の過剰産生が関与していることが示唆さ
れている. RAのリンパ節とCastleman病の腫大
リンパ節が, ともに形質細胞増多と濾胞の過
形成を特徴とすることも興味深い(2).
以上のことから, Castleman病の病因は不明
であるが, 腫大リンパ節胚中心からのIL−6産
生異常は, この疾患の多彩な病態を説明し得
るものである. それ故に, Castleman病の腫大
リンパ節における1い6遺伝子の発現の機構を
解析することで, この疾患の病因を解明し得
ると思われる.
最後にCastleman病の症例の中に, 形質細胞
腫を生ずる症例が存在することを述べておき
たい. IL−6が, ヒト多発性骨髄腫細胞の自己
増殖因子でもあることから”細胞の増殖・分
化と癌化”という問題を解く手がかりとして
非常に興味深い.
謝辞
稿を終わるにあたり, 終始懇切なる御指導,
御校閲を賜りました中林敏夫教授並びに第三
内科・岸本進教授, 細胞工学センター・岸本
忠三教授に深甚なる謝意を表します. 又同時
に, 本研究に際し, 御教示, 御指導を下さい
ました第三内科・吉崎博士, サイトカインの
測定に御協力いただいた熊本大学・高津教授,
大阪大学・菊谷博士, 並びに林原研究所・栗
本博士, そして第三内科今村さんに深謝致し
抄録
Castleman病の患者の腫大リンパ節胚中心
より多量のlnterleukin 6(IL−6)が産生され
ていたが, 他のサイトカイン, すなわち
IL−1α,β, IL−2, IL−4, IL−5, TNFα,β は
有意な産生を認めなかった. 孤立性のリンパ
節腫大を有した症例では, リンパ節切除後血
清IL−6レベルは正常化し, 症状の劇的な改善
を認めた. しかし, 多発性のリンパ節腫大を
有する症例では, その一つを切除しても症状
及び血清IL−6レベルの改善は認めなかった。
IL−6は, B細胞分化因子・肝細胞刺激因子
・発熱因子としての生理活性を有する.
以上より, Castleman病では, 腫大リンパ
節胚中心より持続的に産生される1レ6がこの
疾患の病態, すなわちポリクローナル高γグ
ロブリン血症, 急性期蛋白増多, 発熱等に関
与していることが示唆された.
Abstract
The germうna] centers of hyperplastic lymph nodes of pat]ents w]th Caste]∈…man‘s disease (giant ]ymph node hyperplas]a) were found to produce const]tutうvely ]arge quant]t]es of IL−6/BSF−2 without any signlf「cant φ produc]ton of other cytoklnes such as, IL−1α, H_−18, 1し一2, IL−4, IL−5, TNFα and TNF9. In patient PI wうth a solitary hyperp]ast]c ]ymph node, dramat]c ⊂]亨nうca1 ]mproverηer】t and decrease in serum IL−6 were obseγ・ved following surglca] remova] of the invo|ved lyTnph node. However, ]n pat]ent P2 involv]ng π〕u|t1Ple ]ymph nodes, the remova] of a major affected lymph node did not ]mprove the c]]nica] Plcture nor the leve]s of serum IL・・6. The f]ndings lndicate the presence of a corre]ation between serum王L−6 ]eve], 1yrnph node hyperP]asia, hyperga㎜aglobu]inem]a, increased ]evel of acute phase proteins and c1「nlca] abnorrna1「t]es. IL−6 has been found to have Plelotroplc funct]ons on a variety of tissues, part「cularly on B ce]1s and hepatocytes to ]nduce「㎜uno910bu|in product]on and acute phase ト P・。t・イ・・,・e・p・・t]vely. Th・f]・di,gs: i・thイ・・ep・・t i・dicate th・t the aberrant constltutive generat]on of IL−6 ]n hyperplastlc lyπlph nodes of Castleman ls d]sease may be the key e]ement responsib]e for the variety of c]inica] symptoms in this disease. Key words: Cast]emanls disease, IL−6, 8SF−2, hepatocyte st]mulating factor, rnye]orna growth factor, hypeγ\Y− 910bu]inemia, acute phase proteins.● ・ 3.
吟
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