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チョクラルスキー結晶成長法における融液対流に関 する研究

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

チョクラルスキー結晶成長法における融液対流に関 する研究

岩本, 光生

https://doi.org/10.11501/3100015

出版情報:Kyushu University, 1994, 博士(工学), 論文博士 バージョン:

(2)

第4章

Cz法における水平方向磁場印加およ

びルツボ回転効果の数値解析

(3)

ミム、白岡

第3章では成長し た単結晶棒にみられる成長縞の原凶とJ5・えられてい るルツボ内振動流 の発生機構とその発生領域についてLEC法の場合につ いて述べた。 一方、現在半導体ウエハーの主流は8インチのシリコン単 結晶であるが1990年代後半 には12インチウエハーが導入されるといわれ ており、 このため には原料融液を入 れる石英ルツボも巨大化しなけ れば ならない。 ルツボのサイズが 大きくなると 熱対流や結品・ルツボ回転に よる対流が 強くなり、これまでのように成長条件を制御する事により結 晶品位の向上を行うこと が困難になってくる[32]。 このため 原料融液が導 電体であることを利用し、外部から磁場を印加する事により流れを制御 すること が考えられる。

従来Cz法における結晶の育成では、Fig.4-1 に示す ように高純度に精製 された原料を石英ルツボ中で加熱融解し、その融液上部に種結品を降ろ し、それを元として 成長させるためルツボから多量の酸素が溶解して 融 液中に混入し、 その大部分はガスと なって気液界面から蒸発するが(99

%以上) [33]、残り は結晶中に取り込まれるため、この酸素の挙動が問題 となっていた。 結晶中の酸素は量が過大な場合には結晶欠陥の発生源に なり、また量が少ない場合は結晶強度が不足し、半導体製造工程でウエ ハーの加熱を行う際、反り や結晶端面からの転移などを生じる。 このた め酸素濃度が最適と なるように制御を行う必要が あるが、 未だ職人芸的 な経験により 結晶の育成条件 の決定が 行われているのが現状である。

本章では 結晶内の酸素濃度分布を制御する方法として、外部からの磁 場の印加や結品・ルツボ回転の複合効果が、ルツボ内融液の酸素濃度分 布にどのような影響を及ぼす かを3次元数値解析により明らか とし、最 適な結品成長条件を得る手段を提供することを目指す。

4.2 既往の研究

導電性流体に磁場を印加すること により流れを制御する研究は、 理論 的研究として はChandrasekhar [34, 35] による研究が最初とみられ、実験的 研究としてはNakagawa [36ヲ37]による水銀を用いて の磁場 による自然対流 の抑制効果の研究が最初と思われる。 Cz法における磁場 印加の最初の 研究は、 MITでのWittら[38]によるInSbを用い た実験とみられ、結晶引き

(4)

Crystal

Heater

Molten Silicon

Fig. 4-1: Schematic drawing of Czochralski crystal growth apparatus.

(5)

上げ軸から融液内に熱電対を同転させながら下ろし、 {滋場i (4000(い,uss)を 印加した場合としない場合での混度変動の違いを示すと共に、11lSb紡品 成長中に磁場を印加し、磁場を印加する前後での結品の成長縞(Tc添加1) の変化を観察し、磁場の印加により成長縞の幅が狭くなることを報告し た。 またシリコン材料でのCz法における磁場印加の実験は、 ソニーの出 ら[39,40,41]によるものが最初とみられ、 ビデオカメラ用CCD素子基板に 用いる材料として、 通常のCz法によるものより酸素濃度が少ないがフ

ローテイングゾーン法(Fz法)によるものより酸素濃度の多い結晶を得る方 法として、磁場印加チョクラルスキー法(MCZ法〉を試み良好な結果を得 た。 これらのMCZ装置開発についての経緯は高須ら[42]の論文が詳しい。

近年の解析的研究としてはLanglois and Lee [43]によるCz法でのルツボに 鉛直方向磁場を印加した場合の研究や、 Organ [44]によるPr = 10-3でのル ツボ内流動の渦度、流れ関数を用いた鉛直方向磁場印加下での解析があ り、またKim and Langlois [45]はシリコン融液中の鉛直方向磁場を印加した 場合のボロンの拡散について計算を行った。 またこれらの解析モデルは Langlois and Lee [43]と同様である。 Hjelming and Walker [46]は鉛直磁場下での 融液の流れについて報告した。 これらの計算はモデルとしては渦度流れ 関数を用い、モデルは多数の仮定を用い単純化している。

Mihelcicら[47 ]は非軸対称に加熱されたルツボにおいて、結晶およびルツ ボ回転数を変化させた 6つの場合でのルツボ内流れの 3次元解析を行い、

振動流が生じることを報告している。 一方M ihelcic and Wingerath [48] は軸 対称を仮定した系を用いて、鉛直方向磁場を印加した場合のCz法ルツボ 内対流の流れ場と温度場の振動が、 2000Gaussの磁場を印加した場合抑制 されることを報告した。 Kobayashi [49]は鉛直方向磁場と水平磁場の影響 を簡易モデルを用いて比較し、結晶回転による強制対流には鉛直方向磁 場が強く作用し、水平方向磁場は自然対流に作用すると報告している。

またOzoe and Toh [50]は擬3次元数値解析を行い、鉛直方向磁場を印加した 場合の磁場の強度によるルツボ内の流れ場と温度場の変化を報告した。

磁場印加による結晶内濃度分布変化についての実験的研究としては

tech

[51]らは水平ボート法でInSb結品を育成する際に、ボート鉛直方向

から磁場を印加し、これによりストライエーションが低下することを実験

的に示し、 またHoshikawaらはCz法におけるルツボ内酸素濃度分布につい

ての実験を行い、直径110mmの結品棒の育成 において、結 品とルツボの

回転数や回転方向による酸素濃度分布の変化[52]やルツボ回転数を 7rpm

(6)

lこ固定し、結晶を正方向と逆方向にそれぞれ20rplIlでf!11 I�止させ、 このとき の酸素濃度の変化や転移密度の関係[53]を報告した。F'uscga.waら[5'1 ]は(弘 法で結晶棒直径の違い(15,,-,20cm)、 水平方向磁場(0.3T)の有無、 料品向転数 を変えた場合(0.5, 15, 20, 30rpn1) などでの結晶棒軸方向の酸素波度分布の 変化を報告した。またSalnick [55]は鉛直方向磁場(3000Gauss)印加下でl直 径l05�155mmのシリコン結品をCz法で成長させ、 これにより結品中の濃 度が均ーとなり、 かつ酸素濃度が2X 1017 cm-3以下となることを報告した。

酸素濃度分布についての解析的検討としてはHicks[56]はカスプ磁界 を印加した状態で、 Gr数やアスペクト比を変化させた場合について解 析を行い、 結品成長界面での酸素濃度の均一化効果について報告した。

IIirata and Hoshikawa [67]はカスプ磁界(鉛直方向強度2100Gauss,半径方向強 度1300Gauss)を印加した場合のルツボ内の流れ場や温度分布を 3次元解 析し、 内部温度振動が抑制されることを報告すると共に、 酸素濃度分布 が小さくなることを報告した。またroh and Ozoe [58]はCz法において、 ル ツボが回転せず結晶のみが回転している系において、 水平方向あるいは 鉛直方向から磁場を印加した場合の、磁場強度とルツボ内の流れ場、 温 度場、 酸素濃度分布の変化について報告した。

また酸素濃度の他の制御方法として、Ono[59]は2重ルツボを用い外周 部ルツボへの原材料の補充量をコントロールする場合の、 結晶成長中の 軸方向の濃度制御について解析を行った。2重ルツボを用いた濃度制御に ついての詳細は第5章の氷の結晶成長の項を参照されたい。

また上述の磁場印加方式として、鉛直磁場印加、水平方向磁場印加、 カ スプ磁界印加などの方法がみられるが、これら各磁場印加の研究として はSeries and Hurle [60]のReview paperに詳しく述べられている。

本章では先のToh and Ozoeの研究 [58]を発展させたものとして、 ルツボ の回転効果が融液内の流れや温度場、 酸素濃度分布に対しどの様な影響 を及ぼすかを解析すると共に、 この系に磁場を印加したときの影響につ いても併せて検討を行った。

(7)

4.3 ルツボ内流れ場の解析

本節ではFig.4-2に示す ように、 Cz法結品育成装置のルツボ側I(Üから水 平方向磁場を印加した場合の、 ルツボ内融液に関する基礎))程式[61,62]

を示す。

4.3.1

電磁場の基礎式

導電 性流体が磁場印加下で運動する場合、 誘導電流により力を受ける ことが知られている。 このとき生じるロ ーレンツ力は次に示される。

F=JxB (4-1)

ここで Jは電流密度、 Bは磁束密度である。

式中の電流密度JはOhmの法則により次式で示される。

Jこの(E + V

x

B)

(4-2)

ここでのは電気伝導度、Eは電界の強度であり、 電場をスカラーポテンシャ ルで表示[63, 64]すると次に示されるようになる。

E

=

ψ (4-3)

これよりOhmの法則は次式のように変形される。

J=σe( -\7ゆ+ V x B)

(4-4)

上式および流体の電気的中性 の条件より、 流体が電場および磁場より受 ける力は下記のようになる。

F = σe\7ゆxB十円(V x B) x B

(8)

H/2

冨静 E惨

珍l Z

B 璽診 IH

冨惨 g

機l H/2

H

Fig. 4-2: Model geometry for Czochralski bulk flow.

(9)

b�

\ ( γ θ �Q 止 一 ゆ 川ん …T い

I

l"VZ ,パ ) -υφ ム(Dザ, l J 十υυT

I _.1.

- 'U()φ

1

\ j

J,

( 払 Þ

".1 1.

\

1

(à�). , • \

ザe

I

ÙT

\ 二 一 叫?ωT ) υZ 否;:十切りφ-

v bz )

b�

( 笠_�,h

_1 ".. 1--

\

t

( 1 θ ψ _L

011, "..1,

\ φ \

Ôr

U Vz

T

WU� ) - uT \ -;: ô4;

-r

UO z 一切り T )

次に電場のスカラーポテンシャルの平衡式は、 電流の連続の条件

(4-5)

\1.J=O

(4-6)

と式(4-4)を用い

2= \1.

(V

x

B) (4-7)

となる。水平磁場を印加した場合、 円筒座標系では次式となる。

仏UT 一J '

Mu一&

+ uv 一Av n o τ d l一ρ

+ \IBi--/ 御一 か T /It--1\ θ 一 か 1一T

1δ 1θ δ

- -;: ar (rυbz -rwb�) + 干

(ωbT -ubz) + 万二(ub� -υbr) (4-8)

以上より磁束密度(brヲbゅうbz)と速度(u,川ω)を与えることにより、 式(4-8)の 電場のスカラーポテンシャルゆを解き、 これを式(4-5)に代入することによ

り流体の受ける力が得られる。

4.3.2 流れ場および温度場の基礎式

3次元円筒座標において、 ルツボ水平方向より磁場を印加した場合の 基礎式を以下に述べる。ここで以下の仮定を導入する。

(1

)流体の物性は浮力の項を除き温度に依存しない。(Boussinesq近似) (2)流体はニュートン流体である。

(3)流体は非圧縮性流体である。

上記の仮定を用いて連続の式、 運動方程式、 エネルギ一式、 電場のス カラーポテンシャルの平衡式を無次元化し、 かつ式(4-5)に示した磁場に よるロ ーレンツカの項を各速度成分に分解して加えた場合の各基礎式は 下記のようになる。

(10)

(述統の式〉

lδ lδV θ防/

一一(RU)

+一 一+ 一一=0

RθR -

-

- / ' R θゆ θZ

(運動方程式〉

。u δU VδU δU V 2

一一

。T + U一-åR +一一一十W一一I Rθゆ θZ R

= -

Z

+

叶副 主義 叶

+

会 等

+

-

訪l

一 品川

。V ��åV VδV θV UV

一一 + U一一十一一一十W一一十一一 θ7 δR ' Rδゆ θZ ' R

=

tZ

+

叶副 主義 叶

+

幸 弘

+

+

諸l

一 品川

åW δW VθW θW τ一 + U一一+一一一+ W -� _ äT θR ' Rδゆ δZ

= -

Z

-M+PT

[主義 {

R

�� }

+

品 評

+

ZZ l

- h2b-3PT

(

w-sM

Z

-∞S

42)

(エネルギ一方程式〉

。T TTθT VθT TTrθT 1 8 ( �8T) 1θ2T δ2T 一一+ u一一十一一一十W一一一一 一一< R一一�+一一一+-=-=-=­

åT I '-'θR ' R8ゆ けδZ RδR

l

θR

J

I R 2θゆ2 TδZ2

(4-9)

( 4-10)

(4-11 )

( 4-12)

( 4-13)

(11)

(浴場のスカラーポテンシャルの平衡式〉

ーーーーーーーー

..

ーーーーーーーー ーーーーーーーーーー一ーーーーーー ーーーーーーーーー-

Rθ R\

一θR } I

R2θゆ2 I θZ2

1 δ .

.,

1θ θ

二五万五(RWsinゆ)十 五刃(Wcosゆ)一

(Usinゆ+ v cosゆ) (4-14)

ここで用いた各無次元数を次に示す。

R=γ/roぅZ = z/roヲア= t/to, U

=

u/uo,

v

=υ/uo,

W

=ω/uoヲ T

=

(() -()O)/(()h - ()c),

p =

p/Poぅ並=ゆ/ψ0,

f2 =ω/ω0ヲ

B

R

=

br /

B

o

, Bø =

bφ/Bo,

Bz = bz/Bo,

Pr = ν/α,

Rα=

[g

ß

( ()

h

-()

c

) h

3] / (叫Hα二

五五 B仇Re = (ls

2W)/ ν

また基準量を下記のように定めた。

ro =

[gß(()h -()c)/αν]-1/3 = hRα-1/3, uo =α/ro, PO = POU02, toニア02/α?

o=

BOU07

4.3.3 境界条件

解析において流れはルツボ壁を貫かず、気液界面は自由表面とした。 ま た温度場はルツボ壁側面および底面は一定温度の加熱面、結晶成長界面 は一定温度の冷却面、気液界面は計算の簡易化のため輯射効果を無視し 断熱とした。 また電場のスカラーポテンシャルの境界条件としては、 誘 導電流が各境界を貫かないとしてJ=Oとし、 式(4-4), (4-14)より導出した。

このときの速度、 温度、 電場のスカラーポテンシャルの境界条件を次に まとめて示す。

1 . ルツボ側面壁(R= 0.5H and 0 <

Z

< H)

T = 0.5 ,U = W = 0 , V = Rf2cruヲ(卵/θR)= 0

2

. ルツボ底面(Z = H and 0

<

R

<

0.5H)

T = 0.5 ,U = W = 0 , V = Rf2cruう(ぬ/θZ) = 0

3

. 固液界面(Z = 0 and 0

<

R

<

0 .25H)

T = -0.5 , U = W = 0 , V

=

Rf2rod ,(θ並/θZ) = -V

co

s

4

. 気液界面CZ = 0 and 0.25H

<

R

<

0.5H)

(θT/8Z) =0, W= O, (θU/δZ) = (θV/θZ) = 0ヲ

(θ並/θZ)ニー(Usinゆ+ VCOSゆ)

(12)

4.3.4

計算方法および計算格子

本計算に用いた格子をFig.4-3に示す。 格子は半径方向に14分割、制"万lílJ に14、 周方向に24分割し、 周方向は境界条件を与えるため最初の格千2つ

(j==

1ス)と最後の格子2つ(j=25,26)を重ねた。 また中心軸を横切る流れが存

在するため中心軸上での半径方向速度Uは90度回転した断面での周方向 速度Vを補間することにより得た[ 58, 65]0

計算方法は有限差分法の陽解法を用い、 1次精度の風上差分により解 いた。 また圧力項は圧力と速度の同時緩和法であるHS-MAC法[25, 26, 27]

によった。 そしてルツボ内の各方向平均速度と結晶成長界面での平均Nu 数が収束するまで計算を行った。 また計算時の時間刻みはð.T

= 1

X 10-4と

した。

4.3.5

平均速度および平均Nu数の導出

結晶棒直下の相変化面に於ける平均Nu数を導出するため下記の式を 用いてまず局所Nu数を定義した。

NUlr>""1 Uloc αl こ す 一

= kL _ kAムB

弓戸 - onductio Qnet

これより相変化面での平均Nu数を次のように定義した。

N、v川u叫4ιi

211" L..r>A

f ;- -

一 入勾子ヂ L rd叶rd B

0

f t戸二一」 入 笠 貯 ι幻rd叶rd必

0

o 0

( 4-15)

(4-16)

実際の計算方法としてはまず流れが無い、 伝導のみの場合について計 算を行い、ここで得られた温度分布から界面での熱流束を求め、 対流が ある場合との比較を行うことにより平均Nu数を算出した。

また平均速度は各成分の2乗平均値を求め、平均温度はスカラー の ため算術平均値を用いた。

(13)

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(14)

4.4 ルツボ内不純物濃度分布の解析

4.4.1

基礎方程式

原料融液中のルツボ壁から溶け出る酸素などの不純物の保存方程式は 下記のようになる。

C一22一 Z 九U 一 九U + c一d' O 一円。 I一ρ+ \It1111/ &一か T /It--EI\ 。一か 1i一T D 一一 C一z n d τ

円抗一白 十 U δ一O T 一 C + υ一T び 古 d n ,AV C一 ω + σ

( 4 -1 7)

ここでDは 拡散係数、cは不純物濃度である。 不純物濃度cの基準 とし てcoを導入し、また他の変数も第4.3.2節で示した無次元量により 無次元 化を行い、また無次元基準量uoro =α, Pr =ν/α, Sc=ν/Dを導入すると、次 式が得られる。

芸+U器+訪+WZ=会民主(R��) +会答+;21 ( 4-18)

本計算ではシュミット数Sc=10 [58]を用いた。

計算方法としてはまず流れ場を解いて定常状態における解を求め、次 にその結果を用いて上記の拡散方程式を解いた。 解析は等間隔の有限差 分近似を用い、差分スキームはべき乗法[66]の陰解法とした。 そしてルツ ボ内平均不純物濃度および結晶成長界面の平均不純物濃度の過渡応答が 収束するまで計算を行った。 そしてルツボの回転や磁場の印加がルツボ 内の不純物濃度に与える影響を検討した。 このルツボ内の酸素の移動機 構については文献[52, 67]を参照されたい。

4.4.2

境界条件

Cz法結晶成長に於ける不純物の発生源はルツボ壁であり、ルツボから 不純物がシリコン融液中に溶解する場合、ルツボ壁面での不純物濃度 (主に酸素〉はルツボ壁面での温度が等しい場合、常にその温度での飽 和溶解度に達しているとの干川ら[33]の報告から一定濃度とし、また融 液上面気液界面では、界面に達した酸素はほとんど蒸発し、これ より 他 のルツボ壁や融液内に比べ非常に小さいと見なせることから気液界面 での酸素濃度は0とした。 また結品と融液の界面では酸素の分配係数を 1とし、界面に達した酸素が全て結晶中に取り込まれるものとした。 こ

(15)

れら界而及びルツボ壁での酸素濃度の測定は平[lJ .

-F川ら[G7]により結11111

成長中に急、冷した融被での酸素濃度の測定結果が示されている。

以上より各部でのルツボ内不純物濃度の境界条件はド記のようにな る。

1 . ルツボ側面壁CR= 0.5H and 0 :::; Z :::; H) C = 1

2 . ルツボ底面CZ= H and 0三R:::; 0.5H) C = 1

3 . 結晶成長界面CZ = 0 and 0 :::; R :::; 0 .25H) θCjδZ= O

4. 気液界面CZ= 0 and 0.25HくR:::; 0.5H) C = 0

4.5 結果および検討

4.5.1 流れ場および温度場の解析結果

計算は結晶棒およびルツボがお互いに反対方向に一定角速度で回転し ている系に、磁場を印加しない場合と、 何種類かの強さの異なる磁場を 水平方向より 印加した場合について計算を行った。 このときの計算条件を Table 4-1に示す。 ここでCase(A-1)は磁場を印加しないHa=Oの場合であり、

Case(A-2), (A-3), (A-4)はそれぞれHa=100ぅ300, 1000の磁場を印加した場合で ある。 他のRa数、Pr数などの条件は同じとしている。 この計算条件は有 次元換算でルツボ直径5crri、 融液高さ 5cm の場合で、結晶回転数=25.3rpm、

ルツボ回転数=- 12.6rpm、ルツボ-結晶棒間温度差=5.2Kに相当し、磁場 強度はHa=1000の場合で 0.543Teslaである。

4.5.1.1 平均速度および平均Nu数の過渡応答

Fig.4-4( a) '"'-'( d)に各磁場強度におけるルツボ内平均速度と結品成長界面 での平均Nu数の過渡応答を示す。 ここで無次元時間アニOでの初期値とし て、結品のみが回転しルツボが回転していない場合における収束値を用

いた。 計算は(株)ソニー製ワークステーションNWS-3460ぅNWS-3260 (双方

とも2.3MFLOPS, 17MIPS)を用い 、計算時間はHa=Oの場合で約6000時間、

(16)

Tabk 4-1: COIllput.ed SystCIll

TYPE

A-l A-2 A-3 A-4

Ha

100 300 1000

Ra

1 X

105

Pr

0.01

Rerod 1620

Recru -3240

Gr

1

X

107

Gr/ Re;od 3.81

Gr/ Re�.刊 0.953

nrod 0.1203

。cru -0.06015

Ha=100で1300時間、Ha=300で800時間、Ha=1000で500時間を要した。

応答をみると、Fig.4-4

(

a

)

のHa=Oではルツボが回転を 始めることにより 周方向平均速度Vは6.9 X 10-4 から1.1 X 10-2まで急激に増加 している が 、 半径方向速度Uは2.5 X 10-3から5.9 X 10-5へ減少し、 また軸方向速度Wも 6.1 X 10-3から1.5 X 10-4へ減少している。 この ようにルツボから結晶へ の 伝熱に最も大きな影響を及ぼす軸方向および半径方向の流れが減少して いるため 、 ルツボ中央 上面 の 結品棒直下での 平均Nu数は1.97から1.09へ

と減少している。 このときの ルツボ内鉛直断面における流れ場の経時変 化をFig.4-5に示す。 まず結晶棒のみ が回転しており、 ルツボ中央で下降し ルツボ側面で上昇する自然対流が優勢な 流れの 状態 が ァ= 0 の図である。

ここでステップ的にルツボが回転し始めるも のとする。 その時ァの 増加と 共に周方向速度Vが発達する。 また ルツボの回転による遠心力により、

径方向の流れが抑制され、 それに伴い 軸方向速度も減少し、 定常状態と なったァ= 10000 におい ては鉛直断面内の流れが非常に小さくなり、 半径方 向速度Uの 場合はァ= 0での 2.4%、軸方向速度Wでは2.5%まで流れが減速し ている。

次にFig.4-4

(

b

)

"-'

( d ) のHa=100,

300、1000での応答をみると、 ルツボの回転

(17)

12x10-3 1.7

〉〈。「ωGO

zcωωo一日

コCヨσ0「

1 .6

1 .4 1.5

1 .3

r-園田『

.___,

1 0

ハO

8

r---"I

L圃圃園圃畠

、Atoo一ω〉

。OC」①〉〈

1 .2

i w mu

1,--一一-_l_一一一一一一一一--__=-11.1

U 4

2

10000 1.0

。 。 6000 8000

Nondimensional time 4000

2000

Fig. 4-4( a): Transient responses of average velocity and average Nusselt number

at Ha=O.

(18)

1 .7

1 .6 1 2x 1 0-

3

〉くの「印。。

1 0

1 .5 8

r-ーー・官

zcωωo一日

1 . 4 6

L園田園』

、AV一OO一①〉

コCヨσ0「

...,

1 .3

1 .2 4

。OC」①〉〈

' L薗田_,

1 . 1 2

500 1.0

。 。 300 400

Nondimensional time 100 200

Fig. 4

b

)

: Transient responses of average velocity and average Nusselt number at Ha=100.

(19)

1.7

1.6 12x10・3

〉くO「印。。

1 0

1 . 5 8

r-ー『

zcωωφ一日

1.4 6

L圃園園」

、AZOO一①〉

コC3σ0「

1 .3 4

。OMW」①〉〈

r園田園『

‘圃圃圃..,j

1 .2 Nu

1 . 1 W

2

80 1.0

。 。 60

Nondimensional time 20 40

Fig. 4

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(22)

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く作用していることが分かる。

4.5.1.2 磁場印加の速度および温度分布への影響

Fig.4- 6r-v4-9(b) に各磁場強度 でのルツボ内各鉛直断面に おける速度ベクト ル線図と等温線図を示す。 ここ で図右部の記号ゅは磁場印加方向を 0とし たときの磁場印加方向からの表示断面の角度を示し、 等温線図は加熱一 冷却面温度を 10分割して示している。

Fig.4-6の磁場を印加しない場合(Ha=O) では、 どの断面も流れ場および温 度場は同じ形となっており、 完全な軸対称流となっている。 ベクトル線図 を見ると、 結品下部 からの下降流が優勢であり、 ルツボ側壁付近 ではル ツボの剛体回転による遠心力で半径方向速度Uおよび軸方向速度Wが抑 制されている。

Hα== 100,300,1000の磁場が印加されたFig.4-7( a)�4-9(b)の場合では流れは 非軸対称となり、 またルツボ中央では流れが抑制されている。 磁場強度 が最も強い場合であるFig.4-9( a)のHa==1000の場合では、 どの断面もルツボ 中央高さ位置では流れが強く抑制されて おり、 また各断面を比較してみ ると磁場印加方向に平行な断面および鉛直断面では流れが強く抑制され ているが、 斜め断面では比較的速い流れが見られる。 このと き後で述べ る水平断面での 速度ベクトル に示されるように、 磁場印加方向に対し斜 め位置では磁場 により 周方向の流れが大きく曲げられ、 一方鉛直断面に おいては強い流れが発達している。 また最大速度ベクトルの大きさをみ ると、 Ha==Oの場合の 0.02534と比べ、 Ha=1000 では 0.06756 と大きく なってい る。 等温線図を見ると、 プラントル数が小さく、 また流れがルツボ回転 や磁場の印加 により 抑制されているため、 熱伝導支配であり、 Ha=O から Ha==1000のどの場合で も等温線図はほぼ同じ形となっている。

Fig.4-10に磁場を印加した各場合のルツボ内 速度ベクトルの鳥観図を示 す。 これを見ると、 Ha==0�1000の全ての場合で結晶直下とルツボ側面およ び底面付近は強い流れが見られるが、 磁場が印加されたHaニ100�1000の 場合はルツボ内部の流れがほとんど無いことが分かる。 また内部の流れ はルツボの回転による周方向への流れが主であり、 結晶回転方向への流 れは結晶棒直下を除きほとんど見られない。

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(25)

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参照

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