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〜植 物 減 数 分 裂 遺 伝 子 、 点 か ら線 へ 、 線 か らネ ットワー クへ 〜

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総説

シ ロイヌナ ズ ナ を用 い た植 物 の 有 性 生 殖 研 究 にお ける 最 近 の展 開2003

〜植 物 減 数 分 裂 遺 伝 子 、 点 か ら線 へ 、 線 か らネ ットワー クへ 〜

神奈川大学理学部生物科学科*安 積 良隆 神奈川大学理学部生物科 学科 鈴木秀穂

RecentProgressinResearchonPlantSexualReproduction inArabidopsisthaliana2003.

AnEmergingNetworkofPlantMeiosisGenes

*YoshitakaAzumiandHidehoSuzuki

DepartmentofBiologicalSciences,SchoolofScience,KanagawaUniversity

要 旨

有 性 生 殖 を行 う全 て の 生 き物 は 染 色 体 数 が 半 減 した 半 数 体 の 雌 性 と雄 性 の 配 偶 子 を作 り、

こ の雌 雄 の 配 偶 子 が 融 合(受 精)す る こ とに よ っ て2倍 体 に復 帰 し、 次 世 代 の 細 胞 を 生 み 出 す 。 配 偶 子 を 作 る の に 、染 色 体 数 を 半 減 させ る作 業(減 数 分 裂)は 避 け て 通 る こ とは で きな い。 ゲ ノ ム の 恒 常 性 を維 持 し、 正 常 な 子 孫 を 生 み 出 す の に減 数 分 裂 の 正 確 性 は非 常 に 重 要 で あ る。 しか し、 そ の 正 確 性 を保 証 す る減 数 分 裂 の メ カ ニ ズ ム の 分 子 レベ ル で の研 究 は 体 細 胞 分 裂 の そ れ に 関 す る詳 細 な 研 究 と比 べ る と大 き な遅 れ を とっ て き た 。 特 に植 物 の 分 野 で は 減 数 分 裂 変 異 体 の原 因遺 伝 子 の 解 析 が進 ま ず 、 停 滞 して い た と言 っ て 良 い 。 しか しモ デ ル 植 物 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ で の 原 因 遺 伝 子 の 同 定 を 前 提 と した 変 異 体 作 出 法 が 開 発 され て 以 来 、 胞 子 形 成 、 減 数 分 裂 、 あ る い は 配 偶 子 形 成 の 変 異 体 単 離 とそ れ らの原 因遺 伝 子 の 解 析 結 果 が 毎 年 報 告 され る よ うに な っ た 。 特 に2003年 に は シ ロイ ヌ ナ ズ ナ か ら多 くの これ らの 減 数 分 裂 に 関連 す る変 異 体 が 単 離 され 、 さ らに そ の 原 因 遺 伝 子 の正 体 が 明 らか に され て 、植 物 の 減 数 分 裂 研 究 に大 き な進 歩 が 見 られ た。 これ らの 遺 伝 子 に は 転 写 調 節 因 子 、 細 胞 周 期 調 節 因子 、 相 同 組 換 え 関 連 因 子 、 染 色 体 構 造 調 節 タ ン パ ク 質 、 減 数 分 裂 期 染 色 体 構 成 要 素 な ど の遺 伝 子 が 含 ま れ る。 この よ うな 生 殖 に 重 要 な 働 き をす る遺 伝 子 が 明 らか に さ れ つ つ あ り、 植 物 に お け る生 殖 過 程 の 全 体 像 が 分 子 の レベ ル で 明 らか に され よ う と して い る。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ を用 い た 花 器 官 形 成 以 降 の 生 殖 過 程 の 研 究 の 近 年 の進 歩 に つ い て 、 特 に減 数 分 裂 に 関 す る研 究 に 重 点 を置 き な が ら、 整 理 す る。

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l 42 年 報2003

SUMMARY

Gametegenerationisprerequisiteforallsexualreproductiveorganisms.

Chromosomenumberofgameteshavetobehalvedinpreparationfortheunion (fertilization)ofmaleandfemalegametes,whichdoublesthechromosomenumber ofthefertilizedcell.Meiosisisthespecialcell,division.forthistasktoreduce chromosomenumber,inwhichchromosomesareoncereplicatedandsegregated twice.Tomaintaingenomecontents,meiosishastobeperformedwith uncomparablestrictness.Incontrastwiththelargeprogressinmitosisstudy, whichrevealedmuchofmolecularmechanismofcellcyclecontrol,progressof meiosishasbeenverysmall.Especially,studyofplant"meiosis,.thoughitslong historyofisolationofmeioticmutants,hasbeenleftfarbehind,becausethemu‑

tatedgeneswereremainedtobeidentified.But,sinceArabidopsisthalianawas adoptedasa血odelorganismandastheresult,gene‑taggingmethod,a mutagenesistoidentifythemutatedgene,.wasexploited,thesituationhasbeen changingtotally.Fewgeneshavebeenisolatedfromsporogenesis‑,meiosis‑and gametogenesis‑mutantseveryyearsincelate'90s,butin2003morethan10genes wereisolatedandanalyzed.Theyincludetranscriptionfactors,cellcycleregulat‑

ingelements,recombinationproteins,asubunitofchromatinremodelingcomplex, andacomponentofsynaptonemalcomplex.Duetotheanalysisoftheserepro‑

duction‑relatedgenes,thestructureofmolecularmechanismofplantreproduction

isonthewaytoemerge.lnthis ,paper,focusingonmeiosis,recentprogressin researchonplantreproductiveprocessafter.flowerorganformationwillbere‑

viewed.

Keywords;シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ(Arabidopsisthaliana)・ 有 性 生 殖(sexualreproduc‑

tion)胞 子 形 成(sporogenesis)、 .減 数 分 裂(meiosis)、 配 偶 子(galhete)、 突 然 変 異 体 (mutant)

*Correspondingauthor;yoshitk@info .kanagawa‑u.ac.jp

2946Tsuchiya,Hiratsuka,Kanagawa259‑1293,Japan

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シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の有 性 生 殖 研 究 にお け る最 近 の展 開2003

1.植 物 の 有 性 生 殖 に 関 わ る 諸 過 程 の 概 説 1.1植 物 の 生 殖

有 性 生 殖(sexualreproduction)は 種 内 に 遺 伝 的 多 様 性 を生 み 出 し、 進 化 を促 進 す る 、 病 原 菌 に 対 す る抵 抗 性 を高 め る な どの 重 要 な 役 割 を担 っ て きた が 、 こ れ に は 他 個 体 の 細 胞

との 融 合 が 起 こ らな け れ ば な らな い 。 有 性 生 殖 を 行 う生 物 は こ の 目的 で 配 偶 子 と呼 ば れ る 特 殊 な細 胞 を進 化 の 過 程 で 生 み 出 した。 つ ま り雄 性 配 偶 体 か ら作 られ る雄 性 配 偶 子(精 子 、 植 物 で は 花 粉 の 精 核)と 雌 性 配 偶 体 か ら作 られ る雌 性 配 偶 子(卵)と が 融 合 す る受 精 に よ っ

て 次 世 代 を 生 み 出 す し くみ で あ るが 、 配 偶 子 は 異 種 の 細 胞 と は融 合 を 起 こ さず 、 同 種 の 異 性 配 偶 子 との み 受 精 を 行 う し くみ を備 え て い る。 配 偶 子 は 同 種 の 異 性 配 偶 子 を識 別 し、 こ れ と融 合 す る能 力 が な けれ ば な ら な い が 、 さ らに 染 色 体 数 を一 定 に保 っ に は 配 偶 子 の 染 色 体 数 を そ れ が 由 来 した 胞 子 体 の 染 色 体 数 の 半 分 に ま で 予 め 半 減 させ て お くか 、受 精 後 に 染 色 体 数 を 半 減 させ な け れ ば な らな い 。 大 部 分 の 生 物 は 前 者 の 方 法 を採 用 し、 一 般 に配 偶 子 を 生 み 出 す 配 偶 体(gametophyte)は 半 数 体 で あ り 、 胞 子 を 生 み 出 す 胞 子 体 (sporophyte)は2倍 体 で あ る。 胞 子 体 の 細 胞 は そ の 父 親 由来 と母 親 由 来 の2組 の 染 色 体 を 核 内 に 有 す る た め 、 配 偶 体 を つ く る の に 減 数 分 裂(meiosis)を 行 っ て 染 色 体 数 を 半 減 させ る。 実 際 に 減 数 分 裂 を 行 うの は胞 子 体 中 で 分 化 した 胞 子 で あ る。 胞 子 体 内 で 分 化 して つ く られ た 胞 子 が 減 数 分 裂 を行 っ て配 偶 体 細 胞 をつ く り、 そ の 細 胞 が さ らに 何 度 か の 細 胞 分 裂 を行 っ て 配 偶 子 が つ く られ る。

破 滞

鑓麟霧鋤 簿就 嬢 蔵灘

聴遭 塾̲ 簸

離 継 ⑭ ひ

謝 愚蕎

◎馨 駄

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○網 趣 鞭 .

懸藻講 鍵職 縄 融爵轟 蔓 嚢

纈離 鍵 霞韓 騨繊 ぼ あむな

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鰹舞驚 蟻 籍蕪

図1.高 等 植 物 の生 活 環 の模 式 図 。 受 精 卵 は 胚 発 生 の過 程 を経 て種 子 を形 成 す る。 この種 子 が発 芽 し、 栄 養 成 長 を続 けるこ とによって大 き くなる。 花 成誘 導がか かる と花 を作 り、雄 しべ と雌 しべ の中 に雌 雄 の配 偶 体 、 花 粉 と胚 嚢 を形 成 す る。 精 細 胞 と卵 細 胞 が融 合 して受 精 卵 が生 まれ る。 参 考 文 献7のp7か ら複 写。

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植 物 の 配 偶 体 が 形 成 され る過 程 は 、 動 物 とは 大 き く異 な っ て い る。 発 芽 した 種 子 は栄 養 成 長 を 開 始 し、 茎 、 根 、 葉 を 作 り出 す 。 こ の 段 階 で は 生 殖 細 胞 系 列(germline;胞 原 細 胞 か ら卵 母 細 胞 あ る い は 花 粉 母 細 胞 を経 て 、 配 偶 子 に 至 る ま で の 細 胞 系 列)は 存 在 しな い 。 植 物 で は 外 部 環 境 か ら の 刺 激 、 内 因 性 の 成 長 プ ロ グ ラ ム に 従 っ て 花 を 分 化 す る よ うに な り

(花成 誘 導)、 雄 しべ と雌 しべ の 中 に 新 た に(denovo)に 生 殖 細 胞 が つ く られ る(図1)。

胚 発 生 の 段 階 で す で に 生 殖 細 胞 が す で に 分 化 して お り、 適 当 な 時 期 が 来 る とそ れ が 卵 や 精 子 を作 る よ うに な る 動 物 と は 大 き く異 な る。

注;こ の 節 の 詳 しい こ とは 参 考 文 献2,7を 参 照

1.2花 成 誘 導

花 を 分化 し生 殖 を 始 め る か ど うか の決 定 は、 発 芽 す るか ど うか の 決 定 と同 様 、植 物 に とっ て 最 重 要 問 題 で あ る。 特 に シ ロイ ヌ ナ ズ ナ の よ うな 一 年 生 の 植 物 に と っ て 、 一 生 に 一 度 の 生 殖 で あ り、 い つ 花 をつ け始 めれ ば よ り多 くの 子 孫 を 残 せ る か と い う重 要 な 問 題 で あ るお そ の た め 自分 自身 の 成 長 状 態 と 自分 の 置 かれ た 環 境 と を分 析 し、 慎 重 に 判 断 しな けれ ば な らな い。 そ れ で さ ま ざま な植 物 体 外 の環 境 か らの 刺 激 と植 物 体 内 か らの シ グナ ル を感 知 し、

そ れ に よ っ て 花 成 に 進 む べ き か ど うか を判 断 す る シ ス テ ム を持 っ て い る 。 これ らの シ グナ ル は 内 因 性 の発 生 プ ロ グ ラ ム 、 光 、 温 度(春 化 処 理)か ら発 せ られ る と考 え られ て い る。

これ らの 刺 激 の 複 合 作 用 の 結 果 、 花 成 が 誘 導 され た 植 物 の 茎 頂 分 裂 組 織 は成 長 相 が 栄 養 成 長 か ら生 殖 成 長 に 転 換 され 、 花 序 分 裂 組 織(inflorescencemeristem)と して 機 能 す る。

花 序 分 裂 組 織 で は側 生 器 官 と して 栄 養 成 長 期 の葉 の代 わ りに 、 あ る期 間 次 々 と花 芽 分 裂 組 織(floralmeristem)を 分 化 し、 花 の原 基 あ る い は 花 枝 を 生 み 出 す 。 成 長 相 が 生 殖 成 長 に 転 換 され て も、 次 々 と新 しい 細 胞 を 生 み 出 す と い う茎 頂 の 分 裂 組 織 と して機 能 に は 変 化 は な い。 従 っ てSTM、CLV、WUS、KNOXの よ うな 茎 頂 分 裂 組 織 維 持 に 関 わ る 遺 伝 子 の 発 現 は花 序 分 裂 組 織 で も 引 き継 が れ る。

光周期依春

健遷縫踏

PNY C舟y LHY CCAt G!

CQ

畠律的 促進経路

審化怯存 促遙縫路

熔 縦 」

VRtVl

VRN2

6A強 存 健選縫路

FPF1GRlGA!SPY

各経路か らの情鞍の統含

FT LFY

猿成の案行

1

図2.花 成 を誘 導 す る4つ の 過 程 。 日 長 を感 じて シ グナ ル を発 す る光 周 期 依 存 促 進 経 路 、 デ フ ォル トの 花 成 誘 導 プ ロ グ ラ ム と して 組 み 込 ま れ て い る 自律 (構 成)的 促 進 経 路 、 低 温 処 理 に よ っ て 促 進 す る春 化 依 存 促 進 経 路 、 植 物 ホ ル モ ンで あ るジ ベ レ リン 依 存 促 進 経 路 が あ る と考 え られ て い る 。 参 考 文 献7 のp27よ り複 写。

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コ̲

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の 有性 生殖 研 究 にお け る最 近 の展 開2003

花 成 誘 導 に 関 して は これ ま で 短 日植 物 で あ るア サ ガ オ な どで 現 象 が 詳 細 に調 べ られ て き た が 、 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ は長 日植 物 で 、 これ ま で に調 べ られ て き た 現 象 を分 子 レベ ル で 説 明 す る とい う 目的 に は シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ は あ ま り有 効 で は な い 。 しか し近 年 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ か ら花 成 誘 導 に 関 す る 変 異 体 が 多 数 単 離 され 、 そ の 原 因 遺 伝 子 の ク ロー ニ ン グ も進 み 、 現 在 で は 花 成 誘 導 の 分 子 機 構 は シ ロイ ヌ ナ ズ ナ で も っ と も 良 く調 べ られ て い る。 そ の 成 果 と し て 、 構 成 的 促 進 経 路(autonomouspathway)、 光 周 期 依 存 促 進 経 路(photoperiodpat hway)、 春 化 処 理 依 存 促 進 経 路(vernalizationpathway)、 ジ ベ レ リ ン 依 存 促 進 経 路

(gibberellinpathway)が 存 在 す る こ とが 示 され 、 各 経 路 に 関 わ る 遺 伝 子 が 明 ら か に さ れ つ つ あ る(図2)。 しか し これ らの 遺 伝 子 の機 能 に 関 して 得 られ た 結 果 の 解 釈 は ま だ 統 一 的 な 見 解 が 得 られ て い な い もの も数 多 く あ り

、 今 後 さ らに慎 重 な解 析 が 進 め られ な け れ ば な らな い 。 ・しか し以 下 に これ ま で に 得 られ て い る 実 験 結 果 を 基 に した花 成 へ と導 く諸 経 路 に つ い て の 概 略 を示 す 。

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ で は(お そ ら く大 部 分 の 植 物 で は)花 成 へ の プ ロ グ ラ ム は潜 在 的 に進 行 す べ く組 み 込 ま れ て い る と考 え られ て い る。 こ の プ ロ グ ラ ム は 花 成 へ の構 成 的 促 進 的 プ ロ グ ラ ム と呼 ば れ る。emfl(embryonicflowerl)変 異 体 で は 子 葉 展 開 後 、 栄 養 成 長 期 を 経 ず に 花 を咲 か せ る 。 これ は胚 発 生 後 、 茎 頂 分 裂 組 織 が で きれ ば花 成 が 可 能 で あ る こ と を 示 して お り、EMF1遺 伝 子 は 茎 の 発 生 プ ロ グ ラ ム 中 に デ フ ォ ル トで 存 在 す る 、 花 を つ け よ う とす る構 成 的 促 進 プ ロ グ ラ ム を 抑 制 して い る もの と理 解 され て い る。 っ ま り通 常 の 生 育 条 件 下 で は花 成 を 抑 制 す る活 性(花 成 抑 制 活 性)に よ っ て ブ ロ ッ ク され て い る状 態 に あ り、 花 成 誘 導 と は花 成 抑 制 活 性 か らの 解 放 で あ る と考 え られ て い る。 こ の 解 放 条 件 が 長 日 植 物 で は 長 日で あ り、 短 日植 物 で は 短 日で あ る と考 え られ る。EMF1の 他 に も 、FLC

(FloweringLocusC)/FLF(.FloweringLocusF)、TFLI(TerminalFlowerl)な

ど も花 成 抑 制 遺 伝 子 で あ る と考 え られ て い る。 構 成 的 促 進 経 路 に 関 わ る遺 伝 子 に 変 異 が 起 こ っ た 場 合 に は 花 成 遅 延 が 起 こ る と考 え られ るが 、 そ の よ うな 変 異 体 が い くつ か 単 離 され て い る。LUMINDEPENDENS(LD)、FCA、FRIGIDA(FRI)な ど で あ る。 こ れ ら の 遺 伝 子 は花 序 分 裂 組 織 決 定 遺 伝 子 で あ るLEAFY(LFY)やAPETALAI(API)な ど の 遺 伝 子 の 発 現 を誘 導 す る こ と に よっ て 実 際 に 花 成 を 引 き 起 こす もの と考 え られ て い る。

光 周 期 刺 激 は 光 周 期 依 存 促 進 経 路 を経 て 伝 達 され る。 こ の経 路 は 光 受 容 体 で あ る フ ィ ト ク ロ ー ム とク リプ トク ロ ー ム の 遺 伝 子 に始 ま り、 概 日時 計 遺 伝 子(LHY、CCA1、GI、

ELF3)を 経 由 し てCONSTANS(CO)に 至 る 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の フ ィ ト ク ロ ム (phytochrome)遺 伝 子 の 一 つPHYBは 白色 光 下 で 花 成 を抑 え る働 き を持 つ 。 こ れ は こ の 条 件 下 でCOの 機 能 発 現 を 抑 制 して い る もの と考 え られ て い る 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ に は 青 色 光 受 容 体 で あ る ク リプ トク ロ ム(cryptochrome)の2っ の遺 伝 子CRY1とCRY2が 存 在 す る が 、CRY2が 長 日条 件 下 で の 花 成 促 進 の た め の 光 受 容 体 で あ り、CRY2がcoの 発 現 を上 昇 させ る こ とが 示 され て い る。G1遺 伝 子 は そ れ 自身 の発 現 が概 日性 リズ ム を刻 み 、CCA1、

LHYの 発 現 リズ ム に も影 響 を及 ぼ して い る こ とか ら、 日長 計 測 反 応 に お い て 重 要 な働 き

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46 年 報2003

を して い る こ とが 示 され て い る 。COは 転 写 因 子 を コー ドして お りLFY、APIの 発 現 を 正 に制 御 す る こ とで 、 これ らの 遺 伝 子 に よ る 花 芽 分 裂 組 織 へ の 分 化 を促 進 す る。

春 化 処 理 は 花 成 抑 制 を 緩 和 ・解 除 す る働 き が あ る と考 え られ て い る が 、 これ は 春 下 処 理 依 存 促 進 経 路 を経 て 働 く。 春 化 処 理 依 存 促 進 経 路 に 関 わ る 遺 伝 子 と してVRNI、VRN2が 知 られ て い る。

ジ ベ レ リ ン 依 存 促 進 経 路 に は ジ ベ レ リ ン 合 成 系 遺 伝 子 ・情 報 伝 達 遺 伝 子 の 他 に FLOWERINGPROMOTINGFACTORI(.FPFI)の よ うな 機 能 の わ か っ て い な い新 奇 の タ ンパ ク質 を コ ー ドす る もの が あ る。 遺 伝 学 的 な解 析 か ら光 周 期 依 存 促 進 経 路 、構 成 的 促 進 経 路 と は独 立 の 経 路 と考 え られ て い る 。

花 成 開 始 に はLFYとFTの 共 同作 業 が 必 要 と考 え られ て い る。LFYは 光 周 期 依 存牲 経 路 、 ジベ レ リン促 進 依 存 経 路 、 自律 的 促 進 経 路 か ら正 の 制 御 を 受 けて い る。 光 周 期 依 存 経 路 と ジベ レ リ ン依 存 経 路 はLFY遺 伝 子 の 異 な る 制 御 領 域 を介 して 調 節 して い る こ とが 示 さ れ て お り、4つ の 経 路 は そ れ ぞ れ 異 な る シ グナ ル 伝 達 経 路 を 持 っ て い る 可 能 性 が あ る 。FT 遺 伝 子 に 関 して も σ0遺 伝 子 を 介 し た 光 周 期 依 存 経 路 と光 周 期 に 依 存 しな い 経 路 に よ っ て 制 御 され て お り、 こ の 遺 伝 子 の制 御 に も そ の経 路 に 独 自の シ グナ ル 伝 達 経 路 を 持 っ て い る も の と考 え られ る 。

花 芽 分 裂 組 織 は 分 裂 能 が 有 限 で 中 心 の 分 裂 組 織 が 雌 しべ に 分 化 す る と、 そ れ 以 上 の分 裂 能 を失 う。 花 序 分 裂 組 織 が 花 芽 分 裂 組 織 化 せ ず に 、 分 裂 能 を 維 持 す る の に 最 も重 要 な遺 伝 子 は花 成 抑 制 活 性 も持 つ と され て い るTERMINALFLOWER1(TFL1)と 呼 ばれ る 遺 伝 子 で あ る と考 え られ て い る。tfll変 異 体 で は 生 殖 成 長 に 入 る とす ぐ に茎 の 先 端 に 花 を つ け て 成 長 を 停 止 す るOこ の 表 現 型 はTFLIが 機 能 せ ず 、 花 成 誘 導 後 の 早 い 時 期 に花 序 分 裂 組 織 が 花 芽 分 裂 組 織 化 し、 花 を 作 っ て しま い 、 成 長 が 停 止 した た め と考 え られ る。 こ の 遺 伝 子 は ホ ス フ ァ チ ジル エ タ ノ ー ル ア ミン結 合 タ ンパ ク質 様 の タ ンパ ク質 を コー ドして い る。

TFLI遺 伝 子 はLEAFY(LFY)、APETAL.A1(API)と い っ た 花 芽 分 裂 組 織 決 定 遺 伝 子 の発 現 を抑 制 す る こ とに よ っ て 花 序 分 裂 組 織 の性 質 維 持 に寄 与 して い る もの と考 え られ る。

FTはFTLI同 様 、 ホ ス フ ァ チ ジ ル エ タ ノ ー ル ア ミン 結 合 タ ン パ ク 質 様 の タ ンパ ク 質 を コー ド し、ftはfillの 正 反 対 の 表 現 型 を 示 す こ と か ら、FTはTFLIと 拮 抗 的 に働 く と推 定 され て い る。

注;こ の 節 の 詳 しい こ とは 参 考 文 献4,5,7、8を 参 照 。

1.3花 器 官 形 成

花 序 分 裂 組 織 の 性 質 の 転 換 に は 花 芽 分 裂 組 織 決 定 遺 伝 子(floralmeristemidentity gene)が 関 与 し て お り 、 こ の 中 で はLEAFY(L.FY)、APETALAI(API)、

σAσLIFLOWER(CAL)が 主 要 な 働 き を し て い る 。 こ れ ら に 加 え てUNUSUAL FLOWER(σFO)、APETALA2(APZ)も 花 芽 分 裂 組 織 と して 副 次 的 な機 能 を 持 っ と さ れ て い る。 これ ら の 遺 伝 子 に変 異 を 起 こ した 植 物 体 で は 花 芽 の誘 導 が 強 く抑 制 され る こ と

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[

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の有 性 生殖 研 究 にお け る最 近 の展 開2003 47

が 知 られ て い る 。 花 芽 分 裂 組 織 で はLFYが ま ず 最 初 に 発 現 誘 導 され 、 転 写 因 子 で あ る LFYはAPIの 発 現 を誘 導 す る。APIの 発 現 に はLFYの 他 にFTの 働 き も必 要 で あ る こ と が 知 られ て い る 。 花 芽 分 裂 組 織 決 定 遺 伝 子 は 花 芽 でTFL1遺 伝 子 が発 現 し花 序 化 す る の を抑 制 す る の に 対 し、TFLIは 花 序 分 裂 組 織 で 花 芽 分 裂 組 織 決 定 遺 伝 子 が発 現 す るの を 抑 え、

花 序 の 分 裂 能 を維 持 す る(図3)。

A

蹴尋 一

納 雅 、乱

17

燕 ︺

図3.花 序 と花 芽 。A.花 序 で はT FL1がLFYな ど の 発 現 を 抑 制 し 、 花 芽 で は 逆 にLFYな ど がTFL1の 発 現 を 抑 制 す る 。B.本 文 参 照 。X

はWUSで あ る こ と が 知 られ て い る 。

圃 参考 文献7のP42とP45か ら鶴

花 芽 が 誘 導 さ れ た 後 、 そ れ が 発 達 し て 花 と な る わ け で あ る が 、 こ の 過 程 は 器 官 決 定 遺 伝 子(floralhomeoticgene)に よ っ て 支 配 さ れ て い る 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ で は 花 の 各 器 官 を 決 定 す る し く み は 、 薯 片 、 花 弁 、 雄 しべ 、 雌 しべ がA、B、Cの3つ の 器 官 決 定 遺 伝 子 群

に よ り決 定 さ れ る と い うABCモ デ ル に よ っ て 説 明 さ れ る(図4、5)。A遺 伝 子 の み が 発 現 す る 最 外 輪(firstwhorl)で は 薯 片 が 作 ら れ 、A、B遺 伝 子 が 発 現 す る 第 二 外 輪(sec‑

ondwhorl)に は 花 弁 が つ く ら れ 、B、C遺 伝 子 が 発 現 す る 第 三 外 輪(thirdwhorl)に は 雄 し べ が 、C遺 伝 子 の み が 発 現 す る 最 内 輪(forthwhorl)に は 雌 しべ が 誘 導 さ れ る 。 A遺 伝 子 と し て は.AP1とAP2が 、B遺 伝 子 と し て はAP3とPlが 、C遺 伝 子 と し て はAGが 知 ら れ て い る 。AP2遺 伝 子 以 外 はMADS‑box遺 伝 子 で あ り 、 転 写 因 子 と 考 え ら れ る 。AP2 遺 伝 子 もAP2ド メ イ ン と 呼 ば れ るDNA結 合 モ チ ー フ を 持 ち 転 写 因 子 と考 え ら れ る 。 こ れ

ま で の と こ ろABC遺 伝 子 の タ ー ゲ ッ ト遺 伝 子 、 す な わ ち 下 流 で 働 く 遺 伝 子 に つ い て は 多 く の こ と は わ か っ て い な い 。 し か しABC遺 伝 子 の 影 響 下 で 、 顎 、 花 弁 、 雄 し べ 、 雌 し べ が 分 化 す る の は 明 白 と な っ て い る 。

●一 花 茎

w㎞rほ が く片

whotl2花 弁

whorl3雄 し べ

輸{xlA心 皮

図4,シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 花 の 構 造 。 花 の 外 側 か らwhor11,2,

3,4で そ れ ぞ れ に4枚 の が く 片 、4枚 の 花 弁 、6本 の 雄 し べ 、

2枚 の 心 皮 が 形 成 さ れ る 。 文 献 4のp297よ り複 写 。

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48 年 報2003

whorllwhorl2whorl3whorl4

が く片

且 ▼ 耕 畢

雄 しべ

旦 ▼ 破

'

ロ クラスA遺伝子 ロ クラス8遺伝子 國 クラスc選伝子

図5.花 の器 官 決 定 を説 明す るABCモ デ ル 。 花 の 器 官 決 定 はAク ラ ス 、Bク ラ ス 、Cク ラ ス の3種 類 の器 官 決 定 遺 伝 子 に よ っ て行 わ れ る とす るモ デ ル で す で に一 般 に 受 け 入 れ られ て い る。Aク ラ ス 遺 伝 子 で あ るAP1あ る い はAP2遺 伝 子 が 発 現 す る領 域 で は が く 片 が 、Aク ラ ス遺 伝 子 とBク ラス 遺 伝 子 で あ るAP3あ る い はPIが 発 現 す る領 域 で は花 弁 が 、Bク ラ ス遺 伝 子 とCク ラ ス遺 伝 子 で あ る AGが 発 現 す る領 域 で は 雄 しべ が 、Cク ラス 遺 伝 子 の み が 発 現 す る領 域 で は 心 皮 が発 達

す る。 文 献4のp299よ り複 写 。

ABC遺 伝 子 の発 現 を 制 御 す る し くみ に つ い て も多 くの こ とが 明 らか に な っ て き て い る (図3B)。LFYが ま ず つ ぼ み の 原 基 で 一 様 に 発 現 す る 。 これ に よ っ てAPIの 発 現 が 誘 導 さ れ る。 さ らに つ ぼ み の 発 生 が 進 む とWUSCHEL(WUSAが 最 内 輪 で 発 現 す る よ うに な り、

LFYとWUSの 働 き に よ りAGの 発 現 が 誘 導 され る。 ま たLFYとUFOの 働 き に よ りPIと AP3の 発 現 が 誘 導 され る。Aク ラ ス の 遺 伝 子 とCク ラ ス の 遺 伝 子 は 互 い に発 現 を 抑 制 しあ

う働 き が あ る こ とが 判 っ て い る。 一

雄 しべ の 原 基 が 発 達 し雄 しべ が 形 作 られ 始 め る 頃 、 そ の 内 部 で は 表 皮 細 胞 と胞 原 細 胞 と の分 化 が 起 こ る。 胞 原 細 胞 は 側 膜 細 胞 と胞 子 形 成 細 胞 に 分 化 し、最 終 的 に は 内皮 細 胞 、 中 間層 細 胞 、 タペ ー ト細 胞 、 花 粉 母 細 胞(小 胞 子;microsporocyte)が つ く られ る(図6、

7)0

未分化の 萄

壷皮

褒皮

腱膿繊織

「 』 一 一 一 一 一 → 一

一次煽絵継胞

二次憐騰緬飽 浬 次健膜纈麹

内被

上蔀寧醗澄 内骸

Ir一1

中聞轡

下鶴 巾澗繕 クベ ー ト組 織

中晦轡 中面讐 タペ ー ト線 縫

一裁 総 単冠成細腕

竺 嵐

叩 胞

小胎乎母細麹 小胞苧母細鞄

図6.繭 の 細 胞 が 分 化 す る 過 程 。 図 は ゴ マ ノバ グ サ 科 の 植 物 の 分 化 過 程 を 示 して い る が 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ で も ほ ぼ 同 様 の 過 程 で 進 む も の と考 え られ る。 文 献2の p12よ り複 写 。

(9)

]

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を 用 い た植 物 の有 性 生 殖 研 究 に お け る最 近 の展 開2003 49

胞手

蒋隔

綴織

図7.繭 の 断 面 図。 典 型 的 な 四 分 胞 子 嚢 の 模 式 図 で あ る。 シ ロ イ ヌ ナ ズナ の成 熟 した繭 も こ の よ うな構 造 を とっ て い る。 文 献 2のp10よ り複 写 。

花 粉 母 細 胞 が 減 数 分 裂 を 行 い 、 染 色 体 数 が 半 減 し た 雄 性 配 偶 体 で あ る 花 粉(pollen)が 作 ら れ る 。 花 粉 小 胞 子 が ま ず 一 回 目 の 花 粉 細 胞 分 裂(pollenmitosisI)に よ っ て 栄 養i細 胞 と雄 原 細 胞 と な る 。 雄 原 細 胞 は さ ら に 細 胞 分 裂(pollenmitosisII)を 行 い2つ 雄 性 配 偶 子 で あ る の 精 細 胞(spermcel1)を 形 成 す る 。

一 方、 雌 し べ 原 基 が 発 達 し て 柱 頭(stigma)と 子 房(overy)を 形 作 る 頃 、 子 房 の 内 壁 が 突 出 し 始 め 、 これ は や が て 胚 珠(ovule)と な る(図8)。 こ の 突 出 は 遠 位 近 位 の 軸 に 沿 っ て 遠 位 側 か ら 珠 心(nucellus)、 珠 皮(integument)、 珠 柄(funicle)と 分 化 し 、 珠 心 の 細 胞 が 卵 母 細 胞(大 胞 子;megasporocyte)に 分 化 す る 。 卵 母 細 胞 が 減 数 分 裂 を 行 う こ

と に よ っ て 生 み 出 さ れ る4つ の 細 胞 の う ち の 一 つ が 雌 性 配 偶 体 で あ る 胚 嚢 母 細 胞(em‑

bryosac)と な る 。 胚 嚢 母 細 胞 は3回 の 核 分 裂 を し て 、3つ の 反 足 細 胞 、2つ の 助 細 胞 、 2つ の 極 核 、1つ の 卵 細 胞(eggcell)か ら な る7細 胞 性 の 胚 嚢(図9)と な り 、 そ の 卵 細 胞 が 雌 性 配 偶 子 ど し て 機 能 す る 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ で は 植 物 体 の 成 長 過 程 が 詳 細 に 調 べ ら れ 、 細 か な ス テ ー ジ に 分 け られ て い る(Bowman,'1993;Sanders,1999;Robinson‑Bee

rs,1992)0

合点

嚢心胚珠

珠孔 珠柄

図8.胚 珠 の 縦 断 面 図 。 文 献2のp55よ り複 写 。

合点側

珠孔側

反足細胞

極核 央細胞

助細胞 繊形装置

図9.胚 嚢 の 模 式 図 。 文 献2のp41よ り複 写 。

(10)

50 年 報2003

注;こ の 節 の 詳 し い こ と は 参 考 文 献2,4,5,6,7を 参 照 。

1.4細 胞 分 裂 制 御

体 細 胞 分 裂 で は そ の 分 裂 周 期 を調 節 して い る 重 要 な 因 子 と して サ イ ク リ ン ・CDK(サ イ ク リ ン 依 存 性 キ ナ ー ゼ;Cyclin‑DependentKinase)複 合 体 が 知 られ て い る 。CDKは この 複 合 体 に お い て は 触 媒 サ ブ ユ ニ ッ トで あ り一 般 に 細 胞 周 期 を通 じて 存 在 し、 そ の活 性 は サ イ ク リ ン他 、 様 々 な 因 子 に よ っ て調 節 され て い る 。 サ イ ク リン は 調 節 サ ブ ユ ニ ッ トで 通 常 、 細 胞 周 期 の 特 定 の 時 期 に 発 現 す る 。 細 胞 周 期 はG1廟 、S期 、G2期 か ら な る 細 胞 分 裂 を 準 備 して い る 間期 と実 際 に細 胞 分 裂 が 起 こ るM期 か らな る が 、 こ の 細 胞 周 期 に お い て 、

サ イ ク リン ・CDK複 合 体 が機 能 す る ポ イ ン トは 二 か 所 あ り、 こ の 複 合 体 か ら の 指 示 に 従 っ て 染 色 体 の 複 製 あ る い は 細 胞 分 裂 を 開 始 す る。 この し くみ につ い て は 酵 母 で の 研 究 が進 ん で お り、 酵 母 の サ イ ク リン ・CDK複 合 体 に よ る細 胞 周 期 の 制 御 の モ デ ル を示 す と次 の よ うに な る 。 前 回 の 細 胞 分 裂 で 娘 細 胞 に 分 配 さ れ た 染 色 体 の 複 製 開 始 点 に は す で にOrc (Originrecognitioncomplex)と 呼 ば れ る タ ン パ ク 質Orc1〜6が 結 合 して い る。M期 の 後 期 に はCdc6とCdt1が 結 合 し、 さ ら に6っ のMcmタ ン パ ク質(Mcm2〜7)が 結 合 し、

pre‑RC(pre‑replicativecomplex)を 形 成 す る 。 こ の 状 態 をG1期 の 後 期 ま で 維 持 す る 。 G1期 に発 現 量 が 増 加 す るG1タ イ プ の サ イ ク リ ン に活 性 化 され たCDKがCdc6を リン酸 化 し、

そ れ が シ グ ナ ル とな っ てCdc6とCdt1を ユ ビ キ チ ン依 存 性 タ ンパ ク 質 分 解 系 が 分 解 す る 。 そ うす る とCdc7/Dbf4キ ナ ー ゼ 複 合 体 がpre‑RCに 取 り込 ま れ 、 これ がMcmタ ンパ ク 質 を リン 酸 化 す る こ と に よ っ てMcmタ ン パ ク質 の 持 つ ヘ リ.カー ゼ 活 性 を 上 昇 させ 、DNAが ほ ど け る も の と考 え られ て い る。 さ ら にCdc45を 介 し て 、DNAポ リ メ ラ0ゼ が 呼 び 込 ま れ て 、 複 製 が 開 始 され る。 そ の 後 、Cdc7/Dbf4キ ナ ー ゼ 複 合 体 は 複 製 開 始 点 か ら離 れ 、 DNA複 製 が 終 了 す る とMcmタ ンパ ク質 もDNAか ら離 れ 、 複 製 開 始 点 はOrc1〜6の み が 結 合 したpost‑RCの 状 態 に な る。

細 胞 分 裂 の 開 始 はG2期 か らM期 に発 現 量 の 増 加 す るM期 サ イ ク リ ン に よ っ て 活 性 化 さ れ るCDKに よ っ て調 節 され て い るが 、 このCDKの 活 性 化 は 何 段 階 もの 巧 妙 な 仕 組 み に よ っ て制 御 され て い る(図10)。 前 回 の 分 裂 後 、M期 サ イ ク リ ン は 分 解 され て 、 単 体 で あ っ た CDKは ま ずG2期 の 後 半 に 蓄 積 し始 め たM期 サ イ ク リン と結 合 し、Wee1あ る い はMik1に

よ っ て14番 目 の ス レオ ニ ン と15番 目の チ ロ シ ン が リ ン 酸 化 され る。 次 にCAK(CDK activatingkinase)に よ っ て 、161番 目の チ ロ シ ンが リン 酸 化 され 、 さ らにCdc25脱 リ

ン酸 化 酵 素 に よ っ て14番 目 の ス レオ ニ ン と15番 目の チ ロ シ ン が 脱 リン 酸 化 され て 、 は じめ て活 性 型 のCDKと な る。 こ の状 態 のCDKが 様 々 な標 的 タ ンパ ク質 を リン 酸 化 す る こ とでM期 が 進 行 す る。M期 の 開 始 は 非 常 に 重 要 な 決 定 で あ る の で 、 こ の よ うに何 重 もの 条 件 を満 た さ な け れ ば 起 こ らな い よ うに 制 御 され て い る。

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シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の有 性 生 殖研 究 にお け る最 近 の展 開2003 51

遺伝 子発 現 の制御 i\

i\

CDK活 性 化 → キナ ーゼ(CAK)

ユ ビ キチ ン系 によ る タンパ ク質 分解

/

図10.サ イ ク リ ン 依 存 性 キ ナ ー ゼ(CDK)の 活 性 調 節 。 ヒ トのCDKで あ るCdc2を 例 に し たCDKの 活 性 調 節 の 概 念 図 。 サ イ ク リ ン と の 結 合 、CAKあ る い はWee1に よ る リ ン 酸 化 、Cdc25に よ る 脱 リ ン 酸 化 に よ っ て 活 性 化 さ れ 、CDK阻 害 因 子 や 分 解 に

よ っ て 不 活 性 化 さ れ る。 文 献6のp38よ り複 写 。

T14Y15

イ グ \CDK阻 害因子

Wee1キ ナ ー ゼCdc25ホ ス フ ァ タ ー ゼ

細 胞 周 期 を 制 御 す る に は 、 そ れ ぞ れ の 役 割 を 担 っ たCDKや サ イ ク リ ン な どの 因 子 が そ の 役 割 に応 じた 時 期 に 順 序 良 く働 き 、 役 割 を負 え る と速 や か に 不 活 性 化 され る か 除 去 され る必 要 が あ る。 細 胞 は 脱 リン酸 化 な ど に よ っ て タ ン パ ク質 を不 活 性 化 す る し くみ の他 、 細 胞 周 期 の 特 定 の 時 期 に 働 く タ ンパ ク 質 分 解 機 構 に よ っ て タ ンパ ク質 を 除去 す る し くみ を備 え て い る。G1期 か らS期 へ の 移 行 期 に働 く も の とM期 に働 く もの が あ る。 前 者 はSCFと 呼 ば れ るSkp1、Cdc53、F‑boxタ ンパ ク質 複 合 体 が 主 な働 き をす る。F‑boxタ ンパ ク質 に よ っ て 、 分 解 され る べ く リ ン酸 化 され た タ ンパ ク 質 が 認 識 され る。Skp1に よ っ てF‑boxタ ン パ ク 質 がCdc53に 結 び 付 け られ 、F‑boxタ ンパ ク 質 に 結 合 した タ ンパ ク 質 がCdc53を 介 し て ユ ビキ チ ン 化 され る。 ユ ビ キ チ ン化 され た タ ン パ ク 質 は プ ロ テ ア ゾ ー ム に よ っ て 分 解 さ れ る。SCFに よ っ て 分 解 され る タ ンパ ク質 に はG1後 期 に 作 られ るCln1、Cln2が あ り、S 期 に進 行 す る に は役 割 を終 え た これ らの サ イ ク リ ン を 分 解 す る必 要 が あ る。 す で にCdc28 /Cln1、Cdc28/Cln2はSic1を リン 酸 化 して お り、 そ れ が シ グナ ル とな っ てSic1もSCF経 由 で 分 解 され る。sic1に よ っ て 不 活 性 化 され て い たcdc28/clb5、cdc28/clb6が 解 放 され 、 活 性 化 され る 。 こ のCDKの 働 き に よ っ てDNA複 製 が 開 始 され る。M期 で の 分 解 に は サ イ ク ロ ソー ム(cyclosome)と も呼 ば れ るAPC(anaphasepromotingcomplex)タ ンパ ク 質 複 合 体 が働 く。 こ の 複 合 体 はdestructionboxと 呼 ば れ る ア ミ ノ 酸 配 列 を 持 つ タ ンパ ク 質 を 分 解 す る。APCの 標 的 タ ンパ ク質 に はG2期 か らM期 へ の 進 行 を 制 御 す る サ イ ク リ ン Clb2、Clb3や 後 期 阻 害 因 子(anaphaseinhibitor)で あ るPds1な どが あ る。 これ らの タ ン パ ク質 が 分 解 され る こ とがM期 を正 常 に 終 了 す る の に 不 可 欠 で あ る。 こ こで 述 べ た も の は酵 母 で 調 べ られ た もの で あ る が 、 同様 の働 き を す る遺 伝 子 が そ の 他 の 生 物 に も確 認 され て お り、 基 本 的 な し くみ は真 核 生 物 に保 存 され て い る も の と考 え られ て い る。

CDKは 細 胞 周 期 の エ ン ジ ン と呼 ば れ る こ と も あ る が 、 これ を 制 御 す る ブ レー キ が 用 意 され て い る(図11)。 チ ェ ッ ク ポ イ ン トと呼 ば れ る も の で 体 細 胞 分 裂 で はDNA損 傷 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト、DNA複 製 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト、 紡 錘 体 形 成 チ ェ ッ ク ポ イ ン ト、 形 態 チ ェ ッ ク ポ イ ン トが あ る。 これ らの チ ェ ッ クポ イ ン トは 細 胞 分 裂 の 過 程 に異 常 が な い 場 合 に は 作 動 しな い が 、 問題 が 生 じた 時 、細 胞 分 裂 の 進 行 を停 止 させ 、 問題 を解 決 す る た め の 時 間 を稼

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52 年 報2003

ぐ 。 こ の 間 にDNAの 修 復 や 複 製 、 染 色 体 の 赤 道 面 上 へ の 整 列 、 細 胞 の 成 長 が 進 む 。 異 常 が 解 決 で き な い 場 合 に は 細 胞 は ア ポ ト.̲.̲シス(apoptosis)を 起 こ し 、 崩 壊 し て ゆ く。

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幽 融 購"纈 嘩 鵜 麟 鱒 贈 膨 響 鱒 欝 難 渤 鵬 創 鱒 ■纏 轍 樽 ● 嘆 鞘 賑 饗 ■ 購 鴛顯 ● 鳳 繍 ♂

図11.細 胞 周 期 エ ン ジ ン の 制 御 の 概 念 図 。 細 胞 周 期 は 数 種 類 あ るCDKに よ っ て 推 進 され る が 、 こ れ ら のCDKの 活 性 を 上 昇 させ る 因 子 や 抑 制 す る 因 子 が あ り、 厳 密 に 制 御 され て い る 。 参 考 文 献9のp521 よ り複 写 。

高 等 植 物 のCDKは1種 類 の植 物 に も複 数 存 在 し、 そ の類 似 性 か らCDKA〜Eの5種 類 に 分 類 され て い る(Joubeseta1.2000)。CDKA類 が 酵 母 や 動 物 で 見 られ るCDC2/CDC2 8に 相 当 す る と考 え られ て い る。CDKB類 は 植 物 に 特 異 的 なCDKで 植 物 特 有 の 働 き を 持 っ て い る の か も 知 れ な い 。 こ のCDKは 細 胞 周 期 に 依 存 した 発 現 を す る。CDKC類 はCDK類 似 因 子 と して 知 られ て い るが 、分 裂 組 織 で 発 現 せ ず 、 細 胞 分 裂 に お け る役 割 は 不 明 で あ る。

CDKD類 はCDK活 性 化 キ ナ ー一ゼCAKで あ る と考 え られ る。CDKEは 一 っ しか 知 られ て お らず 、 細 胞 周 期 中低 レベ ル で発 現 し て い る が 、 そ の 働 き は 不 明 で あ る。 サ イ ク リ ン は大 き く分 け る とM期 へ の 移 行 を促 進 す るM期 サ イ ク リン と染 色 体 の 複 製 を 開 始 させ るG1期 サ イ ク リ ン の2つ に 大 別 され る が 、 植 物 で はA1〜3の 種 類 のAタ イ プ 、B1〜2の2種 類 のB タ イ プ 、D1〜3の3種 類 のDタ イ プ が 知 られ て い る(Renaudineta1.1996)。Aタ イ プ と Bタ イ プ がM期 サ イ ク リン でDタ イ プ がG1サ イ ク リ ン と考 え られ て い る。Dタ イ プ の サ イ ク リ ンの 発 現 量 は細 胞 周 期 を 通 じて か わ らな い 。

動 物 で はG1期 か らS期 へ の移 行 は 、 サ イ ク リ ンDがCDK4あ る い はCDK6を 活 性 化 し、

サ イ ク リ ンEがCDK2を 活 性 化 し、 そ れ ら の 活 性 化 され たCDKがRbタ ン パ ク 質 を リ ン酸 化 してE2F転 写 因 子 か ら解 離 させ 、E2Fに よ るS期 制 御 遺 伝 子 の 転 写 活 性 化 が 起 こ り、 進 行 す る も の と考 え られ て い る。 植 物 で もRbタ ン パ ク質 遺 伝 子 やE2F転 写 因 子 遺 伝 子 の 存 在 が 確 か め られ て お り、 同 様 の 制 御 機 構 が 働 い て い る も の と考 え られ て い る。

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シ ロイ ヌナ ズナ を用 い た植 物 の 有 性 生 殖研 究 に お け る最 近 の展 開2003

注;こ の 節 の 詳 し い こ と は 参 考 文 献3,6,9,10,11を 参 照 。

1.5減 数 分 裂

減 数 分 裂 時 に は 一 度 の 染 色 体 の複 製 に 続 き2度 の 細 胞 質 分 裂 が 起 こ り、1個 の 胞 子 か ら 染 色 体 数 が 半 減 した4個 の 細 胞 が 作 られ る。 胞 子 細 胞 がN対 の 相 同 染 色 体 を 持 っ て い た と す る と(シ ロイ ヌ ナ ズ ナ の 場 合 は5対 、 つ ま り2n‑10)、 配 偶 体 の細 胞 は各 対 の 相 同染 色 体 の1本 つ つ を 有 す る の でN本 の 染 色 体 を持 つ(シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 配 偶 体 の 場 合 、5本)。

体 細 胞 分 裂 と比 較 して 減 数 分 裂 に 特 徴 的 な の は 減 数 第 一 分 裂 の 前 期 で 、 この 時 体 細 胞 分 裂 で は 見 られ な い 相 同 染 色 体 の 対 合 が 起 こ る。 減 数 第 一 分 裂 の結 果 作 られ る2つ の 細 胞 に は こ の 対 合 した 相 同 染 色 体 の い ず れ か が 分 配 され る。 相 同 染 色 体 は全 く 同 じ とい うわ けで は な い の で 、 こ の2つ の 細 胞 は す で に 異 な る遺 伝 情 報 を受 け 取 っ た こ とに な る 。

減 数 分 裂 の過 程 で は 遺 伝 情 報 の 運 び 屋 で あ る染 色 体 を 過 不 足 無 く娘 細 胞 に 分 配 し な け れ ば な らず 、 厳 密 な制 御 が 不 可 欠 で あ る。 そ の 分 子 機 構 の 解 明 は 、 細 胞 の 構 造 が 簡 単 で 、 ゲ ノ ム サ イ ズ も小 さ く、 実 験 材 料 と して 非 常 に 都 合 の い い 単 細 胞 生 物 で あ る酵 母 を 用 い て 主 に行 われ て き た 。 多 細 胞 生 物 の 中 で も構 造 の 簡 単 な 線 虫 も近 年 減 数 分 裂 の研 究 に 大 き く貢 献 して い る。 マ ウス な ど の 哺 乳 類 で も 、 ヒ トへ の 応 用 な どか ら重 要 と考 え られ 、 精 力 的 に 研 究 が 進 め られ て い る。 トマ トや トウモ ロ コ シ の よ うな染 色 体 が 容 易 に観 察 で き る植 物 は 細 胞 生 物 学 的 研 究 が 盛 ん で 、 減 数 分 裂 研 究 にお い て も長 い 歴 史 を持 つ が 、 これ ら の植 物 で は 減 数 分 裂 変 異 体 が 単 離 され て も 、 そ の原 因 遺 伝 子 を 同 定 す るの が 困 難 で 分 子 レベ ル で の 研 究 に は な か な か 発 展 しな か っ た 。

減 数 分 裂 に 関 す る研 究 は 様 々 な ア プ ロー チ に よ っ て 進 め られ て き た 。 古 くか らあ る も の と して は 顕 微 鏡 を用 い て 染 色 体 の様 子 を観 察 す る細 胞 生 物 学 的 な ア プ ロー チ が あ る。 タ ン パ ク質 や そ の他 の 細 胞 構 成 成 分 を 精 製 し、 酵 素 活 性 な ど を解 析 す る とい っ た 生 化 学 的 な ア プ ロー チ も あ る。 精 製 した タ ンパ ク質 か らア ミノ 酸 配 列 の 情 報 が 得 られ 、 ま た 抗 体 を 作 成 す る こ とが で き る。 細 胞 内 に 多 く蓄 積 す る タ ン パ ク質 の 精 製 は順 調 に進 む が 、 蓄 積 量 の 低 い 転 写 因 子 な どの 場 合 に は 生 化 学 的 に 精 製 し解 析 す るの は 難 しい 。 タ ンパ ク質 の ア ミ ノ酸 配 列 か ら設 計 され た プ ロー ブ はサ ザ ンハ イ ブ リダ イ ゼ ー シ ョン法 に、 抗 体 はイ ム ノス ク リー ニ ン グ 法 に利 用 され る。 この よ うな方 法 を 用 い る の が 分 子 生 物 学 的 ア プ ロー チ で あ る。 生 化 学 的 デ ー タ を 必 要 と しな い 分 子 生 物 学 的 な ア プ ロ ー チ も あ る。Differentialscreening

な どの 方 法 で あ る。 こ の 方 法 に よ っ て 組 織 特 異 的 な 発 現 をす る遺 伝 子 を ク ロー ニ ン グす る こ とが で き る。 こ の 場 合 で も発 現 量 が 非 常 に低 い 遺 伝 子 を ク ロー ニ ン グ し、 解 析 す る の は 困難 で あ る。 突 然 変 異 体 を 単 離 し、 そ の 原 因 遺 伝 子 を解 明す る とい っ た 分 子 遺 伝 学 的 ア プ ロ ー チ を 用 い た 場 合 に は タ ー ゲ ッ トとな る遺 伝 子 が た と え発 現 量 が どん な に低 くて も 、 そ の 遺 伝 子 の 機 能 が不 可 欠 で あ れ ば 、 そ の 遺 伝 子 が 欠 損 した 場 合 に は表 現 型 と して 現 れ 、 変 異 体 を判 別 し、 単離 す る こ とが で き る 。 非 常 に鋭 敏 な 手 法 と言 え る。 しか し機 能 的 に 重 複 した 遺 伝 子 が 存 在 す る 場 合 に は 一 つ の 遺 伝 子 を破 壊 して も表 現 型 と して 現 れ ず 、 変 異 体 を

53

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選 抜 す る こ と が で き な い 場 合 も あ る。 こ の よ うな 場 合 に は 変 異 体 同 士 を 交 配 し、 二 重 、 三 重 の 変 異 体 を作 成 す る必 要 が あ る 。 ま た 一 つ の 遺 伝 子 が 様 々 な 発 生 段 階 で 機 能 して い る場 合 に は 特 定 の 段 階 で の機 能 を調 べ る こ とが 困難 とな る。 例 え ば 減 数 分 裂 に 必 要 な 遺 伝 子 が 、 発 生 初 期 の 成 長 段 階 で も必 須 の 遺 伝 子 で あ っ た場 合 、 こ の 遺 伝 子 に 変 異 が 起 きた 変 異 体 が 作 られ た と して も減 数 分 裂 に 至 る 前 に そ の変 異 体 は 死 ん で しま い 、 減 数 分 裂 時 の 表 現 型 を 調 べ る こ とは で き な い 。 最 近 で は こ の よ うな遺 伝 子 を解 析 す る 方 法 と してRNAiの 手 法 の 利 用 が 考 え られ て い る 。 つ ま り先 の よ うな 例 の 場 合 に は 減 数 分 裂 時 だ け そ の 遺 伝 子 が 発 現 で き な い よ うに 減 数 分 裂 に 特 異 的 な プ ロ モ ー タ ー を 用 い て2本 鎖RNAを 作 らせ る とい っ た 方 法 で あ る。 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ で は この よ うな 新 しい 手 法 を利 用 で き る とい っ た 点 も非 常 に 魅 力 的 で あ る 。

L旧騨口典gno 匹v酔 嘱璽nq

闘就 卿h鞘50:駄 A購 幽 項珊 胆 壱1叩隔3dl

図12.シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 花 粉 の 減 数 分 裂 の 様 子 。 酵 素 処 理 に よ っ て 細 胞 壁 を 消 化 した 後 、 染 色 体 を ス ラ イ ドガ ラ ス 上 に 展 開 し て 、 染 色 体 をDAPIで 染 色 し た も の 。 減 数 第 一 分 裂 前 期(leptotene期 、zygotene 期 、pachyten噸 、diplotene期 、diakinesis期)、 減 数 第 一 分 裂 中 期(metaphaseI)、 減 数 第 一 分 裂 後 期

(anaphaseI)、 減 数 第 一 分 裂 期 終 期(telophaseI)、 減 数 第 二 分 裂 前 期(prophaseII)、 減 数 第 二 分 裂 中 期(metaphaseII)、 減 数 第 二 分 裂 後 期(anaphaseII)、 減 数 第 一 分 裂 終 期(telophaseII)。

(15)

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の 有性 生殖 研 究 にお け る最 近 の 展 開2003

花 粉 母 細 胞 の減 数 分 裂 も卵 母 細 胞 の減 数 分裂 も減 数 分 裂 前 間 期(premeioticinterphase;

G1期 、S期 、G2期 か らな る)に 続 く、 減 数 第 一 分 裂 と減 数 第 二 分 裂 か らな る。 次 に 、 よ り詳 し く調 べ られ て い る 花 粉 の減 数 分 裂 の 様 子 に つ い て 記 述 す る(図13)。 細 胞 分 裂 様 式 の 体 細 胞 分 裂 か ら減 数 分 裂 へ の 切 り換 え は 減 数 分 裂 前 間 期 以 前 に決 定 され て お り、切 り 換 え が 正 常 に 起 こ ら な い 変 異 体 も単 離 され て い る。 減 数 分 裂 で 特 に特 徴 的 な の は 相 同染 色 体 の 対 合 が 起 こ る減 数 第 一 分 裂 の 前 期 で あ る。 この ス テ ー ジ は染 色 体 が 糸 状 に 見 え始 め る レプ トテ ン期 、 相 同染 色 体 同 士 の 対 合 が 始 ま る ザ イ ゴテ ン期 、 シ ナ プ トネ マ 構 造 が 完 成 す るパ キ テ ン 期 、 シ ナ プ トネ マ 構 造 が崩 壊 し染 色 体 が 凝 縮 す るデ ィ プ ロテ ン 期 、染 色 体 が ほ ぼ 凝 縮 し終 わ っ た ダ イ ア キ ネ シ ス 期 の5つ サ ブ ス テ ー ジ に 分 類 され る。 ザ イ ゴテ ン期 に は 組 み 換 え反 応 が 進 行 す る も の と考 え られ て お り、 パ キ テ ン期 に は 相 同 染 色 体 同 士 が 全 長 に わ た っ て 対 合 して 、'ディ プ ロ テ ン期 に は キ ア ズ マ が 形 成 され る。 そ の 後 、 減 数 第 一 分 裂 中 期 に は キ ア ズ マ に よ っ て連 結 した5組10本 の 相 同 染 色 体 が 赤 道 面 に整 列 す る。 減 数 第 一 分 裂 後 期 に は染 色 体 が2つ の 極 に 分 配 され 、 減 数 第 一 分 裂 後 期 に は 分 配 され た 染 色 体 が 極 付 近 に集 合 し核 膜 が 形 成 され る が 、 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ の場 合 は 細 胞 質 分 裂 は起 こ らな い。 赤 道 面 付 近 に は オ ル ガ ネ ラバ ン ドが観 察 され る。 減 数 第 二 分 裂 の 前 期 に は オ ル ガ ネ ラバ ン ド

に よ っ て 分 離 され た 二 つ の領 域 内 に 見 られ る核 内 で 染 色 体 が 一 度 糸 状 に分 散 す る が 、 減 数 第 二 分 裂 の 中 期 に は そ れ ぞ れ の領 域 内 の 赤 道 面 上 に染 色 体 が 整 列 す る 。 減 数 第 二 分 裂 の 後 期 に は そ れ ぞれ の 染 色 体 は染 色 分 体 に 分 離 し、 そ れ ぞ れ の領 域 内 の2つ の極 に分 配 され る。

合 計4つ の 染 色 分 体 の グル ー プ を 中 心 に して 核 が 形 成 され 、 細 胞 質 分 裂 が 起 こ り4つ の 花 粉 小 胞 子 を含 む 花 粉 四分 子 が形 成 され る。 花 粉 四分 子 の 細 胞 壁 が 崩 壊 し、 花 粉 小 胞 子 が 放 出 され て 、 雄 性 配 偶 体 世 代 が始 ま る。 そ れ ぞ れ の 小 胞 子 が 発 達 して 花 粉 と な る。 卵 の 減 数 分 裂 も基 本 的 に 同様 に して 進 行 す る。 但 し、 同 じつ ぼみ の 中 で も花 粉 の減 数 分 裂 は 卵 の減 数 分 裂 よ り も先 に進 行 す る。

減 数 分 裂 時 に は 体 細 胞 分 裂 時 とは 異 な り相 同 染 色 体 が 対 合 す る。 そ して 相 同 染 色 体 間 で 組 換 え が 起 こ り、 キ ア ズ マ が 形 成 され る。 体 細 胞 分 裂 時 の 相 同 組 換 え は 複 製 され た 姉 妹 染 色 体 間 で 起 こ る の に 対 し、 減 数 分 裂 時 に は相 同染 色 体 対 上 の 非 姉 妹 染 色 体 間 で 優 先 的 に 組 換 え反 応 が起 こ る よ うに制 御 され て い る。 こ の組 換 え反 応 の 分 子 機 構 も酵 母 を用 い た 実 験 系 か ら次 々 と新 しい 知 見 が 得 られ て い る 。 組 換 え 反 応 はSPO11に よ る二 本 鎖 切 断 に始 ま りぐRad50、Mre11、Xrs2ら に よ る切 断 部 位 か ら3'→5冒 方 向 へ の切 除 が 起 こ っ て 、 一 本 鎖 部 分 が 露 出 さ れ る 。 これ が ホ モ ロ ジ ー サ ー チ 機 能 に 必 須 で あ る と考 え られ て い る。Rad 51、Dmc1の 働 き に よ り鎖 の 交 換 が 起 こ る。 組 み 換 え部 位 に は キ ア ズ マ が 形 成 され る。 通 常 一 組 の 相 同 染 色 体 間 で は1つ か ら数 個 の キ ア ズ マ が 形 成 され る よ うに制 御 され て お り、

キ ア ズ マ は 非 常 に 隣 接 した部 位 で は作 られ な い し くみ に な っ て い る(cross‑overinterfer ence)a

複 製 され た姉 妹 染 色 体 は コ ヒー シ ン と呼 ばれ る タ ンパ ク質 複 合 体 に よっ て 互 い に 接 着 し て お り、 減 数 分 裂 に 特 異 的 な コ ヒー シ ン サ ブ ユ ニ ッ ト と してRec8が 知 られ て い る。 減 数

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56 年 報2003

第 一 分 裂 前 期 に 相 同 染 色 体 間 で 組 み 換 え が 起 こ り、 相 同染 色 体 乗 り換 え が 起 こ る に は 、 そ れ ま で に染 色 体 の動 原 体 以 外 の 部 分 で は コ ヒー シ ン が 除 か れ て 、姉 妹 染 色 体 が 乖 離 して い な けれ ば な らな い 。 動 原 体 部 分 の コ ヒー シ ン は減 数 第 二 分 裂 中 期 ま で 姉 妹 染 色 体 を っ な ぎ 止 め るた め に保 持 され て い る が 、 減 数 第 二 分 裂 後 期 が 始 ま る 前 に は 分 解 ・『除 去 され る も の

と 考 え ら れ て い る 。 こ の コ ヒ ー シ ン の 分 解 に は サ イ ク ロ ソ ー ム(APC;Anaphase

PromotingComplex)が 働 い て い る こ とが 知 られ て い る。 サ イ ク ロ ソ ー ム は 分 裂 中 期 (metaphase)か ら分 裂 後 期(anaphase)へ の 進 行 に 必 要 な 、 タ ン パ ク質 分 解 装 置 で ある 。 注;こ の 節 の詳 しい こ とは 参 考 文 献1,4,9、10、11を 参 照 。

1.6モ デ ル 植 物 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ

シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ が 、 ゲ ノ ム サ イ ズ が 小 さ い こ と 、 通 常 の 実 験 室 で 容 易 に 栽 培 で き る こ と 、 一 世 代 の 時 間 が 約1ヶ 月 と 短 い こ と な ど か ら植 物 の モ デ ル 生 物 に 採 用 さ れ て 以 来

、 こ の 植 物 に 対 し て 多 方 面 か ら 集 中 的 な 研 究 が 進 め ら れ た 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 特 徴 を ま と め た 専 門 書 も 数 多 く 出 版 さ れ て い る(Bowman,1994;Meyerowitz&Somerville,1994)。 胚 珠 や 繭 の 発 生 過 程 を 詳 し く 調 べ た 報 告 も あ る(Robinson‑Beerseta1.1992;Grossniklaus

&Schneitz1998;Sanderseta1.1999)。 こ の よ う に シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 様 々 な 部 位 や 器 官 の 発 生 過 程 に 関 す る 形 態 的 知 見 は 年 々 蓄 積 さ れ て い る 。

2000年12月 に は ゲ ノ ム の 全 塩 基 配 列 が 決 定 さ れ(ArabidopsisGenomeInitiative,200

0)、 ま た 数 多 く のcDNAク ロ ー ン が 解 析 さ れ そDNAマ イ ク ロ ア レ イ が 作 製 さ れ る な ど 遺 伝 子 発 現 の 網 羅 的 も 研 究 が 進 め ら れ て い る(Vandepoeleeta1.2002)。 し か し こ の よ う な 分 子 生 物 学 的 な 研 究 に お け る 利 点 と 対 照 的 に 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の ゲ ノ ム サ イ ズ の 小 さ さ は 染 色 体 サ イ ズ の 小 さ さ に 反 映 さ れ 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ が 有 す る10本(2n=10)の 染 色 体 を 顕 微 鏡 下 で 識 別 す る と い っ た 細 胞 生 物 学 的 な 研 究 に は 問 題 が あ っ た 。 し か し こ の 問 題 も 多 く の 研 究 者 の 努 力 に よ り克 服 さ れ つ つ あ る 。Rossら は 減 数 分 裂 期 の 花 粉 の 染 色 体 を 光 学 顕 微 鏡 下 で 観 察 す る 手 法 を 確 立 し た(1996)。Franszら は シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 染 色 体 に 対 し てFluorescenceinsituhybridization(FISH)を 行 う の に 成 功 し 、 染 色 体 上 の 特 定 の 部 位 を 同 定 す る の を 可 能 に し た(1998)。 さ ら にLysacら は 連 続 したBACク ロ ー ン か ら プ ロ ー ブ を 合 成 す る こ と に よ っ て1本 の 染 色 体 全 体 を 他 の 染 色 体 か ら識 別 す る こ と に 成 功 し た (2001)。 著 者 た ち の グ ル ー プ も シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 花 粉 の 減 数 分 裂 期 の 全 て の ス テ ー ジ の 染 色 体 に 対 し て シ グ ナ ル の 検 出 可 能 な 方 法 を 開 発 し て い る(Azumietal.2001)。 こ の よ

うな 研 究 に よ っ て 減 数 分 裂 期 の 染 色 体 を 詳 細 に 観 察 す る こ と が 可 能 に な り 、 減 数 分 裂 変 異 体 の 表 現 型 の 解 析 精 度 が 格 段 に 上 昇 し た 。 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 染 色 体 あ る い は 減 数 分 裂 に 関 す る 総 説 も 多 数 ま と め られ て い る(Bhatteta1.2001;Merciereta12001;Armstron

g&Jones2003;Caryl&Jones2003;Jones&Armstrong2003:Koornneef.&

Fransz2003;Schwarzacher2003)o

減 数 分 裂 変 異 体 は トマ ト、 トウ モ ロ コ シ な ど で 数 多 く 単 離 さ れ て い る が 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ

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「̲

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ を用 い た植 物 の有 性 生 殖研 究 に お け る最 近 の展 開2003 57

ナ が モ デ ル 植 物 と して 採 用 され て 以 来 、 シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ か ら減 数 分 裂 変 異 体 が 単 離 され る よ うに な っ た。 初 期 の 変 異 体 は 化 学 的 処 理 に よ る変 異 体 で 原 因 遺 伝 子 の 同 定 に は 非 常 に 多 くの 労 力 と資 金 が必 要 と され 、 な か な か 原 因 遺 伝 子 の 同 定 に 至 らな か っ た 。 トラ ン ス ポ ゾ ン タ ギ ン グ法 と 呼 ば れ る変 異 体 の 作 製 法 が 開 発 され 、 この 方 法 に よ っ て 作 成 され た 変 異 体 の 原 因 遺 伝 子 を 同 定 す る こ とは 比 較 的 容 易 で あ る(Deaneta1.1991;Bancrofteta1.

1992;Aartseta1.1993;Sundaresaneta1.1995)。 この 方 法 に よ り作 成 され た 変 異 体 が 報 告 され 始 め 、1997年 か ら減 数 分 裂 変 異 体 の 単 離 とそ の 原 因 遺 伝 子 の 同 定 が組 に な っ て 報 じ られ る様 に な っ た 。 以 来 毎 年 数 報 の論 文 が 発 表 され て き た が 、2003年 に は10報 以 上 の 論 文 が 発 表 され 、 大 き な 前 進 が 見 られ た年 で あ っ た。

シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ で は ゲ ノ ム の全 塩 基 配 列 が 解 っ て い る の で 、 テ ロ メ ア や セ ン トロ メ ア に 対 す る分 子 プ ロ ー ブ を 作 製 す る こ とが 可 能 で 、FISH法 に よ り染 色 体 各 部 分 が 可 視 化 され 、 減 数 分 裂 期 の 挙 動 が 追 跡 調 査 され て い る(Armstrongeta1.2001;Haupteta1.200

1)。 そ の 結 果 、 減 数 分 裂 前 間 期 に 他 の 生 物 で は テ ロ メ ア が 核 膜 の 一 部 に集 合 す る の に 対 し て 、 シ ロイ ヌ ナ ズ ナ で は核 小 体 の 周 辺 に集 合 す る こ と な どが 明 らか に され て い る。 こ の よ うな 分 子 生 物 学 的 な 手 法 を 取 り込 ん だ 細 胞 生 物 学 的 手 法 の 発 達 に よ り、 染 色 体 の 挙 動 が 詳 し く調 べ られ る よ うに な り、 そ の 挙 動 を 制御 す る し くみ に 注 目が 集 め られ て い る。 そ の し くみ を明 ら か に す る 目的 で 減 数 分 裂 の 変 異 体 が 単 離 され 、 解 析 が 進 め られ て い る。 本 論 文 にお い て は 減 数 分 裂 とそ の 誘 導 過 程 に焦 点 を絞 り、 この 過 程 に 関係 す る変 異 体 の解 析 に よ っ て 得 られ た 新 た な 知 見 た つ い て ま と め る 。

これ ま で の概 説 に 関す る 日本 語 の参 考 文 献 。 英 文 の 参 考文 献 に 関 して は本 論 文 の 末尾 に記 載 した。

1.減 数 分 裂 と遺 伝 子 組 変 え 堀 田康 雄 東 京 大 学 出版 会1988年

2.植 物 の発 生 学 植 物 バ イ オ の基 礎 足 立 泰 二 、 丸 橋 亘訳 講 談 社1995年

3.細 胞 周 期 の新 しい展 開 チ ェ ック ポイ ン ト制御 と癌 野 島 博 編 集 羊 土 社1998年 4.蛋 白質 核 酸酵 素3月 号増 刊Vo1.43No.4生 殖 細 胞 の発 生 と性 分 化 共 立 出 版1998年

5.細 胞 工 学別 冊 植 物 細 胞 工 学 シ リー ズ 新 版 植 物 の形 を決 め る 分 子機 構 一 形 態 形 成 を支 配 す る遺 伝 子 の は た らき に迫 る 一 岡 田清 孝 ら監 修 秀 潤 社2000年

6.細 胞 工 学別 冊植 物 細 胞 工 学 シ リー ズ 植 物 細 胞 の分 裂 一分 裂 装 置 とそ の 制 御 機 構 一 町 田泰 則 、 福 田裕 穂 監修 秀 潤 社2000年

7.花 性 と生殖 の分 子 生物 学 日向康 吉 編 著 学 会 出版 セ ンタ ー2001年

8.蛋 白質 核 酸 酵 素9月 号 増 刊Vol.47No.12植 物 の 形 づ く り 遺 伝 子 か ら見 た 分 子 メ カ ニ ズ ム 岡 田 清 孝 ら編集 共 立 出版2002年

9.実 験 医 学Vol.20No.4細 胞 周 期:サ イ ク リンの 発 見 か ら20年 羊 土社2002年

10.改 訂 第2版 分 子 生物 学 イ ラ ス トレイ テ ッ ド 田村 隆 明 、 山本 雅 編 集 羊土 社2003年 11.実 験 医学 増 刊Vo1.21No.5凸 細胞 周 期 研 究 の新 局 面 野 島 博 編 集 羊 土社2003年

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58 年 報2003

2.シ ロ イ ヌ ナ ズ ナ の 生 殖 過 程 に 関 わ る 遺 伝 子 霧

シ ロイ ヌ ナ ズ ナ の 生 殖 過 程 に 関 わ る遺 伝 子 と して は 、 酵 母 の 生 殖 関 係 遺 伝 子 との 相 同 性 か ら単 離 され た 遺 伝 子 や デ ィ フ ァ レ ン シ ャル ス ク リー ニ ン グ法 に よっ て 生 殖 に特 異 性 が 見 つ か っ て い る遺 伝 子 な ど も報 告 され て い る。 こ こ で はEMS変 異 、 トラ ン ス ポ ゾ ン 挿 入 変 異 、 ア ン チ セ ン スRNAに よ る コ サ プ レ ッ シ ョ ン 、RNAi等 の 方 法 に よ り遺 伝 子 の機 能 が 阻 害 され た 変 異 体 で 、 実 際 に 表 現 型 に影 響 が 出 る と い っ た機 能 的 解 析 が 行 われ て い る も の に つ い て 取 り上 げ た 。

2.↑ 胞 子 形 成 変 異 体

AtMSI遺 伝 子(Hennigeta1.2003)はWD40繰 り返 し配 列 を持 っ 、chromatinassem‑

blycomplex1(CAF‑1)の サ ブ ユ ニ ッ トと考 え られ る タ ンパ ク 質 を コ ー ドす る 。WD40 repeatタ ン パ ク 質 は 酵 母 のMSII(multicopysuppressorofiral)タ ン パ ク質 やretino blastoma‑associatedproteinRbAp46/48な ど に 見 られ る 。AtMSI遺 伝 子 は ほ ぼ 全 て の 器 官 で 発 現 す る が 、 こ の 遺 伝 子 の発 現 を抑 え る と茎 頂 分 裂 組 織 は 花 序 分 裂 組 織 と して 花 芽 を分 化 す る こ とが で きず 、 腋 芽 か ら発 生 した 花 は 齢 が 進 む に つ れ 、 徐 々 に 花 の 形 態 を失 っ て い く。 そ の よ うな花 で は胚 珠 が発 達 せ ず 、雌 性 配 偶 体 で あ る胚 の うが形 成 され な い た め 、 雌 性 不 稔 とな る 。 ま た葉 で 花 の 器 官 決 定 遺 伝 子 で あ るAGとAP2が 発 現 す る よ うに な る。

AtMSI遺 伝 子 は 染 色 体 の 構 造 決 定 に 役 割 を 演 じ る だ け で は な く 、 様 々 な 器 官 で AP2やAGな ど の 遺 伝 子 発 現 を 正 し く調 節 す る こ とに よ っ て 花 の 器 官 形 成 や 雌 性 配 偶 体 の 発 達 に 影 響 す る も の と考 え られ る。

STERILEAPETALA(SAP)遺 伝 子(Byzovaeta1.1999)は 新 奇 な転 写 因 子 を コー ドす る も の と考 え られ る。SAP遺 伝 子 は 花 序 分 裂 組 織 、 花 芽 分 裂 組 織 で 発 現 した 後 、 第 2、 第3、 第4whorlで 発 現 し、 一 度 減 少 した 後 、 今 度 は 胚 珠 で 発 現 す る よ うに な る 。 SAP遺 伝 子 の 変 異 体 で は が く が 心 皮 化 し 、 花 弁 は 細 小 化 あ る い は 数 が 減 少 す る 。 雄 しべ は 数 が 減 っ た り、 構 造 も異 常 で 繭 の 中 で 花 粉 は 作 られ な い 。 雌 しべ は 外 見 的 に は 正 常 で 胚 珠 も形 成 され る 。 そ の 胚 珠 で は 珠 柄 、珠 皮 、 珠 心 が 分 化 し、 卵 母 細 胞 は 減 数 第 一 分 裂 を 開 始 す るが 、 四分 子 の 形 成 に ま で 至 らず 、 二 分 子 と な り、 減 数 分 裂 を 完 了 す る こ とが で き な い 。 柱 頭 に 着 床 した 花 粉 は 発 芽 し、 花 粉 管 を 花 柱 を通 りな が ら延 ば す が 、 珠 孔 に は 達 す る

こ とが で き な い。

SAP遺 伝 子 とAP2遺 伝 子 は 、 こ れ ら の 二 重 変 異 体 は 個 々 の 変 異 体 よ り も 多 くの 表 現 型 で 激 し さが 増 す こ とか ら、 同 じプ ロセ ス に働 く こ とが 示 され て い る。AG遺 伝 子 との 二 重 変 異 体 は 初 期 の 花 で はag変 異 体 と 同 じ表 現 型 を示 す こ とか ら、AG遺 伝 子 が 上 位 に あ る と 予 想 され る 。 ま たsap変 異 体 で はAG遺 伝 子 が 異 所 的 に 発 現 す る よ うに な る こ と か ら 、 SAP:遺 伝 子 はAG遺 伝 子 の発 現 を 抑 制 す る働 き が あ る も の と考 え られ る。AP2遺 伝 子 は 他 の 遺 伝 子 と 共 同 作 業 でAG遺 伝 子 の 発 現 を抑 制 す る こ とが 知 られ て お り、SAP遺 伝 子 も AP2遺 伝 子 の 共 同 作 業 でAG遺 伝 子 の発 現 を制 御 し、 花 の 器 官 形 成 に 寄 与 し て い る と考 え

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1

シ ロイ ヌ ナ ズナ を用 い た 植 物 の 有性 生 殖研 究 に お け る最 近 の展 開2003

られ る。SAP遺 伝 子 の 卵 母 細 胞 の 減 数 分 裂 を制 御 す る し くみ に つ い て は 不 明 で あ る 。 BELL(BEL1)遺 伝 子(Rayetal.1994;Reisereta1.1995)はPlantHomeo

Domain(PHD)を 持 つ 転 写 因子 を コ ー ド して い る。RNAレ ベ ル で は葉 や 根 で も 発 現 し て お りぐBEL1は 核 に 局 在 す る。 雌 しべ 内 で の この 遺 伝 子 の発 現 は 胚 珠 の 発 達 開 始 時 期 に は 胚 珠 全 体 で 、 つ ぎ に 珠 心(nucellus)と 珠 柄(funiculus)の 間 で 、 さ ら に そ の 後 で は そ こ か ら発 達 し始 め た2層 の 珠 皮(integument)で 見 られ る。 この 遺 伝 子 に 変 異 が 起 こ る と珠 皮 の 発 達 が 起 こ らな い 。 こ れ は こ の 遺 伝 子 が胚 珠 に お け る 近 位 遠 位 軸(Proxima1‑

Distalaxis)の 中 心 を決 定 し、 この 部 分 か ら の珠 皮 の発 達 を促 して い る も の と考 え られ る。 卵 母 細 胞 は 減 数 分 裂 を 開 始 す るが 胚 の うは 形 成 され な い。 珠 皮 の 発 達 が 胚 の うの 発 達 に 大 き な影 響 を 与 え て い る もの と考 え られ る 。

AINTEGUMENTA(.ANA遺 伝 子(Ellioteta1.1996;Kluchereta1.1996)はAP

2ド メイ ン を共 通 に 有 す るAP2遺 伝 子 族 の 一 員 で 転 写 因 子 を コー ドす る 。 こ の 遺伝 子 は様 々 な 組 織 で 複 雑 な発 現 を す る が 胚 珠 、 特 に 珠 皮 で 強 く発 現 す る。 こ の遺 伝 子 の 変 異 は 珠 皮 細 胞 の 正 常 な発 達 を 阻 害 し、 そ の結 果 と して 卵 母 細 胞 の 減 数 分 裂 が 異 常 を 来 し、 四 分 子 の 状 態 で 停 止 す る。 雌 しべ 以 外 の 花 の 器 官 で も器 官 数 の減 少 や 形 態 異 常 を 引 き 起 こす 。 この 遺 伝 子 の 場 合 も変 異 の 直 接 的 な影 響 は珠 皮 に 対 す る もの で あ る が 、 これ が 卵 母 細 胞 の 減 数 分 裂 に 影 響 を与 え て い る。APZ遺 伝 子 と の 二 重 変 異 体 で は よ り表 現 型 が 激 化 す るた め 、AP2 遺 伝 子 と花 の器 官 形 成 に お い て 同 じ役 割 を果 た して い る も の と考 え られ る。

ANTとBEL1の 関係 も 興 味 深 く、 二 重 変 異 体 で の 解 析 が 行 わ れ て い る(Kluchereta1。

1996)。belヱ で は 外 珠 皮 は 分 化 し始 め る が そ の 後 異 常 な 形 で 発 達 が 終 わ り、 内珠 皮 は 全 く 発 達 しな い 。antで は 外 珠 皮 も内 珠 皮 も分 化 しな い 。bellで の 内 珠 皮 の 発 達 にANTが 必 要

か ど うか を調 べ るた め に二 重 変 異 体 が 作 成 され た 。 この 二 重 変 異 体 で は 内珠 皮 も発 達 しな い こ とか らANTは 珠 皮 の 発 達 に一 般 に 必 要 で 、BEL1は 内珠 皮 の 分 化 と外 珠 皮 の そ の 後 の 発 達 に 必 要 で あ り、.ANTはBELLの 上 位 に あ る と考 え られ る。 しか しantで もBEL1遺 伝 子 は 正 常 に 発 現 して い る こ とが 示 され て お り、ANTはBEL1の 発 現 を 転 写 レベ ル で 調 節 し て い る の で は な い と考 え られ る。

SPOROCYTELESS(SPL)/NOZZLE(NZZ)遺 伝 子(Yangeta1.1999;

Schiefthaleretal.1999;Balasubramanianetal.2000;Balasubramanianetal.

2002)は 胞 子 体 形 成 に必 須 の 遺 伝 子 と して 単 離 され た。 こ の 遺 伝 子 の 変 異 体 で は胞 原 細 胞 の 分 化 に 異 常 が あ る と考 え られ 、 花 粉 母 細 胞 や 卵 母 細 胞 は形 成 され な い 。 卵 母 細 胞 を取 り 巻 く珠 皮 細 胞 は 正 常 に 分 化 す る の に対 して 、 花 粉 母 細 胞 を 取 り巻 く タ ペ ー ト細 胞 の 分 化 に は 異 常 が 生 じて い る。 こ の 遺 伝 子 の発 現 部 位 はYangら とSchiefthalerら とで 異 な る結 果 が 報 告 され て お り、 さ ら な る解 析 が 必 要 で あ る。SPL/NZZ遺 伝 子 はMADSボ ッ ク ス 型 の 転 写 因 子 を コー ドす る こ とが 明 らか に され て お り、 卵 母 細 胞 や 花 粉 母 細 胞 へ の 分 化 に 必 要 な遺 伝 子 の 転 写 を活 性 化 す る の で は な い か と考 え られ る。 あ るい は こ の 遺 伝 子 は胚 珠 や 繭 内 で の 極 性 を 決 定 す る働 き が あ り、 こ の機 能 に欠 損 が起 こ る と花 粉 母 細 胞 や 卵 母 細 胞 が

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参照

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