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近世中期の思想と文学 : 天文暦学・本草学との関わ りから

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

近世中期の思想と文学 : 天文暦学・本草学との関わ りから

吉田, 宰

http://hdl.handle.net/2324/4059958

出版情報:九州大学, 2019, 博士(文学), 課程博士 バージョン:

権利関係:やむを得ない事由により本文ファイル非公開 (3)

(2)

(様式6-2)

氏 名 吉田 宰

論 文 名 近世中期の思想と文学

―天文暦学・本草学との関わりから―

論文調査委員

主 査 九州大学 准教授 川平 敏文 副 査 九州大学 教授 辛島 正雄 副 査 九州大学 教授 髙山 倫明 副 査 九州大学 教授 静永 健

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本論文は、近世中期の思想と文学について、天文暦学・本草学という、いわゆる自然科学系の学 問との関わりから、その様相を解き明かすことを目的としたものである。

第一章では、近世中期の天文暦学者西村遠(えん)里(り)を取り上げる。遠里はその後半生におい て、天文暦学書から随筆の執筆へと、その比重を移していった。本章ではその要因を、未刊のまま 流布した遠里の随筆『万国夢物語』の考察を中心として、書肆銭屋の企画・販売戦略との関係・連 携という側面から論じる。

第二章では、その遠里の随筆に見られる思想的特徴を明らかにする。遠里は近世前期の儒学者 熊沢蕃山(ばんざん)の、いわゆる「時処位」の論を援用することが多いが、その要因は、遠里が修 めた天文暦学の世界観との親和性にあったとする。その際、遠里と同じような著述傾向をもった西 川如(じょ)見(けん)との関係についても論及し、考察を重厚にしている。

第三章では、近世中期の本草学者後藤梨(り)春(しゅん)を取り上げる。梨春は、その専門としての 本草学書以外にも、「談義本」というジャンルに分類される、戯作的な読み物も著している。本章で は、そのなかのひとつ『竜宮(りゅうぐう)船(せん)』の成立に、書肆鶴本の強い関与があったことを、

当時の出版関連文書をもとに明らかにする。

第四章では、やはり梨春の戯作的読み物のひとつ『都(みやこ)老子(ろうし)』を扱う。本書は当 時流行していた老荘思想の趣向を取り入れたものだが、しかしこれは単に趣向の問題にとどまらず、

本草学と老子の哲学とのあいだに共通性があったからだと指摘する。

第五章では、平賀源内の戯作『根(ね)南(な)志(し)具(ぐ)佐(さ)』に挿絵として描かれるカッパ図 を扱う。本書のやや特異なカッパ図は、源内の学友である後藤梨春から情報提供されたものであっ たこと、またこのカッパの情報は、当時いわゆる時事ネタであり、源内はそれを趣向として自分の 作品のなかに取り入れたものであることを明かにする。

このほか付論として、上田秋成の短編集『雨月物語』に収録される「貧福論」について、ジャ ンル横断的視座から考察した論考、および付録として、西村遠里の随筆『居(きょ)行(こう)子(し)』 の解題と翻刻を添付する。

このように本論文は、人文科学と自然科学を跨いだユニークな視点に立ち、従来見過ごされて きたさまざまな新事実を指摘するとともに、近世文学研究に新たな展開をもたらす興味深い論点を 提出したものである。またその考察は、手堅い書誌調査および本文の精読をふまえて立論されたも のであり、論理的な強度はきわめて高い。

(3)

よって本調査委員会は、本論文の提出者が博士(文学)の学位を授与されるに十分な能力を持つ と認めるものである。

参照

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