九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
石川県舳倉島に設置した潮位計測装置について
油布, 圭
九州大学応用力学研究所
http://hdl.handle.net/2324/1956607
出版情報:九州大学応用力学研究所技術職員技術レポート. 19, pp.33-36, 2018-10. 九州大学応用力学 研究所
バージョン:
権利関係:
石川県舳倉島に設置した潮位計測装置について
油布 圭
要旨
2008年7月、石川県の舳倉島に潮位計測装置が設置されてから、約10年が経過した。この装置は、
当時、応用力学研究所技術室に在職していた先輩職員によって製作および設置され、2011年以降は自身 も定期的なデータチェックや現場におけるメンテナンスに携わってきた。機械や部品の一部が故障・破 損したことがあったため、研究所で部品等の製作を行い、現場で交換するということも行った。近年は 先輩職員の退職に伴って装置の管理等を引き継いだため、備忘録の意味も込めて本稿に簡単に纏める。
キーワード
潮位計 舳倉島
1. 装置の概略
2008年7月、舳倉島(図1)に設置された潮位計測装置を図2に示す。当該装置は、設置海域の流量 算出や水位変化を知る目的で、応用力学研究所技術室の技術職員によって製作および設置された。装置 の詳細な構成は、過去の技術レポート[1-3]に記載があるため省略するが、概略図を図3に示す。装置が設 置されて以降、研究所における日常的なデータチェックと年1-2回の現場におけるメンテナンスが実施 されており、2011年度からは筆者もこの装置の維持管理に携わることとなった。
図1 舳倉島の位置(左)および拡大図(右)
図2 潮位計測装置;潮位井戸(左)および計測機器収納庫(右)
能登半島 舳倉島
Map data @2018 Google
舳倉島
潮位計測装置 設置場所
Map data @2018 Google
石川県舳倉島に設置した潮位計測装置について 油布 圭
2. 潮位データのチェック
潮位値は、120秒間(100Hz)の平均値として得られ、ISDN回線を通じて研究所のPCに1日1回送 信される。併せて計測器収納庫内の温度データも送信され、冷却装置の異常や停電の発生を知ることが 可能である。それらのデータを見て、機器に異常がないか日々確認している。例として、ある1日にお ける潮位変化を図4に、計測器収納庫内の温度変化を図5に示す。機器に異常があると、値が急激に変 化する、あるいは全く値が変化しなくなるといった症状が発生する。
図 3 潮位計測装置の概略図
図4 潮位変化(2018年7月6日)
図5 計測機器収納庫内の温度変化(2018年7月6日)
※ 冷却装置により基本的に26±2℃に維持
※ センサー上端を 0 としたときの水位変化を潮位として計測
3. 現場でのメンテナンス
現場でのメンテナンスは、定期(年1回程度)に加えて潮位データに異常が見つかった際に実施して いる。定期メンテナンスで主に行う作業は、潮位井戸およびセンサー部の清掃(図6,7)と潮位値の校正
(確認)である。ただし、校正作業に関しては、これまで測定潮位値に有意なずれが発生したことはな く、実質は確認作業のみである。往路のフェリーで島に到着してから復路のフェリーが出発するまで3 時間ほどしかないため、その間に上記作業を実施している。
潮位データに異常があった場合は、データから原因を推測し、現場にて対処する。異常の大半は、潮 位井戸内部へ侵入した海草(図 8)やセンサー部分へ付着した泥などによって引き起こされている。潮 位井戸には海水が出入り可能なように穴を開ける必要があり、その周囲にはプランクトンフィルターを 巻いている。しかし、時折フィルターの隙間から海草や泥が浸入してしまう。そのような場合は、上述 のように井戸やセンサーを清掃しなければならない。また、電食によってできた穴からも海草や泥が浸 入して計測不能に陥る問題が生じたため、2015年10月に井戸の材料をSUS304からチタンに変更した。
チタンに変更してからは、電食による穴は開いていない。他の障害事例としては、観測庫内の温度が上 がったまま下がらなくなる異常を経験した。原因は冷却装置の故障であったため、当該装置の交換を行 って復旧した(図9)。
図6 潮位井戸清掃前 図7 潮位井戸清掃の様子
図8 潮位井戸に侵入した海草 図9 冷却装置交換の様子
石川県舳倉島に設置した潮位計測装置について 油布 圭
4. まとめ
舳倉島に設置した潮位計測装置の維持管理について簡単に纏めた。機器の部分的な交換やメンテナン スを実施しながらではあるが、現在のところ10年間大きな故障をすることなく装置を維持できている。
装置を構成している機器の中には生産が中止されているものもあり、故障時の対応が難しくなっている が、できるだけ長く装置を維持できるように今後もデータの確認やメンテナンスを実施していきたい。
参考文献
[1] 丸林賢次,石橋道芳:対馬西側「佐須奈」の潮位計測装置,九州大学応用力学研究所技術職員技術
レポート, 1, 44-49, 2000.
[2] 石橋道芳,丸林賢次:対馬西側「佐須奈」の潮位計測装置その 2,九州大学応用力学研究所技術職
員技術レポート, 2, 32-37, 2001.
[3] 石橋道芳,丸林賢次:潮位計測装置の改良について,九州大学応用力学研究所技術職員技術レポー
ト, 11, 81-86, 2010.
謝辞
器材製作や装置の整備について指導して頂いた元技術職員の丸林賢次氏と石橋道芳氏に御礼申し上 げます。また、潮位計測装置の維持に関わる機会を与えて頂いた大気海洋環境研究センターの広瀬直毅 教授、潮位計測装置のメンテナンスにご協力頂いている石川県水産総合センターの関係者の方々に深謝 いたします。