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LAST UPDATE【2015/10/xx】

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COVERAGE INITIATED ON: 2017.06.12 LAST UPDATE: 2018.05.14 当レポートは、掲載企業のご依頼により株式会社シェアードリサーチが作成したものです。投資家⽤の各企 業の『取扱説明書』を提供することを⽬的としています。正確で客観性・中⽴性を重視した分析を⾏うべく、 弊社ではあらゆる努⼒を尽くしています。中⽴的でない⾒解の場合は、その⾒解の出所を常に明⽰します。 例えば、経営側により⽰された⾒解は常に企業の⾒解として、弊社による⾒解は弊社⾒解として提⽰されま す。弊社の⽬的は情報を提供することであり、何かについて説得したり影響を与えたりする意図は持ち合わ せておりません。ご意⾒等がございましたら、sr_inquiries@sharedresearch.jp までメールをお寄せくだ さい。ブルームバーグ端末経由でも受け付けております。

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⽬ 次

SRレポートの読み⽅:本レポートは、直近更新内容・業績動向セクションから始まります。ビジネスモデルに馴染みのない⽅は、事業内容セクショ ンからご覧ください。

要約 --- 3

主要経営指標の推移 --- 5

直近更新内容 --- 7

概略 --- 7

業績動向 --- 10

四半期実績推移 --- 10

中⻑期⾒通し --- 16

事業内容 --- 21

概要 --- 21

フィナンシャルサービス事業 --- 32

コスト構造 --- 36

市場とバリューチェーン --- 37

SW(Strengths, Weaknesses)分析 --- 41

過去の財務諸表 --- 42

損益計算書 --- 42

貸借対照表 --- 55

キャッシュフロー計算書 --- 56

その他の情報 --- 57

沿⾰ --- 57

ニュース&トピックス --- 57

コーポレートガバナンスおよびトップマネジメント --- 61

配当⽅針 --- 61

⼤株主(2017 年 12 ⽉ 31 ⽇現在) --- 62

従業員数 --- 62

企業概要 --- 64

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要 約

事業概要

◤ 同社はポイントサイトを運営するポイントメディア事業およびコンテンツメディア事業などからなる「モバイル サービス事業」(2017年12⽉期売上⾼構成⽐84.7%、同営業利益構成⽐43.1%)と、仮想通貨関連事業、スマート フォン決済事業、投資育成事業などからなる「フィナンシャルサービス事業」(同15.3%、同56.9%)の2つの事業 を⾏っている。現事業領域の主軸となるポイントサイトでは、同社ポイントサイト会員(2017年12⽉末344万⼈: 前年同期⽐13.2%増)に対し、同社サイトに掲載する広告主の商品・サービスの購⼊や会員登録などのアクション を、ポイント提供によって促す事業を⾏っている。同社は、同社ポイントサイト会員がアクションを⾏った場合に 広告主から成果報酬を受け取り、ポイントサイト会員にその収⼊の⼀部(約3分の2)をポイントとして還元してい る(成果報酬型広告)。 ◤ 2017年12⽉期における売上⾼は5,400百万円(前期⽐44.9%増)、営業利益956百万円(同71.5%増)。営業投資有 価証券の売却を除いたオーガニックベースでは、売上⾼4,596百万円(同23.3%増)、営業利益162百万円(同70.9% 減)であった。 ◤ 同社のモバイルサービス事業の特⻑は、スマートフォン(スマホ)向け広告の売上⾼⽐率が相対的に⾼いことであ る(2016年12⽉期スマホ広告売上⾼⽐率約70%:代表的な競合GMOメディア株式会社(東証マザーズ6180)のメ ディア事業は同約40%)。株式会社D2C/株式会社サイバー・コミュニケーションズの共同調査によれば、2016年の インターネット広告媒体費は1兆378億円(前年⽐12.9%増)となり、そのうち、スマホ広告市場は6,476億円(同30.1% 増)に対し、PC広告市場は3,902億円(同7.4%減)であった。スマホ広告市場の構成⽐が初めて6割を超えた。同社 は2005年に国内で初めて携帯端末向けポイントサイトを開始し、PC向けよりも平均10歳以上若い10歳代後半から 20歳代を中⼼とするユーザーを、フィーチャーフォン向け課⾦コンテンツ(広告主のサイト)に送客してきた。ま た、スマホの普及とともに広がったアプリ系コンテンツにも若いユーザーを中⼼に送客している。同社は、インター ネット接続がPCからフィーチャーフォンへ、そして隙間時間にスマホを使った⽅法へとシフトするなか、他社に先 んじてその潮流に対応し、会員数を拡⼤させた。 ◤ 同社は他のポイントサイト運営会社に⽐べて収益性が⾼いという特徴を持つ(2017年度の営業利益率は、同社17.7% に対して、同社を除く上場3社平均は4.4%)。しかし、営業投資有価証券の売却を除いた同社の2017年12⽉期の営 業利益率は3.5%に低下した。また、2018年12⽉期の期初予想では営業利益率を6.8%としていた。同社はコイン チェック株式売却益の発⽣に伴い2018年12⽉期通期業績予想を修正し、修正後の営業利益率予想は13.2%となった。 アドネットワークのルール変更の影響やコンテンツメディアへの積極投資などにより、⼀時的に営業利益率が低下 している。主軸となるモバイルサービス事業の更なる成⻑を⽬指すと同時に、仮想通貨関連事業、スマホ決済事業、 投資事業などからなるフィナンシャルサービス事業を第2の柱として育てているところである。

業績動向

2017年2⽉14⽇に、同社は5ヶ年の中期経営計画を発表した。最終年度の2021年12⽉期売上⾼15,000百万円(年平均成⻑ 率32.1%)、償却前営業利益(EBITDA)3,000百万円(同40.0%)を⽬標に掲げている。部⾨別(旧区分)では、ポイン トメディア事業で売上⾼10,000百万円、EBITDA2,000百万円を⽬指す。M&Aや友達紹介などの仕組みづくりによる会員数 増加(2021年⽬標は2016年期末⽐2.3倍の700万⼈)が背景。コンテンツメディア事業では、売上⾼3,000百万円、EBITDA600 百万円を⽬指す。採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイト「モッピージョブ」のほか、新しいメディアの⽴ち上げによって第2 の収益の柱とする計画である。O2O事業では、売上⾼2,000百万円、EBITDA400百万円を⽬指す。スマホ利⽤者のネット 上(オンライン)での⾏動を現実(オフライン)の⼩売店舗への誘導やリピート向上につなげるオムニチャネルサービス など新事業を⽴ち上げる計画である。

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同社の強みと弱み

SR社では同社の強みを、PCからのシフトで拡⼤するスマホ向け広告売上⾼⽐率の⾼さ、⼈的投資に頼らない売上⾼増加 の仕組みづくり、会員によるアクションを誘発する⾏動履歴データの蓄積、の3点と考えている。⼀⽅、弱みに関しては、 参⼊障壁が低いポイントメディア事業を主⼒とすること、国内顧客ターゲットの上限キャップを埋める海外展開の困難性、 採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイトにおける掲載広告件数の少なさ、の3点と考えている。

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主 要 経 営 指 標 の 推 移

出所:会社データよりSR社作成

*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五⼊により⽣じた相違であることに留意。

損益計算書 FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17 FY12/18

(百万円) 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独 会予 ポイントメディア会員数(百万⼈) - - 1.18 1.78 2.67 3.04 3.44 YoY - - - 50.8% 50.0% 13.9% 13.2% 売上⾼ 719 582 1,172 2,421 3,167 3,726 5,400 7,600 YoY 17.6% -19.0% 101.3% 106.6% 30.8% 17.7% 44.9% 40.7% 売上総利益 294 234 442 934 1,159 1,319 2,168 売上総利益率 40.9% 40.2% 37.7% 38.6% 36.6% 35.4% 40.1% 販管費 255 239 285 604 694 762 1,212 YoY - -6.6% 19.2% 112.4% 14.8% 9.8% 59.1% 販管費率 35.5% 41.0% 24.3% 25.0% 21.9% 20.4% 22.4% 営業利益 39 -5 157 329 465 557 956 1,000 YoY - - - 109.7% 41.3% 19.7% 71.5% 4.6% 営業利益率 5.4% -0.8% 13.4% 13.6% 14.7% 15.0% 17.7% 13.2% 経常利益 39 -6 154 309 459 498 960 990 YoY -40.6% - - 100.2% 48.5% 8.5% 92.9% 3.1% 経常利益率 5.4% -1.0% 13.2% 12.8% 14.5% 13.4% 17.8% 13.0% 当期純利益 11 -10 90 294 269 276 650 645 YoY -75.9% - - 226.0% -8.4% 2.4% 136.1% -0.8% 当期純利益率 1.5% -1.7% 7.7% 12.1% 8.5% 7.4% 12.0% 8.5% ⼀株当たりデータ(円、株式分割調整後) 期末発⾏済株式数(千株) 8,580 8,580 8,580 9,180 9,237 10,759 11,300 EPS(円) 1.37 -1.35 12.05 38.05 30.68 30.54 62.65 59.29 EPS(希薄化後、円) - - - 37.73 29.57 28.87 60.65 DPS(円) - - - 8.00 12.00 8.00 BPS(円) 21.63 20.11 32.15 186.01 215.90 416.23 512.74 貸借対照表(百万円) 流動資産 359 341 637 2,235 2,362 4,659 5,674 現⾦・預⾦・有価証券 223 176 273 1,596 1,434 3,629 3,569 売上債権 100 104 272 425 606 654 839 棚卸資産 3 8 48 43 52 123 392 その他流動資産 36 60 45 172 269 254 874 固定資産 38 57 217 253 965 1,174 2,317 有形固定資産 10 9 16 22 72 64 211 無形固定資産 8 27 178 173 483 455 475 投資その他の資産 20 21 23 57 410 656 1,631 資産合計 396 398 854 2,488 3,326 5,833 7,991 流動負債 192 208 443 633 1,061 1,158 1,832 買⼊債務 5 4 8 29 56 108 206 短期有利⼦負債 10 22 59 73 115 160 258 ポイント引当⾦ 104 120 203 257 607 616 750 その他流動負債 72 62 172 276 283 274 617 固定負債 38 40 171 226 358 369 575 ⻑期有利⼦負債 37 38 170 216 337 345 515 その他 2 2 2 10 21 23 60 純資産 166 150 241 1,629 1,907 4,307 5,584 資本⾦ 80 80 80 337 339 1,380 1,749 資本剰余⾦ 45 45 45 871 874 1,915 2,284 利益剰余⾦ 56 45 136 429 698 974 1,542 ⾃⼰株式 -14 -20 -20 -8 -8 -8 -8 その他の包括利益累計額 - - - 42 11 新株予約権 - - - - 4 4 6 負債資本合計 396 398 854 2,488 3,326 5,833 7,991 キャッシュフロー計算書(百万円) 営業活動によるCF 59 -22 59 229 226 370 470 投資活動によるCF -8 -33 -130 -61 -558 -296 -1,448 財務活動によるCF -10 8 168 1,155 170 2,121 919 財務諸表 有利⼦負債 47 60 229 288 452 505 774 ネットキャッシュ 176 116 44 1,307 981 3,124 2,795 ROA(総資産経常利益率) 19.5% -1.4% 24.6% 18.5% 15.8% 10.9% 13.9% ROE(⾃⼰資本純利益率) 13.0% -6.4% 46.1% 31.4% 15.2% 8.9% 13.2% 流動⽐率 187% 164% 144% 353% 223% 402% 310% 固定⽐率 22.8% 38.0% 90.3% 15.5% 50.6% 27.3% 41.5% ⾃⼰資本⽐率 41.9% 37.8% 28.2% 65.5% 57.2% 73.8% 69.8%

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出所:会社データよりSR社作成

*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五⼊により⽣じた相違であることに留意。

損益計算書 FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17

(百万円) 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独 売上⾼ 719 582 1,172 2,421 3,167 3,726 5,400 YoY 17.6% -19.0% 101.3% 106.6% 30.8% 17.7% 44.9% 売上原価 425 348 730 1,487 2,008 2,407 3,232 原価率 59.1% 59.8% 62.3% 61.4% 63.4% 64.6% 59.9% 売上総利益 294 234 442 934 1,159 1,319 2,168 売上総利益率 40.9% 40.2% 37.7% 38.6% 36.6% 35.4% 40.1% 販管費 255 239 285 604 694 762 1,212 YoY - -6.6% 19.2% 112.4% 14.8% 9.8% 59.1% 販管費⽐率 35.5% 41.0% 24.3% 25.0% 21.9% 20.4% 22.4% 営業利益 39 -5 157 329 465 557 956 YoY - - - 109.7% 41.3% 19.7% 71.5% 営業利益率 5.4% -0.8% 13.4% 13.6% 14.7% 15.0% 17.7% 営業外損益 -0 -1 -3 -20 -7 -59 4 ⾦融収⽀ -1 -1 -1 -3 -2 -2 -1 その他 1 0 -1 -17 -4 -57 5 経常利益 39 -6 154 309 459 498 960 YoY -40.6% - - 100.2% 48.5% 8.5% 92.9% 経常利益率 5.4% -1.0% 13.2% 12.8% 14.5% 13.4% 17.8% 特別損益 -1 -3 - -2 - -30 -7 法⼈税等 27 2 64 13 190 192 303 税率 71.5% -20.4% 41.6% 4.4% 41.3% 41.1% 31.8% 少数株主損益 - - - -当期純利益 11 -10 90 294 269 276 650 YoY -75.9% - - 226.0% -8.4% 2.4% 136.1% 当期純利益率 1.5% -1.7% 7.7% 12.1% 8.5% 7.4% 12.0%

部⾨別売上⾼ FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17

(百万円) 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独 売上⾼ 719 582 1,172 2,421 3,167 3,726 5,400 モバイルサービス - - - 4,576 フィナンシャルサービス - - - 824 <旧区分> ポイントメディア - 580 1,162 2,390 3,101 3,606 -コンテンツメディア - 2 10 31 66 120 -YoY 売上⾼ 17.6% -19.0% 101.3% 106.6% 30.8% 17.7% 44.9% モバイルサービス - - - -フィナンシャルサービス - - - -<旧区分> ポイントメディア - - 100.4% 105.7% 29.8% 16.3% -コンテンツメディア - - 305.7% 206.9% 114.2% 82.1% -構成⽐ - 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% モバイルサービス - - - 84.7% フィナンシャルサービス - - - 15.3% <旧区分> ポイントメディア - 99.6% 99.1% 98.7% 97.9% 96.8% -コンテンツメディア - 0.4% 0.9% 1.3% 2.1% 3.2%

-部⾨別営業利益 FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17

(百万円) 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独 営業利益 39 -5 157 329 465 557 956 モバイルサービス - - - 593 フィナンシャルサービス - - - 783 調整額 - - - -421 YoY 営業利益 - - - 109.7% 41.3% 19.7% 71.5% モバイルサービス - - - -フィナンシャルサービス - - - -構成⽐ モバイルサービス - - - 43.1% フィナンシャルサービス - - - 56.9% 利益率 モバイルサービス - - - 13.0% フィナンシャルサービス - - - 95.0%

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直 近 更 新 内 容

概略

2018年5⽉14⽇、株式会社セレスは2018年12⽉期第1四半期決算を発表した。 (決算短信へのリンクはこちら、決算説明資料はこちら、詳細は2018年12⽉期第1四半期決算の項⽬を参照) 2018年4⽉20⽇、同社は、2018年12⽉期通期業績予想の上⽅修正を発表した。 (リリース⽂へのリンクはこちら) 2018年12⽉期通期業績予想の修正 売上⾼:7,600百万円(前回予想7,100百万円) 営業利益:1,000百万円(同480百万円) 経常利益:990百万円(同470百万円) 親会社株主に帰属する当期純利益:645百万円(同300百万円) 1株当たり当期純利益:59.29円(同27.57円) 修正の理由 主業であるポイントメディア事業、コンテンツメディア事業の業績が堅調に推移する⼀⽅、2018年4⽉6⽇に公表したと おり、コインチェック株式会社の株式を約515百万円にて売却し、約476百万円の売却益が発⽣する⾒込みであったが、 当該売却⼿続きが2018年4⽉16⽇付で完了した。当該取引に伴い、2018年12⽉期通期業績は前回発表予想を⼤幅に上回 る⾒込みとなった。 2018年4⽉6⽇、同社は、営業投資有価証券の売却益の計上に関して発表した。 (リリース⽂へのリンクはこちら) 同社は、2018年4⽉6⽇開催の臨時取締役会において、同社が保有する営業投資有価証券の⼀部を売却する決議をした。 当該営業投資有価証券の売却に伴い、売却益が発⽣する⾒込みとなった。 営業投資有価証券売却益の内容 ▷ 売却年⽉⽇:2018年4⽉6⽇ ▷ 売却株式:コインチェック株式会社 ▷ 売却額:約515百万円 ▷ 売却益:約476百万円 ▷ 付加条項:本件の譲渡契約には、売却額に追加して、コインチェック社の2019年3⽉期から2021年3⽉期までの各事業年 度の税引後当期純利益相当額の50%分から訴訟費⽤等を差し引いた⾦額が、売却時の同社の持分⽐率に応じて同社に⽀ 払われるアーンアウト条項が付されている。 なお、当該営業投資有価証券の売却による2018年12⽉期の業績予想への影響については、他の要因も含め精査中であり、 判明次第公表するとしている。

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Coverage 2018年3⽉29⽇、同社への取材を踏まえてレポートを更新した。 2018年3⽉14⽇、同社は株式会社LOGICAとの資本提携について発表した。 (リリース⽂へのリンクはこちら) 同社は、仮想通貨のポートフォリオ管理ツール「Coinboard(コインボード)」を開発・提供する株式会社LOGICAと、 2018年3⽉9⽇に資本提携契約を締結した。 資本提携の理由 ⽇本国内でも仮想通貨取引所の利⽤者が増加傾向にあり、仮想通貨取引も活発化しているが、複数の仮想通貨取引所を利 ⽤しているユーザーにおいては、仮想通貨の価格や残⾼のチェックにかかる負担が⼤きい。そのため、複数の仮想通貨取 引所で保有している仮想通貨の⼀括管理が可能なポートフォリオ管理ツールへのニーズが⾼まっている。従来の仮想通貨 ポートフォリオ管理ツールは、⼿動で仮想通貨の取引にかかるデータを⼊⼒する仕様が主流であったが、Coinboard(コ インボード)は API(Application Programming Interface)*にて仮想通貨取引所と連携させることができ、⾃動で取引 履歴や残⾼といったデータの更新が⾏われる仕様となっている。 同社は、現⾦や電⼦マネー等に交換可能なポイントサービスを運営しており、そのポイントは⼀種の仮想通貨(トークン) であると定義している。そのため、グローバルな仮想通貨であるビットコイン及びブロックチェーン技術とは⾮常に親和 性が⾼いと考えている。⾮現⾦決済社会(=トークン・エコノミー)が進む中で、同社はポイントサービスとともに、仮 想通貨・ブロックチェーン関連への事業展開を積極的に⾏ってきた。今回のLOGICA社への追加出資を通じて、⼀層の仮 想通貨関連事業を推進していくとともに、仮想通貨(トークン)・ブロックチェーン技術においてビジネスシナジーの可 能性を追求するとしている。 *あるWebサービスが持つ機能やデータを他のサービスで使えるようにするための仕組みを指す。 LOGICA社が第三者割当増資により新株式を発⾏し、その⼀部を同社が引き受ける。株式取得⽇は2018年3⽉14⽇(予定) としている。 なお、本件による2018年12⽉期通期業績への影響は軽微である。 2018年2⽉28⽇、同社はフレセッツ株式会社との資本提携について発表した。 (リリース⽂へのリンクはこちら) 同社は、仮想通貨取引所向けウォレット管理システムを始めとするソフトウェア開発事業を⾏うフレセッツ社と、2018 年2⽉28⽇に資本提携契約を締結することを決定した。 資本提携の理由 フレセッツ社は企業向けウォレット管理システムを始めとする仮想通貨関連のソフトウェア開発およびコンサルティン グ事業を⾏うベンチャー企業である。フレセッツ社が開発を⾏う仮想通貨取引所向けウォレット管理システムでは、マル

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Coverage チシグ*対応のビットコインアドレス⽣成機能、ホットウォレットとコールドウォレット**の連携機能、フルノードと軽 量化ノード***の使い分けによる負荷分散機能を実装していることを特⻑としている。フレセッツ社が開発を⾏う仮想通 貨取引所向けウォレット管理システムでは、事業者向けに作られたウォレットソリューションがほとんど存在しない中、 これらの機能により、既存法定通貨と同等レベルの安全性を担保しつつ、可⽤性・スケーラビリティを確保することを可 能としており、同社では⾦融事業者が求める⽔準を満たすものであると考えている。フレセッツ社の代表取締役の⽇向⽒ は、同社の提供するビットコイン送⾦サービスの「CoinTip」、ビットコイン海外送⾦サービスの「Sobit」を共同開発し ており、フレセッツ社の仮想通貨関連システムに係る開発⼒の⾼さは実証済であり、同社では、仮想通貨取引所向けウォ レット管理システムにおいても、競争⼒の⾼いサービスの開発を⾒込んでいる。 同社は、現⾦や電⼦マネー等に交換可能なポイントサービスを運営しており、そのポイントは⼀種の仮想通貨(トークン) であると定義している。そのため、グローバルな仮想通貨であるビットコイン及びブロックチェーン技術とは⾮常に親和 性が⾼いと考えている。⾮現⾦決済社会(=トークン・エコノミー)が進む中で、同社はポイントサービスとともに、仮 想通貨・ブロックチェーン関連への事業展開を積極的に⾏ってきた。今回のフレセッツ社への追加出資を通じて、⼀層の 仮想通貨関連事業を推進していくとともに、仮想通貨(トークン)・ブロックチェーン技術においてビジネスシナジーの 可能性を追求するとしている。 *マルチシグとは、マルチ・シグネチャの略称であり、マルチシグ対応のビットコインアドレスでは、ビットコインを送付するために複数の署名が必 要となる。そのため、マルチシグを採⽤することで⾼セキュリティのウォレットサービスを構築可能となる。 **ホットウォレットとは、インターネットに接続されているウォレットのことを指し、リアルタイムでの送⾦に対応可能で利便性が⾼い反⾯、不正 アクセスの標的になりうるため安全性が低いという特徴を有している。⼀⽅コールドウォレットとは、インターネットと完全に切り離されたウォレッ トのことを指し、安全性は⾼いものの、利便性が低いという特徴を有している。 ***ノードとは、ビットコイン・ネットワークに参加しているプログラム⼀つ⼀つを指す。フルノードとは、すべてのデータをダウンロードし検証す るノードを指し、軽量化ノードとは、すべてのデータをダウンロードすることなく、トランザクションの検証を⾏うノードを指す。軽量化ノードと することで運⽤が軽量化し、スケーラビリティも向上する⼀⽅で、フルノードよりもセキュリティが劣る可能性がある。 資本提携の内容 フレセッツ社が第三者割当増資により新株式を発⾏し、その⼀部を同社が引き受ける。株式取得⽇は2018年3⽉1⽇(予 定)としている。 なお、本件による2018年12⽉期通期業績への影響は軽微である。 過去の会社発表は、ニュース&トピックスを参照

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Coverage

業 績 動 向

四半期実績推移

出所:会社データよりSR社作成 *表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五⼊により⽣じた相違であることに留意。

セグメント変更

同社は、2017年12⽉期第3四半期累計期間より、報告セグメントを変更している。新しいセグメントは、モバイルサービ ス事業(ポイントサイトを運営するポイントメディア事業やコンテンツメディア事業など)とフィナンシャルサービス事 業(投資育成事業、スマートフォン決済事業、仮想通貨関連事業など)の2つとなっている。 従来はモバイルサービス事業の単⼀セグメントであり、売上⾼の内訳として、ポイントメディアとコンテンツメディアに ついて開⽰されていた。

2018年12⽉期第1四半期実績(2018年5⽉14⽇発表)

四半期業績推移(累計) FY12/16 FY12/17 FY12/18

(百万円) Q1 Q1-Q2 Q1-Q3 Q1-Q4 Q1 Q1-Q2 Q1-Q3 Q1-Q4 Q1 Q1-Q2 Q1-Q3 Q1-Q4 (進捗率) 通期会予 売上⾼ 904 1,808 2,758 3,726 1,065 2,032 3,989 5,400 1,713 22.5% 7,600 YoY 34.5% 23.2% 19.0% 17.7% 17.8% 12.4% 44.6% 44.9% 60.9% 40.7% 売上総利益 336 672 1,018 1,319 401 673 1,773 2,168 596 売上総利益率 37.2% 37.1% 36.9% 35.4% 37.6% 33.1% 44.5% 40.1% 34.8% 販管費 173 377 552 762 231 485 783 1,212 560 YoY 7.4% 12.6% 10.3% 9.8% 33.6% 28.5% 41.7% 59.1% 142.6% 販管費率 19.1% 20.9% 20.0% 20.4% 21.7% 23.9% 19.6% 22.4% 32.7% 営業利益 164 294 466 557 170 188 990 956 36 3.6% 1,000 YoY 54.4% 28.0% 19.8% 19.7% 3.9% -36.0% 112.6% 71.5% -78.8% 4.6% 営業利益率 18.1% 16.3% 16.9% 15.0% 16.0% 9.3% 24.8% 17.7% 2.1% 13.2% 経常利益 160 288 452 498 168 188 989 960 30 3.0% 990 YoY 52.5% 26.3% 17.4% 8.5% 5.0% -34.6% 118.6% 92.9% -82.1% 3.1% 経常利益率 17.7% 15.9% 16.4% 13.4% 15.8% 9.3% 24.8% 17.8% 1.8% 13.0% 当期純利益 99 153 262 276 109 122 670 650 12 1.8% 645 YoY 62.7% 13.1% 13.2% 2.4% 9.7% -20.1% 155.8% 136.1% -89.4% -0.8% 当期純利益率 11.0% 8.4% 9.5% 7.4% 10.2% 6.0% 16.8% 12.0% 0.7% 8.5%

四半期業績推移 FY12/16 FY12/17 FY12/18

(百万円) Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 売上⾼ 904 904 950 968 1,065 967 1,957 1,411 1,713 YoY 34.5% 13.7% 11.8% 13.9% 17.8% 6.9% 106.0% 45.8% 60.9% 売上総利益 336 335 347 301 401 272 1,100 394 596 売上総利益率 37.2% 37.1% 36.5% 31.1% 37.6% 28.2% 56.2% 27.9% 34.8% 販管費 173 205 175 209 231 254 298 429 560 YoY 7.4% 17.4% 5.7% 8.4% 33.6% 24.1% 70.3% 104.9% 142.6% 販管費率 19.1% 22.6% 18.4% 21.6% 21.7% 26.3% 15.2% 30.4% 32.7% 営業利益 164 131 172 91 170 18 802 -35 36 YoY 54.4% 5.5% 7.8% 19.7% 3.9% -86.0% 367.2% - -78.8% 営業利益率 18.1% 14.4% 18.1% 9.4% 16.0% 1.9% 41.0% - 2.1% 経常利益 160 128 165 45 168 20 801 -29 30 YoY 52.5% 4.0% 4.4% -38.1% 5.0% -84.3% 386.2% - -82.1% 経常利益率 17.7% 14.1% 17.3% 4.7% 15.8% 2.1% 40.9% - 1.8% 当期純利益 99 53 109 14 109 13 548 -20 12 YoY 62.7% -27.9% 13.3% -64.0% 9.7% -75.7% 401.7% - -89.4% 当期純利益率 11.0% 5.9% 11.5% 1.4% 10.2% 1.3% 28.0% - 0.7%

四半期重要経営指標推移 FY12/16 FY12/17 FY12/18

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 ポイントメディア会員数(百万⼈、 2.78 2.89 2.93 3.04 3.10 3.23 3.34 3.44 3.51

YoY 49.0% 17.3% 14.1% 13.7% 11.4% 11.7% 14.0% 13.3% 13.3%

四半期費⽤ FY12/16 FY12/17 FY12/18

(百万円) Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 売上原価、販管費 740 774 779 877 895 949 1,155 1,446 1,677 売上原価 567 569 604 667 664 695 857 1,017 1,117 ⼈材関連費⽤(販管費) 89 98 90 108 103 128 134 158 156 広告宣伝費 19 42 24 34 47 43 56 136 244 地代家賃 14 14 12 12 14 15 15 32 35 その他費⽤ 52 50 47 54 65 66 91 101 123 四半期費⽤(売上⾼対⽐) FY12/16 FY12/17 FY12/18

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 売上原価、販管費 81.9% 85.6% 81.9% 90.6% 84.0% 98.1% 59.0% 102.5% 97.9% 売上原価 62.8% 62.9% 63.5% 68.9% 62.4% 71.8% 43.8% 72.1% 65.2% ⼈材関連費⽤(販管費) 9.8% 10.9% 9.5% 11.2% 9.7% 13.2% 6.8% 11.2% 9.1% 広告宣伝費 2.1% 4.7% 2.5% 3.5% 4.4% 4.4% 2.9% 9.6% 14.2% 地代家賃 1.5% 1.5% 1.3% 1.2% 1.3% 1.6% 0.8% 2.3% 2.0% その他費⽤ 5.7% 5.6% 4.9% 5.6% 6.1% 6.8% 4.6% 7.2% 7.2% FY12/18

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Coverage 営業利益 36百万円(同78.8%減) 経常利益 30百万円(同82.1%減) 四半期純利益 12百万円(同89.4%減) ※上記数値は百万円未満を四捨五⼊した数値であり、会社発表数値(百万円未満切り捨て)と異なる場合がある(以下同じ)。

会社計画⽐

2018年12⽉期通期会社予想に対する第1四半期実績の進捗率は、売上⾼22.5%(2017年12⽉期実績に対する前第1四半期 の進捗率は19.7%)、営業利益3.6%(同17.8%)、経常利益3.0%(同17.5%)、当期純利益1.8%(同16.8%)となった。

前年同期⽐

2018年12⽉期第1四半期実績は、売上⾼1,713百万円(前年同期⽐60.9%増)、営業利益36百万円(同78.8%減)となっ た。売上⾼は⼤幅増収となったが、ポイント投資とコンテンツメディアでの積極的な広告投資、M&A等に係る⼀時的費 ⽤により⼤幅減益となった。 モバイルサービス事業において、スマートフォン端末をメインデバイスとしたポイントサイトを複数運営している。会員 数や掲載広告数の増加に向け各種施策の実⾏や、事業拡⼤のためにポイント投資を実施する等、積極的な営業活動を⾏っ た。また、既存事業であるポイントサイトにとどまらず、採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイトの「モッピーバイト」、無料 コミックサイトの「コミプラ」、スマホゲーム⽐較サイトの「LookApp」の事業拡⼤に取り組んだ。 2018年3⽉には、不動産情報サイトの「Oh!Ya」、「持ち家計画」を譲受し、⾮ポイントサイトの充実を図った。⼀⽅、 ポイントサイトで同社の発⾏するポイントは、現⾦や電⼦マネーに交換可能との観点からは⼀種の仮想通貨であると認識 しており、各種仮想通貨やその要素技術であるブロックチェーン技術をいち早く活⽤することで、新たな事業を⽣み出す ことが可能であるとの考えのもと、当第1四半期においても仮想通貨関連事業に積極的に投資した。 100%⼦会社マーキュリー社にて仮想通貨取引所の開設に向けた準備を進め、2018年3⽉に仮想通貨取引所向けウォレッ ト管理システムをはじめとするソフトウェア開発事業を⾏うフレセッツ社への追加出資、仮想通貨のポートフォリオ管 理ツール「Coinboard(コインボード)」を開発・提供する株式会社LOGICAへの出資を⾏った。 2018年4⽉には、コインチェック社株式を515百万円で売却し、売却益476百万円は当第2四半期に計上される予定である。 同社では、スマートフォン端末をメインデバイスとし、現⾦や電⼦マネー等に交換可能なポイントを付与するポイントサ イトを複数運営している。ポイントサイトにおいては、会員の拡⼤や掲載広告数の増加に向け、各種施策の実⾏や積極的 な営業活動を⾏い、売上⾼は堅調に推移した。また当期においては、既存事業であるポイントサイトにとどまらず採⽤課 ⾦型アルバイト求⼈サイトをはじめとする⾮ポイントサイトの充実を図り、コミックの利⽤をインセンティブとして広告 収益を獲得する無料コミックサイトを新たに⽴ち上げる等、これまでに培ったサイト運営ノウハウを⽣かした事業を積極 的に展開した。

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Coverage 四半期売上⾼ 出所:会社資料よりSR社作成 四半期費⽤項⽬ 四半期営業利益 出所:会社資料よりSR社作成

セグメント別

同社は、2017年12⽉期第3四半期累計期間より、報告セグメントを変更している。新しいセグメントは、モバイルサービ ス事業とフィナンシャルサービス事業の2つとなっている。 モバイルサービス事業 2018年12⽉期第1四半期における同事業の売上⾼は1,713百万円(前年同期⽐なし)、セグメント利益は171百万円(同) となった。モバイルサービス事業では、複数のポイントサイト、採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイトなどを運営している。 運営するポイントサイトにおいて、会員のECサイトでの利⽤⾦額の⼀定割合をポイントで還元するEC連携型のアフィリ エイト広告を強化するほか、⼈⼝知能(AI)によるアフィリエイト広告配信最適化技術を導⼊する等、収益性向上に向け た取り組みを⾏った。コンテンツメディアにおいては、事業拡⼤のために広告宣伝活動に注⼒した。また、⾃社での新サ イトの⽴ち上げだけでなく、事業譲受等も積極的に活⽤し、⾮ポイントサイトの充実を図った。 フィナンシャルサービス事業 当該期間における同事業の売上⾼は157千円(前年同期⽐なし)、セグメント利益は7,121千万円(同)となった。フィ ナンシャルサービス事業では、仮想通貨関連事業、スマートフォン決済事業、投資リターンを得ることを⽬的とした投資 育成事業を⾏っている。なかでも、仮想通貨関連事業においては、100%⼦会社である株式会社マーキュリーが2018年1 904 904 950 968 1,065 967 1,957 1,411 1,713 37.2% 37.1% 36.5% 31.1% 37.6% 28.2% 56.2% 27.9% 34.8% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 0 500 1,000 1,500 2,000 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 FY12/16 FY12/17 FY12/18

売上⾼ 売上総利益率 (百万円) 56789 569 604 667 664 695 857 1,017 1,117 98 90 108 103 128 134 158 156 740 774 779 877 895 949 1,155 1,446 1,677 0 500 1,000 1,500 2,000 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 FY12/16 FY12/17 FY12/18 売上原価 ⼈材関連費⽤ 広告宣伝費 地代家賃 その他費⽤ (百万円) 164 131 172 91 170 18 802 -35 36 18.1% 14.4% 18.1% 9.4% 16.0% 1.9% 41.0% 0.0% 2.1% 0% 20% 40% 60% -100 400 900 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 FY12/16 FY12/17 FY12/18

営業利益 営業利益率(右軸) (百万円)

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Coverage

⽉29⽇付で仮想通貨交換業の登録申請書を関東財務局へ提出し受理されており、仮想通貨取引所の開設に向け着実に準 備を進めている。投資育成事業では、同社の経営資源を活⽤しながら、投資先の成⻑⽀援を積極的に⾏っている。

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2018年12⽉期会社計画

出所:会社データよりSR社作成 *表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五⼊により⽣じた相違であることに留意。 2018年12⽉期業績は、売上⾼7,600百万円(前期⽐40.7%増)、営業利益1,000百万円(同4.6%増)、経常利益990百万円 (同3.1%増)、当期純利益645百万円(同0.8%減)を計画している。 同社は、2018年4⽉20⽇に2018年12⽉期通期業績予想を修正した。 2018年12⽉期通期業績予想の修正 売上⾼:7,600百万円(前回予想7,100百万円) 営業利益:1,000百万円(同480百万円) 経常利益:990百万円(同470百万円) 親会社株主に帰属する当期純利益:645百万円(同300百万円) 1株当たり当期純利益:59.29円(同27.57円) 修正の理由 主業であるポイントメディア事業、コンテンツメディア事業の業績が堅調に推移する⼀⽅、2018年4⽉6⽇に公表したと おり、コインチェック株式会社の株式を約515百万円にて売却し、約476百万円の売却益が発⽣する⾒込みであったが、 当該売却⼿続きが2018年4⽉16⽇付で完了した。当該取引に伴い、2018年12⽉期通期業績は前回発表予想を⼤幅に上回 る⾒込となった。 以下は修正予想発表前のコメントとなる。SR社は取材後に内容を更新する予定である。 前期の営業投資有価証券の売却という⼀過性要因を除いたオーガニックベースでは、前期⽐55.1%増収、同195.7%営業 増益となる。ポイントメディアの安定成⻑とコンテンツメディアの収益化により、2013年12⽉期以降6期連続の過去最⾼ 売上⾼を⽬指す。前期に引き続き、コンテンツメディアへの投資、仮想通貨取引所・マイニングへの投資など、積極的に 先⾏投資を⾏う。⼀⽅、前期に⾏った投資からの成果が2018年12⽉期に期待できると同社では考えている。 同社によれば、社内計画値は公表数値よりも⾼いとのこと。また、会社予想には営業投資有価証券の売却を⾒込んでいな い。出資先は全て未上場会社であるため、保有株式の売却は同社の⼀存ではできない。但し、上場などにより、将来、売 却の機会が期待できるものも複数あるとのこと。 業績推移 (百万円) 1H実績 2H実績 通期実績 1H実績 2H実績 通期実績 通期会予 売上⾼ 1,808 1,918 3,726 2,032 3,368 5,400 7,600 YoY 23.2% 12.8% 17.7% 12.4% 75.6% 44.9% 40.7% 営業利益 294 263 557 188 767 956 1,000 YoY 28.0% 11.7% 19.7% -36.0% 191.9% 71.5% 4.6% 営業利益率 16.3% 13.7% 15.0% 9.3% 22.8% 17.7% 13.2% 経常利益 288 210 498 188 772 960 990 YoY 26.3% -9.1% 8.5% -34.6% 267.6% 92.9% 3.1% 経常利益率 15.9% 10.9% 13.4% 9.3% 22.9% 17.8% 13.0% 当期純利益 153 123 276 122 528 650 645 YoY 13.1% -8.4% 2.4% -20.1% 330.3% 136.1% -0.8% 当期純利益率 8.4% 6.4% 7.4% 6.0% 15.7% 12.0% 8.5% FY12/18 FY12/16 FY12/17

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セグメント別

モバイルサービス事業 モバイルサービス事業では、ポイントサイトの会員数と掲載広告数の増加に向け、引き続き各種施策に取り組む⼀⽅、採 ⽤課⾦型アルバイト求⼈サイトや無料コミックサイトに続く新たなコンテン+ツメディアの⽴ち上げと収益化に注⼒す る⽅針である。 ポイントをインセンティブとする3つのポイントサイト(「モッピー」「モバトク」「お財布.com」)では会員数と掲載 広告数の増加を図る。同時に、コンテンツをインセンティブとするメディアでは、コミックの利⽤をインセンティブとし て広告収益を獲得する無料コミックサイト「コミプラ」の他にも新規コンテンツメディアの⽴ち上げを⽬指している。ま た、採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイト「モッピージョブ」のようなノンインセンティブ型のコンテンツメディアを複数展 開していく。 同社によれば、ポイントメディアにおいて、プロモーションの⼿法(ポイントインセンティブにより活発に動く会員層の 開拓)による独⾃の勝ちパターンを⾒出すことができたとのこと。成功しているプロモーション⼿法を⽤いて、売上⾼拡 ⼤を図る。また、Eコマース分野で直販を⾏うAD.TRACK(対象を限定した⾃社による代理店事業:クローズドのアフィ リエイト・プログラム)の業容が拡⼤しており、今後も成⻑が期待されるとのこと。こうした個別案件ごとの営業⼒につ いても強化していくとのこと。 コンテンツメディアにおいては、同社の会員が商品・サービスの使⽤感などを記事にしてアフィリエイト広告により出稿 するような商材が増加しているとのこと。また、2018年12⽉期には、同年3⽉に事業譲受したサイト(不動産情報サイト 「Oh!Ya」、⾦融情報サイト「資⾦調達プロ」など:「2017年12⽉期実績」の「後発事象」の段を参照)も収益貢献も期 待される。 フィナンシャルサービス事業 フィナンシャルサービス事業においては、100%⼦会社である株式会社マーキュリーにて仮想通貨取引所の開設準備を進 めるだけでなく、仮想通貨マイニング事業などの新たな仮想通貨関連事業の⽴ち上げにも積極的に取り組む予定である*。 *2018年1⽉29⽇付で、資⾦決済に関する法律第63条の3第1項の規定による仮想通貨交換業の登録申請書を関東財務局へ提出し、受理された。現在、 登録審査中 仮想通貨取引所や仮想通貨マイニングなどの事業は、現在、同社の連結対象ではない。しかしながら、同社がフィナンシャ ルサービス事業を新規セグメントとした背景には、以下のような同社の考えがある。 同社のポイントサイトで同社が発⾏するポイントは現⾦や電⼦マネーに交換可能であるとの観点からは⼀種の仮想通貨 であると同社は認識している。同社は、現在流通する各種仮想通貨やその要素技術であるブロックチェーン技術をいち早 く活⽤することで、新たな事業を⽣み出すことが可能であると考えている。仮想通貨が⼀般的になる前から、同社はお⾦ に類するモノの価値をポイントとしてインターネット上に流通させてきた。あらゆる情報がインターネット上でやりとり できるようになったインターネット⾰命の次には、モノの価値(貨幣)がインターネット上で⾃由にやりとりされるよう になるイノベーションがある。それが仮想通貨である。同社がこうした分野に乗り出した2年前の段階では、関連する法 整備やインフラ整備が⼗分ではなかった。しかし、イノベーションがくることが予⾒できたため、まずは⾃社の100%リ スクで事業を⽴ち上げるのではなく、仮想通貨事業を展開している会社に出資する形を採った。本来であれば、全てを⾃ 社で⾏いたこところであるが、上場会社としてのアカウンタビリティが果たせないとの観点から、当時はできなかった。 それができる環境が整いつつあると同社は考えている(詳細は、「事業内容」の章の「フィナンシャルサービス事業」の 段を参照)。

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中 ⻑ 期 ⾒ 通 し

中期経営計画

2017年2⽉14⽇に、同社は5ヶ年の中期経営計画を発表した。最終年度である2021年12⽉期に売上⾼150億円(年平均成 ⻑率32.1%)、償却前営業利益(EBITDA)30億円(同40.0%)を⽬標に掲げている。 中期経営計画における成⻑戦略として、1)既存のポイントメディア事業における収益拡⼤、2)コンテンツメディア事 業を2本⽬の収益の柱へ育成、3)中⻑期成⻑を⾒据えたO2O事業の育成、を掲げている。2016年12⽉期における同社の 収益は、96.8%がポイントメディア事業に依存しているため、中期経営期間において将来に向けた収益基盤構築を計画し ている。 事業別における2021年12⽉期売上⾼、償却前営業利益(EBITDA)の計画は、それぞれポイントメディア事業が10,000百 万円、2,000百万円、コンテンツメディア事業が3,000百万円、600百万円、O2O事業が2,000百万円、400百万円である。 償却前営業利益率に関しては、新メディア開発などに伴う先⾏投資費⽤により2017年12⽉期には16.4%(前期⽐0.8ポイ ント低下)となるが、2021年12⽉期には各事業において20%とする計画である。 5ヶ年中期経営計画

(百万円) FY12/16 FY12/17 FY12/21 FY16 ‒FY21

成⻑率 売上⾼ 3,726 5,100 15,000 32.1% ポイントメディア 3,606 - 10,000 22.6% コンテンツメディア 120 - 3,000 90.4% O2O - - 2,000 - 償却前営業利益(EBITDA) 646 1,030 3,000 40.0% ポイントメディア - - 2,000 - コンテンツメディア - - 600 - O2O - - 400 - 償却前営業利益率 17.3% 20.2% 20.0% - 出所:会社資料よりSR社作成 *表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五⼊により⽣じた相違であることに留意。 *2016年12⽉期第4四半期より、従来の「HRメディア」としていた部⾨名称を「コンテンツメディア」に変更。 以下は中期経営計画におけるそれぞれの戦略の概要である。

既存のポイントメディア事業における収益拡⼤

ポイントメディア事業では、会員数の増加と、会員1⼈あたり売上⾼の拡⼤を掲げている。 会員数の増加 同社からすれば、会員数の増加は売上⾼増加の源泉である。同社は、ポイントサイト会員として同社のターゲットとなる 潜在⼈⼝を1,000万⼈と考えており、同社ポイントメディア会員数(2016年12⽉末304万⼈)を中期経営計画最終年度で ある2021年12⽉期には700万⼈にする計画である。以下は、会員数増加のための戦略である。 広告出稿による会員獲得 広告出稿では、Webマーケティング強化によって会員獲得を図るほか、代理店を経由しない独⾃の成果報酬型広告のネッ トワーク構築を計画している。

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Coverage コンテンツ⼒の強化による会員獲得 コンテンツ⼒の強化に関しては、友達紹介プログラムの強化とサイト内コンテンツの充実と利⽤促進を重要視している。 友達紹介とは、友⼈を紹介した既存会員に対しポイントを付与するものである。同社によれば、友達紹介による会員は、 ポイントサイト広告に対する接触頻度が他の⼊会ルートによる会員よりも⾼く、ポイント獲得数も多い。そのため、同社 は特に友達紹介による新規会員獲得に重点を置いて取り組んでいる。友達紹介した会員には、ブログに貼るだけで50ポ イント、1⼈⼊会につき300ポイント、紹介した会員が獲得したポイントの50%に相当するポイント、という3段階の報酬 が付与される。 サイト内コンテンツの充実と利⽤促進に関しては、「クイズ」や「ゲーム」などのコンテンツを充実させることによって、 同社ポイントサイトへの会員の来訪頻度を⾼める計画である。 M&Aによる会員獲得 M&Aに関しては、同社は2005年の設⽴以来3件のM&Aを⾏ってきた。このうち、2件が競合ポイントサイトである。「ポ イントサイト」は1990年代半ばから存在しており、多数の運営企業が存在する。同社によれば、⻑期間運営しているサ イトは、継続的に利⽤する優良な既存会員を多く抱えており、追加投資をしなくても会員ビジネスとして固定費を超える キャッシュフローを⽣み出している場合が多いという。同社は、こうした競合を買収することによって会員数拡⼤による 広告主への交渉⼒強化へとつなげており、今後もM&Aを進める計画である。 同社による3件のM&A サービス名(相⼿企業) ⽬的 買収額 (百万円) 2013年12⽉ ポイントサイト「モバトク通帳(現・モバトク)」 (ファイブゲート株式会社) 同社「モッピー」とは異なる会員層(会員の約70% が男性)を持つポイントサイトの獲得 100 2015年2⽉ 求⼈サイト制作サービス「センキュー!」 (株式会社グローバルパワー) 同社「モッピージョブ」との連携 29 2015年4⽉ ポイントサイト「お財布.com」 (株式会社オープンキューブ) 同社「モッピー」とは異なる会員層(スマホ会員 の約60%が⼥性)を持つポイントサイトの獲得 150 出所:会社資料よりSR社作成 会員1⼈あたり売上⾼の拡⼤ 会員1⼈あたり売上⾼を拡⼤させるには、広告件数の増加、広告単価の上昇、会員によるアクション(広告成果)数の増 加が必要となる。以下は、同社の会員1⼈あたり売上⾼を拡⼤させる戦略の概要である。 広告件数 同社は広告件数を増加させるために、これまで⼿薄だった電⼦商取引(EC)分野の強化、スマホリサーチ、クラウドソー シング、インセンティブ動画広告の強化に取り組む計画である。同社は、「モッピー」「モバトク」「お財布.com」と いう3つのポイントサイトで運営ノウハウを共有させることにより、それぞれの掲載広告件数を増加させる計画である。 広告単価 広告単価に関しては、会員数増加に伴う広告在庫拡⼤による広告主への交渉⼒強化と共に、広告主向けの営業⼒強化に よって、⾼単価の⾦融系分野や電⼦商取引(EC)分野の案件獲得を増やす等により上昇させる計画である。 アクション数 アクション数に関しては、同社ポイントサイト会員の⾏動履歴など、ビッグデータの活⽤と⼈⼯知能(AI)を活⽤した会 員への最適な配信技術によるアクション(広告成果)数の増加を計画している。

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コンテンツメディア事業を2本⽬の収益の柱へ育成

2016年12⽉期における同社の売上⾼は、98%がポイントメディア事業で構成されており、同社は収益基盤を強固にすべ く新たな成果報酬型スマホメディアの⽴ち上げに取り組んでいる。 同社のこれまでの取組として、2010年11⽉に開始した採⽤報酬型アルバイト求⼈サイト「モッピージョブ」があげられ る。「モッピージョブ」は、利⽤者(個⼈の求職者)が求⼈情報に応募して採⽤が決まると、同社が求⼈広告掲載企業か ら採⽤課⾦収⼊を受け取り、その⼀部をポイントとして利⽤者に還元(付与)するというアルバイト情報サイトである。 求⼈サイト「モッピージョブ」とポイントサイト「モッピー」は連携している。すなわち、⼀般個⼈を対象としている「モッ ピージョブ」において、採⽤が決まった個⼈は「モッピーポイント」が付与される。「モッピーポイント」が付与された 個⼈は、「モッピー」の会員となってポイントを使⽤するため、「モッピー」の会員数増加につながるのである。同社で は、「モッピージョブ」の利⽤者は「モッピー」の会員に属性が近いため相乗効果が期待できるとしている。 このように、同社は、ポイント付与などによって集客し広告主が求める⾏動を動機づけるという、インセンティブを使っ た成果報酬型ビジネスモデルのノウハウを活かして、今後も複数のスマホメディアを⽴ち上げる計画である。具体的には、 ポイントではなく、ゲームなどの「コンテンツ」をインセンティブとしたスマホメディアを開発中である。

O2O分野での実店舗への送客サービス強化と新規展開

O2O分野での実店舗への送客サービス強化 同社は、これまでO2O分野(O2O=Online to Offline、インターネットでの情報が現実世界の個⼈の活動に影響を及ぼす こと)では、保険代理店やエステサロンなどの実店舗への送客サービスを中⼼に⾏ってきた。保険代理店への送客サービ スを例にとると、同社はポイントメディア会員に対し「保険代理店に赴いてファイナンシャルプランナーと⾯談する」と いうアクションに対してポイントを付与していた。今後に関して同社は、住宅展⽰場への送客や⼩売店舗への送客など新 しいサービスへと拡⼤させることを検討中である。 また、同社は、実店舗への送客サービスにおける事業展開を加速させるため、オムニチャネル*を使ったプロジェクトで 様々な実績を有する株式会社ゆめみ(⾮上場)と、資本業務提携を⾏っている。同社は、⾃社のスマホによるマーケティ ング領域と、ゆめみ社が有するソリューション領域において相乗効果を追求し、O2O分野でのサービスを共同開発してい くとしている。 *オムニチャネル:店舗やイベント、ネットやモバイルなどの経路(チャネル)を問わず、全ての(オムニ)経路で顧客と接点を持とうとする考え⽅ やその戦略 O2O分野での新規展開 O2O分野において同社は、実店舗への送客サービスのほかにビッグデータの活⽤、決済、仮想通貨という新規サービスの 創出を計画している。以下は、その概要である。 ビッグデータの活⽤ 同社は、会員の⾏動履歴などのビッグデータ(事業に役⽴つ知⾒を導出するために活⽤が期待される巨⼤で複雑なデータ の集積)を有する。同社はこうした会員の⾏動履歴を分析し、サイトにおける広告の表⽰⽅法を変えることなどによって、 広告主の求めるアクション(広告成果)が起こりやすいように会員に促すことを計画している。また、同社は、ビッグデー タの活⽤を促進させるため、クレジットカード履歴管理のスマホアプリ「CRECO」で開発実績のあるアイ・ティ・リア ライズ株式会社(⾮上場)に出資した。同社は、アイ・ティ・リアライズ社と連携し、会員のポイント利⽤履歴とクレジッ

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Coverage トカード利⽤履歴を分析してその会員に対する広告をコントロールすることでアクション(広告成果)数を増加させる新 サービスの開発を検討している。 決済 決済に関して同社は、ポイントサイト会員が貯めたポイントについて実店舗での利便性向上を⽬指している。具体的には、 株式会社セディナ(株式会社三井住友フィナンシャルグループ(東証1部8316)⼦会社)と提携し、無料でポイントチャー ジが可能なプリペイドカード「POINT WALLET VISA PREPAID」を発⾏している。同カードは、国内外約4,000万店舗のVISA 加盟店で利⽤でき、これまで以上に便利にポイントを利⽤することが可能になっている。また、VISA加盟店でのカード 利⽤額の0.5%相当のポイントが貯まることも特⻑となっている。 仮想通貨(暗号通貨)** 仮想通貨(暗号通貨)に関して同社は、かつてのインターネットのように仮想通貨が社会に対して将来何らかの⼤きなイ ンパクトを与えると予想している。経済産業省では、仮想通貨を⽀えるブロックチェーン(「ところで」の章で詳述)技 術による潜在的な市場規模を67兆円と推定(2016年4⽉現在)しており、そのなかで同社の展開する価値の流通・ポイン トサービスの市場規模は1兆円と推定している。 **仮想通貨(暗号通貨)は、法定通貨に対して特定の国家による価値の保証を持たないインターネット上の価値記録である。不特定多数の間で、物 品やサービスに対する⽀払い⼿段として⽤いることができる。仮想通貨には、ビットコインのほか、会津⼤学と東京⼤学などによる「萌貨(もえか)」 などの地域通貨など、600種類以上(bitFlyer社調べ)または1,600種類以上(⼀般社団法⼈⽇本クリプトカレンシー協会調べ)が存在するといわれて いる。 「投資育成事業」の開始 2017年5⽉19⽇に同社は、新たな事業として「投資育成事業」を開始すると発表した。「投資育成事業」を開始するにあ たり、これまでに投資したO2O領域の仮想通貨関連のベンチャー企業株式のうち売買⽬的株式(2017年12⽉期第1四半期 275百万円)を、同⽇付で従来の「投資有価証券」勘定から「営業投資有価証券」勘定へと変更した。2017年12⽉期末の 営業投資有価証券の残⾼は430百万円であった。 「投資育成事業」では、社⻑室のもとで成⻑企業への投資を検討しており、投資先企業の価値向上による投資リターンを 得ることで同社企業価値向上を⽬指す計画である。 O2O分野における資本業務提携 同社は、設⽴以来O2O分野におけるベンチャー企業11社との資本業務提携投資を実施した。このうち、7社の株式に関し ては、前述の通り2017年5⽉19⽇付で「投資育成事業」における「営業投資有価証券」に振り替えられた。 同社は、今後もO2O分野における新規事業⽴ち上げと既存ポイントメディア事業の成⻑のために資本業務提携を積極的に 進める計画である。以下は、同社による4社との資本業務提携の概要である。 同社による4件の資本業務提携(2017年5⽉時点) 提携先 ⽬的 出資額 (百万円) 2015年 株式会社バリューデザイン プリペイドカード分野での協業を⾏うため。 36 2015年5⽉ 株式会社ユニメディア スマホ広告、クラウドソーシング分野での協業を⾏うため。 37 2015年8⽉ チケットストリート株式会社 スマホを介しポイントを使ったO2Oサービスの検討を⾏う ため。 30 2016年6⽉ 株式会社ゆめみ 顧客企業に対して新しいO2Oサービスの開発・提供を⾏うた め。 ⾮公開 出所:会社資料よりSR社作成

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フィナンシャルサービス事業の⽴ち上げ

2017年12⽉期中に営業投資有価証券の⼀部を売却するに⾄り、新しく「フィナンシャルサービス事業」の報告セグメン トを⽴ち上げた。仮想通貨関連では⼦会社マーキュリーにおいて仮想通貨取引所開設に向けた準備を⾏うと同時に、仮想 通貨のマイニングを開始している。スマートフォン決済では、ポイント決済が可能な「POINT WALLET VISA PREPAID」 を発⾏している。投資育成事業として、仮想通貨やブロックチェーン分野への投資を拡⼤している(「事業内容」の章を 参照)。

財務戦略

同社は、中⻑期の持続的な事業成⻑のために、ポイントメディア事業における会員獲得、新たなスマホメディアの開発、 M&Aと資本業務提携投資による会員獲得とO2O分野進出、に向けた投資を⽬的とした資⾦調達が必要と考えていた。 新株予約権の発⾏ こうした考えのもとで、同社は割当先を野村証券株式会社(野村ホールディングス株式会社(東証1部8604)⼦会社)、 割当⽇を2016年10⽉25⽇、新株予約権発⾏数14,000個、潜在株式数1,400,000株、資⾦調達の額約2,711百万円(差引⼿ 取り概算額)とする第三者割当てによる⾏使価額修正条項付新株予約権を発⾏した。2016年12⽉13⽇までに新株予約権 の権利⾏使がすべて完了し、同社は合計で約2,058百万円の資⾦調達を⾏った。 第4回新株予約権 発⾏数 14,000個 発⾏価額の総額 13,020,000円 発⾏価額 930円 当初⾏使価額 1,934円 「⾏使価額の修正」の項⽬ 有 ⾏使期間 3年間 出所:会社資料よりSR社作成 同社は、新株予約権発⾏で調達する資⾦の具体的な使途として、以下の3つを掲げている。 具体的な使途 ⾦額(百万円) ⽀出予定時期 ポイントメディア事業における会員獲得のための投資資⾦ 750 2016年11⽉〜2019年12⽉ 新たなスマートフォンメディアの開発および⽴ち上げにかかわる投資資⾦ 850 2016年11⽉〜2019年10⽉ M&A、資本業務提携投資 1,110 2016年11⽉〜2019年10⽉ 出所:会社資料よりSR社作成 第三者割当 2017年12⽉18⽇、株式会社サイバーエージェント(東証1部4751)に対する第三者割当を実施した。発⾏新株式数500,000 株、発⾏価額1株につき1,470円(総額735百万円)。資⾦調達の額729.6百万円。

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事 業 内 容

概要

同社はポイントサイトを運営するポイントメディア事業、コンテンツメディア事業などからなる「モバイルサービス事業」 (2017年12⽉期売上⾼構成⽐84.7%、同営業利益構成⽐43.1%)と、仮想通貨関連事業、スマートフォン決済事業、投資 育成事業などからなる「フィナンシャルサービス事業」(同15.3%、同56.9%)の2つの事業を⾏っている。 モバイルサービス事業の中の主軸となるポイントメディア事業ではスマートフォン端末をメインデバイスとしたポイン トサイト(「モッピー」「モバトク」「お財布.com」)を運営している。同社はスマートフォン(スマホ)広告売上⾼ においてトップクラスの企業の⼀つである。同社売上⾼の源泉となるインターネット広告市場では、表⽰により広告料が 発⽣する純広告から成果報酬型広告(アフィリエイト広告)へとニーズがシフトしており、ポイントサイトはポイント付 与というインセンティブによって集客し、広告主の求める成果に誘導している。また、ポイントメディア事業で培ったノ ウハウを活かして、コンテンツメディア事業の拡充にも注⼒している。具体的には、採⽤課⾦型アルバイト求⼈サイトを はじめとする⾮ポイントサイト、コミックの利⽤をインセンティブとして広告収益を獲得する無料コミックサイトなどを 新たに⽴ち上げている。 更に、フィナンシャルサービス事業では、仮想通貨関連事業、スマートフォン決済事業、投資リターンを得ることを⽬的 とした投資育成事業を⾏っている。同社ポイントサイトにおいて同社の発⾏するポイントは現⾦や電⼦マネーに交換可能 であるという観点からは⼀種の仮想通貨であるという認識のもと、仮想通貨関連事業にも乗り出している。具体的には、 2017年7⽉に、ビットバンク株式会社に追加出資を⾏い関連会社とするだけでなく、2017年9⽉には仮想通貨取引事業な どを⾏う⽬的で100%⼦会社である株式会社マーキュリーを設⽴した。 事業領域とセグメント 出所:会社資料よりSR社作成

5期連続の増収増益

同社の2017年12⽉期業績は売上⾼5,400百万円(前期⽐44.9%増)、営業利益956百万円(同71.5%増)と、2013年12⽉ 期以降5期連続の増収増益となっている。2012年12⽉期は携帯端末がフィーチャーフォンからスマートフォンへのシフト が進んだことにより、フィーチャーフォン向け広告収⼊が減少したことによって、営業損益が5百万円の損失となった。 しかし、2013年12⽉期以降は、スマホ端末向け広告市場の拡⼤、Webマーケティングの強化と友達紹介プログラムなど 内部プロモーションによる新規会員の獲得、買収による新たな会員の獲得、などが同社の業績を押し上げた。

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Coverage 営業利益率に関しては、売上⾼の拡⼤とともに⼈件費などの販管費率が低下したことによって2016年12⽉期は15.0% (2013年12⽉期⽐1.6%ポイント上昇)と、改善傾向にある。また、2017年12⽉期は営業投資有価証券の売却も寄与し、 営業利益率は17.7%にまで上昇した。 同社業績 出所:会社資料よりSR社作成部⾨別売上⾼の推移 出所:会社資料よりSR社作成

モバイルサービス事業

現在の「モバイルサービス事業」は2005年の設⽴以来、同社の主軸となる事業である。モバイルサービス事業は、ポイ ントサイトを運営するポイントメディア事業、⾮ポイントサイトを運営するコンテンツメディア事業、実店舗へ同社顧客 を総客するO2O事業からなる。

ポイントメディア事業

ポイントインセンティブ 2016年12⽉期売上⾼のうち「ポイントメディア事業」が全売上⾼の96.8%を占めていた(2017年12⽉期はサブセグメン トベースでの開⽰なし)。 同社は、消費者が買い物などでポイントを貯め、貯めたポイントを現⾦や電⼦マネーに交換できる無料会員制サイトを運 営している。例えばECサイトで商品を購⼊する場合、ECサイトで直接購⼊するよりもポイントサイト経由で購⼊したほ うが、購⼊⾦額の数%にあたる報酬(ポイント)分だけ得になる。このように、同社はポイントインセンティブによって 会員の広告利⽤を促している。 719 582 1,172 2,421 3,167 3,726 5,400 39 -5 157 329 465 557 956 (200) 0 200 400 600 800 1,000 1,200 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独

FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17 売上⾼ 営業利益(右軸)

(百万円) (百万円)

部⾨別売上⾼ FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16 FY12/17

(百万円) 単独 単独 単独 単独 単独 単独 単独 売上⾼ 719 582 1,172 2,421 3,167 3,726 5,400 モバイルサービス - - - 4,576 フィナンシャルサービス - - - 824 <旧区分> ポイントメディア - 580 1,162 2,390 3,101 3,606 -コンテンツメディア - 2 10 31 66 120 -YoY 売上⾼ 17.6% -19.0% 101.3% 106.6% 30.8% 17.7% 44.9% モバイルサービス - - - -フィナンシャルサービス - - - -<旧区分> ポイントメディア - - 100.4% 105.7% 29.8% 16.3% -コンテンツメディア - - 305.7% 206.9% 114.2% 82.1% -構成⽐ - 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% モバイルサービス - - - 84.7% フィナンシャルサービス - - - 15.3% <旧区分> ポイントメディア - 99.6% 99.1% 98.7% 97.9% 96.8% -コンテンツメディア - 0.4% 0.9% 1.3% 2.1% 3.2%

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Coverage ビジネスモデル モバイルサービス事業において、同社は「モッピー」「モバトク」「お財布.com」という3つのポイントサイトを運営し ている。ポイントサイトのビジネスモデルは、主にポイントインセンティブを使って成果報酬型広告の成果の発⽣を促す 広告⼿法に基づいている。 成果報酬型広告とは、ポイントサイトに掲載された広告バナーに対し閲覧者であるポイントサイト会員が、その広告の商 品を購⼊するなどのアクション(広告成果)を条件として、広告主が広告料を⽀払うものである。ポイントサイト会員は、 ポイントを貯めることがインセンティブ(動機付け)となってアクションを起こす。アクションには、買い物やクレジッ トカード発⾏など、さまざまな種類が存在する。 ポイントサイトのビジネスモデル 出所:同社資料 主なアクション(広告成果)のカテゴリーと会員がポイントを獲得する条件 カテゴリー 会員がポイントを獲得する条件(具体的なアクション) 電⼦商取引(EC) ポイントサイト経由で提携電⼦商取引サイトを訪問し、商品を購⼊する。 クレジットカード ポイントサイト経由で提携サイトを訪問し、クレジットカード会員になる。 保険 ポイントサイト経由で提携サイトを訪問し、保険代理店のフィナンシャルアドバイザーと⾯談⽇を確定して⾯談する。 リサーチ ポイントサイト内でアンケートに答える。 ゲームアプリ ポイントサイト経由でゲームアプリをダウンロード、あるいはアプリ内課⾦する。 出所:会社資料によりSR社作成 同社は、スマホユーザーを中⼼に集客し、同社が広告主から受け取る広告収⼊の⼀部(約3分の2)を会員に付与してい る。

参照

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