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厚生労働行政推進調査事業費補助金(難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業))
分担研究報告書
プリオン病のサーベイランスと感染予防に関する調査研究
プリオン病における画像診断基準の検討
研究分担者:原田雅史 徳島大学医歯薬学研究部 研究協力者:佐光 亘 徳島大学医歯薬学研究部
研究要旨
CJDにおいてはDWIの診断能が高いことからMRI が施行されることが多く、
同時に撮像できる3D Arterial Spin Labeling(ASL)法による脳灌流情報のCJD診 断への有用性について検討した。灌流画像と定量値マップを作成し、健常コントロ ールと統計学的マップにて比較し、自動 ROI 設定にて局所の脳血流値について各 部位での相違を比較検討した。その結果 CJD では正常者にくらべて相対的のみな らず絶対値としても健常者より脳灌流が低下おり、特に遺伝性 CJD では広範な血 流値低下を認め、弧発性CJDとの鑑別点ともなることが示唆された。
A.研究目的
MRI に お け る 3DArterial Spin Labeling(ASL)法は造影剤を用いない非侵 襲的な脳灌流評価法として実臨床でもひろ く利用されるようになっている。CJDにお いては DWI の診断能が高いことから MRI が施行されることが多く、同時に撮像でき る3DASL法による脳灌流情報のCJD診断 への有用性についての検討は重要と考えら れる。CJDにおける SPECT等による脳灌 流の低下の報告は見受けられるが、3DASL 法を用いた総合的な検討はみあたらない。
今回我々は多施設共同研究として収集した MRI 画像のうち、3DASL 法が取得できた 12例について、灌流画像と定量値マップを 作成して健常コントロールと統計学的マッ プにて比較検討した。定量マップについて は、自動ROI設定にて局所の脳血流値を測 定して、各部位での相違を比較検討した。
B.研究方法
多施設共同研究として前向きに収集した CJD症例16例のうち、3Tesla MRIにて 3DASL法が測定できた12例を対象とした。
3DASL法は差分画像とT1 値とproton 画 像から定量化された脳血流の定量値マップ を用いた。比較対象として年齢をマッチさ せた12例の3DASLデータを利用した。
CJDの12例のうち、8例が孤発型 CJD(sCJD)で、4例が遺伝性 CJD(gCJD) であり、そのうち3例がV180I変異、1例 が E200K変異であった。いずれの症例も DWI にて高信号を認めた。差分画像、定量 値マップともにSPM12を用いて解剖画像 をもとに標準化したうえで、2群間の比較 検討を行った。T検定によりP<0.01の閾値 を採用した。さらに定量値マップは3DSRT のテンプレートをもとに自動ROIを設定 して、各領域の定量値を算出して群間比較 を行った。
64 (倫理面への配慮)
本研究の対象としたデータは、すべてサー ベイランスとして同意を取得しており、解析 にあっては氏名やID等の個人を特定できる 情報はすべて削除して行った。本研究は徳島 大学病院倫理委員会で審議され、承認されて いる。
C.研究結果
CJD では、健常コントロールに比べて、
血流低下領域を認めたが、血流増加領域は 認めなかった。sCJD と健常コントロール との群間比較では、左側頭葉下部の低下に 有意差が認められ、gCJD と健常コントロ ールとの比較では、前頭葉にひろく低下部 位が認められた。sCJD と gCJD との比較 では、全体にgCJDで低下が広く認められ、
画像での群間比較では、左前頭葉や左頭頂 葉、左下側頭回での低下がめだった。定量 値での比較では、全ての部位で gCJDの定 量値が sCJDよりも低く、特に左頭頂葉と 左側頭葉では p<0.05 で有意差が認められ た。
D.考察
gCJD における脳血流低下は健常者の みならず sCJD 症例との比較でも広く認め られるが、DWI での高信号もgCJDの方が sCJD よりも広範であることを反映してい ると考えられた。定量値自身も健常者及び sCJD とくらべて低値であった。これは認 知症等の脳機能との関連が示唆され、gCJD における広範な脳血流低下が脳機能に影響 していることが推察された。また gCJDで は血流低下が広範であることから、差分画 像、定量マップともに視覚的には局所的な 低下部位を指摘しがたく、異常を検出しに
くい傾向が認められた。従って gCJDでは 定量マップによる定量値の評価が有用であ り、sCJD との鑑別点ともなると考えられ た。
E.結論
CJD では正常者にくらべて相対的のみ ならず絶対値としても健常者より脳灌流が 低下していることが示された。特に gCJD では広範な血流値低下を認め、sCJD との 鑑別点ともなることが示唆された。3DSAL 法は、DWI と併せて検討することで、CJD の診断と鑑別及び病態の理解に有用である と考えられた。
F.健康危険情報 なし
G.研究発表 1.論文発表
なし 2.学会発表
1) Otomo M, Matsumoto Y, Kanazawa H, Harada M, Evaluation of reproducibility of quantitative values by 3D arterial spin labeling imaging depending on the different measurement parameters. JSMRM, Utsunomiya, Sep.14, 2017
H.知的財産権の出願・登録状況 1.特許取得
なし
2.実用新案登録 なし
3.その他 なし