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子どもの死生観の発達に関する研究-臨床心理学的視点から- [ PDF

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(1)子どもの死生観の発達に関する研究 ―臨床心理学的視点から― キーワード:子ども,死生観,発達,悲嘆,意味づけ. 人間共生システム専攻 大井. 妙子. が限られていること,分析で年齢層が大別されて扱われて. Ⅰ.問題と目的 近年,子どもにとって, 「死」とは,身近な人を看取る機. おり,詳細な発達的変化を捉えることができていないこと. 会の減少,バーチャルな世界における氾濫により,現実感. が問題点として挙げられるであろう。次に,子どもの死や. に乏しいものとなっている。いじめ,自殺,非行,リスト. 生の捉え方に影響を及ぼす要因については,ペットの飼育. カットといった言動が問題視され,教育現場では, 「いのち. 体験・ペットや人との死別体験(佐藤・斎藤,1999),テレビ・. の教育」といった文脈の下で授業が実践されるようになっ. ゲーム体験(長崎県教育委員会,2005;佐藤・斎藤,1999),自. てきている。デーケン(1996)は, “幼児期における死への認. 尊感情(小松,2003),宗教的背景(杉本,1996)等が報告されて. 識過程を知り,それぞれの時期に合わせた教育を行うこと. いるが,十分に実証されているとは言いがたい状況にある。. をもっと重視すべき”と述べている。また, 「死」が日常と. ところで, 「死生観」とは, 「死」を中心とした認知的側. かけ離れたものとなっている今日において,子どもが愛す. 面に着目して捉えられてきた(山本,2000;安達,1996)が,本. る人を失ったときの衝撃は大きい。悲哀の仕事が不十分で. 研究においては,新たな視点を加えることにしたい。まず,. あると, “うつ状態に限らず,種々の精神病や神経症,ある. 「死」と「生」との関連について,教育学やデス・エデュ. いは問題行動となって現れる(森,1990)”と言われている。. ケーションの報告で示唆的な記述が見られる(上薗,1993;光. 筆者は,死別体験をもつ子どもへのグリーフ・ケアに関心. 岡ら;2003)。また,心理学の分野においては,遺族の悲嘆研. があり, “それぞれの発達段階でどのように死を捉えるかを. 究という文脈から,死別体験からどのように人生への意味. 知ることは重要(Goldman,2005)”であると考えられる。. を見出すかに焦点が当てられた研究が報告されており(坂 口,2004;隈元,2003),重要な視点ではないかと考えられる。. 子どもの死や生の捉え方に関する先行研究としては, Nagy(1948)が 3∼10 歳の子どもを対象に調査を行い,三段. 次に,死についての「認知的・感情的発達過程」(Espie,2005). 階に大別されることを見出している。 「死」は,第一段階(3. が子どもの悲嘆に影響を与えるとされている。グリーフ・. −5 歳)では,睡眠である,漸次的で一時的なものとして考. カウンセリングの原則でも, “遺された人がもろもろの感情. えられ,第二段階(5−9 歳)では,離別した人・死者と同一. を認めることを援助する Worden(1993)”が挙げられ, 「感. され,擬人化されることが多く,偶然の事件として捉えら. 情」に着目することは意義深いことであると考えられる。. れ, 第三年齢段階(9歳以上)では, 肉体的機能の停止であり,. そこで,本研究では, 「死生観」を“ 「死」と「生」に対. 不可逆的で,普遍的なものという大人と同様の認識に至る. する認知・感情“と定義し,①死生観の認知的側面の発達. とされている。Speece&Brent(1984)は, 「死の概念」に関. 的変化を明らかにすること,②死生観の認知的側面に影響. する文献レビューを行い,①不可逆性,②身体的機能の停. を与える要因について検討すること,③「死」から「生」. 止,③普遍性の3つの要素から整理している。日本におい. への意味づけについて探索的に捉えることを目的とする。. ても,上述した三つの要素を含む調査が幾つか行われてい. Ⅱ.第一研究. る(東京都立教育研究所,1983;仲村,1994;佐藤・斎藤,1999 等)。. 目的:①死生観の認知的側面(不可逆性,身体的機能の停 止,普遍性)の発達的変化を明らかにする。. しかし,これらの研究では,調査対象となっている年齢層. 1.

(2) ② 死生観の認知的側面に影響を与える要因につ. 「人間」について,1,2 年生で,兵庫・生と死を考える会 (2004)の結果とほぼ一致する。3 年生で,100%近くが“生. いて検討する。 方法:1)対象:A市B小学校 1∼6 年生 344 名(Table1). 男子 女子 合計. 1年 35 23 58. Table1.調査対象者の内訳 2年 3年 4年 5年 26 32 33 21 34 23 37 27 60 55 70 48. き返れない”と回答しており,先行研究と比較すると約 20%高い割合である。4,6 年生では,長崎県教育委員会. 6年 29 24 53. 合計 176 168 344. (2005)と比較して,約6∼8%高い割合であるが,5年 生において, “生き返れる”とする子どもの割合が増加す. 2)方法:質問紙法. る。 「生まれ変わり思想」(仲村,1994)に基づいて回答した. 3)内容:①生命の認識“○○は生きていると思います. ためであると考えられるが,5年生という特定の時期に. か”10 項目,②死生観の認知的側面:(1)不可逆性“○○. おいて変化が現れるという報告(山岸ら,1995)は少ない。. は一度いのちがなくなっても,生き返ると思いますか”3. 「動物」については,先行研究(兵庫・生と死を考える. 項目,(2)身体的機能の停止“いのちがなくなった人でも. 会,2004)とほぼ一致する結果であった。 「植物」について. ○○はできると思いますか”10 項目,(3)普遍性“○○は. は,ほぼ全学年を通して 80%近くが“生き返れる”と回. いつかいのちがなくなると思いますか”3 項目. 答している。生命が受け継がれていく過程を捉えている. ③生き物やペットの飼育体験・死別体験・誕生体験に関. のではないかと考えられる。. する 5 項目,④TVゲーム体験に関する 5 項目,⑤自尊. (2) 身 体 的 機 能 の 停 止 (nonfunctionality) 結 果 を. 感情 5 領域テスト「社会的」 「学力的」 「家庭的」 「身体的」. Table4,Fig.2 に示す。. 「総合的」領域から成る。35 項目4件法. Table4 身 体 機 能 の 停 止 の 発 達 的 変 化 に 関 す るχ 2検 定 結 果 1- 2年 2- 3年 3- 4年 4- 5年 5- 6年 ▼+ ▼+ ① 息 をす る p=.0779 p=.0549 ▼* △** ②話す p=.0458 p=.0058 ▼+ ③ 夢 を見 る χ 2(1)=2.71 △** ④見る χ 2(1)=11.98 ▼+ △* ⑤ 考 える p=.0819 p=.0221 △ 「は い 」と回 答 した 割 合 が 増 加 、▼ 「は い 」と回 答 した 割 合 が 減 少 したことを表 す 。 2 * * p< .01, * p< .05 +p< .10で表 してい る。なお 、χ 値 の 記 述 が ない ところは 直 接 確 率 法 で分 析 した 。. 4)分析方法:χ2検定(不能な箇所は,直接確率計算) 5)倫理的配慮:Table2 に示すような配慮を行った。 Table2. 研 究 1に お け る倫 理 的 配 慮 1. 調 査 内 容 が 対 象 者 に 対 して ,侵 入 的 で な い か ,調 査 が 実 施 可 能 か ど うか に つ い て , 検 討 を行 った 。 ① 心 理 臨 床 家 に よる検 討 を行 い 、”死 ぬ ”を”い の ちが な くな る”とい う表 現 へ 変 更 した  ”い の ちが な くな った 人 は で きな い ”に × をつ け ることは ,心 理 的 な 負 担 とな ることが  予 想 され た た め ,○ の み で 回 答 で きる質 問 とな るように 工 夫 した 。  ま た 、身 近 な 人 との 死 別 体 験 や 宗 教 に 関 す る質 問 は 削 除 した 。 ② 小 学 校 の 管 理 職 の 先 生 方 と事 前 に 打 ち合 わ せ を行 い ,ア ドバ イス をい た だ い た 。 2. 調 査 の 前 後 で ,対 象 者 が 身 近 な ところで ,喪 失 体 験 をして い な い か ,心 理 的 に 安 定 した 状 態 に あ るか ,チ ェックを行 った 。情 緒 的 に 揺 さぶ られ る可 能 性 が 高 い 場 合 は , 調 査 を行 わ な い ことに した 。 ① 職 員 会 議 で ,質 問 紙 調 査 の 主 旨 を説 明 した 際 に ,”子 ど もの 喪 失 体 験 チ ェックリス ト  を配 布 し,い くつ か 項 目 に あ て は ま る,あ るい は ,担 任 の 先 生 か ら見 て 揺 さぶ られ る  可 能 性 が 高 い 児 童 に つ い て は ,無 理 をして 調 査 を行 わ な い ように お 願 い した 。 3. 質 問 項 目 の 内 容 に ,「死 」だ け で な く「生 」に 関 す るもの を取 り入 れ た 。 ① 自 尊 感 情 尺 度 を取 り入 れ た 。 ② 生 き物 が 誕 生 す る場 面 を見 た 体 験 に 関 す る質 問 項 目 を加 え た 。 4. 質 問 紙 に ,感 想 や 意 見 を書 く欄 を設 け ,対 象 者 の 心 理 的 負 担 の 程 度 を見 る項 目 を 設 定 した 。 ① 質 問 紙 は ,可 能 な 限 り早 く回 収 し,す ぐに チ ェックを行 い ,気 に な る児 童 に つ い て は  担 任 の 先 生 に 配 慮 して い た だ くよう,お 願 い した 。 ② 気 に な る児 童 に つ い て ,担 任 の 先 生 か らの 要 請 が あ れ ば ,サ ポ ー トで きる体 制 を  取 った 。. Fig.2 身体的機能の停止の発達的変化 ( いのちがなくなった人でも○○できますか”に「はい」と回答した割合). ①息をする ②話す ③夢を見る ④見る ⑤考える. (1)不可逆性(irreversibility) 結果を Table3, Fig.1 に示す。 Table3 不 可 逆 性 の 発 達 的 変 化 に関 す るχ 2検 定 結 果 1- 2年 ▼** p=.0000. 2- 3年 ▼** p=.0089. 3- 4年. 60.0 40.0 20.0. 1年 生 2年 生 3年 生 4年 生 5年 生 6年 生. 0.0. 生. 生. 生 6年. 5年. 生. 「考える」 , 「話す」等,主に精神的な機能については,3 ∼4 年生で“できる”とする割合が増加する。仲村(1994). (”○○は生き返ると思いますか” に「はい」 と 回答した割合). 80.0. 4年. た人でもできる”とする割合が減少する。一方, 「見る」 ,. Fig.1 不可逆性の発達的変化 100.0. 「息をする」 , 「食べる」 , 「育つ」といった行動・状態 については,学年が上がるにつれて, “いのちがなくなっ. 4- 5年 5- 6年 △* ▼* p=.0259 p=.0478 △* ②すずめ p=.0285 ▼** ③ ひ まわ り 2 χ (1)=8.67 △ 「は い 」と回 答 した 割 合 が 増 加 、▼ 「は い 」と回 答 した 割 合 が 減 少 した ことを表 す 。 * * p< .01, * p< .05 +p< .10で表 してい る。なお 、χ 2値 の 記 述 が ない ところは 直 接 確 率 法 で分 析 した。 ①人間. 3年. 生 1年. 1)死生観の認知的側面の発達的変化. 2年. 結果と考察. 生. 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0. が指摘するように, “霊など別の形になってできる”とい ①人間. う意味において回答しているのではないかと考えられる。. ②すずめ. 仲村(1994)の研究と比較したところ, 「見る」 , 「聞く」 , 「感. ③ひまわ り. じる」について“できる”とする割合が高い結果であっ. 2.

(3) た。死生観の国際比較で, “日本の方が具体的に身近に魂. れる。また,生き物の飼育体験,死別体験,誕生体験が. を感じている”,“祖先に対する働きかけが高い”(中. 有る群の方が, 「食べる」という身体的機能の停止を認識. 村,2005)という報告を考慮すると,文化的影響を受けた. している割合が高いことが明らかとなった(直接確率計. 死生観を持つ時期が早くなっていると言えるだろう。. 算,p=.024,χ2(1)=4.31,p<.05,直接確率計算,p=.042)。生. (3)普遍性(universality) 結果を Table5,Fig.3 に示す。. き物に関する体験が, 「死」を現実的に捉える機会となっ ていると考えられる。. 2. Table5 普遍性の発達的変化に関するχ 検定結果 1- 2年 2- 3年 3- 4年 4- 5年 5- 6年 △** △* ①人間 p=.0022 p=.0148 △** △+ ②すずめ p=.0062 p=.0940 △* ▼+ ③ひまわり 2 2 χ (1)=3.15 χ (1)=4.77 △「はい」と回答した割合が増加、▼「はい」と回答した割合が減少したことを表す。 2 * * p<.01, * p<.05 +p<.10で表している。なお、χ 値の記述がないところは直接確率法で分析した。. (2)テレビ・ゲーム体験との関連 キャラクターを大切に 育てるゲームをよくする群が,ゲームを全くしない群よ りも「人間」について,普遍性の認識の割合が高いとい う結果が得られた(Table7,8)。. Fig.3 普遍性の発達的変化. Table7 ゲーム体験による「人間」についての普遍性認識有無の人数 敵に倒されても生き返っ キャラクターを大切に育 全然しない. (”○○はいつかいのちがなくなりますか”に「はい」と回答した割合). て続けられるゲーム. 100.0 80.0. 普遍性の認識 有り 普遍性の認識 無し. ①人間. てるゲーム. 55(52.9) 5(7.1) 60. 55(50.2)△ 2(6.8)▼ 57. 76(82.9)▼ 18(11.1)△ 94. 合計 186 25 211. χ2(2)=9.30 p<.01. 60.0 40.0 20.0. ②すずめ. ※(   )内は期待度数を示す。観測度数が期待度数よりも多い場合:△,少ない場合: ▼で表している。. ③ひまわり. Table8 ゲーム体験による「 人間」 についての普遍性の認識: 調整された残差 敵に倒されても生き キャラクターを大切に 全然しない. 0.0 1年 生 2年 生 3年 生 4年 生 5年 生 6年 生. 返って続けられるゲー. 普遍性の認識 有り 0.10ムn.s. 普遍性の認識 無し -0.10 n.s. ※**p<.01,*p<.05,+p<.10で表している。. 育てるゲーム. 2.80 * -2.80 *. -2.94** 2.94**. 「人間」について,本研究では,1年生で“いつかはい. 長崎県教育委員会(2005)の調査では, “死んだ人が生き返. のちがなくなる”との回答が約 70%に留まっており,兵. る”と回答した理由として, “ゲームでリセットできるか. 庫・生と死を考える会(2004)の 80%∼90%と比較して低. ら(7.2%)”が挙げられたことが報告されているが,本研. い割合である。このことから, 「人間」の死の普遍性を理. 究では一致する結果は得らなかった。むしろ,ゲーム上. 解する時期が1年遅いと言える。また, 「動物」について. でキャラクターを育てる体験が,生き物を飼育する擬似. は,東京都立教育研究所(1983)と比較して,1年生で約. 的な体験となっており,ゲーム体験が死生観にポジティ. 20%,2年生で約 10%,3年生で約7%, “いつかはい. ブに関連している側面があることが見出された。. のちがなくなる”とする割合が低い。よって,低学年に. (3)自尊感情との関連 社会的領域における自尊感情H. おいて「動物」の死の普遍性を認識している割合が低い. 群で, 「人間」や「動物」についての普遍性を認識してい. と言える。最後に, 「植物」については,大体の学年にお. る割合が高いことが明らかとなった(直接確率計. いて, 「人間」 , 「動物」と比較して約 15∼20%低い割合. 算,p=.037;χ2(1)=6.48,p<.05)。自己の存在を認められ,. であり,植物の生命に限りがあることは,認識しづらい. 他者を信頼し積極的に関わろうとする子どもは,普遍性. 事実であることが伺える。. を認識していると考えられる。また,総合的領域におけ. 2)死生観の認知的側面に影響を与える要因の検討. る自尊感情H群で「見る」という身体的機能の停止を認. (1)生き物に関する体験との関連 飼育体験が有る群では,. 識している割合が低いことが明らかとなった(χ2. 「人間」や「動物」の死の普遍性を認識している割合が. (1)=3.88,p<.05)。自己を価値のある存在として捉えてい. 高 い こ と が 明 ら か と な っ た ( χ (1)=9.47,p<.01; χ. る子どもは,死後に別の形で存在し続けて欲しいという. 2. 2. (1)=9.03,p<.01)。これは,佐藤・斎藤(1999)の研究と一. 願望を持っていると考えられる。. 致する結果であり,生き物を飼育する体験が,身の回り. Ⅲ.第二研究. のいのちについて考える機会となっていることが推察さ. 目的:③「死」から「生」への意味づけについて,探索. 3.

(4) 的に捉える。また,個別検討を行い,臨床場面における. 研究1において,不可逆性の認識が5年生で揺らぐこ. 示唆を得ることにしたい。. と,身体的機能の停止は,3∼4年生で精神的機能を“で. 方法:1)対象:C市内幼稚園の学童に通う小学3年生 10. きる”とする割合が増加すること, 「動物」 , 「人間」の普. 名(男子 1 名,女子 9 名),5年生 9 名(男子 4 名,女子 5 名). 遍性の認識が遅れていることが明らかとなった。このよ. 2)方法:半構造化面接(3~4 名から成る集団面接). うな発達段階を踏まえ,内容を設定することが望まれる。. 3)調査内容:(1)質問紙:研究1における①∼④の項目お. また,普遍性と,社会的領域における自尊感情,生き物. よび児童用「母親に対する愛着」測定尺度(本多,2002) 15. に関する体験との関連が見出された。学校では,ピア・. 項目 4 件法,(2)ワークシート:主人公が飼っているペッ. サポートを促すような働きかけを行うことが成熟した死. トが亡くなるというストーリー関する以下の質問. 生観につながると思われる。家庭・地域では,生き物を. ①ペットが亡くなった後の思考・感情(1 週間後・1 年後). 飼育する機会を積極的に提供する必要があると思われる。. ②ペットのことを想起するときのネガティブ感情とポジ. 2)大切な人を亡くした子どもへの援助. ティブ感情の割合(1 週間後・1 年後),③新たにペットを. 研究2において,子どもであっても, 「死」をポジティ. 飼うかとその理由,④死別体験の前後における思考・感. ブに自らの「生」に統合させることができるタイプが存. 情の変化(生き物,友人,自分,勉強・スポーツ). 在することが明らかとなった。こうした展望を援助者側. 4)分析方法: 「死」から「生」への意味づけという視点か. が持っておくことが重要であろう。一方で, 「死」をネガ. ら探索的に分類を行い,臨床心理学を専攻する大学院. ティブに意味づけるタイプも存在することから,子ども. 生 3 名に対象者を分類してもらった。. の内面にある恐怖や不安について理解し,慎重に対応し. 5)倫理的配慮:研究1での配慮を可能な限り行った。. ていくことが求められる。また, 「死」と「生」とのつな. 結果と考察. がりが表現されないタイプは,身体症状,行動面,社会. 1)「死」から「生」への意味づけ. 面での問題の背景に,喪失体験が存在する場合があると. 分析の結果,3 年生,5 年生共に 3 タイプに分類され,い. 思われ,援助の必要性を見逃さないようにすることが重. ずれも臨床家評定により高い一致率が見られた。各タイ. 要である。このように,子どもの死生観を理解した上で,. プの特徴を Table9 に示す。. 個別に対応していくことが重要であると考えられる。. 2)子どもの死生観の個別検討. 3)今後の課題. 子どもの死生観の全体像を個別検討したところ,死生観. 第一に,調査対象者を拡大していくことが望まれる。. の認知的側面が Speece ら(1984)の指摘するような大人. 本研究での調査対象者は限られており,結果が偏ってい. と同様の成熟したものであっても,喪失体験に際し,健. る可能性が否定できない。次に,研究1において, “生き. 康的なプロセスを経るとは限らないことが示唆された。. 返れる” “○○できる”と,生命がなくなった個体につい. 特に,身体的機能については,適度に“できる”と捉え. て回答しているのか確認できていないため,より正確な. ていることが重要ではないかと考えられた。. データを得る必要がある。最後に,研究2における意味. Ⅳ.総合考察. づけのタイプは,子どもについて扱ったものが見当たら. 1)一般の子どもに対する「いのち」に関する教育. ないため,妥当であるか更に検討していく必要がある。. T a b le ポ ジ テ ィブ な 意 死 を 体 験 と き の 思 感 情. し た 考 ・. 亡 くな っ た ペ ッ トを 想 起 す る 時 の 感 情. 新 た な ペ ッ ト を 得 る こ と へ の 反 応. 愛. 着. ス タ イ ル. 味. 9. 「死. 」か. ら 「生. 」へ. づ け タ イ プ. の. 意. 味. づ け に 関. ネ ガ テ ィブ な 意. 味. す る 各. タ イ プ の. づ け タ イ プ. 特. 徴 意. 味. づ け 表. 現. 無. し タ イ プ る 。 「死 」を ず , ”い つ か て い る 。死 い よ う に し て る 。. 時 間 が 経 過 し て も ,失 っ た す る 感 情 が 強 い (小 3 女 子 悲 し み に 圧 倒 さ れ ,自 暴 自 心 理 状 態 が 見 ら れ る 。 「死 ガ テ ィブ に 意 味 づ け ら れ て. 死 別 直 後 は ,ネ ガ テ ィブ な 感 情 が 大 半 を 占 め て い る が , 多 くの 場 合 , 時 間 の 経 過 と 共 に , 対 象 へ の ポ ジ テ ィブ な 感 情 が 回 復 す る 。た だ し ,3 年 生 に お い て は ,時 間 が 経 っ て も ,変 化 が 無 い 者 が 存 在 す る 。. ほ と ん ど の 場 合 ,時 間 の 経 過 に つ れ て ,ネ ガ テ ィブ な 感 情 の 割 合 が 変 化 し な い か ,あ る い は 増 加 す る 。た だ し ,5 年 生 に お い て は ,ネ ガ テ ィ ブ な 感 情 が 減 少 す る 場 合 が 半 数 見 ら れ る 。. す ジ よ な. ほ 回 た さ に と. 3 年 生 う ”と い 情 を 紛 の 整 理 考 え ら 飼 わ な 思 い を. ”二 度 と 飼 わ な い ”が 半 数 を 占 め , 理 由 と し て は 「ネ ガ テ ィ ブ な 意 味 づ け タ イ プ 」と 同 様 に , ”ま た 死 ん で 悲 し い 思 い を し た く な い か ら ”と い っ た 主 旨 の も の が 挙 げ ら れ て い る 。 ま た , ”し ば ら く し て 飼 う ”が 半 数 を 占 め て い る が ,こ れ は 新 た な 対 象 と し て 心 理 的 に 位 置 づ け る と い う よ り も ,失 っ た 対 象 と 置 き 換 え て い る に 過 ぎ な い の で は な い か と 考 え ら れ る 。. と ん ど の 場 合 に お い て , ”し ば ら く し て 飼 う ”と 答 し て い る 。 理 由 も ”(亡 く な っ た 犬 の よ う に ) く さ ん 思 い 出 を 作 り た い (小 5 女 子 :M )に 代 表 れ る よ う な も の が 多 い 。失 っ た 対 象 と の 関 係 整 理 が つ い て い る た め ,新 た に 対 象 を 得 る こ に 対 し て ,心 理 的 抵 抗 感 は 弱 い よ う で あ る 。. 5 年 3 年. 生 生. 全 の. 員 半. お よ び 3 年 生 の 半 数 は , 「安 数 は 「と ら わ れ 型 」で あ る 。. 定. 型. 」,. ほ れ. 対 象 を 取 り 戻 そ う と :E , 小 5 女 子 :P )。 棄 ,無 気 力 と い っ た 」を 通 し て 「生 」が ネ い る 。. 言 語 に よ る 表 現 の 乏 し さ が 特 徴 的 で あ 通 し て 自 己 の 生 き 方 へ の 影 響 が 見 ら れ 死 ぬ ん だ ”な ど , 事 実 を 述 べ る に 留 ま っ 別 体 験 を 忘 却 し ,様 々 な 感 情 に 触 れ な い る と 思 わ れ る 場 合 (小 3 女 子 :H )も あ. 死 別 直 後 は ,精 神 的 な ダ メ ー ジ を 受 け ,悲 し み や 後 悔 ,現 実 を 受 け 入 れ な い 様 子 が 見 ら れ る が ,時 間 の 経 過 に つ れ ,失 っ た 対 象 と の 楽 し い 思 い 出 を 拠 り 所 と し , 「死 」を 自 己 の 生 き 方 に ポ ジ テ ィブ に 反 映 さ せ て い る 。. で 共 通 し た 反 応 は 見 ら れ な い 。 ”ま た 飼 う 回 答 の 理 由 を 見 る と ,ネ ガ テ ィブ な 感 ら わ せ る た め の 行 動 で ,喪 失 に 伴 う 感 情 が つ い た か ら で は な い の で は な い か と れ る 。 ま た , 5 年 生 で は 、 全 員 が ”二 度 と い ”と 回 答 し , 理 由 と し て は ”ま た 悲 し い し た く な い か ら ”と い う も の が 多 い 。. と ん ど の 場 合 型 」で あ る 。. で 「安. 4. 定. 型. 」, そ の. 他. は. 「と ら わ. べ て の 場 合 に お い て ,時 間 の 経 過 に つ れ て ,ポ テ ィ ブ な 感 情 の 割 合 が 増 加 す る 。 S (小 5 男 子 )の う に , ネ ガ テ ィ ブ な 感 情 が 全 く無 くな る と い う 極 端 例 も 見 ら れ る 。. 「安 定 型 」が. 型 」が 他 の タ イ プ と 比 較 し て 少 な い 。 「恐 怖 こ の タ イ プ に 属 す る の が 特 徴 的 で あ る 。.

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