介護職員向け情報交換会「ストレスに気付こう!」
平成22年7月・8月開催 講師 NPO法人メンタルケア鹿児島 代表理事 平川真理子 先生 「ストレスに気付こう!」 私は、日頃、事務所で個別カウンセリングを実施しています。 また、ストレス関連の講習会で、講師をしています。 私のカウンセリングを受けに来られる方の中には、看護師さんや介護士さんが多いです。 また、公務員や教員も多いです。 なぜか?それらの職業は、人を相手にする仕事で、自分のペースで進めることができないからです。 それだけに、ストレスを抱えやすく、それが積み重なり、精神的に疲弊してしまうんです。 介護の仕事は、人と向き合い、ストレスと直面するもの。 逆に言えば、ストレスに直面しないと、できない仕事です。 ストレスとは、「嫌だと感じること全て」。 夏の暑さも、冬の寒さも、鹿児島特有の降灰も、嫌だと感じれば、それだけでストレスになります。 つまり、私達の日常には、ストレスが溢れているのです。 ストレスを無くしたい!!そう思っても、ストレスは無くなりません。 だから、ストレスと上手に付き合う方法を身に付けなくてはいけないんです。 ストレスと上手に付き合うためには、自分のストレスに「早く気付く」ことが大切。 ストレスはない!!と思っている人も、知らないうちにストレスが溜まっているかもしれません。 ストレスを認めず、頑張らないといけない!!と考えたり、ストレスは当たり前!!と思っていると、 どんどん蓄積され、自分だけでは解消できなくなることも多いんです。 ちなみに、私のカウンセリングルームには、それまでストレスに気付かず、認めず、体調の変化や精神 的な障害が出てから、相談に来られる方も多いです。 でも、そうなってからでは、回復に時間が掛ります。 ストレスと上手に付き合うためには、自分の「ストレスを認める」ことから始めなくてはいけません。 でも、自分が抱えているストレスに、気付いていない人も多いんです。 そこで、次の設問に答え、自分のストレス状態を確認してみましょう。ストレス度自己診断リスト
最近一ヶ月の自分の生活を振り返り、思い当たる項目に○をつけてください。 1. 家庭内で、いろいろな問題があった。 2. 仕事において、多くの変化があった。 3. 日頃から、楽しみにしている趣味などがない。 4. いつも実践している運動などがない。 5. 気分が沈みがちで、憂うつである。 6. 些細なことに腹が立ち、イライラする。 7. 仕事をやる気がなくなり、疲れやすい。 8. 人に会うのがおっくうで、何でもめんどうくさい。 9. 前日の疲れがとれず、朝方から体がだるい。 10. 寝つきが悪く、夢を見ることが多い。 11. 朝、気持ちよく起きられずに、気分が悪い。 12. 頭がすっきりしなく、頭重感がある。 13. 肩こりや背中と腰が痛くなることがある。 14. 食欲がなくなり、次第に体重が減ってきた。 15. 腹が張り、下痢や便秘を交互に繰り返す。 16. 目が疲れたり、めまいや立ちくらみがある。 17. 急に苦しくなったり、胸が痛くなる。 18. 手足が冷たく感じたり、汗をかきやすい。 19. よく風邪をひくが、治りにくく長引く。 20. 医者の診断を受けても、気のせいだと言われた。 ○ の数;5以下 ストレスは少ない。 6~10 ストレス予備状態。 11~15 ストレス状態要注意、早めにストレス対策を。 16以上 ストレス病、専門家に相談を。 「ストレスは3段階でたまっていく」 1、警告期 ストレスを感じてはいるが、ほとんど症状はない。ちょっと疲れ気味と感じている。 精神的な疲れ、体調不良、頭痛、肩こりなど。 2、抵抗期 ストレスがたまり、心身が抵抗し始める。精神的に落ち着かなくなったり、疲れに耐えて頑張ろう とする。イライラする、頑張り過ぎるなど。 3、疲弊期 重いストレスに疲れきり、心の病気にかかりやすい状態。心身ともにエネルギーがなくなってい る。うつ症状、胃痛、腹痛、不眠などの身体症状が強くなる。疲れているのに「頑張らないといけない」と思ってしまう、それは「ストレスのサイン」です。 この状態ならば、「抵抗期」を疑った方がいいです。 この時点で「自分はストレスが溜まってるんだ」と自覚し、発散したり休養をとったりすれば、疲 弊期の手前で留めることができるかも知れません。 ただ、人によって「ストレスに対する体質」があるので、ストレスに強い人は、この状態でも頑張 れてしまい、ストレス状態が長く続いて、心身の異変に気付いた時には手遅れ・・・と、なりやす いので要注意です。 次に、介護に多い「もえつき」の確認をしてみましょう。 「もえつき」の兆候チェック □ ついイライラして、だれかを攻撃してしまう。 □ 「大丈夫?」とか「疲れているんじゃない?」と声をかけられると、ムッとする。 □ やらなければならないことを、先延ばしにしがちである。 □ 一生懸命やっても、何もかもうまくいかない、と感じる。 □ これでいいのか?と、自分のやったことに自信が持てない。 □ 仕事のことを考えると、ため息がでる。 □ 疲れているのに、ぐっすり眠れない。 □ 仕事のことが頭から離れずに、夜中に何度も起きてしまう。 □ 以前は少し休めば体調が回復したのに、最近は回復しない。 □ いつも、何となく疲れを感じている。 □ 体重が急に減った、または増えた。 □ ぼーっとして、思考がまとまらない。 □ 気が付くと無口になっている。 □ なぜ、自分だけ一生懸命仕事をしなければならないのか、と不満に思う。 □ 人と関わるのが、とても面倒くさい。 □ まわりの人は鈍感、のんき、真剣さが足りないと思う。 □ お酒の量が増えた。 □ 大きな音や声に思わずビクっとする。 □ 何かにつけ、自分が責められていると感じる。 □ 孤立感を強く感じる。 上記の5項目以上にチェックがついた人は、「もえつき」を疑ってみて下さい。 真面目な人や、責任感が強い人ほど「もえつき」やすいんです。 ストレス状態が長く続き、心が疲弊した時、それまでの意欲や熱意が燃え尽きてしまい、後に残る のは虚しさと寂しさだけ・・・ そうならないためにも、早めに自分のストレスに気付いて、解消に努めるべきです。
ストレス解消には、「ストレスを吐き出す」ことが有効です。 では、どんな吐き出し方があるのでしょうか? 「私は今、ストレスを抱えている」、そう思われる人は、次の方法を参考にしてみて下さい。 「はしゃぎ系解消法」 カラオケに行く、旅行に行く、飲みに行くなど、「行動」によって解消する方法。 趣味や楽しみを満喫することで、溜まったストレスを発散!! ただし、体力が落ちていたり、気分が乗らないのに無理やり発散しようとすれば、逆効果になる場合も ありますし、年齢によって(年配になってくると・・・)、効果が薄れてきます。 そんな場合は、次の方法がお薦めです。 「癒し系解消法」 家でゴロゴロする、温泉に入る、マッサージを受けるなど、「休息」によって解消する方法。 何も考えない、何もしない、心と体を休めてストレスを放散!! 例え、やらなければならないことがあっても、それを放り投げ・・・とは言い過ぎでも、ほんの少しの 間だけ忘れて、リラックスすることで、元気が戻ってきます。 ちなみに、年齢を重ねるとともに、この方法が効果的になってきます。 また、「話をする」、「聞いてもらう」のも効果的な方法です。 単なる愚痴でも、吐き出すことでストレス発散の効果があるんです。 抱えた不満や不安を分かってもらう、自分の思いを聞いてもらう、それだけで心の負担が軽くなり、ス ッキリとした気分になります。 ちなみに、カウンセリングも、「聞いてもらう」ことで心の負担を軽減する作業です。 また、「ため息」も、体の力を抜くための有効な手段です。 「愚痴は何も生まない」、確かにそうですが、心のバランスを保つ有効な手段の一つです。 よく「ため息をつくと幸せが逃げる」と言われますが、ため息をついたくらいで逃げる幸せなんて、大 した幸せではありません。 「愚痴」も「ため息」も、人間が備えた「心の防衛本能」の一つ、それで力を抜くことができます。 もちろん、過ぎた愚痴やため息は、周りの人のストレスになりますので、適度に使うのがエチケット。 でも、愚痴を言っちゃダメ、ため息をついちゃダメと思って、自分を追い込むよりも、時には愚痴も言 って、ため息もついて、『これで少しはストレス発散できたかな?』と思うくらいで丁度いいんです。 そうして、頑張らないといけない時に、頑張れる自分でいる、それくらいの頑張りが丁度いいんです。 ストレスとの上手な付き合い方、それはストレスを悪いものと考えず、素直に認めて、抑え込まず、我 慢せず、溜まったら解消するという考え方を持つことです。 趣味の時間、楽しみの時間を持ったり、家でゴロゴロ、温泉でのんびりしたりして、適度にストレスを 発散し、心の健康を保って、日頃の業務に取り組んで下さい。
■介護現場の「ストレス」について、参加者から寄せられた主なご意見 【人間関係に起因するストレス】 職場内の人間関係(上下間や同僚間、利用者との関係)によるストレス。 対利用者、対家族以前に、職員同士の人間関係を円滑にすることが第一だと思う。 スタッフ間のコミュニケーション不足による意見の違い、ケアの方向性の違い。 スタッフ同士の連携が取れていない。 経験年数の差などによる考え方の違い、仕事に対する意識の違い。 管理者の好き嫌いでスタッフに対する態度が違う。 自分よりも年上で、介護経験豊富な新入社員に対し、注意や指導をしたいが、どう言えばいいのか分か らなくて悩む。 個人の業務負担が大きく、スタッフ間の意見交換が出来ていない、コミュニケーション不足。 自由に意見を発言できないと、職員のやる気をなくす要因となる。 他の職員が業務を手伝ってくれない、仕事がはかどらない。 働く上で大事なのは人間関係で、良くも悪くも、それに左右される。 複数の上司から受ける指示が異なるとき、どう対応していいのか分からない。 現場職員の人間関係が良ければ、ある程度のストレスは解消できる。 職場でのスタッフ同士の人間関係、利用者との関係、言葉遣いに気を遣う。 入居者間の問題に板ばさみになりストレスを感じる。 【メンタル面(不安や悩み)に起因するストレス】 思ったような対応ができない自分に対するジレンマ。 もう少し、心に余裕を持って介護していきたいと思う。 自分の体調がすぐれない時でも気を抜けず、介護などの業務を遂行した上で、利用者の暴言、大声等も 受け止めなくてはならず、心身ともに疲労が溜まる。 上から利用者主体ばかりを求められ、介護する側の状況や気持ちをくんで貰えないのがストレスになる。 達成感がない。 不満を言える場所がない。 現場経験が10年目に入り、体力的に無理を感じ、定年まで体力が持つのか不安を覚える時にストレス を感じる。 利用者様が重度になり、思っているケアができず、自己嫌悪に陥る。 【業務量に起因するストレス】 残業が多く疲れる。業務量の過多が心身の疲れを生んでいる。体力的についていけない。 業務が多くて大変。市や県で各事業所用に見本の様式を提示して欲しい。(記録物の簡素化) 介護の仕事はやり甲斐もあり好きだが、業務(ケア)以外の仕事(書き物、提出物作成)が多過ぎて、 ストレスになってしまう。 勤務後、記録を取ったりするので、なかなか勤務時間帯に終わらない。
業務外の苦情処理に追われることがあり、負担になる。 拘束時間が長い。休憩時間が取れない。常に利用者を見ていないといけない。 スタッフ不足で業務負担が増加し、業務もスムーズに行えない。 業務中には、こなせないことが山積み。現状を上に伝えても分かってもらえない。現場に入って、業務 を体験してみて欲しい。 時間がなくて、流れ作業になってしまいがちである。時間に追われるのがストレス。 業務量の多さで、職員間の人間関係があまり良くない。(コミュニケーション不足) パートと社員の仕事内容が同じなのが(夜勤以外)ストレスになります。 【勤務体制に起因するストレス】 利用者を一人で見る時間が心配。(グループホームの夜勤など)。 一人夜勤で与えられた業務、利用者への対応、時間などに追われストレスを溜めてしまうのではないか。 休憩、残業、休みが少ない。有給休暇が取りにくい。リフレッシュする機会がない。 【評価に起因するストレス】 パートや契約社員から、正社員になれるような対応(雇用形態の変更)があればいい。 頑張って働いているのに、上からの「お疲れ様、頑張っているね」の声掛けがない。 頑張りが反映されてない気がします。頑張った分評価されないとキツイ。 きちんと見て評価してほしいのに、見ないで評価されるのがストレスです。 仕事に対して頑張っているのに、理解してもらえない。 仕事内容の割に評価されない、できて当たり前だと思われている。 適切な評価がなされていない、管理者の指導がしっかりできていない。(怒らないため気付かない) 職員に対する思いやりがない。ストレス発散する場が欲しい。 管理者からは思いやりの言葉が少なく、指摘が多い。 【賃金に起因するストレス】 賃金の低さ、基本給の低さ。労働(業務量や責任)に賃金が見合っていない。賃金が上がって欲しい。 業務量の割に賃金が安い。 人材不足、業務量の割に給料が安い。 生活できるだけの賃金。(一家を支える男性職員は、大変な思いをしています) 【その他の意見】 賃金はどこの職場でも同じ位なので、賃金の他にストレスになることがあると職場を辞めたいと思う。