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水蒸気吸着等温線に基づく C-S-H の比表面積に関する基礎的検討

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Academic year: 2022

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(1)

水蒸気吸着等温線に基づく C-S-H の比表面積に関する基礎的検討

名古屋大学大学院 正会員 ○五十嵐 豪 名古屋大学大学院 正会員 丸山 一平

1.はじめに

セメント硬化体の乾燥収縮挙動を分離圧の立場か ら検討した研究において,セメント硬化体の収縮を 支配するものは,水和生成物表面と水との相互間力 によって生じるものであるという結果が実験的に得 られた 1).しかし,水和圧理論に基づいた収縮予測 を行うには,セメント硬化体の表面状態,特にC-S-H の水蒸気吸着性状をモデル化する必要がある.

そこで,本検討では合成C-S-Hの強熱減量および 水蒸気吸脱着等温線を測定し,Nonatらが提案してい る C-S-H溶解平衡モデルを用いて 2),各反応基に吸 着する水分子の数のモデル化を試みた.

2.実験概要

2.1 C-S-Hの合成

本実験では,Ca/Si モル比を0.9,1.1,1.3,1.5と なるように所定の量比の Ca(OH)2と非晶質シリカを イオン交換水中で40℃一定の温度下で攪拌合成した C-S-Hを用いた.

2.1 水蒸気吸着等温試験

吸着等温線は,定容水蒸気吸着法(Quantachrome社 製Hydrosorb1000)により,許容圧力較差0.05mmHg,

平衡時間300sec.で測定した.試料は前処理条件とし

て,105℃で24時間脱気乾燥を行った.

2.2 熱分析

結合水量の測定は,TG-DTA2010SA (BrukerAXS社 製)により,95%RH,60%RH 環境下で調湿,および 定温乾燥器で105℃,24時間乾燥した試料10±2mg を,N2フロー環境下で室温から1000℃まで昇温速度 10℃/min.で一定昇温で行った.脱水量は,室温から 1000℃までの強熱減量分(ig.loss)と定義した.

3.実験結果および考察

各Ca/Siモル比の吸着等温線を図1,および吸着等

温線から BET 理論により算出した比表面積とCa/Si モル比の関係について図2に示す.図2に示される

ように,Ca/Siモル比が低下するとともに比表面積が

増加する結果が得られた.

図 3 に 熱 分 析 の 結 果 か ら 得 た Ca/Si モ ル 比 と H2O/Si モル比の関係について示す.このとき,物質 量の計算には,1000℃における質量を CaxSiO(2+x)

(x=Ca/Siモル比)のように無水物のモル質量とした.

図に示されるように,Ca/ Siモル比によらず,H2O/Si モル比の値はほぼ1[mol/ molSi] となった.

キーワード C-S-H,溶解平衡モデル,水蒸気吸着,Ca/Siモル比,H2O/Siモル比,シラノール基 連絡先 〒464-8603 愛知県名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院環境学研究科 TEL 052-789-3764

0 20 40 60 80 100

0 0.2 0.4 0.6 0.8

Relative pressure P/P0, %

Mass adsorbed w, g/g

C/S=0.9 C/S=1.1 C/S=1.3 C/S=1.5

図1 水蒸気吸着等温線

0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

0 100 200 300

Ca/Si molar ratio, - Specific surface area A, m2 /g

図2 Ca/Siモル比とBET比表面積の関係

0 20 40 60 80 100

0 1 2 3 4

Relative pressure P/P0, % H2O/Si molar ratio,

C/S=0.9 C/S=1.1 C/S=1.3 C/S=1.5

図3 H2O/Siモル比と相対湿度の関係 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑991‑

Ⅴ‑496

(2)

4.表面錯体反応と水蒸気吸着のモデル化

前章の結果からC-S-Hの構造および水蒸気吸着の モデル化を行った.基本となるC-S-Hの構造はNonat

らによる C-S-H の溶解平衡モデルとした.以下に

C-S-H 内の層状ケイ酸塩構造を構成するシリケート

二量体の溶解平衡式と層状ケイ酸塩のシラノール基 -SiOHの表面錯体反応式を示す2)

+ 2+

2 2 7 2 2 4 4

Ca Si O H +4H +H OU2Ca +2H SiO (1)

4 4 2 2

2 -SiOH+H SiO U-SiOSi(OH) OSi-+H O (2)

- +

-SiOHU-SiO +H (3)

2+ + +

-SiOH+Ca U-SiOCa +H (4)

2+ +

2 -SiOH+Ca U-SiOCaOSi-+2H (5)

+ +

-SiOH+CaOH U-SiOCaOH+H (6) 上 記 の 反 応 式 に 示 さ れ る よ う に ,Ca/Si=1.0 の Ca2Si2O7H2 を単位構造として,シラノール基の表面 錯体反応によりCa/Siモル比が決定される.

上記の反応を参考に,図3に示される0%RHにお ける熱分析の結果をヒドロキシ基の脱水縮合による ものとして,図4のように単位構造モデルを仮定し た.また,そこから算出されるCa/Siモル比と各反応 基の構成比について図5に示す.ここで, Ca/Si≦1.0 に存在すると仮定した-SiOSi(OH)3基中の2つのシラ ノール基については,脱水縮合していると仮定した.

これは,図3においてCa/Si=0.9のC-S-HのH2O/Si モル比は他とほぼ同等だったためである.

以下に,本検討における定義を示す.

1) 水蒸気はヒドロキシ基の表面のみに吸着する.

2) -SiOH基は-SiOCaOH基に比べて親水性が高い.

3) -SiOSi(OH)3基は,105℃乾燥によってシロキサン 結合を形成し,1分子の水が脱離している.

上記の定義から,各反応基における水分子の吸着 モル数を決定した.表1に仮定した水分子の吸着モ ル数を示し,図6に表1の水分子吸着数から算出し た BET 比表面積の推定値と実験値との比較を示す.

図に示されるように,若干のずれは見られるものの 良好に一致していることが確認された.

5.結論

本研究では,C-S-H を合成し,水蒸気吸着試験と 熱分析から吸着水量および結合水量を測定した.併 せて,Nonat らのC-S-Hの構造モデルから C-S-Hの 水蒸気吸着モデルの構築を行った.本検討の Ca/Si モル比の範囲では,セメント硬化体中の高Ca/Siモル

比のC-S-H について,直接評価できないが,一般に

知られる Ca/Si モル比の低下による比表面積の増大

について,反応基の観点から評価することができた.

参考文献

1) I. Maruyama, Origin of Drying Shrinkage of Hardened Cement Paste:Hydration pressure, Journal of Advanced Concrete Technology, Vol. 8, No.2, pp.187-200, 2010.6 2) A.Nonat: The structure and stoichiometry of C-S-H, Cement

and Concrete Research, Vol.34, pp.1521-1528, 2004

H H

O O

O

Si Si

O O O O

H Ca Ca Ca

O O O

H

図4 C-S-Hの単位構造モデル

1 1.5 2

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4

-SiOSi(OH)3

-SiOH

-SiOCaOH

Composition [mol/molC-S-H]

Ca/Si molar ratio [-]

図5 Ca/Siモル比と各反応基の組成比の関係

表1 各反応基への水蒸気吸着量[mol/mol]

反応基 H2O [mol/mol]

-SiOSi(OH)3 0.28 -SiOH 0.28 -SiOCaOH 0.04

0 100 200 300

0 100 200 300

r2=0.923 Specific surface area [m2/g]

(Measured) Specific surface area [m2 /g] (Estimated)

図6 BET比表面積の予測 土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)

‑992‑

Ⅴ‑496

参照

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